説明

防腐性のアルギン酸塩調製物

本発明は、創傷被覆材または包帯材料を製造するための、防腐調製物に関する。該防腐調製物は、少なくとも1種のアルギン酸塩と、ビグアニド誘導体、オクテニジンおよびタウロリジンを包含する群の中より選択される少なくとも1種の防腐活性物質とを含む。また、それらの使用のみならず、本発明の防腐調製物を製造するための方法も開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、創傷被覆材または包帯の製造に適した調製物であって、少なくとも1種のアルギン酸塩および少なくとも1種の防腐活性物質を含む、前記調製物に関する。
本発明はまた、防腐活性を有するアルギン酸塩調製物の製造のための方法、およびその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
アルギン酸の塩は、アルギン酸塩と呼ばれる。アルギン酸は、無色の、所々にL−グルロン酸の挿入を伴う1,4−グリコシド結合したD−マンヌロン酸単位のカルボキシル基含有多糖類であり、ポリウロン酸類に分類される。アルギン酸は、褐藻類の乾物の最大40重量%までの割合を占めることがある。アルギン酸のアルカリ塩は、アルギン酸のマグネシウム塩のみならず、アルギン酸のアンモニウム塩もまた水溶性である。とくに、アルギンとも呼ばれるアルギン酸ナトリウムは、食品、医薬品および化粧品業界において、増粘剤、乳化剤または乳化安定剤、およびゲル用基剤として極めて重要である。一方、アルギン酸カルシウムおよびアルギン酸亜鉛は、アルギン酸と同様に非水溶性である。非水溶性のアルギン酸カルシウムを、アルギン酸ナトリウムに加えることにより、後者の粘度を増加させることが可能となる。
【0003】
アルギン酸繊維(alginate fibres)およびアルギン酸繊維製創傷被覆材の製造のためのアルギン酸カルシウムの使用は、既に知られている。アルギン酸繊維は、ソーダ溶液を用いた藻類からのアルギン酸の抽出によって製造される。得られたアルギン酸ナトリウム溶液は、精製し、弱酸性のCaCl溶液を含む沈殿槽に押し入れる。
【0004】
EP 0586260 A1は、2〜11重量%のアルギン酸塩含量を有し、非水溶性または水膨潤性のアルギン酸繊維を可溶化塩(solubilising salt)の水溶液で処理することによって製造される、繊維質のペースト形態のアルギン酸塩ゲルを記載する。
【0005】
米国特許5,470,576は、アルギン酸塩を含む創傷被覆材の製造のための方法を開示し、この方法では、柔軟で吸収性の繊維に、アルギン酸ナトリウム水溶液中に繊維を浸漬することによりアルギン酸塩を含浸させ、次にアルギン酸カルシウムを沈殿させるために、これに塩化カルシウムが加えられる。これらの創傷被覆材は、創傷との接触において止血効果を有することを目的としている。
【0006】
EP 0783605 B1は、アルギン酸繊維を含み、アルギン酸塩および水溶性カルボキシメチルセルロースの混合紡糸(co−spinning)および凝固によって製造される、創傷被覆材を記載する。アルギン酸塩は架橋形態を有し、繊維が混合紡糸されるアルギン酸塩は少なくとも35重量%のG含量を有する。
【0007】
EP 1435247 A1は、アルギン酸繊維の織物、および創傷と接触しない、高吸収体を含む層を含む、多層構造の創傷被覆材に関する。
【0008】
天然アルギン酸繊維の創傷被覆材または包帯は、創傷滲出液に対する優れた吸収能力を有する。このため、このタイプの創傷被覆材はまた、感染した創傷の創傷管理のみならず、例えば、潰瘍、褥瘡性潰瘍および新鮮な分層皮膚採取創などの、高滲出性の創傷の創傷管理にも適している。その高い滲出液吸収性は、被覆材をより長い間隔で取り替えることを可能とする。
【0009】
アルギン酸繊維の創傷被覆材が、創傷滲出液または血液と接触してゲルを形成することは、大きな利点である。これは、創傷被覆材が創傷の外形に適合すること、さらにまた滲出液中に含まれる細菌をゲル中に結合することを可能とする。創傷は湿潤状態に継続して維持され、上皮は速やかに成長することができ、そして最適な微気候(microclimate)のおかげで、創傷の治癒が加速される。
【0010】
天然アルギン酸繊維の創傷被覆材または包帯の他の利点は、それらが、皮膚に張り付かないことである。その結果として、若い組織は、創傷被覆材または包帯が交換されるときに損傷を受けず、そして治癒プロセスが中断されない。
【0011】
しかしながら、病原体によって汚染または感染した創傷は、以下の理由によりさらに防腐性に処置されなければならない:
−創傷が侵されている間は、感染が進行すること、
−創傷が感染したままである間は、創傷の治癒プロセスが不完全のままであるか、または遅くにしか完治しないこと、
−創傷の感染が拡大して、敗血症に至る可能性があること、そして
−創傷に多剤耐性菌が定着している場合には、病原菌の拡大を防止しなければならないこと。
【0012】
火傷の場合も、創傷感染の早期予防が必要であり、より大きい創傷範囲の汚染が予測される場合はとくにそうである。
したがって、防腐性の創傷処置を可能とする創傷管理のための、創傷被覆材または包帯が必要とされている。
【0013】
しかしながら、局所治療剤、とくに防腐剤による急性創傷および慢性創傷の処置は、確立された防腐剤の多くが、それらのコスト−効果−リスク比の評価において受け入れられないと考えられているため、現在では、特別な適応症にのみ適切であるとされている。上記とは対照的に、広い活性スペクトラムおよび優れた耐容性を提供する現代の局所防腐剤は、例えば、オクテニジンおよびポリヘキサニド(=ポリヘキサメチレンビグアニド、PHMB)である。オクテニジンの短い期間の適用は、とくに微生物に汚染された急性創傷のケースで支持されている。一方、ポリヘキサニドは、その比較的遅い作用の発現のため、むしろ慢性的な、治癒の遅い創傷または感受性の創傷に推奨される。しかしながら、ポリヘキサニドの使用の不利な点は、この防腐剤が、少量の負の電荷を帯びたイオンの存在により、その効果が弱くなるという事実である。
【0014】
WO 02/36866 A1は、好ましくはアルギン酸塩で、またはアルギン酸塩と他の多糖類原料、例えば吸収促進性カルボキシメチルセルロースとの組み合わせで作られた、水吸収性を有する多糖類の繊維であって、繊維が抗微生物活性剤として銀化合物を含むものを開示する。WO 02/36866 A1はまた、これらの多糖類繊維で作られた創傷被覆材を記載する。
【0015】
WO 03/022317 A1は、ゲル形成繊維、例えばカルボキシメチルセルロースまたはアルギン酸繊維などに基づいた抗菌性の創傷被覆材を記載し、これには、カチオンのための利用可能な可逆性の結合部位の部分を介して、銀イオンが均一に結合している。
【0016】
創傷の処置における銀および銀化合物の使用は、一般的に使用される製剤の短期間の安定性、銀イオンの吸収の可能性、またはタンパク質の凝固による皮膚の表面的な破壊のために、大部分は時代遅れであると考えられている。
【発明の開示】
【0017】
したがって、本発明の目的は、優れた抗微生物活性を有し、湿潤創傷処置の原則を継続できる、創傷治癒に悪影響を及ぼさない、優れた耐容性の、創傷の防腐性の処置のための創傷被覆材または包帯を提供することであり、その結果、長年をかけて確立された製剤に関して存在する懸念事項が、これらの創傷被覆材には当てはまらない。
【0018】
驚くべきことに、この目的は、少なくとも1種のアルギン酸塩と、ビグアニド誘導体、オクテニジンおよびタウロリジンを含む群より選ばれる少なくとも1種の防腐活性物質とを含む調製物を用いて達成される。
【0019】
したがって、本発明の主題は、ビグアニド誘導体、オクテニジンおよびタウロリジンを含む群より選ばれる少なくとも1種の防腐剤を含む、アルギン酸繊維に基づいた調製物である。
【0020】
アルギン酸繊維は、好ましくはアルギン酸カルシウム繊維であるが、アルギン酸亜鉛繊維もまた好適である。アルギン酸繊維を含む調製物は、ルーズな繊維(loose fibre)の形態または繊維複合材料の形態、好ましくはルーズな繊維の複合材料、例えばカードスライバー、または織物(texile fabric)の形態、例えば不織布、ウェブ(web)、織布または編物として提供されてもよい。
【0021】
その最も単純な態様において、本発明の調製物は、非防腐活性材料としてアルギン酸塩のみを含む。しかしながら、本発明の調製物はまた、防腐性に含浸されたアルギン酸繊維と、創傷被覆材の製造のために適した追加的な材料との組み合わせでもよい。アルギン酸繊維との組み合わせに適した材料としては、例えば、合成繊維、およびいわゆる高吸収体、好ましくはポリアクリル酸塩のみならず、コラーゲンベースの材料、セルロースおよびセルロース誘導体、とくにカルボキシメチルセルロース、ペクチンなどが挙げられる。これらの材料はまた、アルギン酸繊維と共に所望の製品へさらに加工される前に、防腐活性剤を備えていてもよい。
【0022】
これらの態様において、アルギン酸繊維の比率は、調製物の非防腐活性成分の重量に対して、5〜95重量%であってもよい。量基準(quantity basis)で、アルギン酸繊維は、好ましくは調製物の非防腐活性成分の比率のより大きな割合を占める。これらの態様においては、アルギン酸繊維の比率は、50〜95重量%、好ましくは60〜90重量%、とくに好ましくは70〜80重量%である。その結果、追加的な非防腐活性材料の比率は、5〜50重量%、好ましくは10〜40重量%、とくに好ましくは20〜30重量%である。
【0023】
しかしながら、アルギン酸繊維および他の材料の組み合わせにおけるアルギン酸繊維の比率が、調製物の非防腐活性成分の重量に対して、50重量%または50重量%未満である態様もまた可能である。これらの態様において、アルギン酸繊維の比率は、調製物の非防腐活性成分の重量に対して、5〜50重量%、好ましくは10〜40重量%、とくに好ましくは20〜30重量%である。これらの態様において、追加的な非防腐活性材料の比率は、同様に調製物の非防腐活性成分の重量に対して、50〜95重量%、好ましくは60〜90重量%、とくに好ましくは70〜80重量%である。
【0024】
本発明の調製物はまた、アルギン酸塩溶液またはアルギン酸塩ゲルの形態で提供されてもよい。好ましくはアルギン酸塩ゲルは、ゲルが所望の粘度を有するように、アルギン酸ナトリウムおよびアルギン酸カルシウムの混合物である。
とくに好ましい態様において、本発明の調製物は、アルギン酸塩水溶液の凍結乾燥物(lyophilisate)として存在する。
【0025】
本発明の調製物は、ビグアニド誘導体、オクテニジンおよびタウロリジンを含む群からの、少なくとも1種の水溶性の防腐活性物質を含む。好適な防腐活性物質としては、例えば、クロルヘキシジンの塩、オクテニジンの塩、またはポリヘキサメチレンビグアニドの塩などが挙げられる。好適な塩の例は、クロルヘキシジン二塩酸塩、クロルヘキシジン二酢酸塩、クロルヘキシジンD−二グルコン酸塩、オクテニジン二塩酸塩、オクテニジン二サッカリン(octenidine disaccharin)であり、とくに好ましくは、ポリヘキサメチレンビグアニド塩酸塩である。
【0026】
防腐活性物質は、調製物中、アルギン酸塩調製物の乾燥重量に対して、好ましくは0.1〜40重量%の量、より好ましくは0.5〜10重量%の量で含まれる。
【0027】
本発明の調製物は、アルギン酸繊維に防腐剤を直接的に含浸させること、すなわち、所望の製品への加工に先行して、アルギン酸繊維に防腐剤を含浸させることによって製造されてもよい。しかしながら、最終製品、例えば創傷被覆材に、防腐剤を含浸させることもまた可能である。
【0028】
含浸のために、アルギン酸繊維、またはアルギン酸繊維および場合により含まれる追加的な材料で作られた、もしくはこれらを用いて作られた製品は、防腐剤含有溶液を吹き付ること、または防腐剤含有溶液中でアルギン酸繊維もしくは製品を浸漬もしくは回転させることによって処理をしてもよく、その結果、アルギン酸繊維または製品に防腐剤が染み込み、乾燥後に所望の量の防腐剤を有することになる。
【0029】
しかしながら、すでに沈殿槽中に防腐剤を供給すること、または湿式紡糸(wet-spun)されたアルギン酸繊維上に、その乾燥の直前に防腐剤を滴下または吹き付けすることにより、その製造の最中に、アルギン酸繊維に防腐剤を含浸させることもまた可能である。
【0030】
好ましくは水が、防腐剤のための溶媒として用いられるが、他の薬学的に許容し得る溶媒もまた好適である。緩衝溶液のほか、例えば、好適な溶媒の混合物のみならず、例えばエタノールもまた用いることができる。
【0031】
例1
アルギン酸カルシウム繊維のパッドの10×10cm(重量:1g)の小片(SFM Limited)をディッシュに置き、20mlの水性PHMB溶液 (Cosmocil QC、10mgPHMBアブソリュート;Arch Chemicals)で湿潤させた。パッドへの防腐剤の1%の負荷量(load)を得るために、パッドの小片を、ピペットを用いて、質量の10倍の0.1%PHMB溶液で、その表面全体にわたり均一に湿潤させ、デッシュ内で65℃にて20分間乾燥した。湿潤させた小片を、完全に乾燥するまで乾燥することにより、PHMBで含浸した。次にこれを包装して、続いてガンマ線への暴露により滅菌した。これらの試験の枠内で、調製および使用した他のPHMBの負荷量は、表1中に記載されている。
【0032】
PHMB含浸創傷被覆材の抗菌活性は、寒天拡散法により試験した。
この目的を達成するために、3つの臨床分離株(Staphylococcus aureus(ATCC 6538P)、Pseudomonas aeruginosa(ATCC 9027)およびCandida albicans(ATCC 10231))を、非選択液体培地中、24時間、30〜35℃で培養し、次に1%ペプトンを含む1%NaCl溶液を用いて、それぞれ1×10CFU/ml(コロニー形成単位)および3.8×10CFU/ml(C. albicans)まで希釈した。100μlの各希釈液を、それぞれCSAおよびSDAプレート上に播種した(CSA=大豆カゼインペプトン寒天、SDA=サブローデキストロース寒天)。寒天プレートを、3〜5分間乾燥した。
【0033】
含浸した創傷被覆材の試験プレート(直径34mm)を、無菌の鉗子を用いてそれぞれの寒天プレートへ移し、これを続いて400μlの0.5%NaCl溶液で覆った。阻害域の決定の前に、プレートを、30〜35℃で24時間および20〜25℃で48時間(Candida albicans)、それぞれインキュベートした。
【0034】
阻害域は、クリアな阻害輪の直径から、試験プレートの直径を差し引き、得られた値を2で除すことにより定量した。結果は、プレートの端と阻害輪の境界との間の距離に相当し、mmで表す。結果を表1に記載する。
【0035】
【表1】

【0036】
例2
アルギン酸カルシウム繊維の創傷被覆材の5×5cmの小片(Suprasorb A;Lohmann und Rauscher)を、0.1、0.5または1%のPHMBを含む、質量の10倍のPHMB溶液で湿潤させた。湿潤させた創傷被覆材を、−50℃で急速冷凍し、続いて凍結乾燥した。凍結乾燥後、含浸された創傷被覆材のPHMB負荷量は、それぞれ1、5および10重量%であった。
【0037】
PHMB含浸創傷被覆材の抗微生物活性は、例1に記載されたように、寒天拡散法により試験した。
アルギン酸カルシウム繊維のPHMB含浸創傷被覆材は、PHMB負荷量が低いものでさえ、グラム陰性S. aureusに対して際だった防腐活性を示した。小片周辺の阻害域は、創傷被覆材のPHMB負荷量の増加とともに増大した。
【0038】
P. aeruginosa(グラム陽性)の場合、防腐活性は、より高いPHMB負荷量においてのみ検出することができた。阻害域は、全ての濃度に対して小さかった。しかし、試験プレートの微生物汚染は、全てのPHMB負荷量において効果的に防止された。
試験プレートの周りの明確な阻害域はまた、C. albicansを用いた試験においても観察された。
【0039】
これらの結果は、アルギン酸カルシウムへのポリヘキサニドの負荷により、防腐活性を有する創傷被覆材を製造することが可能であることを示す。これは、陽イオン性のポリヘキサニドが用いられた場合、例えばアルギン酸塩、アクリル酸塩、乳酸塩またはヨウ化物イオンの形態などのごく微量の負電荷でさえ、その防腐活性を素速く不活性化するのに十分であるとする専門家による一般的な見解とは異なるものである。
【0040】
アルギン酸繊維またはアルギン酸繊維に基づいた製品へ負荷することにより、アルギン酸塩を用いることによって提供される価値ある利点なしに行うことを要することなく、防腐性の創傷処置が可能な創傷被覆材また包帯の製造が可能となる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
創傷被覆材の製造のための防腐調製物であって、少なくとも1種のアルギン酸塩と、少なくとも1種の防腐活性物質とを含み、該防腐活性物質が、ポリヘキサメチレンビグアニド、ポリヘキサメチレンビグアニドの塩、オクテニジン、オクテニジンの塩およびタウロリジンを含む群より選ばれる、前記調製物。
【請求項2】
アルギン酸塩が、水溶性のアルギン酸塩類の群より選ばれることを特徴とする、請求項1に記載の調製物。
【請求項3】
アルギン酸塩が、アルカリ性のアルギン酸塩類を含む群、好ましくはアルギン酸ナトリウム、アルギン酸マグネシウムおよびアルギン酸アンモニウムを含む群より選ばれることを特徴とする、請求項1または2に記載の調製物。
【請求項4】
アルギン酸塩が、非水溶性のアルギン酸塩類の群より選ばれることを特徴とする、請求項1に記載の調製物。
【請求項5】
アルギン酸塩が、アルギン酸カルシウムおよびアルギン酸亜鉛を含む群より選ばれることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の調製物。
【請求項6】
防腐活性物質が、水溶性であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の調製物。
【請求項7】
防腐活性物質の塩が、ポリヘキサメチレンビグアニド塩酸塩、オクテニジン二塩酸塩およびオクテニジン二サッカリンからなる群より選ばれることを特徴とする、請求項1に記載の調製物。
【請求項8】
防腐活性物質が、調製物中に、アルギン酸塩調製物の乾燥重量に対して、0.1〜40重量%、好ましくは0.5〜10重量%の量で含まれることを特徴とする、請求項1〜7のいずれかに記載の調製物。
【請求項9】
調製物が、防腐性に含浸されたアルギン酸繊維に追加して、コラーゲンベースの材料、ペクチン、セルロースおよびセルロース誘導体、とくにカルボキシメチルセルロース、合成繊維、および/または高吸収剤、好ましくはポリアクリル酸塩類からなる群より選ばれる材料を含むことを特徴とする、請求項1〜8のいずれかに記載の調製物。
【請求項10】
追加の材料の比率が、調製物の非防腐活性成分の重量に対して、5〜50重量%、好ましくは10〜40重量%、とくに好ましくは20〜30重量%であることを特徴とする、請求項9に記載の調製物。
【請求項11】
追加の材料の比率が、調製物の非防腐活性成分の重量に対して、50〜95重量%、好ましくは60〜90重量%、とくに好ましくは70〜80重量%であることを特徴とする、請求項9に記載の調製物。
【請求項12】
調製物が、繊維、好ましくはルーズな繊維、繊維複合材料、好ましくはルーズな繊維の複合材料、織物、好ましくは織布、編物、ウェブまたは不織布として、溶液、ゲルまたは凍結乾燥物の形で存在することを特徴とする、請求項1〜11のいずれかに記載の調製物。
【請求項13】
防腐性アルギン酸塩調製物の製造方法であって、
−アルギン酸繊維またはアルギン酸繊維から作られている製品を、防腐活性を有する溶液を用いて吹き付けもしくは浸漬すること、または前記溶液を前記繊維または製品に滴下すること、あるいは
−1種または2種以上の防腐活性物質を含んだ沈殿槽を用いて、アルギン酸繊維を得、次いで乾燥すること、あるいは
−少なくとも1種の防腐活性物質を、アルギン酸塩溶液に加えること、により
−アルギン酸繊維に、ポリヘキサメチレンビグアニド、ポリヘキサメチレンビグアニドの塩、オクテニジン、オクテニジンの塩およびタウロリジンを含む群より選ばれる、少なくとも1種の防腐活性物質を含浸させること、
を特徴とする、前記方法。
【請求項14】
防腐活性物質の塩が、ポリヘキサメチレンビグアニド塩酸塩、オクテニジン二塩酸塩およびオクテニジン二サッカリンからなる群より選ばれることを特徴とする、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
乾燥が、凍結乾燥によってなされることを特徴とする、請求項13または14に記載の方法。
【請求項16】
請求項1〜12のいずれかに記載の調製物の、創傷被覆材および包帯材料の製造のための使用。
【請求項17】
請求項1〜12のいずれかに記載の調製物を含む、またはこれをベースとする、防腐性創傷被覆材。

【公表番号】特表2009−523474(P2009−523474A)
【公表日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−549791(P2008−549791)
【出願日】平成18年12月22日(2006.12.22)
【国際出願番号】PCT/EP2006/012525
【国際公開番号】WO2007/087888
【国際公開日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【出願人】(507283986)ローマン ウント ラウシャー ゲーエムベーハー ウント ツェーオー.カーゲー (4)
【Fターム(参考)】