除塵用フィルタの目詰まり検知装置
【課題】吸気排気装置を設置した後でも容易に設置することができるとともに、継続使用による劣化を抑制することができる除塵用フィルタの目詰まり検知装置を提供する。
【解決手段】風路の吸気口又は排気口となる開口部の外側に着脱自在に設けられ、開口部の外側に取り付けられた場合に、風路の内側と外側との圧力差に基づいて開口部に設けられたフィルタが変形したときの変形量を検知する検知手段と、変形量の検知結果に基づいて、フィルタの目詰まりを判定する判定手段と、を備えた。
【解決手段】風路の吸気口又は排気口となる開口部の外側に着脱自在に設けられ、開口部の外側に取り付けられた場合に、風路の内側と外側との圧力差に基づいて開口部に設けられたフィルタが変形したときの変形量を検知する検知手段と、変形量の検知結果に基づいて、フィルタの目詰まりを判定する判定手段と、を備えた。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、除塵用フィルタの目詰まり検知装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
吸気排気装置には、ダクト等の風路が設けられる。風路の吸気口又は排気口には、除塵用フィルタが設けられる。除塵用フィルタが目詰まりすると、吸気排気装置は所望の吸気又は排気を行うことができない。そこで、除塵用フィルタの目詰まりを検知して、除塵用フィルタを交換する必要がある。
【0003】
除塵用フィルタの目詰まりを検知するものとして、除塵用フィルタの上流側と下流側とで、風路の内側と外側とに圧力センサや光センサを設けた目詰まり検知装置が提案されている。この目詰まり検知装置によれば、風路内側のセンサと風路外側のセンサの出力差が閾値以上になった場合に、除塵用フィルタが目詰まりしていると判定される(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3480414号公報
【0005】
特許文献1記載の目詰まり検知装置においては、風路内にセンサを取り付ける必要がある。吸気排気装置が住宅用換気扇の場合、風路内にセンサを取り付けるための加工が住宅施工時点で必要となる。このため、換気扇の使用者が自ら目詰まり検知装置を後付けで設置することは困難となる。
【0006】
これに対し、カルマン渦方式の目詰まり検知装置が提案されている。この目詰まり検知装置においては、除塵用フィルタの風路下流に、風切り体と検知器とが設けられる。この目詰まり検知装置においては、気流が発生すると、風切り体によって気流が乱れる。気流の乱れにより、カルマン渦が発生する。カルマン渦により、検知器に荷重がかかる。この荷重により、検知器が振動する。この振動の振幅が閾値以下となった場合に、除塵用フィルタが目詰まりしていると判定される。
【0007】
カルマン渦方式の目詰まり検知装置においては、気流が発生している限り、検知器の振動が継続する。このため、検知器は、疲労により劣化する。
【0008】
これに対し、モータ負荷電流方式の目詰まり検知装置が提案されている。この目詰まり検知装置においては、ファンモータの駆動電流が電流センサによって検知される。この電流値が閾値以上となった場合に、除塵用フィルタが目詰まりしていると判定される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、吸気排気装置が住宅用換気扇や業務用換気扇の場合、設置環境によって風路の距離が変わる。風路の距離の変化により、風路での気体の圧力損失も大きく変化する。圧力損失の変化により、ファンモータの負荷も大きく変化する。このため、除塵用フィルタの目詰まりを適切に検知することが困難となる。
【0010】
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、その目的は、吸気排気装置を設置した後でも容易に設置することができるとともに、継続使用による劣化を抑制することができる除塵用フィルタの目詰まり検知装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この発明に係る除塵用フィルタの目詰まり検知装置は、風路の吸気口又は排気口となる開口部の外側に着脱自在に設けられ、前記開口部の外側に取り付けられた場合に、前記風路の内側と外側との圧力差に基づいて前記開口部に設けられたフィルタが変形したときの変形量を検知する検知手段と、前記変形量の検知結果に基づいて、前記フィルタの目詰まりを判定する判定手段と、を備えたものである。
【発明の効果】
【0012】
この発明によれば、吸気排気装置を設置した後でも容易に目詰まり検知装置を設置することができるとともに、継続使用による目詰まり検知装置の劣化を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】この発明の実施の形態1におけるフィルタの目詰まり検知装置が利用された吸気排気装置を説明するための縦断面図である。
【図2】この発明の実施の形態1におけるフィルタの目詰まり検知装置の設置位置を説明するための斜視図である。
【図3】この発明の実施の形態1におけるフィルタの目詰まり検知装置の要部の平面図である。
【図4】この発明の実施の形態1におけるフィルタの目詰まり検知装置の要部の正面図である。
【図5】この発明の実施の形態1におけるフィルタの目詰まり検知装置に利用される圧電ファイバの第1例を説明するための横断面図である。
【図6】この発明の実施の形態1におけるフィルタの目詰まり検知装置に利用される圧電ファイバの第2例を説明するための横断面図である。
【図7】この発明の実施の形態1におけるフィルタの目詰まり検知装置に利用されるセンサ回路を説明するための回路図である。
【図8】この発明の実施の形態1におけるフィルタの目詰まり検知装置の基本動作の第1例を説明するための縦断面図である。
【図9】この発明の実施の形態1におけるフィルタの目詰まり検知装置の基本動作の第2例を説明するための縦断面図である。
【図10】この発明の実施の形態1におけるフィルタの目詰まり検知装置のセンサ出力を説明するためのタイミングチャートである。
【図11】この発明の実施の形態1におけるフィルタの目詰まり検知装置の動作を説明するためのフローチャートである。
【図12】この発明の実施の形態2におけるフィルタの目詰まり検知装置の設置位置を説明するための斜視図である。
【図13】この発明の実施の形態2におけるフィルタの目詰まり検知装置の要部の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
この発明を実施するための形態について添付の図面に従って説明する。なお、各図中、同一又は相当する部分には同一の符号を付しており、その重複説明は適宜に簡略化ないし省略する。
【0015】
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1におけるフィルタの目詰まり検知装置が利用された吸気排気装置を説明するための縦断面図である。
【0016】
図1において、1は吸気排気装置の風路である。例えば、風路1は、両側に開口部を有する管状のダクトからなる。風路1の一端側には、吸気口2が形成される。吸気口2内には、ファンモータ3が設けられる。ファンモータ3の吸気口2側には、回転軸4が設けられる。回転軸4には、ファン5が取り付けられる。
【0017】
風路1の他端側には、排気口6が形成される。排気口6の縁部を縁取るように、除塵用フィルタ枠7が取り付けられる。除塵用フィルタ枠7には、除塵用フィルタ8が取り付けられる。除塵用フィルタ8は、風路1の外側から排気口6を塞ぐように配置される。
【0018】
この吸気排気装置においては、ファンモータ3の回転に追従して、ファン5が回転する。ファン5の回転により、吸気口2から風路1内に気体が流れ込む。当該気体は、排気口6へ向けて風路1内を移動する。当該気体に含まれた塵埃は、除塵用フィルタ8によって除去される。このため、排気口6からは、塵埃の除去された気体が排出される。
【0019】
除塵用フィルタ8が塵埃により目詰まりすると、吸気排気装置は所望の吸気又は排気を行うことができない。そこで、除塵用フィルタ8の目詰まりを検知して、除塵用フィルタ8を交換する必要がある。本実施の形態においては、除塵用フィルタ8の目詰まりを検知するものとして、除塵用フィルタ8の流路下流側で、排気口6の外側に、目詰まり検知装置9が着脱自在に設けられる。
【0020】
次に、図2を用いて、目詰まり検知装置9の設置位置を説明する。
図2はこの発明の実施の形態1におけるフィルタの目詰まり検知装置の設置位置を説明するための斜視図である。
【0021】
図2において、10は目詰まり検知装置9の圧電ファイバである。圧電ファイバ10は、紐状に形成される。圧電ファイバ10は、圧電性を有する。圧電ファイバ10には、張力がかけられる。この状態で、圧電ファイバ10の上端は除塵用フィルタ枠7の上枠中央に取り付けられる。これに対し、圧電ファイバ10の他端は除塵用フィルタ枠7の下枠中央に取り付けられる。その結果、圧電ファイバ10は、長手方向を垂直方向にして除塵用フィルタ8の風路1外側の面の中央部に全体的に接する。
【0022】
次に、図3と図4とを用いて、目詰まり検知装置9を具体的に説明する。
図3はこの発明の実施の形態1におけるフィルタの目詰まり検知装置の要部の平面図である。図4はこの発明の実施の形態1におけるフィルタの目詰まり検知装置の要部の正面図である。
【0023】
図3及び図4において、圧電ファイバ10の風路1外側には、抑え治具11が配置される。抑え治具11の風路1内側には、溝11aが形成される。溝11aは、長手方向を垂直方向とする。溝11aと除塵用フィルタ枠7とによって、圧電ファイバ10の上端が挟み込まれる。この状態で、抑え治具11は、固定部材によって除塵用フィルタ枠7の上枠に固定される。
【0024】
具体的には、圧電ファイバ10の上端の両側では、抑え治具11と除塵用フィルタ枠7の上枠をボルト12が貫通する。ボルト12先端は、風路1内にあるナット13にねじ込まれる。圧電ファイバ10の上端には、判定手段14が接続される。判定手段14は、回路ボックスからなる。判定手段14は、抑え治具11の風路1外側中央に取り付けられる。判定手段14には、報知手段15が設けられる。報知手段15は、例えば、LEDやスピーカからなる。
【0025】
なお、図3及び図4には図示しないが、圧電ファイバ10の下端も同様に取り付けられる。すなわち、圧電ファイバ10の下端は、抑え治具と除塵用フィルタ枠7の下枠とに挟み込まれる。圧電ファイバ10の下端の両側では、抑え治具と除塵用フィルタ枠7の下枠をボルトが貫通する。ボルト先端は、風路1内側のナットにねじ込まれる。
【0026】
次に、図5と図6とを用いて、圧電ファイバ10の構造を説明する。
図5はこの発明の実施の形態1におけるフィルタの目詰まり検知装置に利用される圧電ファイバの第1例を説明するための横断面図である。
【0027】
図5において、10aは内部電極である。内部電極10aは、金属で形成される。例えば、内部電極10aは、白金で形成される。内部電極10aの周りには、圧電層10bが形成される。圧電層10bは、圧電性を有する材料で形成される。例えば、内部電極10aが白金で形成される場合、圧電層10bは、PZT(チタン酸ジルコン酸鉛)で容易に形成される。
【0028】
圧電層10bの周りには、外部電極10cが蒸着等により形成される。外部電極10cは、内部電極10aと同種の金属でもよいし、異種の金属でもよい。例えば、外部電極10cは、電気伝導率の良さを優先して銅で形成される。外部電極10cの周りには、被覆10dが形成される。被覆10dは、絶縁性を有する材料で形成される。
【0029】
図6はこの発明の実施の形態1におけるフィルタの目詰まり検知装置に利用される圧電ファイバの第2例を説明するための横断面図である。
【0030】
図6に示すように、圧電ファイバ10は、積層構造のフィルムを短冊状に切り出して形成される場合もある。この場合、フィルムの厚さ方向中心に、内部電極10aが形成される。内部電極10aを挟み込むように圧電層10bが形成される。圧電層10bを挟み込むように外部電極10cが形成される。外部電極10cを挟み込むように被覆10dが形成される。
【0031】
次に、図7を用いて、判定手段14に収納されたセンサ回路を説明する。
図7はこの発明の実施の形態1におけるフィルタの目詰まり検知装置に利用されるセンサ回路を説明するための回路図である。
【0032】
図7に示すように、センサ回路は、電源16とブリッジ回路とを備える。電源16は、電圧VDDをブリッジ回路に供給する。ブリッジ回路は、固定抵抗17a〜17cと歪みゲージ抵抗18とからなる。固定抵抗17a〜17cの抵抗値はRである。歪みゲージ抵抗18の抵抗値は、Rsensorである。Rsensorは、圧電ファイバ10の抵抗値に対応したものである。
【0033】
固定抵抗17aの一端と固定抵抗17bの一端とは、電源16の負極に接続される。固定抵抗17cの一端と歪みゲージ抵抗18の一端とは、電源16の正極に接続される。固定抵抗17bの他端と固定抵抗17cの他端とは、互いに接続される。固定抵抗17aの他端と歪みゲージ抵抗18の他端とは、互いに接続される。
【0034】
センサ回路の出力端の一方は、固定抵抗17bの他端と固定抵抗17cの他端との接続部に接続される。センサ回路の出力端の他方は、固定抵抗17aの他端と歪みゲージ抵抗18の他端との接続点に接続される。これらの出力端の電位差がセンサ出力Voutとして検知される。
【0035】
次に、図8と図9とを用いて、圧電ファイバ10の変形を説明する。
図8はこの発明の実施の形態1におけるフィルタの目詰まり検知装置の基本動作の第1例を説明するための縦断面図である。図9はこの発明の実施の形態1におけるフィルタの目詰まり検知装置の基本動作の第2例を説明するための縦断面図である。
【0036】
ファン5が回転すると、風路1内に気流が生じる。除塵用フィルタ8に目詰まりすると、除塵用フィルタ8で圧力損失が発生する。その結果、除塵用フィルタ8の上流側と下流側とで、気圧差が生じる。この気圧差に応じて、除塵用フィルタ8は、中央の移動量が最も大きくなるように風路1外側に変形する。
【0037】
すなわち、除塵用フィルタ8が目詰まりする前は、除塵用フィルタ8の上流側と下流側の気圧差が小さい。このため、図8に示すように、除塵用フィルタ8の変形量は少ない。これに対し、除塵用フィルタ8が目詰まりした後は、除塵用フィルタ8の上流側と下流側の気圧差が大きい。このため、図9に示すように、除塵用フィルタ8の変形量は大きくなる。
【0038】
このとき、変形した除塵用フィルタ8から圧電ファイバ10が荷重を受ける。この荷重により、圧電ファイバ10も変形する。圧電ファイバ10は、変形量に応じて、抵抗値を変化させる。この際、センサ回路のブリッジ回路の平衡状態が崩れる。これにより、センサ回路の出力端に電位差が生じる。この電位差がセンサ出力Voutとして検知される。
【0039】
次に、図10を用いて、除塵用フィルタ8の目詰まり量とセンサ出力の関係を説明する。
図10はこの発明の実施の形態1におけるフィルタの目詰まり検知装置のセンサ出力を説明するためのタイミングチャートである。
【0040】
図10の横軸は時間である。図10の最上段の縦軸は、ファンモータ3の投入電力である。図10の上から2段目の縦軸は、除塵用フィルタ8の変形量である。図10の上から3段目の縦軸は、センサ回路のセンサ出力Voutである。図10の最下段の縦軸は、センサ出力Voutに基づいた演算値である。
【0041】
図10の2段目〜最下段の(a)は、除塵用フィルタ8の目詰まり量の値が大きい場合の特性である。図10の2段目〜最下段の(b)は、除塵用フィルタ8の目詰まり量の値が小さくもなく大きくもない場合の特性である。図10の2段目〜最下段の(c)は、除塵用フィルタ8の目詰まり量の値が小さい場合の特性である。
【0042】
図10に示すように、ファンモータ3の電源が投入されると、ファン5が回転する。この回転により、風路1を通過する風量が増大する。風量の増大に伴って、除塵用フィルタ8の変形量が増加する。除塵用フィルタ8の変形量は、ある時間を過ぎると、定常状態となり、一定値を維持する。
【0043】
除塵用フィルタ8の変形に伴って、圧電ファイバ10も変形する。このため、センサ出力Voutは、除塵用フィルタ8の変形量の時間的変化率に応じて大きくなる。その後、除塵用フィルタ8の変形量が定常状態になると、センサ出力Voutは0となる。
【0044】
演算値は、センサ出力Voutを一定時間取得して積分したときの値である。このため、図10の最下段に示すように、演算値は、センサ出力Voutの極大値の増加につれて大きくなる。すなわち、演算値も、除塵用フィルタ8の目詰まり量が増加するにつれて大きくなる。
【0045】
このように、除塵用フィルタ8の変形量は、圧電ファイバ10の変形量を介して検知される。すなわち、圧電ファイバ10は、除塵用フィルタ8の変形量を検知する検知手段として機能する。
【0046】
本実施の形態においては、判定手段14は、演算値の結果に基づいて、除塵用フィルタ8の目詰まりを判定する。以下、図11を用いて、除塵用フィルタ8の目詰まりを判定する際の動作を説明する。
【0047】
図11はこの発明の実施の形態1におけるフィルタの目詰まり検知装置の動作を説明するためのフローチャートである。
【0048】
まず、ステップS1で吸気排気装置の電源が投入されると、ステップS2に進む。ステップS2では、ファンモータ3が回転動作を開始し、ステップS3に進む。ステップS3では、判定手段14が一定時間分のセンサ出力Voutを取得する。その後、判定手段14がセンサ出力Voutの積分値を演算し、ステップS4に進む。
【0049】
ステップS4では、判定手段14は、センサ出力Voutの演算結果が判定閾値以上か否かを判定する。センサ出力Voutの演算結果が判定閾値Sthrよりも小さい場合、判定手段14は、除塵用フィルタ8が目詰まりしていないと判定し、ステップS5に進む。ステップS5では、ファンモータ3の回転動作が継続され、判定処理が終了する。
【0050】
なお、前記の判定閾値Sthrを、目詰まり量の小さい状態(c)、すなわち、設置初期での演算値Scの例えば2倍と設定し、前記の判定動作を行う。
【0051】
これに対し、センサ出力Voutの演算結果が判定閾値以上の場合、判定手段14は、除塵用フィルタ8が目詰まりしていると判定し、ステップS6に進む。ステップS6では、報知手段15が光ったり音を出したりして、除塵用フィルタ8が目詰まりしていることを報知する。その後、ステップS7に進み、ファンモータ3の回転動作が停止し、判定処理が終了する。
【0052】
なお、吸気排気装置の電源が既に投入されているときに除塵用フィルタ8の目詰まりを判定する場合は、一旦、吸気排気装置の電源が遮断される。その後、再び、吸気排気装置の電源が投入される。この電源の再投入により、図11で説明した動作で、除塵用フィルタ8の目詰まりが判定される。
【0053】
以上で説明した実施の形態1によれば、圧電ファイバ10は、排気口6の外側に着脱自在に設けられる。判定手段14は、風路1の外側に着脱自在に設けられる。このため、目詰まり検知装置9を取り付けるための加工を風路1に行う必要がない。これにより、吸気排気装置を設置した後でも目詰まり検知装置9を容易に設置することができる。この構成によれば、風路1と除塵用フィルタ8との間に隙間ができることはない。このため、風路1と除塵用フィルタ8との間から気体が漏れることもない。また、吸気排気装置の動作中、圧電ファイバ10の振動が継続することはない。このため、継続使用による劣化を抑制することができる。
【0054】
また、除塵用フィルタ8は、中央の移動量が最も大きくなるように風路1外側に変形する。これに対し、本実施の形態においては、除塵用フィルタ8の目詰まりを判定するための値として、除塵用フィルタ8の中央の変形量が利用される。このため、目詰まり検知装置9の感度を高めることができる。
【0055】
また、圧電ファイバ10の変形量に応じた演算値が判定閾値以上の場合に、除塵用フィルタ8が目詰まりしていると判定される。具体的には、除塵用フィルタ8の目詰まりは、回路ブロックのセンサ出力Voutに基づいて判定される。このため、簡単な構成で、除塵用フィルタ8の目詰まりを検知することができる。
【0056】
この際、圧電ファイバ10の変形量に応じた演算値を、除塵用フィルタ8の目詰まり前の変形量に応じた演算値と比較してもよい。この場合、これらの演算値の差が所定の閾値以上の場合に、除塵用フィルタ8が目詰まりしていると判定すればよい。この判定方法によれば、除塵用フィルタ8の目詰まりの影響のみを考慮して、除塵用フィルタ8の変形量が検知される。このため、より適切に、除塵用フィルタ8の目詰まりを検知することができる。
【0057】
また、除塵用フィルタ8が目詰まりしていると判定された場合は、その旨が報知手段15により周囲に報知される。このため、吸気排気装置の使用者に対して、除塵用フィルタ8の交換を促すことができる。これにより、使用者は、除塵用フィルタ8の交換時期を適切に判断することができる。
【0058】
すなわち、除塵用フィルタ8が目詰まりしている状態の吸気排気装置で所望の吸気又は排気を行う必要がない。このため、ファンモータ3の出力を必要以上に上げる必要がない。これにより、吸気排気装置の消費電力を抑制することができる。
【0059】
なお、風路1内に発熱体を配置して冷却するための吸気排気装置に目詰まり検知装置9を利用してもよい。この場合、発熱体の冷却に適した吸気及び換気を行うことができる。
【0060】
また、圧電ファイバ10は、長手方向を垂直方向にして除塵用フィルタ8の中央に接するように配置してもよい。この場合でも、実施の形態1と同様の効果を得ることができる。
【0061】
また、除塵用フィルタ8の設置位置を実施の形態1の位置に限定する必要はない。すなわち、吸気口2に除塵用フィルタ8を設置する吸気排気装置においては、吸気口2の外側に検知手段等を着脱自在に設ければよい。この場合も、実施の形態1と同様の効果を得ることができる。
【0062】
また、除塵用フィルタ8の目詰まりを報知する手段として、無線通信手段を利用してもよい。具体的には、回路ボックス内に無線送信手段を設け、無線送信手段との通信が可能な範囲内の任意の位置に、無線受信手段を設ければよい。この場合、使用者が無線受信手段を携帯することができる。このため、吸気排気装置の使用者に対して、除塵用フィルタ8が目詰まりしていることをより確実に報知することができる。
【0063】
実施の形態2.
図12はこの発明の実施の形態2におけるフィルタの目詰まり検知装置の設置位置を説明するための斜視図である。図13はこの発明の実施の形態2におけるフィルタの目詰まり検知装置の要部の平面図である。なお、実施の形態1と同一又は相当部分には同一符号を付して説明を省略する。
【0064】
実施の形態1の判定手段14は、抑え治具11の風路1外側中央に取り付けられていた。一方、実施の形態2の判定手段14は、抑え治具11の一側で除塵用フィルタ枠7の上枠に取り付けられている。
【0065】
以上で説明した実施の形態2によれば、実施の形態1と同様の効果を得ることができる。
【0066】
なお、圧電ファイバ10の設置位置を除塵用フィルタ8の流路下流側に限定する必要はない。すなわち、除塵用フィルタ8の変形に連動して圧電ファイバ10も変形するようにすればよい。例えば、除塵用フィルタ8の流路上流側に接するように圧電ファイバ10を設置してもよい。この場合も、実施の形態1及び2と同様の効果を得ることができる。
【0067】
また、実施の形態1及び2においては、検知手段として圧電ファイバ10を用いた場合を説明した。しかしながら、検知手段は、画像認識装置でもよい。この場合、画像認識により、除塵用フィルタ8の変形量を検知すればよい。この場合も、吸気排気装置を設置した後でも目詰まり検知装置9を容易に設置することができる。また、継続使用による目詰まり検知装置9の劣化を抑制することができる。
【0068】
また、実施の形態1及び2の目詰まり検知装置9は、家庭用換気扇や業務用換気扇の他、プロジェクタ、電気掃除機、除加湿器等、除塵用フィルタ8に相当するフィルタを利用したものに適用することができる。
【符号の説明】
【0069】
1 風路
2 吸気口
3 ファンモータ
4 回転軸
5 ファン
6 排気口
7 除塵用フィルタ枠
8 除塵用フィルタ
9 目詰まり検知装置
10 圧電ファイバ
10a 内部電極
10b 圧電層
10c 外部電極
10d 被覆
11 抑え治具
11a 溝
12 ボルト
13 ナット
14 判定手段
15 報知手段
16 電源
17a〜17c 固定抵抗
18 歪みゲージ抵抗
【技術分野】
【0001】
この発明は、除塵用フィルタの目詰まり検知装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
吸気排気装置には、ダクト等の風路が設けられる。風路の吸気口又は排気口には、除塵用フィルタが設けられる。除塵用フィルタが目詰まりすると、吸気排気装置は所望の吸気又は排気を行うことができない。そこで、除塵用フィルタの目詰まりを検知して、除塵用フィルタを交換する必要がある。
【0003】
除塵用フィルタの目詰まりを検知するものとして、除塵用フィルタの上流側と下流側とで、風路の内側と外側とに圧力センサや光センサを設けた目詰まり検知装置が提案されている。この目詰まり検知装置によれば、風路内側のセンサと風路外側のセンサの出力差が閾値以上になった場合に、除塵用フィルタが目詰まりしていると判定される(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3480414号公報
【0005】
特許文献1記載の目詰まり検知装置においては、風路内にセンサを取り付ける必要がある。吸気排気装置が住宅用換気扇の場合、風路内にセンサを取り付けるための加工が住宅施工時点で必要となる。このため、換気扇の使用者が自ら目詰まり検知装置を後付けで設置することは困難となる。
【0006】
これに対し、カルマン渦方式の目詰まり検知装置が提案されている。この目詰まり検知装置においては、除塵用フィルタの風路下流に、風切り体と検知器とが設けられる。この目詰まり検知装置においては、気流が発生すると、風切り体によって気流が乱れる。気流の乱れにより、カルマン渦が発生する。カルマン渦により、検知器に荷重がかかる。この荷重により、検知器が振動する。この振動の振幅が閾値以下となった場合に、除塵用フィルタが目詰まりしていると判定される。
【0007】
カルマン渦方式の目詰まり検知装置においては、気流が発生している限り、検知器の振動が継続する。このため、検知器は、疲労により劣化する。
【0008】
これに対し、モータ負荷電流方式の目詰まり検知装置が提案されている。この目詰まり検知装置においては、ファンモータの駆動電流が電流センサによって検知される。この電流値が閾値以上となった場合に、除塵用フィルタが目詰まりしていると判定される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、吸気排気装置が住宅用換気扇や業務用換気扇の場合、設置環境によって風路の距離が変わる。風路の距離の変化により、風路での気体の圧力損失も大きく変化する。圧力損失の変化により、ファンモータの負荷も大きく変化する。このため、除塵用フィルタの目詰まりを適切に検知することが困難となる。
【0010】
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、その目的は、吸気排気装置を設置した後でも容易に設置することができるとともに、継続使用による劣化を抑制することができる除塵用フィルタの目詰まり検知装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この発明に係る除塵用フィルタの目詰まり検知装置は、風路の吸気口又は排気口となる開口部の外側に着脱自在に設けられ、前記開口部の外側に取り付けられた場合に、前記風路の内側と外側との圧力差に基づいて前記開口部に設けられたフィルタが変形したときの変形量を検知する検知手段と、前記変形量の検知結果に基づいて、前記フィルタの目詰まりを判定する判定手段と、を備えたものである。
【発明の効果】
【0012】
この発明によれば、吸気排気装置を設置した後でも容易に目詰まり検知装置を設置することができるとともに、継続使用による目詰まり検知装置の劣化を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】この発明の実施の形態1におけるフィルタの目詰まり検知装置が利用された吸気排気装置を説明するための縦断面図である。
【図2】この発明の実施の形態1におけるフィルタの目詰まり検知装置の設置位置を説明するための斜視図である。
【図3】この発明の実施の形態1におけるフィルタの目詰まり検知装置の要部の平面図である。
【図4】この発明の実施の形態1におけるフィルタの目詰まり検知装置の要部の正面図である。
【図5】この発明の実施の形態1におけるフィルタの目詰まり検知装置に利用される圧電ファイバの第1例を説明するための横断面図である。
【図6】この発明の実施の形態1におけるフィルタの目詰まり検知装置に利用される圧電ファイバの第2例を説明するための横断面図である。
【図7】この発明の実施の形態1におけるフィルタの目詰まり検知装置に利用されるセンサ回路を説明するための回路図である。
【図8】この発明の実施の形態1におけるフィルタの目詰まり検知装置の基本動作の第1例を説明するための縦断面図である。
【図9】この発明の実施の形態1におけるフィルタの目詰まり検知装置の基本動作の第2例を説明するための縦断面図である。
【図10】この発明の実施の形態1におけるフィルタの目詰まり検知装置のセンサ出力を説明するためのタイミングチャートである。
【図11】この発明の実施の形態1におけるフィルタの目詰まり検知装置の動作を説明するためのフローチャートである。
【図12】この発明の実施の形態2におけるフィルタの目詰まり検知装置の設置位置を説明するための斜視図である。
【図13】この発明の実施の形態2におけるフィルタの目詰まり検知装置の要部の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
この発明を実施するための形態について添付の図面に従って説明する。なお、各図中、同一又は相当する部分には同一の符号を付しており、その重複説明は適宜に簡略化ないし省略する。
【0015】
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1におけるフィルタの目詰まり検知装置が利用された吸気排気装置を説明するための縦断面図である。
【0016】
図1において、1は吸気排気装置の風路である。例えば、風路1は、両側に開口部を有する管状のダクトからなる。風路1の一端側には、吸気口2が形成される。吸気口2内には、ファンモータ3が設けられる。ファンモータ3の吸気口2側には、回転軸4が設けられる。回転軸4には、ファン5が取り付けられる。
【0017】
風路1の他端側には、排気口6が形成される。排気口6の縁部を縁取るように、除塵用フィルタ枠7が取り付けられる。除塵用フィルタ枠7には、除塵用フィルタ8が取り付けられる。除塵用フィルタ8は、風路1の外側から排気口6を塞ぐように配置される。
【0018】
この吸気排気装置においては、ファンモータ3の回転に追従して、ファン5が回転する。ファン5の回転により、吸気口2から風路1内に気体が流れ込む。当該気体は、排気口6へ向けて風路1内を移動する。当該気体に含まれた塵埃は、除塵用フィルタ8によって除去される。このため、排気口6からは、塵埃の除去された気体が排出される。
【0019】
除塵用フィルタ8が塵埃により目詰まりすると、吸気排気装置は所望の吸気又は排気を行うことができない。そこで、除塵用フィルタ8の目詰まりを検知して、除塵用フィルタ8を交換する必要がある。本実施の形態においては、除塵用フィルタ8の目詰まりを検知するものとして、除塵用フィルタ8の流路下流側で、排気口6の外側に、目詰まり検知装置9が着脱自在に設けられる。
【0020】
次に、図2を用いて、目詰まり検知装置9の設置位置を説明する。
図2はこの発明の実施の形態1におけるフィルタの目詰まり検知装置の設置位置を説明するための斜視図である。
【0021】
図2において、10は目詰まり検知装置9の圧電ファイバである。圧電ファイバ10は、紐状に形成される。圧電ファイバ10は、圧電性を有する。圧電ファイバ10には、張力がかけられる。この状態で、圧電ファイバ10の上端は除塵用フィルタ枠7の上枠中央に取り付けられる。これに対し、圧電ファイバ10の他端は除塵用フィルタ枠7の下枠中央に取り付けられる。その結果、圧電ファイバ10は、長手方向を垂直方向にして除塵用フィルタ8の風路1外側の面の中央部に全体的に接する。
【0022】
次に、図3と図4とを用いて、目詰まり検知装置9を具体的に説明する。
図3はこの発明の実施の形態1におけるフィルタの目詰まり検知装置の要部の平面図である。図4はこの発明の実施の形態1におけるフィルタの目詰まり検知装置の要部の正面図である。
【0023】
図3及び図4において、圧電ファイバ10の風路1外側には、抑え治具11が配置される。抑え治具11の風路1内側には、溝11aが形成される。溝11aは、長手方向を垂直方向とする。溝11aと除塵用フィルタ枠7とによって、圧電ファイバ10の上端が挟み込まれる。この状態で、抑え治具11は、固定部材によって除塵用フィルタ枠7の上枠に固定される。
【0024】
具体的には、圧電ファイバ10の上端の両側では、抑え治具11と除塵用フィルタ枠7の上枠をボルト12が貫通する。ボルト12先端は、風路1内にあるナット13にねじ込まれる。圧電ファイバ10の上端には、判定手段14が接続される。判定手段14は、回路ボックスからなる。判定手段14は、抑え治具11の風路1外側中央に取り付けられる。判定手段14には、報知手段15が設けられる。報知手段15は、例えば、LEDやスピーカからなる。
【0025】
なお、図3及び図4には図示しないが、圧電ファイバ10の下端も同様に取り付けられる。すなわち、圧電ファイバ10の下端は、抑え治具と除塵用フィルタ枠7の下枠とに挟み込まれる。圧電ファイバ10の下端の両側では、抑え治具と除塵用フィルタ枠7の下枠をボルトが貫通する。ボルト先端は、風路1内側のナットにねじ込まれる。
【0026】
次に、図5と図6とを用いて、圧電ファイバ10の構造を説明する。
図5はこの発明の実施の形態1におけるフィルタの目詰まり検知装置に利用される圧電ファイバの第1例を説明するための横断面図である。
【0027】
図5において、10aは内部電極である。内部電極10aは、金属で形成される。例えば、内部電極10aは、白金で形成される。内部電極10aの周りには、圧電層10bが形成される。圧電層10bは、圧電性を有する材料で形成される。例えば、内部電極10aが白金で形成される場合、圧電層10bは、PZT(チタン酸ジルコン酸鉛)で容易に形成される。
【0028】
圧電層10bの周りには、外部電極10cが蒸着等により形成される。外部電極10cは、内部電極10aと同種の金属でもよいし、異種の金属でもよい。例えば、外部電極10cは、電気伝導率の良さを優先して銅で形成される。外部電極10cの周りには、被覆10dが形成される。被覆10dは、絶縁性を有する材料で形成される。
【0029】
図6はこの発明の実施の形態1におけるフィルタの目詰まり検知装置に利用される圧電ファイバの第2例を説明するための横断面図である。
【0030】
図6に示すように、圧電ファイバ10は、積層構造のフィルムを短冊状に切り出して形成される場合もある。この場合、フィルムの厚さ方向中心に、内部電極10aが形成される。内部電極10aを挟み込むように圧電層10bが形成される。圧電層10bを挟み込むように外部電極10cが形成される。外部電極10cを挟み込むように被覆10dが形成される。
【0031】
次に、図7を用いて、判定手段14に収納されたセンサ回路を説明する。
図7はこの発明の実施の形態1におけるフィルタの目詰まり検知装置に利用されるセンサ回路を説明するための回路図である。
【0032】
図7に示すように、センサ回路は、電源16とブリッジ回路とを備える。電源16は、電圧VDDをブリッジ回路に供給する。ブリッジ回路は、固定抵抗17a〜17cと歪みゲージ抵抗18とからなる。固定抵抗17a〜17cの抵抗値はRである。歪みゲージ抵抗18の抵抗値は、Rsensorである。Rsensorは、圧電ファイバ10の抵抗値に対応したものである。
【0033】
固定抵抗17aの一端と固定抵抗17bの一端とは、電源16の負極に接続される。固定抵抗17cの一端と歪みゲージ抵抗18の一端とは、電源16の正極に接続される。固定抵抗17bの他端と固定抵抗17cの他端とは、互いに接続される。固定抵抗17aの他端と歪みゲージ抵抗18の他端とは、互いに接続される。
【0034】
センサ回路の出力端の一方は、固定抵抗17bの他端と固定抵抗17cの他端との接続部に接続される。センサ回路の出力端の他方は、固定抵抗17aの他端と歪みゲージ抵抗18の他端との接続点に接続される。これらの出力端の電位差がセンサ出力Voutとして検知される。
【0035】
次に、図8と図9とを用いて、圧電ファイバ10の変形を説明する。
図8はこの発明の実施の形態1におけるフィルタの目詰まり検知装置の基本動作の第1例を説明するための縦断面図である。図9はこの発明の実施の形態1におけるフィルタの目詰まり検知装置の基本動作の第2例を説明するための縦断面図である。
【0036】
ファン5が回転すると、風路1内に気流が生じる。除塵用フィルタ8に目詰まりすると、除塵用フィルタ8で圧力損失が発生する。その結果、除塵用フィルタ8の上流側と下流側とで、気圧差が生じる。この気圧差に応じて、除塵用フィルタ8は、中央の移動量が最も大きくなるように風路1外側に変形する。
【0037】
すなわち、除塵用フィルタ8が目詰まりする前は、除塵用フィルタ8の上流側と下流側の気圧差が小さい。このため、図8に示すように、除塵用フィルタ8の変形量は少ない。これに対し、除塵用フィルタ8が目詰まりした後は、除塵用フィルタ8の上流側と下流側の気圧差が大きい。このため、図9に示すように、除塵用フィルタ8の変形量は大きくなる。
【0038】
このとき、変形した除塵用フィルタ8から圧電ファイバ10が荷重を受ける。この荷重により、圧電ファイバ10も変形する。圧電ファイバ10は、変形量に応じて、抵抗値を変化させる。この際、センサ回路のブリッジ回路の平衡状態が崩れる。これにより、センサ回路の出力端に電位差が生じる。この電位差がセンサ出力Voutとして検知される。
【0039】
次に、図10を用いて、除塵用フィルタ8の目詰まり量とセンサ出力の関係を説明する。
図10はこの発明の実施の形態1におけるフィルタの目詰まり検知装置のセンサ出力を説明するためのタイミングチャートである。
【0040】
図10の横軸は時間である。図10の最上段の縦軸は、ファンモータ3の投入電力である。図10の上から2段目の縦軸は、除塵用フィルタ8の変形量である。図10の上から3段目の縦軸は、センサ回路のセンサ出力Voutである。図10の最下段の縦軸は、センサ出力Voutに基づいた演算値である。
【0041】
図10の2段目〜最下段の(a)は、除塵用フィルタ8の目詰まり量の値が大きい場合の特性である。図10の2段目〜最下段の(b)は、除塵用フィルタ8の目詰まり量の値が小さくもなく大きくもない場合の特性である。図10の2段目〜最下段の(c)は、除塵用フィルタ8の目詰まり量の値が小さい場合の特性である。
【0042】
図10に示すように、ファンモータ3の電源が投入されると、ファン5が回転する。この回転により、風路1を通過する風量が増大する。風量の増大に伴って、除塵用フィルタ8の変形量が増加する。除塵用フィルタ8の変形量は、ある時間を過ぎると、定常状態となり、一定値を維持する。
【0043】
除塵用フィルタ8の変形に伴って、圧電ファイバ10も変形する。このため、センサ出力Voutは、除塵用フィルタ8の変形量の時間的変化率に応じて大きくなる。その後、除塵用フィルタ8の変形量が定常状態になると、センサ出力Voutは0となる。
【0044】
演算値は、センサ出力Voutを一定時間取得して積分したときの値である。このため、図10の最下段に示すように、演算値は、センサ出力Voutの極大値の増加につれて大きくなる。すなわち、演算値も、除塵用フィルタ8の目詰まり量が増加するにつれて大きくなる。
【0045】
このように、除塵用フィルタ8の変形量は、圧電ファイバ10の変形量を介して検知される。すなわち、圧電ファイバ10は、除塵用フィルタ8の変形量を検知する検知手段として機能する。
【0046】
本実施の形態においては、判定手段14は、演算値の結果に基づいて、除塵用フィルタ8の目詰まりを判定する。以下、図11を用いて、除塵用フィルタ8の目詰まりを判定する際の動作を説明する。
【0047】
図11はこの発明の実施の形態1におけるフィルタの目詰まり検知装置の動作を説明するためのフローチャートである。
【0048】
まず、ステップS1で吸気排気装置の電源が投入されると、ステップS2に進む。ステップS2では、ファンモータ3が回転動作を開始し、ステップS3に進む。ステップS3では、判定手段14が一定時間分のセンサ出力Voutを取得する。その後、判定手段14がセンサ出力Voutの積分値を演算し、ステップS4に進む。
【0049】
ステップS4では、判定手段14は、センサ出力Voutの演算結果が判定閾値以上か否かを判定する。センサ出力Voutの演算結果が判定閾値Sthrよりも小さい場合、判定手段14は、除塵用フィルタ8が目詰まりしていないと判定し、ステップS5に進む。ステップS5では、ファンモータ3の回転動作が継続され、判定処理が終了する。
【0050】
なお、前記の判定閾値Sthrを、目詰まり量の小さい状態(c)、すなわち、設置初期での演算値Scの例えば2倍と設定し、前記の判定動作を行う。
【0051】
これに対し、センサ出力Voutの演算結果が判定閾値以上の場合、判定手段14は、除塵用フィルタ8が目詰まりしていると判定し、ステップS6に進む。ステップS6では、報知手段15が光ったり音を出したりして、除塵用フィルタ8が目詰まりしていることを報知する。その後、ステップS7に進み、ファンモータ3の回転動作が停止し、判定処理が終了する。
【0052】
なお、吸気排気装置の電源が既に投入されているときに除塵用フィルタ8の目詰まりを判定する場合は、一旦、吸気排気装置の電源が遮断される。その後、再び、吸気排気装置の電源が投入される。この電源の再投入により、図11で説明した動作で、除塵用フィルタ8の目詰まりが判定される。
【0053】
以上で説明した実施の形態1によれば、圧電ファイバ10は、排気口6の外側に着脱自在に設けられる。判定手段14は、風路1の外側に着脱自在に設けられる。このため、目詰まり検知装置9を取り付けるための加工を風路1に行う必要がない。これにより、吸気排気装置を設置した後でも目詰まり検知装置9を容易に設置することができる。この構成によれば、風路1と除塵用フィルタ8との間に隙間ができることはない。このため、風路1と除塵用フィルタ8との間から気体が漏れることもない。また、吸気排気装置の動作中、圧電ファイバ10の振動が継続することはない。このため、継続使用による劣化を抑制することができる。
【0054】
また、除塵用フィルタ8は、中央の移動量が最も大きくなるように風路1外側に変形する。これに対し、本実施の形態においては、除塵用フィルタ8の目詰まりを判定するための値として、除塵用フィルタ8の中央の変形量が利用される。このため、目詰まり検知装置9の感度を高めることができる。
【0055】
また、圧電ファイバ10の変形量に応じた演算値が判定閾値以上の場合に、除塵用フィルタ8が目詰まりしていると判定される。具体的には、除塵用フィルタ8の目詰まりは、回路ブロックのセンサ出力Voutに基づいて判定される。このため、簡単な構成で、除塵用フィルタ8の目詰まりを検知することができる。
【0056】
この際、圧電ファイバ10の変形量に応じた演算値を、除塵用フィルタ8の目詰まり前の変形量に応じた演算値と比較してもよい。この場合、これらの演算値の差が所定の閾値以上の場合に、除塵用フィルタ8が目詰まりしていると判定すればよい。この判定方法によれば、除塵用フィルタ8の目詰まりの影響のみを考慮して、除塵用フィルタ8の変形量が検知される。このため、より適切に、除塵用フィルタ8の目詰まりを検知することができる。
【0057】
また、除塵用フィルタ8が目詰まりしていると判定された場合は、その旨が報知手段15により周囲に報知される。このため、吸気排気装置の使用者に対して、除塵用フィルタ8の交換を促すことができる。これにより、使用者は、除塵用フィルタ8の交換時期を適切に判断することができる。
【0058】
すなわち、除塵用フィルタ8が目詰まりしている状態の吸気排気装置で所望の吸気又は排気を行う必要がない。このため、ファンモータ3の出力を必要以上に上げる必要がない。これにより、吸気排気装置の消費電力を抑制することができる。
【0059】
なお、風路1内に発熱体を配置して冷却するための吸気排気装置に目詰まり検知装置9を利用してもよい。この場合、発熱体の冷却に適した吸気及び換気を行うことができる。
【0060】
また、圧電ファイバ10は、長手方向を垂直方向にして除塵用フィルタ8の中央に接するように配置してもよい。この場合でも、実施の形態1と同様の効果を得ることができる。
【0061】
また、除塵用フィルタ8の設置位置を実施の形態1の位置に限定する必要はない。すなわち、吸気口2に除塵用フィルタ8を設置する吸気排気装置においては、吸気口2の外側に検知手段等を着脱自在に設ければよい。この場合も、実施の形態1と同様の効果を得ることができる。
【0062】
また、除塵用フィルタ8の目詰まりを報知する手段として、無線通信手段を利用してもよい。具体的には、回路ボックス内に無線送信手段を設け、無線送信手段との通信が可能な範囲内の任意の位置に、無線受信手段を設ければよい。この場合、使用者が無線受信手段を携帯することができる。このため、吸気排気装置の使用者に対して、除塵用フィルタ8が目詰まりしていることをより確実に報知することができる。
【0063】
実施の形態2.
図12はこの発明の実施の形態2におけるフィルタの目詰まり検知装置の設置位置を説明するための斜視図である。図13はこの発明の実施の形態2におけるフィルタの目詰まり検知装置の要部の平面図である。なお、実施の形態1と同一又は相当部分には同一符号を付して説明を省略する。
【0064】
実施の形態1の判定手段14は、抑え治具11の風路1外側中央に取り付けられていた。一方、実施の形態2の判定手段14は、抑え治具11の一側で除塵用フィルタ枠7の上枠に取り付けられている。
【0065】
以上で説明した実施の形態2によれば、実施の形態1と同様の効果を得ることができる。
【0066】
なお、圧電ファイバ10の設置位置を除塵用フィルタ8の流路下流側に限定する必要はない。すなわち、除塵用フィルタ8の変形に連動して圧電ファイバ10も変形するようにすればよい。例えば、除塵用フィルタ8の流路上流側に接するように圧電ファイバ10を設置してもよい。この場合も、実施の形態1及び2と同様の効果を得ることができる。
【0067】
また、実施の形態1及び2においては、検知手段として圧電ファイバ10を用いた場合を説明した。しかしながら、検知手段は、画像認識装置でもよい。この場合、画像認識により、除塵用フィルタ8の変形量を検知すればよい。この場合も、吸気排気装置を設置した後でも目詰まり検知装置9を容易に設置することができる。また、継続使用による目詰まり検知装置9の劣化を抑制することができる。
【0068】
また、実施の形態1及び2の目詰まり検知装置9は、家庭用換気扇や業務用換気扇の他、プロジェクタ、電気掃除機、除加湿器等、除塵用フィルタ8に相当するフィルタを利用したものに適用することができる。
【符号の説明】
【0069】
1 風路
2 吸気口
3 ファンモータ
4 回転軸
5 ファン
6 排気口
7 除塵用フィルタ枠
8 除塵用フィルタ
9 目詰まり検知装置
10 圧電ファイバ
10a 内部電極
10b 圧電層
10c 外部電極
10d 被覆
11 抑え治具
11a 溝
12 ボルト
13 ナット
14 判定手段
15 報知手段
16 電源
17a〜17c 固定抵抗
18 歪みゲージ抵抗
【特許請求の範囲】
【請求項1】
風路の吸気口又は排気口となる開口部の外側に着脱自在に設けられ、前記開口部の外側に取り付けられた場合に、前記風路の内側と外側との圧力差に基づいて前記開口部に設けられたフィルタが変形したときの変形量を検知する検知手段と、
前記変形量の検知結果に基づいて、前記フィルタの目詰まりを判定する判定手段と、
を備えたことを特徴とするフィルタの目詰まり検知装置。
【請求項2】
前記検知手段は、前記変形量として、前記フィルタの中央の変形量を検知することを特徴とする請求項1記載のフィルタの目詰まり検知装置。
【請求項3】
前記判定手段は、前記変形量と前記フィルタの目詰まり前の変形量との差が所定の閾値以上の場合に、前記フィルタが目詰まりしていると判定することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のフィルタの目詰まり検知装置。
【請求項4】
前記検知手段は、
前記フィルタの外側の面に接触するように取り付けられた場合に、前記フィルタの変形に応じて変形することにより、自らの抵抗値を変化させる圧電体と、
前記圧電体の抵抗値の変化に応じて変化する電圧を出力する回路と、
を備え、
前記判定手段は、前記回路の出力電圧に基づいて、前記フィルタの目詰まりを判定することを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載のフィルタの目詰まり検知装置。
【請求項5】
前記風路の外側に着脱自在に設けられ、前記フィルタが目詰まりしていると判定された場合に、前記フィルタが目詰まりしていることを報知する報知手段、
を備えたことを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載のフィルタの目詰まり検知装置。
【請求項1】
風路の吸気口又は排気口となる開口部の外側に着脱自在に設けられ、前記開口部の外側に取り付けられた場合に、前記風路の内側と外側との圧力差に基づいて前記開口部に設けられたフィルタが変形したときの変形量を検知する検知手段と、
前記変形量の検知結果に基づいて、前記フィルタの目詰まりを判定する判定手段と、
を備えたことを特徴とするフィルタの目詰まり検知装置。
【請求項2】
前記検知手段は、前記変形量として、前記フィルタの中央の変形量を検知することを特徴とする請求項1記載のフィルタの目詰まり検知装置。
【請求項3】
前記判定手段は、前記変形量と前記フィルタの目詰まり前の変形量との差が所定の閾値以上の場合に、前記フィルタが目詰まりしていると判定することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のフィルタの目詰まり検知装置。
【請求項4】
前記検知手段は、
前記フィルタの外側の面に接触するように取り付けられた場合に、前記フィルタの変形に応じて変形することにより、自らの抵抗値を変化させる圧電体と、
前記圧電体の抵抗値の変化に応じて変化する電圧を出力する回路と、
を備え、
前記判定手段は、前記回路の出力電圧に基づいて、前記フィルタの目詰まりを判定することを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載のフィルタの目詰まり検知装置。
【請求項5】
前記風路の外側に着脱自在に設けられ、前記フィルタが目詰まりしていると判定された場合に、前記フィルタが目詰まりしていることを報知する報知手段、
を備えたことを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載のフィルタの目詰まり検知装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2012−110862(P2012−110862A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−263594(P2010−263594)
【出願日】平成22年11月26日(2010.11.26)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年11月26日(2010.11.26)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]