説明

除草剤組成物および雑草生長抑制方法

除草剤およびC〜Cモノ−またはジカルボン酸添加剤の混合物、並びにその添加剤の混合物を含んでなり、除草剤単独より即効性の除草効果をもたらすのにより有効な除草剤組成物を記載する。該除草剤組成物を用いた雑草生長の抑制方法も記載する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、除草剤、既存除草剤の活性を改善する方法、および植物の生長を抑制する方法、特に、除草剤の活性(有効性)を高めることができるC〜Cモノ−またはジカルボン酸添加剤を含有する組成物、およびその使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
雑草(望ましくない植生)の抑制は、世界経済に大きな経済的影響を与える。雑草抑制は、農業における経済的成功にとって不可欠なだけでなく、路傍および道路の保守を可能にし、蚊の繁殖地を縮小して公衆衛生を向上させ、庭および芝生の美しさを高める。多くの雑草抑制用途では、望ましい植生に対して同時に損害または損傷を与えることなく、望ましくない植生を選択的に抑制することが理想である。別の用途では、広い薬効範囲(非選択性)の完全な抑制が最終目的である。非選択性除草剤を市販し、低い毒性で迅速な効果を加えることができるならば、一般家庭市場の価値要求は満たされる。
【0003】
グリホサートおよびパラコートは、世界中で1、2を争って使用されている非選択性除草剤である。パラコートは、ヒトに対して極めて有毒であり、従って、植物の生成を抑制するための手段として余り高く評価されていない。グリホサートは毒性が低いが、目に見える抑制に達するまでに1〜2週間要することが知られており、従って、即効性除草用途には望ましくない。
【0004】
別の従来既知の除草剤は、脂肪酸、例えば、ペラルゴン酸、C脂肪酸、カプリル酸、C脂肪酸を包含する。Mycogen/Dowによって販売されているSCYTHETMは、有効成分としてペラルゴン酸を含有する除草剤である。Bayer CropScienceによって製造されているLIBERTYTMは、有効成分としてグルホシネートアンモニウムを含有する市販除草剤である。
【0005】
迅速に作用する有効な結果を示す即用雑草抑制剤には、居住消費者の高需要が存在する。消費者は、雑草抑制に迅速に作用する有効な除草剤を求めている。消費者は、適用後24時間以内に処理の有効性が見えることを望んでいる。
【0006】
長さC〜C20の長鎖脂肪酸、特にC酸が、現在入手可能な市販除草剤組成物に使用されている。そのような長鎖脂肪酸は水に溶けにくいので、その溶解性を高め、水相および脂質相の分離を防ぐためには、溶媒または乳化剤の添加を要する。従って、代替試薬に対する要求が存在する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って、従来技術の欠点を解決するために、改良された除草剤組成物、既存除草剤の活性を改善する方法、および植物の生長を抑制する方法を提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0008】
従来技術の欠点を解決するために、本発明は、除草剤およびC〜Cモノ−またはジカルボン酸添加剤の混合物、並びにその添加剤の混合物を含んでなる除草剤組成物であって、除草剤組成物である混合物が除草剤単独より即効性の除草効果をもたらす組成物を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0009】
従って、本発明の1つの態様は、除草剤単独と比べて、雑草生長の抑制に関して、より即効性の除草効果を有する除草剤組成物を提供する。
次いで、本発明の別の態様は、市販除草剤の効果を高める添加剤を提供し、それによって改良された除草剤組成物を提供する。
本発明の更なる態様は、より即効性の雑草抑制を達成できるように、植物および草に除草剤組成物を適用する方法である。
【0010】
実施例を除いて、成分量または反応条件を表す全ての数は、全ての場合において、用語「約」によって修飾されていると理解される。
本明細書で使用する場合、「除草剤」は、例えば、収穫補助剤として作用することによって、或いは雑草生長を抑制することによって、例えば乾燥または落葉により植物生長を抑制または阻害する化合物を指称する。
【0011】
本発明の除草剤組成物のための添加剤はC〜C脂肪酸であり、この脂肪酸はモノ−またはジカルボン酸である。除草剤と混合したこれらの添加剤は、除草剤単独と比べて、雑草を抑制および枯らすことについて改良された組成物を提供する。このように、本発明の組成物は、除草剤単独と比べて、より即効性の望ましい雑草抑制効果および雑草除去効果を提供する。
【0012】
〜C脂肪酸添加剤が、未置換のものおよび置換されたもの、例えばヒドロキシル置換酸またはアミン置換酸を包含することは理解されるであろう。
【0013】
本発明での使用に適した添加剤の例は、酢酸、プロピオン酸、乳酸、酪酸、マレイン酸、リンゴ酸、グルタル酸、グルタミン酸、フマル酸、酒石酸およびそれらの混合物を包含する。乳酸が特に効果的であることが見出された。
【0014】
本発明によって、上記添加剤と混合して、あらゆる除草剤の除草活性を高め、改良された除草剤組成物を得ることができると考えられる。(一般にEPAによって安全と認められている)グラスのステータスに達した除草剤が特に興味深い。
【0015】
本発明の組成物に使用できる除草剤の非限定例は、アトラジン、ベンタゾン、ブロマシル、カソロン、クロラムベン、ダラポン、ジウロン、フルオメツロン、グリホサート、リヌロン、パラコート、ピクロラム、フェノキシ系除草剤およびトリフルラリンを包含する。グリホサートおよびその塩が特に興味深い。
【0016】
本発明に従って植物および雑草に適用される、除草剤および活性向上添加剤の濃度は、約0.1〜30重量%の除草剤および添加物、好ましくは約0.5〜15重量%の除草剤および添加物、より好ましくは約1〜8重量%の除草剤および添加物を含有する組成物の濃度を包含できる。除草剤と活性向上添加剤の重量比は、約1:1〜20:1、好ましくは約1:10〜10:1、より好ましくは約1:2〜2:1であり得る。
【0017】
添加剤は、組成物の総重量の約1〜約5重量%、好ましくは約2〜約5重量%の量で存在してよい。
【0018】
除草剤は、濃縮状態で供給され得、使用時に容易に希釈され得る。
【0019】
本発明によって、より効果的かつより迅速に抑制され得る雑草の非限定例は、ペレニアルライグラス、フェスク、メヒシバ、ハコベ、錦笹およびクローバーを包含する。
【0020】
本発明の組成物は、液体状キャリヤーまたは希釈剤(例えば水)と混合でき、例えば、噴霧によって対象とする雑草に適用できる。使用できる他の適当なキャリヤーまたは希釈剤は、アセトフェノン、シクロヘキサノン、イソホロン、トルエン、キシレン、並びに鉱油、動物油および植物油を包含する(これら希釈剤は、単独または組み合わせて使用してよい)。
【0021】
本発明の除草剤組成物は、各種の助剤、アジュバント、溶媒および共溶媒も含有してよく、それらは、本発明の改良された組成物の性能を更に高める働きをする。
【0022】
本発明での使用に適した非イオン性界面活性剤は、アルコキシル化脂肪アルコール、アルコキシル化脂肪酸、アルコキシル化脂肪エーテル、アルコキシル化脂肪アミド、エトキシル化種油、エトキシル化鉱油、ノニルフェノールエトキシレート、アルコキシル化アルキルフェノール、エトキシル化グリセリド、ひまし油エトキシレートおよびそれらの混合物を包含する。
【0023】
本発明の組成物に使用できるアニオン性界面活性剤は、エトキシル化部分リン酸エステル、アルキルスルフェート、アルキルエーテルスルフェート、分枝アルキルベンゼンスルホネート、直鎖アルキルベンゼンスルホネート、およびアルファオレフィンスルホネートを包含できる。
【0024】
本発明の組成物に使用できるアルキルスルフェートは、そのアルキル基が約6〜約22個の炭素原子を含有するものである。本発明の組成物に使用できるアルキルエーテルスルフェートは、そのアルキル基が約6〜約22個の炭素原子を含有するものである。本発明の組成物に使用できる分枝アルキルベンゼンスルホネートは、そのアルキル基が分岐であり得、約6〜約22個の炭素原子を含有するものである。本発明の組成物に使用できる直鎖アルキルベンゼンスルホネートは、そのアルキル基が約6〜約22個の炭素原子を含有する本質的に非分枝のアルキル基であるものである。本発明の組成物に使用できるアルファオレフィンスルホネートは、そのアルキル基が約6〜約22個の炭素原子を含有するものである。
【0025】
本発明の組成物の性能を更に高めるために、助剤成分を本発明の組成物に添加することもできる。助剤成分の例は、溶媒および共溶媒、水溶性シリコーン界面活性剤、油溶性シリコーン界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤などを包含するが、それらに限定されない。
【0026】
使用され得るカチオン性界面活性剤は、エトキシル化獣脂アミンのようなエトキシル化アミンを包含するが、それらに限定されない。
【0027】
使用され得る両性界面活性剤は、アミノ酸およびその誘導体、アミノ酸塩、イミダゾリニウム誘導体、アルキルベタインおよびアミドプロピル類似体を包含するが、それらに限定されない。
【0028】
以下は、本発明の実例となるものであり、どのような形であろうとも本発明の範囲を制限するものとして解釈されるべきではない。
【実施例】
【0029】
除草剤グリホサートの標準的な即用組成物を以下のように調製した。
【0030】
【表1】

【0031】
この組成物は、雑草抑制のための適用に必要な水を全量含んでおり、更には希釈しなかった。
【0032】
迅速な雑草抑制効果を試験するために、脂肪酸添加剤(2.00% wt/wt)を水に置き換えて一試行した。この試験によって、本発明の組成物に使用された添加剤によって与えられた、より即効性の雑草抑制を直接比較できた。
【0033】
試験区画には、ペレニアルライグラス、フェスク、メヒシバおよび幾つかの未同定広葉雑草を包含する複数の種が含まれていた。これは非選択性試験なので、生長植物(単子葉植物および広葉植物)の全てを、「芝生」と称される一種として評価した。試験区画は、両側に未処理の調査区画を伴った4フィート×60フィートの長方形であった。芝生の健康状態および活力(色および死亡率)を隣接した未処理対照区画と比べて、各区画を目視検査することによって、3日後、7日後および14日後に評価を実施した。以下の表は、芝生に対する抑制速度を示す。
【0034】
【表2】

【0035】
試験結果は、短鎖脂肪酸を含有しない同様の組成物(水、対照)に対する、短鎖脂肪酸添加剤を含有する除草剤組成物のより即効性の効果、即ち除草剤組成物における雑草抑制速度の向上を示している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
除草剤およびC〜Cモノ−またはジカルボン酸添加剤の混合物、並びにその添加剤の混合物を含んでなり、除草剤単独より即効性の除草効果をもたらす除草剤組成物。
【請求項2】
添加剤が、酢酸、プロピオン酸、乳酸、酪酸、マレイン酸、リンゴ酸、グルタル酸、グルタミン酸、フマル酸、酒石酸およびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載の除草剤組成物。
【請求項3】
添加剤が、酢酸、乳酸、酪酸およびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項2に記載の除草剤組成物。
【請求項4】
添加剤が乳酸である請求項3に記載の除草剤組成物。
【請求項5】
添加剤が組成物の重量に基づいて約1〜約5重量%で存在する、請求項1に記載の除草剤組成物。
【請求項6】
除草剤および添加剤が組成物の約0.1〜30重量%の量で存在する、請求項1に記載の除草剤組成物。
【請求項7】
除草剤および添加剤が組成物の約1〜8重量%の量で存在する、請求項6に記載の除草剤組成物。
【請求項8】
除草剤と添加剤の重量比約1:1〜20:1を有する、請求項1に記載の除草剤組成物。
【請求項9】
除草剤と添加剤の重量比が約1:2〜2:1である、請求項8に記載の除草剤組成物。
【請求項10】
界面活性剤を更に含んでなる請求項1に記載の除草剤組成物。
【請求項11】
使用前の希釈に適した濃縮物である請求項1に記載の除草剤組成物。
【請求項12】
除草剤およびC〜Cモノ−またはジカルボン酸添加剤の混合物、並びにその添加剤の混合物を含んでなり、除草剤単独より即効性の除草効果をもたらす除草剤組成物を、雑草に適用することを含む、雑草生長の抑制方法。

【公表番号】特表2010−514762(P2010−514762A)
【公表日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−544000(P2009−544000)
【出願日】平成19年11月16日(2007.11.16)
【国際出願番号】PCT/US2007/024166
【国際公開番号】WO2008/085232
【国際公開日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【出願人】(505066718)コグニス・アイピー・マネージメント・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング (191)
【氏名又は名称原語表記】Cognis IP Management GmbH
【Fターム(参考)】