説明

防犯システム

【課題】 光源が威嚇と照明とに兼用される防犯システムを提供する。
【解決手段】 通話用の通話部12と、所定の検出範囲の人体を検出する人体検出部13と、検出範囲に対する照明が可能な照明部15と、検出範囲に入る人体が保持するICタグから識別情報を読み取る無線読取部14とをセンサライト1に備えるとともに、通話用の通話部22と、識別情報が格納される記憶部26とを親機2に備える。人体検出部13に人体が検出された後、所定の読取期間内に、記憶部26に格納された識別情報のいずれかが無線読取部14によって読み取られた場合には照明部15の点灯のみが行なわれ、記憶部26に格納された識別情報のいずれも無線読取部14によって読み取られなければ照明部15が点灯するとともに通話部12,22が警報音の発生を開始する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防犯システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、所定の検出範囲の人体を検出する人体検出部と、人体検出部によって人体が検出されたときに音や光によって威嚇する威嚇動作を行う威嚇部とを備える防犯システムが提供されている。
【0003】
さらに、この種の防犯システムにおいて、人体検出部の検出範囲に入る人体が保持するICタグから識別情報を読み取る無線読取部を備え、予め登録された識別情報が無線読取部によって読み取られたときには威嚇部が威嚇動作を行なわないようにすることが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2007−219589号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来例では、光源は威嚇にのみ用いられており、照明には用いられていなかった。
【0005】
本発明は、上記事由に鑑みて為されたものであり、その目的は、光源が威嚇と照明とに兼用される防犯システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、所定の検出範囲の人体を検出する人体検出部と、電気的な光源を有して人体検出部の検出範囲に対する照明が可能な照明部と、人体検出部の検出範囲に入る人体が保持するICタグから識別情報を読み取る無線読取部と、少なくとも1個の識別情報が格納される記憶部と、警報音を発生させる警報部と、人体検出部による人体の検出に応じて照明部と警報部とをそれぞれ制御する制御部とを備え、制御部は、人体検出部に人体が検出されたタイミングを基準として定められる読取期間内に、記憶部に格納された識別情報のいずれかが読取期間内に無線読取部によって読み取られた場合には警報部には警報音を発生させず照明部を制御して点灯を開始させ、記憶部に格納された識別情報のいずれも無線読取部によって読み取られないまま読取期間が経過したときに、照明部を制御して開始させるとともに警報部を制御して警報音の発生を開始させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、記憶部に格納された識別情報のいずれも無線読取部によって読み取られなかったときには警報部の警報音と照明部の点灯とによる威嚇が行なわれ、記憶部に格納された識別情報のいずれかが読取期間内に無線読取部によって読み取られた場合には照明部は照明用の点灯を行なうので、照明部の光源が威嚇と照明とに兼用される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0009】
本実施形態は、図1及び図2に示すように、室外に設置され人体を検出するとともにICタグから識別情報を読み取るセンサライト1と、室内に設置されて2線式の信号線3を介してセンサライト1に接続されセンサライト1における人体の検出や識別情報の読み取りに応じてセンサライト1を制御する親機2とを備える。センサライト1と親機2とはいわゆるインターホンシステムを構成するものであって、通話機能を有する。
【0010】
センサライト1は、信号線3を介して電気信号を送受信する通信部11と、親機2との通話のための通話部12と、所定の検出範囲の人体を検出する人体検出部13と、検出範囲に入る人体が携行するICタグから識別情報を読み取る無線読取部14と、人体検出部13の検出範囲の少なくとも一部の照明が可能な照明部15と、少なくとも一部が人体検出部13の検出範囲に重なる所定の撮像範囲を撮像し撮像された画像をデジタルデータである画像データとして出力する撮像部16と、例えばディップスイッチからなり人体検出部13の感度などの設定の入力を受け付ける設定部17と、通信部11を介して入力される電気信号や、人体検出部13による人体の検出や、無線読取部14による識別情報の読取や、設定部17に入力された設定に応じて、通信部11と通話部12と撮像部16とをそれぞれ制御する制御部18とを備える。
【0011】
親機2は、信号線3を介して電気信号を送受信する通信部21と、センサライト1の通話部12との通話のための通話部22と、通信部21から入力された画像データを用いて画像を表示する表示装置としての表示部23と、操作入力を受け付ける操作部24と、通信部21を介して入力される電気信号や操作部24に受け付けられた操作入力に応じて通信部21と通話部22と表示部23とをそれぞれ制御する制御部25と、不揮発性メモリからなり少なくとも1個の識別情報が格納される記憶部26とを備える。
【0012】
センサライト1と親機2とのそれぞれにおいて、通話部12,22は、入力された音声を電気信号である音声信号に変換して該音声信号を通信部11,21と信号線3とを介して送信する送話回路(図示せず)と、信号線3と通信部11,21とを介して受信された音声信号を音声に変換する受話回路(図示せず)と、送話回路及び受話回路と通信部11,21との間に介在して送話回路から通信部11,21に入力される音声信号と通信部11,21から受話回路に入力される音声信号とを比較して信号レベル(すなわち音量)が低い方を減衰させ信号レベルが高いほうを増幅することにより通話方向を切り換える音声スイッチ(図示せず)とを備える。より具体的には、送話回路は、音声を電気信号である音声信号に変換するマイクロホンを有する。受話回路は、音声信号を音声に変換するスピーカを有する。
【0013】
センサライト1と親機2とのそれぞれにおいて、通信部11,21は、具体的には例えば、信号線3との間でインピーダンスを整合させる周知のインピーダンス整合回路を備える。ここで、画像データと音声信号とは共通の信号線3を介して同時に送受信され得るので、画像データと音声信号とが互いに干渉することを避けるために、画像データはセンサライト1の制御部18において多重伝送のための例えば周波数変調のような周知の変調を経て画像信号に変換された上で送信される。親機2の通信部21は、信号線3から受信された電気信号から画像信号と音声信号とを分離させる分波回路とを備える。親機2において、画像信号から画像データへの復調は、例えば通信部21で行なわれる。
【0014】
センサライト1と親機2とのそれぞれにおいて、制御部18,25は、例えば、プログラムが予め格納された書換不可のメモリと、このメモリに格納されたプログラムに従って動作するマイコンからなる。
【0015】
センサライト1の撮像部16は、具体的には例えば広角レンズを介して画像が入力される撮像素子(図示せず)と、撮像素子の出力をデジタル変換して画像データを生成する変換回路(図示せず)とを備える。撮像素子としては、CCD(Charge Coupled Device)型やCMOS型のものを用いることができる。
【0016】
センサライト1の人体検出部13には、例えば人体から放射される熱線を焦電素子によって検出する周知の熱線センサを用いることができる。
【0017】
センサライト1の照明部15は、例えば白熱電球のような周知の電気的な光源15aと、制御部18によって制御されて光源15aを点灯させる点灯回路(図示せず)とからなる。このような照明部15は周知技術で実現可能であるので詳細な説明は省略する。図2に示すように、センサライト1は、撮像部16を下端部に露出させる形で撮像部16と人体検出13とをそれぞれ保持するとともに通信部11と通話部12と制御部18とをそれぞれ収納して壁面に対してねじ止め等によって固定されるハウジング10aと、照明部15の少なくとも光源15aを保持するとともにハウジング10aに対して向きを可変とするようにアーム10bを介して連結された灯体10cとを備える。つまり、ハウジング10aに対する灯体10cの向きを変更することで、光源15aの光が照射される範囲(すなわち照明部15が照明する範囲)を変更することが可能となっている。
【0018】
親機2の表示部23は、具体的には例えば図2に示すように親機2の前面の上端部に露出する液晶パネル23aと、制御部25による制御に応じて、通信部21が出力した画像データを用いて液晶パネル23aを駆動し画像を表示させる駆動回路(図示せず)とを有する。また、画像を表示させる際には、広角レンズに起因する画像の歪みを平面的に補正する周知の歪補正が行われる。なお、歪補正は、センサライト1において変調の前に行われるようにしてもよい。図2の例では、操作部24を構成する複数個の押釦24a〜24gは、それぞれ液晶パネル23aの下側に設けられている。
【0019】
さらに、親機2には、親機2の機能のうちここでは特に説明しない一部の機能を有さないものの略同様の構成を有する副親機2aや、操作部24を構成する押釦24a〜24gのうち一部の押釦24f,gや表示部23を有さないものの親機2と同様の通話部22を有する通話副親機2bや、センサライト1と同様の通話部12と同様の通話部を有して屋外に設置される子器1aなどが信号線3を介して接続可能となっている。親機2,副親機2a,通話副親機2bは、操作部24への操作入力に応じて、通話部22を介して相互に通話可能であるとともに、センサライト1や子器1aの通話部12とも通話可能となっている。副親機2aの基本構成は親器2と共通であり、通話副親機2bと子器1aとはそれぞれ周知技術で実現可能であるので、これらについては詳細な図示及び説明は省略する。
【0020】
以下、本実施形態の動作について説明する。センサライト1や親機2の制御部18,25は、親機2の操作部24に受け付けられた操作入力に応じて、撮像部16によって撮像された画像を表示部23に表示させつつ通話部12,22による通話を可能とする通話モードと、通常は表示部23には画像を表示させずセンサライト1の人体検出部14で人体が検出されたときに撮像部13によって撮像された画像を表示部23に表示させる警戒モードとに動作モードを切換可能となっている。すなわち、動作モードの切り換えを指示する操作入力が親機2の操作部24に受け付けられると、親機2の制御部25は動作モードを切り換えるとともに、動作モードの切り替えを指示する制御信号を生成するとともに通信部21を制御して該制御信号をセンサライト1へ送信させる。センサライト1では、動作モードの切り換えを指示する前記制御信号が通信部11に受信されると、制御部18が動作モードを切り換える。
【0021】
通話モードでの動作については従来周知のテレビドアホンシステムでも同様の動作が可能であるので詳細な説明は省略し、本実施形態の要旨である警戒モードでの動作について、図3のフローチャート(流れ図)を用いて説明する。
【0022】
センサライト1と親機2とでそれぞれ警戒モードでの動作が開始されると(S1)、センサライト1の制御部18は、人体検出部13によって人体が検出されるまでは人体検出部13の出力の監視を継続する(S2)。人体検出部13によって人体が検出されると、センサライト1の制御部18は、所定の読取時間の計時を開始する(S3)。そして、センサライト1の制御部18は、読取時間の計時が終了されるまでの読取期間中には、無線読取部14の出力を監視する(S4)。センサライト1において、読取期間中に無線読取部14によって識別情報が読み取られると、制御部18は通信部11を制御し、読み取られた識別情報を示す読取通知信号を親機2へ送信させる。親機2では、通信部21に読取通知信号が受信されると、制御部25は、受信された読取通知信号に示された識別情報を、記憶部26に格納された識別情報と照合する(S5)。そして、親機2の制御部25は、通信部21に受信された読取通知信号に示された識別情報、すなわちセンサライト1の無線読取部14によって読み取られた識別情報が、記憶部26に格納された識別情報のいずれかに一致すると、所定の認証成功信号を生成して通信部21を介してセンサライト1へ送信する。センサライト1では、読取期間中に通信部11に認証成功信号が受信されると、制御部18は、読取時間の計時を停止して読取期間を終了するとともに、照明のために照明部15を点灯させる照明動作を所定の照明時間にわたって行い(S6)、その後、ステップS2に戻って人体検出部13の出力の監視を再開する。また、ステップS5において、通信部21に受信された読取通知信号に示された識別情報、すなわちセンサライト1の無線読取部14によって読み取られた識別情報が、記憶部26に格納された識別情報のいずれとも一致しなかった場合、親機2の制御部25は、所定の認証失敗信号を生成して通信部21を介してセンサライト1へ送信する。センサライト1では、読取期間中に通信部11に認証失敗信号が受信されると、読取期間が終了しているか否かを判定し(S7)、読取期間が終了していなければステップS4に戻って無線読取部14の出力の監視を継続する。そして、センサライト1において、認証成功信号が通信部11に受信されないまま読取期間が終了(つまり読取時間の計時が完了)すると、制御部18は、所定の警報信号と画像信号とを通信部11から親機2へ送信させるとともに、通話部12のスピーカを駆動して警報音を発生させるとともに照明部15を点灯させる威嚇動作を、所定の威嚇時間にわたって行う。また、親機2では、警報信号が通信部21に受信されると、通話部22のスピーカを駆動して警報音を発生させるとともに画像信号から得られる画像を表示部23に表示させる警報動作を、所定の威嚇時間にわたって行う(S8)。つまり、センサライト1と親機2とのそれぞれにおいて通話部11,21のスピーカが請求項における警報部となる。威嚇動作の終了後は、センサライト1の制御部18はステップS2に戻って人体検出部13の出力の監視を再開する。なお、威嚇動作や警報時間の継続時間を上記のように所定の威嚇時間とする代わりに、親機2の操作部24において威嚇動作や警報動作の停止を指示する操作入力が受け付けられたときに威嚇動作や警報動作が終了するようにしてもよい。また、ステップS5の識別情報の照合にかかる時間に対して読取期間が短く読取期間中にステップS5の識別情報の照合を複数回行うことができない場合、センサカメラ1において通信部11に認証失敗信号が受信されたときに制御部18が読取期間を終了して警報動作を開始するとともに警報信号を通信部11から送信させるようにしてもよい。
【0023】
上記構成によれば、ICタグを所持する正式な住人であれば威嚇動作や警報動作は行なわれないものの照明部15は点灯されるので、照明部15は威嚇と照明とに兼用されることになる。
【0024】
また、室外に設置されるセンサライト1だけでなく、室内に設置される親機2でも警報音が鳴動されることにより、室外への威嚇だけでなく室内への報知も可能となっている。
【0025】
なお、照明部15を点灯させるだけでも威嚇の効果はあるので、上記実施形態では、照明動作時の照明部15の点灯と威嚇動作時の照明部15の点灯とは結果として同様の連続点灯となっているが、照明動作時には連続点灯とする一方で威嚇動作時には点滅させるといったように、照明動作と威嚇動作とで異なる点灯を照明部15にさせてもよい。
【0026】
また、記憶部26を親機2に設ける代わりにセンサライト1に設けるとともに、識別情報の照合がセンサライト1の制御部18によって行なわれるようにしてもよい。
【0027】
さらに、上記の実施形態では人体検出部13による人体検出のタイミングを読取期間の始点としているが、例えば人体検出部13の検出範囲へ至る途上に無線読取部14の読取範囲が存在するような場合、警戒モード中に常に無線読取部14を動作させ、記憶部26に格納された識別情報のいずれかに一致する識別情報が無線読取部14に読み取られてから所定の停止時間が経過するまでは人体検出部13に人体が検出されても威嚇動作や警報動作が行なわれず照明動作のみが行なわれるようにしてもよい。この場合、人体検出部13に人体が検出されたタイミングから停止時間だけ遡るまでの期間も、請求項における読取期間に含まれることになる。
【0028】
ここで、記憶部26に格納される識別情報としては、親機2において操作部24に入力された識別情報が記憶部26に格納されるようにしてもよいし、親機2の操作部24への操作入力によって切り換えられる動作モードとして登録モードを設け、登録モード中に無線読取部14によって読み取られた識別情報が記憶部26に格納されるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の実施形態を示すブロック図である。
【図2】同上の概略構成を示す説明図である。
【図3】同上の動作を示す流れ図である。
【符号の説明】
【0030】
12,22 通話部(請求項における警報部)
13 人体検出部
14 無線読取部
15 照明部
15a 光源
18,25 制御部
26 記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の検出範囲の人体を検出する人体検出部と、
電気的な光源を有して人体検出部の検出範囲に対する照明が可能な照明部と、
人体検出部の検出範囲に入る人体が保持するICタグから識別情報を読み取る無線読取部と、
少なくとも1個の識別情報が格納される記憶部と、
警報音を発生させる警報部と、
人体検出部による人体の検出に応じて照明部と警報部とをそれぞれ制御する制御部とを備え、
制御部は、人体検出部に人体が検出されたタイミングを基準として定められる読取期間内に、記憶部に格納された識別情報のいずれかが読取期間内に無線読取部によって読み取られた場合には警報部には警報音を発生させず照明部を制御して点灯を開始させ、記憶部に格納された識別情報のいずれも無線読取部によって読み取られないまま読取期間が経過したときに、照明部を制御して点灯を開始させるとともに警報部を制御して警報音の発生を開始させることを特徴とする防犯システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−205286(P2009−205286A)
【公開日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−44881(P2008−44881)
【出願日】平成20年2月26日(2008.2.26)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】