説明

除草剤組成物

【課題】スルホニル尿素系除草剤抵抗性雑草を含む全雑草を十分に防除し、しかも水稲に対して高度の安全性を有する混合剤タイプの除草剤を提供する。
【解決手段】式(I)〔式中、Qは縮合複素環基〕で表される化合物またはその塩と、


式(II)で表されるピラクロニルとを含有することを特徴とする除草剤組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、除草剤組成物および除草方法、さらに詳しくは、作物、特に水稲に対して優れた選択性を有し、スルホニル尿素系除草剤抵抗性雑草に高い除草効果を示す除草剤組成物および除草方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に除草剤の施用される場においては多種類の雑草が混在して生育しており、かつそれぞれの個体の出芽や生育時期はそれを取り巻く環境条件によって異なり、一様でない。特に、最近の水稲栽培では移植時期の早期化による雑草の発生期間の長期化により、除草剤の施用は生育段階の異なる多種類の雑草を対象として行われていることになり、多種の有効成分を含む混合剤が広く使用されてきた。近年、スルホニル尿素系除草剤抵抗性雑草の出現により、より多種の有効成分を使用する除草方法が主となっている。このため、殺草スペクトラムが広く、スルホニル尿素系除草剤抵抗性雑草に対して満足し得る除草効果を有し、かつ抑草効果持続性の長い、しかも混合剤中の有効成分数の少ない除草剤組成物が求められている。
一方、特許文献1には、縮合複素環スルホニル尿素化合物が開示されている。
【特許文献1】国際公開第03/061388号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、1回の施用でスルホニル尿素系除草剤抵抗性雑草を含む多くの雑草を十分に防除し、有効成分数の比較的少ない、しかも作物、特に水稲に対して高度の安全性を有する混合剤タイプの除草剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明者は、上記課題を解決するため鋭意研究を重ねた。その結果、ある種の縮合複素環スルホニル尿素化合物とピラクロニルとを組み合わせると、優れた混合剤タイプの除草剤が得られることを見出した。すなわち、それぞれ単独施用では期待できなかった抑制効果の持続作用が示されること、特に水稲田において1回の散布で実質的にすべての雑草の生育を抑制し、かつ前後の除草作業を必要としない程抑制効果が持続すること、およびそれぞれの単独使用における効果の和から予想される以上の相乗効果が得られることを見出し、本発明に至った。
【0005】
即ち、本発明は、
[1]式(I):
【化1】

〔式中、Qは、式:
【化2】

(式中、R1は水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、ハロゲンで置換されていてもよい低級アルキル基、ハロゲンで置換されていてもよい低級アルコキシ基、低級アルキルチオ基、低級アルキルスルフィニル基、低級アルキルスルホニル基、アミノ基、低級アルキルアミノ基またはジ低級アルキルアミノ基を、
R2は、水素原子、ハロゲン原子またはハロゲンで置換されていてもよい低級アルキル基を、
R3は、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、ハロゲンで置換されていてもよい低級アルキル基、ハロゲンもしくは低級アルキル基で置換されていてもよい低級シクロアルキル基、ハロゲンで置換されていてもよい低級アルケニル基、ハロゲンで置換されていてもよい低級アルキニル基、ハロゲンで置換されていてもよい低級アルコキシ基、低級アルキルチオ基、低級アルキルスルフィニル基、低級アルキルスルホニル基、アミノ基、低級アルキルアミノ基またはジ低級アルキルアミノ基を示す。)で表される縮合複素環基を、
XおよびYは、同一または異なって、それぞれハロゲンで置換されていてもよい低級アルキル基、ハロゲンで置換されていてもよい低級アルコキシ基またはハロゲン原子を示す。〕で表される化合物と、
式(II):
【化3】

で表されるピラクロニル(pyraclonil、1-(3-chloro-4,5,6,7-tetrahydropyrazolo[1,5-a]pyridin-2-yl)-5-[methyl(prop-2-ynyl)amino]pyrazole-4-carbonitrile)とを含有することを特徴とする除草剤組成物;
[2]Qが、式Q1で表される基である上記[1]記載の除草剤組成物;
[3]式Q1におけるR1がハロゲン原子またはハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1−6のアルキル基であり、R2が水素原子であり、R3がハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1−6のアルキル基、またはハロゲン原子もしくは炭素数1−6のアルキル基で置換されていてもよい炭素数3−6のシクロアルキル基であり、XおよびYは同一または異なって、それぞれハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1−6のアルキル基またはハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1−6のアルコキシ基である上記[2]記載の除草剤組成物;
[4]式Q1におけるR1がハロゲン原子であり、R2が水素原子であり、R3が炭素数2−4のアルキル基または炭素数3−6のシクロアルキル基であり、XおよびYがそれぞれハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1−6のアルキル基である上記[2]記載の除草剤組成物;
[5]式Q1におけるR1がハロゲン原子であり、R2が水素原子であり、R3がC2−4アルキルまたは低級シクロアルキルであり、XおよびYがそれぞれメトキシ基である上記[2]記載の除草剤組成物;
[6]式Q1におけるR1が塩素原子であり、R2が水素原子であり、R3がn−プロピル基またはシクロプロピル基であり、XおよびYがメトキシ基である上記[2]記載の除草剤組成物;
[7]式Q1におけるR1が塩素原子であり、R2が水素原子であり、R3がn−プロピル基であり、XおよびYがそれぞれメトキシ基である上記[2]記載の除草剤組成物(即ち、式(III):
【化4】

(以下、化合物No.1と記すこともある。)で表される化合物と式(II)で表されるピラクロニルとを含有することを特徴とする除草剤組成物);
[8]式(I)で表される化合物と式(II)で表されるピラクロニルとを重量比1:0.1〜50の割合で含有する上記[1]〜[7]のいずれかに記載の除草剤組成物;
[9]式(I)で表される化合物と式(II)で表されるピラクロニルとを重量比1:0.1〜1:40の割合で含有する上記[1]〜[7]のいずれかに記載の除草剤組成物;
[10]式(I)で表される化合物と式(II)で表されるピラクロニルとを重量比1:0.25〜1:20の割合で含有する上記[1]〜[7]のいずれかに記載の除草剤組成物;
[11]式(I)で表される化合物と式(II)で表されるピラクロニルとを重量比1:0.25〜1:8の割合で含有する上記[1]〜[7]のいずれかに記載の除草剤組成物;
[12]式(I):
【化5】

〔式中、Qは、式:
【化6】

(式中、R1は水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、ハロゲンで置換されていてもよい低級アルキル基、ハロゲンで置換されていてもよい低級アルコキシ基、低級アルキルチオ基、低級アルキルスルフィニル基、低級アルキルスルホニル基、アミノ基、低級アルキルアミノ基またはジ低級アルキルアミノ基を、
R2は、水素原子、ハロゲン原子またはハロゲンで置換されていてもよい低級アルキル基を、
R3は、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、ハロゲンで置換されていてもよい低級アルキル基、ハロゲンもしくは低級アルキル基で置換されていてもよい低級シクロアルキル基、ハロゲンで置換されていてもよい低級アルケニル基、ハロゲンで置換されていてもよい低級アルキニル基、ハロゲンで置換されていてもよい低級アルコキシ基、低級アルキルチオ基、低級アルキルスルフィニル基、低級アルキルスルホニル基、アミノ基、低級アルキルアミノ基またはジ低級アルキルアミノ基を示す。)で表される縮合複素環基を、
XおよびYは、同一または異なって、それぞれハロゲンで置換されていてもよい低級アルキル基、ハロゲンで置換されていてもよい低級アルコキシ基またはハロゲン原子を示す。〕で表される化合物と、
式(II):
【化7】

で表されるピラクロニル(pyraclonil、1-(3-chloro-4,5,6,7-tetrahydropyrazolo[1,5-a]pyridin-2-yl)-5-[methyl(prop-2-ynyl)amino]pyrazole-4-carbonitrile)と
を散布する除草方法;
[13]Qが、式Q1で表される基である上記[12]記載の除草方法;
[14]式Q1におけるR1が塩素原子であり、R2が水素原子であり、R3がn−プロピル基またはシクロプロピル基であり、XおよびYがメトキシ基である上記[13]記載の除草方法;
[15]式(I)で表される化合物と式(II)で表されるピラクロニルとを重量比1:0.1〜1:40の割合で使用する上記[12]〜[14]のいずれかに記載の除草方法;
[16]式(I)で表される化合物と式(II)で表されるピラクロニルとを重量比1:0.25〜1:8の割合で使用する上記[12]〜[14]のいずれかに記載の除草方法;および
[17]水稲田用である上記[1]記載の除草剤組成物;
等を提供するものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、1回の施用でスルホニル尿素系除草剤抵抗性雑草を含む多くの雑草を十分に防除し、有効成分数の比較的少ない、しかも作物、特に水稲に対して高度の安全性を有する混合剤タイプの除草剤組成物が提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明の除草剤組成物に用いる上記式(I)で表される化合物は上記特許文献1に記載される縮合複素環スルホニル尿素化合物である。式(I)中の低級アルキル基、低級アルケニル基、低級アルコキシ基、低級アルキルチオ基等における「低級」とは、炭化水素部分が1または2〜6個の炭素原子、好ましくは、1または2〜4個の炭素原子によって構成されていることをいう。例えば、直鎖状または分枝鎖状のC1-6アルキル基、C2-6アルケニル基、C1−6アルコキシ基、C1-6アルキルチオ基等が挙げられる。
Qで示される縮合複素環基におけるR1は、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、ハロゲンで置換されていてもよい低級アルキル基、ハロゲンで置換されていてもよい低級アルコキシ基、低級アルキルチオ基、低級アルキルスルフィニル基、低級アルキルスルホニル基、アミノ基、低級アルキルアミノ基またはジ低級アルキルアミノ基を示す。
R1における「ハロゲン原子」としては、例えば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等が挙げられる。
R1における「低級アルキル基」としては、直鎖または分枝鎖状の炭素数1〜4のアルキル基、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、t−ブチル等が挙げられる。「ハロゲンで置換されていてもよい低級アルキル基」における「ハロゲン」としては、例えば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等が挙げられ、該低級アルキル基は、置換可能な位置で1個以上、好ましくは1〜3個のハロゲンによって置換されていてよい。
R1における「低級アルコキシ基」としては、直鎖または分枝鎖状の炭素数1〜4のアルコキシ基、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、t−ブトキシ等が挙げられる。「ハロゲンで置換されていてもよい低級アルコキシ基」における「ハロゲン」としては、上記低級アルキル基の場合と同様なものが挙げられ、該低級アルコキシ基は置換可能な位置で1個以上、好ましくは1〜3個のハロゲンによって置換されていてよい。
R1の「低級アルキルチオ基」、「低級アルキルスルフィニル基」、「低級アルキルスルホニル基」、「低級アルキルアミノ基」および「ジ低級アルキルアミノ基」における「低級アルキル」としては、上記した「低級アルキル基」と同様なものが挙げられる。
【0008】
R2は、水素原子、ハロゲン原子またはハロゲンで置換されていてもよい低級アルキル基を示し、該「ハロゲン原子」、「ハロゲン」および「低級アルキル基」としては、上記R1と同様なものが挙げられ、低級アルキル基は置換可能な位置で1個以上、好ましくは1〜3個のハロゲンによって置換されていてよい。
【0009】
R3は、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、ハロゲンで置換されていてもよい低級アルキル基、ハロゲンまたは低級アルキル基で置換されていてもよい低級シクロアルキル基、ハロゲンで置換されていてもよい低級アルケニル基、ハロゲンで置換されていてもよい低級アルキニル基、ハロゲンで置換されていてもよい低級アルコキシ基、低級アルキルチオ基、低級アルキルスルフィニル基、低級アルキルスルホニル基、アミノ基、低級アルキルアミノ基またはジ低級アルキルアミノ基を示す。該「ハロゲン原子」、「ハロゲン」、「低級アルキル基」および「低級アルコキシ基」としては、上記R1と同様なものが挙げられる。これらの低級アルキル基および低級アルコキシ基も、置換可能な位置で、1個以上、好ましくは1〜3個のハロゲンによって置換されていてよい。
上記低級シクロアルキル基における「低級」とは炭素数が3〜6であることを意味する。低級アルコキシ基中の低級アルキル基部分および低級アルキル基は、直鎖状であっても分枝鎖状であってもよい。該「低級シクロアルキル基」としては、シクロプロピル、シクロブチル等が挙げられ、「低級アルケニル基」としては、エテニル、1−プロペニル、2−プロペニル、1,2−プロパジエニル、1−ブテニル、2−ブテニル、3−ブテニル、1,3−ブタジエニル等が挙げられ、「低級アルキニル」としては、エチニル、1−プロピニル、2−プロピニル、1−ブチニル、2−ブチニル等が挙げられる。
「低級アルキルチオ基」、「低級アルキルスルフィニル基」、「低級アルキルスルホニル基」、「低級アルキルアミノ基」および「ジ低級アルキルアミノ基」における「低級アルキル」としては、上記R1に記載した「低級アルキル基」と同様なものが挙げられる。
【0010】
Qで示される縮合複素環基としては、スルホニル尿素系除草剤抵抗性雑草に対する活性の高さから式Q1で表されるイミダゾ[1,2−b]ピリダジン基、式Q3で表されるピラゾロ[1,5−a]ピリミジン基および式Q4で表されるピラゾ[1,5−b]チアゾール基が好ましい。とりわけ、式Q1で表される基が特に好ましい。
【0011】
式(I)において、XおよびYは、同一または異なって、それぞれハロゲンで置換されていてもよい低級アルキル基、ハロゲンで置換されていてもよい低級アルコキシ基またはハロゲン原子を示す。これらの「ハロゲン」、「低級アルキル基」、「低級アルコキシ基」および「ハロゲン原子」としても、上記R1と同様なものが挙げられる。これらの低級アルキル基および低級アルコキシ基も、置換可能な位置で、1個以上、好ましくは1〜3個のハロゲンによって置換されていてよい。
【0012】
R1としてはハロゲン原子が好ましく、中でも塩素がより好ましい。
R2としては、水素原子が好ましい。
R3としては、炭素数2−4のアルキル基または炭素数3−6のシクロアルキル基が好ましく、n−プロピル、シクロプロピルがより好ましい。
XおよびYとしてはハロゲンで置換されていてもよい低級アルコキシ基が好ましく、なかでもメトキシ基がより好ましい。
式(I)としては、QがQ1を表し、(a)R1がハロゲン原子またはハロゲンで置換されていてもよい低級アルキル基を、R2が水素原子、ハロゲン原子またはハロゲンで置換されていてもよい低級アルキル基を、R3がハロゲン原子、ハロゲンで置換されていてもよい低級アルキル基、ハロゲンまたは低級アルキル基で置換されていてもよい低級シクロアルキル基、ハロゲンで置換されていてもよい低級アルコキシ基、低級アルキルチオ基、低級アルキルスルフィニル基、低級アルキルスルホニル基、低級アルキルアミノ基またはジ低級アルキルアミノ基を、XおよびYが、それぞれハロゲンで置換されていてもよい低級アルキル基またはハロゲンで置換されていてもよい低級アルコキシ基を表すものが好ましく、さらに(b)R1がハロゲン原子またはハロゲンで置換されていてもよい低級アルキル基を、R2が水素原子を、R3がハロゲン原子、ハロゲンで置換されていてもよい低級アルキル基、ハロゲンまたは低級アルキル基で置換されていてもよい低級シクロアルキル基、ハロゲンで置換されていてもよい低級アルコキシ基、低級アルキルチオ基、低級アルキルスルフィニル基、低級アルキルスルホニル基、低級アルキルアミノ基またはジ低級アルキルアミノ基を、XおよびYが、それぞれハロゲンで置換されていてもよい低級アルコキシ基を表すものがより好ましく、なかでも(c)化合物No.1のような、R1がハロゲン原子を、R2が水素原子を、R3がC2−4アルキル基または低級シクロアルキル基を、XおよびYがそれぞれメトキシ基を表すものが特に好ましい。
【0013】
式(I)で表される化合物の代表的な例としては、化合物No.1の他に、
(1)QがQ1、R1がエチル、R2が水素原子、R3がメチルチオ、XおよびYがメトキシの化合物、
(2)QがQ1、R1がメチル、R2が水素原子、R3がエチル、XおよびYがメトキシの化合物、
(3)QがQ1、R1がメチル、R2が水素原子、R3がエチルチオ、XおよびYがメトキシの化合物、
(4)QがQ1、R1がメチル、R2が水素原子、R3がメチルチオ、XおよびYがメトキシの化合物、
(5)QがQ2、R1がメチル、R2がエトキシ、XおよびYがメトキシの化合物、
(6)QがQ3、R1がメチル、R2が水素原子、R3がメトキシ、XおよびYがメトキシの化合物、
(7)QがQ3、R1がメチル、R2が水素原子、R3がエトキシ、XおよびYがメトキシの化合物、
(8)QがQ4、R1がメチルスルホニル、XおよびYがメトキシの化合物、
(9)QがQ1、R1がメチル、R2が水素原子、R3がn−プロピル、XおよびYがメトキシの化合物、
(10)QがQ1、R1が塩素原子、R2が水素原子、R3がエチル、XおよびYがメトキシの化合物、
(11)QがQ1、R1がメチル、R2が水素原子、R3がi−プロピル、XおよびYがメトキシの化合物、
(12)QがQ1、R1が塩素原子、R2が水素原子、R3がi−プロピル、XおよびYがメトキシの化合物、
(13)QがQ1、R1が塩素原子、R2が水素原子、R3がシクロプロピル、XおよびYがメトキシの化合物、
(14)QがQ1、R1がフッ素原子、R2が水素原子、R3がn−プロピル、XおよびYがメトキシの化合物が挙げられる。
【0014】
式(I)で表される化合物としては、特にR1が塩素、R2が水素原子、R3がn−プロピル、XおよびYがメトキシである式(III)
【化8】

で表される化合物(即ち、化合物No.1)が好ましい。
【0015】
式(I)で表される化合物は、光学異性体、ジアステレオマーおよび/または幾何異性体が存在する場合があるが、本発明では活性な任意の異性体およびそれを含む異性体混合物を用いてもよい。
【0016】
式(I)で表される化合物は、例えば、特開昭64−38091号および上記特許文献1に記載の方法に従って製造でき、化合物No.1製造の具体的方法を下記の参考例に示す。
式(I)で表される化合物が結晶の場合、結晶を晶出させる時の条件によって結晶多形や擬似結晶多形となり、同じ核磁気共鳴スペクトルを与える化学構造であっても異なる赤外吸収スペクトルを与える場合がある。本発明においては、この様な結晶多形や擬似結晶多形を示す化合物のそれぞれの結晶形のみならず、それらの混合結晶を用いてもよい。
【0017】
本発明の除草剤組成物は、有効成分として、式(I)で表される化合物と共に、式(II)で表されるピラクロニルを含有する。これに、さらに、(a)カーバメート系除草剤、(b)クロロアセトアニリド系除草剤、(c)トリアジン系除草剤、(d)酸アミド系または尿素系除草剤、および(e)その他の系統の除草剤から選ばれる少なくともいずれか1種の除草剤を混合してもよい。
カーバメート系除草剤としては、例えば、ジアレート(di-allate)、ブチレート(butylate)、トリアレート(tri-allate)、フェンメディファム(phenmedipham)、クロロプロファム(chlorpropham)、アシュラム(asulam)、フェニソファム(phenisopham)、ベンチオカーブ(benthiocarb)、モリネート(molinate)、エスプロカルブ(esprocarb)、ピリブチカルブ(pyributicarb)、ジメピペレート(dimepiperate)、スエップ(swep)等が挙げられる。
クロロアセトアニリド系除草剤としては、例えば、プロパクロール(propachlor)、メタザクロール(metazachlor)、アラクロール(alachlor)、アセトクロール(acetochlor)、メトラクロール(metolachlor)、ブタクロール(butachlor)、プレチラクロール(pretilachlor)、テニルクロール(theny1ch1or)等が挙げられる。
【0018】
トリアジン系除草剤としては、例えば、シマジン(simazine)、アトラジン(atrazine)、プロパジン(propazine)、シアナジン(cyanazine)、アメトリン(ametoryn)、シメトリン(simetryn)、ジメタメトリン(dimethametryn)、プロメトリン(prometryn)等が挙げられる。
【0019】
酸アミド系または尿素系除草剤としては、例えば、イソキサベン(Isoxaben)、ジフルフェニカン(diflufenican)、ジウロン(diuron)、リニュロン(linuron)、フルオメツロン(fluometuron)、ジフェノクスロン(difenoxuron)、メチルダイムロン(methyl-daimuron)、イソプロツロン(isoproturon)、イソウロン(isouron)、テブチウロン(tebuthiuron)、メタベンゾチアズウロン(methabenzthiazuron)、プロパニル(propanil)、メフェナセット(mefenacet)、クロメプロップ(clomeprop)、ナプロアニリド(naproanilide)、ブロモブチド(bromobutide)、ダイムロン(daimuron)、クミルロン(cumy1uron)、エトベンザニド(etobenzanid)等が挙げられる。
【0020】
その他の系統の除草剤としては、例えば、ベンタゾン(bentazon)、トリジファン(tridiphane)、インダノファン(indanofan)、アミトロール(amitrole)、カルフェントラゾンエチル(carfentrazon-ethyl)、スルフェントラゾン(surfentrazon)、フェンクロラゾールエチル(fenchlorazole-ethyl)、フェントラザミド(fentrazamide)、イソキサフルトール(isoxaflutole)、クロマゾン(clomazone)、マレイン酸ヒドラジド(maleic hydrazide)、ピリデート(pyridate)、クロリダゾン(chloridazon)、ノルフルラゾン(norflurazon)、ピリチオバック(pyrithiobac)、ブロマシル(bromacil)、ターバシル(terbacil)、メトリブジン(metribuzin)、オキサジクロメホン(oxaziclomefone)、シンメチリン(cinmethylin)、フルミクロラックペンチル(flumiclorac-pentyl)、シニドンエチル(cinidon-ethyl)、フルミオキサジン(flumioxazin)、フルチアセットメチル(fluthiacet-methyl)、アザフェニジン(azafenidin)、べンフレセート(benfuresate)、オキサジアゾン(oxadiazon)、オキサジアルギル(oxadiargy1)、ペントキサゾン(pentoxazone)、シハロホップブチル(cyhalofop-butyl)、カフェンストロール(cafenstrole)、ピリミノバックメチル(pyriminobac-methy1)、ビスビリバックナトリウム(bispyribac-sodium)、ピリミスルファン(pyrimisulfan)、ピリベンゾキシム(pyribenzoxim)、ピリフタリド(pyriftalid)、インダノファン(indanofan)、ACN、ベンゾビシクロン(bennzobicyclon)、ジチオピル(dithiopyr)、ダラポン(da1apon)、クロルチアミド(chlorthiamid)、ペノキススラム(penoxsulam)等が挙げられる。
【0021】
本発明の除草剤組成物は、一般の農薬のとりうる形態、すなわち、上記有効成分を適当な液体担体に溶解するか分散させるか、または適当な固体担体と混合するか吸着させ、例えば、乳剤、油剤、噴霧剤、水和剤、粉剤、DL(ドリフトレス)型粉剤、粒剤、微粒剤、微粒剤F、フロアブル剤、ドライフロアブル剤、ジャンボ粒剤、錠剤などの製剤として使用する。これらの製剤は必要に応じ、乳化剤、分散剤、展着剤、浸透剤、湿潤剤、粘漿剤、安定剤などを添加してもよく、自体公知の方法で調製することができる。
使用する液体担体(溶剤)としては、例えば、水、アルコール類(例、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、エテレングリコール等)、ケトン類(例、アセトン、メチルエチルケトン等)、エーテル類(例、ジオキサン、テトラヒドロフラン、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル等)、脂肪族炭化水素類(例、ケロシン、燃料油、機械油等)、芳香族炭化水素類(例、ベンゼン、トルエン、キシレン、ソルベントナフサ、メチルナフタレン等)、ハロゲン化炭化水素類(例、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素等)、酸アミド類(例、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等)、エステル類(例、酢酸エチルエステル、酢酸ブチルエステル、脂肪酸グリセリンエステル等)、ニトリル類(例、アセトニトリル、プロピオニトリル等)などの溶媒が適当であり、これらは1種または2種以上を適当な割合で混合して使用する。固体担体(希釈・増量剤)としては、植物性粉末(例、大豆粉、タバコ粉、小麦粉、木粉等)、鉱物性粉末(例、カオリン、ベントナイト、酸性白土、クレイ等のクレイ類、滑石粉、ロウ石粉等のタルク類、珪藻土、雲母粉等のシリカ類等)、アルミナ、硫黄粉末、活性炭などが適当であり、これらは1種または2種以上を適当な割合で混合して使用する。該液体担体または固体担体は、製剤全体に対して通常約1〜99重量%程度、好ましくは約1〜80重量%程度用いることができる。
【0022】
乳化剤、展着剤、浸透剤、分散剤等として使用される界面活性剤としては、必要に応じて石鹸類、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル類(例、ノイゲンTM、イー・エー142(E・A142TM、TMは登録商標であることを示す。以下同様);第一工業製薬(株)製)、ポリオキシエチレンアリールエステル類(例、ノナールTM;東邦化学(株)製)、アルキル硫酸塩類(例、ユマール10TM、ユマール40TM;花王(株)製)、アルキルスルホン酸塩類(例、ネオゲンTM、ネオゲンTTM;第一工業製薬(株)製、ネオペレックスTM;花王(株)製)、ポリエチレングリコールエーテル類(例、ノニポール85TM、ノニポール100TM、ノニポール160TM;三洋化成(株)製)、多価アルコールエステル類(例、ツイーン20TM、ツイーン80TM;花王(株)製)などの非イオン系およびアニオン系界面活性剤が用いられる。該界面活性剤は、製剤全体に対して、通常0.1〜約50重量%程度、好ましくは約0.1〜25重量%程度用いることができる。
式(I)で表される化合物の除草剤組成物中の配合量は乳剤、水和剤などは1から90重量%程度が適当であり、油剤、粉剤、DL(ドリフトレス)型粉剤などとしては0.01〜10重量%程度が適当であり、微粒剤F、粒剤としては0.05〜10重量%程度が適当である。
また、ピラクロニルの除草剤組成物中の配合量も組成物の剤形により変わるが、通常、式(I)で表される化合物とピラクロニルとを重量比1:0.1〜50、好ましくは1:0.1〜1:40、より好ましくは1:0.25〜1:20、さらに好ましくは1:0.25〜1:8の割合で配合することにより所望の相乗効果が得られる。
乳剤、水和剤などは使用に際して、水などで適宜希釈増量(例えば100〜100,000倍)して散布する。
【0023】
本発明の除草剤組成物は、特に、水稲の湛水直播時、乾田直播時、または直播後、水稲移植時または移植後に施用することにより水稲に対して極めて優れた選択性を有し、スルホニル尿素系除草剤抵抗性雑草に高い除草効果を示す。また、畑地雑草用としても使用でき、発芽前土壌処理あるいは茎葉兼土壌処理剤として、例えば、本発明の除草剤組成物は処理後2〜3週間後でも薬害が発現することなく安全に使用できる。
本発明の除草方法は、式(I)で表される化合物とピラクロニルとを併用するものであり、本発明の除草剤組成物を散布するか、または式(I)で表される化合物を含有する除草剤組成物および式(II)で表されるピラクロニルを含有する除草剤組成物を同時に散布するか、または式(I)で表される化合物を含有する除草剤組成物および式(II)で表されるピラクロニルを含有する除草剤組成物の一方を散布した後にもう一方の除草剤組成物を散布することにより行われる。
その際の散布量は、適用場面、適用時期、施用方法、対象雑草、栽培作物等により異なるが一般に有効成分(式(I)で表される化合物とピラクロニルの合計量)として水田1ヘクタール当たり約10gから600g、好ましくは約20gから300g、畑地1ヘクタール当たり約10gから2000g、好ましくは約15gから1000gである。
【0024】
本発明の除草剤組成物は、必要に応じて、植物生長調節剤、殺菌剤、殺虫剤、殺ダニ剤、殺線虫剤等と同時に施用することができる。また、植物生長調節剤、殺菌剤、殺虫剤、殺ダニ剤、殺線虫剤等を配合し、混合使用することもできる。
植物生長調節剤(植物生長調節活性成分)としては、例えば、ヒメキサゾール(hymexazo1)、パクロブトラゾール(pac1obutrazo1)、ウニコナゾール−P(uniconazole-P)、イナベンフィド(inabenfide)、プロヘキサジオンカルシウム(prohexadione-ca1cium)等が挙げられる。
殺菌剤(殺菌活性成分)としては、例えば、(1)ポリハロアルキルチオ系殺菌剤[キャプタン(captan)等]、(2)有機リン系殺菌剤[IBP、EDDP、トルクロフォスメチル(tolc1ofos-methy1)等]、(3)ベンズイミダゾール系殺菌剤[べノミル(benomyl)、カルベンダジム(carbendazim)、チオファネートメチル(thiophanate-methy1)等]、(4)カルボキシアミド系殺菌剤[メプロニル(meproni1)、フルトラニル(f1uto1anil)、チフルザミド(thifluzamid)、フラメトピル(furametpyr)、テクロフタラム(tec1oftha1am)、ペンシクロン(Pencycuron)、カルプロパミド(carpropamid)、ジクロシメット(dic1ocymet)等]、(5)アシルアラニン系殺菌剤[メタラキシル(metalaxy1)等]、(6)アゾール系殺菌剤[トリフルミゾール(triflumizo1e)、イプコナジール(ipconazo1e)、ペフラゾエート(pefurazoate)、プログロラズ(proch1oraz)等]、(7)メトキシアクリル酸系殺菌剤[アゾキシストロビン(azoxystrobin)、メトミノストロビン(metominostrobin)等]、(8)抗生物質系殺菌剤[バリダマイシンA(validamycin A)、ブラストサイジンS(blasticidin S)、カスガマイシン(kasugamycin)、ポリオキシン(po1yoxin)等]、(9)その他の殺菌剤[フサライド(fthalide)、プロベナゾール(probenazo1e)、イソプロチオラン(isoprothiolane)、トリジクラゾール(tricyclazole)、ピロキロン(pyroqui1n)、フェリムゾン(ferimzone)、アシベンゾラルSメチル(acibnzolar S-methy1)、ジクロメジン(dic1omezine)、オキソリニック酸(oxo1inic acid)、フェナジンオキシド(phenazine oxide)、TPN、イプロジオン(iprodione)等]等が挙げられる。
【0025】
殺虫剤(殺虫活性成分)としては、例えば、(1)有機リン系殺虫剤[フェンチオン(fenthion)、フエニトロチオン(fenitrothion)、ピリミホスメチル(pirimiphos-methy1)、ダイアジノン(diazinon)、キナルホス(quinalphos)、イソキサチオン(isoxathion)、ピリダフェンチオン(Pyridafenthion)、クロルピリホスメチル(chlorpyrifos-methyl)、バミドチオン(vamidothion)、マラチオン(malathion)、フェントエート(phenthoate)、ジメトエート(dimethoate)、ジスルホトン(disulfoton)、モノクロトホス(monocrotophos)、テトラクロルビンホス(tetrach1orvinphos)、クロルフェンビンホス(ch1orfenvinphos)、プロパホス(propaphos)、アセフェート(acephate)、トリクロルホン(trichlorphon)、EPN、ピラクロホス(pyraclorfos)等]、(2)カルバメート系殺虫剤[カルバリル(carbary1)、メトルカルブ(metolcarb)、イソプロカルブ(isoprocarb)、BPMC、プロポキスル(propoxur)、XMC、カルボフラン(carbofuran)、カルボスルファン(carbosulfan)、ベンフラガルブ(benfuracarb)、フラチオカルブ(furathiocarb)、メソミル(methomyl)、チオジカルブ(thiodicarb)等]、(3)合成ピレスロイド系殺虫剤[シクロプロトリン(cycloprothrin)、エトフェンプロックス(ethofenprox)等]、(4)ネライストキシン系殺虫剤[カルタップ(cartap)、ベンスルタップ(bensu1tap)、チオシクラム(thiocyclam)等]、(5)ネオニコチノイド系殺虫剤[イミダクロプリド(imidac1oprid)、ニテンピラム(nitenpyram)、アセタミプリド(acetamiprid)、チアメトキサム(thiamethoxam)、チアクロプリド(thiacloprid)、ジノテフラン(dinotefuran)、クロチアニジン(clothianidin)等]、(6)その他の殺虫剤[ブプロフェジン(buprofezin)、テブフェノジド(tebufenozide)、フィプロニル(fiproni1)、エチプロール(ethiprole)等]等が挙げられる。
殺ダニ剤(殺ダニ活性成分)としては、例えば、ヘキシチアゾクス(hexythiazox)、ピリダベン(pyridaben)、フェンピロキシメート(fenpyroximate)、テブフェンピラド(tebufenpyrad)、クロルフェナピル(chlorfenapyr)、エトキサゾール(etoxazole)、ピリミジフェン(Pyrimidifen)等があげられる。
殺線虫剤(殺線虫活性成分)としては、例えば、フォスチアゼート(fosthiazate)等が挙げられる。
【0026】
このような他の農薬活性成分(例、植物生長調節活性成分、殺菌活性成分、殺虫活性成分、殺ダニ活性成分、殺線虫活性成分など)は、組成物全体に対して通常約0.1〜20重量%程度、好ましくは約0.1〜10重量%程度用いることができる。
本発明の除草剤組成物には、さらに共力剤(例、ピペロニルブトキシド(piperonyl butoxide)等)、誘引剤(例、オイゲノール(eugenol)等)、忌避剤(例、クレオソート(creosote)等)、色素(例、食用青色1号等)、肥料(例、尿素等)等を適宜混合してもよい。
【0027】
以下に、参考例、製剤例および試験例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、製剤例中、部とあるは、いずれも重量部を意味する。
【参考例1】
【0028】
2−クロロ−6−n−プロピルイミダゾ[1,2−b]ピリダジンの合成
【化9】

窒素気流下、100 ml 三口フラスコに、2,6−ジクロロイミダゾ[1,2−b]ピリダジン(1.6 g, 8.5 mmol)、[1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン]ニッケル(II)ジクロリド(触媒量)および脱水テトラヒドロフラン(20 ml)をいれ氷冷下撹拌し、プロピルマグネシウムクロリドテトラヒドロフラン溶液(2M,6.4 ml, 12.8 mmol)を10℃以下で滴下した。滴下終了後、同温度で1時間、室温で1時間、50〜60℃で2時間撹拌した。反応終了後、反応液を放冷し、水(50 ml)をいれ撹拌後、酢酸エチルで抽出した(20 ml×2)。有機相を合して水洗後、硫酸マグネシウムで乾燥、濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=2:1)で精製して、目的物を橙色結晶(少量の不純物を含む)として得た。収量 0.8 g(48.2 %)
mp 未測定
1H NMR (CDCl3, δ): 1.01 (3H,t,J=7.3 Hz), 1.7-1.9 (2H,m), 2.79 (2H,t,J=7.6 Hz), 6.96 (1H,d,J=9.3 Hz), 7.75 (1H,d,J=9.3 Hz), 8.19 (1H,d,J=9.4 Hz)
【参考例2】
【0029】
2−クロロ−6−n−プロピルイミダゾ[1,2−b]ピリダジン−3−スルホンアミドの合成
【化10】

200 ml ナスフラスコに、2−クロロ−6−n−プロピルイミダゾ[1,2−b]ピリダジン(0.8 g, 4.1 mmol)およびジクロロエタン(10 ml)をいれ室温で撹拌し、クロロスルホン酸(0.54 g, 4.5 mmol)を一気に加え、4時間加熱還流下撹拌した。反応液を70℃付近まで冷却し、トリエチルアミン(0.5 g, 5 mmol)を一気に加え固体が溶解するまで撹拌した後、オキシ塩化リン(0.79 g, 5 mmol)を一気に加え、2時間加熱還流下撹拌した。反応終了後、反応液を放冷し、水(50 ml)を加えて有機相を分取した。有機相を飽和食塩水で洗浄した後硫酸マグネシウムで乾燥、濃縮し、残渣にアセトニトリル(10 ml)および28%アンモニア水(4 ml)をいれ、室温で2時間撹拌した。反応終了後、水(100 ml)を加え、希塩酸でpH=2位に調節し、生成している結晶を濾取、水およびクロロホルムで洗浄後、減圧下で乾燥して、目的物を淡褐色結晶として得た。収量 0.49 g(43.5%;3 step)
mp 174-5℃
1H NMR (DMSO-d6, δ): 0.96 (3H,t,J=7.4 Hz), 1.7-1.9 (2H,m), 2.8-3.0 (2H,m), 7.53 (1H,d,J=9.5 Hz), 7.82 (2H,brs), 8.19 (1H,d,J=9.4 Hz)
IR (Nujol, cm-1) : 3377, 3324, 3189, 1545, 1364, 1322, 1187, 1166, 821, 680, 597
【参考例3】
【0030】
1−(2−クロロ−6−n−プロピルイミダゾ[1,2−b]ピリダジン−3−イルスルホニル)−3−(4,6−ジメトキシピリミジン−2−イル)ウレア(化合物No.1)の合成
【化11】

25 ml ナスフラスコに、2−クロロ−6−n−プロピルイミダゾ[1,2−b]ピリダジン−3−スルホンアミド(0.49 g, 1.78 mmol)、フェニル N−(4,6−ジメトキシピリミジン−2−イル)カーバメート(0.55 g, 2 mmol)およびアセトニトリル(5 ml)をいれ室温で撹拌し、DBU(0.31 g, 2 mmol)を一気に加え、室温で3時間撹拌した。反応終了後、反応液を水(50 ml)にあけ、希塩酸でpH=2位に調節すると結晶が生成した。これを濾取し、水、アセトン、エーテルで順次洗浄した後減圧下で乾燥して目的物を淡褐色結晶として得た。収量 0.71 g(89.5%)
mp 199-201℃(dec.)
1H NMR (DMSO-d6, δ): 0.70(3H, t, J=7.3 Hz), 1.4-1.5(2H, m), 2.6-2.7(2H, m), 3.97(6H, s), 6.08(1H, s), 7.57(1H, d, J=9.4 Hz), 8.26(1H, d, J=9.4 Hz), 10.68(1H, brs), 13.4-13.5(1H, m).
IR (Nujol, cm-1) : 3643, 1720, 1703, 1607, 1573, 1453, 1359, 1324, 1290, 1199, 1162, 1016, 888, 840, 629, 589, 514.
【製剤例1】
【0031】
小型ニーダーに化合物No.1 1.0部、ピラクロニル 2.4部、ネオコールYSK 0.5部、トキサノンGR31A 2.0部、クニゲルV1 30.0部、炭酸カルシウム 64.1部を投入後、混合、練合し、押し出し式造粒機(RG−5M、菊水製作所製)により造粒し、流動層乾燥機(MDB−400、不二パウダル製)で乾燥後、16〜48メッシュで篩過し、粒剤を製造した。
【製剤例2】
【0032】
化合物No.1 1.9部、ピラクロニル 4.1部、エチレングリコール 8.6部、アンチホームE−20 0.3部、ソルビン酸 0.1部、クニピアF 1.0部、ニューカルゲンFS−100 1.0部、ニューカルゲンFS−3EG 0.8部、モノゲンY−500 0.2部、ニューカルゲンRX−B 0.2部、セロゲン7A 1.0部を水80.8部と混合し、ホモミキサーにて分散した後、これら混合物をダイノミル(シンマルエンタープライゼス製、1.0mmガラスビーズ、充填率85%、周速10m/s)を用いて湿式粉砕(1パス)した。
【製剤例3】
【0033】
化合物No.1 2.4部、ピラクロニル 5.3部、マイクロスフィアF−80E(プラスチック中空体) 2.4部、オルフィンE1010 3.0部、トキサノンGR−31A 2.0部、トリポリリン酸ナトリウム 5.0部、セロゲン7A 3.0部、クニゲルV1 10.0部、炭酸カルシウム 66.9部を混合し、所定量の水を加え練合し、1.5mmのスクリーンを装着した押し出し式造粒機(RG−5M、菊水製作所製)により造粒し、流動層乾燥機(MDB−400、不二パウダル製)で乾燥し、粒剤を得た。
【試験例1】
【0034】
イヌビエに対する除草効果(温室内ポット試験)
230cmプラスチック製ポットに土壌を詰め、イヌビエの種子を播き、その直後に、粒剤として製剤した供試化合物を1ヘクタール当たり所定薬量になるようにポット中にそれぞれ単独施用または混合施用した。
薬剤処理29日後にイヌビエに対する効果を観察評価(0:無作用〜100:完全枯死)により評価した。
結果を表1に示す。
【0035】
【表1】

【試験例2】
【0036】
アメリカアサガオに対する除草効果(温室内ポット試験)
230cmプラスチック製ポットに土壌を詰め、アメリカアサガオの種子を播き、その直後に、粒剤として製剤した供試化合物を1ヘクタール当たり所定薬量になるようにポット中にそれぞれ単独施用または混合施用した。
薬剤処理29日後にアメリカアサガオに対する効果を観察評価(0:無作用〜100:完全枯死)により評価した。
結果を表2に示す。
【0037】
【表2】

【試験例3】
【0038】
アゼナに対する除草効果(温室内ポット試験)
200cmワグネルポットに水田土壌を詰め、宮城県田尻町で採取したスルホニル尿素系除草剤抵抗性のアゼナの種子を播き、本葉1対期に達したとき,湛水を5cmとした後、供試化合物を含む薬剤希釈液を1ヘクタール当たり所定薬量になるようにポット中にそれぞれ単独施用または混合施用した。薬剤希釈液は化合物1gを、界面活性剤ツイーン20TM2%(W/V)を含むアセトン2Lに溶解し、水で希釈して全量を10Lとしたものである。
薬剤処理4週間後にアゼナに対する効果を観察評価(0:無作用〜100:完全枯死)により評価した。
結果を表3に示す。
【0039】
【表3】

【試験例4】
【0040】
コナギに対する除草効果(温室内ポット試験)
100cmプラスチック製ポットに水田土壌を詰め、山形県遊佐町で採取したスルホニル尿素系除草剤抵抗性のコナギの種子を播き、1葉期に達したとき,湛水を5cmとした後、供試化合物を含む薬剤希釈液を1ヘクタール当たり所定薬量になるようにポット中にそれぞれ単独施用または混合施用した。薬剤希釈液は化合物1gを、界面活性剤ツイーン20TM2%(W/V)を含むアセトン2Lに溶解し、水で希釈して全量を10Lとしたものである。
薬剤処理4週間後にコナギに対する効果を観察評価(0:無作用〜100:完全枯死)により評価した。
結果を表4に示す。
【0041】
【表4】

【試験例5】
【0042】
ブラックグラスに対する除草効果(温室内ポット試験)
φ8cm×6.5cmプラスチック製カップに土壌を詰め、ブラックグラスの種子を播き、1.5〜2葉期に達したとき、フロアブル剤あるいは乳剤として製剤した供試化合物の薬剤希釈液を1ヘクタール当たり所定薬量になるように調整し、単独でまたは混用後、ポット上部より500リットル/ヘクタールの水量で散布処理した。
薬剤処理1週間後にブラックグラスに対する効果を観察評価(0:無作用〜100:完全枯死)により評価した。
結果を表5に示す。
【0043】
【表5】

【試験例6】
【0044】
タイヌビエに対する除草効果(温室内ポット試験)
200cmワグネルポットに水田土壌を詰め、タイヌビエ種子を播き、2.2葉期に達したとき、湛水を5cmとした後、供試化合物を含む薬剤希釈液を1ヘクタール当たり所定薬量になるようにポット中にそれぞれ施用した。薬剤希釈液は化合物1.5gを、界面活性剤ツイーン20TM2%(W/V)を含むアセトン2Lに溶解し、水で希釈して全量を10Lとしたものである。
薬剤処理4週間後にタイヌビエに対する効果を表6に示す基準によって評価した。
【0045】
【表6】

結果を表7に示す。
【0046】
【表7】

【試験例7】
【0047】
イヌホタルイ(京都府産)に対する除草効果(温室内ポット試験)
200cmワグネルポットに水田土壌を詰め、イヌホタルイ種子を播き、2.2葉期に達したとき,湛水を5cmとした後、供試化合物を含む薬剤希釈液を1ヘクタール当たり所定薬量になるようにポット中にそれぞれ施用した。薬剤希釈液は化合物1.5gを、界面活性剤ツイーン20TM2%(W/V)を含むアセトン2Lに溶解し、水で希釈して全量を10Lとしたものである。
薬剤処理4週間後にイヌホタルイに対する効果を表6に示す基準によって評価した。
結果を表8に示す。
【0048】
【表8】



【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】

〔式中、Qは、式:
【化2】

(式中、R1は水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、ハロゲンで置換されていてもよい低級アルキル基、ハロゲンで置換されていてもよい低級アルコキシ基、低級アルキルチオ基、低級アルキルスルフィニル基、低級アルキルスルホニル基、アミノ基、低級アルキルアミノ基またはジ低級アルキルアミノ基を、
R2は、水素原子、ハロゲン原子またはハロゲンで置換されていてもよい低級アルキル基を、
R3は、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、ハロゲンで置換されていてもよい低級アルキル基、ハロゲンもしくは低級アルキル基で置換されていてもよい低級シクロアルキル基、ハロゲンで置換されていてもよい低級アルケニル基、ハロゲンで置換されていてもよい低級アルキニル基、ハロゲンで置換されていてもよい低級アルコキシ基、低級アルキルチオ基、低級アルキルスルフィニル基、低級アルキルスルホニル基、アミノ基、低級アルキルアミノ基またはジ低級アルキルアミノ基を示す。)で表される縮合複素環基を、
XおよびYは、同一または異なって、それぞれハロゲンで置換されていてもよい低級アルキル基、ハロゲンで置換されていてもよい低級アルコキシ基またはハロゲン原子を示す。〕で表される化合物と、
式(II):
【化3】

で表されるピラクロニル(pyraclonil、1-(3-chloro-4,5,6,7-tetrahydropyrazolo[1,5-a]pyridin-2-yl)-5-[methyl(prop-2-ynyl)amino]pyrazole-4-carbonitrile)とを含有することを特徴とする除草剤組成物。
【請求項2】
Qが、式Q1で表される基である請求項1記載の除草剤組成物。
【請求項3】
式Q1におけるR1がハロゲン原子またはハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1−6のアルキル基であり、R2が水素原子であり、R3がハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1−6のアルキル基、またはハロゲン原子もしくは炭素数1−6のアルキル基で置換されていてもよい炭素数3−6のシクロアルキル基であり、XおよびYは同一または異なって、それぞれハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1−6のアルキル基またはハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1−6のアルコキシ基である請求項2記載の除草剤組成物。
【請求項4】
式Q1におけるR1がハロゲン原子であり、R2が水素原子であり、R3が炭素数2−4のアルキル基または炭素数3−6のシクロアルキル基であり、XおよびYがそれぞれハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1−6のアルキル基である請求項2記載の除草剤組成物。
【請求項5】
式Q1におけるR1がハロゲン原子であり、R2が水素原子であり、R3がC2−4アルキルまたは低級シクロアルキルであり、XおよびYがそれぞれメトキシ基である請求項2記載の除草剤組成物。
【請求項6】
式Q1におけるR1が塩素原子であり、R2が水素原子であり、R3がn−プロピル基またはシクロプロピル基であり、XおよびYがメトキシ基である請求項2記載の除草剤組成物。
【請求項7】
式Q1におけるR1が塩素原子であり、R2が水素原子であり、R3がn−プロピル基であり、XおよびYがそれぞれメトキシ基である請求項2記載の除草剤組成物。
【請求項8】
式(I)で表される化合物と式(II)で表されるピラクロニルとを重量比1:0.1〜50の割合で含有する請求項1〜7のいずれかの請求項記載の除草剤組成物。
【請求項9】
式(I)で表される化合物と式(II)で表されるピラクロニルとを重量比1:0.1〜1:40の割合で含有する請求項1〜7のいずれかの請求項記載の除草剤組成物。
【請求項10】
式(I)で表される化合物と式(II)で表されるピラクロニルとを重量比1:0.25〜1:20の割合で含有する請求項1〜7のいずれかの請求項記載の除草剤組成物。
【請求項11】
式(I)で表される化合物と式(II)で表されるピラクロニルとを重量比1:0.25〜1:8の割合で含有する請求項1〜7のいずれかの請求項記載の除草剤組成物。
【請求項12】
式(I):
【化4】

〔式中、Qは、式:
【化5】

(式中、R1は水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、ハロゲンで置換されていてもよい低級アルキル基、ハロゲンで置換されていてもよい低級アルコキシ基、低級アルキルチオ基、低級アルキルスルフィニル基、低級アルキルスルホニル基、アミノ基、低級アルキルアミノ基またはジ低級アルキルアミノ基を、
R2は、水素原子、ハロゲン原子またはハロゲンで置換されていてもよい低級アルキル基を、
R3は、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、ハロゲンで置換されていてもよい低級アルキル基、ハロゲンもしくは低級アルキル基で置換されていてもよい低級シクロアルキル基、ハロゲンで置換されていてもよい低級アルケニル基、ハロゲンで置換されていてもよい低級アルキニル基、ハロゲンで置換されていてもよい低級アルコキシ基、低級アルキルチオ基、低級アルキルスルフィニル基、低級アルキルスルホニル基、アミノ基、低級アルキルアミノ基またはジ低級アルキルアミノ基を示す。)で表される縮合複素環基を、
XおよびYは、同一または異なって、それぞれハロゲンで置換されていてもよい低級アルキル基、ハロゲンで置換されていてもよい低級アルコキシ基またはハロゲン原子を示す。〕で表される化合物と、
式(II):
【化6】

で表されるピラクロニル(pyraclonil、1-(3-chloro-4,5,6,7-tetrahydropyrazolo[1,5-a]pyridin-2-yl)-5-[methyl(prop-2-ynyl)amino]pyrazole-4-carbonitrile)と
を散布する除草方法。
【請求項13】
Qが、式Q1で表される基である請求項12記載の除草方法。
【請求項14】
式Q1におけるR1が塩素原子であり、R2が水素原子であり、R3がn−プロピル基またはシクロプロピル基であり、XおよびYがメトキシ基である請求項13記載の除草方法。
【請求項15】
式(I)で表される化合物と式(II)で表されるピラクロニルとを重量比1:0.1〜1:40の割合で使用する請求項12〜14のいずれかの請求項記載の除草方法。
【請求項16】
式(I)で表される化合物と式(II)で表されるピラクロニルとを重量比1:0.25〜1:8の割合で使用する請求項12〜14のいずれかの請求項記載の除草方法。
【請求項17】
水稲田用である請求項1記載の除草剤組成物。

【公開番号】特開2006−257082(P2006−257082A)
【公開日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−41881(P2006−41881)
【出願日】平成18年2月20日(2006.2.20)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【出願人】(000234890)協友アグリ株式会社 (19)
【Fターム(参考)】