説明

除塵装置

【課題】交換部品コストと交換作業コストが安くなる除塵装置を提供する。
【解決手段】エンドレス状態に配置された多数枚のスクリーンプレート57で水路(水槽)52の流水中の塵埃を捕捉しながら、スクリーンプレート57の回転駆動で塵埃を流水中から引き上げる除塵装置である。水路52の内部に、駆動手段65で回転駆動される駆動円板58と、その上流側のリング状円板59と、駆動円板58とリング状円板59の外周部を一体的に連結する連結板60a,60bとで構成された枠体56を備えている。各スクリーンプレート57は、枠体56の内部に正多角形状でエンドレス状態となるように配置されて、先端部57bが駆動円板58に着脱可能に固定され、後端部57cがリング状円板59に着脱可能に固定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、除塵装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、図12に示すように、水路2に、スクリーンネット5aをエンドレス状態に張設した円筒状のスクリーン本体5を配置して、ガイドローラ6を環状のガイドレール7で支承する。そして、無端状チェーン8をモータ9のスプロケット9aで駆動することで、スクリーン本体5を円状に回転駆動するようにした円形カップタイプの除塵装置がある(特許文献1を参照)。かかる除塵装置は、水深が浅くて流量の少ない水路に適している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−181745号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1のような円形カップタイプの除塵装置では、スクリーンネットの直径が1〜2mであり、その一部に破損等が生じたときでも、古いスクリーンネット全体を取り外し、新しいスクリーンネット全体を取り付ける必要がある。したがって、交換部品(スクリーンネット)コストが高くなるとともに、交換作業に時間がかかるので、交換作業コストも高くなるという問題がある。
【0005】
本発明は、前記問題を解消するためになされたもので、交換部品コストと交換作業コストが安くなる除塵装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、本発明は、エンドレス状態に配置された多数枚のスクリーンプレートで水路の流水中の塵埃を捕捉しながら、スクリーンプレートの回転駆動で塵埃を流水中から引き上げる除塵装置において、前記水路の内部に、駆動手段で回転駆動される駆動円板と、その上流側のリング状円板と、駆動円板とリング状円板の外周部を一体的に連結する連結板とで構成された枠体を備え、前記各スクリーンプレートは、枠体の内部に正多角形状でエンドレス状態となるように配置されて、先端部が駆動円板に着脱可能に固定され、後端部がリング状円板に着脱可能に固定されることを特徴とする除塵装置を提供するものである。
【0007】
請求項2のように、請求項1において、前記駆動円板に、スクリーンプレートの先端部を差し込んで固定する先端受け部材が設けられ、前記リング状円板に、スクリーンプレートの後端部を載せる後端受け部材と、この後端受け部にスクリーンプレートの差し込み後端部を押さえて固定する着脱可能な押え部材とが設けられている構成とすることができる。
【0008】
請求項3のように、請求項1において、前記駆動円板に、スクリーンプレートの先端部を載せて着脱可能に固定する先端受け部材が設けられ、前記リング状円板に、スクリーンプレートの後端部を載せて着脱可能に固定する後端受け部材が設けられている構成とすることができる。
【0009】
請求項4のように、請求項1〜3のいずれか一項において、前記スクリーンプレートは、正六角形状を形成するように差し込まれている構成とすることができる。
【0010】
請求項5のように、請求項1〜4のいずれか一項において、前記スクリーンプレートの回転駆動で流水中から引き上げられた塵埃を捕集して外部に搬出するスクリューコンベヤが設けられ、このスクリューコンベヤに脱水・圧縮機構が内蔵されている構成とすることができる。
【0011】
請求項6のように、請求項1〜5のいずれか一項において、前記水路に相当する水槽が床面に設置され、この水槽の内部に前記枠体とスクリーンプレートとの組み立て体が組み込まれ、前記水槽の壁面に、水流の入口管と出口管と、塵埃をスクリーンプレートから下方に脱落させるスプレー管と、この脱落する塵埃を捕集して外部に案内する塵埃案内手段とが取付けられ、前記水槽の上壁面には、開閉可能な蓋が取付けられてユニット化されている構成とすることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、枠体でスクリーンプレートを回転駆動することで、流水中の塵埃を捕捉しながら流水中から引き上げることができる。また、除塵装置は、カップタイプであるから、水深が浅くて流量の少ない水路に適している。
【0013】
さらに、各スクリーンプレートは、枠体の内部に正多角形状でエンドレス状態となるように配置し、先端部を駆動円板に着脱可能に固定し、後端部をリング状円板に着脱可能に固定するものである。したがって、各スクリーンプレートの一部に破損等が生じたときは、そのスクリーンプレートだけを取り外し、新しいスクリーンプレートを取り付けることができる。そのため、交換部品(スクリーンプレート)コストが安くなるとともに、交換作業に時間がかからないので、交換作業コストも安くなる。
【0014】
請求項2によれば、スクリーンプレートの先端部は、リング状円板の開口から駆動円板の先端受け部材に差し込んで固定するだけであり、スクリーンプレートの後端部は、後端受け部材に載せ、押え部材で、後端受け部材に押さえて固定するだけである。したがって、スクリーンプレートの交換作業が簡単かつ迅速に行える。
【0015】
請求項3によれば、スクリーンプレートの先端部は、駆動円板の先端受け部材に載せてねじ等で固定するだけであり、スクリーンプレートの後端部は、後端受け部材に載せてねじ等で固定するだけである。したがって、スクリーンプレートの交換作業が簡単かつ迅速に行える。
【0016】
請求項4によれば、スクリーンプレートが6枚の六角カップタイプとなり、特許文献1の円形カップタイプと比較して、塵埃の捕捉率を維持しながら、交換作業コストを安くすることができる。
【0017】
請求項5によれば、塵埃を捕集して単に外部に搬出するトラフに代えて、脱水・圧縮機構付きスクリューコンベヤを設けたものである。したがって、塵埃を捕集し、脱水しつつ圧縮できることで、トラフと脱水装置と圧縮装置を別々に設置する場合と比べて、各装置の設置スペースが不要になるとともに、設備コストも安くなる。
【0018】
請求項6によれば、製造工場で水槽内に組み立て体を組み込み、壁面に入口管等を取付けたてユニット化したものを、トラック等で水処理工場に搬送して、この水処理工場の床面に設置する。そして、入口管等を水処理工場内の各メイン配管に接続する。これにより、水処理工場内の床面に除塵装置を設置することができる。したがって、土木工事で地面に水路を掘って除塵装置を設置する場合と比べて、除塵装置の設置工事を簡単かつ迅速に行うことができる。また、除塵装置が小流量タイプである場合には、複数台のユニットを並べて設置し、各ユニットの入口管等を水処理工場内の各メイン配管にそれぞれ接続すれば、簡単に大流量タイプとすることもできる。さらに、水槽の蓋を取り外せば、スクリーンプレートの交換作業等のメンテナンスも簡単かつ迅速に行える。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明に係る第1実施形態の除塵装置の側面断面図である。
【図2】図1の平面図である。
【図3】(a)は図1の正面図、(b)は図1の平面断面図である。
【図4】(a)(b)は枠体とスクリーンプレートとの組み立て体の斜視図である。
【図5】(a)はスクリーンプレートの固定構造の断面図、(b)はスクリーンプレートの後端部の固定構造の斜視図、(c)はスクリーンプレートの先端部の固定構造の斜視図である。
【図6】本発明に係る第2実施形態の除塵装置であり、(a)は側面断面図、(b)は正面断面図である。
【図7】(a)は図6(a)の平面断面図、(b)は図6(a)の要部拡大図である。
【図8】ケーシング部分を断面にしたスクリューコンベヤの斜視図である。
【図9】図8のケーシングの湾曲筒部とフード部の断面図である。
【図10】水槽の要部破断斜視図である。
【図11】複数台の水槽を設置したときの平面図である。
【図12】特許文献1の除塵装置であり、(a)は側面断面図、(b)は正面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。図1は第1実施形態の除塵装置の側面断面図、図2は図1の平面図、図3(a)は図1の正面図、同(b)は図1の平面断面図である。図4(a)(b)は枠体56とスクリーンプレート57との組み立て体100の斜視図、図5(a)はスクリーンプレート57の固定構造の断面図、同(b)はスクリーンプレート57の後端部57cの固定構造の斜視図、同(c)はスクリーンプレート57の先端部57bの固定構造の斜視図である。
【0021】
水路に相当する水槽52が床面51に設置され、この水槽52の一方の側壁面52b(上流側壁面)には水流の入口管53が取付けられ、他方の側壁面52c(下流側壁面)には、入口管53よりも低い位置に水流の出口管54が取付けられている。水槽52は、図10を参照すれば、底壁面52aと、底壁面52aの四方から立ち上がった側壁面52b〜52eとで上部が開口した四角箱状に形成され、上部の開口面には、開閉可能な蓋52fが取付けられている。水槽52は、例えば、PCコンクリート製、鋼製、FRP製である。なお、水路は水槽52である必要はなく、土木工事で地面に掘った水路であってもよい。
【0022】
水槽52内には、枠体56とスクリーンプレート57との組み立て体100が組み込まれている。枠体56は、駆動円板58と、その上流側のリング状円板59と、駆動円板58とリング状円板59の外周部を一体的に連結する連結板60a,60bとで構成されている。
【0023】
駆動円板58の背面には、図4(b)のように、放射状に補強板61が固定され、この補強板61の中心には、駆動軸62が固定されている。
【0024】
水槽52の他方の側壁面52cを貫通して、床面51で支持されて出口管54よりも高い位置に基台64が設けられ、この基台64には減速機付き電動モータ(駆動手段)65が設置されている。
【0025】
枠体56の駆動円板58の駆動軸62は、基台64の軸受66で回転自在に支持されて、駆動軸62と電動モータ65の出力軸とがカップリング67で連結されていて、電動モータ65で枠体56が直接回転駆動されるようになる。
【0026】
リング状円板59には、中心部に正六角形状の大きな開口59aが形成されている。このリング状円板59と駆動円板58の外周部は、開口59aの各角部(本例では6箇所)に対応して、水流方向に延在する連結板60aで連結されるとともに、各連結板60aの間は、開口59aの辺方向に延在する連結板60bで連結されている。なお、開口59aは、必ずしも正六角形に限られるものではなく、正三角形〜正五角形、あるいは正七角形以上でも可能である。なお、開口59aは、図6、図7の第2実施形態では円形であってもよい。
【0027】
スクリーンプレート57は、多数の通水孔(図1参照)を縦横に形成した合成樹脂製の矩形状多孔質パネルである。なお、図4では、開口59aの一辺に対して、狭幅の3枚のスクリーンプレート57を並べて組み合わせたものを図示しているが、広幅の1枚のスクリーンプレート57であっても差し支えない。また、スクリーンプレート57は、矩形状の枠状パネルに金網を取付けたものであってもよい。
【0028】
スクリーンプレート57は、リング状円板59の開口59aから枠体56の内部に正六角形状でエンドレス状態となるように差し込まれて、先端部57bが駆動円板58に着脱可能に固定され、後端部57cがリング状円板59に着脱可能に固定されるようになる。
【0029】
具体的には、図5(a)〜(c)のように、駆動円板58の内面には、スクリーンプレート57の先端部57bを差し込んで固定する凹溝状の先端受け部材69がねじ69aで固定して設けられている。
【0030】
また、リング状円板の内面には、スクリーンプレート57の後端部57cを載せる後端受け部材70がねじ70aで固定して設けられている。さらに、この後端受け部材70にスクリーンプレート57の後端部57cを押さえて固定するために、ねじ71aで着脱可能に固定する略L字状の押え部材71が設けられている。
【0031】
そして、スクリーンプレート57を取付けるときは、図5(a)の矢印aのように、スクリーンプレート57の先端部57bを先端受け部材69に差し込み、同矢印bのように、スクリーンプレート57の後端部57cを後端受け部材70に載せた後、押え部材71により、後端受け部材70にスクリーンプレート57の後端部57cを押さえて固定する。なお、スクリーンプレート57を取外すときは、上記と逆の手順である。
【0032】
このようにして、正六角形状を形成するように枠体56内に差し込まれた各スクリーンプレート57は、回転方向の両端部が連結板60aにエンドレス状態で接するので、この部分から塵埃が流出するおそれはない。
【0033】
また、図1のように、スクリーンプレート57の下部は、水路である水槽52の底部付近に位置するとともに、上部は水位L3の上方に位置するようになる。なお、入口管53よりも低い位置に水流の出口管54を取付けているから、電動モータ65や軸受66が水没するおそれはない。
【0034】
そして、図3(b)の矢印のように、入口管53から水槽52の内部に取り入れられた水流は、リング状円板59の開口59aからスクリーンプレート57の内から外に通り抜けて、出口管54から水槽52の外部に排出されるようになる。なお、入口管53の拡大部53aには、リング状円板59の外面に接触して水密にシールするシール材55が取付けられている。
【0035】
図1のように、枠体56の上方には、水槽52内の水中ポンプ73から送水管74を介して水が供給されるスプレー管75が配置されている。このスプレー管75からスプレーされる高圧水で、枠体56によるスクリーンプレート57の回転駆動により流水中から引き上げられた塵埃がスクリーンプレート57から下方に脱落されるようになる。
【0036】
この脱落する塵埃は、その下方のトラフ(塵埃案内手段)76で捕集されて、水槽52の外部に案内されるようになる。
【0037】
第1実施形態の除塵装置であれば、枠体56でスクリーンプレート57を回転駆動することで、流水中の塵埃を捕捉しながら流水中から引き上げることができる。また、除塵装置は、六角カップタイプであるから、水深が浅くて流量の少ない水路に適している(図1の水位L3参照)。
【0038】
さらに、各スクリーンプレート57は、リング状円板59の開口59aから枠体56の内部に正六角形状でエンドレス状態となるように差し込み、先端部57bを駆動円板58に着脱可能に固定し、後端部57cをリング状円板59に着脱可能に固定するものである。したがって、各スクリーンプレート57の一部に破損等が生じたときは、そのスクリーンプレート57だけを取り外し、新しいスクリーンプレート57を取り付けることができる。そのため、交換部品(スクリーンプレート57)コストが安くなるとともに、交換作業に時間がかからないので、交換作業コストも安くなる。
【0039】
また、スクリーンプレート57の先端部57bは、駆動円板58の先端受け部材69に差し込んで固定するだけであり、スクリーンプレート57の後端部57cは、後端受け部材70に載せ、押え部材71で、後端受け部材70に押さえて固定するだけである。したがって、スクリーンプレート57の交換作業が簡単かつ迅速に行える。
【0040】
さらに、スクリーンプレートが6枚の六角カップタイプとなり、特許文献1の円形カップタイプと比較して、塵埃の捕捉率を維持しながら、交換作業コストを安くすることができる。
【0041】
また、枠体56の駆動軸62を電動モータ65で直接回転駆動させるから、特許文献1のような高価なチェーンとスプロケットとが不要になって、装置コストが安くなる。
【0042】
図6、図7は第2実施形態の除塵装置であり、図6(a)は側面断面図、同(b)は正面断面図、図7(a)は平面断面図、同(b)は図6の要部拡大図である。
【0043】
駆動円板58は、外周囲をV字状に切り込んだピンホイルラック58aを円周上等角度間隔で形成している。
【0044】
リング状円板59と駆動円板58の外周部は、開口59aの各角部(本例では6箇所)に対応して、水流方向に延在する連結板60aで連結されている。
【0045】
駆動円板58の内面には、スクリーンプレート57の先端部57bを載せて、外方からねじ77で固定するL字状の先端受け部材78がねじ等で固定して設けられている。
【0046】
リング状円板59の内面には、スクリーンプレート57の後端部57cを載せて、外方からねじ77で固定するL字状の後端受け部材79がねじ等で固定して設けられている。
【0047】
また、リング状円板59の外面には、複数個(本例では6個)のガイドローラ80を設けて、水槽52の内部には、リング状円板59の下部分のガイドローラ80をガイドする半円状のローラガイド81を設けている。この半円状のローラガイド81により、枠体56のリング状円板59側が下方に撓まないように支持されるようになる。
【0048】
そして、水槽52の上部に設置した減速機付き電動モータ(駆動手段)65のピンホイル82を駆動円板58のピンホイルラック58aに噛み合わせれば、電動モータ65からピンホイル82を介して駆動円板58が回転駆動されるようになる。
【0049】
第2実施形態は、ピンホイル式駆動手段であり、電動モータ65は、水位L3のかなり上方に位置するようになるから、水没するおそれはない。
【0050】
第2実施形態においては、各スクリーンプレート57は、先端受け部材78と後端受け部材79とに跨って載せ、各受け部材78,79に外方からねじ77で着脱可能に固定するものである。したがって、各スクリーンプレート57の一部に破損等が生じたときは、そのスクリーンプレート57だけを取り外し、新しいスクリーンプレート57を取り付けることができる。そのため、交換部品(スクリーンプレート57)コストが安くなるとともに、交換作業に時間がかからないので、交換作業コストも安くなる。
【0051】
また、スクリーンプレート57の先端部57bと後端部57cは、各受け部材78,79に載せ、ねじ77で固定するだけである。したがって、スクリーンプレート57の交換作業が簡単かつ迅速に行える。
【0052】
前記各実施形態においては、スクリーンプレート57の回転駆動で流水中から引き上げられ、スクリーンプレート57から脱落した塵埃は、トラフ76で捕集されて、水槽52の外部に案内されるだけであった。
【0053】
これに対して、図8、図9に示すように、スクリーンプレート57から脱落した塵埃を、脱水・圧縮機構が内蔵されているスクリューコンベヤ(塵埃案内手段)42で捕集する構成とすることができる。
【0054】
すなわち、螺旋状のスクリューコンベヤ42は、ケーシング43内に収納されて、電動モータ49で回転駆動されるようになっている。ケーシング43は、スクリューコンベヤ42の先端側で、脱落した塵埃を捕集するためのホッパー部43aと、スクリューコンベヤ42が嵌まり込む送り筒部43bと、スクリューコンベヤ42の基端で、下方に湾曲された湾曲筒部43cとで構成されている。
【0055】
スクリューコンベヤ42は、ホッパー部43aと湾曲筒部43cの間の中間付近までは、ホッパー部43aで捕集された塵埃を脱水(図8の矢印dを参照)しながらスムーズに送り出すための広ピッチに形成され、その後、湾曲筒部43cの付近までは、塵埃を1次的に圧縮するための狭ピッチに形成されている。また、基端付近は、塵埃を湾曲筒部43c側に送り戻すための逆向き螺旋状に形成されている。
【0056】
湾曲筒部43cの下端には、下向きに広がったフード部43dが形成され、このフード部43dの内部には、中心穴44aを有するコーン体44が配置されている。
【0057】
コーン体44は、フード部43dの内部で、平面視で略Y字状の支持部材50の中心に上端が固定された軸部材45に中心穴44aが嵌合されて上下移動自在に支持されている。軸部材45の下部には雄ねじ45aが形成され、この雄ねじ45aにストローク調整用ナット46がねじ込まれている。ストローク調整用ナット46の上部にはワッシャ47aを介してばね受け座47が配置され、このばね受け座47とコーン体44の間には、圧縮コイルばね48が縮装されている。なお、コーン体44には、圧縮コイルばね48の外周囲をカバーするカバー部44bが設けられている。
【0058】
そして、コーン体44は、圧縮コイルばね48の付勢力で、常時はフード部43dの内面に当接することで開口を閉じている(図9の左半分を参照)。また、送り筒部43bから湾曲筒部43cに送り込まれた塵埃を2次的に圧縮し、塵埃の送り出し力が圧縮コイルばね48の付勢力に勝った時には、圧縮コイルばね48の付勢力に抗してコーン体44がフード部43dの内面から離れることで開口を開くようになる(図9の右半分を参照)。これにより、矢印cのように、塵埃が2次的に圧縮されながら外部に搬出されるようになる。
【0059】
このように、塵埃を捕集して単に外部に搬出するトラフ76に代えて、脱水・圧縮機構付きスクリューコンベヤ42を設けることで、塵埃を捕集し、脱水しつつ圧縮できることで、トラフ76と脱水装置と圧縮装置を別々に設置する場合と比べて、各装置の設置スペースが不要になるとともに、設備コストも安くなる。
【0060】
図10に示したように、水路に相当する水槽52を床面51に設置して、この水槽52の内部に枠体56とスクリーンプレート57との組み立て体100を組み込む。また、水槽52の側壁面52d,52bに、水流の入口管53とスクリューコンベヤ42とを取付け、他側の側壁面52cに、水流の出口管53と、スプレー管75とを取付ける。さらに、水槽52の上壁面には、開閉可能な蓋52fを取付ける。なお、入口管52、出口管53、スプレー管27は、側壁面52b〜52eのいずれにも取付けることが可能であり、底壁面52aや上壁面(蓋52f)に取付けることも可能である。
【0061】
このような構成であれば、製造工場で水槽52内に組み立て体100を組み込み、壁面52b〜52dに入口管53等を取付けたてユニット化したものを、トラック等で水処理工場に搬送して、この水処理工場の床面51に設置する。そして、図11のように、水処理工場内のポンプ圧送のメイン給水配管90に入口管53を接続し、メイン排水配管91に出口管54を接続し、メイン送水管92にスプレー管75を接続する。なお、スクリューコンベヤ42から搬出された塵埃は、床面51に設置した塵埃溜め箱等で回収することができる。なお、スクリューコンベヤ42に代えて、トラフ76を取付けることもできる。
【0062】
これにより、水処理工場内の床面51に除塵装置を設置することができる。したがって、土木工事で地面に水路を掘って除塵装置を設置する場合と比べて、除塵装置の設置工事を簡単かつ迅速に行うことができる。
【0063】
また、除塵装置が小流量タイプ(例えば処理水量が2500〜5000m/日)である場合には、図11のように、複数台の水槽(ユニット)52を並べて設置し、各水槽(ユニット)52の入口管53等を水処理工場内の各メイン配管90〜92にそれぞれ接続すれば、簡単に大流量タイプとすることもできる。
【0064】
さらに、水槽52の蓋52fを取り外せば、スクリーンプレート57の交換作業等のメンテナンスも簡単かつ迅速に行える。また、電動モータ49,65は、水槽52の外部にあるから、防水対策が不要であり、メンテナンスも簡単かつ迅速に行える。なお、スクリューコンベヤ42またはトラフ76から搬出された塵埃は、ベルトコンベヤ等を利用することで一括回収することも可能である。
【符号の説明】
【0065】
42 スクリューコンベヤ(塵埃案内手段)
43 ケーシング
52 水槽(水路)
52f 蓋
53 入口管
54 出口管
56 枠体
57 スクリーンプレート
57b 先端部
57c 後端部
58 駆動円板
59 リング状円板
59a 開口
60a,60b 連結板
62 駆動軸
65 電動モータ(駆動手段)
69 先端受け部材
70 後端受け部材
71 押え部材
75 スプレー管
76 トラフ(塵埃案内手段)
78 先端受け部材
79 後端受け部
100 組み立て体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンドレス状態に配置された多数枚のスクリーンプレートで水路の流水中の塵埃を捕捉しながら、スクリーンプレートの回転駆動で塵埃を流水中から引き上げる除塵装置において、
前記水路の内部に、駆動手段で回転駆動される駆動円板と、その上流側のリング状円板と、駆動円板とリング状円板の外周部を一体的に連結する連結板とで構成された枠体を備え、前記各スクリーンプレートは、枠体の内部に正多角形状でエンドレス状態となるように配置されて、先端部が駆動円板に着脱可能に固定され、後端部がリング状円板に着脱可能に固定されることを特徴とする除塵装置。
【請求項2】
前記駆動円板に、スクリーンプレートの先端部を差し込んで固定する先端受け部材が設けられ、前記リング状円板に、スクリーンプレートの後端部を載せる後端受け部材と、この後端受け部にスクリーンプレートの差し込み後端部を押さえて固定する着脱可能な押え部材とが設けられていることを特徴とする請求項1に記載の除塵装置。
【請求項3】
前記駆動円板に、スクリーンプレートの先端部を載せて着脱可能に固定する先端受け部材が設けられ、前記リング状円板に、スクリーンプレートの後端部を載せて着脱可能に固定する後端受け部材が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の除塵装置。
【請求項4】
前記スクリーンプレートは、正六角形状を形成するように差し込まれていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の除塵装置。
【請求項5】
前記スクリーンプレートの回転駆動で流水中から引き上げられた塵埃を捕集して外部に搬出するスクリューコンベヤが設けられ、このスクリューコンベヤに脱水・圧縮機構が内蔵されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の除塵装置。
【請求項6】
前記水路に相当する水槽が床面に設置され、この水槽の内部に前記枠体とスクリーンプレートとの組み立て体が組み込まれ、前記水槽の壁面に、水流の入口管と出口管と、塵埃をスクリーンプレートから下方に脱落させるスプレー管と、この脱落する塵埃を捕集して外部に案内する塵埃案内手段とが取付けられ、前記水槽の上壁面には、開閉可能な蓋が取付けられてユニット化されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の除塵装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−231487(P2011−231487A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−101138(P2010−101138)
【出願日】平成22年4月26日(2010.4.26)
【出願人】(591073337)株式会社丸島アクアシステム (58)
【Fターム(参考)】