除粉装置、造形システム及び造形物の製造方法
【課題】粉体を除去することができる新たな除粉装置、これを備えた造形システム及び造形物の製造方法を提供すること。
【解決手段】除粉装置は、ボックスと、ステージ移動機構と、除粉処理機構とを具備する。前記ボックスは、開口を有する本体と、前記本体に移動可能に設けられたステージとを有する。前記ボックスは、ラピッドプロトタイピング技術により粉体を用いて形成された造形物を、未結合の粉体とともに前記ステージ上に配置させるように、前記造形物及び未結合の粉体を収容可能である。前記ステージ移動機構は、前記ステージを、前記本体内で、前記本体に相対的に上昇移動させることが可能である。前記除粉処理機構は、前記ステージ移動機構の駆動により前記開口を介して押し出された前記造形物の周囲の前記未結合の粉体を除去する。
【解決手段】除粉装置は、ボックスと、ステージ移動機構と、除粉処理機構とを具備する。前記ボックスは、開口を有する本体と、前記本体に移動可能に設けられたステージとを有する。前記ボックスは、ラピッドプロトタイピング技術により粉体を用いて形成された造形物を、未結合の粉体とともに前記ステージ上に配置させるように、前記造形物及び未結合の粉体を収容可能である。前記ステージ移動機構は、前記ステージを、前記本体内で、前記本体に相対的に上昇移動させることが可能である。前記除粉処理機構は、前記ステージ移動機構の駆動により前記開口を介して押し出された前記造形物の周囲の前記未結合の粉体を除去する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、ラピッドプロトタイピング技術のうち、粉体材料を用いて造形物を形成する造形装置、これに用いられる除粉装置及び造形物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載の造形装置は、積層造形ユニット(20)及び粉末除去ユニット(30)等を備える。積層造形ユニット(20)では、トレイ(9)上で造形物(91)の積層造形作業が行われる。このトレイ(9)は、トレイ搬送部(50)により下降移動するように構成されている。積層造形ユニット(20)において造形物(91)が形成された後、トレイ(9)が下降し、粉末除去ユニット(30)において粉末除去処理が行われる(例えば、特許文献1の明細書段落[0060]、[0070]、図1、4,7参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−248691号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このように、造形装置では製品(造形物)の生産効率を高めることが要求されており、特に新しいタイプの粉体材料の除去機構が求められている。
【0005】
以上のような事情に鑑み、本技術の目的は、粉体を除去することができる新たな除粉装置、これを備えた造形システム及び造形物の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本技術に係る除粉装置は、ボックスと、ステージ移動機構と、除粉処理機構とを具備する。
前記ボックスは、開口を有する本体と、前記本体に移動可能に設けられたステージとを有する。前記ボックスは、ラピッドプロトタイピング技術により粉体を用いて形成された造形物を、未結合の粉体とともに前記ステージ上に配置させるように、前記造形物及び未結合の粉体を収容可能である。
前記ステージ移動機構は、前記ステージを、前記本体内で、前記本体に相対的に上昇移動させることが可能である。
前記除粉処理機構は、前記ステージ移動機構の駆動により前記開口を介して押し出された前記造形物の周囲の前記未結合の粉体を除去する。
【0007】
ステージ移動機構がボックスに設けられたステージを上昇させることで、本体の開口から造形物の少なくとも一部が押し出される。これにより、ボックスの上部で未結合の粉体を除去することができる、新たな除粉装置を提供することができる。
【0008】
前記ボックスは、造形物を上下方向に複数段に収容可能であってもよい。その場合、前記除粉装置は、多段に収容された前記複数の造形物のうち、1段ごとに前記造形物が前記本体から押し出されるように前記ステージ移動機構を作動させ、前記1段ごとに前記除粉処理機構を作動させる制御部をさらに具備してもよい。
【0009】
本技術では、一段ごとに除粉が行われ、一段ごとに除粉が除粉装置から取り出されることにより、例えばボックス内の粉体が一度に排出される場合に比べ、複数の造形物の配置が乱れたり、その順序がばらばらになったりすることを防止することができる。これにより、生産性を向上させることができる。
【0010】
前記除粉装置は、前記ボックスの前記本体内の前記造形物に関連する関連情報を取得する取得部と、前記取得された関連情報に基づき、前記除粉処理機構を作動させる制御部とをさらに具備してもよい。
【0011】
前記取得部は、少なくとも、前記ラピッドプロトタイピング技術で用いられる造形対象物の3次元データを前記関連情報として取得してもよい。例えば、制御部は、造形物の形成時に用いられる3次元データを利用することにより、別途の情報を生成する必要がない。
【0012】
前記除粉処理機構は、前記造形物にガスを噴出するノズルと、前記制御部による前記3次元データに基づく制御にしたがって、前記ノズルの位置及び姿勢のうち少なくとも一方を可変に駆動するノズル駆動機構とを有してもよい。これにより、除粉精度が向上する。
【0013】
前記除粉処理機構は、除粉作業領域と、前記造形物にガスを噴出するノズルと、前記除粉作業領域内にある前記粉体を吸引する吸引機構とを有してもよい。ガスを噴出するノズルが用いられることにより、除粉精度が向上する。
【0014】
前記除粉装置は、前記除粉処理機構の除粉処理の進捗を計測する計測部をさらに具備する除粉装置。
【0015】
前記計測部は、前記除粉処理機構から回収された前記未結合の粉体の量を検出するセンサを有してもよい。これにより、除粉装置の制御部は、測定された未結合の粉体の量に応じて、除粉処理の進捗を認識することができる。
【0016】
前記計測部は、前記除粉処理機構が有する除粉作業領域内の雰囲気の透明度を検出するセンサを有してもよい。これにより、除粉装置の制御部は、除粉作業領域の雰囲気が所定の透明度に応じて、除粉処理の進捗を認識することができる。
【0017】
前記除粉装置は、前記除粉処理機構から回収された前記未結合の粉体から異物を除去する篩機構をさらに具備してもよい。これにより、異物が除去された未結合の粉体を回収することができ、この粉体をリサイクルすることができる。
【0018】
前記除粉装置は、前記ボックスを着脱可能に支持する支持機構をさらに具備してもよい。これにより、例えば造形装置において、そのボックスを造形用のボックスとして利用することができる。例えば複数のボックスが用意されることにより、造形装置による造形処理及び除粉装置による除粉処理の同時進行が可能となるので、生産性を高めることができる。
【0019】
本技術に係る造形システムは、ラピッドプロトタイピング技術により粉体を用いて造形物を形成する造形装置と、上記の除粉装置とを具備する。ステージ移動機構がボックスに設けられたステージを上昇させることで、本体の開口から造形物の少なくとも一部が押し出される。これにより、ボックスの上部で未結合の粉体を除去することができる、新たな除粉装置を含む造形システムを提供することができる。
【0020】
本技術に係る造形物の製造方法は、ラピッドプロトタイピング技術により粉体を用いて造形物を形成することを含む。
開口を有する本体と、前記本体に移動可能に設けられたステージとを有し、造形物を、未結合の粉体とともに前記ステージ上に配置させるように前記造形物及び未結合の粉体を収容可能なボックスの前記本体内で、前記ステージが、前記ボックスに相対的に上昇移動させられる。
前記上昇移動により前記ボックスの前記開口を介して押し出された前記造形物の周囲の前記未結合の粉体が除去される。
【発明の効果】
【0021】
以上、本技術によれば、粉体を除去することができる新たな除粉装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】図1は、本技術の一実施形態に係る造形装置を示す図である。
【図2】図2は、図1に示す造形装置の側面図である。
【図3】図3は、図1に示す造形装置の平面図である。
【図4】図4Aは、造形部に設けられたボックスを示す斜視図である。図4Bは、このボックスを示す断面図である。
【図5】図5A及びBは、昇降機構を説明するための模式図である。
【図6】図6は、搬送台車によりボックスが搬送される様子を示している。
【図7】図7A〜Eは、ボックス21がボックス保持機構に装着される時の動作を順に示す図である。
【図8】図8は、主に造形装置の造形動作を順に示す図であり、側面から見た模式図である。
【図9】図9は、造形装置及び除粉装置による処理を示すフローチャートである。
【図10】図10は、実施形態1に係る除粉装置を示す模式的な断面図である
【図11】図11は、除粉装置の制御システムの構成を示すブロック図である。
【図12】除粉装置の動作の一部を説明するための図である。
【図13】図13は、実施形態2に係る除粉装置の模式的な構成及びその制御システムのブロック構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照しながら、本技術の実施形態を説明する。
【0024】
[造形装置]
【0025】
(造形装置の構成)
図1は、本技術の一実施形態に係る造形装置を示す図である。図2は、図1に示す造形装置の側面図であり、図3は、その平面図である。
【0026】
この造形装置100は、ラピッドプロトタイピング技術により、粉体を材料とした造形物を形成する装置である。
【0027】
造形装置100は、造形ユニット30と、これに隣接して配置された制御ユニット60とを備える。造形ユニット30は、フレーム1と、このフレーム1上に固定されたプレート2とを備える。プレート2の概ね中央部には、プレート2の長手方向であるY方向に沿って造形作業用の開口部2aが設けられている。その開口部2aの下部には、粉体の供給部10、粉体による造形物が形成される造形部20、及び、粉体の排出路部材31(図1ではこれを省略)が配置されている。これら供給部10、造形部20及び排出路部材31は、図2及び図3に示すように、それらの図中左側からY方向に沿って順に並ぶように配置されている。
【0028】
なお、プレート2上にも図示しないフレームが設けられ、図1に示すように、フレームにカバー33が取り付けられている。カバー33はアクリル等により形成され、ユーザーが、造形ユニット30の外部からその内部を見ることができるようになっている。また、このカバー33には、静電気を帯びた粉体が取り付いたりして視認性を妨げないように、静電防止処理が施されている。
【0029】
供給部10は、粉体4(図8参照)を貯留することが可能な、供給ステージ12を含む供給ボックス11、供給ステージ12を供給ボックス11内で昇降させる昇降機構70を有する。供給ステージ12は、昇降機構70の駆動により、供給ボックス11内で供給ボックス11に貯留された粉体4を下から押し上げることで、開口部2aを介してプレート2上に粉体4を供給する。昇降機構70としては、ボールネジ機構またはラックアンドピニオン機構等が用いられる。
【0030】
図1及び2に示すように、この供給部10上には、作業者またはロボットにより粉体が供給されて一時的に貯溜されるタンクシューター15が設けられている。タンクシューター15の底部には、例えば電気的な制御で開閉する図示しないカバーが設けられている。このカバーが開くと、貯溜されている粉体が自重で落下し、供給部10に供給される。
【0031】
粉体4としては、水溶性の材料が用いられ、例えば、食塩、硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム、塩化カリウム、塩化ナトリウムなどの無機物が用いられる。塩化ナトリウムとにがり成分(硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム、塩化カリウムなど)が混合されたものが用いられてもよい。すなわち、これは塩化ナトリウムを主成分とするものである。あるいは、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、ポリアクリル酸アンモニウム、ポリアクリル酸ナトリウム、メタアクリル酸アンモニウム、メタアクリル酸ナトリウムやその共重合体などの有機物を用いることもできる。
【0032】
粉体4の平均粒子径は、典型的には10μm以上100μm以下である。食塩が用いられることにより、例えば金属またはプラスチック等の粉体材料を用いる場合に比べ、粉体材料の抽出や加工等に要するエネルギーが低いので環境に良い。
【0033】
供給部10に隣接して配置された造形部20は、粉体4を収容することが可能なボックス21と、このボックス21に設けられたステージ22を昇降させる昇降機構50とを有する。ボックス21は、ボックス保持機構40に着脱可能に設けられている。ボックス保持機構40及び昇降機構50については後述する。
【0034】
図3で見て、ボックス21のX方向の長さは20〜50cm、そのY方向の長さは10〜30cmに設定されるが、この範囲に限られない。このボックス21(の本体23)内に収容された粉体が配置される領域が、造形可能領域となる。
【0035】
各ボックス11、12及び排出路部材31の上端部には開口が設けられ、それらの開口面は、プレート2の開口部2a(図3参照)にそれぞれ対面するように配置されている。
【0036】
プレート2の開口部2aの供給部10側の端部付近には、供給部10から供給された粉体4を造形部20に搬送するローラ16が配置されている。ローラ16は、各ボックス11、12及び排出路部材31の配列方向とは水平面内で直交する方向、すなわちX方向に沿って設けられた回転軸17(図2参照)を有する。回転軸17を回転させる図示しないモータも設けられている。プレート2上にはローラ16をY方向に移動させる図示しない機構が設けられている。
【0037】
排出路部材31は、図2に示すように、ボックス保持機構40をよけるために折れるように設けられている。排出路部材31の下部には、回収ボックス34が配置されている。排出路部材31を自重により落下する余剰の粉体が、この回収ボックス34に回収されるようになっている。
【0038】
プレート2上には、プリントヘッド41、及びこのプリントヘッド41をX−Y方向に移動させるプリントヘッド移動機構46が設けられている。プリントヘッド41は、造形部20においてステージ22上の粉体4にインクを吐出することが可能になっている。プリントヘッド41及びプリントヘッド移動機構46は、液体を供給する供給機構として機能する。
【0039】
プリントヘッド移動機構46は、開口部2aのX方向での両側でY方向に沿って延設されたガイドレール45、これらのガイドレール45の端部に設けられたY軸駆動機構48、これらのガイドレール45の間に架け渡されたX軸駆動機構47を有する。X軸駆動機構47にプリントヘッド41がX方向に移動可能に接続されている。また、X軸駆動機構47は、ガイドレール45に沿って、Y軸駆動機構48によりY方向に移動可能となっている。X軸駆動機構47及びY軸駆動機構48は、ボールネジ機構、ベルト機構、またはラックアンドピニオン機構等により構成されている。
【0040】
プリントヘッド41は、公知のインクジェットプリントヘッドの構造を備えるものが用いられればよい。例えば、プリントヘッド41内には、図示しない複数のインクタンクが設けられている。各インクタンクは、シアン、マゼンダ及びイエローの各色(以下CMYという。)のインクをそれぞれ貯溜している。
【0041】
プリントヘッド41内には、図示しないが例えば透明インクを貯溜するタンクも設けられている。この透明インクは、粉体を結合して硬化させるためのバインダーの成分を含む。バインダーは、典型的にはポリビニルアルコールが挙げられるが、これに限られない。
【0042】
インクとしては、例えば水性インクが用いられ、市販のインクジェットプリンタ用のインクを用いることも可能である。インクは、粉体4の材料に応じて油性であってもよい。
【0043】
プリントヘッド41の方式として、インクジェット方式とは異なる方式が採用されてもよい。
【0044】
制御ユニット60は、CPU、RAM及びROMを有するコンピュータの機能を備える。また、制御ユニット60は、前面の上部に配置された表示部61、及びその下部に配置された入力操作機器62を有している。入力操作機器62は、典型的にはキーボードにより構成される。表示部61は、タッチパネルによる入力デバイスを有していてもよい。
【0045】
この制御ユニット60には、CT(Computed Tomography)データが入力される。制御ユニット60は、入力されたCTデータ、あるいはこれに基づき得られた3次元データに基づいて、造形物を形成するために、造形ユニット30の各部の動き及びそのタイミングを制御する。
【0046】
図4Aは、造形部20に設けられたボックス21を示す斜視図である。図4Bは、このボックス21を示す断面図である。
【0047】
ボックス21は、上記したように、上端に開口23aを有する本体23と、この本体23に移動可能に設けられ、この本体23の底板を構成するステージ22とを有する。本体23の形状は、四角の筒状であり、ステージ22は、この本体23の内面の形状に沿うように、四角形の板状を有する。図4Bに示すように、本体23の下部にはフランジ部23bが設けられており、ステージ22の周縁部がこのフランジ部23b上に載置された状態で、本体23の容積が最も大きくなる。
【0048】
ステージ22の周縁部には、シール部材29が装着されており、シール部材29は、本体23とステージ22との間の隙間をシールする。シール部材29は、例えばウレタン等、スポンジ状の素材で構成される。ステージ22の裏面には、後述するクランプ機構56の一部を構成する部材として、例えば永久磁石55が取り付けられている。なお、図2、7A〜E等では、シール部材29の図示を省略している。
【0049】
このボックス21の本体23の側面23cには、ボックス保持機構40の後述する支持部材27に支持される被支持部材24が設けられている。被支持部材24は、例えば板状に形成されるが、この形状に限られない。ボックス保持機構40の支持部材27がボックス21を支持できるように、被支持部材24は連続的または断続的に本体23の周囲の少なくとも一部に設けられていればよい。本実施形態では、被支持部材24は、本体23の対向する一対の側面23cにそれぞれ設けられている。
【0050】
図2に示すように、ボックス保持機構40は、一対の昇降シリンダ28と、一対のストッパー83とを有する。これら昇降シリンダ28及びストッパー83は、造形ユニット30に設けられた図示しない取付フレームに取り付つけられて固定されている。
【0051】
昇降シリンダ28は、昇降シリンダ28は、駆動部25と、駆動部25により昇降移動するロッド26とをそれぞれ有し、ロッド26の先端には上記支持部材27がそれぞれ取り付けられている。すなわち、支持部材27が、ボックス21に設けられた被支持部材24を下方から支持するようになっている。昇降シリンダ28としては、例えば流体圧シリンダ(典型的にはエアシリンダ)が用いられる。これら一対の昇降シリンダ28は、同期して駆動するように、造形ユニット30の図示しないコントローラにより、あるいは制御ユニット60によりその駆動が制御される。
【0052】
一対のストッパー83は、昇降シリンダ28が支持部材27を上昇移動させる時に、その上昇移動を規制する機能を有する。ストッパー83に被支持部材24が当接した時点で、ボックス21が造形部20に位置決めされた状態となる。
【0053】
図5A及びBは、昇降機構50を説明するための模式図である。
【0054】
昇降機構50は、駆動部54と、この駆動部54によって昇降移動する昇降アーム(昇降部材)52と、昇降アーム52がステージ22をクランプするためのクランプ機構56とを含む。昇降アーム52は例えばL字形状を有する。
【0055】
クランプ機構56は、例えば、昇降アーム52の上端部に取り付けられた、磁界発生デバイス53と、上述のように、ステージ22の裏面に設けられた永久磁石55とを有する。磁界発生デバイス53が、図示しないコイルの通電により磁力を発生し、この磁力が永久磁石55と作用することで、磁界発生デバイス53と永久磁石55とが接続され、ステージ22がクランプされる。図5Bでは、クランプ機構56が作動して、昇降アーム52とステージ22とがクランプされ、昇降アーム52がステージ22を押し上げている。
【0056】
供給部10の昇降機構70も、基本的に昇降機構50と同様の構造を有しており、昇降アーム72の端部に供給ステージ12が直接取り付けられている点で、昇降機構50と異なる。
【0057】
図6は、搬送台車によりボックス21が搬送される様子を示している。搬送台車150は、ボックス21を保持するフォーク153を有する。作業者が、この搬送台車150を動かして、フォーク153を造形ユニット30に挿入することで、ボックス21が所定の位置に配置される。
【0058】
(造形装置における造形処理前の動作)
図7A〜Eは、ボックス21がボックス保持機構40に装着される時の動作を順に示す図である。
【0059】
最初、造形装置100の各部の機構は、原点位置(初期位置)にある。ボックス保持機構40の原点位置は、図7Aに示すような位置である。すなわち原点位置では、昇降シリンダ28の支持部材27が、図2で示した位置より下降した状態にある。
【0060】
図6に示したように、作業者は、造形装置100内に搬送台車150のフォーク153を挿入するように、搬送台車150を移動させる。そうすると、図7Bに示すように、作業者が造形装置100の入力操作機器62を介して操作することにより、ボックス保持機構40は、ボックス21の保持動作を開始する。
【0061】
図7Cに示すように、ボックス保持機構40では、昇降シリンダ28の駆動により、支持部材27が上昇する。支持部材27が被支持部材24に当接しながら上昇することにより、ボックス21が持ち上げられ、ボックス21がフォーク153から離れる。昇降シリンダ28は、被支持部材24がストッパー83に当接するまで支持部材27を上昇させる。被支持部材24がストッパー83に当接することにより、その上昇が終了する。このようにしてボックス保持機構40は、ボックス21を保持する。
【0062】
ボックス21の下部には昇降機構50が配置されるため、ボックス21を保持するボックス保持機構40は、このように動きが少ない、極力簡易な構成とされる。
【0063】
作業者は搬送台車150をバックさせることによりそのフォーク153を造形装置100から引き抜く。作業者は、安全を考慮してフォーク153を少し下降させてから引き抜いてもよい。
【0064】
次に、図7Dに示すように、昇降機構50が作動を開始する。昇降アーム52が上昇し、クランプ機構56によりステージ22がクランプされる。ステージ22がクランプされると、図7Eに示すように、昇降機構50は、ステージ22をボックス21の本体23の最上位置、すなわち開口付近まで上昇させる。その後、後述する造形処理(図8参照)が開始される。
【0065】
以上のように、本実施形態では、ボックス保持機構40によりボックス21が着脱可能に保持されるので、作業者は、ボックス保持機構40からそのボックス21を取り外すことができる。作業者は、取り外されたボックス21から造形物を取り出したり、造形物を収容したボックス21を後述するように除粉装置300に装着したりすることができる。これにより、作業効率を高めることができる。
【0066】
また、本実施形態に係るクランプ機構56は、電磁クランプ力を利用している。本実施形態では、ボックス21がボックス保持機構40に着脱可能であること、あるいは、ステージ22がボックス21の本体23に移動可能に設けられることにより、ボックス21及びステージ22の製造誤差(サイズ誤差等)が発生することも想定される。しかし、本技術のような電磁クランプ力が利用されることにより、部材同士が係合してクランプ力を発生するメカニカルなクランプ力が利用される場合に比べ、その製造誤差を吸収してクランプを行うことができる。
【0067】
(造形装置による造形処理)
図8は、主に造形装置100の造形動作を順に示す図であり、側面から見た模式図である。
【0068】
造形装置100が造形物を形成する前の段階で、造形の対象となる対象物のCTデータ、あるいは、これに基づき得られるDICOM(Digital Imaging and COmmunication in Medicine)等の3次元データが制御ユニット60に入力される。
【0069】
図8A〜Dでは、後述するように、プリントヘッド41からインクが吐出されることで粉体4が硬化(結合)される層が1層分(所定の層厚分)形成される工程が示されている。粉体4及び未硬化(未結合)の粉体4がドットのハッチングで示され、硬化層が黒塗りで示されている。
【0070】
図8Aに示すように、供給ボックス11には既に上記のタンクシューター15から粉体4が供給されて貯溜さている。造形部20のステージ22には、硬化層及び未硬化の粉体層が積層された状態となっており、この状態から、硬化層を1層形成する工程が開始される。図8Aにおいて、ローラ16及びプリントヘッド41が示されている位置が、ぞれぞれの待機位置とされる。
【0071】
まず、図8Bに示すように、供給部10の供給ステージ12に堆積している粉体4が昇降機構70(図2等参照)により押し上げられ、1層分の粉体層よりも少し過剰な量の粉体4が、プレート2の上面2bより高い位置まで供給される。また、造形部20において、昇降機構50によりステージ22が降下することで、硬化層及び未硬化の粉体層の上面とプレート2の上面2bとの間に、粉体層の1層分の厚みの間隔が設けられる。
【0072】
図8Bにおいて粉体層の1層分の厚みuは、典型的には、0.1mm〜0.2mm程度であるが、この範囲より大きくてもよいし、小さくてもよい。
【0073】
図8Cに示すように、図8Cにおいてローラ16が反時計回りに回転しつつ、白抜きの矢印の方向に移動することにより、供給部10から供給された粉体4が搬送される。ここで、ローラ16の回転方向は、ローラ16を回転自在にして(ローラ16の回転軸にかかる回転力をフリーにして)白抜きの矢印の方向に移動させたとしたときに、ローラ16と造形部20との摩擦によりローラ16が回転するであろう方向に対して逆の方向である。このようなローラ16の回転により粉体4が搬送されることで、造形部20の硬化層及び未硬化の粉体層の上面に設けられた間隔に粉体4が充填されて、均一に均された粉体層が形成される。
【0074】
図8Dに示すように、ローラ16が造形部20を通過して、過剰な量の粉体4を排出路部材31から排出する。そしてローラ16が待機位置まで戻る動作と連動するように、プリントヘッド41がプリントヘッド移動機構46の駆動により移動しながら、着色された画像を描くようにインクを吐出する。この場合、粉体層に水性インク(カラーインク及び透明インク)が浸透し、インクが吐出された部分の粉体4が互いに接着され、硬化層(結合層)が形成される。
【0075】
粉体を硬化させる(結合させる)ためには、プリントヘッド41は、上記のようにバインダーを含む透明インクを吐出する。つまり、着色されたインク(CMYインク)が吐出された領域と同じ領域に、透明インクが吐出されることにより、着色された粉体の硬化層が形成される。
【0076】
なお、着色しない硬化層を形成する場合、プリントヘッド41は、透明インクのみを造形可能領域に選択的に吐出すればよい。
【0077】
なお、ローラ16が粉体4を搬送し終えて待機位置に戻った後に、プリントヘッド41は移動を開始し、インクの吐出を開始させてもよい。しかし、上記のように、ローラ16の戻り動作の時間帯とヘッドの移動動作の時間帯とが重なることにより、処理時間を短縮することができる。
【0078】
プリントヘッド41が待機位置まで戻ると、図8Aに示す状態に戻り、1層分の着色された硬化物が形成される。造形装置100は、以上のような動作を繰り返すことにより、硬化層が積層されて造形物が形成されていく。
【0079】
このように造形装置100による造形処理後、造形装置100とは別の、図示しない加熱装置により造形物が加熱されることで、さらに硬度の高い造形物を得るようにしてもよい。
【0080】
造形装置100による造形処理後、作業者により、ボックス21が造形ユニット30から取り外される。このボックス21の取り外しは、図7A〜Eで説明した順序と逆の順序で行われればよい。作業者は、ボックス21を保持した運搬台車のフォーク153を造形装置100から引き抜き、その搬送台車150をそのまま後述の除粉装置300へ運搬すればよい。
【0081】
以上の造形装置100による処理を、図9の左側にフローチャートとして示した。
【0082】
[除粉装置]
【0083】
次に、除粉装置について説明する。
【0084】
(実施形態1に係る除粉装置)
図10は、実施形態1に係る除粉装置を示す模式的な断面図である。
【0085】
除粉装置300は、ボックス21を着脱可能に保持するボックス保持機構340と、このボックス保持機構340に保持されたボックス21のステージ22を昇降移動させるステージ移動機構350とを備える。また、除粉装置300は、造形物4’の周囲にある未結合の粉体4を除去する除粉処理機構370を備える。
【0086】
除粉装置300は、支持ハウジング362と、この支持ハウジング362上に除粉室(除粉作業領域)320を形成するカバー部材325とを備える。支持ハウジング362上には、区画板324が設けられ、この区画板324及びカバー部材325により除粉室320が形成される。
【0087】
カバー部材325は、例えば、主に透明なアクリル等を有する。カバー部材325の前方側は、上下方向に開閉可能なドア326として形成されている。カバー部材325には、静電気を帯びた粉体が取り付いたりして視認性を妨げないように、静電防止処理が施されている。
【0088】
除粉処理機構370は、除粉室320内に配置されたガスブロー用のノズル328と、粉体を集めて排出する排気装置330とを有する。排気装置330は、除粉室320内に配置され排気用のファンを内部に備えた排気フード335と、排気フード335に接続された排気管336とを有する。排気装置330は、吸引機構として機能する。
【0089】
ノズル328は、図10に示すように複数設けられていてもよい。ノズル328から噴出されるガスとしては、典型的には空気が用いられるが、窒素等の不活性ガスが用いられてもよい。ノズル328は、図示しないが、ガスを収容したタンクに、ポンプ及びバルブ等を介して接続されている。少なくともノズル328が、除粉処理機構370として機能する。除粉処理機構370は、排気装置330を含んでもよい。
【0090】
区画板324の下部には、上記ボックス保持機構340、これに隣接して粉体回収部360、及びステージ移動機構350が配置されている。上記排気装置330の排気管336の出口が区画板324より下方に配置され、排気管336から排出された粉体が粉体回収部360で回収されるようになっている。
【0091】
区画板324の一部の領域には、多数の穴324aが形成されている。区画板324の上に溜まった粉体がこれらの穴324aから落下して、区画板324の下方に配置された傾斜板369を滑り落ち、粉体回収部360へ集められる。
【0092】
区画板324には、ボックス21の外形または内径に対応する形状の開口部324bが設けられている。ボックス21は、ボックス保持機構340に支持された状態で、ボックス21の本体23の上部がその開口部324bに挿入されるか、または、開口部324bの周囲に当接するようになっている。
【0093】
粉体回収部360は、回収領域を形成する回収容器361と、回収容器361内に設けられた撹拌機構363と、撹拌機構363の下部に設けられ、異物を集める篩機構365と、篩機構365で集められた異物を排除する異物排除機構367とを有する。
【0094】
撹拌機構363は、複数のブレードを有する回転体及びこの回転体を駆動するモータ等を有する。篩機構365は、例えば図示しない駆動部により振動するフィルタ部材を有する。異物排除機構367は、篩機構365に接続されるようにして構成されており、例えば図示しない排気ファン等を利用して異物を排出するように構成されている。異物には、粉体以外の材料や、粉体であっても、仮に造形物が欠けたり割れたりして発生する粉体の塊も含まれる。
【0095】
ボックス保持機構340は、上記造形装置100におけるボックス保持機構40と実質的に同様の構造及び機能を有するので、その説明を省略する。ステージ移動機構350も、上記造形装置100における昇降機構50と実質的に同様の構造及び機能を有するので、その説明を省略する。しかし、ボックス保持機構340やステージ移動機構350は、造形装置100のボックス保持機構40及び昇降機構50とは異なる構造を有していてもよい。
【0096】
ボックス21は、造形装置100に装着されていたボックス21である。上記のように、造形装置100から搬送台車150により運搬されて来たボックス21が、この除粉装置300に装着される。
【0097】
図11は、除粉装置300の制御システムの構成を示すブロック図である。
【0098】
この制御システムは、メインコントローラ90、ステージ移動機構コントローラ91、ボックス保持機構コントローラ92、ガス噴出コントローラ93、排気ファンコントローラ94、排気ファンコントローラ95、篩機構コントローラ96、通信部97を備える。
【0099】
メインコントローラ90は、各コントローラ91〜96及び通信部97を統括的に制御する。ステージ移動機構コントローラ91は、ステージ移動機構350の駆動を制御する。ボックス保持機構コントローラ92は、ボックス保持機構340の駆動を制御する。ガス噴出コントローラ93は、ノズル328からのガスの噴出のON/OFFの切り替えを制御したり、あるいはガスの流量を制御したりする。排気ファンコントローラ94及び95は、例えばファンの回転数を制御することにより、その排気量を制御する。篩機構コントローラ96は、篩の振幅及びその周波数のうち少なくとも一方を制御する。
【0100】
通信部97は、メインコントローラ90は、造形装置100の制御ユニット60と、有線または無線により通信可能に接続されている。
【0101】
メインコントローラ90は、CPU、RAM、ROM等、コンピュータに用いられるハードウェア要素及びソフトウェアにより実現される。あるいは、制御ユニットは、FPGA(Field Programmable Gate Array)等のPLD(Programmable Logic Device)、その他ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等のデバイスにより実現されてもよい。
【0102】
また、上記メインコントローラ90以外の各コントローラ及び通信部97は、ハードウェアにより、または、ハードウェア及びソフトウェアにより構成される。
【0103】
次に、以上のように構成された除粉装置300の動作を説明する。図12は、その動作の一部を説明するための図である。
【0104】
作業者が、造形物を収容したボックス21を保持した搬送台車150を、除粉装置300の、ボックス保持機構340に装着する。この装着方法は、造形装置100でのボックス21の装着方法と同様であるので、その説明を省略する。
【0105】
除粉処理前に、除粉装置300のメインコントローラ90は、造形装置100の制御ユニット60から、装着されたボックス21内にある造形物に関連する関連情報を取得する。この場合、メインコントローラ90は「取得部」として機能する。
【0106】
関連情報は、造形の対象となる対象物の3次元データ、ボックス21内に配置された造形物の個数及びその上下方向の段数の情報を含む。関連情報は、粉体やインクの種類等の情報を含んでいてもよい。作業者が、除粉装置300の図示しない操作部を介して、その関連情報の取得のための操作を行えばよい。
【0107】
図12に示すように、ステージ移動機構コントローラ91による制御にしたがって、ステージ移動機構350の昇降アーム352が、所定の高さ分上昇する。所定の高さとは、例えば、ボックス21内に、複数の造形物4’が上下方向に複数段で配置されている場合に、実質的にその1つ分の造形物4’の高さである。上記したように、メインコントローラ90は、制御ユニット60から関連情報を取得しているので、1つ分の造形物4’の高さを認識することができる。この場合、主に、メインコントローラ90は「制御部」として機能する。
【0108】
図12では、その1段ごとの高さを、破線で区切って図示している。このような昇降アーム352によるステージ22の上昇により、本体23の開口23a(図4A、B参照)を介して最上段にある造形物4’がボックス21外に押し出される。
【0109】
そして排気ファンコントローラ95の制御にしたがって、排気装置330が作動を開始する。ガス噴出コントローラ93による制御にしたがって、ノズル328から所定の流量のガスが噴出し、造形物4’の周囲にある主に未結合(未硬化)の粉体4が、造形物4’から離れて飛散する。つまり、未結合の粉体4が造形物4’から除去される。これにより、粉体4は、排気装置330を介して下方の粉体回収部360へ移送される。このようにガスを噴出するノズル328が用いられることにより、除粉精度が向上する。
【0110】
ボックス21内の最上段の造形物4’の除粉処理が終了すると、作業者またはロボットによりドア326が開けられ、最上段の造形物4’が取り出される。この取り出し作業時に、排気ファンコントローラ95は、排気装置330の運転を一旦停止してもよいし、あるいは、そのまま運転を続けてもよい。
【0111】
作業者またはロボットによる最上段の造形物4’の取り出し作業が終了すると、除粉室320のドア326が閉められ、また、ステージ移動機構350の昇降アーム352が、さらに所定の高さ分上昇する。そして、最上段の造形物4’と同様に、ボックス21内の2段目に収容されていた造形物4’の周囲の粉体が除去される。
【0112】
除粉装置300は、このような動作を、ボックス21内に収容された造形物4’の段数分、繰り返し行う。
【0113】
作業者またはロボットによって、ボックス21内の最下段の造形物4’が取り出されると、ボックス21が除粉装置300から取り外される。ボックス21の、除粉装置300からの取り外し方法は、造形装置100でのボックス21の取り外し方法と同様であるので、その説明を省略する。
【0114】
作業者は、空のボックス21を保持した搬送台車150から、その空のボックス21を取り出すか、または、空のボックス21を保持した搬送台車150を所定の位置に運搬する。
【0115】
以上の除粉装置300による処理を、図9の右側にフローチャートとして示した。
【0116】
以上のように、本実施形態では、造形装置100により形成された造形物4’を収容するボックス21ごとに、除粉装置300により未結合の粉体4が除去されるので、造形装置100の内部が粉体4で汚れる、といった問題を解決することができる。つまり、本技術のような着脱可能なボックス21を用いない、一般的な粉体ラピッドプロトタイピング装置においては、作業者が、ボックスから粉体に埋もれた造形物を取り出す際に、粉体が周りに拡散し、未結合の粉体でその造形部(ヘッドやそれを動かす移動機構等)を汚す、といった問題があった。しかし、本技術ではこのような問題を解決することができる。
【0117】
本実施形態では、ステージ移動機構350がボックス21に設けられたステージ22を上昇させることで、本体23の開口23aから造形物4’がボックス21外に押し出される。これにより、ボックス21の上部で未結合の粉体4を除去することができる新たな除粉装置300を提供することができる。
【0118】
本技術と対比される参考例に係る造形装置では、ボックスの下方側から未結合の粉体を自重で落とすようにして排出していた。このような装置では、そのボックスから作業者が造形物を取り出し、除粉作業を手作業で行う必要があり、非常に手間がかかっていた。
【0119】
また、ボックス内に複数の造形物が形成される場合であって粉体が一度に排出されるような造形装置(本技術と対比される参考例に係る造形装置)では、複数の造形物が順序や配列がばらばらになっていた。このような状況の下では、例えば複数の造形物の形状が似通ってはいるが、多少異なる場合、作業者にとってそれら造形物の識別が困難となる。
【0120】
また、そのように粉体が一度に排出される場合、それら造形物が転がったり、造形物同士がぶつかったりするため、造形物の破損(割れ、欠け、崩れ)するおそれがある。
【0121】
本技術によれば、複数段で収容された造形物4’が、1段ごとに本体23から押し出されて除粉が行われることにより、例えば、ボックス内の未結合の粉体が一度に除去される場合に比べ、複数の造形物4’を個別に識別可能にしつつ、これら造形物4’を上から順に取り出すことが可能となる。したがって、参考例に係る造形装置が含んでいる上記のような問題をすべて解決することができる。
【0122】
本実施形態では、篩機構365及び異物排除機構367により、粉体中の異物を排除するので、異物が除去された未結合の粉体を回収することができ、この粉体をリサイクルすることができる。
【0123】
本実施形態では、複数のボックス21を用意することにより、それらボックス21のうち第1のボックス内の造形物についての除粉装置300による除粉処理の間に、造形装置100により第2のボックス内の造形物についての造形処理を行うことができる。このような造形システムは、例えば造形処理部と除粉処理部とが一体となった装置とは異なり、造形処理を中断する時間を短くすることができ、造形物の生産性を高めることができる。その結果、造形処理のコストも抑えることができるようになる。
【0124】
また、造形装置100及び除粉装置300が別体の装置であることにより、それぞれの装置のメンテナンスを独立して行うことができる。
【0125】
(実施形態2に係る除粉装置)
図13は、実施形態2に係る除粉装置の模式的な構成及びその制御システムのブロック構成を示す図である。これ以降の説明では、図10及び11等に示した実施形態1に係る除粉装置300が含む部材、機能、ブロック等について同様のものは説明を簡略化または省略し、異なる点を中心に説明する。
【0126】
本実施形態に係る除粉装置400は、ノズル328を駆動するノズル駆動機構376を備える。ノズル駆動機構376は、例えば並進移動機構372及び角度調整機構374を有する。
【0127】
並進移動機構372は、図10において1次元(例えばX軸)の方向に沿って各ノズル328を並進移動させる。並進移動機構372としては、ボールネジ機構等が利用される。並進移動機構372は、各ノズル328を、ノズル328ごとに個別にそれぞれ駆動する。
【0128】
角度調整機構374は、ノズル328の噴出方向を変更するために、ノズル328の角度(姿勢)を調整するように、これらノズル328に接続されている。角度調整機構374は、作業者が手動で調整する機構であってもよいし、あるいは、モータ及びギア等を含んだ、電気的制御によりその角度を調整可能な(自動調整可能な)機構であってもよい。以下では、角度調整機構374は、電気的制御によりその角度が調整される機構として、本実施形態を説明する。
【0129】
ノズル駆動機構376の駆動は、ガス噴出コントローラ93によって制御される。
【0130】
なお、図13では、並進移動機構372はノズル328ごとに個別に設けられたが、1つのノズル機構が設けられ、これが複数のノズル328を一体的に駆動してもよい。あるいは、X軸に沿った1次元だけでなく、Y軸またはZ軸を含めた2次元内、あるいはこれら両方を含めた3次元内でノズルを並進移動させる機構が設けられていてもよい。これらは、ノズル328の形態(形状、配置及び個数等)に応じて、任意の次元数の移動軸を持つ移動機構が設けられればよい。例えば、X軸方向に沿って多数のノズルが配置される場合は、X軸方向に沿ったノズルの並進移動のための機構は必要ない。あるいは、複数のノズルを備えた1つの噴出ヘッド(またはこの噴出ヘッドが複数設けられる)が除粉室320内に設けられていてもよい。
【0131】
また、この除粉装置400は、回収容器361の重量を検出する重量センサ368を備えている。重量センサ368は、重量センサ368は、所定の重量を有する回収容器361内に回収された未結合の粉体4の重量を検出する。重量センサ368で検出された情報は、メインコントローラ90が取得可能となっている。
【0132】
以上のように構成された除粉装置400は、除粉処理時、上記実施形態1と同様に、1段ごとに造形物をボックス21外へ押し出して除粉を行う。この時、ガス噴出コントローラ93は、メインコントローラ90を介して取得した、制御ユニット60からの造形物の関連情報、特に3次元データに応じて、ノズル駆動機構376を制御する。ノズル駆動機構376は、その造形物の形状に合わせて、ノズル328を並進移動させること、及び、ノズル328の角度を調整することのうち、少なくとも一方を行う。このような駆動の制御により、除粉処理に最適となる位置からガスが噴出される。
【0133】
あるいは、ガス噴出コントローラ93は、造形物の複雑な形状部分(第1の表面積を持つ部分)の除粉処理について、それより単純な形状部分(第1の表面積より小さい第2の表面積を持つ部分)の除粉処理に比べ、長い時間となるようにまたは流量を多くするように、そのガスの噴出を制御することもできる。このように、メインコントローラ90は、造形物の形成時に用いられる3次元データを利用することにより、別途の情報を生成する必要がなく、また、この3次元データに応じて除粉を細かく行うことにより、除粉精度が向上する。
【0134】
本実施形態では、メインコントローラ90は、重量センサ368からの検出情報に応じて、除粉処理機構370による除粉処理の進捗を計測する。この場合、メインコントローラ90及び重量センサ368は、「計測部」として機能する。
【0135】
例えば、メインコントローラ90は、重量センサ368の検出値が閾値以下である場合、そのまま除粉処理を続け、それが閾値を超えた場合、その除粉処理を停止する。除粉処理の停止とは、例えば、排気装置330の作動の停止、ノズルによるガスの噴出の停止等である。上記閾値は、例えばボックス21内の容積及び造形物4’の体積等に基づき定まる値である。また、メインコントローラ90が制御ユニット60から取得した3次元データに応じて、その造形物4’の体積を計算することができる。
【0136】
このように、メインコントローラ90は、測定された未結合の粉体の量に応じて、除粉処理の進捗を認識することができる。
【0137】
(実施形態3)
本実施形態3に係る除粉装置は、図示しないが、除粉室320内の雰囲気の透明度を検出するセンサを備えている。このセンサとしては、例えば光センサが用いられる。
【0138】
光センサは透過型でもよいし、散乱光を検出する反射型でもよい。センサはイメージセンサでもよい。除粉処理の途中では、除粉室320には粉体が舞うのでその透明度は低いが、所定の透明度が得られれば、それが除粉処理の終了のサインとなる。メインコントローラ90は、そのセンサからの検出情報に基づいて、除粉処理の進捗を認識することができる。
【0139】
[その他の実施形態]
【0140】
本技術は、以上説明した実施形態に限定されず、他の種々の実施形態を実現することができる。
【0141】
上記実施形態では、ボックス21が着脱可能に設けられていた。しかし、ボックス21は造形装置及び除粉装置それぞれ固定されていてもよい。例えば複数のボックス21が除粉装置(または造形装置)に設置され、除粉装置がそれら複数のボックス21が水平面内で一体的に移動するような機構を備えていてもよい。複数のボックス21が水平面内で一体的に移動するような機構は、例えばそれらボックス21が1つの点を中心に回転(公転)するような回転機構であってもよい。それらボックス21のうち所定位置に配置された少なくとも1つが、上記で説明した除粉処理方法による除粉処理対象(上記で説明した造形処理方法による造形対象)とされるボックスとなる。
【0142】
造形装置または除粉装置が、このような複数のボックス21が水平面内で一体的に移動するような機構を備える場合、もちろん、これらのボックス21がこれらの装置に着脱可能に設けられていてもよい。
【0143】
上記各除粉装置は、ガスを噴出するノズル328に代えて、またはそれに加えて、刷毛等、造形物4に物理的に接触してその周囲の未結合の粉体4’を除去するデバイスを備えていてもよい。
【0144】
上記各除粉装置において、メインコントローラは、ステージ22の上昇速度または上昇の仕方、あるいは、ノズル328の選択個数等も制御することもできる。
【0145】
上記ボックス保持機構40、340における主要部分の機構として流体圧シリンダが用いられたが、これに代えて、ボールネジ、ラックアンドピニオン、あるいはベルト等の機構が用いられてもよい。
【0146】
上記除粉装置の実施形態2では、粉体の量を計測するデバイスとして重量センサが設けられたがこれに限られない。例えばイメージセンサや光センサにより、回収容器内のどの深さ位置まで粉体4が溜められたかを検出し、メインコントローラがその検出情報に基づいて、粉体の量(重量または体積)を演算してもよい。
【0147】
上記各除粉装置は、造形装置100からの3次元形状データを取得する方法に代えて、または、それに加えて、ボックス21ごとにそのボックスを個別に識別する識別子が、ボックス21に設けられていてもよい。識別子としては、例えばICタグまたは情報コード(バーコードや2次元情報コードなど)を含む。これにより、除粉装置300は、そのボックス21ごと、あるいはそのボックス21内に収容されている造形物ごとに、除粉処理を制御することができる。
【0148】
上記各除粉装置の上記の説明では、ボックス21内に複数の造形物が収容されている例を説明した。しかし、ボックス21内に1つの造形物が収容されている場合であっても、昇降アーム352がステージ22を段階的(断続的)に上昇させながら、ノズル328からの連続的または断続的なガスの噴出によって、その造形物4’の周囲の未結合の粉体4が除去されればよい。あるいは、昇降アーム52がステージ22を連続的に上昇させながら、未結合の粉体4が除去されてもよい。このように、ステージ22が連続的に上昇される場合でも、除粉装置300は、上述のように3次元形状データに応じて、そのステージ22の上昇速度を可変に制御することもできる。
【0149】
上記実施形態に係るクランプ機構56として電磁クランプが用いられた。しかし、クランプ機構として、静電容量によりクランプ力を発生する機構、あるいは機械的な係合によりクランプ力を発生する機構が用いられてもよい。
【0150】
昇降機構50、70等の昇降部材として、上記実施形態ではL字形状の昇降アームを例に挙げたが、このような形態に限られず、昇降部材はロッド状等、どのような形態を有していてもよい。ステージ移動機構350も同様である。
【0151】
ボックスの形状は、上記実施形態のような四角筒状に限られず、三角筒、五角形以上の筒、あるいは、円筒、楕円筒、これらのうち少なくとも2つの組み合わせ、あるいは、その他の任意の形状でもよい。
【0152】
上記実施形態では、造形装置100及び除粉装置300は別体であるとしたが、これらは一体となって設けられていてもよい。
【0153】
あるいは、造形装置100及び除粉装置300が一体及び別体に関わらずインラインで配置され、自動の搬送装置が、造形装置100及び除粉装置300の間で、ボックス21を搬送するような造形システムにも本技術を適用可能である。自動の搬送装置としては、例えばRGV(Rail Guided Vehicle)、あるいはPGV(Personal Guided Vehicle)のようなAGV(Automatic Guided Vehicle)がある。
【0154】
自動の搬送装置としては、例えばアームアンドハンドのような、車輪を持たない搬送装置であってもよい。この場合、造形装置100及び除粉装置300は、このような車輪を持たない搬送装置とともに一体的な装置として構成されてもよい。
【0155】
造形物の3次元形状データのうち少なくとも造形物のサイズに応じて、複数の異なるサイズの容積を持つボックスが用意されてもよい。例えば、造形装置100の制御ユニット60は、小さい造形物を形成する場合、それに対応した小さいボックスを選択し、そのボックスを用いて造形処理を行うことで、すべて同じ容積を持つボックスを用いる場合に比べ、粉体の使用量を節約することができる。この場合、ボックスの外形及びその外形のサイズは、複数のボックスで実質的に同じでよく、それらの容積が異なるように、各ボックスが形成されていればよい。
【0156】
粉体として、上記した材料の他、金属や樹脂であってもよい。金属粉が用いられる場合、焼結により金属粉を結合(硬化)させることができる。造形可能領域にある金属粉を選択的に焼結させるためには、レーザーが用いられる。
【0157】
また、磁性を持つ金属粉が用いられる場合であって、クランプ機構56として上記実施形態のような電磁クランプが用いられる場合、ステージ22の上面と下面(裏面)との間で磁界を遮断する磁気シールドが設けられていればよい。
【0158】
上記昇降機構50は、ステージ22を本体23に対して昇降移動させたが、本体23をステージ22に対して昇降移動させてもよい。除粉装置300のステージ移動機構350も、ステージ22を本体23に対して昇降移動させたが、本体23をステージ22に対して昇降移動させてもよい。この場合、ステージ移動機構350は、ボックス21の下端部が区画板324付近の高さ位置するように設置され、その状態から、本体23を徐々に下降させていけばよい。
【0159】
上記実施形態では、造形装置100の制御ユニット60と、除粉装置300の通信部とが通信可能に接続されていたが、例えばサーバーとなるコンピュータが、造形装置100及び除粉装置300に通信可能に接続され、このコンピュータが造形装置100及び除粉装置300を管理してもよい。
【0160】
以上説明した各形態の特徴部分のうち、少なくとも2つの特徴部分を組み合わせることも可能である。
【0161】
本技術は以下のような構成もとることができる。
(1)開口を有する本体と、前記本体に移動可能に設けられたステージとを有し、ラピッドプロトタイピング技術により粉体を用いて形成された造形物を、未結合の粉体とともに前記ステージ上に配置させるように、前記造形物及び未結合の粉体を収容可能なボックスと、
前記ステージを、前記本体内で、前記本体に相対的に上昇移動させることが可能なステージ移動機構と、
前記ステージ移動機構の駆動により前記開口を介して押し出された前記造形物の周囲の前記未結合の粉体を除去する除粉処理機構と
を具備する除粉装置。
(2)(1)に記載の除粉装置であって、
前記ボックスは、造形物を上下方向に複数段に収容しており、
前記除粉装置は、多段に収容された前記複数の造形物のうち、1段ごとに前記造形物が前記本体から押し出されるように前記ステージ移動機構を作動させ、前記1段ごとに前記除粉処理機構を作動させる制御部をさらに具備する除粉装置。
(3)(1)に記載の除粉装置であって、
前記ボックスの前記本体内の前記造形物に関連する関連情報を取得する取得部と、
前記取得された関連情報に基づき、前記除粉処理機構を作動させる制御部と
をさらに具備する除粉装置。
(4)(3)に記載の除粉装置であって、
前記取得部は、少なくとも、前記ラピッドプロトタイピング技術で用いられる造形対象物の3次元データを前記関連情報として取得する
除粉装置。
(5)(4)に記載の除粉装置であって、
前記除粉処理機構は、前記造形物にガスを噴出するノズルと、前記制御部による前記3次元データに基づく制御にしたがって、前記ノズルの位置及び姿勢のうち少なくとも一方を可変に駆動するノズル駆動機構とを有する
除粉装置。
(6)(1)から(5)のうちいずれか1つに記載の除粉装置であって、
前記除粉処理機構は、除粉作業領域と、前記造形物にガスを噴出するノズルと、前記除粉作業領域内にある前記粉体を吸引する吸引機構とを有する
除粉装置。
(7)(1)に記載の除粉装置であって、
前記除粉処理機構の除粉処理の進捗を計測する計測部をさらに具備する除粉装置。
(8)(7)に記載の除粉装置であって、
前記計測部は、前記除粉処理機構から回収された前記未結合の粉体の量を検出するセンサを有する
除粉装置。
(9)(7)に記載の除粉装置であって、
前記計測部は、前記除粉処理機構が有する除粉作業領域内の雰囲気の透明度を検出するセンサを有する
除粉装置。
(10)(1)から(9)のうちいずれか1つに記載の除粉装置であって、
前記除粉処理機構から回収された前記未結合の粉体から異物を除去する篩機構をさらに具備する
除粉装置。
(11)(1)から(10)のうちいずれか1つに記載の除粉装置であって、
前記ボックスを着脱可能に支持する支持機構をさらに具備する除粉装置。
(12) ラピッドプロトタイピング技術により粉体を用いて造形物を形成する造形装置と、
開口を有する本体と、前記本体に移動可能に設けられたステージとを有し、前記造形装置により形成された造形物を、未結合の粉体とともに前記ステージ上に配置させるように、前記造形物及び未結合の粉体を収容可能なボックスと、
前記ステージを、前記本体内で、前記本体に相対的に上昇移動させることが可能なステージ移動機構と、
前記ステージ移動機構の駆動により前記開口を介して押し出された前記造形物の周囲の前記未結合の粉体を除去する除粉処理機構と、を有する除粉装置と
を具備する造形システム。
(13)ラピッドプロトタイピング技術により粉体を用いて造形物を形成し、
開口を有する本体と、前記本体に移動可能に設けられたステージとを有し、造形物を、未結合の粉体とともに前記ステージ上に配置させるように前記造形物及び未結合の粉体を収容可能なボックスの前記本体内で、前記ステージを、前記ボックスに相対的に上昇移動させ、
前記上昇移動により前記ボックスの前記開口を介して押し出された前記造形物の周囲の前記未結合の粉体を除去する
造形物の製造方法。
【符号の説明】
【0162】
4’…造形物
4…(未結合の)粉体
20…造形部
21…ボックス
22…ステージ
23…本体
23a…開口
30…造形ユニット
90…メインコントローラ
100…造形装置
150…搬送台車
300、400…除粉装置
320…除粉室
328…ノズル
340…ボックス保持機構
350…ステージ移動機構
365…篩機構
367…異物排除機構
368…重量センサ
370…除粉処理機構
376…ノズル駆動機構
【技術分野】
【0001】
本技術は、ラピッドプロトタイピング技術のうち、粉体材料を用いて造形物を形成する造形装置、これに用いられる除粉装置及び造形物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載の造形装置は、積層造形ユニット(20)及び粉末除去ユニット(30)等を備える。積層造形ユニット(20)では、トレイ(9)上で造形物(91)の積層造形作業が行われる。このトレイ(9)は、トレイ搬送部(50)により下降移動するように構成されている。積層造形ユニット(20)において造形物(91)が形成された後、トレイ(9)が下降し、粉末除去ユニット(30)において粉末除去処理が行われる(例えば、特許文献1の明細書段落[0060]、[0070]、図1、4,7参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−248691号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このように、造形装置では製品(造形物)の生産効率を高めることが要求されており、特に新しいタイプの粉体材料の除去機構が求められている。
【0005】
以上のような事情に鑑み、本技術の目的は、粉体を除去することができる新たな除粉装置、これを備えた造形システム及び造形物の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本技術に係る除粉装置は、ボックスと、ステージ移動機構と、除粉処理機構とを具備する。
前記ボックスは、開口を有する本体と、前記本体に移動可能に設けられたステージとを有する。前記ボックスは、ラピッドプロトタイピング技術により粉体を用いて形成された造形物を、未結合の粉体とともに前記ステージ上に配置させるように、前記造形物及び未結合の粉体を収容可能である。
前記ステージ移動機構は、前記ステージを、前記本体内で、前記本体に相対的に上昇移動させることが可能である。
前記除粉処理機構は、前記ステージ移動機構の駆動により前記開口を介して押し出された前記造形物の周囲の前記未結合の粉体を除去する。
【0007】
ステージ移動機構がボックスに設けられたステージを上昇させることで、本体の開口から造形物の少なくとも一部が押し出される。これにより、ボックスの上部で未結合の粉体を除去することができる、新たな除粉装置を提供することができる。
【0008】
前記ボックスは、造形物を上下方向に複数段に収容可能であってもよい。その場合、前記除粉装置は、多段に収容された前記複数の造形物のうち、1段ごとに前記造形物が前記本体から押し出されるように前記ステージ移動機構を作動させ、前記1段ごとに前記除粉処理機構を作動させる制御部をさらに具備してもよい。
【0009】
本技術では、一段ごとに除粉が行われ、一段ごとに除粉が除粉装置から取り出されることにより、例えばボックス内の粉体が一度に排出される場合に比べ、複数の造形物の配置が乱れたり、その順序がばらばらになったりすることを防止することができる。これにより、生産性を向上させることができる。
【0010】
前記除粉装置は、前記ボックスの前記本体内の前記造形物に関連する関連情報を取得する取得部と、前記取得された関連情報に基づき、前記除粉処理機構を作動させる制御部とをさらに具備してもよい。
【0011】
前記取得部は、少なくとも、前記ラピッドプロトタイピング技術で用いられる造形対象物の3次元データを前記関連情報として取得してもよい。例えば、制御部は、造形物の形成時に用いられる3次元データを利用することにより、別途の情報を生成する必要がない。
【0012】
前記除粉処理機構は、前記造形物にガスを噴出するノズルと、前記制御部による前記3次元データに基づく制御にしたがって、前記ノズルの位置及び姿勢のうち少なくとも一方を可変に駆動するノズル駆動機構とを有してもよい。これにより、除粉精度が向上する。
【0013】
前記除粉処理機構は、除粉作業領域と、前記造形物にガスを噴出するノズルと、前記除粉作業領域内にある前記粉体を吸引する吸引機構とを有してもよい。ガスを噴出するノズルが用いられることにより、除粉精度が向上する。
【0014】
前記除粉装置は、前記除粉処理機構の除粉処理の進捗を計測する計測部をさらに具備する除粉装置。
【0015】
前記計測部は、前記除粉処理機構から回収された前記未結合の粉体の量を検出するセンサを有してもよい。これにより、除粉装置の制御部は、測定された未結合の粉体の量に応じて、除粉処理の進捗を認識することができる。
【0016】
前記計測部は、前記除粉処理機構が有する除粉作業領域内の雰囲気の透明度を検出するセンサを有してもよい。これにより、除粉装置の制御部は、除粉作業領域の雰囲気が所定の透明度に応じて、除粉処理の進捗を認識することができる。
【0017】
前記除粉装置は、前記除粉処理機構から回収された前記未結合の粉体から異物を除去する篩機構をさらに具備してもよい。これにより、異物が除去された未結合の粉体を回収することができ、この粉体をリサイクルすることができる。
【0018】
前記除粉装置は、前記ボックスを着脱可能に支持する支持機構をさらに具備してもよい。これにより、例えば造形装置において、そのボックスを造形用のボックスとして利用することができる。例えば複数のボックスが用意されることにより、造形装置による造形処理及び除粉装置による除粉処理の同時進行が可能となるので、生産性を高めることができる。
【0019】
本技術に係る造形システムは、ラピッドプロトタイピング技術により粉体を用いて造形物を形成する造形装置と、上記の除粉装置とを具備する。ステージ移動機構がボックスに設けられたステージを上昇させることで、本体の開口から造形物の少なくとも一部が押し出される。これにより、ボックスの上部で未結合の粉体を除去することができる、新たな除粉装置を含む造形システムを提供することができる。
【0020】
本技術に係る造形物の製造方法は、ラピッドプロトタイピング技術により粉体を用いて造形物を形成することを含む。
開口を有する本体と、前記本体に移動可能に設けられたステージとを有し、造形物を、未結合の粉体とともに前記ステージ上に配置させるように前記造形物及び未結合の粉体を収容可能なボックスの前記本体内で、前記ステージが、前記ボックスに相対的に上昇移動させられる。
前記上昇移動により前記ボックスの前記開口を介して押し出された前記造形物の周囲の前記未結合の粉体が除去される。
【発明の効果】
【0021】
以上、本技術によれば、粉体を除去することができる新たな除粉装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】図1は、本技術の一実施形態に係る造形装置を示す図である。
【図2】図2は、図1に示す造形装置の側面図である。
【図3】図3は、図1に示す造形装置の平面図である。
【図4】図4Aは、造形部に設けられたボックスを示す斜視図である。図4Bは、このボックスを示す断面図である。
【図5】図5A及びBは、昇降機構を説明するための模式図である。
【図6】図6は、搬送台車によりボックスが搬送される様子を示している。
【図7】図7A〜Eは、ボックス21がボックス保持機構に装着される時の動作を順に示す図である。
【図8】図8は、主に造形装置の造形動作を順に示す図であり、側面から見た模式図である。
【図9】図9は、造形装置及び除粉装置による処理を示すフローチャートである。
【図10】図10は、実施形態1に係る除粉装置を示す模式的な断面図である
【図11】図11は、除粉装置の制御システムの構成を示すブロック図である。
【図12】除粉装置の動作の一部を説明するための図である。
【図13】図13は、実施形態2に係る除粉装置の模式的な構成及びその制御システムのブロック構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照しながら、本技術の実施形態を説明する。
【0024】
[造形装置]
【0025】
(造形装置の構成)
図1は、本技術の一実施形態に係る造形装置を示す図である。図2は、図1に示す造形装置の側面図であり、図3は、その平面図である。
【0026】
この造形装置100は、ラピッドプロトタイピング技術により、粉体を材料とした造形物を形成する装置である。
【0027】
造形装置100は、造形ユニット30と、これに隣接して配置された制御ユニット60とを備える。造形ユニット30は、フレーム1と、このフレーム1上に固定されたプレート2とを備える。プレート2の概ね中央部には、プレート2の長手方向であるY方向に沿って造形作業用の開口部2aが設けられている。その開口部2aの下部には、粉体の供給部10、粉体による造形物が形成される造形部20、及び、粉体の排出路部材31(図1ではこれを省略)が配置されている。これら供給部10、造形部20及び排出路部材31は、図2及び図3に示すように、それらの図中左側からY方向に沿って順に並ぶように配置されている。
【0028】
なお、プレート2上にも図示しないフレームが設けられ、図1に示すように、フレームにカバー33が取り付けられている。カバー33はアクリル等により形成され、ユーザーが、造形ユニット30の外部からその内部を見ることができるようになっている。また、このカバー33には、静電気を帯びた粉体が取り付いたりして視認性を妨げないように、静電防止処理が施されている。
【0029】
供給部10は、粉体4(図8参照)を貯留することが可能な、供給ステージ12を含む供給ボックス11、供給ステージ12を供給ボックス11内で昇降させる昇降機構70を有する。供給ステージ12は、昇降機構70の駆動により、供給ボックス11内で供給ボックス11に貯留された粉体4を下から押し上げることで、開口部2aを介してプレート2上に粉体4を供給する。昇降機構70としては、ボールネジ機構またはラックアンドピニオン機構等が用いられる。
【0030】
図1及び2に示すように、この供給部10上には、作業者またはロボットにより粉体が供給されて一時的に貯溜されるタンクシューター15が設けられている。タンクシューター15の底部には、例えば電気的な制御で開閉する図示しないカバーが設けられている。このカバーが開くと、貯溜されている粉体が自重で落下し、供給部10に供給される。
【0031】
粉体4としては、水溶性の材料が用いられ、例えば、食塩、硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム、塩化カリウム、塩化ナトリウムなどの無機物が用いられる。塩化ナトリウムとにがり成分(硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム、塩化カリウムなど)が混合されたものが用いられてもよい。すなわち、これは塩化ナトリウムを主成分とするものである。あるいは、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、ポリアクリル酸アンモニウム、ポリアクリル酸ナトリウム、メタアクリル酸アンモニウム、メタアクリル酸ナトリウムやその共重合体などの有機物を用いることもできる。
【0032】
粉体4の平均粒子径は、典型的には10μm以上100μm以下である。食塩が用いられることにより、例えば金属またはプラスチック等の粉体材料を用いる場合に比べ、粉体材料の抽出や加工等に要するエネルギーが低いので環境に良い。
【0033】
供給部10に隣接して配置された造形部20は、粉体4を収容することが可能なボックス21と、このボックス21に設けられたステージ22を昇降させる昇降機構50とを有する。ボックス21は、ボックス保持機構40に着脱可能に設けられている。ボックス保持機構40及び昇降機構50については後述する。
【0034】
図3で見て、ボックス21のX方向の長さは20〜50cm、そのY方向の長さは10〜30cmに設定されるが、この範囲に限られない。このボックス21(の本体23)内に収容された粉体が配置される領域が、造形可能領域となる。
【0035】
各ボックス11、12及び排出路部材31の上端部には開口が設けられ、それらの開口面は、プレート2の開口部2a(図3参照)にそれぞれ対面するように配置されている。
【0036】
プレート2の開口部2aの供給部10側の端部付近には、供給部10から供給された粉体4を造形部20に搬送するローラ16が配置されている。ローラ16は、各ボックス11、12及び排出路部材31の配列方向とは水平面内で直交する方向、すなわちX方向に沿って設けられた回転軸17(図2参照)を有する。回転軸17を回転させる図示しないモータも設けられている。プレート2上にはローラ16をY方向に移動させる図示しない機構が設けられている。
【0037】
排出路部材31は、図2に示すように、ボックス保持機構40をよけるために折れるように設けられている。排出路部材31の下部には、回収ボックス34が配置されている。排出路部材31を自重により落下する余剰の粉体が、この回収ボックス34に回収されるようになっている。
【0038】
プレート2上には、プリントヘッド41、及びこのプリントヘッド41をX−Y方向に移動させるプリントヘッド移動機構46が設けられている。プリントヘッド41は、造形部20においてステージ22上の粉体4にインクを吐出することが可能になっている。プリントヘッド41及びプリントヘッド移動機構46は、液体を供給する供給機構として機能する。
【0039】
プリントヘッド移動機構46は、開口部2aのX方向での両側でY方向に沿って延設されたガイドレール45、これらのガイドレール45の端部に設けられたY軸駆動機構48、これらのガイドレール45の間に架け渡されたX軸駆動機構47を有する。X軸駆動機構47にプリントヘッド41がX方向に移動可能に接続されている。また、X軸駆動機構47は、ガイドレール45に沿って、Y軸駆動機構48によりY方向に移動可能となっている。X軸駆動機構47及びY軸駆動機構48は、ボールネジ機構、ベルト機構、またはラックアンドピニオン機構等により構成されている。
【0040】
プリントヘッド41は、公知のインクジェットプリントヘッドの構造を備えるものが用いられればよい。例えば、プリントヘッド41内には、図示しない複数のインクタンクが設けられている。各インクタンクは、シアン、マゼンダ及びイエローの各色(以下CMYという。)のインクをそれぞれ貯溜している。
【0041】
プリントヘッド41内には、図示しないが例えば透明インクを貯溜するタンクも設けられている。この透明インクは、粉体を結合して硬化させるためのバインダーの成分を含む。バインダーは、典型的にはポリビニルアルコールが挙げられるが、これに限られない。
【0042】
インクとしては、例えば水性インクが用いられ、市販のインクジェットプリンタ用のインクを用いることも可能である。インクは、粉体4の材料に応じて油性であってもよい。
【0043】
プリントヘッド41の方式として、インクジェット方式とは異なる方式が採用されてもよい。
【0044】
制御ユニット60は、CPU、RAM及びROMを有するコンピュータの機能を備える。また、制御ユニット60は、前面の上部に配置された表示部61、及びその下部に配置された入力操作機器62を有している。入力操作機器62は、典型的にはキーボードにより構成される。表示部61は、タッチパネルによる入力デバイスを有していてもよい。
【0045】
この制御ユニット60には、CT(Computed Tomography)データが入力される。制御ユニット60は、入力されたCTデータ、あるいはこれに基づき得られた3次元データに基づいて、造形物を形成するために、造形ユニット30の各部の動き及びそのタイミングを制御する。
【0046】
図4Aは、造形部20に設けられたボックス21を示す斜視図である。図4Bは、このボックス21を示す断面図である。
【0047】
ボックス21は、上記したように、上端に開口23aを有する本体23と、この本体23に移動可能に設けられ、この本体23の底板を構成するステージ22とを有する。本体23の形状は、四角の筒状であり、ステージ22は、この本体23の内面の形状に沿うように、四角形の板状を有する。図4Bに示すように、本体23の下部にはフランジ部23bが設けられており、ステージ22の周縁部がこのフランジ部23b上に載置された状態で、本体23の容積が最も大きくなる。
【0048】
ステージ22の周縁部には、シール部材29が装着されており、シール部材29は、本体23とステージ22との間の隙間をシールする。シール部材29は、例えばウレタン等、スポンジ状の素材で構成される。ステージ22の裏面には、後述するクランプ機構56の一部を構成する部材として、例えば永久磁石55が取り付けられている。なお、図2、7A〜E等では、シール部材29の図示を省略している。
【0049】
このボックス21の本体23の側面23cには、ボックス保持機構40の後述する支持部材27に支持される被支持部材24が設けられている。被支持部材24は、例えば板状に形成されるが、この形状に限られない。ボックス保持機構40の支持部材27がボックス21を支持できるように、被支持部材24は連続的または断続的に本体23の周囲の少なくとも一部に設けられていればよい。本実施形態では、被支持部材24は、本体23の対向する一対の側面23cにそれぞれ設けられている。
【0050】
図2に示すように、ボックス保持機構40は、一対の昇降シリンダ28と、一対のストッパー83とを有する。これら昇降シリンダ28及びストッパー83は、造形ユニット30に設けられた図示しない取付フレームに取り付つけられて固定されている。
【0051】
昇降シリンダ28は、昇降シリンダ28は、駆動部25と、駆動部25により昇降移動するロッド26とをそれぞれ有し、ロッド26の先端には上記支持部材27がそれぞれ取り付けられている。すなわち、支持部材27が、ボックス21に設けられた被支持部材24を下方から支持するようになっている。昇降シリンダ28としては、例えば流体圧シリンダ(典型的にはエアシリンダ)が用いられる。これら一対の昇降シリンダ28は、同期して駆動するように、造形ユニット30の図示しないコントローラにより、あるいは制御ユニット60によりその駆動が制御される。
【0052】
一対のストッパー83は、昇降シリンダ28が支持部材27を上昇移動させる時に、その上昇移動を規制する機能を有する。ストッパー83に被支持部材24が当接した時点で、ボックス21が造形部20に位置決めされた状態となる。
【0053】
図5A及びBは、昇降機構50を説明するための模式図である。
【0054】
昇降機構50は、駆動部54と、この駆動部54によって昇降移動する昇降アーム(昇降部材)52と、昇降アーム52がステージ22をクランプするためのクランプ機構56とを含む。昇降アーム52は例えばL字形状を有する。
【0055】
クランプ機構56は、例えば、昇降アーム52の上端部に取り付けられた、磁界発生デバイス53と、上述のように、ステージ22の裏面に設けられた永久磁石55とを有する。磁界発生デバイス53が、図示しないコイルの通電により磁力を発生し、この磁力が永久磁石55と作用することで、磁界発生デバイス53と永久磁石55とが接続され、ステージ22がクランプされる。図5Bでは、クランプ機構56が作動して、昇降アーム52とステージ22とがクランプされ、昇降アーム52がステージ22を押し上げている。
【0056】
供給部10の昇降機構70も、基本的に昇降機構50と同様の構造を有しており、昇降アーム72の端部に供給ステージ12が直接取り付けられている点で、昇降機構50と異なる。
【0057】
図6は、搬送台車によりボックス21が搬送される様子を示している。搬送台車150は、ボックス21を保持するフォーク153を有する。作業者が、この搬送台車150を動かして、フォーク153を造形ユニット30に挿入することで、ボックス21が所定の位置に配置される。
【0058】
(造形装置における造形処理前の動作)
図7A〜Eは、ボックス21がボックス保持機構40に装着される時の動作を順に示す図である。
【0059】
最初、造形装置100の各部の機構は、原点位置(初期位置)にある。ボックス保持機構40の原点位置は、図7Aに示すような位置である。すなわち原点位置では、昇降シリンダ28の支持部材27が、図2で示した位置より下降した状態にある。
【0060】
図6に示したように、作業者は、造形装置100内に搬送台車150のフォーク153を挿入するように、搬送台車150を移動させる。そうすると、図7Bに示すように、作業者が造形装置100の入力操作機器62を介して操作することにより、ボックス保持機構40は、ボックス21の保持動作を開始する。
【0061】
図7Cに示すように、ボックス保持機構40では、昇降シリンダ28の駆動により、支持部材27が上昇する。支持部材27が被支持部材24に当接しながら上昇することにより、ボックス21が持ち上げられ、ボックス21がフォーク153から離れる。昇降シリンダ28は、被支持部材24がストッパー83に当接するまで支持部材27を上昇させる。被支持部材24がストッパー83に当接することにより、その上昇が終了する。このようにしてボックス保持機構40は、ボックス21を保持する。
【0062】
ボックス21の下部には昇降機構50が配置されるため、ボックス21を保持するボックス保持機構40は、このように動きが少ない、極力簡易な構成とされる。
【0063】
作業者は搬送台車150をバックさせることによりそのフォーク153を造形装置100から引き抜く。作業者は、安全を考慮してフォーク153を少し下降させてから引き抜いてもよい。
【0064】
次に、図7Dに示すように、昇降機構50が作動を開始する。昇降アーム52が上昇し、クランプ機構56によりステージ22がクランプされる。ステージ22がクランプされると、図7Eに示すように、昇降機構50は、ステージ22をボックス21の本体23の最上位置、すなわち開口付近まで上昇させる。その後、後述する造形処理(図8参照)が開始される。
【0065】
以上のように、本実施形態では、ボックス保持機構40によりボックス21が着脱可能に保持されるので、作業者は、ボックス保持機構40からそのボックス21を取り外すことができる。作業者は、取り外されたボックス21から造形物を取り出したり、造形物を収容したボックス21を後述するように除粉装置300に装着したりすることができる。これにより、作業効率を高めることができる。
【0066】
また、本実施形態に係るクランプ機構56は、電磁クランプ力を利用している。本実施形態では、ボックス21がボックス保持機構40に着脱可能であること、あるいは、ステージ22がボックス21の本体23に移動可能に設けられることにより、ボックス21及びステージ22の製造誤差(サイズ誤差等)が発生することも想定される。しかし、本技術のような電磁クランプ力が利用されることにより、部材同士が係合してクランプ力を発生するメカニカルなクランプ力が利用される場合に比べ、その製造誤差を吸収してクランプを行うことができる。
【0067】
(造形装置による造形処理)
図8は、主に造形装置100の造形動作を順に示す図であり、側面から見た模式図である。
【0068】
造形装置100が造形物を形成する前の段階で、造形の対象となる対象物のCTデータ、あるいは、これに基づき得られるDICOM(Digital Imaging and COmmunication in Medicine)等の3次元データが制御ユニット60に入力される。
【0069】
図8A〜Dでは、後述するように、プリントヘッド41からインクが吐出されることで粉体4が硬化(結合)される層が1層分(所定の層厚分)形成される工程が示されている。粉体4及び未硬化(未結合)の粉体4がドットのハッチングで示され、硬化層が黒塗りで示されている。
【0070】
図8Aに示すように、供給ボックス11には既に上記のタンクシューター15から粉体4が供給されて貯溜さている。造形部20のステージ22には、硬化層及び未硬化の粉体層が積層された状態となっており、この状態から、硬化層を1層形成する工程が開始される。図8Aにおいて、ローラ16及びプリントヘッド41が示されている位置が、ぞれぞれの待機位置とされる。
【0071】
まず、図8Bに示すように、供給部10の供給ステージ12に堆積している粉体4が昇降機構70(図2等参照)により押し上げられ、1層分の粉体層よりも少し過剰な量の粉体4が、プレート2の上面2bより高い位置まで供給される。また、造形部20において、昇降機構50によりステージ22が降下することで、硬化層及び未硬化の粉体層の上面とプレート2の上面2bとの間に、粉体層の1層分の厚みの間隔が設けられる。
【0072】
図8Bにおいて粉体層の1層分の厚みuは、典型的には、0.1mm〜0.2mm程度であるが、この範囲より大きくてもよいし、小さくてもよい。
【0073】
図8Cに示すように、図8Cにおいてローラ16が反時計回りに回転しつつ、白抜きの矢印の方向に移動することにより、供給部10から供給された粉体4が搬送される。ここで、ローラ16の回転方向は、ローラ16を回転自在にして(ローラ16の回転軸にかかる回転力をフリーにして)白抜きの矢印の方向に移動させたとしたときに、ローラ16と造形部20との摩擦によりローラ16が回転するであろう方向に対して逆の方向である。このようなローラ16の回転により粉体4が搬送されることで、造形部20の硬化層及び未硬化の粉体層の上面に設けられた間隔に粉体4が充填されて、均一に均された粉体層が形成される。
【0074】
図8Dに示すように、ローラ16が造形部20を通過して、過剰な量の粉体4を排出路部材31から排出する。そしてローラ16が待機位置まで戻る動作と連動するように、プリントヘッド41がプリントヘッド移動機構46の駆動により移動しながら、着色された画像を描くようにインクを吐出する。この場合、粉体層に水性インク(カラーインク及び透明インク)が浸透し、インクが吐出された部分の粉体4が互いに接着され、硬化層(結合層)が形成される。
【0075】
粉体を硬化させる(結合させる)ためには、プリントヘッド41は、上記のようにバインダーを含む透明インクを吐出する。つまり、着色されたインク(CMYインク)が吐出された領域と同じ領域に、透明インクが吐出されることにより、着色された粉体の硬化層が形成される。
【0076】
なお、着色しない硬化層を形成する場合、プリントヘッド41は、透明インクのみを造形可能領域に選択的に吐出すればよい。
【0077】
なお、ローラ16が粉体4を搬送し終えて待機位置に戻った後に、プリントヘッド41は移動を開始し、インクの吐出を開始させてもよい。しかし、上記のように、ローラ16の戻り動作の時間帯とヘッドの移動動作の時間帯とが重なることにより、処理時間を短縮することができる。
【0078】
プリントヘッド41が待機位置まで戻ると、図8Aに示す状態に戻り、1層分の着色された硬化物が形成される。造形装置100は、以上のような動作を繰り返すことにより、硬化層が積層されて造形物が形成されていく。
【0079】
このように造形装置100による造形処理後、造形装置100とは別の、図示しない加熱装置により造形物が加熱されることで、さらに硬度の高い造形物を得るようにしてもよい。
【0080】
造形装置100による造形処理後、作業者により、ボックス21が造形ユニット30から取り外される。このボックス21の取り外しは、図7A〜Eで説明した順序と逆の順序で行われればよい。作業者は、ボックス21を保持した運搬台車のフォーク153を造形装置100から引き抜き、その搬送台車150をそのまま後述の除粉装置300へ運搬すればよい。
【0081】
以上の造形装置100による処理を、図9の左側にフローチャートとして示した。
【0082】
[除粉装置]
【0083】
次に、除粉装置について説明する。
【0084】
(実施形態1に係る除粉装置)
図10は、実施形態1に係る除粉装置を示す模式的な断面図である。
【0085】
除粉装置300は、ボックス21を着脱可能に保持するボックス保持機構340と、このボックス保持機構340に保持されたボックス21のステージ22を昇降移動させるステージ移動機構350とを備える。また、除粉装置300は、造形物4’の周囲にある未結合の粉体4を除去する除粉処理機構370を備える。
【0086】
除粉装置300は、支持ハウジング362と、この支持ハウジング362上に除粉室(除粉作業領域)320を形成するカバー部材325とを備える。支持ハウジング362上には、区画板324が設けられ、この区画板324及びカバー部材325により除粉室320が形成される。
【0087】
カバー部材325は、例えば、主に透明なアクリル等を有する。カバー部材325の前方側は、上下方向に開閉可能なドア326として形成されている。カバー部材325には、静電気を帯びた粉体が取り付いたりして視認性を妨げないように、静電防止処理が施されている。
【0088】
除粉処理機構370は、除粉室320内に配置されたガスブロー用のノズル328と、粉体を集めて排出する排気装置330とを有する。排気装置330は、除粉室320内に配置され排気用のファンを内部に備えた排気フード335と、排気フード335に接続された排気管336とを有する。排気装置330は、吸引機構として機能する。
【0089】
ノズル328は、図10に示すように複数設けられていてもよい。ノズル328から噴出されるガスとしては、典型的には空気が用いられるが、窒素等の不活性ガスが用いられてもよい。ノズル328は、図示しないが、ガスを収容したタンクに、ポンプ及びバルブ等を介して接続されている。少なくともノズル328が、除粉処理機構370として機能する。除粉処理機構370は、排気装置330を含んでもよい。
【0090】
区画板324の下部には、上記ボックス保持機構340、これに隣接して粉体回収部360、及びステージ移動機構350が配置されている。上記排気装置330の排気管336の出口が区画板324より下方に配置され、排気管336から排出された粉体が粉体回収部360で回収されるようになっている。
【0091】
区画板324の一部の領域には、多数の穴324aが形成されている。区画板324の上に溜まった粉体がこれらの穴324aから落下して、区画板324の下方に配置された傾斜板369を滑り落ち、粉体回収部360へ集められる。
【0092】
区画板324には、ボックス21の外形または内径に対応する形状の開口部324bが設けられている。ボックス21は、ボックス保持機構340に支持された状態で、ボックス21の本体23の上部がその開口部324bに挿入されるか、または、開口部324bの周囲に当接するようになっている。
【0093】
粉体回収部360は、回収領域を形成する回収容器361と、回収容器361内に設けられた撹拌機構363と、撹拌機構363の下部に設けられ、異物を集める篩機構365と、篩機構365で集められた異物を排除する異物排除機構367とを有する。
【0094】
撹拌機構363は、複数のブレードを有する回転体及びこの回転体を駆動するモータ等を有する。篩機構365は、例えば図示しない駆動部により振動するフィルタ部材を有する。異物排除機構367は、篩機構365に接続されるようにして構成されており、例えば図示しない排気ファン等を利用して異物を排出するように構成されている。異物には、粉体以外の材料や、粉体であっても、仮に造形物が欠けたり割れたりして発生する粉体の塊も含まれる。
【0095】
ボックス保持機構340は、上記造形装置100におけるボックス保持機構40と実質的に同様の構造及び機能を有するので、その説明を省略する。ステージ移動機構350も、上記造形装置100における昇降機構50と実質的に同様の構造及び機能を有するので、その説明を省略する。しかし、ボックス保持機構340やステージ移動機構350は、造形装置100のボックス保持機構40及び昇降機構50とは異なる構造を有していてもよい。
【0096】
ボックス21は、造形装置100に装着されていたボックス21である。上記のように、造形装置100から搬送台車150により運搬されて来たボックス21が、この除粉装置300に装着される。
【0097】
図11は、除粉装置300の制御システムの構成を示すブロック図である。
【0098】
この制御システムは、メインコントローラ90、ステージ移動機構コントローラ91、ボックス保持機構コントローラ92、ガス噴出コントローラ93、排気ファンコントローラ94、排気ファンコントローラ95、篩機構コントローラ96、通信部97を備える。
【0099】
メインコントローラ90は、各コントローラ91〜96及び通信部97を統括的に制御する。ステージ移動機構コントローラ91は、ステージ移動機構350の駆動を制御する。ボックス保持機構コントローラ92は、ボックス保持機構340の駆動を制御する。ガス噴出コントローラ93は、ノズル328からのガスの噴出のON/OFFの切り替えを制御したり、あるいはガスの流量を制御したりする。排気ファンコントローラ94及び95は、例えばファンの回転数を制御することにより、その排気量を制御する。篩機構コントローラ96は、篩の振幅及びその周波数のうち少なくとも一方を制御する。
【0100】
通信部97は、メインコントローラ90は、造形装置100の制御ユニット60と、有線または無線により通信可能に接続されている。
【0101】
メインコントローラ90は、CPU、RAM、ROM等、コンピュータに用いられるハードウェア要素及びソフトウェアにより実現される。あるいは、制御ユニットは、FPGA(Field Programmable Gate Array)等のPLD(Programmable Logic Device)、その他ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等のデバイスにより実現されてもよい。
【0102】
また、上記メインコントローラ90以外の各コントローラ及び通信部97は、ハードウェアにより、または、ハードウェア及びソフトウェアにより構成される。
【0103】
次に、以上のように構成された除粉装置300の動作を説明する。図12は、その動作の一部を説明するための図である。
【0104】
作業者が、造形物を収容したボックス21を保持した搬送台車150を、除粉装置300の、ボックス保持機構340に装着する。この装着方法は、造形装置100でのボックス21の装着方法と同様であるので、その説明を省略する。
【0105】
除粉処理前に、除粉装置300のメインコントローラ90は、造形装置100の制御ユニット60から、装着されたボックス21内にある造形物に関連する関連情報を取得する。この場合、メインコントローラ90は「取得部」として機能する。
【0106】
関連情報は、造形の対象となる対象物の3次元データ、ボックス21内に配置された造形物の個数及びその上下方向の段数の情報を含む。関連情報は、粉体やインクの種類等の情報を含んでいてもよい。作業者が、除粉装置300の図示しない操作部を介して、その関連情報の取得のための操作を行えばよい。
【0107】
図12に示すように、ステージ移動機構コントローラ91による制御にしたがって、ステージ移動機構350の昇降アーム352が、所定の高さ分上昇する。所定の高さとは、例えば、ボックス21内に、複数の造形物4’が上下方向に複数段で配置されている場合に、実質的にその1つ分の造形物4’の高さである。上記したように、メインコントローラ90は、制御ユニット60から関連情報を取得しているので、1つ分の造形物4’の高さを認識することができる。この場合、主に、メインコントローラ90は「制御部」として機能する。
【0108】
図12では、その1段ごとの高さを、破線で区切って図示している。このような昇降アーム352によるステージ22の上昇により、本体23の開口23a(図4A、B参照)を介して最上段にある造形物4’がボックス21外に押し出される。
【0109】
そして排気ファンコントローラ95の制御にしたがって、排気装置330が作動を開始する。ガス噴出コントローラ93による制御にしたがって、ノズル328から所定の流量のガスが噴出し、造形物4’の周囲にある主に未結合(未硬化)の粉体4が、造形物4’から離れて飛散する。つまり、未結合の粉体4が造形物4’から除去される。これにより、粉体4は、排気装置330を介して下方の粉体回収部360へ移送される。このようにガスを噴出するノズル328が用いられることにより、除粉精度が向上する。
【0110】
ボックス21内の最上段の造形物4’の除粉処理が終了すると、作業者またはロボットによりドア326が開けられ、最上段の造形物4’が取り出される。この取り出し作業時に、排気ファンコントローラ95は、排気装置330の運転を一旦停止してもよいし、あるいは、そのまま運転を続けてもよい。
【0111】
作業者またはロボットによる最上段の造形物4’の取り出し作業が終了すると、除粉室320のドア326が閉められ、また、ステージ移動機構350の昇降アーム352が、さらに所定の高さ分上昇する。そして、最上段の造形物4’と同様に、ボックス21内の2段目に収容されていた造形物4’の周囲の粉体が除去される。
【0112】
除粉装置300は、このような動作を、ボックス21内に収容された造形物4’の段数分、繰り返し行う。
【0113】
作業者またはロボットによって、ボックス21内の最下段の造形物4’が取り出されると、ボックス21が除粉装置300から取り外される。ボックス21の、除粉装置300からの取り外し方法は、造形装置100でのボックス21の取り外し方法と同様であるので、その説明を省略する。
【0114】
作業者は、空のボックス21を保持した搬送台車150から、その空のボックス21を取り出すか、または、空のボックス21を保持した搬送台車150を所定の位置に運搬する。
【0115】
以上の除粉装置300による処理を、図9の右側にフローチャートとして示した。
【0116】
以上のように、本実施形態では、造形装置100により形成された造形物4’を収容するボックス21ごとに、除粉装置300により未結合の粉体4が除去されるので、造形装置100の内部が粉体4で汚れる、といった問題を解決することができる。つまり、本技術のような着脱可能なボックス21を用いない、一般的な粉体ラピッドプロトタイピング装置においては、作業者が、ボックスから粉体に埋もれた造形物を取り出す際に、粉体が周りに拡散し、未結合の粉体でその造形部(ヘッドやそれを動かす移動機構等)を汚す、といった問題があった。しかし、本技術ではこのような問題を解決することができる。
【0117】
本実施形態では、ステージ移動機構350がボックス21に設けられたステージ22を上昇させることで、本体23の開口23aから造形物4’がボックス21外に押し出される。これにより、ボックス21の上部で未結合の粉体4を除去することができる新たな除粉装置300を提供することができる。
【0118】
本技術と対比される参考例に係る造形装置では、ボックスの下方側から未結合の粉体を自重で落とすようにして排出していた。このような装置では、そのボックスから作業者が造形物を取り出し、除粉作業を手作業で行う必要があり、非常に手間がかかっていた。
【0119】
また、ボックス内に複数の造形物が形成される場合であって粉体が一度に排出されるような造形装置(本技術と対比される参考例に係る造形装置)では、複数の造形物が順序や配列がばらばらになっていた。このような状況の下では、例えば複数の造形物の形状が似通ってはいるが、多少異なる場合、作業者にとってそれら造形物の識別が困難となる。
【0120】
また、そのように粉体が一度に排出される場合、それら造形物が転がったり、造形物同士がぶつかったりするため、造形物の破損(割れ、欠け、崩れ)するおそれがある。
【0121】
本技術によれば、複数段で収容された造形物4’が、1段ごとに本体23から押し出されて除粉が行われることにより、例えば、ボックス内の未結合の粉体が一度に除去される場合に比べ、複数の造形物4’を個別に識別可能にしつつ、これら造形物4’を上から順に取り出すことが可能となる。したがって、参考例に係る造形装置が含んでいる上記のような問題をすべて解決することができる。
【0122】
本実施形態では、篩機構365及び異物排除機構367により、粉体中の異物を排除するので、異物が除去された未結合の粉体を回収することができ、この粉体をリサイクルすることができる。
【0123】
本実施形態では、複数のボックス21を用意することにより、それらボックス21のうち第1のボックス内の造形物についての除粉装置300による除粉処理の間に、造形装置100により第2のボックス内の造形物についての造形処理を行うことができる。このような造形システムは、例えば造形処理部と除粉処理部とが一体となった装置とは異なり、造形処理を中断する時間を短くすることができ、造形物の生産性を高めることができる。その結果、造形処理のコストも抑えることができるようになる。
【0124】
また、造形装置100及び除粉装置300が別体の装置であることにより、それぞれの装置のメンテナンスを独立して行うことができる。
【0125】
(実施形態2に係る除粉装置)
図13は、実施形態2に係る除粉装置の模式的な構成及びその制御システムのブロック構成を示す図である。これ以降の説明では、図10及び11等に示した実施形態1に係る除粉装置300が含む部材、機能、ブロック等について同様のものは説明を簡略化または省略し、異なる点を中心に説明する。
【0126】
本実施形態に係る除粉装置400は、ノズル328を駆動するノズル駆動機構376を備える。ノズル駆動機構376は、例えば並進移動機構372及び角度調整機構374を有する。
【0127】
並進移動機構372は、図10において1次元(例えばX軸)の方向に沿って各ノズル328を並進移動させる。並進移動機構372としては、ボールネジ機構等が利用される。並進移動機構372は、各ノズル328を、ノズル328ごとに個別にそれぞれ駆動する。
【0128】
角度調整機構374は、ノズル328の噴出方向を変更するために、ノズル328の角度(姿勢)を調整するように、これらノズル328に接続されている。角度調整機構374は、作業者が手動で調整する機構であってもよいし、あるいは、モータ及びギア等を含んだ、電気的制御によりその角度を調整可能な(自動調整可能な)機構であってもよい。以下では、角度調整機構374は、電気的制御によりその角度が調整される機構として、本実施形態を説明する。
【0129】
ノズル駆動機構376の駆動は、ガス噴出コントローラ93によって制御される。
【0130】
なお、図13では、並進移動機構372はノズル328ごとに個別に設けられたが、1つのノズル機構が設けられ、これが複数のノズル328を一体的に駆動してもよい。あるいは、X軸に沿った1次元だけでなく、Y軸またはZ軸を含めた2次元内、あるいはこれら両方を含めた3次元内でノズルを並進移動させる機構が設けられていてもよい。これらは、ノズル328の形態(形状、配置及び個数等)に応じて、任意の次元数の移動軸を持つ移動機構が設けられればよい。例えば、X軸方向に沿って多数のノズルが配置される場合は、X軸方向に沿ったノズルの並進移動のための機構は必要ない。あるいは、複数のノズルを備えた1つの噴出ヘッド(またはこの噴出ヘッドが複数設けられる)が除粉室320内に設けられていてもよい。
【0131】
また、この除粉装置400は、回収容器361の重量を検出する重量センサ368を備えている。重量センサ368は、重量センサ368は、所定の重量を有する回収容器361内に回収された未結合の粉体4の重量を検出する。重量センサ368で検出された情報は、メインコントローラ90が取得可能となっている。
【0132】
以上のように構成された除粉装置400は、除粉処理時、上記実施形態1と同様に、1段ごとに造形物をボックス21外へ押し出して除粉を行う。この時、ガス噴出コントローラ93は、メインコントローラ90を介して取得した、制御ユニット60からの造形物の関連情報、特に3次元データに応じて、ノズル駆動機構376を制御する。ノズル駆動機構376は、その造形物の形状に合わせて、ノズル328を並進移動させること、及び、ノズル328の角度を調整することのうち、少なくとも一方を行う。このような駆動の制御により、除粉処理に最適となる位置からガスが噴出される。
【0133】
あるいは、ガス噴出コントローラ93は、造形物の複雑な形状部分(第1の表面積を持つ部分)の除粉処理について、それより単純な形状部分(第1の表面積より小さい第2の表面積を持つ部分)の除粉処理に比べ、長い時間となるようにまたは流量を多くするように、そのガスの噴出を制御することもできる。このように、メインコントローラ90は、造形物の形成時に用いられる3次元データを利用することにより、別途の情報を生成する必要がなく、また、この3次元データに応じて除粉を細かく行うことにより、除粉精度が向上する。
【0134】
本実施形態では、メインコントローラ90は、重量センサ368からの検出情報に応じて、除粉処理機構370による除粉処理の進捗を計測する。この場合、メインコントローラ90及び重量センサ368は、「計測部」として機能する。
【0135】
例えば、メインコントローラ90は、重量センサ368の検出値が閾値以下である場合、そのまま除粉処理を続け、それが閾値を超えた場合、その除粉処理を停止する。除粉処理の停止とは、例えば、排気装置330の作動の停止、ノズルによるガスの噴出の停止等である。上記閾値は、例えばボックス21内の容積及び造形物4’の体積等に基づき定まる値である。また、メインコントローラ90が制御ユニット60から取得した3次元データに応じて、その造形物4’の体積を計算することができる。
【0136】
このように、メインコントローラ90は、測定された未結合の粉体の量に応じて、除粉処理の進捗を認識することができる。
【0137】
(実施形態3)
本実施形態3に係る除粉装置は、図示しないが、除粉室320内の雰囲気の透明度を検出するセンサを備えている。このセンサとしては、例えば光センサが用いられる。
【0138】
光センサは透過型でもよいし、散乱光を検出する反射型でもよい。センサはイメージセンサでもよい。除粉処理の途中では、除粉室320には粉体が舞うのでその透明度は低いが、所定の透明度が得られれば、それが除粉処理の終了のサインとなる。メインコントローラ90は、そのセンサからの検出情報に基づいて、除粉処理の進捗を認識することができる。
【0139】
[その他の実施形態]
【0140】
本技術は、以上説明した実施形態に限定されず、他の種々の実施形態を実現することができる。
【0141】
上記実施形態では、ボックス21が着脱可能に設けられていた。しかし、ボックス21は造形装置及び除粉装置それぞれ固定されていてもよい。例えば複数のボックス21が除粉装置(または造形装置)に設置され、除粉装置がそれら複数のボックス21が水平面内で一体的に移動するような機構を備えていてもよい。複数のボックス21が水平面内で一体的に移動するような機構は、例えばそれらボックス21が1つの点を中心に回転(公転)するような回転機構であってもよい。それらボックス21のうち所定位置に配置された少なくとも1つが、上記で説明した除粉処理方法による除粉処理対象(上記で説明した造形処理方法による造形対象)とされるボックスとなる。
【0142】
造形装置または除粉装置が、このような複数のボックス21が水平面内で一体的に移動するような機構を備える場合、もちろん、これらのボックス21がこれらの装置に着脱可能に設けられていてもよい。
【0143】
上記各除粉装置は、ガスを噴出するノズル328に代えて、またはそれに加えて、刷毛等、造形物4に物理的に接触してその周囲の未結合の粉体4’を除去するデバイスを備えていてもよい。
【0144】
上記各除粉装置において、メインコントローラは、ステージ22の上昇速度または上昇の仕方、あるいは、ノズル328の選択個数等も制御することもできる。
【0145】
上記ボックス保持機構40、340における主要部分の機構として流体圧シリンダが用いられたが、これに代えて、ボールネジ、ラックアンドピニオン、あるいはベルト等の機構が用いられてもよい。
【0146】
上記除粉装置の実施形態2では、粉体の量を計測するデバイスとして重量センサが設けられたがこれに限られない。例えばイメージセンサや光センサにより、回収容器内のどの深さ位置まで粉体4が溜められたかを検出し、メインコントローラがその検出情報に基づいて、粉体の量(重量または体積)を演算してもよい。
【0147】
上記各除粉装置は、造形装置100からの3次元形状データを取得する方法に代えて、または、それに加えて、ボックス21ごとにそのボックスを個別に識別する識別子が、ボックス21に設けられていてもよい。識別子としては、例えばICタグまたは情報コード(バーコードや2次元情報コードなど)を含む。これにより、除粉装置300は、そのボックス21ごと、あるいはそのボックス21内に収容されている造形物ごとに、除粉処理を制御することができる。
【0148】
上記各除粉装置の上記の説明では、ボックス21内に複数の造形物が収容されている例を説明した。しかし、ボックス21内に1つの造形物が収容されている場合であっても、昇降アーム352がステージ22を段階的(断続的)に上昇させながら、ノズル328からの連続的または断続的なガスの噴出によって、その造形物4’の周囲の未結合の粉体4が除去されればよい。あるいは、昇降アーム52がステージ22を連続的に上昇させながら、未結合の粉体4が除去されてもよい。このように、ステージ22が連続的に上昇される場合でも、除粉装置300は、上述のように3次元形状データに応じて、そのステージ22の上昇速度を可変に制御することもできる。
【0149】
上記実施形態に係るクランプ機構56として電磁クランプが用いられた。しかし、クランプ機構として、静電容量によりクランプ力を発生する機構、あるいは機械的な係合によりクランプ力を発生する機構が用いられてもよい。
【0150】
昇降機構50、70等の昇降部材として、上記実施形態ではL字形状の昇降アームを例に挙げたが、このような形態に限られず、昇降部材はロッド状等、どのような形態を有していてもよい。ステージ移動機構350も同様である。
【0151】
ボックスの形状は、上記実施形態のような四角筒状に限られず、三角筒、五角形以上の筒、あるいは、円筒、楕円筒、これらのうち少なくとも2つの組み合わせ、あるいは、その他の任意の形状でもよい。
【0152】
上記実施形態では、造形装置100及び除粉装置300は別体であるとしたが、これらは一体となって設けられていてもよい。
【0153】
あるいは、造形装置100及び除粉装置300が一体及び別体に関わらずインラインで配置され、自動の搬送装置が、造形装置100及び除粉装置300の間で、ボックス21を搬送するような造形システムにも本技術を適用可能である。自動の搬送装置としては、例えばRGV(Rail Guided Vehicle)、あるいはPGV(Personal Guided Vehicle)のようなAGV(Automatic Guided Vehicle)がある。
【0154】
自動の搬送装置としては、例えばアームアンドハンドのような、車輪を持たない搬送装置であってもよい。この場合、造形装置100及び除粉装置300は、このような車輪を持たない搬送装置とともに一体的な装置として構成されてもよい。
【0155】
造形物の3次元形状データのうち少なくとも造形物のサイズに応じて、複数の異なるサイズの容積を持つボックスが用意されてもよい。例えば、造形装置100の制御ユニット60は、小さい造形物を形成する場合、それに対応した小さいボックスを選択し、そのボックスを用いて造形処理を行うことで、すべて同じ容積を持つボックスを用いる場合に比べ、粉体の使用量を節約することができる。この場合、ボックスの外形及びその外形のサイズは、複数のボックスで実質的に同じでよく、それらの容積が異なるように、各ボックスが形成されていればよい。
【0156】
粉体として、上記した材料の他、金属や樹脂であってもよい。金属粉が用いられる場合、焼結により金属粉を結合(硬化)させることができる。造形可能領域にある金属粉を選択的に焼結させるためには、レーザーが用いられる。
【0157】
また、磁性を持つ金属粉が用いられる場合であって、クランプ機構56として上記実施形態のような電磁クランプが用いられる場合、ステージ22の上面と下面(裏面)との間で磁界を遮断する磁気シールドが設けられていればよい。
【0158】
上記昇降機構50は、ステージ22を本体23に対して昇降移動させたが、本体23をステージ22に対して昇降移動させてもよい。除粉装置300のステージ移動機構350も、ステージ22を本体23に対して昇降移動させたが、本体23をステージ22に対して昇降移動させてもよい。この場合、ステージ移動機構350は、ボックス21の下端部が区画板324付近の高さ位置するように設置され、その状態から、本体23を徐々に下降させていけばよい。
【0159】
上記実施形態では、造形装置100の制御ユニット60と、除粉装置300の通信部とが通信可能に接続されていたが、例えばサーバーとなるコンピュータが、造形装置100及び除粉装置300に通信可能に接続され、このコンピュータが造形装置100及び除粉装置300を管理してもよい。
【0160】
以上説明した各形態の特徴部分のうち、少なくとも2つの特徴部分を組み合わせることも可能である。
【0161】
本技術は以下のような構成もとることができる。
(1)開口を有する本体と、前記本体に移動可能に設けられたステージとを有し、ラピッドプロトタイピング技術により粉体を用いて形成された造形物を、未結合の粉体とともに前記ステージ上に配置させるように、前記造形物及び未結合の粉体を収容可能なボックスと、
前記ステージを、前記本体内で、前記本体に相対的に上昇移動させることが可能なステージ移動機構と、
前記ステージ移動機構の駆動により前記開口を介して押し出された前記造形物の周囲の前記未結合の粉体を除去する除粉処理機構と
を具備する除粉装置。
(2)(1)に記載の除粉装置であって、
前記ボックスは、造形物を上下方向に複数段に収容しており、
前記除粉装置は、多段に収容された前記複数の造形物のうち、1段ごとに前記造形物が前記本体から押し出されるように前記ステージ移動機構を作動させ、前記1段ごとに前記除粉処理機構を作動させる制御部をさらに具備する除粉装置。
(3)(1)に記載の除粉装置であって、
前記ボックスの前記本体内の前記造形物に関連する関連情報を取得する取得部と、
前記取得された関連情報に基づき、前記除粉処理機構を作動させる制御部と
をさらに具備する除粉装置。
(4)(3)に記載の除粉装置であって、
前記取得部は、少なくとも、前記ラピッドプロトタイピング技術で用いられる造形対象物の3次元データを前記関連情報として取得する
除粉装置。
(5)(4)に記載の除粉装置であって、
前記除粉処理機構は、前記造形物にガスを噴出するノズルと、前記制御部による前記3次元データに基づく制御にしたがって、前記ノズルの位置及び姿勢のうち少なくとも一方を可変に駆動するノズル駆動機構とを有する
除粉装置。
(6)(1)から(5)のうちいずれか1つに記載の除粉装置であって、
前記除粉処理機構は、除粉作業領域と、前記造形物にガスを噴出するノズルと、前記除粉作業領域内にある前記粉体を吸引する吸引機構とを有する
除粉装置。
(7)(1)に記載の除粉装置であって、
前記除粉処理機構の除粉処理の進捗を計測する計測部をさらに具備する除粉装置。
(8)(7)に記載の除粉装置であって、
前記計測部は、前記除粉処理機構から回収された前記未結合の粉体の量を検出するセンサを有する
除粉装置。
(9)(7)に記載の除粉装置であって、
前記計測部は、前記除粉処理機構が有する除粉作業領域内の雰囲気の透明度を検出するセンサを有する
除粉装置。
(10)(1)から(9)のうちいずれか1つに記載の除粉装置であって、
前記除粉処理機構から回収された前記未結合の粉体から異物を除去する篩機構をさらに具備する
除粉装置。
(11)(1)から(10)のうちいずれか1つに記載の除粉装置であって、
前記ボックスを着脱可能に支持する支持機構をさらに具備する除粉装置。
(12) ラピッドプロトタイピング技術により粉体を用いて造形物を形成する造形装置と、
開口を有する本体と、前記本体に移動可能に設けられたステージとを有し、前記造形装置により形成された造形物を、未結合の粉体とともに前記ステージ上に配置させるように、前記造形物及び未結合の粉体を収容可能なボックスと、
前記ステージを、前記本体内で、前記本体に相対的に上昇移動させることが可能なステージ移動機構と、
前記ステージ移動機構の駆動により前記開口を介して押し出された前記造形物の周囲の前記未結合の粉体を除去する除粉処理機構と、を有する除粉装置と
を具備する造形システム。
(13)ラピッドプロトタイピング技術により粉体を用いて造形物を形成し、
開口を有する本体と、前記本体に移動可能に設けられたステージとを有し、造形物を、未結合の粉体とともに前記ステージ上に配置させるように前記造形物及び未結合の粉体を収容可能なボックスの前記本体内で、前記ステージを、前記ボックスに相対的に上昇移動させ、
前記上昇移動により前記ボックスの前記開口を介して押し出された前記造形物の周囲の前記未結合の粉体を除去する
造形物の製造方法。
【符号の説明】
【0162】
4’…造形物
4…(未結合の)粉体
20…造形部
21…ボックス
22…ステージ
23…本体
23a…開口
30…造形ユニット
90…メインコントローラ
100…造形装置
150…搬送台車
300、400…除粉装置
320…除粉室
328…ノズル
340…ボックス保持機構
350…ステージ移動機構
365…篩機構
367…異物排除機構
368…重量センサ
370…除粉処理機構
376…ノズル駆動機構
【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口を有する本体と、前記本体に移動可能に設けられたステージとを有し、ラピッドプロトタイピング技術により粉体を用いて形成された造形物を、未結合の粉体とともに前記ステージ上に配置させるように、前記造形物及び未結合の粉体を収容可能なボックスと、
前記ステージを、前記本体内で、前記本体に相対的に上昇移動させることが可能なステージ移動機構と、
前記ステージ移動機構の駆動により前記開口を介して押し出された前記造形物の周囲の前記未結合の粉体を除去する除粉処理機構と
を具備する除粉装置。
【請求項2】
請求項1に記載の除粉装置であって、
前記ボックスは、造形物を上下方向に複数段に収容可能であり、
前記除粉装置は、多段に収容された前記複数の造形物のうち、1段ごとに前記造形物が前記本体から押し出されるように前記ステージ移動機構を作動させ、前記1段ごとに前記除粉処理機構を作動させる制御部をさらに具備する除粉装置。
【請求項3】
請求項1に記載の除粉装置であって、
前記ボックスの前記本体内の前記造形物に関連する関連情報を取得する取得部と、
前記取得された関連情報に基づき、前記除粉処理機構を作動させる制御部と
をさらに具備する除粉装置。
【請求項4】
請求項3に記載の除粉装置であって、
前記取得部は、少なくとも、前記ラピッドプロトタイピング技術で用いられる造形対象物の3次元データを前記関連情報として取得する
除粉装置。
【請求項5】
請求項4に記載の除粉装置であって、
前記除粉処理機構は、前記造形物にガスを噴出するノズルと、前記制御部による前記3次元データに基づく制御にしたがって、前記ノズルの位置及び姿勢のうち少なくとも一方を可変に駆動するノズル駆動機構とを有する
除粉装置。
【請求項6】
請求項1に記載の除粉装置であって、
前記除粉処理機構は、除粉作業領域と、前記造形物にガスを噴出するノズルと、前記除粉作業領域内にある前記粉体を吸引する吸引機構とを有する
除粉装置。
【請求項7】
請求項1に記載の除粉装置であって、
前記除粉処理機構の除粉処理の進捗を計測する計測部をさらに具備する除粉装置。
【請求項8】
請求項7に記載の除粉装置であって、
前記計測部は、前記除粉処理機構から回収された前記未結合の粉体の量を検出するセンサを有する
除粉装置。
【請求項9】
請求項7に記載の除粉装置であって、
前記計測部は、前記除粉処理機構が有する除粉作業領域内の雰囲気の透明度を検出するセンサを有する
除粉装置。
【請求項10】
請求項1に記載の除粉装置であって、
前記除粉処理機構から回収された前記未結合の粉体から異物を除去する篩機構をさらに具備する
除粉装置。
【請求項11】
請求項1に記載の除粉装置であって、
前記ボックスを着脱可能に支持する支持機構をさらに具備する除粉装置。
【請求項12】
ラピッドプロトタイピング技術により粉体を用いて造形物を形成する造形装置と、
開口を有する本体と、前記本体に移動可能に設けられたステージとを有し、前記造形装置により形成された造形物を、未結合の粉体とともに前記ステージ上に配置させるように、前記造形物及び未結合の粉体を収容可能なボックスと、
前記ステージを、前記本体内で、前記本体に相対的に上昇移動させることが可能なステージ移動機構と、
前記ステージ移動機構の駆動により前記開口を介して押し出された前記造形物の周囲の前記未結合の粉体を除去する除粉処理機構と、を有する除粉装置と
を具備する造形システム。
【請求項13】
ラピッドプロトタイピング技術により粉体を用いて造形物を形成し、
開口を有する本体と、前記本体に移動可能に設けられたステージとを有し、造形物を、未結合の粉体とともに前記ステージ上に配置させるように前記造形物及び未結合の粉体を収容可能なボックスの前記本体内で、前記ステージを、前記ボックスに相対的に上昇移動させ、
前記上昇移動により前記ボックスの前記開口を介して押し出された前記造形物の周囲の前記未結合の粉体を除去する
造形物の製造方法。
【請求項1】
開口を有する本体と、前記本体に移動可能に設けられたステージとを有し、ラピッドプロトタイピング技術により粉体を用いて形成された造形物を、未結合の粉体とともに前記ステージ上に配置させるように、前記造形物及び未結合の粉体を収容可能なボックスと、
前記ステージを、前記本体内で、前記本体に相対的に上昇移動させることが可能なステージ移動機構と、
前記ステージ移動機構の駆動により前記開口を介して押し出された前記造形物の周囲の前記未結合の粉体を除去する除粉処理機構と
を具備する除粉装置。
【請求項2】
請求項1に記載の除粉装置であって、
前記ボックスは、造形物を上下方向に複数段に収容可能であり、
前記除粉装置は、多段に収容された前記複数の造形物のうち、1段ごとに前記造形物が前記本体から押し出されるように前記ステージ移動機構を作動させ、前記1段ごとに前記除粉処理機構を作動させる制御部をさらに具備する除粉装置。
【請求項3】
請求項1に記載の除粉装置であって、
前記ボックスの前記本体内の前記造形物に関連する関連情報を取得する取得部と、
前記取得された関連情報に基づき、前記除粉処理機構を作動させる制御部と
をさらに具備する除粉装置。
【請求項4】
請求項3に記載の除粉装置であって、
前記取得部は、少なくとも、前記ラピッドプロトタイピング技術で用いられる造形対象物の3次元データを前記関連情報として取得する
除粉装置。
【請求項5】
請求項4に記載の除粉装置であって、
前記除粉処理機構は、前記造形物にガスを噴出するノズルと、前記制御部による前記3次元データに基づく制御にしたがって、前記ノズルの位置及び姿勢のうち少なくとも一方を可変に駆動するノズル駆動機構とを有する
除粉装置。
【請求項6】
請求項1に記載の除粉装置であって、
前記除粉処理機構は、除粉作業領域と、前記造形物にガスを噴出するノズルと、前記除粉作業領域内にある前記粉体を吸引する吸引機構とを有する
除粉装置。
【請求項7】
請求項1に記載の除粉装置であって、
前記除粉処理機構の除粉処理の進捗を計測する計測部をさらに具備する除粉装置。
【請求項8】
請求項7に記載の除粉装置であって、
前記計測部は、前記除粉処理機構から回収された前記未結合の粉体の量を検出するセンサを有する
除粉装置。
【請求項9】
請求項7に記載の除粉装置であって、
前記計測部は、前記除粉処理機構が有する除粉作業領域内の雰囲気の透明度を検出するセンサを有する
除粉装置。
【請求項10】
請求項1に記載の除粉装置であって、
前記除粉処理機構から回収された前記未結合の粉体から異物を除去する篩機構をさらに具備する
除粉装置。
【請求項11】
請求項1に記載の除粉装置であって、
前記ボックスを着脱可能に支持する支持機構をさらに具備する除粉装置。
【請求項12】
ラピッドプロトタイピング技術により粉体を用いて造形物を形成する造形装置と、
開口を有する本体と、前記本体に移動可能に設けられたステージとを有し、前記造形装置により形成された造形物を、未結合の粉体とともに前記ステージ上に配置させるように、前記造形物及び未結合の粉体を収容可能なボックスと、
前記ステージを、前記本体内で、前記本体に相対的に上昇移動させることが可能なステージ移動機構と、
前記ステージ移動機構の駆動により前記開口を介して押し出された前記造形物の周囲の前記未結合の粉体を除去する除粉処理機構と、を有する除粉装置と
を具備する造形システム。
【請求項13】
ラピッドプロトタイピング技術により粉体を用いて造形物を形成し、
開口を有する本体と、前記本体に移動可能に設けられたステージとを有し、造形物を、未結合の粉体とともに前記ステージ上に配置させるように前記造形物及び未結合の粉体を収容可能なボックスの前記本体内で、前記ステージを、前記ボックスに相対的に上昇移動させ、
前記上昇移動により前記ボックスの前記開口を介して押し出された前記造形物の周囲の前記未結合の粉体を除去する
造形物の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2013−49137(P2013−49137A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−186676(P2011−186676)
【出願日】平成23年8月30日(2011.8.30)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年8月30日(2011.8.30)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
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