防音壁の改修方法
【課題】落とし込み式防音壁でありながら、撤去されるべき透光板のみを撤去して、簡素構造の透光板を容易に設置することができる防音壁の改修方法を提供する。
【解決手段】既設透光板１の直上に位置する既設吸音板２を、仮止め手段２０によって落下不能に仮止めする工程と、既設透光板１を撤去する工程と、支柱１２に吸音板支持金具３０を設置する工程と、仮止め手段２０を撤去する工程と、既設透光板１が撤去された後に下段枠４０を配置する工程と、新設透光板３の下縁を下段枠４０に装入する工程と、新設透光板３の上縁を上段枠５０に装入する工程と、上段枠５０を支柱１２の支柱フランジ１２ｆの外面に設置する工程と、新設透光板３の側縁を縦枠６０を用いて支柱フランジ１２ｆの外面に設置する工程と、を有す。
【解決手段】既設透光板１の直上に位置する既設吸音板２を、仮止め手段２０によって落下不能に仮止めする工程と、既設透光板１を撤去する工程と、支柱１２に吸音板支持金具３０を設置する工程と、仮止め手段２０を撤去する工程と、既設透光板１が撤去された後に下段枠４０を配置する工程と、新設透光板３の下縁を下段枠４０に装入する工程と、新設透光板３の上縁を上段枠５０に装入する工程と、上段枠５０を支柱１２の支柱フランジ１２ｆの外面に設置する工程と、新設透光板３の側縁を縦枠６０を用いて支柱フランジ１２ｆの外面に設置する工程と、を有す。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は防音壁の改修方法、特に、道路や橋梁の側縁部に設置されている防音壁の改修方法に関する。
【背景技術】
【０００２】
従来、道路や橋梁の側縁部に設置される防音壁（本発明において、遮音壁、吸音壁等をまとめて「防音壁」と称する）は、道路や橋梁の側縁部に所定の間隔を設けて立設された複数本の断面Ｈ型の支柱と、該支柱の間に上位下方向に積み重ねられた複数の既設吸音板と、該既設吸音板の直下に設置された既設透光板と、を具備している。
なお、既設吸音板は、通常、前表面に多くの孔が形成された金属製の躯体であって、前表面の孔から入った音が、躯体の中に存するグラスウール等の吸音材に吸音される構造になっている。また、既設透光板はポリカーボネイト等の透明樹脂製の板であって、遮音の機能を有している。
このとき、一対の断面Ｈ型の支柱のウエブは互いに向かい合っていて、既設吸音板の両側部は、一対の断面Ｈ型の支柱のウエブ面とフランジ内面とから形成される懐にそれぞれ保持されて下方向に落とし込まれている（以下、「落とし込み式防音壁」と称する場合がある）。
【０００３】
このため、防音壁を構成する既設吸音板、特に、最下段に配置された既設透光板を、破損や変形、あるいは透明度の悪化等の理由によって、取り替える必要が生じた場合、当該既設透光板の上方に配置されている既設吸音板を上から順番に抜き出して当該既設透光板を撤去し、撤去された位置に新規に設置される新設透光板を上から落とし込み、さらに、その上に、先に抜き出した既設吸音板を上から順番に落とし込む作業をすることになる。したがって、当該作業はその作業自体に長時間を要すという問題と共に、当該作業の準備時間および後片付け時間を含む長時間に渡る道路の交通規制を引き起こすという問題があった。
このため、当該既設透光板のみを撤去して、これに替えて長手方向に伸長可能な交換用壁板（新設吸音板に相当する）を設置する発明が開示されている（例えば、特許文献１参照）。
【０００４】
また、交換を容易にする目的で、一対の断面Ｈ型の支柱のフランジの道路側の面に、支柱に垂直（鉛直に立設された支柱に対しては、水平方向に同じ）に所定の間隔で複数の横胴縁を設置し、透光性遮音板の上端および下端を、それぞれ取り付け枠を介して横胴縁に固定する発明が開示されている（例えば、特許文献２参照）。
【０００５】
【特許文献１】特開平７−２４７５１６号公報（第３−４頁、図１）
【特許文献２】特許第３６７１４６２号公報（第５−６頁、図１３）
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００６】
しかしながら、特許文献１に開示された発明は、長手方向に伸長可能な交換用壁板が、２枚の表面板と、これらの間隔を調整する伸縮部材と、から構成されるため、交換用壁が複雑になると共に、表面板を透明にすると、伸縮部材が見えてしまい景観を悪化させるという新たな問題があった。
また、特許文献２に開示された発明は、それぞれの透光性遮音板が、取り付け枠を介して横胴縁に固定するものであるから、前記落とし込み式防音壁に比較して、当初の設置作業が煩雑になると共に、前記落とし込み式防音壁として完成している防音壁に対しては、その改修方法として適用できないという問題があった。
【０００７】
本発明は、このような問題を解決するためになされたものであって、落とし込み式防音壁でありながら、撤去されるべき既設透光板のみを撤去して、これに替えて、簡素構造の透光板を容易に設置することができる防音壁の改修方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【０００８】
（１）本発明に係る防音壁の改修方法は、互いにウエブが向き合うように立設されている複数本の断面Ｈ型の支柱と、
該支柱のうち互いに向き合った一対の支柱のそれぞれのウエブ面とフランジ内面とから形成される懐に、両側部が保持されて下方向に落とし込まれて配置された既設吸音板および既設透光板と、を具備する防音壁の改修方法であって、
前記既設透光板のうち撤去すべき既設透光板の直上に位置する既設吸音板を、仮止め手段によって落下不能に仮止めする工程と、
前記撤去すべき既設透光板を破壊または変形させて、前記互いに向き合った一対の支柱の間から撤去する工程と、
前記互いに向き合った一対の支柱のウエブに、前記撤去すべき既設透光板の上方に位置する既設吸音板の落下を防止する既設吸音板支持金具を設置する工程と、
前記撤去すべき既設透光板が撤去された後の空間の底に相当する部分に、上面に凹溝を具備する下段枠を配置し、その両端部をそれぞれ前記互いに向き合った一対の支柱のフランジ外面に設置する工程と、
新規に設置される新設透光板の下縁を、前記下段枠の凹溝に装入する工程と、
前記下縁が前記下段枠の凹溝に装入されている新設透光板の上縁を、下面に凹溝を具備する上段枠に装入する工程と、
前記上段枠の両端部をそれぞれ前記互いに向き合った一対の支柱のフランジ外面に設置する工程と、
前記新設透光板の側縁を保持する縦枠を、前記互いに向き合った一対の支柱のフランジ外面に設置する工程と、とを有するものである。
【０００９】
（２）前記（１）において、前記新設透光板に、前記一対の支柱のうち一方の支柱を隔てて隣接する改修済み新設透光板が存在するとき、
前記新設透光板と前記改修済み新設透光板とを、前記一方の支柱を貫通するワイヤーによって連結する工程、を有することを特徴とするものである。
【００１０】
（３）また、本発明に係る防音壁の改修方法は、互いにウエブが向き合うように立設されている複数本の断面Ｈ型の支柱と、
該支柱のうち互いに向き合った一対の支柱のそれぞれのウエブ面とフランジ内面とから形成される懐に、両側部が保持されて下方向に落とし込まれて配置された既設吸音板および既設透光板と、を具備する防音壁の改修方法であって、
前記既設透光板のうち撤去すべき既設透光板の直上に位置する既設吸音板を、仮止め手段によって落下不能に仮止めする工程と、
前記撤去すべき既設透光板を破壊または変形させて、前記互いに向き合った一対の支柱の間から撤去する工程と、
前記互いに向き合った一対の支柱のウエブに、前記撤去すべき既設透光板の上方に位置する既設吸音板の落下を防止する既設吸音板支持金具を設置する工程と、
前記撤去すべき既設透光板が撤去された後の空間の底に相当する部分に、上面に凹溝を具備する下段枠を配置し、その両端部をそれぞれ前記互いに向き合った一対の支柱のフランジ外面に設置する工程と、
新規に設置される下段新設透光板の下縁を、前記下段枠の凹溝に装入する工程と、
前記下縁が前記下段枠の凹溝に装入されている下段新設透光板の上縁を、上下面に凹溝を具備する中段枠の下面に形成された凹部に装入する工程と、
前記中段枠の両端部をそれぞれ前記互いに向き合った一対の支柱のフランジ外面に設置する工程と、
新規に設置されるべき上段新設透光板の下縁を、前記中段枠の上面に形成された凹溝に装入する工程と、
前記下縁が前記中段枠の凹部に装入されている上段新設透光板の上縁を、下面に凹溝を具備する上段枠の凹部に装入する工程と、
前記上段枠の両端部をそれぞれ前記互いに向き合った一対の支柱のフランジ外面に設置する工程と、
前記下段新設透光板の側縁および上段新設透光板の側縁を保持する縦枠を、前記互いに向き合った一対の支柱のフランジ外面に設置する工程と、とを有するものである。
【００１１】
（４）前記（３）において、前記下段側の新設透光板に、前記一対の支柱のうち一方の支柱を隔てて隣接する改修済み新設透光板が存在するとき、
前記下段側の新設透光板と前記改修済み新設透光板とを、前記一方の支柱を貫通するワイヤーによって連結する工程、を有することを特徴とするものである。
【００１２】
（５）前記（３）において、前記上段新設透光板に、前記一対の支柱のうち一方の支柱を隔てて隣接する改修済み新設透光板が存在するとき、
前記上段新設透光板と前記改修済み新設透光板とを、前記一方の支柱を貫通するワイヤーによって連結する工程、を有することを特徴とするものである。
【００１３】
（６）前記（１）乃至（５）の何れかにおいて、前記撤去すべき既設透光板の直上に位置する既設吸音板の下縁と、前記両端部がそれぞれ前記互いに向き合った一対の支柱のフランジ外面に設置されている上段枠の上縁と、の隙間を覆う断面Ｌ字状の隙間隠し板を設置する工程を有することを特徴とするものである。
【００１４】
（７）さらに、本発明に係る防音壁の改修方法は、互いにウエブが向き合うように立設されている複数本の断面Ｈ型の支柱と、
該支柱のうち互いに向き合った一対の支柱のそれぞれのウエブ面とフランジ内面とから形成される懐に、両側部が保持されて下方向に落とし込まれて配置された既設吸音板および既設透光板と、を具備する防音壁の改修方法であって、
前記既設透光板のうち撤去すべき既設透光板の直上に位置する既設吸音板を、仮止め手段によって落下不能に仮止めする工程と、
前記撤去すべき既設透光板を破壊または変形させて、前記互いに向き合った一対の支柱の間から撤去する工程と、
前記互いに向き合った一対の支柱のウエブに、前記撤去すべき既設透光板の上方に位置する既設吸音板の落下を防止する既設吸音板支持金具を設置する工程と、
前記撤去すべき既設透光板が撤去された後の空間の底に相当する部分に、上面に凹溝を具備する下段枠を配置し、その両端部をそれぞれ前記互いに向き合った一対の支柱のフランジ前面に設置する工程と、
新規に設置される新設透光板の下縁を前記下段枠の凹溝に装入する工程と、
前記新設透光板の両側縁を、前記互いに向き合った一対の支柱のフランジ外面に略当接する工程と、
前記新設透光板の側縁を保持する縦枠を、前記フランジ外面に設置する工程と、
前記既設透光板の下縁に、前記新設透光板の上縁を覆う隙間隠し板を設置する工程と、
を有するものである。
【００１５】
（８）前記（７）において、前記新設透光板の後面の上縁と前記隙間隠し板の前面の下縁とに挟まれるように隙間隠しゴム材が設置されていることを特徴とする。
（９）前記（７）または（８）において、前記新設透光板に、前記一対の支柱のうち一方の支柱を隔てて隣接する改修済み新設透光板が存在するとき、
前記新設透光板と前記改修済み新設透光板とを、前記一方の支柱を貫通するワイヤーによって連結する工程、を有することを特徴とするものである。
【００１６】
（１０）さらに、前記（１）乃至（９）の何れかにおいて、前記下段枠の両端部または前記上段枠の両端部を、片面締結ボルトを用いて前記フランジ外面に設置することを特徴とするものである。
（１１）さらに、前記（１）乃至（１０）の何れかにおいて、前記撤去すべき既設透光板が、ポリカーボネイト板であることを特徴とするものである。
（１２）さらに、前記（１）乃至（１１）の何れかにおいて、前記新設透光板が、アクリル板または繊維補強型のアクリル板であることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【００１７】
本発明に係る防音壁の改修方法は、以上であるから、下記の効果を奏する。
（ｉ）撤去すべき既設透光板の直上に位置する既設吸音板をそのままにして（一旦、撤去しないで）、簡単な部材によって新たに新設透光板を設置することができるから、改修作業が迅速になる。
なお、本発明において、改修前に設置されている吸音板および透光板をそれぞれ既設吸音板および既設透光板と、改修によって新たに設置される透光板を新設透光板としている。
【００１８】
（ｉｉ）新たに設置される新設透光板と、既に改修済みの新設透光板（既に設置されている）とが一方の支柱を隔てて隣接する場合、当該支柱を貫通するワイヤーによって連結するから、車の衝突等による衝撃によって、新設透光板が断面Ｈ型の支柱の懐から抜け出したとしても、完全に脱落することがない。すなわち、たとえば高架道路や高架橋から地上に落下するようなことがない。
【００１９】
（ｉｉｉ）中段枠を介して、下段側の新設透光板と上段側の新設透光板とが新たに設置されるから、撤去すべき既設透光板の多少に関わらず、容易に改修することができると共に、下段側の新設透光板と上段側の新設透光板とを異なるものにして意匠性を高めることができる。
（ｉｖ）新たに設置される下段側の新設透光板と改修済み新設透光板（既に設置されている）とを、前記一方の支柱を貫通するワイヤーによって連結するから、車の衝突等による衝撃によって、下段側の新設透光板が断面Ｈ型の支柱の懐から抜け出したとしても、完全に脱落することがない。
（ｖ）新たに設置される上段側の新設透光板と改修済み新設透光板（既に設置されている）とを、前記一方の支柱を貫通するワイヤーによって連結するから、車の衝突等による衝撃によって、上段側の新設透光板が断面Ｈ型の支柱の懐から抜け出したとしても、完全に脱落することがない。
【００２０】
（ｖｉ）撤去すべき既設透光板の直上に位置する既設吸音板（撤去されないまま残っている既設吸音板に同じ）の下縁と上段枠の上縁との隙間を覆う断面Ｌ字状の隙間隠し板を設置するから、当該隙間を音が通過することがない。
【００２１】
（ｖｉｉ）上段枠を設置することなく、新設透光板の上縁を覆う隙間隠し板によって、新設新設透光板の上縁が保持されるため、部品点数が低減し、当該部材を設置するための穿孔作業が省略されるため、改修作業が迅速かつ安価になる。
（ｖｉｉｉ）新設透光板と隙間隠し板との間に隙間隠しゴム材が設置されるから、新設透光板と既設隙間隠し板との間を音が通過することがなくなり、防音性（遮音性）が向上する。
（ｉｘ）新たに設置される新設透光板と改修済み新設透光板（既に設置されている）とを、一方の支柱を貫通するワイヤーによって連結するから、新設透光板が断面Ｈ型の支柱の懐から抜け出したとしても、完全に脱落することがない。
【００２２】
（ｘ）下段枠および上段枠を片面締結ボルト（ワンサイドボルトに同じ）を用いてフランジ外面に設置するから、改修作業が迅速になる。
（ｘｉ）撤去すべき既設透光板が、耐候性により耐用期間（寿命）が短いポリカーボネイト板であっても、容易に、改修することができる。
（ｘｉｉ）新たに設置される新設透光板が、アクリル板または繊維補強型のアクリル板であるから、長寿命であって、長い期間にわたって景観を維持することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【００２３】
［実施形態１］
図１〜図１０は本発明の実施形態１に係る防音壁の改修方法を工程を追って説明するものであって、それぞれの（ａ）は防音壁の一部を模式的に示す正面図、（ｂ）は断面図である。また、図１１〜図２０は、図１〜図１０に示す防音壁の改修方法の説明を捕捉するための模式図であって、図１４および図１９は側面図、図１６は平面視の断面図、その他の図については使用する部材を示す（ａ）が平面図、（ｂ）が正面図、（ｃ）が側面図である。なお、各図において同じ部分にはこれと同じ符号を付し、一部の説明を省略する。
【００２４】
（改修前の状況）
図１において、防音壁１００は、道路または橋梁の側縁に沿って設置されたものであって、土留壁（壁高欄に同じ）１１に所定の間隔を設けて立設された複数本の断面Ｈ型の支柱１２と、支柱１２のうち隣接する一対の支柱１２のそれぞれの支柱ウエブ１２ｗの面と支柱フランジ１２ｆの内面（支柱ウエブ１２ｗ側）とから形成される支柱懐部１３に、両側部が保持されて下方向に落とし込まれて配置された複数枚の既設透光板１ａ、１ｂおよび複数枚の既設吸音板２ａ、２ｂ・・・２ｉと、一対の支柱１２の先端同士を連結する先端連結材１４と、を有している。
なお、既設透光板１ａ、１ｂは撤去すべきものであって、便宜上、それぞれを既設透光板１ａ、１ｂ、まとめて「既設透光板１」と称す。また、既設吸音板２ａ、２ｂ・・・２ｉは、撤去されないで改修後も残されるものであって、便宜上、それぞれを既設吸音板２ａ、２ｂ・・・２ｉ、まとめて「既設吸音板２」と称す。
【００２５】
さらに、支柱懐部１３内には、下端が土留壁１１に固定され、上端が先端連結材１４または支柱の先端に固定された既設吸音板落下防止ワイヤー（図示しない）が、上下方向に配置されている。そして、既設透光板１および既設吸音板２の両側部には、既設吸音板落下防止ワイヤーが係止する係止用部材（たとえば、既設吸音板落下防止ワイヤーが貫通するリング状部材等）が設置され、既設透光板１および既設吸音板２の何れかが、支柱懐部１３から抜け出しても、土留壁１１から脱落して道路または橋梁の下に落下しないようになっている。
【００２６】
（仮止め工程）
図２において、土留壁１１の上面に仮止め支保２０を配置して、仮止め支保２０の上端側方に突出するフランジ２１によって、既設吸音板２を支持可能（下方への移動不能）にする（図１１参照）。すなわち、仮止め支保２０の上端は、既設吸音板２ａの最下縁に当接したり、既設吸音板２の最下縁に僅かの隙間を空けて対峙している。図２において、２本の仮止め支保２０が土留壁１１に立設させているが、本発明はこれに限定するものではなく、その数量は何本であってもよく、また、既設吸音板２ａと支柱フランジ１２ｆとの隙間に打ち込まれて、既設吸音板２ａを落下不能に支持する楔であってもよい。
【００２７】
（既設透光板の撤去工程）
図３において、既設透光板１ｂを破壊または変形させて、支柱懐部１３から撤去する。このとき、既設吸音板落下防止ワイヤー（図示しない）は設置されたままであって、既設透光板１ｂの係止用部材（図示しない）から開放されているから、既設透光板１ｂだけが、支柱懐部１３から撤去される。
【００２８】
（既設吸音板受け金具の固定工程）
図４において、支柱１２の支柱ウエブ１２ｗに受け金具用ボルト１５を貫通させるための貫通孔を設け、受け金具用ボルト１５を貫通する貫通孔３１が設けられたＬ字状の既設吸音板受け金具３０を、ボルトに螺合するナット（図示しない）によって固定する（図１２および図１４参照）。なお、支柱ウエブ１２ｗに替えて、支柱フランジ１２ｆの内面に固定してもよい。また、ボルト固定に替えて、既設吸音板受け金具３０を支柱ウエブ１２ｗに直接溶接してもよい。
また、板材を、略の字状に折り曲げた固定金具３２が支柱１２の支柱懐部１３に配置、正確には、既設吸音板２ａの後面側と支柱フランジ１２ｆとの間に挟圧された状態で設置されている（図１３および図１４参照）。
したがって、既設吸音板２は、鉛直方向では、支柱ウエブに固定された既設吸音板受け金具３０に受け止められ、水平方向（道路の内外方向）では、固定金具３２によって支柱フランジに押し付けられて拘束されている（図１４参照）。
なお、図４において、既設透光板１ａが撤去されていないが、これを撤去した後、既設吸音板受け金具３０を固定してもよい。
【００２９】
（仮止め支保の撤去工程）
図５において、仮止め支保２０を撤去する。
【００３０】
（下段枠の固定工程）
図６において、既設透光板１が撤去された後の空間の底に相当する範囲、すなわち、撤去される前に既設透光板１ａの下縁が位置していた部分に相当する支柱フランジ１２ｆの範囲に、支柱貫通孔１６ａを穿設する。
そして、上面に凹溝４１と両端部に下段枠貫通孔４２を具備する下段枠４０（図１５参照）を配置し、その両端部を、支柱貫通孔１６ａおよび下段枠貫通孔４２を貫通する片面締結ボルト（ワンサイドボルト、図示しない）を用いて、それぞれ支柱１２の支柱フランジ１２ｆの外面（道路側の面）に設置する。
このとき、下段枠４０の下縁は土留壁１１の上面に当接し、当該当接部を音が通過しないようにしている。なお、下段枠４０の下縁と土留壁１１の上面との間に、遮音用の弾性体（ガスケット等）を介在させてもよい。
【００３１】
（新設透光板の設置工程）
図７において、下段枠４０の上面に形成された凹溝４１に、新たに設置する透光板（以下、「新設透光板」と称す）３の下縁を装入して、上縁が既設吸音板２ａの下縁と所定の隙間を空けて略鉛直に配置する。
【００３２】
（新設透光板落下防止ワイヤーの設置工程）
そして、新設透光板３に、支柱１２を隔てて既に改修済みの新設透光板４が隣接している場合は、新設透光板３と改修済み新設透光板４とを、支柱ウエブ１２ｗを貫通する新設透光板落下防止ワイヤー５によって連結する。このとき、新設透光板落下防止ワイヤー５の両端には、新設透光板３に設けられた貫通孔６を貫通自在な所定の長さのねじ棒５ｓが固定され、ねじ棒５ｓに螺合するナット５ｎを締め込むことによって、ナット５ｎが新設透光板３を挾持するものである（図１６参照）。
【００３３】
そして、新設透光板３の上縁を上段枠５０の下面に形成された凹溝５１に装入する。なお、新設透光板３の上縁を上段枠５０の下面に形成された凹溝５１に装入した後、新設透光板落下防止ワイヤー５を設置してもよい。
また、新設透光板３の両側に、支柱１２を隔てて既に改修済みの新設透光板４が存在する場合は、当該両側の改修済みの新設透光板４と連結する。また、新設透光板３が支柱１２を隔てて既設透光板１と隣接する場合には、既設透光板１と連結する。
なお、新設透光板３と改修済みの新設透光板４との連結にかえて、新設透光板３と既設吸音板落下防止ワイヤー（図示しない）とを係止部材を介して係止するようにしてもよい。
【００３４】
（上段枠の固定工程）
図８において、既設透光板１が撤去された後の空間の天井に相当する範囲、すなわち、撤去される前に既設透光板１ｂの上縁が位置していた部分に相当する支柱フランジ１２ｆの範囲に、支柱貫通孔１６ｂを穿設する。
そして、下に凹溝５１と両端部に上段枠貫通孔５２を具備する上段枠５０（図１７参照）を配置し、その両端部を、支柱貫通孔１６ｂおよび上段枠貫通孔５２を貫通する片面締結ボルト（ワンサイドボルト、図示しない）を用いて、それぞれ支柱１２の支柱フランジ１２ｆの外面（道路側の面）に設置する。
【００３５】
（縦枠の固定工程）
図９において、支柱１２の支柱フランジ１２ｆの外面（道路側の面）に所定の間隔で縦枠用ボルト１７を溶接し、これに螺合するナット６２によって、縦枠用ボルト１７が貫通する貫通孔６１が設けられた縦枠６０を設置する（図１８参照）。このとき、新設透光板３に支柱１２を隔てて隣接する既に改修済みの新設透光板４が存在しているから、縦枠６０は新設透光板３の側縁と改修済みの新設透光板４の側縁とを同時に保持することになる。また、ナット６２の目隠しのため、化粧キャップ等を設置してもよい。
【００３６】
（隙間隠し板の設置工程）
図１０において、既設吸音板２ａの下縁と、上段枠５０の上縁とに跨って、断面Ｌ字状の隙間隠し板７０を設置する。したがって、両者の隙間が覆われるから、隙間を音が通過することがない。このとき、隙間隠し板７０の鉛直面のみを既設吸音板２ａに固定して、隙間隠し板７０の水平面と上段枠５０との間にガスケット等を設置してもよい（図１９参照）。
さらに、上段枠５０に替えて、上段枠５０と隙間隠し部７０とが一体になったものに相当する、隙間隠し板付き上段枠１５０を支柱フランジ１２ｆに設置してもよい。すなわち、隙間隠し板付き上段枠１５０は、下面には凹溝１５１と、上面には断面Ｌ字状の隙間隠し部１７０と、両端部には貫通孔１５２と、を有している（図２０参照）。
【００３７】
以上の工程によって、既設吸音板２の全てを一旦撤去することなく、既設透光板１を新設透光板３に、迅速に取り替えることができる。このとき、改修現場においては、
ａ）既設吸音板受け金具３０を設置するための受け金具用ボルト１５を支柱ウエブ１２ｗに溶接する作業、
ｂ）縦枠６０を設置するための縦枠用ボルト１７を支柱フランジ１２ｆに貫通させるための貫通孔を設ける作業、
ｃ）下段枠４０および上段枠５０をそれぞれ設置するための支柱貫通孔１６ａおよび支柱貫通孔１６ｂを支柱フランジ１２ｆに穿設（形成）する作業、
が生じるだけで、大がかりなクレーンワークを必要としないから、作業面積を狭くすることができ、交通規制（交通渋滞）を最小に抑えることができる。
なお、以上は、既設透光板１を２枚撤去しているが、その枚数は限定するものではない。
【００３８】
［実施形態２］
図２１は本発明の実施形態２に係る防音壁の改修方法を説明するものであって、（ａ）は防音壁の一部を模式的に示す正面図、（ｂ）は断面図である。また、図２２は、図２１に説明する防音壁の改修方法に使用する部材を模式的に示す、（ａ）は平面図、（ｂ）は正面図、（ｃ）は側面図である。なお、実施の形態１（図１〜１９）と同じ部分または相当する部分には同じ符号を付し、一部の説明を省略する。
【００３９】
図２１において、既設透光板１ａ、１ｂを撤去した後に、中段枠８０を用いて下段側の新設透光板３ａと上段側の新設透光板３ｂとを設置している。このとき、中段枠８０の上下面にはそれぞれ凹溝８１ａ、８１ｂと、両端部に中段枠貫通孔８２と、が設けられている（図２２参照）。
そして、実施の形態１の新設透光板３および上段枠５０を、それぞれ下段側の新設透光板３ａおよび中段枠８０と読み替えて、下段側の新設透光板３ａを設置し、さらに、実施の形態１の新設透光板３および下段枠４０を、それぞれ上段側の新設透光板３ｂおよび中段枠８０と読み替えて、上段側の新設透光板３ｂを設置するものである。
なお、縦枠６０ａおよび縦枠６０ｂが、それぞれ下段側の新設透光板３ａおよび上段側の新設透光板３ｂを保持しているが、１本の縦枠でもって、下段側の新設透光板３ａおよび上段側の新設透光板３ｂを同時に保持するようにしてもよい。
【００４０】
［実施形態３］
図２３は本発明の実施形態３に係る防音壁の改修方法を説明するものであって、防音壁の一部を模式的に示す側面図である。なお、実施の形態１（図１〜１９）と同じ部分または相当する部分には同じ符号を付し、一部の説明を省略する。
【００４１】
（新設透光板の上縁の保持）
図２３において、実施形態３に係る防音壁の改修方法は、新設透光板３の上縁を保持する上段枠を設置することなく、新設透光板３の上縁を隙間隠し板９０によって直接保持している。
すなわち、実施の形態１における新設透光板３に新設透光板落下防止ワイヤー５を設置する工程（図７参照）の後、新設透光板３の両側縁を、互いに向き合った一対の支柱フランジｆの外面（道路側の面）に略当接する工程と、既設吸音板２ａの下縁に、新設透光板３の上縁を覆う隙間隠し板９０を設置する工程と、を有している。なお、隙間隠し板９０を設置する工程に前後して、新設透光板３の側縁を保持する縦枠６０を支柱フランジｆの外面に設置する工程を有している。
【００４２】
隙間隠し板９０は、既設吸音板２ａ（正確には、既設吸音板２ａの下縁に下方に延設された既設の既設隙間隠し板７）に当接する上部鉛直部９１と、新設透光板３の上縁に当接または所定の隙間を空けて対峙する下部鉛直部９３と、上部鉛直部９１と下部鉛直部９３とを連結する中央傾斜部９２とを具備している。そして、上部鉛直部９１が既設の既設隙間隠し板７に押付けリベット（図示しない）によって固定される。
このとき、下部鉛直部９３と新設透光板３の上縁との間に隙間隠しゴム（ガスケットに同じ）９４が設置され、遮音性を高めている。
したがって、実施の形態３においても実施の形態１と同様に、既設吸音板２を撤去する必要がないから、改修作業は迅速になり、作業面積（作業スペース）を狭くすることができると共に、改修に要する部品点数が減少するから、施工コストがさらに低減する。
【産業上の利用可能性】
【００４３】
本発明は、改修作業を迅速化にして作業面積（作業スペース）を狭くすることができるから、道路や橋梁あるいは鉄道に沿って設置される防音壁の改修方法だけでなく、同様構造の防風壁や遮光壁、さらには防水壁や防砂壁の改修方法として、広く利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【００４４】
【図１】本発明の実施形態１に係る防音壁の改修方法を説明する、防音壁の一部を模式的に示す正面図と断面図。
【図２】図１に示す工程に続く工程を説明する防音壁の一部の正面図と断面図。
【図３】図２に示す工程に続く工程を説明する防音壁の一部の正面図と断面図。
【図４】図３に示す工程に続く工程を説明する防音壁の一部の正面図と断面図。
【図５】図４に示す工程に続く工程を説明する防音壁の一部の正面図と断面図。
【図６】図５に示す工程に続く工程を説明する防音壁の一部の正面図と断面図。
【図７】図６に示す工程に続く工程を説明する防音壁の一部の正面図と断面図。
【図８】図７に示す工程に続く工程を説明する防音壁の一部の正面図と断面図。
【図９】図８に示す工程に続く工程を説明する防音壁の一部の正面図と断面図。
【図１０】図９に示す工程に続く工程を説明する防音壁の一部の正面図と断面図。
【図１１】図１等に示す防音壁の改修方法に使用する部材を模式的に示す平面図等。
【図１２】図１等に示す防音壁の改修方法に使用する部材を模式的に示す平面図等。
【図１３】図１等に示す防音壁の改修方法に使用する部材を模式的に示す平面図等。
【図１４】図１等に示す防音壁の改修方法の説明を捕捉するための模式側面図。
【図１５】図１等に示す防音壁の改修方法に使用する部材を模式的に示す平面図等。
【図１６】図１等に示す防音壁の改修方法の説明を捕捉するための模式断面図。
【図１７】図１等に示す防音壁の改修方法に使用する部材を模式的に示す平面図等。
【図１８】図１等に示す防音壁の改修方法に使用する部材を模式的に示す平面図等。
【図１９】図１等に示す防音壁の改修方法の説明を捕捉するための模式側面図。
【図２０】図１等に示す防音壁の改修方法に使用する部材を模式的に示す平面図等。
【図２１】本発明の実施形態２に係る防音壁の改修方法を説明する、防音壁の一部を模式的に示す正面図と断面図。
【図２２】図２１に示す防音壁の改修方法に使用する部材を模式的に示す平面図等。
【図２３】本発明の実施形態２に係る防音壁の改修方法を説明する、防音壁の一部を模式的に示す側面図。
【符号の説明】
【００４５】
１ 既設透光板
２ 既設吸音板
３ 新設透光板
４ 新設透光板
５ 新設透光板落下防止ワイヤー
７ 隙間隠し板(既設）
１１ 土留壁
１２ 支柱
１３ 支柱懐部
１４ 先端連結材
１５ 金具用ボルト
１６ａ 支柱貫通孔
１６ｂ 支柱貫通孔
１７ 縦枠用ボルト
２０ 仮止め支保支柱
３０ 既設吸音板受け金具
３１ 貫通孔
３２ 固定金具
４０ 下段枠
４１ 凹溝
４２ 下段枠貫通孔
５０ 上段枠
５１ 凹溝
５２ 上段枠貫通孔
６０ 縦枠
６１ ボルト
６２ ナット
７０ 隙間隠し板（新規）
８０ 中段枠
８１ａ 凹溝
８１ｂ 凹溝
８２ 中段枠貫通孔
９０ 隙間隠し板
９１ 上部鉛直部
９２ 中央傾斜部
９３ 下部鉛直部
１００ 防音壁
１５０ 上段枠
１５１ 凹溝
１５２ 貫通孔
１７０ 隙間隠し部
【技術分野】
【０００１】
本発明は防音壁の改修方法、特に、道路や橋梁の側縁部に設置されている防音壁の改修方法に関する。
【背景技術】
【０００２】
従来、道路や橋梁の側縁部に設置される防音壁（本発明において、遮音壁、吸音壁等をまとめて「防音壁」と称する）は、道路や橋梁の側縁部に所定の間隔を設けて立設された複数本の断面Ｈ型の支柱と、該支柱の間に上位下方向に積み重ねられた複数の既設吸音板と、該既設吸音板の直下に設置された既設透光板と、を具備している。
なお、既設吸音板は、通常、前表面に多くの孔が形成された金属製の躯体であって、前表面の孔から入った音が、躯体の中に存するグラスウール等の吸音材に吸音される構造になっている。また、既設透光板はポリカーボネイト等の透明樹脂製の板であって、遮音の機能を有している。
このとき、一対の断面Ｈ型の支柱のウエブは互いに向かい合っていて、既設吸音板の両側部は、一対の断面Ｈ型の支柱のウエブ面とフランジ内面とから形成される懐にそれぞれ保持されて下方向に落とし込まれている（以下、「落とし込み式防音壁」と称する場合がある）。
【０００３】
このため、防音壁を構成する既設吸音板、特に、最下段に配置された既設透光板を、破損や変形、あるいは透明度の悪化等の理由によって、取り替える必要が生じた場合、当該既設透光板の上方に配置されている既設吸音板を上から順番に抜き出して当該既設透光板を撤去し、撤去された位置に新規に設置される新設透光板を上から落とし込み、さらに、その上に、先に抜き出した既設吸音板を上から順番に落とし込む作業をすることになる。したがって、当該作業はその作業自体に長時間を要すという問題と共に、当該作業の準備時間および後片付け時間を含む長時間に渡る道路の交通規制を引き起こすという問題があった。
このため、当該既設透光板のみを撤去して、これに替えて長手方向に伸長可能な交換用壁板（新設吸音板に相当する）を設置する発明が開示されている（例えば、特許文献１参照）。
【０００４】
また、交換を容易にする目的で、一対の断面Ｈ型の支柱のフランジの道路側の面に、支柱に垂直（鉛直に立設された支柱に対しては、水平方向に同じ）に所定の間隔で複数の横胴縁を設置し、透光性遮音板の上端および下端を、それぞれ取り付け枠を介して横胴縁に固定する発明が開示されている（例えば、特許文献２参照）。
【０００５】
【特許文献１】特開平７−２４７５１６号公報（第３−４頁、図１）
【特許文献２】特許第３６７１４６２号公報（第５−６頁、図１３）
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００６】
しかしながら、特許文献１に開示された発明は、長手方向に伸長可能な交換用壁板が、２枚の表面板と、これらの間隔を調整する伸縮部材と、から構成されるため、交換用壁が複雑になると共に、表面板を透明にすると、伸縮部材が見えてしまい景観を悪化させるという新たな問題があった。
また、特許文献２に開示された発明は、それぞれの透光性遮音板が、取り付け枠を介して横胴縁に固定するものであるから、前記落とし込み式防音壁に比較して、当初の設置作業が煩雑になると共に、前記落とし込み式防音壁として完成している防音壁に対しては、その改修方法として適用できないという問題があった。
【０００７】
本発明は、このような問題を解決するためになされたものであって、落とし込み式防音壁でありながら、撤去されるべき既設透光板のみを撤去して、これに替えて、簡素構造の透光板を容易に設置することができる防音壁の改修方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【０００８】
（１）本発明に係る防音壁の改修方法は、互いにウエブが向き合うように立設されている複数本の断面Ｈ型の支柱と、
該支柱のうち互いに向き合った一対の支柱のそれぞれのウエブ面とフランジ内面とから形成される懐に、両側部が保持されて下方向に落とし込まれて配置された既設吸音板および既設透光板と、を具備する防音壁の改修方法であって、
前記既設透光板のうち撤去すべき既設透光板の直上に位置する既設吸音板を、仮止め手段によって落下不能に仮止めする工程と、
前記撤去すべき既設透光板を破壊または変形させて、前記互いに向き合った一対の支柱の間から撤去する工程と、
前記互いに向き合った一対の支柱のウエブに、前記撤去すべき既設透光板の上方に位置する既設吸音板の落下を防止する既設吸音板支持金具を設置する工程と、
前記撤去すべき既設透光板が撤去された後の空間の底に相当する部分に、上面に凹溝を具備する下段枠を配置し、その両端部をそれぞれ前記互いに向き合った一対の支柱のフランジ外面に設置する工程と、
新規に設置される新設透光板の下縁を、前記下段枠の凹溝に装入する工程と、
前記下縁が前記下段枠の凹溝に装入されている新設透光板の上縁を、下面に凹溝を具備する上段枠に装入する工程と、
前記上段枠の両端部をそれぞれ前記互いに向き合った一対の支柱のフランジ外面に設置する工程と、
前記新設透光板の側縁を保持する縦枠を、前記互いに向き合った一対の支柱のフランジ外面に設置する工程と、とを有するものである。
【０００９】
（２）前記（１）において、前記新設透光板に、前記一対の支柱のうち一方の支柱を隔てて隣接する改修済み新設透光板が存在するとき、
前記新設透光板と前記改修済み新設透光板とを、前記一方の支柱を貫通するワイヤーによって連結する工程、を有することを特徴とするものである。
【００１０】
（３）また、本発明に係る防音壁の改修方法は、互いにウエブが向き合うように立設されている複数本の断面Ｈ型の支柱と、
該支柱のうち互いに向き合った一対の支柱のそれぞれのウエブ面とフランジ内面とから形成される懐に、両側部が保持されて下方向に落とし込まれて配置された既設吸音板および既設透光板と、を具備する防音壁の改修方法であって、
前記既設透光板のうち撤去すべき既設透光板の直上に位置する既設吸音板を、仮止め手段によって落下不能に仮止めする工程と、
前記撤去すべき既設透光板を破壊または変形させて、前記互いに向き合った一対の支柱の間から撤去する工程と、
前記互いに向き合った一対の支柱のウエブに、前記撤去すべき既設透光板の上方に位置する既設吸音板の落下を防止する既設吸音板支持金具を設置する工程と、
前記撤去すべき既設透光板が撤去された後の空間の底に相当する部分に、上面に凹溝を具備する下段枠を配置し、その両端部をそれぞれ前記互いに向き合った一対の支柱のフランジ外面に設置する工程と、
新規に設置される下段新設透光板の下縁を、前記下段枠の凹溝に装入する工程と、
前記下縁が前記下段枠の凹溝に装入されている下段新設透光板の上縁を、上下面に凹溝を具備する中段枠の下面に形成された凹部に装入する工程と、
前記中段枠の両端部をそれぞれ前記互いに向き合った一対の支柱のフランジ外面に設置する工程と、
新規に設置されるべき上段新設透光板の下縁を、前記中段枠の上面に形成された凹溝に装入する工程と、
前記下縁が前記中段枠の凹部に装入されている上段新設透光板の上縁を、下面に凹溝を具備する上段枠の凹部に装入する工程と、
前記上段枠の両端部をそれぞれ前記互いに向き合った一対の支柱のフランジ外面に設置する工程と、
前記下段新設透光板の側縁および上段新設透光板の側縁を保持する縦枠を、前記互いに向き合った一対の支柱のフランジ外面に設置する工程と、とを有するものである。
【００１１】
（４）前記（３）において、前記下段側の新設透光板に、前記一対の支柱のうち一方の支柱を隔てて隣接する改修済み新設透光板が存在するとき、
前記下段側の新設透光板と前記改修済み新設透光板とを、前記一方の支柱を貫通するワイヤーによって連結する工程、を有することを特徴とするものである。
【００１２】
（５）前記（３）において、前記上段新設透光板に、前記一対の支柱のうち一方の支柱を隔てて隣接する改修済み新設透光板が存在するとき、
前記上段新設透光板と前記改修済み新設透光板とを、前記一方の支柱を貫通するワイヤーによって連結する工程、を有することを特徴とするものである。
【００１３】
（６）前記（１）乃至（５）の何れかにおいて、前記撤去すべき既設透光板の直上に位置する既設吸音板の下縁と、前記両端部がそれぞれ前記互いに向き合った一対の支柱のフランジ外面に設置されている上段枠の上縁と、の隙間を覆う断面Ｌ字状の隙間隠し板を設置する工程を有することを特徴とするものである。
【００１４】
（７）さらに、本発明に係る防音壁の改修方法は、互いにウエブが向き合うように立設されている複数本の断面Ｈ型の支柱と、
該支柱のうち互いに向き合った一対の支柱のそれぞれのウエブ面とフランジ内面とから形成される懐に、両側部が保持されて下方向に落とし込まれて配置された既設吸音板および既設透光板と、を具備する防音壁の改修方法であって、
前記既設透光板のうち撤去すべき既設透光板の直上に位置する既設吸音板を、仮止め手段によって落下不能に仮止めする工程と、
前記撤去すべき既設透光板を破壊または変形させて、前記互いに向き合った一対の支柱の間から撤去する工程と、
前記互いに向き合った一対の支柱のウエブに、前記撤去すべき既設透光板の上方に位置する既設吸音板の落下を防止する既設吸音板支持金具を設置する工程と、
前記撤去すべき既設透光板が撤去された後の空間の底に相当する部分に、上面に凹溝を具備する下段枠を配置し、その両端部をそれぞれ前記互いに向き合った一対の支柱のフランジ前面に設置する工程と、
新規に設置される新設透光板の下縁を前記下段枠の凹溝に装入する工程と、
前記新設透光板の両側縁を、前記互いに向き合った一対の支柱のフランジ外面に略当接する工程と、
前記新設透光板の側縁を保持する縦枠を、前記フランジ外面に設置する工程と、
前記既設透光板の下縁に、前記新設透光板の上縁を覆う隙間隠し板を設置する工程と、
を有するものである。
【００１５】
（８）前記（７）において、前記新設透光板の後面の上縁と前記隙間隠し板の前面の下縁とに挟まれるように隙間隠しゴム材が設置されていることを特徴とする。
（９）前記（７）または（８）において、前記新設透光板に、前記一対の支柱のうち一方の支柱を隔てて隣接する改修済み新設透光板が存在するとき、
前記新設透光板と前記改修済み新設透光板とを、前記一方の支柱を貫通するワイヤーによって連結する工程、を有することを特徴とするものである。
【００１６】
（１０）さらに、前記（１）乃至（９）の何れかにおいて、前記下段枠の両端部または前記上段枠の両端部を、片面締結ボルトを用いて前記フランジ外面に設置することを特徴とするものである。
（１１）さらに、前記（１）乃至（１０）の何れかにおいて、前記撤去すべき既設透光板が、ポリカーボネイト板であることを特徴とするものである。
（１２）さらに、前記（１）乃至（１１）の何れかにおいて、前記新設透光板が、アクリル板または繊維補強型のアクリル板であることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【００１７】
本発明に係る防音壁の改修方法は、以上であるから、下記の効果を奏する。
（ｉ）撤去すべき既設透光板の直上に位置する既設吸音板をそのままにして（一旦、撤去しないで）、簡単な部材によって新たに新設透光板を設置することができるから、改修作業が迅速になる。
なお、本発明において、改修前に設置されている吸音板および透光板をそれぞれ既設吸音板および既設透光板と、改修によって新たに設置される透光板を新設透光板としている。
【００１８】
（ｉｉ）新たに設置される新設透光板と、既に改修済みの新設透光板（既に設置されている）とが一方の支柱を隔てて隣接する場合、当該支柱を貫通するワイヤーによって連結するから、車の衝突等による衝撃によって、新設透光板が断面Ｈ型の支柱の懐から抜け出したとしても、完全に脱落することがない。すなわち、たとえば高架道路や高架橋から地上に落下するようなことがない。
【００１９】
（ｉｉｉ）中段枠を介して、下段側の新設透光板と上段側の新設透光板とが新たに設置されるから、撤去すべき既設透光板の多少に関わらず、容易に改修することができると共に、下段側の新設透光板と上段側の新設透光板とを異なるものにして意匠性を高めることができる。
（ｉｖ）新たに設置される下段側の新設透光板と改修済み新設透光板（既に設置されている）とを、前記一方の支柱を貫通するワイヤーによって連結するから、車の衝突等による衝撃によって、下段側の新設透光板が断面Ｈ型の支柱の懐から抜け出したとしても、完全に脱落することがない。
（ｖ）新たに設置される上段側の新設透光板と改修済み新設透光板（既に設置されている）とを、前記一方の支柱を貫通するワイヤーによって連結するから、車の衝突等による衝撃によって、上段側の新設透光板が断面Ｈ型の支柱の懐から抜け出したとしても、完全に脱落することがない。
【００２０】
（ｖｉ）撤去すべき既設透光板の直上に位置する既設吸音板（撤去されないまま残っている既設吸音板に同じ）の下縁と上段枠の上縁との隙間を覆う断面Ｌ字状の隙間隠し板を設置するから、当該隙間を音が通過することがない。
【００２１】
（ｖｉｉ）上段枠を設置することなく、新設透光板の上縁を覆う隙間隠し板によって、新設新設透光板の上縁が保持されるため、部品点数が低減し、当該部材を設置するための穿孔作業が省略されるため、改修作業が迅速かつ安価になる。
（ｖｉｉｉ）新設透光板と隙間隠し板との間に隙間隠しゴム材が設置されるから、新設透光板と既設隙間隠し板との間を音が通過することがなくなり、防音性（遮音性）が向上する。
（ｉｘ）新たに設置される新設透光板と改修済み新設透光板（既に設置されている）とを、一方の支柱を貫通するワイヤーによって連結するから、新設透光板が断面Ｈ型の支柱の懐から抜け出したとしても、完全に脱落することがない。
【００２２】
（ｘ）下段枠および上段枠を片面締結ボルト（ワンサイドボルトに同じ）を用いてフランジ外面に設置するから、改修作業が迅速になる。
（ｘｉ）撤去すべき既設透光板が、耐候性により耐用期間（寿命）が短いポリカーボネイト板であっても、容易に、改修することができる。
（ｘｉｉ）新たに設置される新設透光板が、アクリル板または繊維補強型のアクリル板であるから、長寿命であって、長い期間にわたって景観を維持することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【００２３】
［実施形態１］
図１〜図１０は本発明の実施形態１に係る防音壁の改修方法を工程を追って説明するものであって、それぞれの（ａ）は防音壁の一部を模式的に示す正面図、（ｂ）は断面図である。また、図１１〜図２０は、図１〜図１０に示す防音壁の改修方法の説明を捕捉するための模式図であって、図１４および図１９は側面図、図１６は平面視の断面図、その他の図については使用する部材を示す（ａ）が平面図、（ｂ）が正面図、（ｃ）が側面図である。なお、各図において同じ部分にはこれと同じ符号を付し、一部の説明を省略する。
【００２４】
（改修前の状況）
図１において、防音壁１００は、道路または橋梁の側縁に沿って設置されたものであって、土留壁（壁高欄に同じ）１１に所定の間隔を設けて立設された複数本の断面Ｈ型の支柱１２と、支柱１２のうち隣接する一対の支柱１２のそれぞれの支柱ウエブ１２ｗの面と支柱フランジ１２ｆの内面（支柱ウエブ１２ｗ側）とから形成される支柱懐部１３に、両側部が保持されて下方向に落とし込まれて配置された複数枚の既設透光板１ａ、１ｂおよび複数枚の既設吸音板２ａ、２ｂ・・・２ｉと、一対の支柱１２の先端同士を連結する先端連結材１４と、を有している。
なお、既設透光板１ａ、１ｂは撤去すべきものであって、便宜上、それぞれを既設透光板１ａ、１ｂ、まとめて「既設透光板１」と称す。また、既設吸音板２ａ、２ｂ・・・２ｉは、撤去されないで改修後も残されるものであって、便宜上、それぞれを既設吸音板２ａ、２ｂ・・・２ｉ、まとめて「既設吸音板２」と称す。
【００２５】
さらに、支柱懐部１３内には、下端が土留壁１１に固定され、上端が先端連結材１４または支柱の先端に固定された既設吸音板落下防止ワイヤー（図示しない）が、上下方向に配置されている。そして、既設透光板１および既設吸音板２の両側部には、既設吸音板落下防止ワイヤーが係止する係止用部材（たとえば、既設吸音板落下防止ワイヤーが貫通するリング状部材等）が設置され、既設透光板１および既設吸音板２の何れかが、支柱懐部１３から抜け出しても、土留壁１１から脱落して道路または橋梁の下に落下しないようになっている。
【００２６】
（仮止め工程）
図２において、土留壁１１の上面に仮止め支保２０を配置して、仮止め支保２０の上端側方に突出するフランジ２１によって、既設吸音板２を支持可能（下方への移動不能）にする（図１１参照）。すなわち、仮止め支保２０の上端は、既設吸音板２ａの最下縁に当接したり、既設吸音板２の最下縁に僅かの隙間を空けて対峙している。図２において、２本の仮止め支保２０が土留壁１１に立設させているが、本発明はこれに限定するものではなく、その数量は何本であってもよく、また、既設吸音板２ａと支柱フランジ１２ｆとの隙間に打ち込まれて、既設吸音板２ａを落下不能に支持する楔であってもよい。
【００２７】
（既設透光板の撤去工程）
図３において、既設透光板１ｂを破壊または変形させて、支柱懐部１３から撤去する。このとき、既設吸音板落下防止ワイヤー（図示しない）は設置されたままであって、既設透光板１ｂの係止用部材（図示しない）から開放されているから、既設透光板１ｂだけが、支柱懐部１３から撤去される。
【００２８】
（既設吸音板受け金具の固定工程）
図４において、支柱１２の支柱ウエブ１２ｗに受け金具用ボルト１５を貫通させるための貫通孔を設け、受け金具用ボルト１５を貫通する貫通孔３１が設けられたＬ字状の既設吸音板受け金具３０を、ボルトに螺合するナット（図示しない）によって固定する（図１２および図１４参照）。なお、支柱ウエブ１２ｗに替えて、支柱フランジ１２ｆの内面に固定してもよい。また、ボルト固定に替えて、既設吸音板受け金具３０を支柱ウエブ１２ｗに直接溶接してもよい。
また、板材を、略の字状に折り曲げた固定金具３２が支柱１２の支柱懐部１３に配置、正確には、既設吸音板２ａの後面側と支柱フランジ１２ｆとの間に挟圧された状態で設置されている（図１３および図１４参照）。
したがって、既設吸音板２は、鉛直方向では、支柱ウエブに固定された既設吸音板受け金具３０に受け止められ、水平方向（道路の内外方向）では、固定金具３２によって支柱フランジに押し付けられて拘束されている（図１４参照）。
なお、図４において、既設透光板１ａが撤去されていないが、これを撤去した後、既設吸音板受け金具３０を固定してもよい。
【００２９】
（仮止め支保の撤去工程）
図５において、仮止め支保２０を撤去する。
【００３０】
（下段枠の固定工程）
図６において、既設透光板１が撤去された後の空間の底に相当する範囲、すなわち、撤去される前に既設透光板１ａの下縁が位置していた部分に相当する支柱フランジ１２ｆの範囲に、支柱貫通孔１６ａを穿設する。
そして、上面に凹溝４１と両端部に下段枠貫通孔４２を具備する下段枠４０（図１５参照）を配置し、その両端部を、支柱貫通孔１６ａおよび下段枠貫通孔４２を貫通する片面締結ボルト（ワンサイドボルト、図示しない）を用いて、それぞれ支柱１２の支柱フランジ１２ｆの外面（道路側の面）に設置する。
このとき、下段枠４０の下縁は土留壁１１の上面に当接し、当該当接部を音が通過しないようにしている。なお、下段枠４０の下縁と土留壁１１の上面との間に、遮音用の弾性体（ガスケット等）を介在させてもよい。
【００３１】
（新設透光板の設置工程）
図７において、下段枠４０の上面に形成された凹溝４１に、新たに設置する透光板（以下、「新設透光板」と称す）３の下縁を装入して、上縁が既設吸音板２ａの下縁と所定の隙間を空けて略鉛直に配置する。
【００３２】
（新設透光板落下防止ワイヤーの設置工程）
そして、新設透光板３に、支柱１２を隔てて既に改修済みの新設透光板４が隣接している場合は、新設透光板３と改修済み新設透光板４とを、支柱ウエブ１２ｗを貫通する新設透光板落下防止ワイヤー５によって連結する。このとき、新設透光板落下防止ワイヤー５の両端には、新設透光板３に設けられた貫通孔６を貫通自在な所定の長さのねじ棒５ｓが固定され、ねじ棒５ｓに螺合するナット５ｎを締め込むことによって、ナット５ｎが新設透光板３を挾持するものである（図１６参照）。
【００３３】
そして、新設透光板３の上縁を上段枠５０の下面に形成された凹溝５１に装入する。なお、新設透光板３の上縁を上段枠５０の下面に形成された凹溝５１に装入した後、新設透光板落下防止ワイヤー５を設置してもよい。
また、新設透光板３の両側に、支柱１２を隔てて既に改修済みの新設透光板４が存在する場合は、当該両側の改修済みの新設透光板４と連結する。また、新設透光板３が支柱１２を隔てて既設透光板１と隣接する場合には、既設透光板１と連結する。
なお、新設透光板３と改修済みの新設透光板４との連結にかえて、新設透光板３と既設吸音板落下防止ワイヤー（図示しない）とを係止部材を介して係止するようにしてもよい。
【００３４】
（上段枠の固定工程）
図８において、既設透光板１が撤去された後の空間の天井に相当する範囲、すなわち、撤去される前に既設透光板１ｂの上縁が位置していた部分に相当する支柱フランジ１２ｆの範囲に、支柱貫通孔１６ｂを穿設する。
そして、下に凹溝５１と両端部に上段枠貫通孔５２を具備する上段枠５０（図１７参照）を配置し、その両端部を、支柱貫通孔１６ｂおよび上段枠貫通孔５２を貫通する片面締結ボルト（ワンサイドボルト、図示しない）を用いて、それぞれ支柱１２の支柱フランジ１２ｆの外面（道路側の面）に設置する。
【００３５】
（縦枠の固定工程）
図９において、支柱１２の支柱フランジ１２ｆの外面（道路側の面）に所定の間隔で縦枠用ボルト１７を溶接し、これに螺合するナット６２によって、縦枠用ボルト１７が貫通する貫通孔６１が設けられた縦枠６０を設置する（図１８参照）。このとき、新設透光板３に支柱１２を隔てて隣接する既に改修済みの新設透光板４が存在しているから、縦枠６０は新設透光板３の側縁と改修済みの新設透光板４の側縁とを同時に保持することになる。また、ナット６２の目隠しのため、化粧キャップ等を設置してもよい。
【００３６】
（隙間隠し板の設置工程）
図１０において、既設吸音板２ａの下縁と、上段枠５０の上縁とに跨って、断面Ｌ字状の隙間隠し板７０を設置する。したがって、両者の隙間が覆われるから、隙間を音が通過することがない。このとき、隙間隠し板７０の鉛直面のみを既設吸音板２ａに固定して、隙間隠し板７０の水平面と上段枠５０との間にガスケット等を設置してもよい（図１９参照）。
さらに、上段枠５０に替えて、上段枠５０と隙間隠し部７０とが一体になったものに相当する、隙間隠し板付き上段枠１５０を支柱フランジ１２ｆに設置してもよい。すなわち、隙間隠し板付き上段枠１５０は、下面には凹溝１５１と、上面には断面Ｌ字状の隙間隠し部１７０と、両端部には貫通孔１５２と、を有している（図２０参照）。
【００３７】
以上の工程によって、既設吸音板２の全てを一旦撤去することなく、既設透光板１を新設透光板３に、迅速に取り替えることができる。このとき、改修現場においては、
ａ）既設吸音板受け金具３０を設置するための受け金具用ボルト１５を支柱ウエブ１２ｗに溶接する作業、
ｂ）縦枠６０を設置するための縦枠用ボルト１７を支柱フランジ１２ｆに貫通させるための貫通孔を設ける作業、
ｃ）下段枠４０および上段枠５０をそれぞれ設置するための支柱貫通孔１６ａおよび支柱貫通孔１６ｂを支柱フランジ１２ｆに穿設（形成）する作業、
が生じるだけで、大がかりなクレーンワークを必要としないから、作業面積を狭くすることができ、交通規制（交通渋滞）を最小に抑えることができる。
なお、以上は、既設透光板１を２枚撤去しているが、その枚数は限定するものではない。
【００３８】
［実施形態２］
図２１は本発明の実施形態２に係る防音壁の改修方法を説明するものであって、（ａ）は防音壁の一部を模式的に示す正面図、（ｂ）は断面図である。また、図２２は、図２１に説明する防音壁の改修方法に使用する部材を模式的に示す、（ａ）は平面図、（ｂ）は正面図、（ｃ）は側面図である。なお、実施の形態１（図１〜１９）と同じ部分または相当する部分には同じ符号を付し、一部の説明を省略する。
【００３９】
図２１において、既設透光板１ａ、１ｂを撤去した後に、中段枠８０を用いて下段側の新設透光板３ａと上段側の新設透光板３ｂとを設置している。このとき、中段枠８０の上下面にはそれぞれ凹溝８１ａ、８１ｂと、両端部に中段枠貫通孔８２と、が設けられている（図２２参照）。
そして、実施の形態１の新設透光板３および上段枠５０を、それぞれ下段側の新設透光板３ａおよび中段枠８０と読み替えて、下段側の新設透光板３ａを設置し、さらに、実施の形態１の新設透光板３および下段枠４０を、それぞれ上段側の新設透光板３ｂおよび中段枠８０と読み替えて、上段側の新設透光板３ｂを設置するものである。
なお、縦枠６０ａおよび縦枠６０ｂが、それぞれ下段側の新設透光板３ａおよび上段側の新設透光板３ｂを保持しているが、１本の縦枠でもって、下段側の新設透光板３ａおよび上段側の新設透光板３ｂを同時に保持するようにしてもよい。
【００４０】
［実施形態３］
図２３は本発明の実施形態３に係る防音壁の改修方法を説明するものであって、防音壁の一部を模式的に示す側面図である。なお、実施の形態１（図１〜１９）と同じ部分または相当する部分には同じ符号を付し、一部の説明を省略する。
【００４１】
（新設透光板の上縁の保持）
図２３において、実施形態３に係る防音壁の改修方法は、新設透光板３の上縁を保持する上段枠を設置することなく、新設透光板３の上縁を隙間隠し板９０によって直接保持している。
すなわち、実施の形態１における新設透光板３に新設透光板落下防止ワイヤー５を設置する工程（図７参照）の後、新設透光板３の両側縁を、互いに向き合った一対の支柱フランジｆの外面（道路側の面）に略当接する工程と、既設吸音板２ａの下縁に、新設透光板３の上縁を覆う隙間隠し板９０を設置する工程と、を有している。なお、隙間隠し板９０を設置する工程に前後して、新設透光板３の側縁を保持する縦枠６０を支柱フランジｆの外面に設置する工程を有している。
【００４２】
隙間隠し板９０は、既設吸音板２ａ（正確には、既設吸音板２ａの下縁に下方に延設された既設の既設隙間隠し板７）に当接する上部鉛直部９１と、新設透光板３の上縁に当接または所定の隙間を空けて対峙する下部鉛直部９３と、上部鉛直部９１と下部鉛直部９３とを連結する中央傾斜部９２とを具備している。そして、上部鉛直部９１が既設の既設隙間隠し板７に押付けリベット（図示しない）によって固定される。
このとき、下部鉛直部９３と新設透光板３の上縁との間に隙間隠しゴム（ガスケットに同じ）９４が設置され、遮音性を高めている。
したがって、実施の形態３においても実施の形態１と同様に、既設吸音板２を撤去する必要がないから、改修作業は迅速になり、作業面積（作業スペース）を狭くすることができると共に、改修に要する部品点数が減少するから、施工コストがさらに低減する。
【産業上の利用可能性】
【００４３】
本発明は、改修作業を迅速化にして作業面積（作業スペース）を狭くすることができるから、道路や橋梁あるいは鉄道に沿って設置される防音壁の改修方法だけでなく、同様構造の防風壁や遮光壁、さらには防水壁や防砂壁の改修方法として、広く利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【００４４】
【図１】本発明の実施形態１に係る防音壁の改修方法を説明する、防音壁の一部を模式的に示す正面図と断面図。
【図２】図１に示す工程に続く工程を説明する防音壁の一部の正面図と断面図。
【図３】図２に示す工程に続く工程を説明する防音壁の一部の正面図と断面図。
【図４】図３に示す工程に続く工程を説明する防音壁の一部の正面図と断面図。
【図５】図４に示す工程に続く工程を説明する防音壁の一部の正面図と断面図。
【図６】図５に示す工程に続く工程を説明する防音壁の一部の正面図と断面図。
【図７】図６に示す工程に続く工程を説明する防音壁の一部の正面図と断面図。
【図８】図７に示す工程に続く工程を説明する防音壁の一部の正面図と断面図。
【図９】図８に示す工程に続く工程を説明する防音壁の一部の正面図と断面図。
【図１０】図９に示す工程に続く工程を説明する防音壁の一部の正面図と断面図。
【図１１】図１等に示す防音壁の改修方法に使用する部材を模式的に示す平面図等。
【図１２】図１等に示す防音壁の改修方法に使用する部材を模式的に示す平面図等。
【図１３】図１等に示す防音壁の改修方法に使用する部材を模式的に示す平面図等。
【図１４】図１等に示す防音壁の改修方法の説明を捕捉するための模式側面図。
【図１５】図１等に示す防音壁の改修方法に使用する部材を模式的に示す平面図等。
【図１６】図１等に示す防音壁の改修方法の説明を捕捉するための模式断面図。
【図１７】図１等に示す防音壁の改修方法に使用する部材を模式的に示す平面図等。
【図１８】図１等に示す防音壁の改修方法に使用する部材を模式的に示す平面図等。
【図１９】図１等に示す防音壁の改修方法の説明を捕捉するための模式側面図。
【図２０】図１等に示す防音壁の改修方法に使用する部材を模式的に示す平面図等。
【図２１】本発明の実施形態２に係る防音壁の改修方法を説明する、防音壁の一部を模式的に示す正面図と断面図。
【図２２】図２１に示す防音壁の改修方法に使用する部材を模式的に示す平面図等。
【図２３】本発明の実施形態２に係る防音壁の改修方法を説明する、防音壁の一部を模式的に示す側面図。
【符号の説明】
【００４５】
１ 既設透光板
２ 既設吸音板
３ 新設透光板
４ 新設透光板
５ 新設透光板落下防止ワイヤー
７ 隙間隠し板(既設）
１１ 土留壁
１２ 支柱
１３ 支柱懐部
１４ 先端連結材
１５ 金具用ボルト
１６ａ 支柱貫通孔
１６ｂ 支柱貫通孔
１７ 縦枠用ボルト
２０ 仮止め支保支柱
３０ 既設吸音板受け金具
３１ 貫通孔
３２ 固定金具
４０ 下段枠
４１ 凹溝
４２ 下段枠貫通孔
５０ 上段枠
５１ 凹溝
５２ 上段枠貫通孔
６０ 縦枠
６１ ボルト
６２ ナット
７０ 隙間隠し板（新規）
８０ 中段枠
８１ａ 凹溝
８１ｂ 凹溝
８２ 中段枠貫通孔
９０ 隙間隠し板
９１ 上部鉛直部
９２ 中央傾斜部
９３ 下部鉛直部
１００ 防音壁
１５０ 上段枠
１５１ 凹溝
１５２ 貫通孔
１７０ 隙間隠し部
【特許請求の範囲】
【請求項１】
互いにウエブが向き合うように立設されている複数本の断面Ｈ型の支柱と、
該支柱のうち互いに向き合った一対の支柱のそれぞれのウエブ面とフランジ内面とから形成される懐に、両側部が保持されて下方向に落とし込まれて配置された既設吸音板および既設透光板と、を具備する防音壁の改修方法であって、
前記既設透光板のうち撤去すべき既設透光板の直上に位置する既設吸音板を、仮止め手段によって落下不能に仮止めする工程と、
前記撤去すべき既設透光板を破壊または変形させて、前記互いに向き合った一対の支柱の間から撤去する工程と、
前記互いに向き合った一対の支柱のウエブに、前記撤去すべき既設透光板の上方に位置する既設吸音板の落下を防止する既設吸音板支持金具を設置する工程と、
前記撤去すべき既設透光板が撤去された後の空間の底に相当する部分に、上面に凹溝を具備する下段枠を配置し、その両端部をそれぞれ前記互いに向き合った一対の支柱のフランジ外面に設置する工程と、
新規に設置される新設透光板の下縁を、前記下段枠の凹溝に装入する工程と、
前記下縁が前記下段枠の凹溝に装入されている新設透光板の上縁を、下面に凹溝を具備する上段枠に装入する工程と、
前記上段枠の両端部をそれぞれ前記互いに向き合った一対の支柱のフランジ外面に設置する工程と、
前記新設透光板の側縁を保持する縦枠を、前記互いに向き合った一対の支柱のフランジ外面に設置する工程と、
とを有する防音壁の改修方法。
【請求項２】
前記新設透光板に、前記一対の支柱のうち一方の支柱を隔てて隣接する改修済み新設透光板が存在するとき、
前記新設透光板と前記改修済み新設透光板とを、前記一方の支柱を貫通するワイヤーによって連結する工程、を有することを特徴とする請求項１記載の防音壁の改修方法。
【請求項３】
互いにウエブが向き合うように立設されている複数本の断面Ｈ型の支柱と、
該支柱のうち互いに向き合った一対の支柱のそれぞれのウエブ面とフランジ内面とから形成される懐に、両側部が保持されて下方向に落とし込まれて配置された既設吸音板および既設透光板と、を具備する防音壁の改修方法であって、
前記既設透光板のうち撤去すべき既設透光板の直上に位置する既設吸音板を、仮止め手段によって落下不能に仮止めする工程と、
前記撤去すべき既設透光板を破壊または変形させて、前記互いに向き合った一対の支柱の間から撤去する工程と、
前記互いに向き合った一対の支柱のウエブに、前記撤去すべき既設透光板の上方に位置する既設吸音板の落下を防止する既設吸音板支持金具を設置する工程と、
前記撤去すべき既設透光板が撤去された後の空間の底に相当する部分に、上面に凹溝を具備する下段枠を配置し、その両端部をそれぞれ前記互いに向き合った一対の支柱のフランジ外面に設置する工程と、
新規に設置される下段新設透光板の下縁を、前記下段枠の凹溝に装入する工程と、
前記下縁が前記下段枠の凹溝に装入されている下段新設透光板の上縁を、上下面に凹溝を具備する中段枠の下面に形成された凹部に装入する工程と、
前記中段枠の両端部をそれぞれ前記互いに向き合った一対の支柱のフランジ外面に設置する工程と、
新規に設置されるべき上段新設透光板の下縁を、前記中段枠の上面に形成された凹溝に装入する工程と、
前記下縁が前記中段枠の凹部に装入されている上段新設透光板の上縁を、下面に凹溝を具備する上段枠の凹部に装入する工程と、
前記上段枠の両端部をそれぞれ前記互いに向き合った一対の支柱のフランジ外面に設置する工程と、
前記下段新設透光板の側縁および上段新設透光板の側縁を保持する縦枠を、前記互いに向き合った一対の支柱のフランジ外面に設置する工程と、
とを有する防音壁の改修方法。
【請求項４】
前記下段側の新設透光板に、前記一対の支柱のうち一方の支柱を隔てて隣接する改修済み新設透光板が存在するとき、
前記下段側の新設透光板と前記改修済み新設透光板とを、前記一方の支柱を貫通するワイヤーによって連結する工程、を有することを特徴とする請求項３記載の防音壁の改修方法。
【請求項５】
前記上段新設透光板に、前記一対の支柱のうち一方の支柱を隔てて隣接する改修済み新設透光板が存在するとき、
前記上段新設透光板と前記改修済み新設透光板とを、前記一方の支柱を貫通するワイヤーによって連結する工程、を有することを特徴とする請求項３記載の防音壁の改修方法。
【請求項６】
前記撤去すべき既設透光板の直上に位置する既設吸音板の下縁と、前記両端部がそれぞれ前記互いに向き合った一対の支柱のフランジ外面に設置されている上段枠の上縁と、の隙間を覆う断面Ｌ字状の隙間隠し板を設置する工程を有することを特徴とする請求項１乃至５の何れかに記載の防音壁の改修方法。
【請求項７】
互いにウエブが向き合うように立設されている複数本の断面Ｈ型の支柱と、
該支柱のうち互いに向き合った一対の支柱のそれぞれのウエブ面とフランジ内面とから形成される懐に、両側部が保持されて下方向に落とし込まれて配置された既設吸音板および既設透光板と、を具備する防音壁の改修方法であって、
前記既設透光板のうち撤去すべき既設透光板の直上に位置する既設吸音板を、仮止め手段によって落下不能に仮止めする工程と、
前記撤去すべき既設透光板を破壊または変形させて、前記互いに向き合った一対の支柱の間から撤去する工程と、
前記互いに向き合った一対の支柱のウエブに、前記撤去すべき既設透光板の上方に位置する既設吸音板の落下を防止する既設吸音板支持金具を設置する工程と、
前記撤去すべき既設透光板が撤去された後の空間の底に相当する部分に、上面に凹溝を具備する下段枠を配置し、その両端部をそれぞれ前記互いに向き合った一対の支柱のフランジ前面に設置する工程と、
新規に設置される新設透光板の下縁を前記下段枠の凹溝に装入する工程と、
前記新設透光板の両側縁を、前記互いに向き合った一対の支柱のフランジ外面に略当接する工程と、
前記新設透光板の側縁を保持する縦枠を、前記フランジ外面に設置する工程と、
前記既設透光板の下縁に、前記新設透光板の上縁を覆う隙間隠し板を設置する工程と、
を有する防音壁の改修方法。
【請求項８】
前記新設透光板の後面の上縁と前記隙間隠し板の前面の下縁とに挟まれるように隙間隠しゴム材が設置されていることを特徴とする請求項７記載の防音壁の改修方法。
【請求項９】
前記新設透光板に、前記一対の支柱のうち一方の支柱を隔てて隣接する改修済み新設透光板が存在するとき、
前記新設透光板と前記改修済み新設透光板とを、前記一方の支柱を貫通するワイヤーによって連結する工程、を有することを特徴とする請求項７または８記載の防音壁の改修方法。
【請求項１０】
前記下段枠の両端部または前記上段枠の両端部を、片面締結ボルトを用いて前記フランジ外面に設置することを特徴とする請求項１乃至９の何れかに記載の防音壁の改修方法。
【請求項１１】
前記撤去すべき既設透光板が、ポリカーボネイト板であることを特徴とする請求項１乃至１０の何れかに記載の防音壁の改修方法。
【請求項１２】
前記新設透光板が、アクリル板または繊維補強型のアクリル板であることを特徴とする請求項１乃至１１の何れかに記載の防音壁の改修方法。
【請求項１】
互いにウエブが向き合うように立設されている複数本の断面Ｈ型の支柱と、
該支柱のうち互いに向き合った一対の支柱のそれぞれのウエブ面とフランジ内面とから形成される懐に、両側部が保持されて下方向に落とし込まれて配置された既設吸音板および既設透光板と、を具備する防音壁の改修方法であって、
前記既設透光板のうち撤去すべき既設透光板の直上に位置する既設吸音板を、仮止め手段によって落下不能に仮止めする工程と、
前記撤去すべき既設透光板を破壊または変形させて、前記互いに向き合った一対の支柱の間から撤去する工程と、
前記互いに向き合った一対の支柱のウエブに、前記撤去すべき既設透光板の上方に位置する既設吸音板の落下を防止する既設吸音板支持金具を設置する工程と、
前記撤去すべき既設透光板が撤去された後の空間の底に相当する部分に、上面に凹溝を具備する下段枠を配置し、その両端部をそれぞれ前記互いに向き合った一対の支柱のフランジ外面に設置する工程と、
新規に設置される新設透光板の下縁を、前記下段枠の凹溝に装入する工程と、
前記下縁が前記下段枠の凹溝に装入されている新設透光板の上縁を、下面に凹溝を具備する上段枠に装入する工程と、
前記上段枠の両端部をそれぞれ前記互いに向き合った一対の支柱のフランジ外面に設置する工程と、
前記新設透光板の側縁を保持する縦枠を、前記互いに向き合った一対の支柱のフランジ外面に設置する工程と、
とを有する防音壁の改修方法。
【請求項２】
前記新設透光板に、前記一対の支柱のうち一方の支柱を隔てて隣接する改修済み新設透光板が存在するとき、
前記新設透光板と前記改修済み新設透光板とを、前記一方の支柱を貫通するワイヤーによって連結する工程、を有することを特徴とする請求項１記載の防音壁の改修方法。
【請求項３】
互いにウエブが向き合うように立設されている複数本の断面Ｈ型の支柱と、
該支柱のうち互いに向き合った一対の支柱のそれぞれのウエブ面とフランジ内面とから形成される懐に、両側部が保持されて下方向に落とし込まれて配置された既設吸音板および既設透光板と、を具備する防音壁の改修方法であって、
前記既設透光板のうち撤去すべき既設透光板の直上に位置する既設吸音板を、仮止め手段によって落下不能に仮止めする工程と、
前記撤去すべき既設透光板を破壊または変形させて、前記互いに向き合った一対の支柱の間から撤去する工程と、
前記互いに向き合った一対の支柱のウエブに、前記撤去すべき既設透光板の上方に位置する既設吸音板の落下を防止する既設吸音板支持金具を設置する工程と、
前記撤去すべき既設透光板が撤去された後の空間の底に相当する部分に、上面に凹溝を具備する下段枠を配置し、その両端部をそれぞれ前記互いに向き合った一対の支柱のフランジ外面に設置する工程と、
新規に設置される下段新設透光板の下縁を、前記下段枠の凹溝に装入する工程と、
前記下縁が前記下段枠の凹溝に装入されている下段新設透光板の上縁を、上下面に凹溝を具備する中段枠の下面に形成された凹部に装入する工程と、
前記中段枠の両端部をそれぞれ前記互いに向き合った一対の支柱のフランジ外面に設置する工程と、
新規に設置されるべき上段新設透光板の下縁を、前記中段枠の上面に形成された凹溝に装入する工程と、
前記下縁が前記中段枠の凹部に装入されている上段新設透光板の上縁を、下面に凹溝を具備する上段枠の凹部に装入する工程と、
前記上段枠の両端部をそれぞれ前記互いに向き合った一対の支柱のフランジ外面に設置する工程と、
前記下段新設透光板の側縁および上段新設透光板の側縁を保持する縦枠を、前記互いに向き合った一対の支柱のフランジ外面に設置する工程と、
とを有する防音壁の改修方法。
【請求項４】
前記下段側の新設透光板に、前記一対の支柱のうち一方の支柱を隔てて隣接する改修済み新設透光板が存在するとき、
前記下段側の新設透光板と前記改修済み新設透光板とを、前記一方の支柱を貫通するワイヤーによって連結する工程、を有することを特徴とする請求項３記載の防音壁の改修方法。
【請求項５】
前記上段新設透光板に、前記一対の支柱のうち一方の支柱を隔てて隣接する改修済み新設透光板が存在するとき、
前記上段新設透光板と前記改修済み新設透光板とを、前記一方の支柱を貫通するワイヤーによって連結する工程、を有することを特徴とする請求項３記載の防音壁の改修方法。
【請求項６】
前記撤去すべき既設透光板の直上に位置する既設吸音板の下縁と、前記両端部がそれぞれ前記互いに向き合った一対の支柱のフランジ外面に設置されている上段枠の上縁と、の隙間を覆う断面Ｌ字状の隙間隠し板を設置する工程を有することを特徴とする請求項１乃至５の何れかに記載の防音壁の改修方法。
【請求項７】
互いにウエブが向き合うように立設されている複数本の断面Ｈ型の支柱と、
該支柱のうち互いに向き合った一対の支柱のそれぞれのウエブ面とフランジ内面とから形成される懐に、両側部が保持されて下方向に落とし込まれて配置された既設吸音板および既設透光板と、を具備する防音壁の改修方法であって、
前記既設透光板のうち撤去すべき既設透光板の直上に位置する既設吸音板を、仮止め手段によって落下不能に仮止めする工程と、
前記撤去すべき既設透光板を破壊または変形させて、前記互いに向き合った一対の支柱の間から撤去する工程と、
前記互いに向き合った一対の支柱のウエブに、前記撤去すべき既設透光板の上方に位置する既設吸音板の落下を防止する既設吸音板支持金具を設置する工程と、
前記撤去すべき既設透光板が撤去された後の空間の底に相当する部分に、上面に凹溝を具備する下段枠を配置し、その両端部をそれぞれ前記互いに向き合った一対の支柱のフランジ前面に設置する工程と、
新規に設置される新設透光板の下縁を前記下段枠の凹溝に装入する工程と、
前記新設透光板の両側縁を、前記互いに向き合った一対の支柱のフランジ外面に略当接する工程と、
前記新設透光板の側縁を保持する縦枠を、前記フランジ外面に設置する工程と、
前記既設透光板の下縁に、前記新設透光板の上縁を覆う隙間隠し板を設置する工程と、
を有する防音壁の改修方法。
【請求項８】
前記新設透光板の後面の上縁と前記隙間隠し板の前面の下縁とに挟まれるように隙間隠しゴム材が設置されていることを特徴とする請求項７記載の防音壁の改修方法。
【請求項９】
前記新設透光板に、前記一対の支柱のうち一方の支柱を隔てて隣接する改修済み新設透光板が存在するとき、
前記新設透光板と前記改修済み新設透光板とを、前記一方の支柱を貫通するワイヤーによって連結する工程、を有することを特徴とする請求項７または８記載の防音壁の改修方法。
【請求項１０】
前記下段枠の両端部または前記上段枠の両端部を、片面締結ボルトを用いて前記フランジ外面に設置することを特徴とする請求項１乃至９の何れかに記載の防音壁の改修方法。
【請求項１１】
前記撤去すべき既設透光板が、ポリカーボネイト板であることを特徴とする請求項１乃至１０の何れかに記載の防音壁の改修方法。
【請求項１２】
前記新設透光板が、アクリル板または繊維補強型のアクリル板であることを特徴とする請求項１乃至１１の何れかに記載の防音壁の改修方法。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【図９】
【図１０】
【図１１】
【図１２】
【図１３】
【図１４】
【図１５】
【図１６】
【図１７】
【図１８】
【図１９】
【図２０】
【図２１】
【図２２】
【図２３】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【図９】
【図１０】
【図１１】
【図１２】
【図１３】
【図１４】
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【図１６】
【図１７】
【図１８】
【図１９】
【図２０】
【図２１】
【図２２】
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【公開番号】特開２００９−９１７６２（Ｐ２００９−９１７６２Ａ）
【公開日】平成２１年４月３０日（２００９．４．３０）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００７−２６１８４３（Ｐ２００７−２６１８４３）
【出願日】平成１９年１０月５日（２００７．１０．５）
【出願人】（０００２３１１１０）ＪＦＥ建材株式会社 (150)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２１年４月３０日（２００９．４．３０）
【国際特許分類】
【出願日】平成１９年１０月５日（２００７．１０．５）
【出願人】（０００２３１１１０）ＪＦＥ建材株式会社 (150)
【Ｆターム（参考）】
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