説明

防食電線の劣化評価方法

【課題】使用されているグリースの種類によらず、精度良く防食電線の劣化を評価することができる防食電線の劣化評価方法を提供する。
【解決手段】防食電線に塗布または充填されたグリースの油分の量を測定して初期状態からのグリースの油分の低下量を求め、その低下量に基づいて前記防食電線の劣化を評価する。また、グリース内のアルミ水酸化物の有無を赤外分光法で検出し、その結果も合わせて防食電線の劣化を評価してもよく、グリースに含まれる増ちょう剤の劣化状態を観察し、その結果も合わせて防食電線の劣化を評価してもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、架空送電線や架空地線、光ファイバと電線とを組み合わせた光ファイバ複合架空地線(OPGW)、ワイヤーなどにグリースを塗布または充填した防食電線の劣化評価方法に関する。
【背景技術】
【0002】
防食電線はグリースを塗布または充填した電線であり、グリースを用いない素線構造が同一の電線より腐食劣化しにくいと考えられていた。そのため、沿岸部の海塩や工業地帯の汚損物質による腐食が懸念される個所に採用されてきた。しかし、このような防食電線であっても、時間の経過とともに実装路の周辺の腐食因子の影響を受けて腐食が進行し、機械的・電気的諸性能のレベルが劣化する。また、防食電線と素線構造が同一の電線とを比較したときに、その耐食性に差異がない場合があることも確認されている。
【0003】
そこで、電力会社では、一定期間(例えば、35年以上)経年した送電線から一部の防食電線を採取して機械的性能調査を行い、防食電線の余寿命の診断を行っている。このようにして求められた余寿命の期間内に、実装路から防食電線を撤去して新品と交換(電線張り替え)することで、架空電線路の安全性を確保している。なお、電力会社では、これまでの調査結果から、内部腐食が発生した防食電線は外径が数ミリ増加することが確認されており、このような外径の増加をチェックするために、高倍率望遠鏡等を使用した外観点検も行っている。
【0004】
従来、防食電線の余寿命判断の方法として、X線照射により防食電線の透視画像から劣化状況を検査したり、防食電線の動歪み振幅を測定したりすることにより、その防食電線の劣化レベルを求め、防食電線の張り替えが必要となる規定レベルに達する時期を経験から割り出すことにより、防食電線の張り替えのための期間を求める方法がある(例えば、特許文献1または2参照)。
【0005】
防食電線の実装路は沿岸部や工業地帯など様々であるため、実装路の周辺の腐食因子の影響を受ける防食電線の腐食形態は様々に異なり、その腐食速度も様々に異なっている。このため、特許文献1や2に記載のような経験に基づいた方法では、腐食速度を適正に評価することができず、適正な電線張り替え時期の決定が困難であるという問題があった。
【0006】
この問題を解決するために、防食電線の性能劣化度を測定して得た測定データを、防食電線の実装路の周辺の腐食因子を模擬した加速劣化試験室内で加速劣化試験を行って性能劣化度を測定し作成した条体劣化度のマスターカーブに照合させて、防食電線の以後の余寿命を評価する方法が開発されている(例えば、特許文献3参照)。
【0007】
なお、防食電線に使用されるグリースは、基油が80〜90wt%であり、その他に増ちょう剤10wt%〜20wt%と、微量な酸化防止剤等の添加剤とによって構成されている。その性能はJIS K−2220に規定されており、滴点・離油度・蒸発量が指標となっている。ここで、滴点は使用温度において滴下しないこと、離油度は100℃、24時間で円錐金網から分離する量、蒸発量は加熱空気99℃、22時間で蒸発する量である。
【0008】
主に防食電線導入初期に使用されていたグリース(以下、「旧グリース」という)は、増ちょう剤としてステアリン酸リチウムを用い、乳化(鹸化)させている。この鹸化繊維の中に鉱油を保持し、グリースとしての機能を得るものである。なお、使用されていた年代は、電線メーカーによって異なっている。また、近年多く使用されているグリース(以下、「現グリース」という)は、増ちょう剤としてポリウレア混合による繊維状結合(ウレア結合)に鉱油を保持させるタイプで、耐久性が高くなっている。この旧グリースおよび現グリースの一般的な性能を、表1に示す。
【0009】
【表1】

【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2005−181188号公報
【特許文献2】特開2003−185551号公報
【特許文献3】特開2008−64610号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
電線メーカーは国内でも数社あり、防食電線の素線構造は同一でも、充填されるグリースがメーカー毎に異なっており、技術の進歩とともに変遷をしている。このため、使用されているグリースの耐久性が、電線メーカーや製造時期により異なっている。特許文献3に記載の方法では、電線メーカーや製造時期により異なるグリースの種類毎に、マスターカーブを得る必要があり、その作業量が膨大になるという課題があった。また、現在は製造中止になっており、その耐久性を評価できないグリースもあることから、マスターカーブが得られないことがあるという課題もあった。
【0012】
本発明は、このような課題に着目してなされたもので、使用されているグリースの種類によらず、精度良く防食電線の劣化を評価することができる防食電線の劣化評価方法を提供することを目的としている。
【0013】
また、本発明を開発するにあたり、本発明者等は、まず、外観点検により外径の増加が確認された防食電線を採取し、その腐食状態の観察を行った。その防食電線の腐食観察事例を、以下に示す。
【0014】
(1)Z2SBTACSR(中防食低ロス耐熱)780mmの腐食事例
275kV A線は、経過14年で著しい腐食に至った線路であり、その線路経過地は日本海沿岸に近い。そのため、海塩の影響を受けて腐食が進行すると考えられるが、周囲のACSRに比較して腐食の進展は著しく早かった。その特徴としては、ジャンパー線の腐食が著しく、12mm程度の外径増が確認され、そのグリースは内部の鋼心付近まで油分が消失していた。一方、径間部の腐食程度は、ジャンパー線より小さく、グリースの油分も中間層では消失しているが、鋼心付近では残存していた。
【0015】
(2)PZACSR(高品位アルミ中防食)610mmの腐食事例
154kV B線は、経過37年であり、定期点検時において径間部の電線外径が11mm増大している個所が発見された。赤外線カメラを用いて外径増大個所を観察したところ、常時許容電流の30%程度の潮流において、周囲の電線に比較して約1℃の温度上昇が確認されたことから、早急に張替を行い、撤去電線の調査を実施した。図7に示すように、調査結果としては、圧縮型耐張クランプ先付近に、著しい外径の増大が3個所あり、より線残存強度は規格抗張力の98%に低下しており、グリースは鋼心部まで劣化が進み、油分が失われた状態であった。一方、クランプ先から数m離れると腐食は無く、グリースには油分が残存している状況であった。また、腐食が発生した径間全ての外観点検と径間の1/4付近、1/2付近の解体調査とを行ったが、クランプ先以外は腐食が無いことを確認した。この線路の経過地は太平洋沿岸の工業地帯であり、海側からの風(風向の発生頻度×風速)は、日本海側の1/5程度であるが、海塩および汚損物質の影響で腐食に至ったものと考えられる。
【0016】
このように、防食電線の腐食観察事例からは、グリースが健全であれば防食効果が発揮できていることが確認されている。このことから、本発明者等は、グリースの成分の変化が防食電線の腐食を進展させるものと考え、さらに、グリースの劣化要因として、水分や汚損物質の混入による軟化・漏洩、通電電流による熱劣化等を推定し、これらの要因の確認および特定を行うことにより、本発明に至った。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明に係る防食電線の劣化評価方法は、防食電線に塗布または充填されたグリースの油分の量を測定して初期状態からの前記グリースの油分の低下量を求め、その低下量に基づいて前記防食電線の劣化を評価することを、特徴とする。
本発明に係る防食電線の劣化評価方法は、防食電線に塗布または充填されたグリースの油分の低下量に基づいて評価を行うことにより、使用されているグリースの種類によらず、精度良く防食電線の劣化を評価することができる。
【0018】
本発明に係る防食電線の劣化評価方法は、前記グリースの油分の量が55wt%まで低下したとき、前記防食電線が劣化していると評価してもよい。また、求められたグリースの油分の低下量と防食電線の使用期間とに基づいて、防食電線の腐食発生時期としてグリースの油分が55wt%まで低下する時期を求めてもよい。この場合、防食電線の余寿命を求めることができる。例えば、図6に示すように、初期状態でグリースの油分の量が90wt%で、10年間使用された防食電線のグリースの油分の測定量が70wt%であった場合、10年間でのグリースの油分の低下量は20wt%となり、グリースの油分が55wt%まで低下する時期、すなわち防食電線の腐食発生時期(余寿命)は7.5年後(架線直後からの寿命は17.5年)となる。求められた腐食発生時期までの余寿命の期間内に、余寿命を求めた防食電線に対応する送電線の張り替えを行うことにより、送電線の安全性を確保することができる。
【0019】
本発明に係る防食電線の劣化評価方法は、前記グリース内のアルミ水酸化物の有無を赤外分光法で検出し、その結果も合わせて前記防食電線の劣化を評価してもよい。この場合、防食電線の腐食部位ではグリース内に腐食生成物としてのアルミ水酸化物が存在しているため、グリース内のアルミ水酸化物の有無を検出することにより、防食電線の劣化の評価精度を高めることができる。
【0020】
本発明に係る防食電線の劣化評価方法は、前記グリースに含まれる増ちょう剤の劣化状態を観察し、その結果も合わせて前記防食電線の劣化を評価してもよい。この場合、増ちょう剤の劣化状態とグリースの油分量の低下との間には関係があるものと考えられるため、増ちょう剤の劣化状態を観察することにより、防食電線の劣化の評価精度を高めることができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、使用されているグリースの種類によらず、精度良く防食電線の劣化を評価することができる防食電線の劣化評価方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施の形態の防食電線の劣化評価方法に関する、送電線として使用された防食電線のPZACSR 610mmの(a)グリースの採取位置、(b)腐食部位のグリースの油分量を示す防食電線の断面図である。
【図2】本発明の実施の形態の防食電線の劣化評価方法に関する、加速劣化試験方法を示す説明図である。
【図3】本発明の実施の形態の防食電線の劣化評価方法に関する、(a)ACSR試料、(b)SBACSR試料、(c)ACSR試料+SBACSR試料の加速劣化試験によるグリースの油分量と内層アルミ線の引張荷重残存率との関係を示すグラフである。
【図4】本発明の実施の形態の防食電線の劣化評価方法の、送電線として使用された防食電線のPZACSR 610mmの(a)油分14.7%、(b)油分44.2%、(c)油分49.0%、(d)油分59.0%のグリースのFT−IRスペクトルを示すグラフである。
【図5】本発明の実施の形態の防食電線の劣化評価方法の、送電線として使用された防食電線のPZACSR 610mmの(a)径間1/4付近の健全部位、(b)クランプ付近の腐食部位のグリースに含まれる増ちょう剤の電子顕微鏡写真である。
【図6】本発明に係る防食電線の劣化評価方法の、防食電線の寿命を求めるための経過年数とグリースの油分量との関係の一例を示すグラフである。
【図7】送電線として使用された防食電線のPZACSR 610mmの(a)クランプ付近、(b)径間1/4付近の観察結果を示す図面である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1乃至図5は、本発明の実施の形態の防食電線の劣化評価方法を示している。
以下、具体的な実施例に基づいて、本発明の実施の形態の防食電線の劣化評価方法について説明する。
【実施例1】
【0024】
送電線として使用されていた鋼心アルミより線から成る防食電線の154kV(PZACSR610mm)B線を使用して、グリースの油分の低下量と防食電線の劣化との関係について検討を行った。まず、防食電線のPZACSR610mmは、アルミ素線部が三層構造であるため、それぞれの層間のグリースを採取し、残存油分を測定した。グリースは、専用のペンチを使用して防食電線の外側の層に隙間を設け、そこから採取した。このようにして採取したグリースの重量を測定後、ろ紙で包み、溶剤(ヘキサン)で油分を抽出後、ろ紙内の残渣物重量を測定し、[グリース重量−残渣物重量=油分]の式から残存油分の量を求めた。
【0025】
防食電線の腐食部位および健全部位のグリースの残存油分の測定結果を表2に示す。また、防食電線のグリースの採取位置を図1(a)に、腐食部位のグリースの油分の測定結果を図1(b)に示す。表2および図1(b)に示すように、グリースの初期油分量は、一般的に80wt%〜90wt%であるが、腐食部位では、6本層から18本層に向かって、防食電線の外側になるほど油分の低下量が大きくなっていることが確認された。また、グリースの残存油分が59wt%のときには腐食は発生しておらず、グリースの残存油分が49wt%以下のとき、腐食が発生していることが確認された。腐食していない層や部位でも油分の減少が確認され、今後腐食に進展すると考えられる。
【0026】
【表2】

【0027】
表2に示すように、グリースの油分の低下量と、防食電線の劣化との間には正の相関があることが確認された。このことから、本発明の実施の形態の防食電線の劣化評価方法でグリースの油分の量を測定して初期状態からのグリースの油分の低下量を求めることにより、防食電線の劣化を評価することができるといえる。また、防食電線の使用期間とその間のグリースの油分の低下量とから、防食電線の腐食発生時期を求めることができることも示唆される。
【0028】
鋼心アルミより線から成る防食電線のZ2ACSR410mmの新品と、それを150℃で15日間加熱した加熱劣化品とを用いて、加速劣化試験装置により腐食実験を行った。図2に示すように、実験は、径間部とジャンパー線とを模擬した試料を用いて劣化様相を比較するとともに、素線間の隙間の影響を評価するため、ジャンパー線の弛みを1.5mとして、支持長さを3m、4m、5mとした試料を架線した。なお、加熱劣化品の初期のグリース油分は、防食電線で腐食が発生していない60wt%とした。グリース油分の測定試料として、初期材、径間模擬、JP(ジャンパー模擬)3m、JP4m、JP5mのものを使用した。ジャンパー模擬の測定試料は、弛度底部のものを採取して使用した。この腐食実験の結果を表3に示す。
【0029】
【表3】

【0030】
表3に示すように、径間模擬よりもジャンパー模擬のグリース油分の量が大きく低下しており、加熱劣化品では腐食も発生している。このことから、グリースの油分の低下量と、防食電線の劣化との間には相関があり、グリースの油分が53wt%以下まで低下すると、防食効果が発揮できなくなり腐食が発生していることが確認された。このことから、グリースの油分の量を測定して初期状態からのグリースの油分の低下量を求めることにより、防食電線の劣化を評価することができるといえる。
【0031】
また、表3に示すように、ジャンパーの大きさとグリース油分の低下量との間には明確な関係が認められなかったものの、曲げによる素線間の隙間が防食電線の劣化に影響することが明らかとなった。これは、素線間の隙間から水や汚損物質が浸入することにより、グリースが劣化するためであり、曲げにより隙間が発生するジャンパー線や圧縮による“わらい”の発生する圧縮型耐張クランプ付近では、特に劣化が早く腐食が発生しやすいことを示している。
【0032】
鋼心アルミより線(ACSR)から成る防食電線、および低ロス型鋼心アルミより線(SBACSR)から成る防食電線を使用して、それぞれの新品と、それを150℃で15日間加熱した加熱劣化品とを用いて、図2と同様の方法で腐食実験を行った。測定試料として、初期材、径間模擬、JP(ジャンパー模擬)3m、JP4m、JP5mのものを使用した。ジャンパー模擬の測定試料は、弛度底部のものを採取して使用した。それぞれの測定試料について、グリースの油分量と内層アルミ線の引張荷重残存率との関係を求め、その結果を図3に示す。
【0033】
図3に示すように、ACSRもSBACSRもともに、グリースの油分量が低下すると、アルミ線の引張荷重残存率も低下し、電線の腐食劣化が進行することが確認された。また、グリースの油分量が約55wt%より低くなると、アルミ線の引張荷重残存率は急激に低下し、電線の腐食劣化が急速に進展する傾向が明らかとなった。このことから、グリースの油分の量を測定して初期状態からのグリースの油分の低下量を求めることにより、防食電線の劣化を評価することができるといえる。
【実施例2】
【0034】
送電線として使用されていた鋼心アルミより線から成る防食電線の154kV(PZACSR610mm)B線を使用して、グリース内の腐食生成物としてのアルミ水酸化物の有無と防食電線の劣化との関係について検討を行った。グリース内のアルミ水酸化物の有無を調べるため、FT−IR(フーリエ変換型赤外分光法)により、それぞれ防食電線のグリースの油分14.7%、44.2%、49.0%、59.0%の部位でのグリースのスペクトルを測定した。その測定結果を図4に示す。
【0035】
図4に示すように、特に腐食が進んでいると考えられるグリースの油分14.7%の部位(図4(a))のFT−IRスペクトルでは、OH結合および酸化アルミに起因するピークが明瞭に確認されたが、油分59.0%の健全部位(図4(d))では全く確認されていない。これは、防食電線の素線間の隙間に水や汚損物質が浸入し、腐食生成物であるアルミ水酸化物のAl(OH)が発生したためであると考えられる。なお、図4(d)と比べたときの、図4(a)および(b)でのピーク付近での乱れやベースの上昇は、グリース中に水が混入しているためと推定される。このことから、防食電線のグリース内のアルミ水酸化物の有無を検出することにより、防食電線の劣化を評価することができるといえる。
【実施例3】
【0036】
送電線として使用されていた鋼心アルミより線から成る防食電線の154kV(PZACSR610mm)B線を使用して、グリースに含まれる増ちょう剤の劣化状態と、防食電線の劣化との関係について検討を行った。増ちょう剤は繊維構造をしており、グリースの基油を保持する役割を果たしている。この増ちょう剤の劣化がグリースの劣化に影響を与えると考えられるため、防食電線の腐食部位および健全部位のグリースに含まれる増ちょう剤の状態を、電子顕微鏡により観察した。その観察結果を図5に示す。
【0037】
図5に示すように、腐食部位でも健全部位でも繊維構造は認められず、球体の残渣物が観察された。この残渣物は、時間の経過に伴う海塩や汚損物質等の腐食因子の影響や通電電流の熱の影響により、増ちょう剤の繊維構造が分断・変質したものと考えられる。このように増ちょう剤が分断・変質すると、グリースが軟化・漏洩すると考えられることから、この残渣物が、グリースの基油が漏れ出る原因になっていると推定される。このように、増ちょう剤の劣化は、今後のグリースの油分の低下が早まることを評価できるものである。このことから、増ちょう剤の劣化状態を観察することにより、防食電線の劣化を評価することができるといえる。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
防食電線に塗布または充填されたグリースの油分の量を測定して初期状態からの前記グリースの油分の低下量を求め、その低下量に基づいて前記防食電線の劣化を評価することを、特徴とする防食電線の劣化評価方法。
【請求項2】
前記グリースの油分の量が55wt%まで低下したとき、前記防食電線が劣化していると評価することを、特徴とする請求項1記載の防食電線の劣化評価方法。
【請求項3】
前記グリース内のアルミ水酸化物の有無を赤外分光法で検出し、その結果も合わせて前記防食電線の劣化を評価することを、特徴とする請求項1または2記載の防食電線の劣化評価方法。
【請求項4】
前記グリースに含まれる増ちょう剤の劣化状態を観察し、その結果も合わせて前記防食電線の劣化を評価することを、特徴とする請求項1、2または3記載の防食電線の劣化評価方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−98249(P2012−98249A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−248405(P2010−248405)
【出願日】平成22年11月5日(2010.11.5)
【出願人】(000222037)東北電力株式会社 (228)
【Fターム(参考)】