説明

防爆型ネットワークカメラ及び危険地区における画像伝送システム

【課題】製油所や石油化学工場などにおける危険地区において撮影した画像データを無線LANによって伝送可能な防爆型ネットワークカメラ、及びそのような防爆型ネットワークカメラを利用した危険地区における画像伝送システムを提供する。
【解決手段】耐圧防爆構造とされ、かつ、透明耐圧素材にて形成されたドーム状収容部13を有する筐体10内に、ネットワークカメラ20を収容するとともに、ネットワークカメラ20のカメラモジュール21を、ドーム状収容部21内に位置させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、危険地区において撮影した画像データを無線LAN(Local Area Network)によって伝送可能な防爆型ネットワークカメラ、及びそのような防爆型ネットワークカメラを利用した危険地区における画像伝送システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、製油所や石油化学工場などにあっては、可燃性ガス、可燃性液体の蒸気などが存在するおそれのある危険地区での業務管理及び製造設備の保守などを行うために、非危険地区に管理施設を設けるとともに、この管理施設と危険地区に設置されている各種設備との間で種々のデータを送受信して集中管理している。
【0003】
そして、このようなデータの送受信を行うに際しては、現場の状況を映像で監視するために撮影された画像データについても管理施設に伝送することが望まれるところ、例えば、特許文献1などには、危険雰囲気中で用いられる防爆型の監視カメラが提案されている。
【特許文献1】特開平11−80605号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1の防爆型監視カメラは、カメラに起因する誘爆や火災の発生を防止するために防爆構造とするとともに、危険雰囲気中であってもカメラに直接触れることなく焦点調整が可能となるように工夫されているが、ズーム機能、パン機能、チルト機能などの諸機能を備えていない。このため、特許文献1の防爆型監視カメラは固定式となっており、画像のズーム、カメラの水平動作(パン)や上下動作(チルト)などの操作ができない。
【0005】
また、特許文献1の防爆型監視カメラから出力される画像は、アナログ信号によるものである。このため、管理施設まで信号を伝送するには同軸ケーブルで配線しなければならず、上記諸機能を備えて遠隔地からの操作を可能とするにしても、特殊な遠隔操作信号を画像伝送用の通信ケーブルとは別のケーブルを用いて送信する必要があった。
【0006】
一方、近年にあっては、非危険地区の管理施設と危険地区に設置されている各種設備との間におけるデータの送受信に、無線LANが注目されている。無線LANによれば、通信ケーブルの敷設が不要となり、コスト面で有利である。
しかしながら、特許文献1の監視カメラで撮影された画像データを無線LANで伝送するには、アナログ信号をデジタル信号に変換しなければならない。このためには、デジタル信号への変換器であるエンコーダーを防爆構造とする必要があるが、現状では、防爆型エンコーダーは実現できていない。
【0007】
また、近年にあっては、無線LANの通信方式に容易に接続できる、いわゆるネットワークカメラが普及するようになってきた。このようなネットワークカメラには、ズーム機能、パン機能、チルト機能などの諸機能を備え、ネットワークに接続された操作端末からの遠隔操作が可能とされたものもある。そこで、ネットワークカメラを本質安全防爆構造として、危険地区において撮影した画像データを無線LANにより伝送することも考えられる。
しかしながら、危険地区での可燃性ガス、可燃性液体の蒸気などの誘爆を避けるために、ズーム、パン、チルトなどを行う駆動機構を防爆化するのが難しいという問題があった。
【0008】
さらに、製油所や石油化学工場などにおける危険地区は、一般に、広範囲にわたっているが、既存の設備では、無線LANの中継距離を十分に確保するのが困難であった。このため、非危険地区の管理施設から相当に離れた危険地区から無線LANで画像データを伝送するには、複数の中継器を介して伝送しなければならない。
しかしながら、このようにした場合には、中継する毎に伝送容量が減少してしまい、中継器が増えるほど伝送容量の減少が顕著となる。したがって、画像データのような大容量のデータは、無線LANで長距離中継するのが困難であるという問題もあった。
【0009】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、製油所や石油化学工場などにおける危険地区において撮影した画像データを無線LANによって伝送可能な防爆型ネットワークカメラ、及びそのような防爆型ネットワークカメラを利用した危険地区における画像伝送システムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る防爆型ネットワークカメラは、耐圧防爆構造とされ、かつ、透明耐圧素材にて形成されたドーム状収容部を有する筐体内に、ネットワーク機能を有するネットワークカメラを収容するとともに、前記ネットワークカメラのカメラモジュールを、前記ドーム状収容部内に位置させた構成としてある。
【0011】
このような構成とした本発明に係る防爆型ネットワークカメラによれば、ネットワークに直接接続して、危険地区において撮影した画像データを、例えば、非危険地区に設置した無線LANサーバーなどに伝送することができる。
【0012】
また、本発明に係る防爆型ネットワークカメラは、前記ネットワークカメラが、少なくともズーム機能、パン機能、又はチルト機能のうち一つの機能を備えている構成とすることにより、ネットワークに接続された操作端末によって、画像のズーム、カメラの水平動作(パン)や上下動作(チルト)などを遠隔で操作することができるようになる。
【0013】
また、本発明に係る画像伝送システムは、耐圧防爆構造とされた第一の筐体内に無線LANによる双方向通信を行う無線LAN双方向通信ユニットが収容され、前記第一の筐体の外側に当該耐圧防爆構造を維持して延長されるアンテナケーブルによって、前記無線LAN双方向通信ユニットにアンテナ本体を接続するとともに、前記アンテナ本体が送受信する電波信号を透過する電波透過材料を少なくとも一部に使用し、かつ、耐圧防爆構造とされた第二の筐体内に、当該耐圧防爆構造を維持して前記アンテナ本体が収容されて、一定の距離を隔てて危険地区に設置される少なくとも一対の無線LAN防爆型中継器と、非危険地区に設置され、前記一対の無線LAN防爆型中継器のうち一方に接続された無線LANサーバーと、危険地区に設置され、前記一対の無線LAN防爆型中継器のうち他方又は両方に接続された、耐圧防爆構造とされ、かつ、透明耐圧素材にて形成されたドーム状収容部を有する筐体内に、ネットワーク機能を備えたネットワークカメラを収容するとともに、前記ネットワークカメラのカメラモジュールを、前記ドーム状収容部内に位置させた防爆型ネットワークカメラと、を具備した構成としてある。
【0014】
このような構成とした本発明に係る画像伝送システムによれば、危険地区の防爆型ネットワークカメラから非危険地区の無線LANサーバーに画像データを伝送するにあたり、危険地区に設置された一対の無線LAN防爆型中継器によって、長距離を無線で中継することができる。このとき、複数の中継器を介在させなくても十分な中継距離を確保できるので、伝送容量を減ずることなく、遠隔地との間での大容量データを送受信することが可能となり、大容量の画像データを遠隔地から支障なく無線LANサーバーまで伝送することができる。
【0015】
また、本発明に係る画像伝送システムは、前記ネットワークカメラのカメラモジュールが、少なくともズーム機能、パン機能、又はチルト機能のうち一つの機能を備え、無線LANにより接続された操作端末による遠隔操作を可能とした構成とすることで、ネットワークに接続された操作端末によって、画像のズーム、カメラの水平動作(パン)や上下動作(チルト)などを遠隔で操作することが可能になる。
【発明の効果】
【0016】
以上のように、本発明は、危険地区において撮影した画像データの伝送を可能とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の好ましい実施形態について説明する。
【0018】
[防爆型ネットワークカメラ]
まず、本発明に係る防爆型ネットワークカメラの実施形態について説明する。
図1は、本発明に係る防爆型ネットワークカメラの実施形態の概略を示す説明図であり、図1(a)は正面図、図1(b)は平面図である。
【0019】
図1に示す防爆型ネットワークカメラ1は、耐圧防爆構造とされた筐体10内に、ネットワークカメラ20を収容している。
筐体10は、本体部11と、蓋部12と、ドーム状収容部13とを有している。これらの部材は、ガスケットなどの密封部材を介して互いに圧着された状態で固定されており、筐体10は、耐圧防爆構造の全閉容器とされる。
【0020】
図示する例において、本体部11は、有底筒状の金属製部材として形成されている。蓋部12は、本体部11の開口部を覆う蓋状の金属製部材であり、周縁に沿ってほぼ等間隔に配置されたボルト14を締め付けることによって、本体部11に固定されている。
【0021】
また、本体部11には、耐圧防爆構造を維持して筐体10の内側から外側にケーブルを延長するためのケーブルジョイント111,112が設けられている。このケーブルジョイント111,112は、例えば、ゴム製の円筒部材からなるケーブルパッキンなどの封止手段が内装されており、ケーブルを挿通した状態で封止できるようになっている。
【0022】
また、ドーム状収容部13は、蓋体12の上方にドーム状に突出するように取り付けられている。ドーム状収容部13は、例えば、耐圧透明ガラスなどの透明な耐圧素材で形成することができる。特に図示しないが、ドーム状収容部13は、例えば、その下端側に水平に張り出すフランジ部を形成し、このフランジ部を、密封部材を介して蓋体12の内面側に圧着させた状態で固定するなどすればよい。
【0023】
本実施形態では、このような筐体10内にネットワークカメラ20を収容するが、ネットワークカメラ20は、それ自身がネットワーク機能を備え、ネットワークに直接接続可能とされたカメラである。
【0024】
図2に示すように、ネットワークカメラ20は、一般には、鏡筒に保持された一又は複数のレンズと、CCD又はCMOSなどの撮像素子とを基本構成として備えるカメラモジュール21、撮像素子で撮像した被写体の映像をデジタル化して画像データに変換するエンコーダー22、エンコーダー22で変換した画像データを圧縮符号化する圧縮変換部23、圧縮符号化された画像データを送出するネットワーク通信部24、及び必要な電力を供給する電力供給部25を備えている。
【0025】
なお、図2は、一般的なネットワークカメラの構成を説明するブロック図である。ここで、ネットワーク通信部24に接続される伝送ケーブル26は、筐体10のケーブルジョイント111から筐体10の外側に延長されて、スイッチングハブ90などのネットワーク通信機器に接続される(後述する図3参照)。また、電力供給部25に接続される電源ケーブル27は、筐体10のケーブルジョイント112から筐体10の外側に延長され、所定の電力供給原に接続される。
【0026】
本実施形態において、ネットワークカメラ20は、ドーム状収容部13内にカメラモジュール21が位置するようにして、筐体10内に収容される。このとき、カメラモジュール21の形状、大きさを考慮してドーム状収容部13を設計することで、広い撮影範囲を確保することができる。
【0027】
さらに、ネットワークカメラ20は、少なくともズーム機能、パン機能、又はチルト機能のうち一つの機能を備えているのが好ましい。この場合、ドーム状収容部13内にカメラモジュール21を位置させるにあたり、ドーム状収容部13の内面側とカメラモジュール21との距離を一定に保つことで、上記諸機能に伴って動くカメラモジュール21との干渉を避けることができる。
【0028】
以上のような防爆型ネットワークカメラ1は、画像信号がデジタル化されており、ネットワークに直接接続して、例えば、後述する画像伝送システムに適用して、製油所や石油化学工場などのような、可燃性ガス、可燃性液体の蒸気などが存在するおそれのある危険地区において撮影した画像データを、非危険地区における計測室、事務室などの管理施設100に設置した無線LANサーバー101に、無線LANによって伝送することができる。また、ネットワークに接続された無線LANサーバー101などからの端末操作によって、画像のズーム、カメラの水平動作(パン)や上下動作(チルト)などを遠隔で操作することも可能である。
【0029】
[危険地区における画像伝送システム]
次に、本発明に係る危険地区における画像伝送システムの実施形態について説明する。
【0030】
図3は、本発明に係る危険地区における画像伝送システムの実施形態の概略を示すブロック図である。
本実施形態の画像伝送システムは、例えば、製油所や石油化学工場などのような、可燃性ガス、可燃性液体の蒸気などが存在するおそれのある危険地区に設置した防爆型ネットワークカメラ1によって撮影された画像データを、非危険地区における計測室、事務室などの管理施設100に設置した無線LANサーバー101に、無線LANによって伝送するためのものである。
【0031】
危険地区に設置された防爆型ネットワークカメラ1と、非危険地区に設置された無線LANサーバー101とは、危険地区において一定の距離を隔てて設置された一対の無線LAN防爆型中継器5a,5bによって、危険地区における通信が無線で中継され、その間の通信ケーブルの敷設を不要としている。
【0032】
無線LAN防爆型中継器5(5a,5b)としては、例えば、図4に示すものが利用できる。
図4に示す無線LAN防爆型中継器5は、第一の筐体51内に、無線LANによる双方向通信を行う無線LAN双方向通信ユニット60、及び必要な電力を供給する電力供給部80を収容してある。
【0033】
第一の筐体51は、耐圧防爆構造とされた、容器本体と蓋体とからなる金属製の全閉容器とすることができる。
また、第一の筐体51には、耐圧防爆構造を維持して第一の筐体51の外側にケーブルを延長するためのケーブルジョイント511,512,513が設けられている。これらのケーブルジョイント511,512,513は、例えば、ゴム製の円筒部材からなるケーブルパッキンなどの封止手段が内装されており、ケーブルを挿通した状態で封止できるようになっている。
【0034】
第一の筐体51内に収容された双方向通信ユニット60には、ケーブルジョイント511から第一の筐体51の外側に延長されたアンテナケーブル91によって、アンテナ本体90が接続されている。
同様に、電力供給部80に接続された電源ケーブル81は、ケーブルジョイント513から第一の筐体51の外側に延長されている。
また、図示する例では、PoE(Power over Ethernet/「Ethernet」は登録商標)方式によって電力供給がなされるようにしており、双方向通信ユニット60と電源供給部80とがPoE給電ケーブル68で接続されている。そして、光ケーブルなどの通信ケーブル61は、電源供給部80に接続されて、ケーブルジョイント512から第一の筐体51の外側に延長されている。これにより、図3に示すように、通信ケーブル61をスイッチングハブ102に接続することによって、無線LAN防爆型中継器5を無線LANサーバー101に接続することができるようになっている。
【0035】
無線LAN双方向通信ユニット60は、アンテナ本体90が送受信するLAN信号に基づいて、無線LANによる双方向通信を可能とするものであれば、その具体的な構成は特に制限されない。例えば、IEEE802.11などの通信規格に準拠して、一対の無線LAN防爆型中継器5a,5b間における無線LANによる双方向通信や、無線LANサーバー101との間における有線LAN又は無線LANによる双方向通信、さらには、防爆型ネットワークカメラ1との間の双方向通信などを実現できるものであればよい。
また、無線LAN双方向通信ユニット60は、光信号と電気信号とを相互に変換する光・電気変換器を備えることにより、光信号と電気信号のいずれによっても通信が可能となるようにすることもできる。
【0036】
一方、アンテナケーブル91によって無線LAN双方向通信ユニット60に接続されるアンテナ本体90は、耐圧防爆構造とされた第二の筐体52内に、その耐圧防爆構造が維持されるように収容されている。
図4に示す第二の筐体52には、第一の筐体51に設けたケーブルジョイント511,512,513と同様のケーブルジョイント523が設けられている。そして、第二の筐体52の耐圧防爆構造が維持されるように、ケーブルジョイント523により第二の筐体52内にアンテナケーブル91を引き込んで、アンテナ本体90にアンテナケーブル91を接続してある。
【0037】
第二の筐体52は、アンテナ本体90が送受信する電波信号(LAN信号)を透過する電波透過材料からなる電波透過部材521と、金属製の基台522とからなっている。電波透過部材521を形成する電波透過材料としては、電波信号の伝送損失を抑制できるものを適宜選択するが、例えば、耐熱強化ガラス、耐圧ガラス、硬質樹脂などが利用できる。
電波透過部材521は、アンテナ本体90の周囲を覆うように、一端が閉口する筒状の部材として形成することができる。そして、電波透過部材521の他端側の開口部からアンテナ本体90を挿通するとともに、アンテナ本体90の基部が固定された基台522で、電波透過部材521の開口部を閉塞することによって、第二の筐体52が耐圧防爆構造をなすようにしてある。
【0038】
アンテナ本体90には、指向性の高い指向型アンテナを用いるのが好ましい。
指向型アンテナとしては、例えば、8エレメント八木型が利用できる。
【0039】
以上のような無線LAN防爆型中継器5は、耐圧防爆構造とされた第二の筐体52内にアンテナ本体90が単独で収容されており、アンテナ本体90の設置位置をアンテナ本体90の指向性に応じて自由に定めることができる。このため、特に、アンテナ本体90に指向型アンテナを用いることで、最大で1,000m程度の長距離の無線中継が可能となる。
【0040】
図3に示す例では、光ケーブルなどの通信ケーブル61が、非危険地区から危険地区まで敷設されており、この通信ケーブル61によって、危険地区に設置された一方の無線LAN防爆型中継器1aが、管理施設100に設置された無線LANサーバー101にスイッチングハブ102を介して接続されている。そして、他方の無線LAN防爆型中継器1bには、防爆型のスイッチングハブ70を介して防爆型ネットワークカメラ1が接続されている。
ここで、防爆型のスイッチングハブ70としては、例えば、本出願人が先に出願した特願2006−142110で提案した防爆型スイッチングハブを利用することができる。
【0041】
このように、本実施形態の画像伝送システムにあっては、危険地区の防爆型ネットワークカメラ1から非危険地区の無線LANサーバー101に画像データを伝送するにあたり、危険地区に設置された一対の無線LAN防爆型中継器1a,1bによって、長距離を無線で中継することができる。そして、本実施形態によれば、複数の中継器を介在させなくても十分な中継距離を確保できるので、伝送容量を減ずることなく、遠隔地との間での大容量データを送受信することも可能となる。したがって、大容量の画像データを遠隔地から支障なく無線LANサーバー101まで伝送することができる。
【0042】
以上、本発明について、好ましい実施形態を示して説明したが、本発明は、前述した実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の範囲で種々の変更実施が可能であることはいうまでもない。
【0043】
例えば、無線LAN防爆型中継器5a,5bには、前述したような防爆型のスイッチングハブ70を介して、耐圧防爆構造とされた無線LANアクセスポイントなどの各種のネットワーク通信機器を接続することができる。無線LANアクセスポイントは、例えば、無線LANアダプタが取り付けられたコンピュータ、送受信機能を有するPDA(Personal Digital Assistant)などの送受信機と無線で接続される。
これらの機器は、危険地区での使用に耐えられるように、耐圧防爆構造とするが、例えば、防爆型の無線LANアクセスポイントとしては、本出願人が先に出願した特願2005−8297で提案した無線LAN防爆型中継器や、特願2006−142110で提案した無線LAN防爆型中継器などを利用することができる。
【0044】
また、前述した実施形態では、無線LAN防爆型中継器5aと無線LANサーバー101との間を、通信ケーブル61で有線LANにより接続してあるが、無線LAN防爆型中継器5aと無線LANサーバー101との接続は、有線LAN又は無線LANのいずれによってもよい。
無線LAN防爆型中継器5aと無線LANサーバー101とを無線LANで接続する場合、非危険地区側には、無線LANサーバー101に接続される無線LANアダプタを設置する。非危険地区に設置する無線LANアダプタは、耐圧防爆構造とする必要はないので、非防爆型の種々の無線LANアダプタを利用できる。一方、危険地区側には、非危険地区に設置した無線LANアダプタと無線LANで接続するための防爆型の無線LANアクセスポイントを設ける必要がある。このような無線LANアクセスポイントとしては、例えば、本出願人が先に出願した特願2005−8297で提案した無線LAN防爆型中継器や、特願2006−142110で提案した無線LAN防爆型中継器などを利用することができる。
【0045】
また、危険地区に設置される一対の無線LAN防爆型中継器5a,5bの間には、さらに、複数の無線LAN防爆型中継器を追加して設置し、無線LAN防爆型中継器1を二対以上として、全体としての中継距離を延長することもできる。
例えば、一対の無線LAN防爆型中継器5a,5dの間に、各無線LAN防爆型中継器5a,5dと対になるように二つの無線LAN防爆型中継器を追加して設置することができる。このとき、追加された無線LAN防爆型中継器どうしは、有線LAN又は無線LANのいずれで接続してもよい。
また、一対の無線LAN防爆型中継器5a,5bの間に追加される無線LAN防爆型中継器の設置場所が、危険地区に隣接する非危険地区となることもある。この場合、追加する無線LAN防爆型中継器は、耐圧防爆構造としたままで設置してもよいが、第一及び第二の筐体51,52を省略して非防爆型としてもよい。
【0046】
また、無線LAN防爆型中継器5は、防爆型のスイッチングハブ70を介して各種のネットワーク通信機器と接続されるようにしたが、スイッチングハブ70は、双方向通信ユニット60とともに第一の筐体内51に収容された構成とすることも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明は、製油所や石油化学工場などのプラントに限定されるものではなく、その他、食品業、鉄鋼業などを含む防爆機器を必要とする装置産業全般に対して、有効に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明に係る無線LAN防爆型中継器の実施形態の概略を示す説明図である。
【図2】本発明に係る危険地区における通信システムの第一実施形態の概略を示すブロック図である。
【図3】本発明に係る危険地区における通信システムの第二実施形態の概略を示すブロック図である。
【図4】本発明に係る危険地区における通信システムの第三実施形態の概略を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0049】
1 防爆型ネットワークカメラ
10 筐体
20 ネットワークカメラ
5(5a,5b) 無線LAN防爆型中継器
51 第一の筐体
52 第二の筐体
521 電波透過部材
522 基台
60 双方向通信ユニット
90 アンテナ本体
91 アンテナケーブル
100 管理施設
101 無線LANサーバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
耐圧防爆構造とされ、かつ、透明耐圧素材にて形成されたドーム状収容部を有する筐体内に、
ネットワーク機能を有するネットワークカメラを収容するとともに、
前記ネットワークカメラのカメラモジュールを、前記ドーム状収容部内に位置させた
ことを特徴とする防爆型ネットワークカメラ。
【請求項2】
前記ネットワークカメラが、少なくともズーム機能、パン機能、又はチルト機能のうち一つの機能を備えている
防爆型ネットワークカメラ。
【請求項3】
耐圧防爆構造とされた第一の筐体内に無線LANによる双方向通信を行う無線LAN双方向通信ユニットが収容され、前記第一の筐体の外側に当該耐圧防爆構造を維持して延長されるアンテナケーブルによって、前記無線LAN双方向通信ユニットにアンテナ本体を接続するとともに、前記アンテナ本体が送受信する電波信号を透過する電波透過材料を少なくとも一部に使用し、かつ、耐圧防爆構造とされた第二の筐体内に、当該耐圧防爆構造を維持して前記アンテナ本体が収容されて、一定の距離を隔てて危険地区に設置される少なくとも一対の無線LAN防爆型中継器と、
非危険地区に設置され、前記一対の無線LAN防爆型中継器のうち一方に接続された無線LANサーバーと、
危険地区に設置され、前記一対の無線LAN防爆型中継器のうち他方又は両方に接続された、耐圧防爆構造とされ、かつ、透明耐圧素材にて形成されたドーム状収容部を有する筐体内に、ネットワーク機能を備えたネットワークカメラを収容するとともに、前記ネットワークカメラのカメラモジュールを、前記ドーム状収容部内に位置させた防爆型ネットワークカメラと、
を具備したことを特徴とする画像伝送システム。
【請求項4】
前記ネットワークカメラのカメラモジュールが、少なくともズーム機能、パン機能、又はチルト機能のうち一つの機能を備え、無線LANにより接続された操作端末による遠隔操作を可能とした
請求項3に記載の画像伝送システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2009−38544(P2009−38544A)
【公開日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−200393(P2007−200393)
【出願日】平成19年8月1日(2007.8.1)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り (1)刊行物名 精製プロセス効率化・製油所操業支援システム合同技術小委員会報告書 発行所 財団法人石油産業活性化センター技術企画部 発行日 平成19年3月
【出願人】(000183646)出光興産株式会社 (2,069)
【出願人】(590000455)財団法人石油産業活性化センター (249)
【Fターム(参考)】