説明

防護服用の布

本発明は、防護服の単層または外層としての使用のための耐熱性、難燃性、および耐電気アーク性布(1)に関する。本発明の布(1)は、ポケット(4)を構築するように所定の場所で一緒に取り付けられている少なくとも2つの別個のシングルプライを含んでなる。本発明の布(1)は、アラミド繊維およびフィラメント、ポリベンゾイミダゾール繊維およびフィラメント、ポリアミドイミド繊維およびフィラメント、ポリ(パラフェニレンベンゾビスオキサゾール)繊維およびフィラメント、フェノール−ホルムアルデヒド繊維およびフィラメント、メラミン繊維およびフィラメント、天然繊維およびフィラメント、合成繊維およびフィラメント、人造繊維およびフィラメント、ガラス繊維およびフィラメント、炭素繊維およびフィラメント、金属繊維およびフィラメント、ならびにそれらの複合体よりなる群から独立して選択される材料でできている。その特有の構造のために、本発明による布(1)は、匹敵する機械的および熱的性質を有する公知の布のそれよりもかなり低い比重量を有することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防護服の単層または外層としての使用のための耐熱性、難燃性および耐電気アーク性布に関する。
【背景技術】
【0002】
熱、火炎および電気アークからの防護服は、衣服そのものの質量および厚さが普通は保護を与える主な要因であるので、通常非常に重い。例えば消防士のような、かかる衣服の着用者はそれ故自身の動きを制限され、かつ、熱応力を受け、その結果、総体的な着心地の良さは大きく低下する。最近20年間に、かかる防護服の着心地の良さを改善するために新たな材料を開発しょうとする試みが絶えず行われてきた。例えば、より軽いがより嵩張った断熱材料がこの目的のために開発されてきた。これらの材料は、最終防護服により多くの軽さを与えるが、それらは、それらの扱いにくい寸法のために着用者の呼吸活動に影響を与えるかもしれない。さらに、動きの自由度はこれらの材料を使用することによって必ずしも改善されない。
【0003】
熱、火炎および電気アークからの防護服は、通常1つもしくはそれ以上の層でできている。最終防護服を構成する、異なる材料のおよび層の数の選択は、衣服そのものの具体的な用途に依存する。
【0004】
新たな防護服をデザインする時に、関連する国および国際標準のすべてのクライテリアが満たされていることに注意しなければならない。例として、耐熱性および難燃性衣服は、NFPA1971:2000、NFPA2112:2001、およびNFPA70E:2000だけでなくEN−340、EN−531、EN−469に則って製造されなければならない。例えば、より軽い防護服は、より軽い材料を単に使用することによって製造することができるであろう。しかしながら、これは、防護服の機械的および熱的性質の低下と通常関係がある。
【0005】
特許文献1は、外殻と難燃性の閉じたセル・フォーム材料でできた組合せ断熱層および防湿層として機能する内部ライナーとを有する消防服を開示している。閉じたセル・フォーム・ライナーは耐湿性であり、断熱性を提供する。この先行技術文書に開示された衣服は、良好な難燃性を提供するが、それは、それぞれかなりの厚さを有する幾つかの布層よりなるので、その重量は高められている。
【0006】
特許文献2は、外層、中間層および内層を有する消防服を開示している。スペーサーエレメントが衣服の層の2つの間に置かれ、こうして中間空気ギャップを確立し、維持する。この先行技術文書に開示された発明は、衣服の耐熱性を改善することを目的としているが、その重量およびそれに関連した上に述べられた問題すべてに関心を持っていない。
【0007】
特許文献3は、難燃性を改善するために膨潤剤で処理されているアラミド繊維を開示している。かかるアラミド繊維は、繊維そのものの高められた比重量のために、重く、堅く、それ故、適切な着心地の良さを提供しない衣服の製造に使用される。
【0008】
EPC第54(3)条および第54(4)条に従ってヨーロッパで優先権を持つことができるであろう特許文献4は、防護服、特に消防士用の防護服で内部ライナー(断熱層)として使用することができる多層材料を開示している。特許文献4は、かかる多層材料の防護服の外層または単層としての使用については全く述べていない。
【0009】
本発明の根底にある課題は、それ故、防護服の単層または外層として使用された場合に、着心地の良さを増やすことができ、かつ、着用者によって生み出された蒸気および熱の散逸を改善することができる耐熱性、難燃性および耐電気アーク性布を提供することである。
【0010】
【特許文献1】米国特許第5,701,606号明細書
【特許文献2】米国特許第4,897,886号明細書
【特許文献3】米国特許第4,814,222号明細書
【特許文献4】国際公開第03/039280号パンフレット
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0011】
今、上述の問題は、それぞれたて糸およびよこ糸システムを有する少なくとも2つの別個のシングルプライを含んでなり、該少なくとも2つの別個のシングルプライがポケットを構築するように所定の場所で一緒に取り付けられ、該少なくとも2つの別個のシングルプライのたて糸およびよこ糸システムがアラミド繊維およびフィラメント、ポリベンゾイミダゾール繊維およびフィラメント、ポリアミドイミド繊維およびフィラメント、ポリ(パラフェニレンベンゾビスオキサゾール)繊維およびフィラメント、フェノール−ホルムアルデヒド繊維およびフィラメント、メラミン繊維およびフィラメント、天然繊維およびフィラメント、合成繊維およびフィラメント、人造繊維およびフィラメント、ガラス繊維およびフィラメント、炭素繊維およびフィラメント、金属繊維およびフィラメント、ならびにそれらの複合体よりなる群から独立して選択される材料をベースにしている、防護服の単層または外層としての使用のための耐熱性、難燃性、および耐電気アーク性布によって克服され得ることが驚くべきことに見いだされた。
【0012】
その特有の構造のために、本発明による布は、匹敵する機械的および熱的性質を有する公知の布のそれよりもかなり低い比重量を有することができる。
【0013】
本発明の別の態様は、単層または外層として上記の布を含んでなる熱、火炎および電気アークからの防護用衣服である。
【0014】
本発明による衣服は、着用者の着心地の良さを普通の状況中および危機的状況中の両方で著しく改善する。それは類似の機械的および熱的性質を有する従来の衣服よりも軽くて薄く、それは着用者表面から環境へのより高い熱および蒸気散逸を可能にする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
図1および3について言及される。
【0016】
通常条件下では、すなわち、布(1)の両側面上で温度が室温Tに等しい場合には、布(1)のプライ(2、3)は、布(1)のポケット(4)が実質的に平らな構造を有するように互いに隣接している。
【0017】
熱暴露の場合には、高温T(300℃以下もしくはそれ以上)に曝される布(1)のプライ(2)は収縮し、その結果、布ポケットは膨潤し、環境から着用者をさらに隔離する空気充満チャンバーを部分的に形成するであろう。空気断熱システムは、それ故、危機的状況中に必要とされる時に自動的に活性化され、こうしてその比重量を増やすことなしに布の熱性能を改善する。
【0018】
本発明の布の製造に好適なアラミド繊維およびフィラメントは、布そのものの具体的な用途に従って様々な物理的および化学的性質を有することができる。典型的には、アラミド繊維およびフィラメントは、ポリ−m−フェニレンイソフタルアミド(メタ−アラミド)、ポリ−p−フェニレンテレフタルアミド(パラ−アラミド)およびそれらの混合物よりなる群から選択することができる。商業的に入手可能なメタ−アラミドおよびパラ−アラミド繊維およびフィラメントは、例えば、イー・アイ・デュポン・ドゥ・ヌムール・アンド・カンパニー(E.I.du Pont de Nemours and Company)、米国デラウェア州ウィルミントン(Wilmington,Delaware,U.S.A.)から、それぞれ、商品名ノメックス(NOMEX)(登録商標)およびケブラー(KEVLAR)(登録商標)で入手可能である。
【0019】
本発明に従って使用することができる天然繊維およびフィラメントは、例えば、羊毛、綿および絹である。人造繊維およびフィラメントはビスコースおよびキトサンの中から選択することができるが、合成繊維およびフィラメントは典型的にはポリエステル、ポリアミドおよびポリプロピレンであり得る。かかる天然、人造および合成繊維およびフィラメントの1つもしくはそれ以上の複合体もまた本発明の布の製造に使用することができる。
【0020】
異なる材料の選択は、本発明による布の具体的な用途に依存する。
【0021】
典型的には、本発明の布(1)の各シングルプライ(2、3)は、アラミド、ポリベンゾイミダゾール、ポリアミドイミド、ポリ(パラフェニレンベンゾビスオキサゾール)、フェノール−ホルムアルデヒドおよびメラミンのような良好な熱的性質を有する材料の大量の繊維およびフィラメントを含むであろう。しかしながら、ある種の具体的な用途向けには、上述の天然、人造および合成材料のような材料で実質的に製造された1つもしくはそれ以上のプライを有することが適切である。例えば、溶融金属からの保護のためには、熱い金属と直接接触するであろう布プライは、その上に熱い金属粒子が粘着するのを防止する滑面を生み出すために大量(100重量%以下)の羊毛およびビスコースを有利に含むことができる。
【0022】
本発明の好ましい実施形態によれば、少なくとも2つの別個のシングルプライのたて糸およびよこ糸システムは、互いに独立して、モノフィラメント糸、マルチフィラメント糸、紡績糸およびコアスパン糸をベースにする。「コアスパン糸」とは、本発明では、繊維カバーで覆われたモノまたはマルチフィラメント・コアを意味する。有利にも、少なくとも2つの別個のシングルプライ(2、3)のたて糸およびよこ糸システムは、互いに独立して、単糸、撚糸およびハイブリッド糸である。「ハイブリッド糸」とは、本発明では、フィラメント糸、紡績糸、コアスパン糸およびそれらの複合体でできた撚糸またはカバードヤーンを意味する。
【0023】
本発明のさらに好ましい実施形態では、少なくとも2つのシングルプライ(2、3)のたて糸およびよこ糸システムは、互いに独立して、アラミド繊維、アラミドモノフィラメント、アラミドマルチフィラメントまたはアラミドとポリベンゾイミダゾールとの複合繊維を含んでなる単糸および撚糸を含んでなる。
【0024】
有利にも、本発明の布のたて糸システムは、互いに独立して、アラミドモノフィラメントまたはアラミドマルチフィラメントを含んでなる単糸および撚糸を含んでなり、よこ糸システムは、互いに独立しておよび交互の順に、アラミドモノフィラメントの単糸もしくは撚糸またはアラミドマルチフィラメントの単糸もしくは撚糸を含んでなる。さらにより有利には、本発明の布のよこ糸システムは、互いに独立しておよび交互の順に、少なくとも2つの異なるアラミドマルチフィラメント単糸もしくは撚糸を含んでなる。
【0025】
多くの用途向けには、本発明による布は、例えば、織る、編む、縫うまたは接着することによって、一緒に取り付けることができる2つの別個のシングルプライよりなる。
【0026】
本発明の布は、ポリ−m−フェニレンイソフタルアミド、ポリ−p−フェニレンテレフタルアミドおよびそれらの混合物よりなる群から選択されるアラミド繊維を典型的には含んでなる。本発明による布の機械的性質をさらに増強するために、および具体的な用途がそれを必要とする場合には、着用者に面するプライ(衣服の内部プライ)は専らポリ−p−フェニレンテレフタルアミド製であろう。
【0027】
下に説明されるように、具体的な用途に従って、2プライは同じ材料製であり得るか、あるいはまた、各プライは異なる寸法熱収縮を有する材料製であり得る。「寸法熱収縮」とは、熱源への暴露時の繊維糸または布の横方向および縦方向の収縮を意味する。
【0028】
電気アークの場合におけるような、熱源への暴露の時間が約3秒以下である用途向けには、布の2プライは同じ材料製であり得る。これらの状況では、高温Tに曝される布の側面(図3b)は比較的速く収縮し、その結果、空気充満ポケットが急速に形成されるであろう。短い暴露のために、温度TがTまで高まるための時間がなく、その結果、収縮は着用者に面する布側面でほとんどまたはまったく観察されないであろう。断熱ポケットはそれ故暴露の全期間中それらの容積を維持するであろう。
【0029】
3秒以下の暴露に対する布の断熱効果をさらに増強するために、各別個のシングルプライ(2、3)は、異なる寸法熱収縮を有する材料製であり得るし、熱源に曝される布のプライはより高い寸法熱収縮を有する。このように、2布プライ間の収縮の差は熱暴露中にさらにより大きく、その結果、さらにより嵩張った空気ポケットが形成されるであろう。
【0030】
図2および4は、熱源への暴露の時間が3秒よりも長い用途向けに好ましい実施形態を描く。かかる状況では、例えば、火災の場合には、本発明の布は、それぞれ異なる寸法熱収縮を有する材料でできている2つの別個のシングルプライ(2、3)で好ましくはできており、2つの別個のシングルプライはそれらが所定の場所で互いに交差するようなやり方で一緒に織られ、その結果、2つの隣接するポケットの同じ側面(図2および4a、S1またはS2)がチェス・デザインに従って2つの異なる別個のシングルプライ(2、3)で交互にできている。熱暴露の第1フェーズ(約3秒以下、T<T、図4b)では、熱源に曝される布の側面(S1)は比較的速く収縮し、その結果、空気充満ポケットが急速に形成されるであろう。プライ(2、3)の寸法熱収縮の差のために、および布のチェス・デザインのために、隣接する空気充満ポケットは2つの異なる容積V1、V2(V1>V2、図4b)を交互に有するであろう。暴露の第2フェーズ(3秒〜8秒以上まで、T=T、図4c)では、側面(S2)もまた収縮し始めるであろう。布のチェス・デザインのために、および2プライ(2、3)の寸法熱収縮の差のために、容積V3(V3<V1、V2)を有する空気充満ポケットが図4cに描かれるシフト構造に従って布の両側面上に形成されるであろう。かかる空気充満構造は時間の残りの間維持され、その結果、空気断熱システムは全熱暴露の間ずっと利用可能であろう。
【0031】
有利にも、本発明による布の2つの別個のシングルプライは、好ましくは正方形である閉じた隣接するポケットを構築するように所定の場所で一緒に取り付けられる。例えば、管状ポケット構造と比較した場合、正方形ポケット構造は、たて糸およびよこ糸方向の両方に優れた強度および引裂抵抗を提供し、また優れた耐摩耗性をも提供する。さらに、かかる構造は、より効率的な方法で局所熱入力に応答することができる比較的小さいポケットのために、より大きな断熱効果を提供する。正方形ポケット構造は、最適柔軟性を本発明の布に与え、それは優れた視覚的美学を提供する。かかる布構造はまた、正方形ポケットの機能性が衣服そのものにおけるそれらの配向によって影響を受けないので、衣服を形成するのがより容易である。
【0032】
ポケットの最適サイズは、具体的な用途におよび使用される材料に依存する。一般的に言えば、ポケットのサイズが大きければ大きいほど、熱暴露中に構築される空気充満ポケットの容積は大きくなり、それ故、断熱効果は良くなる。しかしながら、これは、材料の収縮が空気充満断熱ギャップの構築をもはやもたらさない、および布が熱暴露にもかかわらず平らなままであるある限度までは真実である。この理由のために、ポケットの各サイズは典型的には5〜50mm、好ましくは8〜32mmである。
【0033】
本発明による布の比重量は好ましくは100g/m〜900g/m、さらにより好ましくは170g/m〜320g/mである。
【0034】
本発明のさらに別の好ましい実施形態によれば、布(1)は、布の少なくとも2つの別個のシングルプライ(2、3)の間に置かれているよこ糸を含む。該よこ糸は、上述のもののような良好な熱的性質を有する材料のものであることができ、それらは布(1)の厚さを増やすことを狙っており、こうして熱および火炎のような危機的条件の間ずっとさらなる断熱容積を生み出す。
【0035】
本発明の第2の態様は、上に記載された布の少なくとも1つの層でできた構造を含んでなる熱、火炎および電気アークからの防護用衣服である。
【0036】
本発明の好ましい実施形態によれば、衣服は、内層、場合により通気性防水材料でできた中間層、および本発明の上記の布でできた外層を含んでなる構造を含んでなる。
【0037】
別の好ましい実施形態によれば、防護服を製造するために使用される本発明の布は、2つの別個のシングルプライ(2、3)でできており、前者は衣服の構造で内側に、後者は外側に置かれ、内側に置かれた別個のシングルプライの寸法熱収縮は外側に置かれた別個のシングルプライのそれと同じ(例えば、両プライについて同じ材料)かまたはそれよりも低い。この実施形態は、衣服着用者が、例えば電気アークの場合のように、3秒以下の時間熱源に曝される用途に特に好適である。
【0038】
3秒よりも長い熱源への暴露用には、図2に示されるような、チェス・デザインを有する布が上述の理由のためにより適切であり得る。
【0039】
好ましくは、布は、ポリ−p−フェニレンテレフタルアミドを含んでなる2つの別個のシングルプライ、外側に置かれたプライと少なくとも同じ量のポリ−p−フェニレンテレフタルアミドを含んでなる内側に置かれたプライでできている。幾つかの用途向けには、高められた機械的性質を衣服に与えるために、内側に置かれたプライは専らポリ−p−フェニレンテレフタルアミドでできている。
【0040】
着用者の身体に面する内層は、例えば、2、3もしくはそれ以上のプライの布でできた断熱ライニングであり得る。かかるライニングの目的は、着用者を熱からさらに保護する追加の断熱層を有することにある。
【0041】
内層は織布、編布または不織布製であることができる。好ましくは、内層は、メタ−アラミドのフリースまたは織布のような、非溶融性の難燃性材料を含んでなる布でできている。
【0042】
本発明による衣服は任意の可能な方法で製造することができる。それは、例えば、着心地の良さをさらに改善する綿または他の材料でできた追加の、最も内側の層を含むことができる。最も内側の層は着用者の皮膚または着用者の下着に直接に面する。
【0043】
本発明による衣服は、ジャケット、コート、ズボン、手袋、続き服およびラップスを含むが、それらに限定されない任意の種類のものであることができる。
【実施例】
【0044】
本発明は、次の実施例でさらに説明される。
【0045】
実施例1
5cmの切断長さを有するおよび
93重量%の着色ポリ−メタフェニレンイソフタルアミド(メタ−アラミド)、1.4デシテックス・ステープルファイバーと、
5重量%のポリ−パラフェニレンテレフタルアミド(パラ−アラミド)繊維と、
2重量%のカーボン芯ポリアミド鞘帯電防止繊維と
よりなる、商品名ノメックス(登録商標)N307で、イー・アイ・デュポン・ドゥ・ヌムール・アンド・カンパニー、ウィルミントン、米国デラウェア州から商業的に入手可能な繊維のブレンドを、通常の綿ステープル加工装置を用いて2タイプの単スフ糸(Y1およびY2)へリング精紡した。
【0046】
Y1はNm60/1または167デシテックスの線密度およびZ方向に850回転毎メートル(TPM)の撚りを有し、次にそれをスチームで処理してしわが寄るその傾向を安定化させた。Y1をよこ糸として使用した。
【0047】
Y2はNm70/1または143デシテックスの線密度およびZ方向に920TPMの撚りを有した。次にY2をスチームで処理してしわが寄るその傾向を安定化させた。次に2つのY2糸を諸撚りし、一緒に撚った。生じた諸撚りおよび撚り糸(TY2)はNm70/2または286デシテックスの線密度およびS方向に650TPMの撚りを有した。TY2をたて糸として使用した。
【0048】
Y1およびTY2を、サイズ8mmの閉じた正方形ポケットを有する2プライ織布へ織った。布を図5に描いた構造に従って織った。織布は42本/cm(たて糸)(各プライにつき21本/cm)、48本/cm(よこ糸)(各プライにつき24本/cm)および200g/mの比重量を有した。次の物理試験を、こうして得た布に関して実施した。
ISO5081に従った破壊強度(breaking strength)および伸びの測定、
ISO4674に従った引裂抵抗の測定、
ISO5077に従った洗濯および乾燥後の寸法変化の測定、
TPP方法(NFPA1971:2000、セクション6−10、ISO17492)に従った、2.0カロリー(cal)/cm/秒に較正された熱流束の単層としての組合せ輻射および対流加熱試験(TPP格付けは個人の皮膚上での第2級火傷をシミュレートするために測定されるエネルギー(cal/cm)である)、
ASTM F1959/F1959M−99に従った電気アーク試験。
【0049】
布を、単層として(表1の布)ならびに1)85重量%ノメックス(登録商標)および15重量%ケブラー(登録商標)でできた、135g/mの比重量を有する不織布上のPTFE膜積層品の中間層(ダブリュ.エル.ゴア・アンド・アソシエーツ社、米国デラウェア州(company W.L.Gore and Associates,Delaware,U.S.A.)から商品名ゴア−テックス(GORE−TEX)(登録商標)ファイアブロッカー(Fireblocker)Nで商業的に入手可能な)と、2)110g/mの比重量を有する100重量%ノメックス(登録商標)N307布にキルティングされた140g/mの比重量を有するメタ−アラミド熱障壁の内層とをさらに含んでなる多層構造の外殻として(表1の衣服)の両方で試験した。
【0050】
結果を表1に示す。布ポケットは、組合せ輻射および対流加熱試験ならびに電気アーク試験を受けている間に膨潤した。
【0051】
【表1】

【0052】
表1は、次の通り定義される布破損係数(Fabric Failure Factor)(FFF)に関して特に、布の優れた性能を示す。
FFF=TPP(cal/cm)/布比重量(g/m
【0053】
単層として試験された布は7.3×10cal/gのFFF値を有したが、同じ比重量および同じ材料の、しかし標準綾織構造に従って織られた類似の布は6.6×10cal/g未満のFFF値を有した。この値は、市場で入手可能な、類似の重量を有する、類似の材料でできた通常の単層布が決してパスすることができなかったある種の技術障壁であると当業者によって考えられている。
【0054】
多層構造の外殻として試験された布は7.1×10cal/gのFFF値を有したが、匹敵する通常の多層構造体は5.2×10〜6.7×10cal/gの範囲のFFF値を有した。
【0055】
ASTM F1959に従った電気アーク試験は、約9.5cal/cmのATPV値および約12cal/cmのTシャツ一面で測定された推定こじ開けエネルギー(EBT)をもたらした。
【0056】
同じ重量および同じ材料の、しかし標準2/1綾織構造に従って織られた類似の布は、4.2cal/cm〜5.2cal/cmの範囲の著しくより低いATPV値および10cal/cm〜15cal/cmの範囲のTシャツ一面で測定された類似のEBTを有する。9.5cal/cmのATPV値を達成するためには、標準2/1綾織構造に従って織られた布の比重量は少なくとも365g/mでなければならない。
【0057】
この試験は、本発明の布がその比較的低い比重量にもかかわらず電気アークからの良好な保護を与えることを裏づける。
【0058】
実施例2
異なるサイズの方眼ポケット付き2プライ織布を実施例1に従って製造した。
【0059】
第1プライについては、Y1をよこ糸として、TY2をたて糸として使用した。
【0060】
第2プライについては、よこ糸およびたて糸を次の通り製造した。
5cmの切断長さを有する、および
75重量%着色ポリ−メタフェニレンイソフタルアミド(メタ−アラミド)、1.7デシテックス・ステープルファイバーと、
23重量%ポリ−パラフェニレンテレフタルアミド(パラ−アラミド)繊維と、
2重量%カーボン芯ポリアミド鞘帯電防止繊維と
よりなる、商品名ノメックス(登録商標)N305で、イー・アイ・デュポン・ドゥ・ヌムール・アンド・カンパニー、ウィルミントン、米国デラウェア州から商業的に入手可能な繊維のブレンドを、通常の綿ステープル加工装置を用いて2タイプの単スフ糸(Y3およびY4)へリング精紡した。
【0061】
Y3はNm60/1または167デシテックスの線密度およびZ方向に930TPMの撚りを有し、次にそれをスチームで処理してしわが寄るその傾向を安定化させた。Y3をよこ糸として使用した。
【0062】
Y4はNm70/1または143デシテックスの線密度およびZ方向に1005TPMの撚りを有し、次にそれをスチームで処理してしわが寄るその傾向を安定化させた。
【0063】
次に2つのY4糸を諸撚りし、一緒に撚った。生じた諸撚糸(TY4)はNm70/2または286デシテックスの線密度およびS方向に700TPMの撚りを有した。TY4をたて糸として使用した。
【0064】
それぞれ、8×8、16×16および32×32mmの閉じた正方形ポケットを有する3つの織布を製造した。3つの布は42本/cm(たて糸)(各プライにつき21本/cm)、48本/cm(よこ糸)(各プライにつき24本/cm)および200g/mの比重量を有した。ASTM F1959に従った電気アーク試験を除いては実施例1と同じ物理試験を3つの布に関して実施した。
【0065】
布を、単層として(表2の布)および実施例1でのような多層構造の外殻として(表2の衣服)の両方で試験した。
【0066】
結果を表2に示す。布のポケットは、組合せ輻射および対流加熱試験を受けている間に膨潤した。
【0067】
【表2】

【0068】
表2は、6.7×10〜7.2×10cal/gであったFFF値に関して特に、布の優れた性能を示す。同じ比重量および同じ材料の、しかし標準2/1綾織構造に従って織られた類似の布は6.6×10cal/gのFFF値を有した。
【0069】
多層構造の外殻として試験された布は7.0×10〜7.3×10cal/gのFFF値を有したが、匹敵する通常の多層構造体は5.2×10〜6.7×10cal/gの範囲のFFF値を有した。
【0070】
表2はまた、ポケットのサイズが大きければ大きいほど、TPP試験に関して布の性能が良好になることを示す。
【0071】
実施例3
異なるサイズの方眼ポケット付き2プライ織布を実施例2と同じ材料を使用して製造した。2プライを、2つの隣接するポケットの同じ側面が交互に2つの異なる別個のシングルプライでできている、図2に示すようなチェス・デザインを得るようにそれらを交互に入れ替えることによって一緒に織った。布を図6に描かれる構造に従って織った。
【0072】
それぞれ、8×8、16×16および32×32mmの閉じた正方形ポケットを有する3つの織布を製造した。3つの布は42本/cm(たて糸)(各プライにつき21本/cm)、48本/cm(よこ糸)(各プライにつき24本/cm)および200g/mの比重量を有した。ASTM F1959に従った電気アーク試験を除いては実施例1と同じ物理試験を3つの布に関して実施した。
【0073】
布を、単層として(表3の布)および実施例1でのような多層構造の外殻として(表3の衣服)の両方で試験した。
【0074】
結果を表3に示す。布のポケットは、組合せ輻射および対流加熱試験を受けている間に膨潤した。
【0075】
【表3】

【0076】
表3は布の優れた性能を示す。チェス・デザインは一般に、熱および火炎へのより長い暴露の場合に改善された熱的および機械的性質を布に与える。
【0077】
実施例2と同様に、表3はまた、ポケットのサイズが大きければ大きいほど、TPP試験に関して布の性能が良好になることを示す。
【0078】
実施例4
方眼ポケット付き2プライ織布を実施例1に従って製造した。
【0079】
第1プライについては、Y1をよこ糸として、TY2をたて糸として使用した。
【0080】
第2プライについては、よこ糸およびたて糸を次の通り製造した。100%ケブラー(登録商標)引き伸ばし切断(stretch broken)繊維を、通常の梳毛糸ステープル加工装置を用いて2タイプの単スフ糸(Y5およびY6)へリング精紡した。
【0081】
Y5はNm60/1または167デシテックスの線密度およびZ方向に575TPMの撚りを有し、次にそれをスチームで処理してしわが寄るその傾向を安定化させた。Y5をよこ糸として使用した。
【0082】
Y6はNm70/1または143デシテックスの線密度およびZ方向に620TPMの撚りを有し、次にそれをスチームで処理してしわが寄るその傾向を安定化させた。
【0083】
次に2つのY6糸を諸撚りし、一緒に撚った。生じた諸撚糸(TY6)はNm70/2または286デシテックスの線密度およびS方向に600TPMの撚りを有した。TY6をたて糸として使用した。
【0084】
8×8mmの閉じた正方形ポケットを有する織布を製造した。この布は42本/cm(たて糸)(各プライにつき21本/cm)、48本/cm(よこ糸)(各プライにつき24本/cm)および200g/mの比重量を有した。ASTM F1959に従った電気アーク試験を除いては実施例1と同じ物理試験をこの布に関して実施した。
【0085】
布を、単層として(表4aの布)および実施例1でのような多層構造の外殻として(表4aの衣服)の両方で試験した。
【0086】
結果を表4aに示す。布のポケットは、組合せ輻射および対流加熱試験を受けている間に膨潤した。
【0087】
【表4】

【0088】
表4aは、8.0×10cal/gで最高FFF値の多層構造での外殻として特に布の優れた性能を示す。破壊強度および引裂抵抗に関して布の物理性能もまた優れている。同じ成分および比重量の、しかし標準単層構造に従って織られた布は、この性能のおおよそ半分を示すであろう。
【0089】
布を、TATE(熱暴露後引張(Tensile After Thermal Exposure))法に従って単層として試験した。
【0090】
TATE法は、2.0cal/cm/秒に較正された熱流束で2秒および4秒のTPP暴露後に標準ISO5081に従った破壊強度および伸びの測定(ストリップ(Strip)法)に準拠している。
【0091】
試験条件は、
試験機 2000Nのロードセルで一定速度の綾振り(CRT)
ゲージ長さ 200±1mm
試料幅 50±0.5mm
綾振りの速度 100mm/分
であった。
【0092】
結果を表4bにまとめる。
【0093】
【表5】

【0094】
消防士出動コートの外殻としてヨーロッパで現在使用されている通常の布は、1.8Ng−1cm〜3.3Ng−1cmの範囲の4秒後重量標準化TATE値(布比重量で割ったTATE値)を有するが、本実施例の布は約4.5Ng−1cmの値を有する。これは、この布が消防士用の防護服の外殻として特に好適であることを明確に示す。
【0095】
実施例5
方眼ポケット付き2プライ織布を実施例1に従って製造した。
【0096】
第1プライについては、よこ糸およびたて糸を次の通り製造した。50%ケブラー(登録商標)と50%ノメックス(登録商標)長ステープルファイバーとを、通常の梳毛糸ステープル加工装置を用いて2タイプの単スフ糸(Y7およびY8)へリング精紡した。
【0097】
Y7はNm60/1または167デシテックスの線密度およびZ方向に575TPMの撚りを有し、次にそれをスチームで処理してしわが寄るその傾向を安定化させた。Y7をよこ糸として使用した。
【0098】
Y8はNm70/1または143デシテックスの線密度およびZ方向に620TPMの撚りを有し、次にそれをスチームで処理してしわが寄るその傾向を安定化させた。
【0099】
次に2つのY8糸を諸撚りし、一緒に撚った。生じた諸撚糸(TY8)はNm70/2または286デシテックスの線密度およびS方向に600TPMの撚りを有した。TY8をたて糸として使用した。
【0100】
第2プライについては、Y5をよこ糸として、TY6をたて糸として使用した。
【0101】
8×8mmの閉じた正方形ポケットを有する織布を製造した。この布は42本/cm(たて糸)(各プライにつき21本/cm)、48本/cm(よこ糸)(各プライにつき24本/cm)および200g/mの比重量を有した。実施例1と同じ物理試験をこの布に関して実施した。布を、単層として(表5aの布)および実施例1でのような多層構造の外殻として(表5aの衣服)の両方で試験した。
【0102】
結果を表5aに示す。布のポケットは、組合せ輻射および対流加熱試験ならびに電気アーク試験を受けている間に膨潤した。
【0103】
【表6】

【0104】
表5aは、7.3×10cal/gのFFFの多層構造での外殻として特に布の優れた熱性能を示す。破壊強度および引裂抵抗のような布物理的性質もまた優れている。
【0105】
ASTM F1959に従った電気アーク試験は、約22cal/cmのTシャツ一面で測定されたEBTをもたらし、こうしてこの布が電気アークからの保護に優れていることを裏づけた。
【0106】
同じ比重量および同じ材料の、しかし標準2/1綾織構造に従って織られた類似の布は、10cal/cm〜15cal/cmの範囲の著しくより低いEBTを有する。
【0107】
布を、実施例4に記載したようなTATE法に従って単層として試験した。
【0108】
結果を表5bにまとめる。
【0109】
【表7】

【0110】
消防士出動コートの外殻としてヨーロッパで現在使用されている通常の布は、1.8Ng−1cm〜3.3Ng−1cmの範囲の4秒後重量標準化TATE値(布比重量で割ったTATE値)を有するが、本実施例の布は約4.5Ng−1cmの値を有する。これは、この布が消防士用の防護服の外殻として特に好適であることを明確に示す。
【0111】
実施例6
方眼ポケット付き2プライ織布を実施例1に従って製造した。
【0112】
220デシテックスのノメックス(登録商標)T430フィラメント糸(Y9)を、第1プライ用のよこ糸およびたて糸として使用した。
【0113】
第2プライのよこ糸およびたて糸を次の通り製造した。
【0114】
5cmの切断長さを有する、および
93重量%の半結晶化ベージュ色ポリ−メタフェニレンイソフタルアミド(メタ−アラミド)、1.4デシテックス・ステープルファイバーと、
5重量%のポリ−パラフェニレンテレフタルアミド(パラ−アラミド)繊維と、
2重量%のカーボン芯ポリアミド鞘帯電防止繊維と
よりなる、商品名ノメックス(登録商標)E502で、イー・アイ・デュポン・ドゥ・ヌムール・アンド・カンパニー、ウィルミントン、米国デラウェア州から商業的に入手可能な繊維のブレンドを、通常の綿ステープル加工装置を用いて2タイプの単スフ糸(Y10およびY11)へリング精紡した。
【0115】
Y10はNm60/1または167デシテックスの線密度およびZ方向に850回転毎メートル(TPM)の撚りを有し、次にそれをスチームで処理してしわが寄るその傾向を安定化させた。Y10をよこ糸として使用した。
【0116】
Y11はNm70/1または143デシテックスの線密度およびZ方向に920TPMの撚りを有した。次にY11をスチームで処理してしわが寄るその傾向を安定化させた。次に2つのY11糸を諸撚りし、一緒に撚った。生じた諸撚りおよび撚り糸(TY11)はNm70/2または286デシテックスの線密度およびS方向に650TPMの撚りを有した。TY11をたて糸として使用した。
【0117】
Y10およびTY11を、サイズ32mmの閉じた正方形ポケットを有する2プライ織布へ織った。織布は42本/cm(たて糸)(各プライにつき21本/cm)、48本/cm(よこ糸)(各プライにつき24本/cm)および210g/mの比重量を有した。ASTM F1959に従った電気アーク試験を除いては実施例1と同じ物理試験を布に関して実施した。
【0118】
結果を表6に示す。布ポケットは、組合せ輻射および対流加熱試験を受けている間に膨潤した。
【0119】
【表8】

【0120】
表6は、単層としておよび多層構造での外殻としての両方で、布の優れた熱性能を示す。破壊強度および引裂抵抗のような布の物理的性質もまた優れている。この布は、その視覚的美学(絹のような外観)およびその優れた保護対明度比のためにレーシングスーツの製造に特に好適である。
【0121】
同じ性能は、400g/mよりも大きい総比重量を有する通常の単層布で今や達成される。
【図面の簡単な説明】
【0122】
【図1】本発明による好ましい実施形態の平面図である。
【図2】本発明による別の好ましい実施形態の平面図である。
【図3a】熱暴露を受ける前の図1の布の断面図である。この断面図は図1のラインB−Bに沿って取られている。
【図3b】熱暴露(T>T)を受けた後の図1の布の断面図である。この断面図は図1のラインB−Bに沿って取られている。
【図4a】熱暴露を受ける前の図2の布の断面図である。この断面図は図2のラインB−Bに沿って取られている。
【図4b】3秒以下の時間熱暴露(T>T)を受けた後の図2の布の断面図である。この断面図は図2のラインB−Bに沿って取られている。
【図4c】3秒よりも長い時間熱暴露(T〜T)を受けた後の図2の布の断面図である。この断面図は図2のラインB−Bに沿って取られている。
【図5】実施例1、2、4、5および6の布の織構造の略図である。
【図6】実施例3の布の織構造の略図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれたて糸およびよこ糸システムを含んでなる少なくとも2つの別個のシングルプライ(2、3)を含んでなり、該少なくとも2つの別個のシングルプライ(2、3)が側面(S1)および側面(S2)を有するポケットを構築するように所定の場所で一緒に取り付けられ、該少なくとも2つの別個のシングルプライ(2、3)のたて糸およびよこ糸システムがアラミド繊維およびフィラメント、ポリベンゾイミダゾール繊維およびフィラメント、ポリアミドイミド繊維およびフィラメント、ポリ(パラフェニレンベンゾビスオキサゾール)繊維およびフィラメント、フェノール−ホルムアルデヒド繊維およびフィラメント、メラミン繊維およびフィラメント、天然繊維およびフィラメント、合成繊維およびフィラメント、人造繊維およびフィラメント、ガラス繊維およびフィラメント、炭素繊維およびフィラメント、金属繊維およびフィラメント、ならびにそれらの複合体よりなる群から独立して選択される材料をベースにしていることを特徴とする、防護服に単層または外層としての使用のための耐熱性、難燃性、および耐電気アーク性布(1)。
【請求項2】
前記少なくとも2つの別個のシングルプライ(2、3)のたて糸およびよこ糸システムが、互いに独立して、モノフィラメント糸、マルチフィラメント糸、紡績糸およびコアスパン糸をベースにしている請求項1に記載の布(1)。
【請求項3】
前記少なくとも2つの別個のシングルプライ(2、3)のたて糸およびよこ糸システムが、互いに独立して、単糸、撚糸およびハイブリッド糸である請求項1または2に記載の布(1)。
【請求項4】
前記少なくとも2つのシングルプライ(2、3)のたて糸およびよこ糸システムが、互いに独立して、アラミド繊維、アラミドモノフィラメント、アラミドマルチフィラメントまたはアラミドとポリベンゾイミダゾールとの複合繊維を含んでなる単糸および撚糸を含んでなる請求項3に記載の布(1)。
【請求項5】
前記少なくとも2つのシングルプライ(2、3)のたて糸システムが、互いに独立して、アラミドモノフィラメントまたはアラミドマルチフィラメントを含んでなる単糸および撚糸を含んでなり、かつ、よこ糸システムが、互いに独立しておよび交互の順に、アラミドモノフィラメントの単糸もしくは撚糸またはアラミドマルチフィラメントの単糸もしくは撚糸を含んでなる請求項3または4に記載の布(1)。
【請求項6】
前記少なくとも2つのシングルプライ(2、3)のよこ糸システムが、互いに独立しておよび交互の順に、アラミドフィラメントの少なくとも2つの異なる単糸および撚糸を含んでなる請求項5に記載の布(1)。
【請求項7】
2つの別個のシングルプライ(2、3)よりなる請求項1〜6のいずれか1項に記載の布(1)。
【請求項8】
前記2つの別個のシングルプライ(2、3)が、ポリ−m−フェニレンイソフタルアミド、ポリ−p−フェニレンテレフタルアミドおよびそれらの混合物よりなる群から選択されるアラミド繊維を含んでなる請求項7に記載の布(1)。
【請求項9】
前記2つのシングルプライの1つが専らポリ−p−フェニレンテレフタルアミドでできている請求項8に記載の布(1)。
【請求項10】
前記2つの別個のシングルプライ(2、3)が同じ材料でできている請求項7〜9のいずれか1項に記載の布(1)。
【請求項11】
それぞれ別個のシングルプライ(2、3)が異なる寸法熱収縮を有する材料でできている請求項7〜9のいずれか1項に記載の布(1)。
【請求項12】
2つの隣接するポケットの同じ側面(S1またはS2)が2つの異なる別個のシングルプライ(2、3)で交互にできているように、前記2つの別個のシングルプライ(2、3)が、それらが所定の場所で互いに交差するような方法で一緒に織られている請求項7〜11のいずれか1項に記載の布(1)。
【請求項13】
前記2つの別個のシングルプライ(2、3)が閉じた隣接するポケットを構築するように所定の場所で一緒に取り付けられる請求項7〜12のいずれか1項に記載の布(1)。
【請求項14】
前記閉じた隣接するポケットが正方形である請求項13に記載の布(1)。
【請求項15】
前記ポケットの各側面が5〜50mmである請求項1〜14のいずれか1項に記載の布(1)。
【請求項16】
前記ポケットの各側面が8〜32mmである請求項15に記載の布(1)。
【請求項17】
100〜900g/mの比重量を有する請求項1〜16のいずれか1項に記載の布(1)。
【請求項18】
170〜320g/mの比重量を有する請求項17に記載の布(1)。
【請求項19】
よこ糸が前記少なくとも2つの別個のシングルプライ(2、3)の間に置かれる請求項1〜18のいずれか1項に記載の布(1)。
【請求項20】
請求項1〜19のいずれか1項に記載の布(1)の少なくとも1層でできた構造を含んでなる熱、火炎および電気アークからの防護用衣服。
【請求項21】
内層、場合により通気性防水材料でできた中間層、および請求項1〜19のいずれか1項に記載の布でできた外層を含んでなる請求項20に記載の衣服。
【請求項22】
前記布(1)が2つの別個のシングルプライ(2、3)でできており、前者が衣服の構造において内側に、そして後者が外側に置かれ、該内側に置かれた別個のシングルプライの寸法熱収縮が該外側に置かれた別個のシングルプライのそれよりも小さい請求項20または21に記載の衣服。
【請求項23】
前記2つの別個のシングルプライがポリ−p−フェニレンテレフタルアミドを含んでなり、前記内側に置かれたプライが前記外側に置かれたプライと少なくとも同じ量のポリ−p−フェニレンテレフタルアミドを含んでなる請求項22に記載の衣服。
【請求項24】
前記内側に置かれたプライが専らポリ−p−フェニレンテレフタルアミドでできている請求項23に記載の衣服。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれたて糸およびよこ糸システムを含んでなる少なくとも2つの別個のシングルプライ(2、3)を含んでなり、該少なくとも2つの別個のシングルプライ(2、3)が側面(S1)および側面(S2)を有する閉じた隣接するポケットを構築するように所定の場所で一緒に取り付けられ、該少なくとも2つの別個のシングルプライ(2、3)のたて糸およびよこ糸システムがアラミド繊維およびフィラメント、ポリベンゾイミダゾール繊維およびフィラメント、ポリアミドイミド繊維およびフィラメント、ポリ(パラフェニレンベンゾビスオキサゾール)繊維およびフィラメント、フェノール−ホルムアルデヒド繊維およびフィラメント、メラミン繊維およびフィラメント、天然繊維およびフィラメント、合成繊維およびフィラメント、人造繊維およびフィラメント、ガラス繊維およびフィラメント、炭素繊維およびフィラメント、金属繊維およびフィラメント、ならびにそれらの複合体よりなる群から独立して選択される材料をベースにしていることを特徴とする、防護服に単層または外層としての使用のための耐熱性、難燃性、および耐電気アーク性布(1)。
【請求項2】
前記少なくとも2つの別個のシングルプライ(2、3)のたて糸およびよこ糸システムが、互いに独立して、モノフィラメント糸、マルチフィラメント糸、紡績糸およびコアスパン糸をベースにしている請求項1に記載の布(1)。
【請求項3】
前記少なくとも2つの別個のシングルプライ(2、3)のたて糸およびよこ糸システムが、互いに独立して、単糸、撚糸およびハイブリッド糸である請求項1または2に記載の布(1)。
【請求項4】
前記少なくとも2つのシングルプライ(2、3)のたて糸およびよこ糸システムが、互いに独立して、アラミド繊維、アラミドモノフィラメント、アラミドマルチフィラメントまたはアラミドとポリベンゾイミダゾールとの複合繊維を含んでなる単糸および撚糸を含んでなる請求項3に記載の布(1)。
【請求項5】
前記少なくとも2つのシングルプライ(2、3)のたて糸システムが、互いに独立して、アラミドモノフィラメントまたはアラミドマルチフィラメントを含んでなる単糸および撚糸を含んでなり、かつ、よこ糸システムが、互いに独立しておよび交互の順に、アラミドモノフィラメントの単糸もしくは撚糸またはアラミドマルチフィラメントの単糸もしくは撚糸を含んでなる請求項3または4に記載の布(1)。
【請求項6】
前記少なくとも2つのシングルプライ(2、3)のよこ糸システムが、互いに独立しておよび交互の順に、アラミドフィラメントの少なくとも2つの異なる単糸および撚糸を含んでなる請求項5に記載の布(1)。
【請求項7】
2つの別個のシングルプライ(2、3)よりなる請求項1〜6のいずれか1項に記載の布(1)。
【請求項8】
前記2つの別個のシングルプライ(2、3)が、ポリ−m−フェニレンイソフタルアミド、ポリ−p−フェニレンテレフタルアミドおよびそれらの混合物よりなる群から選択されるアラミド繊維を含んでなる請求項7に記載の布(1)。
【請求項9】
前記2つのシングルプライの1つが専らポリ−p−フェニレンテレフタルアミドでできている請求項8に記載の布(1)。
【請求項10】
前記2つの別個のシングルプライ(2、3)が同じ材料でできている請求項7〜9のいずれか1項に記載の布(1)。
【請求項11】
それぞれ別個のシングルプライ(2、3)が異なる寸法熱収縮を有する材料でできている請求項7〜9のいずれか1項に記載の布(1)。
【請求項12】
2つの隣接するポケットの同じ側面(S1またはS2)が2つの異なる別個のシングルプライ(2、3)で交互にできているように、前記2つの別個のシングルプライ(2、3)が、それらが所定の場所で互いに交差するような方法で一緒に織られている請求項7〜11のいずれか1項に記載の布(1)。
【請求項13】
前記閉じた隣接するポケットが正方形である請求項1〜12のいずれか1項に記載の布(1)。
【請求項14】
前記ポケットの各側面が5〜50mmである請求項1〜13のいずれか1項に記載の布(1)。
【請求項15】
前記ポケットの各側面が8〜32mmである請求項14に記載の布(1)。
【請求項16】
100〜900g/mの比重量を有する請求項1〜15のいずれか1項に記載の布(1)。
【請求項17】
170〜320g/mの比重量を有する請求項16に記載の布(1)。
【請求項18】
よこ糸が前記少なくとも2つの別個のシングルプライ(2、3)の間に置かれる請求項1〜17のいずれか1項に記載の布(1)。
【請求項19】
請求項1〜18のいずれか1項に記載の布(1)の少なくとも1層でできた構造を含んでなる熱、火炎および電気アークからの防護用衣服。
【請求項20】
内層、場合により通気性防水材料でできた中間層、および請求項1〜18のいずれか1項に記載の布でできた外層を含んでなる請求項19に記載の衣服。
【請求項21】
前記布(1)が2つの別個のシングルプライ(2、3)でできており、前者が衣服の構造において内側に、そして後者が外側に置かれ、該内側に置かれた別個のシングルプライの寸法熱収縮が該外側に置かれた別個のシングルプライのそれよりも小さい請求項19または20に記載の衣服。
【請求項22】
前記2つの別個のシングルプライがポリ−p−フェニレンテレフタルアミドを含んでなり、前記内側に置かれたプライが前記外側に置かれたプライと少なくとも同じ量のポリ−p−フェニレンテレフタルアミドを含んでなる請求項21に記載の衣服。
【請求項23】
前記内側に置かれたプライが専らポリ−p−フェニレンテレフタルアミドでできている請求項22に記載の衣服。

【図1】
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【図2】
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【図3B】
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【図4B】
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【図4C】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2006−516306(P2006−516306A)
【公表日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−535743(P2004−535743)
【出願日】平成15年9月3日(2003.9.3)
【国際出願番号】PCT/IB2003/003701
【国際公開番号】WO2004/023909
【国際公開日】平成16年3月25日(2004.3.25)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】