説明

防犯装置

【課題】新規な構成により異常検出対象物の異常を検出することができる防犯装置を提供する。
【解決手段】送電側コイル11は高周波電源13から高周波電力の供給を受ける。受電側コイル21が車に設けられ、送電側コイル11と離間して非接触で配置され、送電側コイル11からの電力を磁場共鳴して受電する。高周波電源13へのコイル12からの反射電力が検出される。電源側コントローラ14は、反射電力から車の異常の有無を判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、異常を検出して盗難等を防止するための防犯装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車の異常を検出して盗難を防止するための防犯装置が各種知られている。この防犯装置において、車両に対する不正行為の検出のために侵入センサが用いられており、侵入センサには電波、音波、超音波等が利用されてきた(例えば特許文献1等)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−23448号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、新規な構成により異常検出対象物の異常を検出することができる防犯装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の発明では、高周波電源と、前記高周波電源から高周波電力の供給を受ける一次コイルと、異常検出対象物に設けられ、前記一次コイルと離間して非接触で配置され、前記一次コイルからの電力を受電する二次コイルと、前記高周波電源への前記一次コイルからの反射電力を検出する反射電力検出手段と、前記反射電力検出手段によって検出される前記反射電力に基づいて前記異常検出対象物の異常の有無を判定する判定手段と、を備えたことを要旨とする。
【0006】
請求項1に記載の発明によれば、異常検出対象物には二次コイルが一次コイルと離間して非接触で配置され、一次コイルからの電力を受電する。反射電力検出手段により、高周波電源への一次コイルからの反射電力が検出される。判定手段において、反射電力検出手段によって検出される反射電力に基づいて異常検出対象物の異常の有無が判定される。その結果、異常検出対象物の異常を検出することができる。
【0007】
請求項2に記載のように、請求項1に記載の防犯装置において、前記判定手段は、前記反射電力検出手段によって検出される前記反射電力と設定値とを比較して前記異常検出対象物の異常の有無を判定するとよい。
【0008】
請求項3に記載の発明では、請求項1または2に記載の防犯装置において、前記異常検出対象物は車であることを要旨とする。
請求項3に記載の発明によれば、異常検出対象物は車であるので、車の異常を検出することができる。
【0009】
請求項4に記載の発明では、請求項1〜3のいずれか1項に記載の防犯装置において、前記異常検出対象物はバッテリを有しており、前記バッテリは前記二次コイルにおいて受電した電力で充電されることを要旨とする。
【0010】
請求項4に記載の発明によれば、二次コイルにおいて受電した電力でバッテリが充電されるシステムにおいて異常検出対象物の異常を検出することができる。
請求項5に記載の発明では、請求項3に記載の防犯装置において、車高が低くなることに伴う前記判定手段の異常の検出により作動する警報手段を、更に備えたことを要旨とする。
【0011】
請求項5に記載の発明によれば、車高が低くなることに伴い判定手段が異常を検出すると、警報手段が作動して警報がなされる。これにより車に不審者が乗り込んできた場合においてその異常を知らせることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、異常検出対象物の異常を検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】(a),(b)は本実施形態における自動車の概略構成図。
【図2】防犯装置(共鳴型非接触充電システム)の電気的構成を示す回路構成図。
【図3】作用を説明するためのタイムチャート。
【図4】作用を説明するためのタイムチャート。
【図5】作用を説明するためのタイムチャート。
【図6】作用を説明するためのフローチャート。
【図7】作用を説明するためのフローチャート。
【図8】作用を説明するためのフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図面に従って説明する。
本実施形態では、車に不審者が乗り込んだことを検出して警報する防犯装置に具体化している。特に本実施形態では、ハイブリッド車、燃料電池を備える燃料電池車、電気自動車等における車載バッテリを充電するための共鳴型非接触充電システムに適用している。
【0015】
図1(a)に示すように、自動車1において、車体の前面部のフロントバンパーの内部には受電側コイル21が取付けられている。受電側コイル21は例えば銅線を螺旋状に巻回して構成されている。受電側コイル21は軸線(螺旋の中心軸)が車両の上下方向となるように配置されている。
【0016】
地上には地上側設備10が埋設されている。地上側設備10は送電側コイル11を有している。送電側コイル11は例えば銅線を螺旋状に巻回して構成されている。送電側コイル11は軸線(螺旋の中心軸)が地上面に対して例えば直交するように配置されている。そして、自動車1のバッテリを地上側設備10において充電する際には、送電側コイル11の軸線(螺旋の中心軸)と受電側コイル21の軸線(螺旋の中心軸)とが一致または接近するように配置される。
【0017】
図2には防犯装置(共鳴型非接触充電システム)の全体構成を示す。地上側に配置される地上側設備10として、送電側コイル11とコイル12と高周波電源(交流電源)13と電源側コントローラ14を備えている。車両に搭載される車載側機器20として、受電側コイル21とコイル22と整流器23と充電器24と二次電池であるバッテリ25と充電ECU26と車両側コントローラ27と警報装置29とを備えている。
【0018】
地上側設備10の電源側コントローラ14と、車載側機器20の車両側コントローラ27とは無線にて通信できるようになっている。
高周波電源13は、例えば数MHz程度の高周波電力を出力する。また、高周波電源13は、コイル12からの反射電力を検出する反射電力検出手段を有する。
【0019】
コイル12は、高周波電源13に接続されている。
送電側コイル11は、コイル12と磁気的に結合可能な位置に配置されており、コイル12から電磁誘導により電力が供給される。このように、一次コイルとしての送電側コイル11は高周波電源13からコイル12を介して高周波電力の供給を受ける。送電側コイル11にはコンデンサCが接続されている。
【0020】
電源側コントローラ14は、高周波電源13を制御する。また、電源側コントローラ14は、車載側機器20の異常の有無を判定する判定手段を有し、判定手段にて車載側機器20の異常と判定されると車両側コントローラ27にその旨を通知する。
【0021】
本実施の形態の電源側コントローラ14は、充電開始信号、充電完了信号、電子キー28からのロック信号に基づいて高周波電源13にオン/オフ信号を送るとともに、高周波電源13の出力電力を制御する。判定手段は、高周波電源13にて検出された反射電力に基づいて異常検知の基準となる設定値を算出して図示しないメモリに記憶するとともに、メモリに記憶した設定値、高周波電源13にて検出した反射電力、充電完了信号、後述する電子キー28からのアンロック信号に基づいて車載側機器20の異常の有無を判定する。
【0022】
二次コイルとしての受電側コイル21は、異常検出対象物としての車に設けられ、送電側コイル11と離間して非接触で配置されている。そして、送電側コイル11からの電力を磁場共鳴して受電する。
【0023】
コイル22は、受電側コイル21と磁気的に結合可能な位置に配置されており、受電側コイル21から電磁誘導によりコイル22に電力が伝送される。
整流器23は、コイル22に接続されており、コイル22からの電力を整流する。受電側コイル21にはコンデンサCが接続されている。
【0024】
充電器24は、整流器23に接続されており、整流器23によって整流された電力を昇圧等する。充電器24はスイッチング素子を備えており、スイッチング素子をオン/オフ制御することにより出力電圧、出力電流が調整される。充電器24にはバッテリ25が接続され、バッテリ25が充電器24により充電される。
【0025】
充電ECU26は、バッテリ25の充電時、充電器24の出力電圧、出力電流をモニタし、目標の出力電圧、出力電流になるように充電器24のスイッチング素子を制御する。また、充電ECU26は、バッテリ電圧Vbを検知しており、バッテリ電圧Vbが一定値以上になると充電器24にオフ信号を送信するとともに電源側コントローラ14に充電完了信号を送信する。充電ECU26は、車両側コントローラ27から充電開始指令を受けると充電器24にオン信号を送信する。
【0026】
車両側コントローラ27は、電源側コントローラ14、充電ECU26、警報装置29に指令信号等を送信する。
本実施の形態では、車両側コントローラ27は、電源側コントローラ14から充電を開始する旨の通知を受けると充電ECU26に充電開始指令を出し、充電ECU26からの充電完了信号や電子キー28からのロック/アンロック信号を受信すると電源側コントローラ14に各信号を受信した旨を伝送する。また、車両側コントローラ27は、電源側コントローラ14から異常が発生した旨を受け取ると警報装置29を作動させる指令信号を送信する。
【0027】
なお、ロック信号は電子キー28でのロックボタンの操作信号(ドアロック操作信号)であり、車両のドアを施錠するための信号である。アンロック信号は電子キー28でのアンロックボタンの操作信号(ドアロック解除操作信号)であり、車両のドアを開錠するための信号である。
【0028】
警報手段としての警報装置29は、具体的には例えば、音を発したり光を発する装置であって音や光により警報を行なう。
次に、このように構成した防犯装置の作用を共鳴型非接触充電システムの作用の共に、図3,4,5のタイムチャート、および、図6,7,8のフローチャートを用いて説明する。
【0029】
図2の電源側コントローラ14は、図6,7,8のフローチャートの処理を実行する。
図3,4,5のタイムチャートにおいて、上から、バッテリ電圧Vb、出力電力P1および反射電力P2、警報装置29のオン/オフ状態を示す。警報装置29のオンにて警報(例えば警報音)が発せられる。
【0030】
図3において、地上側の人が充電開始スイッチをオン操作する(図3のt1のタイミング)。すると、充電開始信号が電源側コントローラ14に送られる。充電開始信号を受信した電源側コントローラ14は、車両側コントローラ27に充電開始信号を受信した旨を通知する。その後、電源側コントローラ14は、高周波電源13にオン指令を出力するとともにバッテリ25を充電するための電力を出力するように高周波電源13を制御する。車両側コントローラ27は電源側コントローラ14から充電開始信号を受信した旨が通知されると、充電ECU26に充電開始指令を出し、これにより、充電ECU26から充電器24にオン指令が出力される。
【0031】
高周波電源13から出力された出力電力は、コイル12、送電側コイル11を介して受電側コイル21に伝送される。そして、地上側設備10において、受電側コイル21からコイル22を介して整流器23に送られて整流器23にて整流され、さらに、充電器24にて昇圧等された後にバッテリ25に送られる。これにより、バッテリ電圧Vbが上昇していく。そして、バッテリ電圧Vbが予め設定した閾値に達すると(図3のt2のタイミング)、充電ECU26は、充電が完了したとして車両側コントローラ27に充電完了信号を出力するとともに充電器24に充電オフ指令を出力する。これにより、充電器24がオフする。詳しくは、図2の接点SWを開路して充電器24の出力を抵抗Rに接続する。
【0032】
車両側コントローラ27は充電完了信号を入力すると、無線通信により電源側コントローラ14に充電が完了した旨を通知する。すると、電源側コントローラ14は、充電時の出力電力よりも低い出力電力(低電力)を出力するように高周波電源13を制御し、該低電力を出力した際の反射電力の値をメモリに記憶する。
【0033】
図3のt2以降においては、電源側コントローラ14は、充電時の出力電力よりも低い一定の出力電力(低電力)を高周波電源13を制御するが、この充電完了後の低い一定電力の伝送は侵入者を検出するためのものである。
【0034】
図3は正常時におけるタイムチャートであるが、図4,5は駐車時において盗難のために車室内に侵入者が入った異常時におけるタイムチャートである。特に、図4は充電中において車室内に侵入者が入った場合であり、図5は充電完了後において車室内に侵入者が入った場合である。
【0035】
図4〜図8を用いて侵入者の検出のための動作を説明する。
電源側コントローラ14は図6のステップ100で充電開始信号あるいはロック信号を受信したか否か判定する。電源側コントローラ14はステップ100でロック信号を受信すると(ドアロック操作がされることにより車両のドアを施錠すると)、ステップ101で充電するための電力出力中か否か判定し、充電するための電力出力中でないとステップ102に移行する。電源側コントローラ14は、ステップ102においてロック信号を受信してから所定時間の間に充電開始信号を受信したか否か判定する。電源側コントローラ14はステップ102でロック信号を受信してから所定時間の間に充電開始信号を受信すると、ステップ103に移行する。
【0036】
電源側コントローラ14はステップ103で充電するための電力を出力するように高周波電源13を制御する。さらに、電源側コントローラ14は、ステップ104において、現在高周波電源13から検出される反射電力から充電時における異常検知の基準となる設定値(例えば、現在の反射電力の1.5倍の値)を算出し、図示しないメモリに記憶する。なお、図3では、現在の高周波電源13から検出される反射電力の値をP2aで示す。
【0037】
そして、電源側コントローラ14はステップ105で反射電力P2のデータを監視してステップ106でその時々の反射電力P2がステップ104で記憶した設定値よりも高いか否か判定する。そして、電源側コントローラ14は反射電力が設定値よりも高くなると(図4のt10のタイミング)、図1(b)に示すように車に人が乗り込むことにより車高がそれまでのH1からH2に下がり受電側コイル21が下降したと判断して図6のステップ107に移行する。
【0038】
即ち、不審者が車に乗り込んだ可能性(車室内に侵入者が入り車高が下がった可能性)があると判定する。反射電力の増大について詳しく説明すると、車高H1においてインピーダンスのマッチングがとれているが、車高がH2に変わることによりインピーダンスのマッチングがとれなくなり、反射電力が増大する。
【0039】
電源側コントローラ14はステップ107で電子キー28によるドアロック解除操作が行なわれたか否か判定してドアロック解除(車両のドアの開錠)により車両の所有者等の正規の人が車両に乗ったのであれば異常検出動作の終了であると判定してステップ109に移行して監視を終了する。一方、電源側コントローラ14はステップ107でドアロック解除操作が行なわれないのに反射電力P2が設定値よりも高くなったのであればステップ108で車両側コントローラ27を介して警報装置29を作動させて音や光等による警報を行なわせる。
【0040】
このようにして、判定手段としての電源側コントローラ14は充電完了までの期間において送電側コイル11と受電側コイル21との距離に応じて変化する反射電力P2から車の異常の有無を判定して、異常であると警報する。
【0041】
また、電源側コントローラ14はステップ106においてその時々の反射電力P2が設定値よりも高くないと判断した場合、ステップ110に移行して充電完了信号を受信したか否か判定して充電完了信号を受信しないとステップ105に戻り、充電完了信号を入力すると図7のステップ111に移行する。
【0042】
電源側コントローラ14はステップ111において充電時の出力電力よりも低い出力電力を出力するように高周波電源13を制御する。電源側コントローラ14はステップ112において、現在高周波電源13から検出される反射電力から充電完了後における異常検知の基準となる設定値(例えば、現在の反射電力の2倍の値)を算出し、メモリに記憶する。なお、図5では、現在の高周波電源13から検出される反射電力の値をP2bで示す。
【0043】
そして、電源側コントローラ14は図7のステップ113で反射電力P2の値を監視してステップ114でその時々の反射電力P2がステップ112で記憶した設定値(例えば、現在の反射電力の2倍)よりも高いか否か判定する。電源側コントローラ14はステップ114でその時々の反射電力P2が設定値よりも高くなると(図5のt20のタイミング)、図1(b)に示すように車に人が乗り込むことにより車高が下がり受電側コイル21が下降したと判断して図6のステップ107に移行する。即ち、不審者が車に乗り込むことで車高が下がり車室内に侵入者が入った可能性があると判定する。
【0044】
電源側コントローラ14はステップ107で電子キー28によるドアロック解除操作が行なわれたか否か判定してドアロック解除(車両のドアの開錠)により車両の所有者等の正規の人が車両に乗ったのであれば異常検出動作の終了であると判定してステップ109に移行して監視を終了し、高周波電源13をオフする。一方、電源側コントローラ14はステップ107でドアロック解除操作が行なわれないのに反射電力P2が高くなったのであればステップ108で車両側コントローラ27を介して警報装置29を作動させて音や光等による警報を行なわせる。
【0045】
なお、電源側コントローラ14は図7のステップ114においてその時々の反射電力P2が設定値よりも高くない場合、ステップ113に戻る。
このようにして、判定手段としての電源側コントローラ14は充電完了後において送電側コイル11と受電側コイル21との距離に応じて変化する反射電力P2から車の異常の有無を判定して、異常であると警報する。
【0046】
次に、異常検出のみ行う場合について説明する。
電源側コントローラ14は図6のステップ100でロック信号を受信した後にステップ101で充電するための電力出力中でなくステップ102においてロック信号を受信してから所定時間の間に充電開始信号を受信しないと、図7のステップ111に移行する。そして、電源側コントローラ14はステップ111で低電力を出力させ、ステップ112で反射電力を記憶し、ステップ113で反射電力を監視し、ステップ114で反射電力値が設定値よりも高いか否か判定する。そして、電源側コントローラ14はステップ114で反射電力が設定値よりも高いと、図6のステップ107で電子キー28によるドアロック解除操作が行なわれたか否か判定してドアロック解除により車両の所有者等の正規の人が車両に乗ったのであればステップ109に移行して監視を終了し、高周波電源13をオフする。一方、電源側コントローラ14はステップ107でドアロック解除操作が行なわれないのに反射電力が設定値よりも高いのであればステップ108で車両側コントローラ27を介して警報装置29を作動させて音や光等による警報を行なわせる。
【0047】
次に、充電のみ行う場合を説明する。
電源側コントローラ14は図6のステップ100で充電開始信号を受信すると図8のステップ115に移行する。電源側コントローラ14はステップ115において、充電開始信号を受信してから所定時間の間にロック信号を受信したか否か判定してロック信号を受信しないとステップ116に移行して充電するための電力を出力するように高周波電源13を制御し、ステップ117で充電完了信号を受信したか否か判定して充電完了信号を受信するとステップ118で高周波電源13をオフする。電源側コントローラ14はステップ115でロック信号を受信すると、図6のステップ103に移行する。
【0048】
なお、ステップ117で反射電力を監視し、一定値以上の反射電力になるとステップ118で高周波電源13をオフするようにしてもよい。
次に、充電中にロック信号を入力した場合について説明する。
【0049】
電源側コントローラ14は図6のステップ100でロック信号を受信し、ステップ101で充電するための電力出力中であると、ステップ105に移行する。
そして、電源側コントローラ14はステップ105で反射電力を監視し、ステップ106で反射電力値が設定値よりも高いか否か判定して反射電力値が設定値よりも低いとステップ110で充電完了信号を受信したか否か判定し、充電完了信号を受信しないとステップ105に戻る。電源側コントローラ14はこの動作の繰り返しにより充電が完了してステップ110で充電完了信号を受信すると図7のステップ111に移行して低電力出力、ステップ112での反射電力の記憶、ステップ113での反射電力の監視、ステップ114での反射電力の変化の判定等を行う。
【0050】
一方、電源側コントローラ14は前述の充電中において図6のステップ106で反射電力が設定値よりも高いとステップ107でのドアロック解除操作が行なわれたか否かの判定、その判定に伴うステップ109での監視終了あるいはステップ107での警報を行なわせる。
【0051】
上記実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)高周波電源13においては、高周波電源13への送電側コイル11からの反射電力を検出する機能を有している。即ち、防犯装置の構成として、反射電力検出手段を備えている。そして、電源側コントローラ14は反射電力に基づいて車の異常の有無を判定する。詳しくは、電源側コントローラ14は、検出される反射電力と設定値とを比較して車の異常の有無を判定する。これにより車の異常を検出することができる。
【0052】
(2)受電側コイル21において受電した電力は充電に供されるので、充電システムにおいて車の異常を検出することができる。よって、非接触充電システムで利用している構成を利用して車の異常を検知できる。そのためコスト低減を図ることができる。
【0053】
(3)車高が低くなることに伴う異常の検出により作動する警報装置29を備えている。これにより車に不審者が乗り込んできた場合においてその異常(不審者の侵入)を知らせることができ、盗難等を防止することができる。
【0054】
(4)反射電力から車高の変化を検出して不審者を検出する本方式は、電波、音波、超音波等を用いた侵入センサを利用した場合に比べ車内に検知できないエリアをなくすことができる。また、小動物が乗った程度では車高が下がらないので小動物を不審者として誤検出する可能性を低くすることができる。
【0055】
実施形態は前記に限定されるものではなく、例えば、次のように具体化してもよい。
・上記実施形態では高周波電源13に反射電力検出機能を有する構成としたが、高周波電源13とは別に反射電力検出手段としての反射電力検出回路を設けて同回路にて高周波電源13の送電側コイル11からの反射電力を検出してもよい。
【0056】
・図6のステップ100でドアロック操作がされると異常検出動作の開始であると判定するとともにステップ107でドアロック解除操作により異常検出動作の終了であると判定した。これに代わり、異常検出の開始操作スイッチと終了操作スイッチを地上側設備10または図2の電子キー28に設け、この開始操作スイッチの操作により図6のステップ100で異常検出動作の開始であると判定するとともに終了操作スイッチの操作によりステップ107で異常検出動作の終了であると判定するようにしてもよい。この方式では、車両のドアを施錠せずに車から離れる場合に防犯装置の作動および作動解除をすることができる。
【0057】
・図3に示すように電源側コントローラ14は出力電力P1を一定値としたときにおける反射電力P2から車の異常の有無を判定したが、これに限るものではない。例えば、充電時のバッテリ電圧を一定とすべく供給する電力(出力電力P1)を可変値としたときにおける出力電力P1に対する反射電力P2の比P2/P1から車の異常の有無を判定してもよい。具体的には、図2の高周波電源13において送電側コイル11への出力電力を検出して、電源側コントローラ14において出力電力P1に対する反射電力P2の比P2/P1から車の異常の有無を判定する。
【0058】
・車の異常を検出した時(侵入者を検出した時)に警報装置29による警報に代わり、車両の外部機器への通知でもよい。具体的には、例えば、異常を携帯電話等に知らせてもよい。
【0059】
・受電側コイル21は自動車のフロントバンパーの内部に取り付けたが、受電側コイル21は自動車のどの場所に取り付けてもよい。
・送電側コイル11は軸線(螺旋の中心軸)が地上面に対して直交していなくてもよい。
【0060】
・送電側コイル11および受電側コイル21は螺旋状に巻回して構成したが、送電側コイル11および受電側コイル21は螺旋状でなくてもよい。
・ドアロック信号をトリガーにして異常検出を開始したが、電子キーの場合においては、キーが車の近くにあるか判断できるので、電子キーが認識できなくなったのをトリガーとして異常検出を開始してもよい。
【0061】
・充電完了時に充電器24のオフの際に充電器24の出力を抵抗Rに接続したが、単にオープンにしてもよい。
・上記実施形態では、車に不審者が乗り込んだことを検出する防犯装置に具体化し、ハイブリッド車等における車載バッテリを充電するための共鳴型非接触充電システムに適用したが、これに限ることなく、以下のように実施することができる。
【0062】
充電機能を有するシステムに限ることなく充電機能がないシステム構成としてもよい。つまり、図2においてコイル22に対し充電用の整流器23ではなく単なる負荷を接続し、高周波電源13から弱い電力を送電側コイル11に送ると共に反射電力P2の変化を監視、即ち、高周波電源13から見た送電側コイル11の入力端でのインピーダンスの変化を監視することにより異常検出を行うようにしてもよい。
【0063】
また、上下方向における共鳴用一次コイルと共鳴用二次コイルとの間の距離(車高)の変化による反射電力の変化から異常を検知しているが、水平方向における共鳴用一次コイルと共鳴用二次コイルとの間の距離の変化による反射電力の変化から異常を検知するようにしてもよい。この場合、設定値を実施の形態の設定値よりも高く設定すればよい。
【0064】
・異常検出のみ行う場合(充電完了(図3のt2)以降の電力供給等)は、高周波電源13からの出力は間欠的に行ってもよい。
・図3に示したようにバッテリ電圧が閾値に達したときに充電完了としたが、所定の電圧に達した後の所定時間が経過した時に充電完了としてもよい。
【0065】
・上記実施形態では充電開始信号を受けた電源側コントローラ14からその旨を無線通信で車両側に伝送したが、車両側のみで充電開始信号を受けるようにしても、電源側(地上側)および車両側の双方において充電開始信号を受けるようにしてもよい。
【0066】
・警報装置29は車両側に設けたが、地上側に警報装置を設けてもよい。
・図1(b)に示すように車高H1でマッチングがとれていない状態でもその時の反射電力さえ記憶しておけば車高H2になったことを検知できるので、例えば、侵入により反射電力が小さくなったときに異常と判定してもよい。
【0067】
また、異常検出対象物は車であり車の異常を検出する防犯装置としたが異常検出対象物は車以外でもよい。例えば、異常検出対象物は金庫や携帯電話やPDA等、移動可能で電力供給されるものであればなんであってもよい。異常検出対象物が携帯電話の場合、携帯電話の載置スタンドに高周波電源と一次コイルを搭載すると共に、携帯電話に二次コイルと負荷を搭載する。そして、所定の位置にある当該携帯電話が持ち去られて反射電力が大きく変化すると異常であると判断する。異常時には載置スタンドで警報を鳴らす等、携帯電話の所有者に異常を知らせる。
【0068】
・送電側コイル11と受電側コイル21とコイル12、22とを有する非接触電力伝送システムとしたが、電磁誘導による非接触電力伝送システム、即ち、送電側コイル11と受電側コイル21がなく、コイル22がコイル12と磁気的に結合可能な位置に配置され、コイル12から電磁誘導により電力が供給されるような非接触電力伝送システムに適用してもよい。
【符号の説明】
【0069】
11…送電側コイル、13…高周波電源、14…電源側コントローラ、21…受電側コイル、29…警報装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高周波電源と、
前記高周波電源から高周波電力の供給を受ける一次コイルと、
異常検出対象物に設けられ、前記一次コイルと離間して非接触で配置され、前記一次コイルからの電力を受電する二次コイルと、
前記高周波電源への前記一次コイルからの反射電力を検出する反射電力検出手段と、
前記反射電力検出手段によって検出される前記反射電力に基づいて前記異常検出対象物の異常の有無を判定する判定手段と、
を備えたことを特徴とする防犯装置。
【請求項2】
前記判定手段は、前記反射電力検出手段によって検出される前記反射電力と設定値とを比較して前記異常検出対象物の異常の有無を判定することを特徴とする請求項1に記載の防犯装置。
【請求項3】
前記異常検出対象物は車であることを特徴とする請求項1または2に記載の防犯装置。
【請求項4】
前記異常検出対象物はバッテリを有しており、前記バッテリは前記二次コイルにおいて受電した電力で充電されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の防犯装置。
【請求項5】
車高が低くなることに伴う前記判定手段の異常の検出により作動する警報手段を、更に備えたことを特徴とする請求項3に記載の防犯装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−219007(P2011−219007A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−91639(P2010−91639)
【出願日】平成22年4月12日(2010.4.12)
【出願人】(000003218)株式会社豊田自動織機 (4,162)
【Fターム(参考)】