説明

防霧機能を具えた複合半導体薄膜及びその作製方法

【課題】水の接触角を小さくする性質を具え、長期間有効な防霧機能と親水性を有する、防霧機能を具えた複合半導体薄膜とその作製方法を提供すること。
【解決手段】本発明の防霧機能を具えた複合半導体薄膜及びその作製方法は、複合半導体薄膜が少なくとも1つの緻密な半導体薄膜に多孔針状の半導体薄膜を結合して成り、前記複合半導体薄膜が水の接触角を小さくする性質を具え、かつ長期間有効な親水性と防霧機能を具えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は半導体薄膜に関し、特に、防霧機能を具えた複合半導体薄膜及びその作製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
防霧機能を具えた製品は、運輸や航空宇宙、家庭用等の製品上に用いることができる。例えば、自動車のバックミラー表面に一層の緻密な酸化チタンを塗布すると、空気中の水分または水蒸気を凝結させて、均一に広がる水膜を形成し、表面に光を散乱する霧が発生しないようにすることができる。降雨時は、雨水も迅速に拡散して均一な水膜となるため、視線の邪魔となる水滴ができず、走行時の安全性を高めることができる。
【0003】
現今、防霧機能を具えた製品は良好な親水性があり、この親水性が良好な防霧と自浄機能を形成する。防霧機能製品とする材質は、異なる酸化物群(TiO2/ZnO、SnO2/SrTiO3、SiO2/SnO2、SnO2/WO3、SnO2/Bi23、SnO2/Fe23)または金属群(Pt、Pd、Rh、Ru、Os、Ir)から選択して構成した複合構造とすることができる。
【0004】
しかしながら、ほとんどの防霧機能製品の材質は金属の酸化チタンと酸化ケイ素顆粒を添加または粘結方式で製造または組み立てられて成る。親水性は、酸化チタンまたは酸化ケイ素が紫外光の照射下で、酸化チタンまたは酸化ケイ素の価電子帯の電子が伝導帯まで励起され、電子が酸化チタンまたは酸化ケイ素の表面に向かって遷移し、表面で電子・正孔対を形成して、さらに金属イオンと酸素の空孔を生成し、このとき空気の水分子を解離して吸着し、化学吸着水を形成して、金属イオン空孔の周囲に高度な親水区域が形成されることに起因する。表面自浄機能性は、金属酸化チタンまたは酸化ケイ素が紫外光に励起されて発生する強い酸化能力と薄膜の超親水性によるもので、酸化チタン表面は親水性があるため、汚れが表面に付着しにくく、且つ酸化チタンは光触媒反応後、表面の有機物を二酸化炭素と水に分解でき、無機物は雨水で流されてきれいになる。
【0005】
早期の酸化チタンまたは酸化ケイ素の製作方式は、ゾル−ゲル法(Sol−Gel method)、化学気相蒸着法(Chemical Vapor Deposition、CVD)、液相析出法(Liquid Phase Deposition、LPD)等に分けることができる。そのうち、ゾル−ゲル法で作製して得た酸化チタンまたは酸化ケイ素は粉末やブロック、薄膜等、任意の形状とすることができ、且つサンプル純度が高く、均一性に優れている等の利点がある。
【0006】
このほか、酸化チタン系のゾル−ゲルは反応プロセスを行うとき、前駆体のアルキル基が大きければ大きいほど、加水分解反応及び拡散速度が遅くなり、産生される重合体がより小さくなることがわかる。そのうち、全体の密度が比較的高く、且つ孔隙が比較的小さい酸化チタンを得るためには、酸性触媒(例えばHCl、HNO3等)を添加して、より大きい比表面積の効果を達することができる。しかしながら、酸性触媒の添加は、加水分解反応に有利であるものの、縮合反応には不利であり、ゲルの発生時間を延長しても、短時間内に酸化チタンに薄膜を形成させることができない。
【0007】
米国特許第5320782号「Acicular or platy titanium suboxides and process for producing same(多孔性または平坦化二酸化チタン及びその製作方法)」を参照する。前記特許文献に開示された二酸化チタンは、多孔性構造を具えているが、均一な長さの針状の二酸化チタン粒子を得ることができず、比較的短い粒子の量がより長い粒子より多い混合物しか得られない。このため、後処理とスクリーニング操作を行って、必要なより長い粒子だけを獲得する必要がある。しかしながら、量産を考えると、スクリーニング操作で混合物中のより長い二酸化チタン粒子を分離することは容易でなく、コストがかかる。
【0008】
また、米国特許第5597515号「Conductive, powdered fluorine−doped titanium dioxide and method of preparation(導電、粉末形式のフッ素ドープ二酸化チタン及びその製作方法)」を参照する。前記特許文献に開示された二酸化チタンは、異なる比率のフッ素を添加することで、導電特性を得るものである。しかしながら、フッ素と二酸化チタン孔隙の関係、膜の強度と活性等がはっきりと開示されていない。そのうち、繊維性チタン酸金属塩の単一結晶中から金属成分を抽出し、微小なサイズのチタン金属粒子を得る方法を提示した学者もいる。しかしながら、この方法は繊維の形状が破壊されやすく、粒子強度が低下して、製法が複雑になりすぎてしまう。
【0009】
その他異なる研究において、異なる塗布回数や異なる熱処理温度、SnO2の異なる添加量とTiO2孔隙の関係、膜の強度と活性等、操作条件を変えることで、親水性、防霧性、自浄性の品質を改善することが試みられたが、最良の持続性と安定性を具えた高硬度の親水防霧膜を得ることはできないでいる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許公告第5320782号明細書
【特許文献2】米国特許公告第5597515号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上述に鑑みて、出願人は細心の試験と研究を諦めることなく続け、ついに防霧機能を具えた複合半導体薄膜及びその作製方法を開発したものであり、この方法によって比較的低温のプロセス条件下で、水の接触角が小さく、且つ防霧効果を延長できる複合半導体薄膜を形成することができる。本発明は米国特許公告第5320782号及び米国特許公告第5597515号を参考文献として引用する。
【0012】
本発明の主な目的は、緻密な半導体薄膜と多孔針状の半導体薄膜を結合することにより、水の接触角を小さくする性質を具え、長期間有効な防霧機能と親水性を有する、防霧機能を具えた複合半導体薄膜を提供することにある。
【0013】
本発明の別の目的は、比較的低温のプロセス条件下で、水の接触角を小さくし、且つ防霧効果を延長した複合半導体薄膜を形成する、防霧機能を具えた複合半導体薄膜の作製方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の防霧機能を具えた複合半導体薄膜は、第1半導体薄膜と、第2半導体薄膜を含む。そのうち、第1半導体薄膜は基材表面を被覆して設けられ、第1半導体薄膜が有機金属化合物と炭化水素化合物を化合し、かつ300℃から1000℃の間の第1温度で加熱して緻密構造を形成して成り、第2半導体薄膜が第1半導体薄膜の表面を被覆して設けられ、前記第2半導体薄膜が有機金属化合物、炭化水素化合物、有機添加物を化合し、かつ300℃から1000℃の間の第2温度で加熱して多孔針状構造を形成して成り、多孔針状構造の孔の大きさは1ナノメートルから25ナノメートルの間である。
【0015】
本発明の防霧機能を具えた複合半導体薄膜の作製方法は、有機金属化合物と炭化水素化合物を反応システム中に送り、化合させて第1ゾルを形成し、前記反応システムの温度が25℃から200℃の間である工程、基材を前記第1ゾル中で浸漬めっきして第1半導体薄膜を前記基材表面に形成する工程、300℃から1000℃の間の第1温度で前記第1半導体薄膜を加熱し、前記第1半導体薄膜に緻密構造を形成する工程、再度前記有機金属化合物、前記炭化水素化合物、有機添加物を前記反応システム中に送り、化合させて第2ゾルを形成する工程、前記第1半導体薄膜を前記第2ゾル中で浸漬めっきして第2半導体薄膜を前記第1半導体薄膜表面に形成する工程、そして、300℃から1000℃の間の第2温度で記第2半導体薄膜を加熱して前記第2半導体薄膜に多孔針状構造を形成し、前記多孔針状構造の孔の大きさが1ナノメートルから25ナノメートルの間である工程、を含む。
【0016】
本発明の上述とその他の目的、特徴、利点をより明らかにするため、以下いくつかの最良の実施例を挙げて、図面を組み合わせ、詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の防霧機能を具えた複合半導体薄膜の断面図である。
【図2】本発明の防霧機能を具えた複合半導体薄膜の作製方法の工程を示す図である。
【図3】本発明の防霧機能を具えた複合半導体薄膜の簡易フローチャートである。
【図4】本発明の第1半導体薄膜の電界放出を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明は異なる形式の実施例として表現することができるが、図面に示すもの及び下文で説明するものは、本発明の最良の実施例であり、本文で開示するものは本発明の一範例であって、本発明を図面及び/または説明される特定の実施例に限定することを意図していない。
【0019】
図1に示すように、本発明の防霧機能を具えた複合半導体薄膜100は、第1半導体薄膜120、基材110、第2半導体薄膜130を含む。第1半導体薄膜120は基材110の表面を被覆し、第1半導体薄膜120は有機金属化合物190と炭化水素化合物180を化合して成り、かつ第1温度で加熱して緻密構造が形成される。第2半導体薄膜130は第1半導体薄膜120の表面を被覆し、第2半導体薄膜130は有機金属化合物190、炭化水素化合物180、有機添加物170を化合して成り、かつ第2温度で加熱して多孔針状構造が形成され、且つ第2半導体薄膜130の多孔針状構造は、その孔の大きさが1ナノメートルから25ナノメートルの間である。そのうち、本発明の基材は、ガラス基材とセラミック基材のいずれかである。第1温度と第2温度は300℃から1000℃の間が好ましい。
【0020】
本発明の第1半導体薄膜120は、エネルギーを提供する可視光、太陽光または紫外光を使用してエネルギー吸収を行うことができ、表面の緻密構造を経由して吸収を行った後、エネルギーを貯蔵する第1半導体薄膜120に直接渡すことができる。第2半導体薄膜130は尖端からエネルギー吸収を行い、第1半導体薄膜120に直接渡すことができる。エネルギー供給が停止したら、すでにエネルギーを蓄えた第1半導体薄膜120がエネルギーを放出する第2半導体薄膜130にゆっくりとエネルギーの伝達を開始することができる。そのうち、エネルギー放出に用いる第2半導体薄膜130は、多孔針状構造とする。このとき、第2半導体薄膜130の尖端がエネルギー放出を開始し、水との接触角が小さくなり、均一な水膜を形成する。このため、本発明は光源照射後、水の接触角を小さくし、且つ効果を延長できる実行可能な新技術を提供するものであり、半導体特性のゾル材料を開発し、これにより水の接触角を小さくする性質を作り出して、長時間効果が持続する親水薄膜を達成する。そのうち、本発明の有機添加物170はポリアルコール類、炭化水素化合物及び高分子重合体のいずれかである。
【0021】
図2、図3の本発明の防霧機能を具えた複合半導体薄膜100の作製方法200及びその簡易フローチャート300に示すように、本発明の方法は、次の工程を含む。
工程210:化学合成の方式で有機金属化合物190と炭化水素化合物180を反応システム160中に送り、化合させて第1ゾル150を形成し、且つ反応システム160の温度は25℃から200℃の間である。
工程220:基材110を第1ゾル150中で浸漬めっきし、第1半導体薄膜120を基材110表面に形成する。
工程230:第1温度で第1半導体薄膜120を加熱して第1半導体薄膜120に緻密構造を形成させ、且つ第1温度は300℃から1000℃の間である。
工程240:再度化学合成の方式で有機金属化合物190、炭化水素化合物180、有機添加物170を反応システム160中に送り、化合させて第2ゾル140を形成する。
工程250:第1半導体薄膜120を第2ゾル140中で浸漬めっきし、第2半導体薄膜130を第1半導体薄膜120表面に形成する。
工程260:第2温度で第2半導体薄膜130を加熱して第2半導体薄膜130に多孔針状構造を形成させ、第2温度は300℃から1000℃の間であり、且つ第2半導体薄膜130の多孔針状構造はその孔の大きさが1ナノメートルから25ナノメートルの間である。
【0022】
好ましくは、工程230と工程260において、第1温度と第2温度の最良の温度は400℃から600℃の間とし、有機金属化合物190は、(OR)xM−O−M(OR)x、(R)y(OR)x-yM−O−M(OR)x-y(R)y、M(OR)x、M(OR)x-y(R)y、(OR)xM−O−M(OR)xから選択し、そのうち、Rはアルキル(alkyl)基 、アルケニル基(alkenyl)、アリール基(aryl)、ハロゲン化アルキル基(alkylhalide)、水素(hydrogen)とすることができ、Mはアルミニウム、鉄、チタニウム、ジルコニウム、ハフニウム、ケイ素、ロジウム、セシウム 、プラチナ、インジウム、錫、金、ゲルマニウム、銅またはタンタル等とすることができ、そのうち、x>y、且つxが1、2、3、4、5のいずれか、yが1、2、3、4、5のいずれかである。このほか、炭化水素化合物180は、アルコール類、ケトン類、エーテル類、フェノール類、アルデヒド類、エステル類、アミン類のいずれかである。ここで、有機金属化合物190は、Ti(OR)4、Si(OR)4、(NH4)2Ti(OR)2、CH3Si(OCH33、Sn(OR)4、In(OR)3のいずれかであり、炭化水素化合物180は、C25OH、C37OH、C49OH、CH3OC25、CH2Oのいずれかであり、そして有機添加物170はポリアルコール類、炭化水素化合物、高分子重合体のいずれかであることに注意が必要である。
【0023】
本発明の提示する二段階の異なる第1半導体薄膜120、第2半導体薄膜130、第1温度と第2温度の高温熱処理方式で、上述の2要素を効果的に満たすことができる。上述の説明から分かるように、本発明の貯蔵、吸収、放出を行う第1半導体薄膜120、第2半導体薄膜130、第1ゾル150、第2ゾル140の作製方法は、二段階のプロセスを使用することができ、まず有機金属化合物190と炭化水素化合物180をあらかじめ化学反応器に送って合成を行い、さらに温度、空気、水分、添加溶剤をロット制御する方式で、有機金属化合物190と炭化水素化合物180を半液半ゲル状の第1ゾル150に合成する。続いて、基材110を浸漬めっきで塗装し、高温熱処理の方式で第1半導体薄膜120を形成する。そして、再度有機金属化合物190、炭化水素化合物180、有機添加物170をまず化学反応器に送って合成を行い、再度温度、空気、水分、添加溶剤をロット制御する方式で、有機金属化合物190、炭化水素化合物180、有機添加物170を半液半ゲル状の第2ゾル140に合成する。続いて、基材110を浸漬めっきで塗装し、高温熱処理の方式で第2半導体薄膜130を第1半導体薄膜120表面に形成する。
【0024】
第1半導体薄膜120と第2半導体薄膜130が形成され、一方は平坦かつ緻密であり、エネルギーを貯蔵する薄膜、一方は多孔針状で、エネルギーを吸収・放出する薄膜に分かれており、これで得られる製品と類似の(例:親水性、防霧性、自浄性を持つ)製品を比較すると、利用している材質、構造形成が異なるほか、最大の効果は水との小さい接触角を長く維持することができる点であり、親水性、防霧性または自浄性により優れた関連の商品の機能性を達することができ、また第1ゾル150と第2ゾル140を使用して浸漬めっきを行う方式のプロセスはコストと製造上の汚染量を抑えることができる。
【0025】
このほか、高温熱処理プロセスで、第1半導体薄膜120と第2半導体薄膜130の磨耗性質を向上かつ改善し、硬度を高め、構造性を完全に保持させて、その他関連商品の生み出す環境と低品質の問題を改善することができる。そのうち、第1半導体薄膜120と第2半導体薄膜130の加熱プロセスはさらに、エネルギーを加える加熱によって薄膜表面の改質を行う工程を含むことができ、すなわち、第1半導体薄膜120と第2半導体薄膜130はさらに表面処理によって薄膜表面の改質を行い、反応に参与させることができる。そのうち、前記表面処理は、プラズマ表面改質またはレーザー表面改質のいずれかとする。このほか、本発明の基材110はケイ素、二酸化ケイ素、金属、ヒ化ガリウム、プリント配線板 (Printed circuit board)、サファイア、金属窒化物、金属、ガラス基材、セラミック基材のいずれかとする。異なる基材110が第1半導体薄膜120と第2半導体薄膜130に異なる被覆効果を生む。
【実施例1】
【0026】
第1半導体薄膜120と第2半導体薄膜130の親水性を高めるため、加熱温度が300℃のとき、異なるモル比のTEOSを添加し、紫外光ライトを利用して第1半導体薄膜120と第2半導体薄膜130に紫外光を5分間照射し、これにより親疎水性分析を行った。その結果を表1に示す。
【0027】
【表1】

【実施例2】
【0028】
本実施例と実施例1の違いは、400℃で第1半導体薄膜120と第2半導体薄膜130を加熱した点であり、同様に異なるモル比のTEOSを添加し、紫外光ライトを使用して第1半導体薄膜120と第2半導体薄膜130に紫外光を5分間照射し、これにより親疎水性分析を行った。その結果を表2に示す。
【0029】
【表2】

【0030】
本発明の防霧機能を具えた複合半導体薄膜及びその作製方法によると、緻密な半導体薄膜に多孔針状半導体薄膜を結合した配置により、水の接触角が小さくなる性質を生み出し、長期間有効な親水性薄膜を得ることができる。
【0031】
図4の本発明の第1半導体薄膜120の電界放出を示す図を参照する。このほか。水接触角の大きさの変化と持久性は、1つがエネルギーを貯蔵する第1半導体薄膜120が持つ緻密構造の平坦度と厚さ、もう1つがエネルギーを吸収・放出する第2半導体薄膜130が持つ多孔針状構造の緻密度と厚さ(マイクロメートルレベル)の2つの要因によって決まる。そのうち、本発明の第1半導体薄膜120と第2半導体薄膜130の最良の厚さは10ナノメートルから10マイクロメートルの間である。第1半導体薄膜120と第2半導体薄膜130の厚さが大きければ大きいほど、水接触角を小さくする機能を高く維持することができることに注意が必要である。
【0032】
上述をまとめると、本発明には次のような効果がある。
1. 低温条件下で、緻密な半導体薄膜に多孔針状の半導体薄膜を結合した配置によって、水の接触角を小さくする性質を得ることができる。
2. エネルギーを加える加熱によって薄膜の表面改質を行い、薄膜の機械強度を高める効果だけでなく、長期間有効な防霧性と親水性を具えた薄膜を形成することができる。
3. 緻密な半導体薄膜に多孔針状の半導体薄膜を結合した厚さが大きければ大きいほど、水接触角を小さくする機能を高く維持することができる。
【0033】
本発明は前述のように最良の実施例を開示したが、前述の説明は本発明を限定するために用いるものではなく、当業者であれば本発明の要旨と範囲を逸脱せずに、各種の変動と変更が可能である。上述の解釈のとおり、各種の修正や変化を加えても本発明の要旨を破壊することはない。したがって、本発明の保護範囲は後付の特許請求の範囲に準じる。
【符号の説明】
【0034】
100 防霧機能を具えた複合半導体薄膜
110 基材
120 第1半導体薄膜
130 第2半導体薄膜
140 第2ゾル
150 第1ゾル
160 反応システム
170 有機添加物
180 炭化水素化合物
190 有機金属化合物
200 防霧機能を具えた複合半導体薄膜の作製方法
300 防霧機能を具えた複合半導体薄膜の簡易フローチャート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
防霧機能を具えた複合半導体薄膜であって、基材表面を被覆する第1半導体薄膜と、前記第1半導体薄膜表面を被覆する第2半導体薄膜を含み、前記第1半導体薄膜が、有機金属化合物と炭化水素化合物を化合して成り、かつ300℃から1000℃の間の第1温度で加熱して緻密構造が形成され、前記第2半導体薄膜が、前記有機金属化合物、前記炭化水素化合物、有機添加物を化合して成り、かつ300℃から1000℃の間の第2温度で加熱して多孔針状構造が形成され、前記多孔針状構造の孔の大きさが1ナノメートルから25ナノメートルの間であることを特徴とする、複合半導体薄膜。
【請求項2】
請求項1に記載の複合半導体薄膜であって、そのうち、前記第1温度と前記第2温度が400℃から600℃の間であることを特徴とする、複合半導体薄膜。
【請求項3】
請求項1に記載の複合半導体薄膜であって、そのうち、前記有機金属化合物が、(OR)x M−O−M(OR)x、(R)y(OR)x-y M−O−M(OR)x-y(R)y、 M(OR)x、M(OR)x-y(R)y、(OR)x M−O−M(OR)xから選択され、そのうち、Rはアルキル(alkyl)基、アルケニル基(alkenyl)、アリール基(aryl)、ハロゲン化アルキル基(alkylhalide)、水素(hydrogen)とすることができ、Mはアルミニウム、鉄、チタニウム、ジルコニウム、ハフニウム、ケイ素、ロジウム、セシウム 、プラチナ、インジウム、錫、金、ゲルマニウム、銅、タンタル等とすることができ、x>y、且つxが1、2、3、4、5のいずれか、yが1、2、3、4、5のいずれかであることを特徴とする、複合半導体薄膜。
【請求項4】
請求項1に記載の複合半導体薄膜であって、そのうち、前記炭化水素化合物が、アルコール類、ケトン類、エーテル類、フェノール類、アルデヒド類、エステル類、アミン類のいずれかであることを特徴とする、複合半導体薄膜。
【請求項5】
請求項1に記載の複合半導体薄膜であって、そのうち、前記有機添加物が、ポリアルコール類、炭化水素化合物、高分子重合体のいずれかであることを特徴とする、複合半導体薄膜。
【請求項6】
請求項1に記載の複合半導体薄膜であって、そのうち、前記第1半導体薄膜と前記第2半導体薄膜がさらに表面処理によって薄膜の表面改質が行われることを特徴とする、複合半導体薄膜。
【請求項7】
防霧機能を具えた複合半導体薄膜の作製方法であって、
有機金属化合物と炭化水素化合物を反応システム中に送り、化合させて第1ゾルを形成し、前記反応システムの温度が25℃から200℃の間である工程と、
基材を前記第1ゾル中で浸漬めっきし、第1半導体薄膜を前記基材の表面に形成する工程と、
300℃から1000℃の間の第1温度で前記第1半導体薄膜を加熱し、前記第1半導体薄膜に緻密構造を形成する工程と、
再度前記有機金属化合物、前記炭化水素化合物、有機添加物を前記反応システム中に送り、化合させて第2ゾルを形成する工程と、
前記第1半導体薄膜を前記第2ゾル中に浸漬めっきし、第2半導体薄膜を前記第1半導体薄膜の表面に形成する工程と、
300℃から1000℃の間の第2温度で前記第2半導体薄膜を加熱し、前記第2半導体薄膜に多孔針状構造を形成し、前記多孔針状構造の孔の大きさが1ナノメートルから25ナノメートルの間である工程と、
を含むことを特徴とする、複合半導体薄膜の作製方法。
【請求項8】
請求項7に記載の作製方法であって、そのうち、前記第1温度と前記第2温度が400℃から600℃の間であることを特徴とする、複合半導体薄膜の作製方法。
【請求項9】
請求項7に記載の作製方法であって、そのうち、前記有機金属化合物が、(OR)x M−O−M(OR)x、(R)y(OR)x-y M−O−M(OR)x-y(R)y、M(OR)x、M(OR)x-y(R)y、(OR)xM−O−M(OR)xから選択され、そのうち、Rがアルキル(alkyl)基 、アルケニル基(alkenyl)、アリール基(aryl)、ハロゲン化アルキル基(alkylhalide)、水素(hydrogen)とすることができ、Mがアルミニウムまたは鉄、チタニウム、ジルコニウム、ハフニウム、ケイ素、ロジウム、セシウム 、プラチナ、インジウム、錫、金、ゲルマニウム、銅、タンタル等とすることができ、x>y、且つxが1、2、3、4、5のいずれか、yが1、2、3、4、5のいずれかであることを特徴とする、複合半導体薄膜の作製方法。
【請求項10】
請求項7に記載の作製方法であって、そのうち、300℃から1000℃の間の前記第1温度で前記第1半導体薄膜と前記第2半導体薄膜を加熱するとき、さらに表面処理で薄膜の表面改質を行う工程を含むことを特徴とする、複合半導体薄膜の作製方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−152537(P2011−152537A)
【公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−13872(P2011−13872)
【出願日】平成23年1月26日(2011.1.26)
【出願人】(503007047)南美特科技股▲ふん▼有限公司 (2)
【Fターム(参考)】