除虫装置
【課題】発泡させた界面活性剤の泡を用いて害虫を駆除する除虫装置であって、比較的簡易な構造を有し且つ発泡させた界面活性剤の泡を効率よく消泡することが可能な除虫装置を提供する。
【解決手段】除虫装置は、マイクロポンプ11と発泡体4とを有する発泡部10と、流下部とを備えている。マイクロポンプ11は、界面活性剤を含む溶液を発泡体4に供給する。発泡体4は、マイクロポンプ11から供給される溶液に泡を発生させる。流下部は、発泡部10よりも下方に配置され、泡を含む溶液を上方から下方に向かって流下させる。
【解決手段】除虫装置は、マイクロポンプ11と発泡体4とを有する発泡部10と、流下部とを備えている。マイクロポンプ11は、界面活性剤を含む溶液を発泡体4に供給する。発泡体4は、マイクロポンプ11から供給される溶液に泡を発生させる。流下部は、発泡部10よりも下方に配置され、泡を含む溶液を上方から下方に向かって流下させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、除虫装置に関する。
【背景技術】
【0002】
害虫を駆除するための除虫装置について、特開2002−300840号公報(特許文献1)、特開2003−61540号公報(特許文献2)、特開2004−97193号公報(特許文献3)、または、特開2008−11798号公報(特許文献4)に記載されたものが従来から知られている。
【0003】
上記従来の各除虫装置は、比較的大型の装置であり、害虫を捕獲するための界面活性剤を含んだ溶液から泡を大量に発泡させている。また、上記従来の各除虫装置は、比較的大型の装置であるため、発生させた大量の泡を比較的長い時間にわたって泡の状態のまま保持することができる。一方、上記従来の除虫装置のうち、特開2008−11798号公報(特許文献4)に記載された除虫装置は、発生させた大量の泡を必要に応じて消泡することができるように、消泡手段を備えている。消泡手段は、発生させた泡に害虫が埋もれているような、役目が終えられた大量の泡を消泡する。このように、上記従来の各除虫装置は、比較的大型の装置であるため、消泡手段のためのスペースを持つことが可能である。
【0004】
一方、特開2008−30042号公報(特許文献5)に記載されているように、精度よく液体を吐出、滴下、または、飛滴させることが可能な液材の吐出方法およびその装置が知られている。例えば特開2008−30042号公報(特許文献5)に記載された液材の吐出方法を仮に用いることにより、比較的少量の界面活性剤を当該装置から精度よく吐出させることが可能である。そのため、比較的少量の界面活性剤を精度よく吐出させることにより、比較的少量の所望の量の泡を発生させることが可能であると考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−300840号公報
【特許文献2】特開2003−61540号公報
【特許文献3】特開2004−97193号公報
【特許文献4】特開2008−11798号公報
【特許文献5】特開2008−30042号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特開2008−30042号公報(特許文献5)に記載された液材の吐出装置においては、ノズルや電磁弁等が特殊な構造を有しているため、当該装置に係る構造が複雑である。また、特開2008−30042号公報(特許文献5)に記載されたような液材の吐出装置を配置するためのスペースを、比較的小型の除虫装置に持たせることは困難である。
【0007】
さらに、上記従来の各除虫装置を比較的小型の除虫装置に適用することを試みる場合には、発生させた泡を効率よく消泡する消泡手段が配置されるスペースを比較的小型の除虫装置に持たせることは困難である。
【0008】
そこで、本発明の目的は、発泡させた界面活性剤の泡を用いて害虫を駆除する除虫装置であって、比較的簡易な構造を有し且つ発泡させた界面活性剤の泡を効率よく消泡することが可能な除虫装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に従った除虫装置は、発泡させた界面活性剤を含む溶液を用いて害虫を駆除する除虫装置であって、マイクロポンプと発泡体とを有する発泡部と、流下部とを備えている。マイクロポンプは、界面活性剤を含む溶液を供給する。発泡体は、マイクロポンプから供給される溶液に泡を発生させる。流下部は、発泡部よりも下方に配置され、泡を含む溶液を上方から下方に向かって流下させる。
【0010】
本発明によれば、発泡部が発生させた溶液の泡は、流下部で流下する。このように、本発明に従った除虫装置は、マイクロポンプと発泡体とを有する発泡部と、流下部とを備えるといった比較的簡易な構造を有している。
【0011】
また、発泡部においては、マイクロポンプから発泡体に精度よく所望の量の溶液が供給されるため、比較的少量の所望の量の泡を発生させることできる。つまり、本発明によれば、比較的大型の除虫装置と異なり、害虫を除去するための泡を含んだ溶液が、必要最低限の量だけ流下部を流れる。そのため、本発明によれば、流下部を流れる溶液の泡を、流下部を上方から下方に向かって溶液が流れる間に消泡することができる。このように、本発明によれば、発泡部に発泡させた界面活性剤の泡を、効率よく消泡することができる。そのため、本発明に従った除虫装置は、消泡装置を別に備えることがないため、消泡に係るエネルギーを抑制することができ、省エネ化が図られている。
【0012】
さらに、本発明においては、害虫を駆除する界面活性剤を含む溶液の供給のために、マイクロポンプを利用している。マイクロポンプの作動時には、大きな騒音が発生することがない。そのため、本発明によれば、当該除虫装置を作動しているときに騒音が発生することを抑制することができる。
【0013】
本発明に従った除虫装置において、発泡部は、発泡体に空気を送る送気マイクロポンプをさらに有していることが好ましい。
【0014】
この構成によれば、発泡体は、マイクロポンプから供給される界面活性剤を含む溶液と、送気マイクロポンプから供給される空気とを用いて溶液に泡を発生させることができる。本発明によれば、マイクロポンプの作動時に大きな騒音が発生することがないため、当該除虫装置を作動しているときに騒音が発生することを抑制することができる。
【0015】
本発明に従った除虫装置において、発泡体は、弾性材料によって形成されていることが好ましい。また、発泡部は、発泡体を伸縮させる伸縮部を有していることが好ましい。この構成によれば、弾性材料の発泡体を伸縮させることにより、発泡体に供給される溶液から確実に発泡させることができる。
【0016】
本発明に従った除虫装置において、発泡部には、発泡部の内部と外部とを連通させる開口が形成されていることが好ましい。また、発泡部には、伸縮部の作動に連動して開口を開閉する蓋部が取り付けられていることが好ましい。
【0017】
この構成によれば、発泡体は、マイクロポンプから供給される界面活性剤を含む溶液と、開口を介して外部から供給される空気とを用いて溶液に泡を発生させることができる。また、この構成によれば、開口を開閉する蓋部が伸縮部の作動に連動しているため、発泡体において空気が必要なときに開口から空気を供給することができる。このように、本発明によれば、効率よく溶液を発泡させることができるため、害虫を効率よく捕獲することが可能である。
【0018】
本発明に従った除虫装置は、送風機をさらに備えていることが好ましい。送風機は、流下部を流下する泡を含む溶液に向かって、泡が積層した溶液の塊の表面付近の泡のみを消泡する程度の風を送ることが好ましい。
【0019】
この構成によれば、流下部を流れる泡を含む溶液に向かって送風されるため、比較的小さな飛翔性の害虫は、送風機が発生させる風に乗って流下部に流される。そのため、流下部を流れる泡を含んだ溶液に、これらの害虫を接触させやすい。したがって、この構成によれば、害虫の駆除の精度を向上させることができる。
【0020】
また、流下部を流れる溶液の泡のうち、泡が積層した溶液の塊の表面付近の泡は、乾燥が比較的進行し、界面活性剤をあまり含んでいないといえる。このような溶液の塊の表面付近の泡のみを微弱な送風によって消泡させることにより、溶液の塊の内側で界面活性剤を多く含む泡を、泡の状態のままで常に保持することができる。そのため、この構成によれば、界面活性剤を多く含んだ泡を用いて、効率よく害虫を駆除することができる。
【0021】
本発明に従った除虫装置において、流下部は、鉛直方向から傾斜した方向に延びる板状部を有していることが好ましい。また、板状部の表面は、上方に面していることが好ましい。さらに、板状部の表面には、表面が延びる方向と交わる方向に突出した凸部が配置されていることが好ましい。
【0022】
この構成によれば、泡を含んだ溶液は、鉛直方向から傾斜した方向に延びる板状部の表面を流下する。泡を含んだ溶液が板状部を流下する場合には、鉛直下方に向かって流下する場合に比べてゆっくりと流下部を流れることができる。そのため、比較的長い時間にわたって、泡を含んだ溶液が流下部に保持される。
【0023】
また、板状部の表面に凸部が配置されていることにより、泡を含む溶液のうちの泡の部分が主に凸部に保持され、凸部よりも上方の位置で泡によって害虫を捕獲することができる。一方、凸部よりも下方の部分において、溶液の泡が消泡される。このように、この構成によれば、溶液の泡を保持することと、適切に消泡することとの両方を達成することが可能である。
【0024】
本発明に従った除虫装置において、板状部の幅方向の端部には、板状部の表面と交わる方向に突出し且つ板状部の上下方向に延びる仕切部が配置されていることが好ましい。
【0025】
板状部を流れる泡を含んだ溶液は、使用環境等によって必ずしも真っすぐに流下するとは限らず、板状部の幅方向のいずれかに偏ったりずれたりする。このような場合には、板状部から溶液が落下することにより、効率よく害虫を駆除することができない。しかしながら、この構成によれば、泡を含んだ溶液が真っすぐに流下しない場合でも仕切部に沿って下方に流れるため、板状部からの溶液の落下を防止することができる。また、泡が積層した溶液の塊が仕切部に接触することにより、溶液の泡をより長い時間にわたって保持することが可能である。
【0026】
本発明に従った除虫装置において、凸部は、板状部の幅方向に延びていることが好ましい。さらに、凸部の一部には、凸部の上端と下端とを貫通するように切り欠けられた空洞部が形成されていることが好ましい。
【0027】
板状部が鉛直方向から傾斜した方向に延び且つ板状部の幅方向に凸部が延びていることにより、泡を含んだ溶液は、板状部を流下する間に凸部に流れが堰き止められる。凸部に堰き止められた泡を含んだ溶液は、凸部にて泡の状態がある程度保持される。泡を含んだ溶液が凸部に留まる場合は、溶液の自重と泡に捕獲された害虫の荷重とにより、溶液と害虫とが凸部から溢れるように下方に落下する。しかしながら、溶液と害虫とが凸部から下方に落下する場合に、溶液の塊に含まれる泡も一緒に落下するときには、溶液の泡が凸部に残りにくい。そのため、凸部において、泡によって害虫を捕獲することが困難である。
【0028】
一方、凸部の上端と下端とを貫通するように切り欠けられた空洞部が、凸部の一部に形成された構成によれば、溶液の塊に含まれる泡を凸部に保持させつつ、溶液と害虫とを空洞部を介して下方に流すことができる。凸部に流れ着いた溶液と害虫とが下方に流れる際には、溶液の塊に含まれる泡は、泡同士の結びつきにより、凸部から下方にはあまり流れ落ちることがない。このように、この構成によれば、溶液の泡を保持することと、溶液の塊のうちの役目が終えられたものを効率よく下方に流すこととの両方を達成することが可能である。
【0029】
本発明に従った除虫装置において、板状部は、複数の凸部を有していることが好ましい。また、複数の凸部の空洞部のうちのいずれか一つの位置が他の空洞部の位置と板状部の上下方向にてずれるように、複数の凸部が板状部に配置されていることが好ましい。
【0030】
この構成によれば、複数のうちの最上段の凸部が主に泡を保持する。そのため、主にこの凸部よりも上方の板状部の部分で、害虫が捕獲される。2段目以降の凸部は、主に泡を消すように作用する。このように、2段目以降の凸部が泡を順次消すように作用するため、さらに時間を掛けて泡を自然に消滅させることができる。
【0031】
なお、2段目以降の凸部に保持される泡の量は、最上段の凸部に比べて少ない。しかしながら、2段目以降の凸部においても、溶液が凸部の表面を覆っている状態、または、溶液が凸部に溜まっている状態であるため、溶液によって害虫を駆除することが可能である。
【0032】
さらに、複数の凸部ごとに空洞部の位置を板状部の上下方向にてずらすように凸部を板状部に配置することにより、捕獲された害虫と泡とが含まれる溶液は、真っ直ぐに板状部を流れずに、曲がりくねった軌跡を描くように下方に流れていく。そのため、捕獲された害虫と泡とが含まれる溶液が、板状部の表面上で比較的長い距離を流れるため、溶液の泡を消泡するための時間を長く稼ぐことができる。
【0033】
本発明に従った除虫装置において、板状部には、空洞部を開閉する開閉部材が取り付けられていることが好ましい。
【0034】
この構成によれば、泡を含む溶液を凸部に溜めてから空洞部を介して下方に流すことができる。そのため、泡が積層した溶液の塊の内側で界面活性剤を多く含む泡を、比較的長い時間にわたって保持することができる。これにより、流下部を流れる溶液の全体に含まれる泡のうち、凸部に溜められたものが泡の状態のままで保持される時間を延長することが可能である。
【0035】
本発明に従った除虫装置は、駆動部をさらに備えていることが好ましい。駆動部は、凸部が板状部の表面から内部に収納自在であるように、凸部を駆動することが好ましい。
【0036】
この構成によれば、板状部の内部に凸部が収納されている場合には、凸部に留められた害虫と泡とが含まれる溶液が、板状部の表面に沿って下方に流下する。したがって、板状部の内部に凸部が収納されている場合には、板状部の表面および凸部の上側の表面を溶液によって洗浄することが可能である。逆に、板状部の表面に溶液の泡が保持されていない場合には、板状部の表面が延びる方向と交わる方向に凸部を突出させることにより、泡を含んだ溶液を凸部に保持させることができる。このように、この構成によれば、板状部の表面の状態に応じて、板状部の内部に凸部が収納された状態と、板状部の表面に凸部が突出した状態とを切り換えることができる。これにより、板状部の表面の状態と、板状部の表面を流下する泡の状態との両方を適切に保持することが可能である。
【0037】
本発明に従った除虫装置において、板状部を上方から見る場合に、板状部に谷部が形成されるように板状部は略V字形状を有していることが好ましい。さらに、凸部は板状部の谷部に配置されていることが好ましい。
【0038】
この構成によれば、板状部を上方から見る場合に板状部が略V字形状を有し、略V字形状を有する板状部には谷部が形成されていることにより、板状部の奥行き方向の寸法が拡大する。また、凸部は、拡大した奥行き方向の奥側に配置されている。そのため、板状部を流れる泡を含んだ溶液は、拡大した奥行き方向の奥側に配置された凸部に溜まりやすい。このような溶液の泡の溜まり方は、害虫を捕獲した溶液の泡が板状部の表面全体に乗っている場合に比べて、溶液の塊に埋まった害虫の死骸が目立ちにくい。また、板状部を流れる泡を含んだ溶液は、拡大した奥行き方向の凸部の寸法分に応じて、より多く凸部に溜められる。そのため、害虫を捕獲する確実性が向上する。
【0039】
本発明に従った除虫装置において、板状部は略円錐形状を有していることが好ましい。
【0040】
この構成によれば、板状部の表面積の拡大を図ることができる。これにより、板状部を流れる泡を含む溶液の量を増加させることが可能である。そのため、板状部を含む流下部にて、大きな害虫を捕獲することと、より多くの数の害虫を捕獲することとが可能である。
【0041】
本発明に従った除虫装置において、流下部はすり鉢状の受皿形状を有していることが好ましい。また、泡を含む溶液は、流下部の中央部の上方から発泡部を介して流下部に供給されることが好ましい。
【0042】
この構成によれば、すり鉢状の受皿形状の流下部に泡を保持することにより、流下部が泡を保持することが可能な時間を延長することが可能である。流下部がすり鉢状に形成されていることにより、害虫の死骸をすり鉢状の底の部分に容易に集めることができる。また、泡の保持時間が延長されることによって発泡部の動作時間を短縮させることが可能であるため、省エネや騒音の低減がさらに可能である。
【0043】
本発明に従った除虫装置は、流下部に積み上げられた泡の量を検知する検知部をさらに備えていることが好ましい。
【0044】
この構成によれば、流下部に積み上げられた溶液の泡の量を検知することができるため、流下部に溜められた泡の量に応じて、発泡部から流下部に泡を含んだ溶液を供給することが可能である。
【0045】
本発明に従った除虫装置において、流下部の底部には、溶液を下方に向かって流下部から流出させる孔部が形成されていることが好ましい。また、流下部には、孔部を覆う網目状のカバーが配置されていることが好ましい。
【0046】
流下部に溜められる泡を含んだ溶液は、すり鉢状の受皿形状の流下部の底部に向かって上方から下方に流れることにより、孔部を介して流下部から流出する。泡に捕獲された害虫の死骸は、溶液とともに孔部に向かって流れる。害虫の死骸の数が増えてくるにつれて、死骸が孔部を塞いでしまう可能性がある。しかしながら、この構成によれば、網目状のカバーが害虫の死骸を堰き止めたうえで、残りの溶液を孔部から流出させることができる。
【0047】
本発明に従った除虫装置は、害虫を誘引する複数のランプをさらに備えていることが好ましい。
【0048】
この構成によれば、ランプを用いて害虫を誘引することにより、効率よく害虫を駆除することが可能である。
【0049】
本発明に従った除虫装置は、風防機構をさらに備えていることが好ましい。風防機構は、流下部の周囲の一部に配置され、ランプの明かりを反射する構造を有していることが好ましい。
【0050】
この構成によれば、風防機構は、流下部を流れる溶液の泡が特に屋外の強い風、または、屋内のエアコンもしくは扇風機の風等に吹かれて消泡されることを防ぐことができる。また、ランプの明かりが風防機構によって反射されるため、害虫を誘引する効果がさらに向上する。
【0051】
本発明に従った除虫装置において、ランプの一部は、風防機構の外側に配置されていることが好ましい。
【0052】
この構成によれば、風防機構の外側にランプの一部が配置されていることにより、ランプの照射光および明かりが風防機構に遮断されることが防止されている。そのため、害虫を効果的に誘引することができる。
【0053】
本発明に従った除虫装置は、供給用のタンクと回収用のタンクとをさらに備えていることが好ましい。供給用のタンクには、マイクロポンプに供給される溶液が溜められる。供給用タンクからマイクロポンプを介して流下部に流出し、且つ、流下部を流下した溶液は、回収用のタンクに溜められる。
【0054】
本発明に従った除虫装置では、少量の界面活性剤を用いて比較的少ない量の泡を発泡部が発生させているため、使用する界面活性剤の溶液の量が少ない。そのため、当該除虫装置は、回収用のタンクと供給用のタンクとをそれぞれ個別に備えることができる。回収用のタンクと供給用のタンクとを当該除虫装置が備えることにより、当該除虫装置は、回収した溶液を濾過するフィルタ等を別に備える必要がない。そのため、フィルタを交換する必要もない。さらに、役目を終えて、害虫の死骸を含んだ溶液は、専ら回収用のタンクに回収される。そのため、駆除した害虫を当該除虫装置から容易に除去することができる。同時に、供給用のタンクから常に新しい清潔な溶液が発泡部に供給されるため、流下部には清潔な溶液が常に流れる。そのため、流下部にて常に効果的に害虫を捕獲することができる。
【0055】
本発明に従った除虫装置において、界面活性剤には、特定の害虫が当該除虫装置に寄り付き難い物質が含まれ、且つ、他の特定の害虫を誘引する物質が含まれていることが好ましい。
【0056】
当該除虫装置によって害虫を駆除するためには、当該除虫装置に害虫をおびき寄せるような、いわゆる誘引物質を使用することにより、効率よく害虫を駆除することができる。当該除虫装置は、全ての類の害虫を捕獲することができるようなものであることが望ましい。しかしながら、害虫ごとに異なる好みの条件を、当該除虫装置がすべて備えることは、困難である。そこで、本発明に従った除虫装置において、界面活性剤には、特定の害虫が嫌う忌避物質と、他の特定の害虫を誘引する物質とが含まれている。忌避物質は、害虫を駆除することはできないが、忌避物質を嫌う特定の害虫に忌避行動を促すことができる。一方、当該除虫装置には、他の特定の害虫が誘引される。そのため、当該除虫装置は、溶液の泡を用いて他の特定の害虫を捕獲しながら、忌避物質を嫌う特定の害虫を遠ざけることができる。このように、当該除虫装置が設置される環境において、忌避物質を嫌う害虫が当該環境に寄り付かずに、当該環境を清潔に保つことができる。
【0057】
本発明に従った除虫装置において、界面活性剤には、特定の害虫を殺す物質が含まれていることが好ましい。この場合には、流下部を流れる界面活性剤の溶液の泡を用いて、害虫を捕獲したときに確実に殺虫することができる。
【0058】
本発明に従った除虫装置において、流下部は、吸音性または衝撃吸収性を有する材質によって形成されていることが好ましい。
【0059】
比較的小さな蚊またはアブ等の飛翔性の害虫が流下部に衝突するときの衝撃は、あまり大きくない。しかしながら、甲虫類等の比較的重量が大きい害虫が流下部に衝突する際には、大きな衝突音が発生するだけでなく、流下部および当該除虫装置に衝撃が加わるため、当該除虫装置が故障する可能性がある。一方、本発明に従った除虫装置の構成によれば、吸音性または衝撃吸収性を有する材質によって流下部が形成されていることにより、流下部に害虫が衝突するときに発生する、音の軽減、または、衝撃の吸収が可能である。
【発明の効果】
【0060】
以上のように、本発明によれば、発泡させた界面活性剤の泡を用いて害虫を駆除する除虫装置であって、比較的簡易な構造を有し且つ発泡させた界面活性剤の泡を効率よく消泡することが可能な除虫装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】第1実施形態に係る除虫装置の概略構成図である。
【図2】第1実施形態に係る除虫装置の発泡部の一部を概略的に示す断面図であって、発泡体が溶液の泡を発生させる前の状態を示す図である。
【図3】第1実施形態に係る除虫装置の発泡部の一部を概略的に示す断面図であって、発泡体が溶液の泡を発生させている状態を示す図である。
【図4】第1実施形態に係る除虫装置に適用される流下部の形態例1を示す断面図である。
【図5】送風機を備えた第1実施形態に係る除虫装置の流下部を示す図である。
【図6】第1実施形態に係る除虫装置に適用される流下部の形態例2を示す図であって、(A)は正面図であり、(B)は断面図である。
【図7】第1実施形態に係る除虫装置に適用される流下部の形態例3を示す図であって、(A)は正面図であり、(B)は断面図である。
【図8】第1実施形態に係る除虫装置に適用される流下部の形態例4を示す斜視図である。
【図9】第1実施形態に係る除虫装置に適用される流下部の形態例5を示す斜視図である。
【図10】第1実施形態に係る除虫装置に適用される流下部の形態例5において、凸部に形成される空洞部の位置の一例を概略的に示す図である。
【図11】第1実施形態に係る除虫装置に適用される流下部の形態例5において、凸部に形成される空洞部の位置の他の一例を概略的に示す図である。
【図12】第1実施形態に係る除虫装置に適用される流下部の形態例5において、凸部に形成される空洞部の位置のさらに他の一例を概略的に示す図である。
【図13】第1実施形態に係る除虫装置に適用される流下部の形態例6を示す断面図である。
【図14】第1実施形態に係る除虫装置に適用される流下部の形態例7を示す断面図である。
【図15】第1実施形態に係る除虫装置に適用される流下部の形態例8を示す図であって、(A)は正面図であり、(B)は側面図である。
【図16】第1実施形態に係る除虫装置に適用される流下部の形態例9を示す斜視図である。
【図17】第1実施形態に係る除虫装置に適用される流下部のうち、受皿形状の流下部の全体を示す斜視図である。
【図18】受皿形状の流下部の中央部の一例を示す図であって、(A)は断面図であり、(B)は中央部を拡大した平面図である。
【図19】受皿形状の流下部の中央部と、中央部に配置されたカバーとを示す断面図である。
【図20】受皿形状の流下部の中央部の他の一例を示す図であって、(A)は断面図であり、(B)は中央部を拡大した平面図であり、(C)は、拡大して示す中央部と、中央部に配置されたカバーとを示す断面図である。
【図21】受皿形状の流下部に溶液の泡が供給されている状態を概略的に示す流下部の正面図である。
【図22】検知部の断面図である。
【図23】受皿形状の流下部の側方に収容される風防機構と、流下部との全体を示す斜視図であって、(A)は風防機構が収容された状態を示す図であり、(B)は風防機構が流下部の周囲を取り囲んだ状態を示す図である。
【図24】第2実施形態に係る除虫装置の概略構成図である。
【図25】第2実施形態に係る除虫装置の発泡部の一部を概略的に示す断面図であって、発泡体が溶液の泡を発生させる前の状態を示す図である。
【図26】第2実施形態に係る除虫装置の発泡部の一部を概略的に示す断面図であって、発泡体が溶液の泡を発生させている状態を示す図である。
【図27】伸縮部の一例を概略的に示す図であって、(A)は、カムと、カムに接触した支持板との正面図であり、(B)は、伸縮部全体の正面図であり、(C)は、発泡体の膨張時の伸縮部全体の側面図であり、(D)は、発泡体の圧縮時の伸縮部全体の側面図である。
【図28】伸縮部の他の一例を概略的に示す断面図であって、(A)は発泡体の膨張時の伸縮部および発泡体を示す図であり、(B)は、発泡体の圧縮時の伸縮部および発泡体を示す図である。
【図29】伸縮による発泡体の劣化を抑える形状保持部の一例の全体を示す斜視図である。
【図30】発泡部に形成された開口を開閉する構成を示す図であって、発泡部の内部から開口を見た図である。
【図31】従来の発泡装置の発泡部の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0062】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0063】
(第1実施形態)
本発明に従った除虫装置100は、発泡させた界面活性剤を含む溶液を用いて害虫を駆除するものである。図1に、第1実施形態に係る除虫装置100の概略的な構成図を示す。図1に示すように、除虫装置100は、発泡部10と流下部20とを備えている。図1と図2とに示すように、発泡部10は、マイクロポンプ11およびマイクロポンプ12と、発泡体4とを有している。マイクロポンプ11は、界面活性剤を含む溶液を発泡体4に供給する。発泡体4は、マイクロポンプ11から供給される溶液に泡を発生させる。流下部20は、発泡部10よりも下方に配置され、泡を含む溶液を上方から下方に向かって流下させる。除虫装置100において、制御部19の位置とタンク13の位置とは、特に限定されない。また、発泡部10のうち、マイクロポンプ11とマイクロポンプ12とは、流下部20の上方に配置されていてもよく、流下部20よりも下方に配置されていてもよい。後述するように、発泡部10のうち、吐出ノズル16(図3参照)等の泡を含む溶液を流下部20に排出する部分の一部が流下部20の上方に配置されていればよい。
【0064】
送気マイクロポンプの一例としてのマイクロポンプ12は、発泡体4に空気を供給する。マイクロポンプ11から供給される界面活性剤を含む溶液が、発泡体4の内部を流通するときに、発泡体4において泡が発生する。
【0065】
マイクロポンプ11から発泡体4に供給される溶液は、供給用タンクとしてのタンク13に溜められている。タンク13に収容された溶液は、マイクロポンプ11に供給される。除虫装置100は、回収用のタンクとしてタンク83を備えている。タンク13からマイクロポンプ11を介して流下部20に流出し、且つ、流下部20を流下した溶液は、タンク83に溜められる。
【0066】
タンク13からマイクロポンプ11への溶液の供給は、マイクロポンプ11自体が溶液を吸い込むことであってもよく、図示しない他のポンプがタンク13からマイクロポンプ11に供給することにしてもよい。マイクロポンプ11は、溶液に気体が混入しても動作が止まることはない。マイクロポンプ11は、1滴以下つまり1滴ごとの液体を発泡体4に供給することができるように、制御されている。制御部19は、マイクロポンプ11とマイクロポンプ12とを制御している。
【0067】
なお、マイクロポンプ11およびマイクロポンプ12の形態は、特に限定されず、公知のものであってよい。マイクロポンプ11およびマイクロポンプ12は、例えば、一般的なマイクロポンプとしてのダイヤフラムポンプであり、ダイヤフラムポンプのうちのコストが安くコンパクトである電磁式ポンプや、圧電素子等を用いたユニモルフポンプやバイモルフポンプ等である。
【0068】
なお、マイクロポンプ11とマイクロポンプ12とは、互いに一体に構成された一つのマイクロポンプであってもよい。つまり、除虫装置100は、溶液供給用の部分と空気供給用の部分とを有するマイクロポンプを備えていてもよい。
【0069】
発泡体4は、スポンジ等の弾性材料によって形成された多孔体である。発泡体4は、発泡部10のケース15の内部に配置されている。ケース15には、マイクロポンプ11のノズル11aとマイクロポンプ12のノズル12aとが収容されている。マイクロポンプ11のノズル11aを介して発泡体4に溶液が滴下され、マイクロポンプ12のノズル12aを介して発泡体4に空気が供給される。
【0070】
発泡体4に空気と溶液とが供給されることにより、発泡体4から溶液の泡が発生する(図3参照)。泡を含んだ溶液は、ケース15の内部から流下部20(図1参照)に排出される。ケース15のうち、ノズル11aおよびノズル12aが配置されている端部と反対側の端部には、吐出ノズル16が固定されている。吐出ノズル16を介してケース15から排出された泡を含む溶液は、流下部20を上方から下方に向かって流れる。なお、ケース15のうち、ノズル11aおよびノズル12aが配置されている端部と反対側の端部に開口が形成され、この開口から溶液が排出されることであってもよい。なお、吐出ノズル16の数量は、特に限定されない。流下部20の幅方向と平行な方向の吐出ノズル16の寸法と、吐出ノズル16の数量とは、流下部20の幅方向の寸法に合わせて適宜決定されていればよい。
【0071】
図示は省略するが、除虫装置100は、吐出ノズル20の先端部内側に配置されたセンサを備えていてもよい。センサは、検知部の一例である。当該センサの構成の一例として、吐出ノズル16の先端に二極の電極が取り付けられている。センサは、電極に接続された回路において二極の電極間の短絡を測定する。
【0072】
ケース15の内部からセンサの位置に泡を含んだ溶液が辿り着く場合には、電極に接続された回路において二極の電極間の短絡が一定時間継続する。この電極間の短絡が無い場合には、センサの位置に泡を含んだ溶液が行き着いていないことを、例えば制御部19(図1参照)が検知する。センサの測定に関する信号は、制御部19に送信されている。この信号に基づき、例えば制御部19がマイクロポンプ11の作動量またはマイクロポンプ12の作動量を増大させるようにそれぞれを制御することにより、吐出ノズル16から流下部20に供給される溶液を増加させることができる。
【0073】
なお、発泡体4の形状は特に限定されず、図2と図3とに示すように、球体または円柱形状であることに限定されない。また、発泡体4は、多孔状に形成されていればよい。例えば、台所用スポンジとして一般的に使用されているポリウレタン、ウレタン、または、不織布等の材質に発泡加工を施したものを多孔体として用いることが好ましい。
【0074】
発泡体4には、少なくともマイクロポンプ11の作動によって、タンク13から必要最低限の量の溶液が供給されている。また、発泡体4は、ケース15の内部に収容されている。そのため、除虫装置100では、界面活性剤が含まれる溶液が蒸発することを抑制することができる。
【0075】
一方、図31に、多孔体を利用した従来の発泡装置90を示す。多孔体94を利用した従来の発泡装置90の発泡部91では、界面活性剤を含む液体の中に多孔体94が沈められている。多孔体94には、ホース93を介してタンク92の外部から空気を送られる。多孔体94は、供給された空気を利用することにより、泡を発生させている。従来の発泡装置90の発泡部91は、比較的大きなタンク92を備えている。また、発泡装置90では、界面活性剤自体に空気が当たり易いため、液体の蒸発が促進される。
【0076】
図4に示すように、第1実施形態に係る除虫装置100において、例えば、流下部20の形態例1として、流下部20は、鉛直方向から傾斜した方向に延びる板状部2を有している。また、板状部2の表面2sは、上方に面している。流下部20のうち、板状部2の表面2sの一部は、除虫装置100の外方から視認可能なように露出している。表面2sには、表面2sが延びる方向と交わる方向に突出した凸部21が配置されている。凸部21は、板状部2の幅方向(図4の表裏方向)に延びている。
【0077】
なお、凸部21の数量は、特に限定されない。また、流下部20のうちの少なくとも板状部2の表面2sは、吸音性または衝撃吸収性を有する材質によって形成されている。吸音性または衝撃吸収性を有する材質によって形成された部分は、板状部2ではなく、流下部20のうち、害虫が衝突する他の部分であってもよい。表面2sに対する凸部21の突出量は、特に限定されない。また、板状部2の表面2sに対して凸部21が延びる方向は、図4に示すように略直角であることに限定されない。表面2sが延びる方向と、表面2sに対して凸部21が延びる方向とが成す角度、凸部21の数量、または、表面2sに対する凸部21の突出量は、界面活性剤の成分、発泡させた泡の量、板状部2の表面処理の方法、もしくは、鉛直方向に対する板状部2の傾斜角度に基づき、適宜設定される。
【0078】
凸部21が複数設けられていることにより、複数のうちの最上段の凸部21が主に泡を保持する。そのため、主にこの最上段の凸部21よりも上方の板状部2の部分で、害虫が捕獲される。2段目以降の凸部21は、主に泡を消すように作用する。このように、2段目以降の凸部21が泡を順次消すように作用するため、さらに時間を掛けて泡を自然に消滅させることができる。
【0079】
なお、2段目以降の凸部21に保持される泡の量は、最上段の凸部21に比べて少ない。しかしながら、2段目以降の凸部21においても、溶液が凸部21の表面を覆っている状態や、溶液が凸部21に溜まっている状態であるため、溶液によって害虫を駆除することが可能である。
【0080】
除虫装置100は、図5に示すように、送風機82をさらに備えている。送風機82は、流下部20を流下する泡を含む溶液に向かって風を送る。このときの風力は、泡が積層した溶液の塊の表面付近の泡のみを消泡する程度のものが好ましい。
【0081】
界面活性剤を含む泡によって害虫を捕獲する方法としては、溶液の泡がはじけることによって界面活性剤の微細な霧が発生する。害虫が泡に接触または突入するときに、多くの泡が破裂して界面活性剤の霧が害虫の体または羽根にかかる。羽根が濡れて飛べなくなった害虫の体に付いた界面活性剤は、害虫の呼吸器官に入ったり体の表面を濡らしたりする。界面活性剤が呼吸器官に入った場合には、害虫の呼吸が止まる。このように、泡に捕獲された害虫は、最後には死に至る。
【0082】
以上のように、第1実施形態の除虫装置100は、マイクロポンプ11と発泡体4とを有する発泡部10と、流下部20とを備えている。マイクロポンプ11は、界面活性剤を含む溶液を供給する。発泡体4は、マイクロポンプ11から供給される溶液に泡を発生させる。流下部20は、発泡部10よりも下方に配置され、泡を含む溶液を上方から下方に向かって流下させる。
【0083】
発泡部10が発生させた溶液の泡は、流下部20で流下する。このように、除虫装置100は、マイクロポンプ11と発泡体4とを有する発泡部10と、流下部20とを備えるといった比較的簡易な構造を有している。
【0084】
また、発泡部10においては、マイクロポンプ11から発泡体4に精度よく所望の量の溶液が供給されるため、比較的少量の所望の量の泡を発生させることできる。つまり、除虫装置100によれば、比較的大型の除虫装置と異なり、害虫を除去するための泡を含んだ溶液が、必要最低限の量だけ流下部20を流れる。そのため、除虫装置100によれば、流下部20を流れる溶液の泡を、溶液が流下部20を上方から下方に向かって流れる間に消泡することが可能である。このように、除虫装置100によれば、発泡部10に発泡させた界面活性剤の泡を、効率よく消泡することができる。そのため、除虫装置100は、消泡装置を別に備えることがないため、消泡に係るエネルギーを抑制することができ、省エネ化が図られている。
【0085】
以上のように、第1実施形態に係る除虫装置100は、比較的簡易な構造を有し、且つ、発泡させた界面活性剤の泡を効率よく消泡することができる。
【0086】
さらに、除虫装置100においては、害虫を駆除する界面活性剤を含む溶液の供給のために、一般的なマイクロポンプとしてのマイクロポンプ11を利用している。マイクロポンプ11等の公知のマイクロポンプの作動時には、大きな騒音が発生することがない。そのため、除虫装置100によれば、除虫装置100を作動しているときに騒音が発生することが抑制されている。
【0087】
除虫装置100において、発泡部10は、発泡体4に空気を送るマイクロポンプ12をさらに有している。
【0088】
この構成によれば、発泡部10において、発泡体4は、マイクロポンプ11から供給される界面活性剤を含む溶液と、マイクロポンプ12から供給される空気とを用いて溶液に泡を発生させることができる。除虫装置100によれば、マイクロポンプ11およびマイクロポンプ12の作動時に大きな騒音が発生することがないため、除虫装置100を作動しているときに騒音が発生することがない。
【0089】
除虫装置100は、流下部20を流下する泡を含む溶液に向かって、泡が積層した溶液の塊の表面付近の泡のみを消泡する程度の風を送る送風機82を備えている。
【0090】
除虫装置100によれば、流下部20を流れる泡を含む溶液に向かって送風されるため、小さな飛翔性の害虫は、送風機82が発生させる風に乗って流下部20に流される。そのため、流下部20を流れる泡を含んだ溶液に、これらの害虫を接触させやすい。したがって、この構成によれば、害虫の駆除の精度を向上させることができる。
【0091】
また、流下部20を流れる溶液の泡のうち、泡が積層した溶液の塊の表面付近の泡は、乾燥が比較的進行し、界面活性剤をあまり含んでいないといえる。このような溶液の塊の表面付近の泡のみを微弱な送風によって消泡させることにより、泡が積層した溶液の塊の内側で界面活性剤を多く含む泡を、泡の状態のままで常に保持することができる。そのため、除虫装置100によれば、界面活性剤を多く含んだ泡を用いて、効率よく害虫を駆除することができる。さらに、送風機82が発生させる風を利用して、溶液に含まれる香料の香りまたは誘引剤の臭いを除虫装置100の外方に拡散させることにより、害虫を除虫装置100に誘引させることができる。
【0092】
除虫装置100において、流下部20は、鉛直方向から傾斜した方向に延びる板状部2を有している。また、板状部2の表面2sは、上方に面している。さらに、板状部2の表面2sには、表面2sが延びる方向と交わる方向に突出した凸部21が配置されている。
【0093】
この構成によれば、泡を含んだ溶液は、鉛直方向から傾斜した方向に延びる板状部2の表面2sを流下する。泡を含んだ溶液が板状部2を流下する場合には、鉛直下方に向かって流下する場合に比べてゆっくりと流下部20を流れることができる。そのため、比較的長い時間にわたって、泡を含んだ溶液が流下部20に保持される。
【0094】
また、板状部2の表面2sに凸部21が配置されていることにより、泡を含む溶液のうちの泡の部分が主に凸部21に保持され、凸部21よりも上方の位置で泡によって害虫を捕獲することができる。一方、凸部21よりも下方の部分において、溶液の泡が消泡される。このように、除虫装置100によれば、溶液の泡を保持することと、適切に消泡することとの両方を達成することが可能である。
【0095】
除虫装置100は、タンク13とタンク83とを備えている。タンク13には、マイクロポンプ11に供給される溶液が溜められる。一方、タンク13からマイクロポンプ11を介して流下部20に流出し、且つ、流下部20を流下した溶液は、タンク83に溜められる。
【0096】
除虫装置100では、少量の界面活性剤を用いて比較的少ない量の泡を発泡部10が発生させているため、使用する界面活性剤の溶液の量が少ない。そのため、除虫装置100は、タンク13とタンク83とをそれぞれ個別に備えることができる。タンク83とタンク13とを除虫装置100が備えることにより、除虫装置100は、回収した溶液を濾過するフィルタ等を別に備える必要がない。そのため、フィルタを交換する必要もない。さらに、役目を終えて、害虫の死骸を含んだ溶液は、専らタンク83に回収される。そのため、駆除した害虫を除虫装置100から容易に除去することができる。同時に、タンク13から常に新しい清潔な溶液が発泡部10に供給されるため、流下部20には清潔な溶液が常に流れる。そのため、流下部20にて常に効果的に害虫を捕獲することができる。
【0097】
また、除虫装置100において、界面活性剤には、特定の害虫が除虫装置100に寄り付き難い物質が含まれ、且つ、他の特定の害虫を誘引する物質が含まれていてもよい。
【0098】
除虫装置100によって害虫を駆除するためには、除虫装置100に害虫をおびき寄せるような、いわゆる誘引物質を使用することにより、効率よく害虫を駆除することができる。除虫装置100は、全ての類の害虫を捕獲することができるようなものであることが望ましい。しかしながら、害虫ごとに異なる好みの条件を、除虫装置100がすべて備えることは、困難である。
【0099】
例えば、蚊等の飛翔性の害虫の誘引については、二酸化炭素またはオクテノール等を用いることが効果的である。一方、ゴキブリの誘引については、フェロモン、ネギ類、乾物、アンモニア臭、または、腐敗臭等を用いることが効果的である。これらの誘引剤は、界面活性剤に混入されていてもよく、誘引剤を除虫装置100の外部に拡散させることにしてもよい。
【0100】
このように、除虫装置100において、界面活性剤には、特定の害虫としてのゴキブリが嫌う忌避物質と、他の特定としての蚊を誘引する物質とが含まれている。忌避物質は、害虫を駆除することはできないが、忌避物質を嫌う特定の害虫に忌避行動を促すことができる。一方、除虫装置100には、他の特定の害虫が誘引される。そのため、除虫装置100は、溶液の泡を用いて他の特定の害虫を捕獲しながら、忌避物質を嫌う特定の害虫を遠ざけることができる。このように、除虫装置100が設置される環境において、忌避物質を嫌う害虫が当該環境に寄り付かずに、当該環境を清潔に保つことができる。
【0101】
また、除虫装置100において、界面活性剤には、特定の害虫を殺す物質が含まれていてもよい。この場合には、流下部20を流れる界面活性剤の溶液の泡を用いて、害虫を捕獲したときに確実に殺虫することができる。
【0102】
除虫装置100において、板状部2の表面2sは、吸音性または衝撃吸収性を有する材質によって形成されている。
【0103】
比較的小さな蚊またはアブ等の飛翔性の害虫が流下部20の板状部2に衝突するときの衝撃は、あまり大きくない。しかしながら、甲虫類等の比較的重量が大きい害虫が板状部2に衝突する際には、大きな衝突音が発生するだけでなく、流下部20および除虫装置100に衝撃が加わるため、除虫装置100が故障する可能性がある。一方、除虫装置100の構成によれば、吸音性または衝撃吸収性を有する材質によって板状部2の表面2sが形成されていることにより、板状部2を含む流下部20に害虫が衝突するときに発生する、音の軽減、または、衝撃の吸収が可能である。また、流下部20のうちの板状部2の全体が吸音性または衝撃吸収性を有する材質によって形成されている場合には、板状部2全体の振動が抑制されるため、流下部20に害虫が衝突するときの音の軽減や衝撃の吸収がさらに向上する。
【0104】
なお、除虫装置100は、マイクロポンプ12を備えていなくてもよい。例えば、ケース15内部および発泡体4には、マイクロポンプ11から溶液と共に空気が供給されていてもよい。また、例えば、ケース15に空気供給用の開口が形成されていてもよく、ケース15の内部に空気を送出する他のポンプを、除虫装置100が備えていてもよい。除虫装置100では、マイクロポンプ12から供給される空気を用いることにより、発泡体4は、効率よく溶液に泡を発生させることができる。
【0105】
なお、以下に説明するように、流下部20は、他の形態を有していてもよい。なお、以下の説明において、上述した構成と同様の機能を有するものについては、同符号を付す。
【0106】
図6(A)および(B)に示すように、形態例2の流下部20において、板状部2の表面2sには、溝2gが形成されている。図6(A)に示すように、溝2gは、板状部2の幅方向に沿って延びている。つまり、溝2gは、泡を含んだ溶液が板状部2を流下する方向と略直角に交わる方向に延びている。この構成によれば、板状部2の表面2sには、凸部22が配置されている。凸部22は、表面2sのうちの溝2gが形成された部分に対して、表面2sが延びる方向と交わる方向に突出している。このように、形態例2の流下部20において、板状部2の表面2sには、表面2sが延びる方向と交わる方向に突出した凸部22が配置されている。
【0107】
本例の流下部20によれば、泡を含む溶液のうちの液体の部分が主に溝2gに保持され、表面2sを流下する泡を含んだ溶液によって害虫を捕獲することができる。溶液の泡は、上側の溝2gから下側の他の溝2gを通過するたびに次第に消泡される。このように、本例の流下部20によれば、溶液の泡を保持することと、適切に消泡することとの両方を達成することが可能である。
【0108】
図7(A)および(B)に示すように、形態例3の流下部20において、板状部2の表面2sはディンプル状に形成されている。複数のディンプルの形状は、例えば半球体である。この構成によれば、板状部2の表面2sには、凸部23が配置されている。凸部23は、表面2sのうちのディンプルが形成された部分に対して、表面2sが延びる方向と交わる方向に突出している。つまり、板状部2の表面2sには、表面2sが延びる方向と交わる方向に突出した凸部23が配置されている。
【0109】
本例の流下部20においては、泡を含む溶液のうちの液体の部分が主に表面2sのうちのディンプル状に凹んだ部分に保持され、表面2sを流下する泡を含んだ溶液によって害虫を捕獲することができる。また、液体状の界面活性剤が表面2sのうちの凹んだ部分に存在するため、溶液の泡がこの凹んだ部分を流れるときに、泡の表面に界面活性剤が補給される。そのため、泡を含んだ溶液が板状部2を上方から下方に向かって流れる間に、泡は、表面2sのうちの凹んだ部分で界面活性剤を補給しながら板状部2を流下する。界面活性剤をあまり含まない泡は、破裂し易い。しかしながら、複数のディンプルが形成されるように表面2sが加工されていることにより、泡の寿命を長く保つことができる。ただし、溶液の泡は、板状部2の上端部から下端部まで流れる間に、次第に消泡される。このように、本例の流下部20によれば、溶液の泡を保持することと、適切に消泡することとの両方を達成することが可能である。
【0110】
図8に示すように、形態例4の板状部2において、板状部2の幅方向の両端部には、仕切部24が配置されている。仕切部24は、板状部2の表面2sと略直角に交わる方向に突出し且つ板状部2の上下方向に延びている。なお、仕切部24は、板状部2の幅方向の片側のみに形成されていてもよい。また、板状部2の表面2sが延びる方向と、仕切部24が突出する方向とが成す角度は、略直角であることに限定されず、板状部2からの溶液の落下を防止することができる程度の角度であればよい。
【0111】
本例の流下部20の構成によれば、泡を含んだ溶液が真っすぐに流下しない場合でも仕切部24に沿って下方に流れるため、板状部2からの溶液の落下を防止することができる。また、泡が積層した溶液の塊が仕切部24に接触することにより、溶液の泡をより長い時間にわたって保持することが可能である。
【0112】
図9に示すように、形態例5の板状部2において、板状部2は、複数の凸部25を有している。凸部25の一部には、凸部25の上端と下端とを貫通するように切り欠けられた空洞部25cが形成されている。
【0113】
本例の流下部20によれば、溶液の塊に含まれる泡を凸部25に保持させつつ、溶液と害虫とを空洞部25cを介して下方に流すことができる。凸部25に流れ着いた溶液と害虫とが下方に流れる際には、溶液の塊に含まれる泡は、泡同士の結びつきにより、凸部25から下方にはあまり流れ落ちることがない。このように、本例の流下部20によれば、溶液の泡を保持することと、溶液の塊のうちの役目が終えられたものを効率よく下方に流すこととの両方を達成することが可能である。
【0114】
形態例5の流下部20のうち、凸部25に形成された空洞部の位置について、図10(A)および(B)と、図11(A)および(B)と、図12とを用いて説明する。図10(A)および(B)は、凸部251に形成された空洞部251cの位置を概略的に示す図である。複数の凸部251は、板状部2の表面2s(図9参照)から、表面2sが延びる方向と交わる方向に突出している。各凸部251の一部には、凸部251の上端と下端とを貫通するように切り欠けられた空洞部251cが形成されている。
【0115】
図10(A)および(B)に示すように、複数の凸部251の空洞部251cのうちのいずれか一つの位置が、他の空洞部251cの位置と板状部2の上下方向にてずれるように、複数の凸部251が板状部2に配置されている。捕獲された害虫と泡とが含まれる溶液は、図中の点線矢印のように、真っ直ぐに板状部2を流れずに、曲がりくねった軌跡を描くように下方に流れていく。このように、捕獲された害虫と泡とが含まれる溶液が、板状部2の表面2s上で長い距離を流れるため、比較的長い時間を掛けて消泡される。図10(A)および(B)に示すような空洞部251cの配置によれば、一つの凸部251と他の一つの凸部251とにそれぞれ形成された空洞部251cが、板状部2の幅方向の左右両端部に配置されている。一つの凸部251と他の一つの凸部251との間に配置された凸部251に形成された空洞部251cは、板状部2の幅方向の略中央に配置されている。このような空洞部251cの配置により、捕獲された害虫と泡とが含まれる溶液が、板状部2の表面2s上で比較的長い距離を流れるため、溶液の泡を消泡するための時間を長く稼ぐことができる。また、溶液が板状部2の上端部から下端部まで流れるときの複数の経路の距離を、それぞれ略同一に揃えることができる。そのため、板状部2の上端部から下端部まで溶液が流れるときに、溶液の泡の消泡の程度が、板状部2の下端部にて平均化される。
【0116】
図11(A)および(B)は、凸部252に形成された空洞部252cの位置を概略的に示す図である。複数の凸部252は、板状部2の表面2s(図9参照)から、表面2sが延びる方向と交わる方向に突出している。各凸部252の一部には、凸部252の上端と下端とを貫通するように切り欠けられた空洞部252cが形成されている。
【0117】
図11(A)および(B)に示すように、捕獲された害虫と泡とが含まれる溶液は、図中の点線矢印のように、真っ直ぐに板状部2を流れずに、曲がりくねった軌跡を描くように下方に流れていく。図11(A)および(B)に示すような空洞部252cの配置によれば、一つの凸部252と他の一つの凸部252とにそれぞれ形成された空洞部252cが、板状部2の幅方向の一端部に配置されている。一つの凸部252と他の一つの凸部252との間に配置された凸部252に形成された空洞部252cは、板状部2の幅方向の他端部に配置されている。このような空洞部252cの配置により、捕獲された害虫と泡とが含まれる溶液が、板状部2の表面2s上でより長い距離を流れるため、溶液の泡を消泡するための時間をさらに長く稼ぐことができる。
【0118】
図12は、凸部253に形成された空洞部253cの位置を概略的に示す図である。複数の凸部253は、板状部2の表面2s(図9参照)から、表面2sが延びる方向と交わる方向に突出している。各凸部253の一部には、凸部253の上端と下端とを貫通するように切り欠けられた空洞部253cが形成されている。
【0119】
図12に示すように、複数の凸部253の空洞部253cのうちのいずれか一つの位置が、他の空洞部253cの位置と板状部2の上下方向にてずれるように、複数の凸部253が板状部2に配置されている。さらに、凸部253のうち、少なくとも空洞部253cが形成された部分を除く部分は、水平方向から傾斜した方向に延びていている。この場合には、空洞部253cが形成された部分を除く凸部253の一部分は、空洞部253cよりも上方に配置されている。このような構成により、凸部253に害虫の死骸や泡が溜まるのをより効果的に防ぐことができるため、効率よく消泡することと、害虫の死骸を容易に回収することとが可能である。
【0120】
形態例6の流下部20を図13に示す。本例の流下部20には、空洞部254cを開閉する開閉部材7が取り付けられている。凸部254の一部には、凸部254の上端と下端とを貫通するように切り欠けられた空洞部254cが形成されている。凸部254は、板状部2の表面2sから、表面2sが延びる方向と交わる方向に突出している。なお、表面2sに形成される凸部254の数量は、特に限定されない。
【0121】
開閉部材7は、界面活性剤に対して所定の耐性を有し、繰り返して空洞部254cを開閉することに耐えられるように構成されていればよい。開閉部材7を作動させる主な方法としては、例えば、モータ式、バネ式、シリンダー式、または、電磁弁式等であり、空洞部254cを開閉することが可能な方法であれば特に限定されない。除虫装置100(図1参照)は、開閉部材7を作動させる手段として、制御部19(図1参照)に制御される、モータ式、シリンダー式、または、電磁弁式等の駆動部(図示せず)を備えていてもよい。また、開閉部材7が空洞部254cを開閉する方向は、R1方向に限定されない。開閉部材7は、スライド式に空洞部254cを開閉するものであってもよい。
【0122】
凸部254に、ある程度の量の溶液が溜まったときには、開閉部材7が位置する部分にも溶液が溜まる。例えばバネ式の方法を用いて開閉部材7を作動させる場合に、捕獲された害虫や溶液の重量がバネの付勢力よりも大きいときには、開閉部材7が、空洞部254cを開くように支点7cを中心に回転する。このときの回転方向は、R1方向のうちの反時計回りである。バネとしては、例えばトーションバネが用いられている。
【0123】
なお、本例の流下部20の構成において、凸部254のうちの空洞部254cを取り囲む部分または開閉部材7の外周にゴム等のパッキンが取り付けられている場合には、開閉部材7と空洞部254cとの間において、溶液の液漏れを防止することができる。
【0124】
本例の流下部20の構成によれば、泡を含む溶液を凸部254に溜めてから空洞部254cを介して下方に流すことができる。そのため、泡が積層した溶液の塊の内側で界面活性剤を多く含む泡を、比較的長い時間にわたって保持することができる。これにより、流下部20を流れる溶液の全体に含まれる泡のうち、凸部254に溜められたものが泡の状態のままで保持される時間を延長することが可能である。
【0125】
形態例7の流下部20を図14に示す。本例の流下部20においては、凸部255が板状部2の表面2sから内部に収納自在である。凸部255は、板状部2の表面2sから、表面2sが延びる方向と交わる方向に突出している。なお、表面2sに形成される凸部255の数量は、特に限定されない。
【0126】
除虫装置100(図1参照)は、凸部255を作動させる手段として、制御部19(図1参照)に制御される、モータ式、シリンダー式、または、電磁弁式等の駆動部(図示せず)を備えている。駆動部は、界面活性剤に対して所定の耐性を有し、繰り返して凸部255を作動させることに耐えられるように構成されていればよい。
【0127】
例えば、バネ式の方法を用いて凸部255を作動させる場合に、捕獲された害虫や溶液の重量がバネ(図示せず)の付勢力よりも大きいときには、凸部255が、板状部2の内部に収容されるように支点8cを中心に回転する。このときの回転方向は、R2方向のうちの時計回りである。バネとしては、例えばトーションバネが用いられている。
【0128】
本例の流下部20の構成によれば、板状部2の内部に凸部255が収納されている場合には、凸部255に留められた害虫と泡とが含まれる溶液が、板状部2の表面2sに沿って下方に流下する。したがって、板状部2の内部に凸部255が収納されている場合には、板状部2の表面2sおよび凸部255の上側の表面を溶液によって洗浄することが可能である。逆に、板状部2の表面2sに溶液の泡が保持されていない場合には、板状部2の表面が延びる方向と交わる方向に凸部255を突出させることにより、泡を含んだ溶液を凸部255に保持させることができる。このように、本例の流下部20の構成によれば、板状部2の表面2sの状態に応じて、板状部2の内部に凸部255が収納された状態と、板状部2の表面2sに凸部255が突出した状態とを切り換えることができる。これにより、板状部2の表面2sの状態と、板状部2の表面2sを流下する泡の状態との両方を適切に保つことができる。
【0129】
形態例8の流下部20を図15(A)および(B)に示す。本例の流下部20においては、板状部2を上方から見る場合に、板状部2に谷部2dが形成されるように板状部2が略V字形状を有している。凸部257は、板状部2の谷部2dに配置されている。板状部2は、表面2sが上方に面するように、鉛直方向Vに対して傾斜している。凸部257は、板状部2の表面2sから、表面2sが延びる方向と交わる方向に突出している。なお、凸部257の数量は、特に限定されない。
【0130】
本例の流下部20の構成によれば、板状部2の奥行き方向(図15(A)の表裏方向)の寸法が拡大する。また、凸部257は、拡大した奥行き方向の奥側に配置されている。そのため、板状部2を流れる泡を含んだ溶液は、拡大した奥行き方向の奥側に配置された凸部257に溜まりやすい。このような溶液の泡の溜まり方は、害虫を捕獲した溶液の泡が板状部2の表面全体に乗っている場合に比べて、溶液の塊に埋まった害虫の死骸が目立ちにくい。また、板状部2を流れる泡を含んだ溶液は、拡大した奥行き方向の凸部257の寸法分に応じて、より多く凸部257に溜められる。そのため、害虫を捕獲する確実性が向上する。
【0131】
形態例9の流下部20を図16に示す。本例の流下部20においては、板状部2は略円錐形状を有している。複数の板状の部材の表面2sが連続して接続されることによって、略円錐形状の板状部2が形成される。板状部2の表面2sの外周を巻くように、板状部2の表面2sに凸部256が配置されている。
【0132】
泡を含む溶液が、略円錐形状の板状部2の頂点2pの上方から板状部2に滴下される場合には、頂点2p付近から泡が分散され、表面2sの全体に泡が保持される。流下部20に供給される溶液は、発泡部10(図1参照)にて発生した泡がすぐに頂点2pに接触するような近い距離から板状部2に滴下されることが好ましい。また、板状部2は、頂点2pを通る円錐の中心を回転軸線として回転するものであってもよい。このようにすることにより、確実に泡を板状部2の表面2sの全体に保持させることができる。
【0133】
以上のように、本例の流下部20の構成によれば、板状部2の表面積の拡大を図ることができる。これにより、板状部2を流れる泡を含む溶液の量を増加させることが可能である。そのため、板状部2を含む流下部20にて、大きな害虫を捕獲することや、より多くの数の害虫を捕獲することが可能である。
【0134】
なお、除虫装置100では、形態例1〜形態例9のいずれかの流下部20を用いることができる。さらに、除虫装置100では、形態例1〜形態例9のいずれかまたはすべてが組み合わされた流下部20を用いることができる。
【0135】
さらに、以下では、上記の各形態例とは異なる構成を有した流下部20について説明する。なお、以下の説明において、上述した構成と同様の機能を有するものについては、同符号を付す。
【0136】
図17に示すように、流下部20は、すり鉢状の受皿形状を有している。また、図21に示すように、泡を含む溶液は、流下部20の中央部の上方から、発泡部10(図3参照)を介して流下部20に供給される。この構成によれば、すり鉢状の受皿形状の流下部20に泡を保持することにより、流下部20が泡を保持することが可能な時間を延長することが可能である。
【0137】
すり鉢状に流下部20が形成されていることにより、害虫の死骸をすり鉢状の底の部分に容易に集めることができる。また、泡の保持時間が延長されることによって発泡部10(図1参照)の動作時間を短縮させることが可能であるため、省エネや騒音の低減がさらに可能である。
【0138】
なお、受皿形状の流下部20の表面2eには、凸凹加工が施されていてもよい。凸凹加工された流下部20の表面2eには、ある程度の量の液体状の界面活性剤が保持されるため、溶液の泡が比較的長時間にわたって保持される。
【0139】
図17に示すように、流下部20の底部には、複数の孔部32が形成されている。孔部32は、溶液を下方に向かって流下部20から流出させるものである。流下部20の底部は、流下部20の略中央に配置されている。図18(A)および(B)に示すように、流下部20の下端部には、パイプ30が接続されている。役目を終えて、孔部32を介して流下部20の外部に流出される溶液は、排出路31を流通する。図19に示すように、流下部20には、孔部32を覆う網目状のカバー41を配置することができる。カバー41の各格子状の穴の寸法は、各孔部32の寸法よりも小さい。
【0140】
流下部20に溜められる泡を含んだ溶液は、流下部20の底部に向かって上方から下方に流れることにより、孔部32を介して流下部20から流出する。泡に捕獲された害虫の死骸は、溶液とともに孔部32に向かって流れる。害虫の死骸の数が増えてくるにつれて、死骸が孔部32を塞いでしまう可能性がある。しかしながら、孔部32を覆うカバー41が流下部20に配置されていることにより、カバー41が害虫の死骸を堰き止めたうえで、残りの溶液を孔部32から流出させることができる。
【0141】
また、カバー41が比較的高さを有するように立体的な構造を有している場合には、害虫の死骸が孔部32の他にカバー41をも塞ぐことが防止される。
【0142】
なお、死骸が孔部32を塞ぐための構成は、図20(A)、(B)、(C)に示すように、流下部20の底部に突起33が配置されているものであってもよい。突起33は、流下部20の表面2eから上方に向かって突出した部分である。複数の孔部32は、突起33の外周を取り囲むように配置されている。
【0143】
図20(C)に示すように、流下部20の底部に配置されたカバー42は、突起33および孔部32の周りを取り囲んでいる。このとき、カバー42は、突起33の天井を覆うものであってもよく、突起33の側方のみを取り囲むものであってもよい。このように、流下部20の底部に形成された突起33を利用することにより、カバー42と突起33とによって孔部32の外周側に立体的な構造を構成することができる。
【0144】
除虫装置100は、流下部20に積み上げられた泡の量を検知するセンサ38を備えている(図21と図22とを参照)。図22に示すように、センサ38は、例えば吐出ノズル16の内部に配置されている。センサ38は、検知部の一例である。
【0145】
図21に示すように、流下部20からは、吐出ノズル16を介して流下部20に泡を含む溶液が供給されている。吐出ノズル16の先端は、流下部20の中央部の上方に配置されている。図22に示すように、センサ38の構成の一例として、吐出ノズル16の先端に二極の電極39が取り付けられている。センサ38は、電極39に接続された回路において二極の電極39間の短絡を測定する。
【0146】
流下部20に所定の量の泡が積み上げられることにより、泡が吐出ノズル16の先端に接触する場合には、電極39に接続された回路において二極の電極39間の短絡が一定時間継続する。この電極39間の短絡に基づいて、例えば制御部19(図1参照)が、流下部20に積み上げられた泡の量を検知する。センサ38の測定に関する信号は、制御部19に送信されている。
【0147】
吐出ノズル16の先端から流下部20に供給された泡は、吐出ノズル16の先端の下方に位置する点を頂点とする山が形成されるように、流下部20に積み上げられる。次第に泡の容積を拡大させた泡が吐出ノズル16の先端に接近もしくは接触することにより、制御部19(図1参照)は、流下部20に多量の泡が積み上げられていることを検知する。発泡部10では、制御部19の検知に基づいて、発泡が停止されたり、流下部20への泡の供給が停止されたりする。
【0148】
なお、吐出ノズル16は、発泡部10から流下部20に泡を含む溶液を供給するためのものである。吐出ノズル16の先端付近に泡や溶液の滴が残っている場合には、正確な測定ができない。そのため、図示とは異なり、吐出ノズル16の内部の電極39付近に泡や溶液の滴が付着しないように、吐出ノズル16が水平方向から下方斜めに傾斜するように延びていてもよい。
【0149】
なお、検知部は、出力が比較的小さい超音波センサを用いたものであってもよい。例えば、吐出ノズル16の先端に取り付けられた超音波センサは、吐出ノズル16の先端近傍から流下部20に積み上げられた泡までの距離を測定する。出力が比較的小さい超音波センサを用いる場合は、吐出ノズル16の先端まで泡を積み上げたうえで泡の量を測定することができるため、測定距離が短くてよく、また、出力も最小に抑えることができる。
【0150】
以上のように、センサ38を備えた除虫装置100によれば、流下部20に積み上げられた溶液の泡の量を検知することができるため、流下部20に溜められた泡の量に応じて、発泡部10から流下部20に泡を含んだ溶液を供給することが可能である。また、検知部としてのセンサ38が、流下部20に溶液を供給する吐出ノズル16に配置されている場合には、センサ38を配置するための特別なスペースが不要であるため、効率よく泡の量を検知することができる。
【0151】
受皿形状を有する流下部20を備えた除虫装置100は、図23に示すように、複数のランプ17を備えている。ランプ17の明かりにより、除虫装置100に害虫を誘引することができため、効率よく害虫を駆除することが可能できる。
【0152】
例えば、300〜400nmの波長の光を照射する紫外線ランプもしくは紫外線LEDを用いてハエ、蛾、もしくは、蚊等の一部を除虫装置100に誘引することができる。ランプ17の種類は、特に限定されず、白色または他の色にて発光する蛍光灯等のランプであってもよい。
【0153】
図23(B)に示すように、除虫装置100は、風防機構18を備えている。風防機構18は、流下部20の周囲の一部に配置され、ランプ17の明かりを反射する構造を有している。図23(A)に示す除虫装置100の状態において、風防機構18は、流下部20よりも下方に位置するように、タンク83の側方に収容されている。図23(A)に示す除虫装置100の状態では、流下部20の上方および前後左右の四方から、害虫を泡に接触させることができる。
【0154】
一方、図23(B)に示す除虫装置100の状態において、風防機構18は、流下部20よりも上方に位置するように、流下部20の上方の空間の一部を取り囲んでいる。この状態によれば、風防機構18は、流下部20を流れる溶液の泡が特に屋外の強い風、または、屋内のエアコンもしくは扇風機の風等に吹かれて消泡されることを防ぐことができる。また、ランプ17の明かりが風防機構18によって反射されるため、害虫を誘引する効果がさらに向上する。
【0155】
除虫装置100において、ランプ17の一部は、風防機構18の外側に配置されている。なお、ここでいう風防機構18の内側と外側とは、流下部20の半径方向の内側と外側とを意味している。ところで、風防機構18の外側ではなく内側にランプが配置されている場合に、風防機構18が流下部20の上方の空間の一部を取り囲んでいるときには、風防機構18自体によって明かりが遮断され、風防機構18の外側にランプの明かりが届かない。そのため、風防機構18の内側、つまり、流下部20の上方の空間において、ランプの明かりによって害虫を効果的に誘引することができても、除虫装置100の外部である風防機構18の外側において、効果的に害虫を誘引することはできない。
【0156】
一方、図23(B)に示すように、ランプ17が風防機構18の外側に配置されている場合に、風防機構18が流下部20の上方の空間の一部を取り囲んでいるときには、ランプ17の照射光および明かりが風防機構18に遮断されることが防止されている。そのため、除虫装置100の外部を飛翔している害虫を効果的に誘引することができる。また、除虫装置100の周囲に誘引された害虫を、除虫装置100の周囲に飛び回らせたり、除虫装置100に止めさせたりすることができる。害虫がそのような動きをしているうちに、流下部20に積み上げられた泡の近くを害虫が飛翔すること、または、風防機構18によって反射されたランプ17の明かりを見た害虫が泡に接触することにより、害虫は泡に捕獲される。
【0157】
ランプ17と図示しない電源とに接続されたコード等は、風防機構18がタンク83の側方に対して可動可能なように、予め可動分だけ余分な寸法を有している。そのため、除虫装置100は、ランプ17を配置するための特別なスペースを備える必要がない。なお、図23に示す除虫装置100において、供給用のタンク13、マイクロポンプ11、および、マイクロポンプ12(図1参照)は、除虫装置100の内部に配置されている。
【0158】
(第2実施形態)
図24に、第2実施形態に係る除虫装置200を示す。除虫装置200が第1実施形態の除虫装置100と異なる点は、除虫装置200は、送気マイクロポンプを備えていない。除虫装置200は、以下に説明するように、除虫装置100とは異なる手段を用いて、発泡体4に空気を供給している。なお、第1実施形態に係る除虫装置100と同様の機能を有するものについては、同符号を付し、説明を省略する。
【0159】
制御部19は、マイクロポンプ11が1滴以下つまり1滴ごとの液体を発泡体4に供給することができるように、マイクロポンプ11を制御している。図25に示すように、マイクロポンプ11のノズル11aを介して発泡体4に溶液が滴下される。なお、第2実施形態に係る除虫装置200の発泡体4は、多孔状で伸縮可能な材料であって、且つ、弾力性を有する材料によって形成されている。
【0160】
発泡部10には、発泡部10のケース15の内部と外部とを連通させる開口15aが形成されている。また、ケース15には、開口15aを開閉する蓋部51が取り付けられている。図26(A)および(B)に示すように、除虫装置200において、発泡部10は、発泡体4を伸縮させる伸縮部6を有している。蓋部51は、伸縮部6の作動に連動して開口15aを開閉する。なお、開口15aが形成されたケース15の内壁面と蓋部51との間には、網状のフィルタ等が配置されていてもよい。
【0161】
図26(A)には、発泡体4が膨張している状態であって空気を吸い込んだ発泡体4を示す。図26(B)には、発泡体4が圧縮されている状態であって溶液に泡を発生させている発泡体4を示す。図26(A)に示すように、蓋部51は、発泡体4の膨張時に開口15aを開くように作動する。一方、図26(B)に示すように、蓋部51は、発泡体4の圧縮時に開口15aを閉じるように作動する。界面活性剤を含む溶液は、図26(A)に示す発泡体4の膨張時に、発泡体4に滴下される。滴下された溶液は、発泡体4の表面から内部に浸透する。図26(B)に示す発泡体4の圧縮時には、溶液に泡が発生して、泡とともに溶液が発泡体4から押し出される。
【0162】
蓋部51の作動原理としては、例えば図示しないモータの駆動によって蓋部51が作動するように構成されていてもよい。モータは、例えば制御部19によって制御されている。また、伸縮部6の作動状態または発泡体4が発生させている泡の量を検知するセンサ等の検知結果を利用して、蓋部51を作動させるものであってもよい。センサからは、例えば制御部19に信号が送信される。制御部19は、センサが検知または測定した状態等に基づいて、モータを駆動させる。あるいは、除虫装置200では、伸縮部6の作動に伴って蓋部51を作動させる機構等が、伸縮部6に連結されていてもよい。
【0163】
蓋部51は、ケース15内部の圧力差に応じて開口15aを開閉するものであってもよい。例えばケース15の内部が負圧である場合に、蓋部51は開口15aを開くように作動する。さらに、蓋部51が可撓性材料によって形成されていてもよい。可撓性を有する蓋部51は、ケース15内部の圧力差に応じて変形し、ケース15内部の圧力差に応じて開口15aを開閉する。
【0164】
図27(A)〜(D)に示すように、伸縮部6は、カム64と、回転軸65と、移動板63と、支持板62と、支持柱61とを有している。カム64は、略楕円形状の断面を有し、回転軸65とともに回転する。回転軸65は、例えば図示しないモータの駆動によって回転する。移動板63は、カム64に接触し、カム64の回転に応じて図27の上下方向に移動する。支持柱61は、移動板63に固定され、支持板62を貫通している。移動板63が移動するときは、支持柱61が移動板63と共に移動する。なお、カム64および移動板63の形状は、特に限定されない。
【0165】
回転軸65の回転中心から移動板63までの距離が変化することにより、移動板63が往復移動し、発泡体4の圧縮と膨張とが繰り返される。なお、カム64と移動板63とを含む伸縮部6は、フッソコート等の加工が施されていることが好ましい。フッソコート等の加工が施されている場合は、伸縮部6の部材同士が互いに滑り易い。そのため、伸縮部6の部材同士が摩擦を繰り返す場合でも、摩擦音が低減される。
【0166】
図28には、除虫装置200の伸縮部の他の一例を示す。図28(A)には、膨張時の発泡体4を示し、図28(B)には、圧縮時の発泡体4を示す。発泡部10(図25参照)のケース15の壁面の一部には、伸縮自在な伸縮壁66が形成されている。発泡体4の底面に接する伸縮壁66は、発泡体4の膨張時には収縮している。一方、伸縮壁66は、発泡体4の圧縮時には伸張している。伸縮壁66は、除虫装置200の伸縮部の一例である。
【0167】
なお、伸縮壁66の形状は、蛇腹状のものに限定されない。また、伸縮壁66の材質は、伸縮壁66が伸縮可能であって発泡体4の強度と比較して著しく強度が異ならないものであれば、特に限定されない。伸縮壁66の材質は、例えばポリエチレン、ポリプロピレン等、好ましくはヒンジ効果のある合成樹脂である。また、伸縮壁66の材質は、例えばポリエチレン、ポリプロピレン等、好ましくはヒンジ効果のある合成樹脂と、ポリスチレン等とが共重合したもの、または、それらが混合されているものが好ましい。伸縮壁66の材質として樹脂等が用いられている場合には、伸縮壁66の腐食を防ぐことができる。伸縮壁66は、腐食防止のコーティングが施されているものであれば、金属によって形成されていてもよい。
【0168】
図29には、伸縮による発泡体4の劣化を抑える形状保持部67の一例を示す。形状保持部67は、除虫装置200の伸縮部の一例である。形状保持部67は、発泡体4を伸縮させる機能のうち、特に発泡体4の伸長時の動作を補助するものである。発泡体4が空気を吸い込む際に作用する発泡体4の復元力のみでは、発泡体4の形状が復元するまでの時間が掛かったり、発泡体4の形状が十分に復元しなかったりする。そのため、除虫装置200(図24参照)が形状保持部67を備えることにより、発泡体4の伸長動作を補助することができる。そのため、発泡体4は、確実に空気を吸い込むことができる。
【0169】
形状保持部67は、例えばコイルバネによって構成されている。形状保持部67の上端と下端とは、それぞれ発泡体4の上部と下部とに固定されている。圧縮された状態の形状保持部67としてのコイルバネが、発泡体4を囲んでいる。つまり、発泡体4は、形状保持部67が伸長する方向の付勢力を受ける。
【0170】
形状保持部67としてのコイルバネの材質は、発泡体4を圧迫もしくは損傷しない程度の強度を有するものであって且つ伸縮に耐えるものであれば特に限定されない。コイルバネの材質は、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンフタレート、ポリカーボネート、または、ナイロン等である。また、コイルバネの材質は、これらの材質が単独または混合で用いられていてもよい。ただし、これらの材質が共重合したものが、コイルバネの材質として用いられることが好ましい。また、コイルバネの材質は、ステンレス等の防腐性を有する金属素材であってもよい。
【0171】
形状保持部67は、伸縮部6と併用されることが好ましい。形状保持部67の上端と下端とが、それぞれ発泡体4の上部と下部とに固定される。そのため、例えば伸縮壁66(図28(A)(B)参照)、または、移動板63(図27参照)と支持板62とは、形状保持部67の伸縮に耐える強度を有していることが好ましい。
【0172】
図30には、ケース15(図25参照)の開口15aを開閉する構成の他の一例を示す。上述のように、開口15aは、発泡体4の膨張時に開かれ、且つ、発泡体4の圧縮時に閉じられる。図30に示すように、開口15aの外周を覆う網52が、開口15aが形成されたケース15の外壁面に取り付けられている。一方、開口15aが形成されたケース15の内壁面側には、ブラインド53が配置されている。蓋部の一例としてのブラインド53は、開口15aおよび網52の外周を覆っている。なお、ブラインド53とベルト54とは、ケース15の外側に配置されていてもよい。
【0173】
ブラインド53の材質は、開口15aを適切に閉塞することができるものであれば、特に限定されない。ブラインド53は、ベルト54の駆動に基づき、開口15aを開閉する。ベルト54とブラインド53との構成は、ベルト54の駆動に基づいてブラインド53が開口15aを開閉するものであれば、特に限定されない。
【0174】
ベルト54とブラインド53との構成は、図26〜27に示す移動板63等が用いられた伸縮部6と、図29に示す形状保持部67と併用される。あるいは、ベルト54とブラインド53との構成は、図28に示す伸縮壁66が用いられた伸縮部6と、図29に示す形状保持部67と併用される。
【0175】
ベルト54は、発泡体4の膨張時に伸縮部6または形状保持部67の移動と連動して、De1方向に引っ張られる。このとき、ブラインド53がDe2方向に収縮することにより、開口15aが開けられる。一方、発泡体4の圧縮時には、ベルト54は、伸縮部6または形状保持部67の移動と連動して、Dp1方向に引っ張られる。このとき、ブラインド53がDp2方向に戻ることにより、開口15aが閉められる。
【0176】
なお、図示は省略するが、伸縮部6または形状保持部67の移動と、開口15aを開閉するためのベルト54の作動とを連動させるために、発泡部10は、センサとモータとを有していてもよい。この場合には、伸縮部6または形状保持部67の移動をセンサが検知する。センサの検知結果に基づいてモータが駆動することにより、ベルト54が作動する。
【0177】
以上のように、除虫装置200において、発泡体4は、弾性材料によって形成されている。また、発泡部10は、発泡体4を伸縮させる伸縮部6を有している。この構成によれば、弾性材料の発泡体4を伸縮させることにより、発泡体4に供給される溶液から確実に発泡させることができる。
【0178】
除虫装置200において、発泡部10には、発泡部10のケース15の内部と外部とを連通させる開口15aが形成されている。また、伸縮部6の作動に連動して開口15aを開閉する蓋部51が、発泡部10に取り付けられている。
【0179】
この構成によれば、発泡体4は、マイクロポンプ11から供給される界面活性剤を含む溶液と、開口15aを介して外部から供給される空気とを用いて溶液に泡を発生させることができる。除虫装置200によれば、開口15aを開閉する蓋部51は伸縮部6の作動に連動しているため、発泡体4において空気が必要なときに開口15aから空気を供給することができる。このように、除虫装置200によれば、効率よく溶液を発泡させることができるため、害虫を効率よく捕獲することが可能である。
【0180】
以上に開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考慮されるべきである。本発明の範囲は、以上の実施の形態ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての修正と変形を含むものである。
【符号の説明】
【0181】
2:板状部、2d:谷部、2s,2e:表面、4:発泡体、6:伸縮部、7:開閉部材、10:発泡部、11:マイクロポンプ、12:マイクロポンプ、13:タンク、15a:開口、17:ランプ、18:風防機構、20:流下部、21,22,23,25,251,252,253,254,255,256,257:凸部、24:仕切部、25c,251c,252c,253c,254c:空洞部、32:孔部、38:センサ、41,42:カバー、51:蓋部、82:送風機、83:タンク、100,200:除虫装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、除虫装置に関する。
【背景技術】
【0002】
害虫を駆除するための除虫装置について、特開2002−300840号公報(特許文献1)、特開2003−61540号公報(特許文献2)、特開2004−97193号公報(特許文献3)、または、特開2008−11798号公報(特許文献4)に記載されたものが従来から知られている。
【0003】
上記従来の各除虫装置は、比較的大型の装置であり、害虫を捕獲するための界面活性剤を含んだ溶液から泡を大量に発泡させている。また、上記従来の各除虫装置は、比較的大型の装置であるため、発生させた大量の泡を比較的長い時間にわたって泡の状態のまま保持することができる。一方、上記従来の除虫装置のうち、特開2008−11798号公報(特許文献4)に記載された除虫装置は、発生させた大量の泡を必要に応じて消泡することができるように、消泡手段を備えている。消泡手段は、発生させた泡に害虫が埋もれているような、役目が終えられた大量の泡を消泡する。このように、上記従来の各除虫装置は、比較的大型の装置であるため、消泡手段のためのスペースを持つことが可能である。
【0004】
一方、特開2008−30042号公報(特許文献5)に記載されているように、精度よく液体を吐出、滴下、または、飛滴させることが可能な液材の吐出方法およびその装置が知られている。例えば特開2008−30042号公報(特許文献5)に記載された液材の吐出方法を仮に用いることにより、比較的少量の界面活性剤を当該装置から精度よく吐出させることが可能である。そのため、比較的少量の界面活性剤を精度よく吐出させることにより、比較的少量の所望の量の泡を発生させることが可能であると考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−300840号公報
【特許文献2】特開2003−61540号公報
【特許文献3】特開2004−97193号公報
【特許文献4】特開2008−11798号公報
【特許文献5】特開2008−30042号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特開2008−30042号公報(特許文献5)に記載された液材の吐出装置においては、ノズルや電磁弁等が特殊な構造を有しているため、当該装置に係る構造が複雑である。また、特開2008−30042号公報(特許文献5)に記載されたような液材の吐出装置を配置するためのスペースを、比較的小型の除虫装置に持たせることは困難である。
【0007】
さらに、上記従来の各除虫装置を比較的小型の除虫装置に適用することを試みる場合には、発生させた泡を効率よく消泡する消泡手段が配置されるスペースを比較的小型の除虫装置に持たせることは困難である。
【0008】
そこで、本発明の目的は、発泡させた界面活性剤の泡を用いて害虫を駆除する除虫装置であって、比較的簡易な構造を有し且つ発泡させた界面活性剤の泡を効率よく消泡することが可能な除虫装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に従った除虫装置は、発泡させた界面活性剤を含む溶液を用いて害虫を駆除する除虫装置であって、マイクロポンプと発泡体とを有する発泡部と、流下部とを備えている。マイクロポンプは、界面活性剤を含む溶液を供給する。発泡体は、マイクロポンプから供給される溶液に泡を発生させる。流下部は、発泡部よりも下方に配置され、泡を含む溶液を上方から下方に向かって流下させる。
【0010】
本発明によれば、発泡部が発生させた溶液の泡は、流下部で流下する。このように、本発明に従った除虫装置は、マイクロポンプと発泡体とを有する発泡部と、流下部とを備えるといった比較的簡易な構造を有している。
【0011】
また、発泡部においては、マイクロポンプから発泡体に精度よく所望の量の溶液が供給されるため、比較的少量の所望の量の泡を発生させることできる。つまり、本発明によれば、比較的大型の除虫装置と異なり、害虫を除去するための泡を含んだ溶液が、必要最低限の量だけ流下部を流れる。そのため、本発明によれば、流下部を流れる溶液の泡を、流下部を上方から下方に向かって溶液が流れる間に消泡することができる。このように、本発明によれば、発泡部に発泡させた界面活性剤の泡を、効率よく消泡することができる。そのため、本発明に従った除虫装置は、消泡装置を別に備えることがないため、消泡に係るエネルギーを抑制することができ、省エネ化が図られている。
【0012】
さらに、本発明においては、害虫を駆除する界面活性剤を含む溶液の供給のために、マイクロポンプを利用している。マイクロポンプの作動時には、大きな騒音が発生することがない。そのため、本発明によれば、当該除虫装置を作動しているときに騒音が発生することを抑制することができる。
【0013】
本発明に従った除虫装置において、発泡部は、発泡体に空気を送る送気マイクロポンプをさらに有していることが好ましい。
【0014】
この構成によれば、発泡体は、マイクロポンプから供給される界面活性剤を含む溶液と、送気マイクロポンプから供給される空気とを用いて溶液に泡を発生させることができる。本発明によれば、マイクロポンプの作動時に大きな騒音が発生することがないため、当該除虫装置を作動しているときに騒音が発生することを抑制することができる。
【0015】
本発明に従った除虫装置において、発泡体は、弾性材料によって形成されていることが好ましい。また、発泡部は、発泡体を伸縮させる伸縮部を有していることが好ましい。この構成によれば、弾性材料の発泡体を伸縮させることにより、発泡体に供給される溶液から確実に発泡させることができる。
【0016】
本発明に従った除虫装置において、発泡部には、発泡部の内部と外部とを連通させる開口が形成されていることが好ましい。また、発泡部には、伸縮部の作動に連動して開口を開閉する蓋部が取り付けられていることが好ましい。
【0017】
この構成によれば、発泡体は、マイクロポンプから供給される界面活性剤を含む溶液と、開口を介して外部から供給される空気とを用いて溶液に泡を発生させることができる。また、この構成によれば、開口を開閉する蓋部が伸縮部の作動に連動しているため、発泡体において空気が必要なときに開口から空気を供給することができる。このように、本発明によれば、効率よく溶液を発泡させることができるため、害虫を効率よく捕獲することが可能である。
【0018】
本発明に従った除虫装置は、送風機をさらに備えていることが好ましい。送風機は、流下部を流下する泡を含む溶液に向かって、泡が積層した溶液の塊の表面付近の泡のみを消泡する程度の風を送ることが好ましい。
【0019】
この構成によれば、流下部を流れる泡を含む溶液に向かって送風されるため、比較的小さな飛翔性の害虫は、送風機が発生させる風に乗って流下部に流される。そのため、流下部を流れる泡を含んだ溶液に、これらの害虫を接触させやすい。したがって、この構成によれば、害虫の駆除の精度を向上させることができる。
【0020】
また、流下部を流れる溶液の泡のうち、泡が積層した溶液の塊の表面付近の泡は、乾燥が比較的進行し、界面活性剤をあまり含んでいないといえる。このような溶液の塊の表面付近の泡のみを微弱な送風によって消泡させることにより、溶液の塊の内側で界面活性剤を多く含む泡を、泡の状態のままで常に保持することができる。そのため、この構成によれば、界面活性剤を多く含んだ泡を用いて、効率よく害虫を駆除することができる。
【0021】
本発明に従った除虫装置において、流下部は、鉛直方向から傾斜した方向に延びる板状部を有していることが好ましい。また、板状部の表面は、上方に面していることが好ましい。さらに、板状部の表面には、表面が延びる方向と交わる方向に突出した凸部が配置されていることが好ましい。
【0022】
この構成によれば、泡を含んだ溶液は、鉛直方向から傾斜した方向に延びる板状部の表面を流下する。泡を含んだ溶液が板状部を流下する場合には、鉛直下方に向かって流下する場合に比べてゆっくりと流下部を流れることができる。そのため、比較的長い時間にわたって、泡を含んだ溶液が流下部に保持される。
【0023】
また、板状部の表面に凸部が配置されていることにより、泡を含む溶液のうちの泡の部分が主に凸部に保持され、凸部よりも上方の位置で泡によって害虫を捕獲することができる。一方、凸部よりも下方の部分において、溶液の泡が消泡される。このように、この構成によれば、溶液の泡を保持することと、適切に消泡することとの両方を達成することが可能である。
【0024】
本発明に従った除虫装置において、板状部の幅方向の端部には、板状部の表面と交わる方向に突出し且つ板状部の上下方向に延びる仕切部が配置されていることが好ましい。
【0025】
板状部を流れる泡を含んだ溶液は、使用環境等によって必ずしも真っすぐに流下するとは限らず、板状部の幅方向のいずれかに偏ったりずれたりする。このような場合には、板状部から溶液が落下することにより、効率よく害虫を駆除することができない。しかしながら、この構成によれば、泡を含んだ溶液が真っすぐに流下しない場合でも仕切部に沿って下方に流れるため、板状部からの溶液の落下を防止することができる。また、泡が積層した溶液の塊が仕切部に接触することにより、溶液の泡をより長い時間にわたって保持することが可能である。
【0026】
本発明に従った除虫装置において、凸部は、板状部の幅方向に延びていることが好ましい。さらに、凸部の一部には、凸部の上端と下端とを貫通するように切り欠けられた空洞部が形成されていることが好ましい。
【0027】
板状部が鉛直方向から傾斜した方向に延び且つ板状部の幅方向に凸部が延びていることにより、泡を含んだ溶液は、板状部を流下する間に凸部に流れが堰き止められる。凸部に堰き止められた泡を含んだ溶液は、凸部にて泡の状態がある程度保持される。泡を含んだ溶液が凸部に留まる場合は、溶液の自重と泡に捕獲された害虫の荷重とにより、溶液と害虫とが凸部から溢れるように下方に落下する。しかしながら、溶液と害虫とが凸部から下方に落下する場合に、溶液の塊に含まれる泡も一緒に落下するときには、溶液の泡が凸部に残りにくい。そのため、凸部において、泡によって害虫を捕獲することが困難である。
【0028】
一方、凸部の上端と下端とを貫通するように切り欠けられた空洞部が、凸部の一部に形成された構成によれば、溶液の塊に含まれる泡を凸部に保持させつつ、溶液と害虫とを空洞部を介して下方に流すことができる。凸部に流れ着いた溶液と害虫とが下方に流れる際には、溶液の塊に含まれる泡は、泡同士の結びつきにより、凸部から下方にはあまり流れ落ちることがない。このように、この構成によれば、溶液の泡を保持することと、溶液の塊のうちの役目が終えられたものを効率よく下方に流すこととの両方を達成することが可能である。
【0029】
本発明に従った除虫装置において、板状部は、複数の凸部を有していることが好ましい。また、複数の凸部の空洞部のうちのいずれか一つの位置が他の空洞部の位置と板状部の上下方向にてずれるように、複数の凸部が板状部に配置されていることが好ましい。
【0030】
この構成によれば、複数のうちの最上段の凸部が主に泡を保持する。そのため、主にこの凸部よりも上方の板状部の部分で、害虫が捕獲される。2段目以降の凸部は、主に泡を消すように作用する。このように、2段目以降の凸部が泡を順次消すように作用するため、さらに時間を掛けて泡を自然に消滅させることができる。
【0031】
なお、2段目以降の凸部に保持される泡の量は、最上段の凸部に比べて少ない。しかしながら、2段目以降の凸部においても、溶液が凸部の表面を覆っている状態、または、溶液が凸部に溜まっている状態であるため、溶液によって害虫を駆除することが可能である。
【0032】
さらに、複数の凸部ごとに空洞部の位置を板状部の上下方向にてずらすように凸部を板状部に配置することにより、捕獲された害虫と泡とが含まれる溶液は、真っ直ぐに板状部を流れずに、曲がりくねった軌跡を描くように下方に流れていく。そのため、捕獲された害虫と泡とが含まれる溶液が、板状部の表面上で比較的長い距離を流れるため、溶液の泡を消泡するための時間を長く稼ぐことができる。
【0033】
本発明に従った除虫装置において、板状部には、空洞部を開閉する開閉部材が取り付けられていることが好ましい。
【0034】
この構成によれば、泡を含む溶液を凸部に溜めてから空洞部を介して下方に流すことができる。そのため、泡が積層した溶液の塊の内側で界面活性剤を多く含む泡を、比較的長い時間にわたって保持することができる。これにより、流下部を流れる溶液の全体に含まれる泡のうち、凸部に溜められたものが泡の状態のままで保持される時間を延長することが可能である。
【0035】
本発明に従った除虫装置は、駆動部をさらに備えていることが好ましい。駆動部は、凸部が板状部の表面から内部に収納自在であるように、凸部を駆動することが好ましい。
【0036】
この構成によれば、板状部の内部に凸部が収納されている場合には、凸部に留められた害虫と泡とが含まれる溶液が、板状部の表面に沿って下方に流下する。したがって、板状部の内部に凸部が収納されている場合には、板状部の表面および凸部の上側の表面を溶液によって洗浄することが可能である。逆に、板状部の表面に溶液の泡が保持されていない場合には、板状部の表面が延びる方向と交わる方向に凸部を突出させることにより、泡を含んだ溶液を凸部に保持させることができる。このように、この構成によれば、板状部の表面の状態に応じて、板状部の内部に凸部が収納された状態と、板状部の表面に凸部が突出した状態とを切り換えることができる。これにより、板状部の表面の状態と、板状部の表面を流下する泡の状態との両方を適切に保持することが可能である。
【0037】
本発明に従った除虫装置において、板状部を上方から見る場合に、板状部に谷部が形成されるように板状部は略V字形状を有していることが好ましい。さらに、凸部は板状部の谷部に配置されていることが好ましい。
【0038】
この構成によれば、板状部を上方から見る場合に板状部が略V字形状を有し、略V字形状を有する板状部には谷部が形成されていることにより、板状部の奥行き方向の寸法が拡大する。また、凸部は、拡大した奥行き方向の奥側に配置されている。そのため、板状部を流れる泡を含んだ溶液は、拡大した奥行き方向の奥側に配置された凸部に溜まりやすい。このような溶液の泡の溜まり方は、害虫を捕獲した溶液の泡が板状部の表面全体に乗っている場合に比べて、溶液の塊に埋まった害虫の死骸が目立ちにくい。また、板状部を流れる泡を含んだ溶液は、拡大した奥行き方向の凸部の寸法分に応じて、より多く凸部に溜められる。そのため、害虫を捕獲する確実性が向上する。
【0039】
本発明に従った除虫装置において、板状部は略円錐形状を有していることが好ましい。
【0040】
この構成によれば、板状部の表面積の拡大を図ることができる。これにより、板状部を流れる泡を含む溶液の量を増加させることが可能である。そのため、板状部を含む流下部にて、大きな害虫を捕獲することと、より多くの数の害虫を捕獲することとが可能である。
【0041】
本発明に従った除虫装置において、流下部はすり鉢状の受皿形状を有していることが好ましい。また、泡を含む溶液は、流下部の中央部の上方から発泡部を介して流下部に供給されることが好ましい。
【0042】
この構成によれば、すり鉢状の受皿形状の流下部に泡を保持することにより、流下部が泡を保持することが可能な時間を延長することが可能である。流下部がすり鉢状に形成されていることにより、害虫の死骸をすり鉢状の底の部分に容易に集めることができる。また、泡の保持時間が延長されることによって発泡部の動作時間を短縮させることが可能であるため、省エネや騒音の低減がさらに可能である。
【0043】
本発明に従った除虫装置は、流下部に積み上げられた泡の量を検知する検知部をさらに備えていることが好ましい。
【0044】
この構成によれば、流下部に積み上げられた溶液の泡の量を検知することができるため、流下部に溜められた泡の量に応じて、発泡部から流下部に泡を含んだ溶液を供給することが可能である。
【0045】
本発明に従った除虫装置において、流下部の底部には、溶液を下方に向かって流下部から流出させる孔部が形成されていることが好ましい。また、流下部には、孔部を覆う網目状のカバーが配置されていることが好ましい。
【0046】
流下部に溜められる泡を含んだ溶液は、すり鉢状の受皿形状の流下部の底部に向かって上方から下方に流れることにより、孔部を介して流下部から流出する。泡に捕獲された害虫の死骸は、溶液とともに孔部に向かって流れる。害虫の死骸の数が増えてくるにつれて、死骸が孔部を塞いでしまう可能性がある。しかしながら、この構成によれば、網目状のカバーが害虫の死骸を堰き止めたうえで、残りの溶液を孔部から流出させることができる。
【0047】
本発明に従った除虫装置は、害虫を誘引する複数のランプをさらに備えていることが好ましい。
【0048】
この構成によれば、ランプを用いて害虫を誘引することにより、効率よく害虫を駆除することが可能である。
【0049】
本発明に従った除虫装置は、風防機構をさらに備えていることが好ましい。風防機構は、流下部の周囲の一部に配置され、ランプの明かりを反射する構造を有していることが好ましい。
【0050】
この構成によれば、風防機構は、流下部を流れる溶液の泡が特に屋外の強い風、または、屋内のエアコンもしくは扇風機の風等に吹かれて消泡されることを防ぐことができる。また、ランプの明かりが風防機構によって反射されるため、害虫を誘引する効果がさらに向上する。
【0051】
本発明に従った除虫装置において、ランプの一部は、風防機構の外側に配置されていることが好ましい。
【0052】
この構成によれば、風防機構の外側にランプの一部が配置されていることにより、ランプの照射光および明かりが風防機構に遮断されることが防止されている。そのため、害虫を効果的に誘引することができる。
【0053】
本発明に従った除虫装置は、供給用のタンクと回収用のタンクとをさらに備えていることが好ましい。供給用のタンクには、マイクロポンプに供給される溶液が溜められる。供給用タンクからマイクロポンプを介して流下部に流出し、且つ、流下部を流下した溶液は、回収用のタンクに溜められる。
【0054】
本発明に従った除虫装置では、少量の界面活性剤を用いて比較的少ない量の泡を発泡部が発生させているため、使用する界面活性剤の溶液の量が少ない。そのため、当該除虫装置は、回収用のタンクと供給用のタンクとをそれぞれ個別に備えることができる。回収用のタンクと供給用のタンクとを当該除虫装置が備えることにより、当該除虫装置は、回収した溶液を濾過するフィルタ等を別に備える必要がない。そのため、フィルタを交換する必要もない。さらに、役目を終えて、害虫の死骸を含んだ溶液は、専ら回収用のタンクに回収される。そのため、駆除した害虫を当該除虫装置から容易に除去することができる。同時に、供給用のタンクから常に新しい清潔な溶液が発泡部に供給されるため、流下部には清潔な溶液が常に流れる。そのため、流下部にて常に効果的に害虫を捕獲することができる。
【0055】
本発明に従った除虫装置において、界面活性剤には、特定の害虫が当該除虫装置に寄り付き難い物質が含まれ、且つ、他の特定の害虫を誘引する物質が含まれていることが好ましい。
【0056】
当該除虫装置によって害虫を駆除するためには、当該除虫装置に害虫をおびき寄せるような、いわゆる誘引物質を使用することにより、効率よく害虫を駆除することができる。当該除虫装置は、全ての類の害虫を捕獲することができるようなものであることが望ましい。しかしながら、害虫ごとに異なる好みの条件を、当該除虫装置がすべて備えることは、困難である。そこで、本発明に従った除虫装置において、界面活性剤には、特定の害虫が嫌う忌避物質と、他の特定の害虫を誘引する物質とが含まれている。忌避物質は、害虫を駆除することはできないが、忌避物質を嫌う特定の害虫に忌避行動を促すことができる。一方、当該除虫装置には、他の特定の害虫が誘引される。そのため、当該除虫装置は、溶液の泡を用いて他の特定の害虫を捕獲しながら、忌避物質を嫌う特定の害虫を遠ざけることができる。このように、当該除虫装置が設置される環境において、忌避物質を嫌う害虫が当該環境に寄り付かずに、当該環境を清潔に保つことができる。
【0057】
本発明に従った除虫装置において、界面活性剤には、特定の害虫を殺す物質が含まれていることが好ましい。この場合には、流下部を流れる界面活性剤の溶液の泡を用いて、害虫を捕獲したときに確実に殺虫することができる。
【0058】
本発明に従った除虫装置において、流下部は、吸音性または衝撃吸収性を有する材質によって形成されていることが好ましい。
【0059】
比較的小さな蚊またはアブ等の飛翔性の害虫が流下部に衝突するときの衝撃は、あまり大きくない。しかしながら、甲虫類等の比較的重量が大きい害虫が流下部に衝突する際には、大きな衝突音が発生するだけでなく、流下部および当該除虫装置に衝撃が加わるため、当該除虫装置が故障する可能性がある。一方、本発明に従った除虫装置の構成によれば、吸音性または衝撃吸収性を有する材質によって流下部が形成されていることにより、流下部に害虫が衝突するときに発生する、音の軽減、または、衝撃の吸収が可能である。
【発明の効果】
【0060】
以上のように、本発明によれば、発泡させた界面活性剤の泡を用いて害虫を駆除する除虫装置であって、比較的簡易な構造を有し且つ発泡させた界面活性剤の泡を効率よく消泡することが可能な除虫装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】第1実施形態に係る除虫装置の概略構成図である。
【図2】第1実施形態に係る除虫装置の発泡部の一部を概略的に示す断面図であって、発泡体が溶液の泡を発生させる前の状態を示す図である。
【図3】第1実施形態に係る除虫装置の発泡部の一部を概略的に示す断面図であって、発泡体が溶液の泡を発生させている状態を示す図である。
【図4】第1実施形態に係る除虫装置に適用される流下部の形態例1を示す断面図である。
【図5】送風機を備えた第1実施形態に係る除虫装置の流下部を示す図である。
【図6】第1実施形態に係る除虫装置に適用される流下部の形態例2を示す図であって、(A)は正面図であり、(B)は断面図である。
【図7】第1実施形態に係る除虫装置に適用される流下部の形態例3を示す図であって、(A)は正面図であり、(B)は断面図である。
【図8】第1実施形態に係る除虫装置に適用される流下部の形態例4を示す斜視図である。
【図9】第1実施形態に係る除虫装置に適用される流下部の形態例5を示す斜視図である。
【図10】第1実施形態に係る除虫装置に適用される流下部の形態例5において、凸部に形成される空洞部の位置の一例を概略的に示す図である。
【図11】第1実施形態に係る除虫装置に適用される流下部の形態例5において、凸部に形成される空洞部の位置の他の一例を概略的に示す図である。
【図12】第1実施形態に係る除虫装置に適用される流下部の形態例5において、凸部に形成される空洞部の位置のさらに他の一例を概略的に示す図である。
【図13】第1実施形態に係る除虫装置に適用される流下部の形態例6を示す断面図である。
【図14】第1実施形態に係る除虫装置に適用される流下部の形態例7を示す断面図である。
【図15】第1実施形態に係る除虫装置に適用される流下部の形態例8を示す図であって、(A)は正面図であり、(B)は側面図である。
【図16】第1実施形態に係る除虫装置に適用される流下部の形態例9を示す斜視図である。
【図17】第1実施形態に係る除虫装置に適用される流下部のうち、受皿形状の流下部の全体を示す斜視図である。
【図18】受皿形状の流下部の中央部の一例を示す図であって、(A)は断面図であり、(B)は中央部を拡大した平面図である。
【図19】受皿形状の流下部の中央部と、中央部に配置されたカバーとを示す断面図である。
【図20】受皿形状の流下部の中央部の他の一例を示す図であって、(A)は断面図であり、(B)は中央部を拡大した平面図であり、(C)は、拡大して示す中央部と、中央部に配置されたカバーとを示す断面図である。
【図21】受皿形状の流下部に溶液の泡が供給されている状態を概略的に示す流下部の正面図である。
【図22】検知部の断面図である。
【図23】受皿形状の流下部の側方に収容される風防機構と、流下部との全体を示す斜視図であって、(A)は風防機構が収容された状態を示す図であり、(B)は風防機構が流下部の周囲を取り囲んだ状態を示す図である。
【図24】第2実施形態に係る除虫装置の概略構成図である。
【図25】第2実施形態に係る除虫装置の発泡部の一部を概略的に示す断面図であって、発泡体が溶液の泡を発生させる前の状態を示す図である。
【図26】第2実施形態に係る除虫装置の発泡部の一部を概略的に示す断面図であって、発泡体が溶液の泡を発生させている状態を示す図である。
【図27】伸縮部の一例を概略的に示す図であって、(A)は、カムと、カムに接触した支持板との正面図であり、(B)は、伸縮部全体の正面図であり、(C)は、発泡体の膨張時の伸縮部全体の側面図であり、(D)は、発泡体の圧縮時の伸縮部全体の側面図である。
【図28】伸縮部の他の一例を概略的に示す断面図であって、(A)は発泡体の膨張時の伸縮部および発泡体を示す図であり、(B)は、発泡体の圧縮時の伸縮部および発泡体を示す図である。
【図29】伸縮による発泡体の劣化を抑える形状保持部の一例の全体を示す斜視図である。
【図30】発泡部に形成された開口を開閉する構成を示す図であって、発泡部の内部から開口を見た図である。
【図31】従来の発泡装置の発泡部の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0062】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0063】
(第1実施形態)
本発明に従った除虫装置100は、発泡させた界面活性剤を含む溶液を用いて害虫を駆除するものである。図1に、第1実施形態に係る除虫装置100の概略的な構成図を示す。図1に示すように、除虫装置100は、発泡部10と流下部20とを備えている。図1と図2とに示すように、発泡部10は、マイクロポンプ11およびマイクロポンプ12と、発泡体4とを有している。マイクロポンプ11は、界面活性剤を含む溶液を発泡体4に供給する。発泡体4は、マイクロポンプ11から供給される溶液に泡を発生させる。流下部20は、発泡部10よりも下方に配置され、泡を含む溶液を上方から下方に向かって流下させる。除虫装置100において、制御部19の位置とタンク13の位置とは、特に限定されない。また、発泡部10のうち、マイクロポンプ11とマイクロポンプ12とは、流下部20の上方に配置されていてもよく、流下部20よりも下方に配置されていてもよい。後述するように、発泡部10のうち、吐出ノズル16(図3参照)等の泡を含む溶液を流下部20に排出する部分の一部が流下部20の上方に配置されていればよい。
【0064】
送気マイクロポンプの一例としてのマイクロポンプ12は、発泡体4に空気を供給する。マイクロポンプ11から供給される界面活性剤を含む溶液が、発泡体4の内部を流通するときに、発泡体4において泡が発生する。
【0065】
マイクロポンプ11から発泡体4に供給される溶液は、供給用タンクとしてのタンク13に溜められている。タンク13に収容された溶液は、マイクロポンプ11に供給される。除虫装置100は、回収用のタンクとしてタンク83を備えている。タンク13からマイクロポンプ11を介して流下部20に流出し、且つ、流下部20を流下した溶液は、タンク83に溜められる。
【0066】
タンク13からマイクロポンプ11への溶液の供給は、マイクロポンプ11自体が溶液を吸い込むことであってもよく、図示しない他のポンプがタンク13からマイクロポンプ11に供給することにしてもよい。マイクロポンプ11は、溶液に気体が混入しても動作が止まることはない。マイクロポンプ11は、1滴以下つまり1滴ごとの液体を発泡体4に供給することができるように、制御されている。制御部19は、マイクロポンプ11とマイクロポンプ12とを制御している。
【0067】
なお、マイクロポンプ11およびマイクロポンプ12の形態は、特に限定されず、公知のものであってよい。マイクロポンプ11およびマイクロポンプ12は、例えば、一般的なマイクロポンプとしてのダイヤフラムポンプであり、ダイヤフラムポンプのうちのコストが安くコンパクトである電磁式ポンプや、圧電素子等を用いたユニモルフポンプやバイモルフポンプ等である。
【0068】
なお、マイクロポンプ11とマイクロポンプ12とは、互いに一体に構成された一つのマイクロポンプであってもよい。つまり、除虫装置100は、溶液供給用の部分と空気供給用の部分とを有するマイクロポンプを備えていてもよい。
【0069】
発泡体4は、スポンジ等の弾性材料によって形成された多孔体である。発泡体4は、発泡部10のケース15の内部に配置されている。ケース15には、マイクロポンプ11のノズル11aとマイクロポンプ12のノズル12aとが収容されている。マイクロポンプ11のノズル11aを介して発泡体4に溶液が滴下され、マイクロポンプ12のノズル12aを介して発泡体4に空気が供給される。
【0070】
発泡体4に空気と溶液とが供給されることにより、発泡体4から溶液の泡が発生する(図3参照)。泡を含んだ溶液は、ケース15の内部から流下部20(図1参照)に排出される。ケース15のうち、ノズル11aおよびノズル12aが配置されている端部と反対側の端部には、吐出ノズル16が固定されている。吐出ノズル16を介してケース15から排出された泡を含む溶液は、流下部20を上方から下方に向かって流れる。なお、ケース15のうち、ノズル11aおよびノズル12aが配置されている端部と反対側の端部に開口が形成され、この開口から溶液が排出されることであってもよい。なお、吐出ノズル16の数量は、特に限定されない。流下部20の幅方向と平行な方向の吐出ノズル16の寸法と、吐出ノズル16の数量とは、流下部20の幅方向の寸法に合わせて適宜決定されていればよい。
【0071】
図示は省略するが、除虫装置100は、吐出ノズル20の先端部内側に配置されたセンサを備えていてもよい。センサは、検知部の一例である。当該センサの構成の一例として、吐出ノズル16の先端に二極の電極が取り付けられている。センサは、電極に接続された回路において二極の電極間の短絡を測定する。
【0072】
ケース15の内部からセンサの位置に泡を含んだ溶液が辿り着く場合には、電極に接続された回路において二極の電極間の短絡が一定時間継続する。この電極間の短絡が無い場合には、センサの位置に泡を含んだ溶液が行き着いていないことを、例えば制御部19(図1参照)が検知する。センサの測定に関する信号は、制御部19に送信されている。この信号に基づき、例えば制御部19がマイクロポンプ11の作動量またはマイクロポンプ12の作動量を増大させるようにそれぞれを制御することにより、吐出ノズル16から流下部20に供給される溶液を増加させることができる。
【0073】
なお、発泡体4の形状は特に限定されず、図2と図3とに示すように、球体または円柱形状であることに限定されない。また、発泡体4は、多孔状に形成されていればよい。例えば、台所用スポンジとして一般的に使用されているポリウレタン、ウレタン、または、不織布等の材質に発泡加工を施したものを多孔体として用いることが好ましい。
【0074】
発泡体4には、少なくともマイクロポンプ11の作動によって、タンク13から必要最低限の量の溶液が供給されている。また、発泡体4は、ケース15の内部に収容されている。そのため、除虫装置100では、界面活性剤が含まれる溶液が蒸発することを抑制することができる。
【0075】
一方、図31に、多孔体を利用した従来の発泡装置90を示す。多孔体94を利用した従来の発泡装置90の発泡部91では、界面活性剤を含む液体の中に多孔体94が沈められている。多孔体94には、ホース93を介してタンク92の外部から空気を送られる。多孔体94は、供給された空気を利用することにより、泡を発生させている。従来の発泡装置90の発泡部91は、比較的大きなタンク92を備えている。また、発泡装置90では、界面活性剤自体に空気が当たり易いため、液体の蒸発が促進される。
【0076】
図4に示すように、第1実施形態に係る除虫装置100において、例えば、流下部20の形態例1として、流下部20は、鉛直方向から傾斜した方向に延びる板状部2を有している。また、板状部2の表面2sは、上方に面している。流下部20のうち、板状部2の表面2sの一部は、除虫装置100の外方から視認可能なように露出している。表面2sには、表面2sが延びる方向と交わる方向に突出した凸部21が配置されている。凸部21は、板状部2の幅方向(図4の表裏方向)に延びている。
【0077】
なお、凸部21の数量は、特に限定されない。また、流下部20のうちの少なくとも板状部2の表面2sは、吸音性または衝撃吸収性を有する材質によって形成されている。吸音性または衝撃吸収性を有する材質によって形成された部分は、板状部2ではなく、流下部20のうち、害虫が衝突する他の部分であってもよい。表面2sに対する凸部21の突出量は、特に限定されない。また、板状部2の表面2sに対して凸部21が延びる方向は、図4に示すように略直角であることに限定されない。表面2sが延びる方向と、表面2sに対して凸部21が延びる方向とが成す角度、凸部21の数量、または、表面2sに対する凸部21の突出量は、界面活性剤の成分、発泡させた泡の量、板状部2の表面処理の方法、もしくは、鉛直方向に対する板状部2の傾斜角度に基づき、適宜設定される。
【0078】
凸部21が複数設けられていることにより、複数のうちの最上段の凸部21が主に泡を保持する。そのため、主にこの最上段の凸部21よりも上方の板状部2の部分で、害虫が捕獲される。2段目以降の凸部21は、主に泡を消すように作用する。このように、2段目以降の凸部21が泡を順次消すように作用するため、さらに時間を掛けて泡を自然に消滅させることができる。
【0079】
なお、2段目以降の凸部21に保持される泡の量は、最上段の凸部21に比べて少ない。しかしながら、2段目以降の凸部21においても、溶液が凸部21の表面を覆っている状態や、溶液が凸部21に溜まっている状態であるため、溶液によって害虫を駆除することが可能である。
【0080】
除虫装置100は、図5に示すように、送風機82をさらに備えている。送風機82は、流下部20を流下する泡を含む溶液に向かって風を送る。このときの風力は、泡が積層した溶液の塊の表面付近の泡のみを消泡する程度のものが好ましい。
【0081】
界面活性剤を含む泡によって害虫を捕獲する方法としては、溶液の泡がはじけることによって界面活性剤の微細な霧が発生する。害虫が泡に接触または突入するときに、多くの泡が破裂して界面活性剤の霧が害虫の体または羽根にかかる。羽根が濡れて飛べなくなった害虫の体に付いた界面活性剤は、害虫の呼吸器官に入ったり体の表面を濡らしたりする。界面活性剤が呼吸器官に入った場合には、害虫の呼吸が止まる。このように、泡に捕獲された害虫は、最後には死に至る。
【0082】
以上のように、第1実施形態の除虫装置100は、マイクロポンプ11と発泡体4とを有する発泡部10と、流下部20とを備えている。マイクロポンプ11は、界面活性剤を含む溶液を供給する。発泡体4は、マイクロポンプ11から供給される溶液に泡を発生させる。流下部20は、発泡部10よりも下方に配置され、泡を含む溶液を上方から下方に向かって流下させる。
【0083】
発泡部10が発生させた溶液の泡は、流下部20で流下する。このように、除虫装置100は、マイクロポンプ11と発泡体4とを有する発泡部10と、流下部20とを備えるといった比較的簡易な構造を有している。
【0084】
また、発泡部10においては、マイクロポンプ11から発泡体4に精度よく所望の量の溶液が供給されるため、比較的少量の所望の量の泡を発生させることできる。つまり、除虫装置100によれば、比較的大型の除虫装置と異なり、害虫を除去するための泡を含んだ溶液が、必要最低限の量だけ流下部20を流れる。そのため、除虫装置100によれば、流下部20を流れる溶液の泡を、溶液が流下部20を上方から下方に向かって流れる間に消泡することが可能である。このように、除虫装置100によれば、発泡部10に発泡させた界面活性剤の泡を、効率よく消泡することができる。そのため、除虫装置100は、消泡装置を別に備えることがないため、消泡に係るエネルギーを抑制することができ、省エネ化が図られている。
【0085】
以上のように、第1実施形態に係る除虫装置100は、比較的簡易な構造を有し、且つ、発泡させた界面活性剤の泡を効率よく消泡することができる。
【0086】
さらに、除虫装置100においては、害虫を駆除する界面活性剤を含む溶液の供給のために、一般的なマイクロポンプとしてのマイクロポンプ11を利用している。マイクロポンプ11等の公知のマイクロポンプの作動時には、大きな騒音が発生することがない。そのため、除虫装置100によれば、除虫装置100を作動しているときに騒音が発生することが抑制されている。
【0087】
除虫装置100において、発泡部10は、発泡体4に空気を送るマイクロポンプ12をさらに有している。
【0088】
この構成によれば、発泡部10において、発泡体4は、マイクロポンプ11から供給される界面活性剤を含む溶液と、マイクロポンプ12から供給される空気とを用いて溶液に泡を発生させることができる。除虫装置100によれば、マイクロポンプ11およびマイクロポンプ12の作動時に大きな騒音が発生することがないため、除虫装置100を作動しているときに騒音が発生することがない。
【0089】
除虫装置100は、流下部20を流下する泡を含む溶液に向かって、泡が積層した溶液の塊の表面付近の泡のみを消泡する程度の風を送る送風機82を備えている。
【0090】
除虫装置100によれば、流下部20を流れる泡を含む溶液に向かって送風されるため、小さな飛翔性の害虫は、送風機82が発生させる風に乗って流下部20に流される。そのため、流下部20を流れる泡を含んだ溶液に、これらの害虫を接触させやすい。したがって、この構成によれば、害虫の駆除の精度を向上させることができる。
【0091】
また、流下部20を流れる溶液の泡のうち、泡が積層した溶液の塊の表面付近の泡は、乾燥が比較的進行し、界面活性剤をあまり含んでいないといえる。このような溶液の塊の表面付近の泡のみを微弱な送風によって消泡させることにより、泡が積層した溶液の塊の内側で界面活性剤を多く含む泡を、泡の状態のままで常に保持することができる。そのため、除虫装置100によれば、界面活性剤を多く含んだ泡を用いて、効率よく害虫を駆除することができる。さらに、送風機82が発生させる風を利用して、溶液に含まれる香料の香りまたは誘引剤の臭いを除虫装置100の外方に拡散させることにより、害虫を除虫装置100に誘引させることができる。
【0092】
除虫装置100において、流下部20は、鉛直方向から傾斜した方向に延びる板状部2を有している。また、板状部2の表面2sは、上方に面している。さらに、板状部2の表面2sには、表面2sが延びる方向と交わる方向に突出した凸部21が配置されている。
【0093】
この構成によれば、泡を含んだ溶液は、鉛直方向から傾斜した方向に延びる板状部2の表面2sを流下する。泡を含んだ溶液が板状部2を流下する場合には、鉛直下方に向かって流下する場合に比べてゆっくりと流下部20を流れることができる。そのため、比較的長い時間にわたって、泡を含んだ溶液が流下部20に保持される。
【0094】
また、板状部2の表面2sに凸部21が配置されていることにより、泡を含む溶液のうちの泡の部分が主に凸部21に保持され、凸部21よりも上方の位置で泡によって害虫を捕獲することができる。一方、凸部21よりも下方の部分において、溶液の泡が消泡される。このように、除虫装置100によれば、溶液の泡を保持することと、適切に消泡することとの両方を達成することが可能である。
【0095】
除虫装置100は、タンク13とタンク83とを備えている。タンク13には、マイクロポンプ11に供給される溶液が溜められる。一方、タンク13からマイクロポンプ11を介して流下部20に流出し、且つ、流下部20を流下した溶液は、タンク83に溜められる。
【0096】
除虫装置100では、少量の界面活性剤を用いて比較的少ない量の泡を発泡部10が発生させているため、使用する界面活性剤の溶液の量が少ない。そのため、除虫装置100は、タンク13とタンク83とをそれぞれ個別に備えることができる。タンク83とタンク13とを除虫装置100が備えることにより、除虫装置100は、回収した溶液を濾過するフィルタ等を別に備える必要がない。そのため、フィルタを交換する必要もない。さらに、役目を終えて、害虫の死骸を含んだ溶液は、専らタンク83に回収される。そのため、駆除した害虫を除虫装置100から容易に除去することができる。同時に、タンク13から常に新しい清潔な溶液が発泡部10に供給されるため、流下部20には清潔な溶液が常に流れる。そのため、流下部20にて常に効果的に害虫を捕獲することができる。
【0097】
また、除虫装置100において、界面活性剤には、特定の害虫が除虫装置100に寄り付き難い物質が含まれ、且つ、他の特定の害虫を誘引する物質が含まれていてもよい。
【0098】
除虫装置100によって害虫を駆除するためには、除虫装置100に害虫をおびき寄せるような、いわゆる誘引物質を使用することにより、効率よく害虫を駆除することができる。除虫装置100は、全ての類の害虫を捕獲することができるようなものであることが望ましい。しかしながら、害虫ごとに異なる好みの条件を、除虫装置100がすべて備えることは、困難である。
【0099】
例えば、蚊等の飛翔性の害虫の誘引については、二酸化炭素またはオクテノール等を用いることが効果的である。一方、ゴキブリの誘引については、フェロモン、ネギ類、乾物、アンモニア臭、または、腐敗臭等を用いることが効果的である。これらの誘引剤は、界面活性剤に混入されていてもよく、誘引剤を除虫装置100の外部に拡散させることにしてもよい。
【0100】
このように、除虫装置100において、界面活性剤には、特定の害虫としてのゴキブリが嫌う忌避物質と、他の特定としての蚊を誘引する物質とが含まれている。忌避物質は、害虫を駆除することはできないが、忌避物質を嫌う特定の害虫に忌避行動を促すことができる。一方、除虫装置100には、他の特定の害虫が誘引される。そのため、除虫装置100は、溶液の泡を用いて他の特定の害虫を捕獲しながら、忌避物質を嫌う特定の害虫を遠ざけることができる。このように、除虫装置100が設置される環境において、忌避物質を嫌う害虫が当該環境に寄り付かずに、当該環境を清潔に保つことができる。
【0101】
また、除虫装置100において、界面活性剤には、特定の害虫を殺す物質が含まれていてもよい。この場合には、流下部20を流れる界面活性剤の溶液の泡を用いて、害虫を捕獲したときに確実に殺虫することができる。
【0102】
除虫装置100において、板状部2の表面2sは、吸音性または衝撃吸収性を有する材質によって形成されている。
【0103】
比較的小さな蚊またはアブ等の飛翔性の害虫が流下部20の板状部2に衝突するときの衝撃は、あまり大きくない。しかしながら、甲虫類等の比較的重量が大きい害虫が板状部2に衝突する際には、大きな衝突音が発生するだけでなく、流下部20および除虫装置100に衝撃が加わるため、除虫装置100が故障する可能性がある。一方、除虫装置100の構成によれば、吸音性または衝撃吸収性を有する材質によって板状部2の表面2sが形成されていることにより、板状部2を含む流下部20に害虫が衝突するときに発生する、音の軽減、または、衝撃の吸収が可能である。また、流下部20のうちの板状部2の全体が吸音性または衝撃吸収性を有する材質によって形成されている場合には、板状部2全体の振動が抑制されるため、流下部20に害虫が衝突するときの音の軽減や衝撃の吸収がさらに向上する。
【0104】
なお、除虫装置100は、マイクロポンプ12を備えていなくてもよい。例えば、ケース15内部および発泡体4には、マイクロポンプ11から溶液と共に空気が供給されていてもよい。また、例えば、ケース15に空気供給用の開口が形成されていてもよく、ケース15の内部に空気を送出する他のポンプを、除虫装置100が備えていてもよい。除虫装置100では、マイクロポンプ12から供給される空気を用いることにより、発泡体4は、効率よく溶液に泡を発生させることができる。
【0105】
なお、以下に説明するように、流下部20は、他の形態を有していてもよい。なお、以下の説明において、上述した構成と同様の機能を有するものについては、同符号を付す。
【0106】
図6(A)および(B)に示すように、形態例2の流下部20において、板状部2の表面2sには、溝2gが形成されている。図6(A)に示すように、溝2gは、板状部2の幅方向に沿って延びている。つまり、溝2gは、泡を含んだ溶液が板状部2を流下する方向と略直角に交わる方向に延びている。この構成によれば、板状部2の表面2sには、凸部22が配置されている。凸部22は、表面2sのうちの溝2gが形成された部分に対して、表面2sが延びる方向と交わる方向に突出している。このように、形態例2の流下部20において、板状部2の表面2sには、表面2sが延びる方向と交わる方向に突出した凸部22が配置されている。
【0107】
本例の流下部20によれば、泡を含む溶液のうちの液体の部分が主に溝2gに保持され、表面2sを流下する泡を含んだ溶液によって害虫を捕獲することができる。溶液の泡は、上側の溝2gから下側の他の溝2gを通過するたびに次第に消泡される。このように、本例の流下部20によれば、溶液の泡を保持することと、適切に消泡することとの両方を達成することが可能である。
【0108】
図7(A)および(B)に示すように、形態例3の流下部20において、板状部2の表面2sはディンプル状に形成されている。複数のディンプルの形状は、例えば半球体である。この構成によれば、板状部2の表面2sには、凸部23が配置されている。凸部23は、表面2sのうちのディンプルが形成された部分に対して、表面2sが延びる方向と交わる方向に突出している。つまり、板状部2の表面2sには、表面2sが延びる方向と交わる方向に突出した凸部23が配置されている。
【0109】
本例の流下部20においては、泡を含む溶液のうちの液体の部分が主に表面2sのうちのディンプル状に凹んだ部分に保持され、表面2sを流下する泡を含んだ溶液によって害虫を捕獲することができる。また、液体状の界面活性剤が表面2sのうちの凹んだ部分に存在するため、溶液の泡がこの凹んだ部分を流れるときに、泡の表面に界面活性剤が補給される。そのため、泡を含んだ溶液が板状部2を上方から下方に向かって流れる間に、泡は、表面2sのうちの凹んだ部分で界面活性剤を補給しながら板状部2を流下する。界面活性剤をあまり含まない泡は、破裂し易い。しかしながら、複数のディンプルが形成されるように表面2sが加工されていることにより、泡の寿命を長く保つことができる。ただし、溶液の泡は、板状部2の上端部から下端部まで流れる間に、次第に消泡される。このように、本例の流下部20によれば、溶液の泡を保持することと、適切に消泡することとの両方を達成することが可能である。
【0110】
図8に示すように、形態例4の板状部2において、板状部2の幅方向の両端部には、仕切部24が配置されている。仕切部24は、板状部2の表面2sと略直角に交わる方向に突出し且つ板状部2の上下方向に延びている。なお、仕切部24は、板状部2の幅方向の片側のみに形成されていてもよい。また、板状部2の表面2sが延びる方向と、仕切部24が突出する方向とが成す角度は、略直角であることに限定されず、板状部2からの溶液の落下を防止することができる程度の角度であればよい。
【0111】
本例の流下部20の構成によれば、泡を含んだ溶液が真っすぐに流下しない場合でも仕切部24に沿って下方に流れるため、板状部2からの溶液の落下を防止することができる。また、泡が積層した溶液の塊が仕切部24に接触することにより、溶液の泡をより長い時間にわたって保持することが可能である。
【0112】
図9に示すように、形態例5の板状部2において、板状部2は、複数の凸部25を有している。凸部25の一部には、凸部25の上端と下端とを貫通するように切り欠けられた空洞部25cが形成されている。
【0113】
本例の流下部20によれば、溶液の塊に含まれる泡を凸部25に保持させつつ、溶液と害虫とを空洞部25cを介して下方に流すことができる。凸部25に流れ着いた溶液と害虫とが下方に流れる際には、溶液の塊に含まれる泡は、泡同士の結びつきにより、凸部25から下方にはあまり流れ落ちることがない。このように、本例の流下部20によれば、溶液の泡を保持することと、溶液の塊のうちの役目が終えられたものを効率よく下方に流すこととの両方を達成することが可能である。
【0114】
形態例5の流下部20のうち、凸部25に形成された空洞部の位置について、図10(A)および(B)と、図11(A)および(B)と、図12とを用いて説明する。図10(A)および(B)は、凸部251に形成された空洞部251cの位置を概略的に示す図である。複数の凸部251は、板状部2の表面2s(図9参照)から、表面2sが延びる方向と交わる方向に突出している。各凸部251の一部には、凸部251の上端と下端とを貫通するように切り欠けられた空洞部251cが形成されている。
【0115】
図10(A)および(B)に示すように、複数の凸部251の空洞部251cのうちのいずれか一つの位置が、他の空洞部251cの位置と板状部2の上下方向にてずれるように、複数の凸部251が板状部2に配置されている。捕獲された害虫と泡とが含まれる溶液は、図中の点線矢印のように、真っ直ぐに板状部2を流れずに、曲がりくねった軌跡を描くように下方に流れていく。このように、捕獲された害虫と泡とが含まれる溶液が、板状部2の表面2s上で長い距離を流れるため、比較的長い時間を掛けて消泡される。図10(A)および(B)に示すような空洞部251cの配置によれば、一つの凸部251と他の一つの凸部251とにそれぞれ形成された空洞部251cが、板状部2の幅方向の左右両端部に配置されている。一つの凸部251と他の一つの凸部251との間に配置された凸部251に形成された空洞部251cは、板状部2の幅方向の略中央に配置されている。このような空洞部251cの配置により、捕獲された害虫と泡とが含まれる溶液が、板状部2の表面2s上で比較的長い距離を流れるため、溶液の泡を消泡するための時間を長く稼ぐことができる。また、溶液が板状部2の上端部から下端部まで流れるときの複数の経路の距離を、それぞれ略同一に揃えることができる。そのため、板状部2の上端部から下端部まで溶液が流れるときに、溶液の泡の消泡の程度が、板状部2の下端部にて平均化される。
【0116】
図11(A)および(B)は、凸部252に形成された空洞部252cの位置を概略的に示す図である。複数の凸部252は、板状部2の表面2s(図9参照)から、表面2sが延びる方向と交わる方向に突出している。各凸部252の一部には、凸部252の上端と下端とを貫通するように切り欠けられた空洞部252cが形成されている。
【0117】
図11(A)および(B)に示すように、捕獲された害虫と泡とが含まれる溶液は、図中の点線矢印のように、真っ直ぐに板状部2を流れずに、曲がりくねった軌跡を描くように下方に流れていく。図11(A)および(B)に示すような空洞部252cの配置によれば、一つの凸部252と他の一つの凸部252とにそれぞれ形成された空洞部252cが、板状部2の幅方向の一端部に配置されている。一つの凸部252と他の一つの凸部252との間に配置された凸部252に形成された空洞部252cは、板状部2の幅方向の他端部に配置されている。このような空洞部252cの配置により、捕獲された害虫と泡とが含まれる溶液が、板状部2の表面2s上でより長い距離を流れるため、溶液の泡を消泡するための時間をさらに長く稼ぐことができる。
【0118】
図12は、凸部253に形成された空洞部253cの位置を概略的に示す図である。複数の凸部253は、板状部2の表面2s(図9参照)から、表面2sが延びる方向と交わる方向に突出している。各凸部253の一部には、凸部253の上端と下端とを貫通するように切り欠けられた空洞部253cが形成されている。
【0119】
図12に示すように、複数の凸部253の空洞部253cのうちのいずれか一つの位置が、他の空洞部253cの位置と板状部2の上下方向にてずれるように、複数の凸部253が板状部2に配置されている。さらに、凸部253のうち、少なくとも空洞部253cが形成された部分を除く部分は、水平方向から傾斜した方向に延びていている。この場合には、空洞部253cが形成された部分を除く凸部253の一部分は、空洞部253cよりも上方に配置されている。このような構成により、凸部253に害虫の死骸や泡が溜まるのをより効果的に防ぐことができるため、効率よく消泡することと、害虫の死骸を容易に回収することとが可能である。
【0120】
形態例6の流下部20を図13に示す。本例の流下部20には、空洞部254cを開閉する開閉部材7が取り付けられている。凸部254の一部には、凸部254の上端と下端とを貫通するように切り欠けられた空洞部254cが形成されている。凸部254は、板状部2の表面2sから、表面2sが延びる方向と交わる方向に突出している。なお、表面2sに形成される凸部254の数量は、特に限定されない。
【0121】
開閉部材7は、界面活性剤に対して所定の耐性を有し、繰り返して空洞部254cを開閉することに耐えられるように構成されていればよい。開閉部材7を作動させる主な方法としては、例えば、モータ式、バネ式、シリンダー式、または、電磁弁式等であり、空洞部254cを開閉することが可能な方法であれば特に限定されない。除虫装置100(図1参照)は、開閉部材7を作動させる手段として、制御部19(図1参照)に制御される、モータ式、シリンダー式、または、電磁弁式等の駆動部(図示せず)を備えていてもよい。また、開閉部材7が空洞部254cを開閉する方向は、R1方向に限定されない。開閉部材7は、スライド式に空洞部254cを開閉するものであってもよい。
【0122】
凸部254に、ある程度の量の溶液が溜まったときには、開閉部材7が位置する部分にも溶液が溜まる。例えばバネ式の方法を用いて開閉部材7を作動させる場合に、捕獲された害虫や溶液の重量がバネの付勢力よりも大きいときには、開閉部材7が、空洞部254cを開くように支点7cを中心に回転する。このときの回転方向は、R1方向のうちの反時計回りである。バネとしては、例えばトーションバネが用いられている。
【0123】
なお、本例の流下部20の構成において、凸部254のうちの空洞部254cを取り囲む部分または開閉部材7の外周にゴム等のパッキンが取り付けられている場合には、開閉部材7と空洞部254cとの間において、溶液の液漏れを防止することができる。
【0124】
本例の流下部20の構成によれば、泡を含む溶液を凸部254に溜めてから空洞部254cを介して下方に流すことができる。そのため、泡が積層した溶液の塊の内側で界面活性剤を多く含む泡を、比較的長い時間にわたって保持することができる。これにより、流下部20を流れる溶液の全体に含まれる泡のうち、凸部254に溜められたものが泡の状態のままで保持される時間を延長することが可能である。
【0125】
形態例7の流下部20を図14に示す。本例の流下部20においては、凸部255が板状部2の表面2sから内部に収納自在である。凸部255は、板状部2の表面2sから、表面2sが延びる方向と交わる方向に突出している。なお、表面2sに形成される凸部255の数量は、特に限定されない。
【0126】
除虫装置100(図1参照)は、凸部255を作動させる手段として、制御部19(図1参照)に制御される、モータ式、シリンダー式、または、電磁弁式等の駆動部(図示せず)を備えている。駆動部は、界面活性剤に対して所定の耐性を有し、繰り返して凸部255を作動させることに耐えられるように構成されていればよい。
【0127】
例えば、バネ式の方法を用いて凸部255を作動させる場合に、捕獲された害虫や溶液の重量がバネ(図示せず)の付勢力よりも大きいときには、凸部255が、板状部2の内部に収容されるように支点8cを中心に回転する。このときの回転方向は、R2方向のうちの時計回りである。バネとしては、例えばトーションバネが用いられている。
【0128】
本例の流下部20の構成によれば、板状部2の内部に凸部255が収納されている場合には、凸部255に留められた害虫と泡とが含まれる溶液が、板状部2の表面2sに沿って下方に流下する。したがって、板状部2の内部に凸部255が収納されている場合には、板状部2の表面2sおよび凸部255の上側の表面を溶液によって洗浄することが可能である。逆に、板状部2の表面2sに溶液の泡が保持されていない場合には、板状部2の表面が延びる方向と交わる方向に凸部255を突出させることにより、泡を含んだ溶液を凸部255に保持させることができる。このように、本例の流下部20の構成によれば、板状部2の表面2sの状態に応じて、板状部2の内部に凸部255が収納された状態と、板状部2の表面2sに凸部255が突出した状態とを切り換えることができる。これにより、板状部2の表面2sの状態と、板状部2の表面2sを流下する泡の状態との両方を適切に保つことができる。
【0129】
形態例8の流下部20を図15(A)および(B)に示す。本例の流下部20においては、板状部2を上方から見る場合に、板状部2に谷部2dが形成されるように板状部2が略V字形状を有している。凸部257は、板状部2の谷部2dに配置されている。板状部2は、表面2sが上方に面するように、鉛直方向Vに対して傾斜している。凸部257は、板状部2の表面2sから、表面2sが延びる方向と交わる方向に突出している。なお、凸部257の数量は、特に限定されない。
【0130】
本例の流下部20の構成によれば、板状部2の奥行き方向(図15(A)の表裏方向)の寸法が拡大する。また、凸部257は、拡大した奥行き方向の奥側に配置されている。そのため、板状部2を流れる泡を含んだ溶液は、拡大した奥行き方向の奥側に配置された凸部257に溜まりやすい。このような溶液の泡の溜まり方は、害虫を捕獲した溶液の泡が板状部2の表面全体に乗っている場合に比べて、溶液の塊に埋まった害虫の死骸が目立ちにくい。また、板状部2を流れる泡を含んだ溶液は、拡大した奥行き方向の凸部257の寸法分に応じて、より多く凸部257に溜められる。そのため、害虫を捕獲する確実性が向上する。
【0131】
形態例9の流下部20を図16に示す。本例の流下部20においては、板状部2は略円錐形状を有している。複数の板状の部材の表面2sが連続して接続されることによって、略円錐形状の板状部2が形成される。板状部2の表面2sの外周を巻くように、板状部2の表面2sに凸部256が配置されている。
【0132】
泡を含む溶液が、略円錐形状の板状部2の頂点2pの上方から板状部2に滴下される場合には、頂点2p付近から泡が分散され、表面2sの全体に泡が保持される。流下部20に供給される溶液は、発泡部10(図1参照)にて発生した泡がすぐに頂点2pに接触するような近い距離から板状部2に滴下されることが好ましい。また、板状部2は、頂点2pを通る円錐の中心を回転軸線として回転するものであってもよい。このようにすることにより、確実に泡を板状部2の表面2sの全体に保持させることができる。
【0133】
以上のように、本例の流下部20の構成によれば、板状部2の表面積の拡大を図ることができる。これにより、板状部2を流れる泡を含む溶液の量を増加させることが可能である。そのため、板状部2を含む流下部20にて、大きな害虫を捕獲することや、より多くの数の害虫を捕獲することが可能である。
【0134】
なお、除虫装置100では、形態例1〜形態例9のいずれかの流下部20を用いることができる。さらに、除虫装置100では、形態例1〜形態例9のいずれかまたはすべてが組み合わされた流下部20を用いることができる。
【0135】
さらに、以下では、上記の各形態例とは異なる構成を有した流下部20について説明する。なお、以下の説明において、上述した構成と同様の機能を有するものについては、同符号を付す。
【0136】
図17に示すように、流下部20は、すり鉢状の受皿形状を有している。また、図21に示すように、泡を含む溶液は、流下部20の中央部の上方から、発泡部10(図3参照)を介して流下部20に供給される。この構成によれば、すり鉢状の受皿形状の流下部20に泡を保持することにより、流下部20が泡を保持することが可能な時間を延長することが可能である。
【0137】
すり鉢状に流下部20が形成されていることにより、害虫の死骸をすり鉢状の底の部分に容易に集めることができる。また、泡の保持時間が延長されることによって発泡部10(図1参照)の動作時間を短縮させることが可能であるため、省エネや騒音の低減がさらに可能である。
【0138】
なお、受皿形状の流下部20の表面2eには、凸凹加工が施されていてもよい。凸凹加工された流下部20の表面2eには、ある程度の量の液体状の界面活性剤が保持されるため、溶液の泡が比較的長時間にわたって保持される。
【0139】
図17に示すように、流下部20の底部には、複数の孔部32が形成されている。孔部32は、溶液を下方に向かって流下部20から流出させるものである。流下部20の底部は、流下部20の略中央に配置されている。図18(A)および(B)に示すように、流下部20の下端部には、パイプ30が接続されている。役目を終えて、孔部32を介して流下部20の外部に流出される溶液は、排出路31を流通する。図19に示すように、流下部20には、孔部32を覆う網目状のカバー41を配置することができる。カバー41の各格子状の穴の寸法は、各孔部32の寸法よりも小さい。
【0140】
流下部20に溜められる泡を含んだ溶液は、流下部20の底部に向かって上方から下方に流れることにより、孔部32を介して流下部20から流出する。泡に捕獲された害虫の死骸は、溶液とともに孔部32に向かって流れる。害虫の死骸の数が増えてくるにつれて、死骸が孔部32を塞いでしまう可能性がある。しかしながら、孔部32を覆うカバー41が流下部20に配置されていることにより、カバー41が害虫の死骸を堰き止めたうえで、残りの溶液を孔部32から流出させることができる。
【0141】
また、カバー41が比較的高さを有するように立体的な構造を有している場合には、害虫の死骸が孔部32の他にカバー41をも塞ぐことが防止される。
【0142】
なお、死骸が孔部32を塞ぐための構成は、図20(A)、(B)、(C)に示すように、流下部20の底部に突起33が配置されているものであってもよい。突起33は、流下部20の表面2eから上方に向かって突出した部分である。複数の孔部32は、突起33の外周を取り囲むように配置されている。
【0143】
図20(C)に示すように、流下部20の底部に配置されたカバー42は、突起33および孔部32の周りを取り囲んでいる。このとき、カバー42は、突起33の天井を覆うものであってもよく、突起33の側方のみを取り囲むものであってもよい。このように、流下部20の底部に形成された突起33を利用することにより、カバー42と突起33とによって孔部32の外周側に立体的な構造を構成することができる。
【0144】
除虫装置100は、流下部20に積み上げられた泡の量を検知するセンサ38を備えている(図21と図22とを参照)。図22に示すように、センサ38は、例えば吐出ノズル16の内部に配置されている。センサ38は、検知部の一例である。
【0145】
図21に示すように、流下部20からは、吐出ノズル16を介して流下部20に泡を含む溶液が供給されている。吐出ノズル16の先端は、流下部20の中央部の上方に配置されている。図22に示すように、センサ38の構成の一例として、吐出ノズル16の先端に二極の電極39が取り付けられている。センサ38は、電極39に接続された回路において二極の電極39間の短絡を測定する。
【0146】
流下部20に所定の量の泡が積み上げられることにより、泡が吐出ノズル16の先端に接触する場合には、電極39に接続された回路において二極の電極39間の短絡が一定時間継続する。この電極39間の短絡に基づいて、例えば制御部19(図1参照)が、流下部20に積み上げられた泡の量を検知する。センサ38の測定に関する信号は、制御部19に送信されている。
【0147】
吐出ノズル16の先端から流下部20に供給された泡は、吐出ノズル16の先端の下方に位置する点を頂点とする山が形成されるように、流下部20に積み上げられる。次第に泡の容積を拡大させた泡が吐出ノズル16の先端に接近もしくは接触することにより、制御部19(図1参照)は、流下部20に多量の泡が積み上げられていることを検知する。発泡部10では、制御部19の検知に基づいて、発泡が停止されたり、流下部20への泡の供給が停止されたりする。
【0148】
なお、吐出ノズル16は、発泡部10から流下部20に泡を含む溶液を供給するためのものである。吐出ノズル16の先端付近に泡や溶液の滴が残っている場合には、正確な測定ができない。そのため、図示とは異なり、吐出ノズル16の内部の電極39付近に泡や溶液の滴が付着しないように、吐出ノズル16が水平方向から下方斜めに傾斜するように延びていてもよい。
【0149】
なお、検知部は、出力が比較的小さい超音波センサを用いたものであってもよい。例えば、吐出ノズル16の先端に取り付けられた超音波センサは、吐出ノズル16の先端近傍から流下部20に積み上げられた泡までの距離を測定する。出力が比較的小さい超音波センサを用いる場合は、吐出ノズル16の先端まで泡を積み上げたうえで泡の量を測定することができるため、測定距離が短くてよく、また、出力も最小に抑えることができる。
【0150】
以上のように、センサ38を備えた除虫装置100によれば、流下部20に積み上げられた溶液の泡の量を検知することができるため、流下部20に溜められた泡の量に応じて、発泡部10から流下部20に泡を含んだ溶液を供給することが可能である。また、検知部としてのセンサ38が、流下部20に溶液を供給する吐出ノズル16に配置されている場合には、センサ38を配置するための特別なスペースが不要であるため、効率よく泡の量を検知することができる。
【0151】
受皿形状を有する流下部20を備えた除虫装置100は、図23に示すように、複数のランプ17を備えている。ランプ17の明かりにより、除虫装置100に害虫を誘引することができため、効率よく害虫を駆除することが可能できる。
【0152】
例えば、300〜400nmの波長の光を照射する紫外線ランプもしくは紫外線LEDを用いてハエ、蛾、もしくは、蚊等の一部を除虫装置100に誘引することができる。ランプ17の種類は、特に限定されず、白色または他の色にて発光する蛍光灯等のランプであってもよい。
【0153】
図23(B)に示すように、除虫装置100は、風防機構18を備えている。風防機構18は、流下部20の周囲の一部に配置され、ランプ17の明かりを反射する構造を有している。図23(A)に示す除虫装置100の状態において、風防機構18は、流下部20よりも下方に位置するように、タンク83の側方に収容されている。図23(A)に示す除虫装置100の状態では、流下部20の上方および前後左右の四方から、害虫を泡に接触させることができる。
【0154】
一方、図23(B)に示す除虫装置100の状態において、風防機構18は、流下部20よりも上方に位置するように、流下部20の上方の空間の一部を取り囲んでいる。この状態によれば、風防機構18は、流下部20を流れる溶液の泡が特に屋外の強い風、または、屋内のエアコンもしくは扇風機の風等に吹かれて消泡されることを防ぐことができる。また、ランプ17の明かりが風防機構18によって反射されるため、害虫を誘引する効果がさらに向上する。
【0155】
除虫装置100において、ランプ17の一部は、風防機構18の外側に配置されている。なお、ここでいう風防機構18の内側と外側とは、流下部20の半径方向の内側と外側とを意味している。ところで、風防機構18の外側ではなく内側にランプが配置されている場合に、風防機構18が流下部20の上方の空間の一部を取り囲んでいるときには、風防機構18自体によって明かりが遮断され、風防機構18の外側にランプの明かりが届かない。そのため、風防機構18の内側、つまり、流下部20の上方の空間において、ランプの明かりによって害虫を効果的に誘引することができても、除虫装置100の外部である風防機構18の外側において、効果的に害虫を誘引することはできない。
【0156】
一方、図23(B)に示すように、ランプ17が風防機構18の外側に配置されている場合に、風防機構18が流下部20の上方の空間の一部を取り囲んでいるときには、ランプ17の照射光および明かりが風防機構18に遮断されることが防止されている。そのため、除虫装置100の外部を飛翔している害虫を効果的に誘引することができる。また、除虫装置100の周囲に誘引された害虫を、除虫装置100の周囲に飛び回らせたり、除虫装置100に止めさせたりすることができる。害虫がそのような動きをしているうちに、流下部20に積み上げられた泡の近くを害虫が飛翔すること、または、風防機構18によって反射されたランプ17の明かりを見た害虫が泡に接触することにより、害虫は泡に捕獲される。
【0157】
ランプ17と図示しない電源とに接続されたコード等は、風防機構18がタンク83の側方に対して可動可能なように、予め可動分だけ余分な寸法を有している。そのため、除虫装置100は、ランプ17を配置するための特別なスペースを備える必要がない。なお、図23に示す除虫装置100において、供給用のタンク13、マイクロポンプ11、および、マイクロポンプ12(図1参照)は、除虫装置100の内部に配置されている。
【0158】
(第2実施形態)
図24に、第2実施形態に係る除虫装置200を示す。除虫装置200が第1実施形態の除虫装置100と異なる点は、除虫装置200は、送気マイクロポンプを備えていない。除虫装置200は、以下に説明するように、除虫装置100とは異なる手段を用いて、発泡体4に空気を供給している。なお、第1実施形態に係る除虫装置100と同様の機能を有するものについては、同符号を付し、説明を省略する。
【0159】
制御部19は、マイクロポンプ11が1滴以下つまり1滴ごとの液体を発泡体4に供給することができるように、マイクロポンプ11を制御している。図25に示すように、マイクロポンプ11のノズル11aを介して発泡体4に溶液が滴下される。なお、第2実施形態に係る除虫装置200の発泡体4は、多孔状で伸縮可能な材料であって、且つ、弾力性を有する材料によって形成されている。
【0160】
発泡部10には、発泡部10のケース15の内部と外部とを連通させる開口15aが形成されている。また、ケース15には、開口15aを開閉する蓋部51が取り付けられている。図26(A)および(B)に示すように、除虫装置200において、発泡部10は、発泡体4を伸縮させる伸縮部6を有している。蓋部51は、伸縮部6の作動に連動して開口15aを開閉する。なお、開口15aが形成されたケース15の内壁面と蓋部51との間には、網状のフィルタ等が配置されていてもよい。
【0161】
図26(A)には、発泡体4が膨張している状態であって空気を吸い込んだ発泡体4を示す。図26(B)には、発泡体4が圧縮されている状態であって溶液に泡を発生させている発泡体4を示す。図26(A)に示すように、蓋部51は、発泡体4の膨張時に開口15aを開くように作動する。一方、図26(B)に示すように、蓋部51は、発泡体4の圧縮時に開口15aを閉じるように作動する。界面活性剤を含む溶液は、図26(A)に示す発泡体4の膨張時に、発泡体4に滴下される。滴下された溶液は、発泡体4の表面から内部に浸透する。図26(B)に示す発泡体4の圧縮時には、溶液に泡が発生して、泡とともに溶液が発泡体4から押し出される。
【0162】
蓋部51の作動原理としては、例えば図示しないモータの駆動によって蓋部51が作動するように構成されていてもよい。モータは、例えば制御部19によって制御されている。また、伸縮部6の作動状態または発泡体4が発生させている泡の量を検知するセンサ等の検知結果を利用して、蓋部51を作動させるものであってもよい。センサからは、例えば制御部19に信号が送信される。制御部19は、センサが検知または測定した状態等に基づいて、モータを駆動させる。あるいは、除虫装置200では、伸縮部6の作動に伴って蓋部51を作動させる機構等が、伸縮部6に連結されていてもよい。
【0163】
蓋部51は、ケース15内部の圧力差に応じて開口15aを開閉するものであってもよい。例えばケース15の内部が負圧である場合に、蓋部51は開口15aを開くように作動する。さらに、蓋部51が可撓性材料によって形成されていてもよい。可撓性を有する蓋部51は、ケース15内部の圧力差に応じて変形し、ケース15内部の圧力差に応じて開口15aを開閉する。
【0164】
図27(A)〜(D)に示すように、伸縮部6は、カム64と、回転軸65と、移動板63と、支持板62と、支持柱61とを有している。カム64は、略楕円形状の断面を有し、回転軸65とともに回転する。回転軸65は、例えば図示しないモータの駆動によって回転する。移動板63は、カム64に接触し、カム64の回転に応じて図27の上下方向に移動する。支持柱61は、移動板63に固定され、支持板62を貫通している。移動板63が移動するときは、支持柱61が移動板63と共に移動する。なお、カム64および移動板63の形状は、特に限定されない。
【0165】
回転軸65の回転中心から移動板63までの距離が変化することにより、移動板63が往復移動し、発泡体4の圧縮と膨張とが繰り返される。なお、カム64と移動板63とを含む伸縮部6は、フッソコート等の加工が施されていることが好ましい。フッソコート等の加工が施されている場合は、伸縮部6の部材同士が互いに滑り易い。そのため、伸縮部6の部材同士が摩擦を繰り返す場合でも、摩擦音が低減される。
【0166】
図28には、除虫装置200の伸縮部の他の一例を示す。図28(A)には、膨張時の発泡体4を示し、図28(B)には、圧縮時の発泡体4を示す。発泡部10(図25参照)のケース15の壁面の一部には、伸縮自在な伸縮壁66が形成されている。発泡体4の底面に接する伸縮壁66は、発泡体4の膨張時には収縮している。一方、伸縮壁66は、発泡体4の圧縮時には伸張している。伸縮壁66は、除虫装置200の伸縮部の一例である。
【0167】
なお、伸縮壁66の形状は、蛇腹状のものに限定されない。また、伸縮壁66の材質は、伸縮壁66が伸縮可能であって発泡体4の強度と比較して著しく強度が異ならないものであれば、特に限定されない。伸縮壁66の材質は、例えばポリエチレン、ポリプロピレン等、好ましくはヒンジ効果のある合成樹脂である。また、伸縮壁66の材質は、例えばポリエチレン、ポリプロピレン等、好ましくはヒンジ効果のある合成樹脂と、ポリスチレン等とが共重合したもの、または、それらが混合されているものが好ましい。伸縮壁66の材質として樹脂等が用いられている場合には、伸縮壁66の腐食を防ぐことができる。伸縮壁66は、腐食防止のコーティングが施されているものであれば、金属によって形成されていてもよい。
【0168】
図29には、伸縮による発泡体4の劣化を抑える形状保持部67の一例を示す。形状保持部67は、除虫装置200の伸縮部の一例である。形状保持部67は、発泡体4を伸縮させる機能のうち、特に発泡体4の伸長時の動作を補助するものである。発泡体4が空気を吸い込む際に作用する発泡体4の復元力のみでは、発泡体4の形状が復元するまでの時間が掛かったり、発泡体4の形状が十分に復元しなかったりする。そのため、除虫装置200(図24参照)が形状保持部67を備えることにより、発泡体4の伸長動作を補助することができる。そのため、発泡体4は、確実に空気を吸い込むことができる。
【0169】
形状保持部67は、例えばコイルバネによって構成されている。形状保持部67の上端と下端とは、それぞれ発泡体4の上部と下部とに固定されている。圧縮された状態の形状保持部67としてのコイルバネが、発泡体4を囲んでいる。つまり、発泡体4は、形状保持部67が伸長する方向の付勢力を受ける。
【0170】
形状保持部67としてのコイルバネの材質は、発泡体4を圧迫もしくは損傷しない程度の強度を有するものであって且つ伸縮に耐えるものであれば特に限定されない。コイルバネの材質は、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンフタレート、ポリカーボネート、または、ナイロン等である。また、コイルバネの材質は、これらの材質が単独または混合で用いられていてもよい。ただし、これらの材質が共重合したものが、コイルバネの材質として用いられることが好ましい。また、コイルバネの材質は、ステンレス等の防腐性を有する金属素材であってもよい。
【0171】
形状保持部67は、伸縮部6と併用されることが好ましい。形状保持部67の上端と下端とが、それぞれ発泡体4の上部と下部とに固定される。そのため、例えば伸縮壁66(図28(A)(B)参照)、または、移動板63(図27参照)と支持板62とは、形状保持部67の伸縮に耐える強度を有していることが好ましい。
【0172】
図30には、ケース15(図25参照)の開口15aを開閉する構成の他の一例を示す。上述のように、開口15aは、発泡体4の膨張時に開かれ、且つ、発泡体4の圧縮時に閉じられる。図30に示すように、開口15aの外周を覆う網52が、開口15aが形成されたケース15の外壁面に取り付けられている。一方、開口15aが形成されたケース15の内壁面側には、ブラインド53が配置されている。蓋部の一例としてのブラインド53は、開口15aおよび網52の外周を覆っている。なお、ブラインド53とベルト54とは、ケース15の外側に配置されていてもよい。
【0173】
ブラインド53の材質は、開口15aを適切に閉塞することができるものであれば、特に限定されない。ブラインド53は、ベルト54の駆動に基づき、開口15aを開閉する。ベルト54とブラインド53との構成は、ベルト54の駆動に基づいてブラインド53が開口15aを開閉するものであれば、特に限定されない。
【0174】
ベルト54とブラインド53との構成は、図26〜27に示す移動板63等が用いられた伸縮部6と、図29に示す形状保持部67と併用される。あるいは、ベルト54とブラインド53との構成は、図28に示す伸縮壁66が用いられた伸縮部6と、図29に示す形状保持部67と併用される。
【0175】
ベルト54は、発泡体4の膨張時に伸縮部6または形状保持部67の移動と連動して、De1方向に引っ張られる。このとき、ブラインド53がDe2方向に収縮することにより、開口15aが開けられる。一方、発泡体4の圧縮時には、ベルト54は、伸縮部6または形状保持部67の移動と連動して、Dp1方向に引っ張られる。このとき、ブラインド53がDp2方向に戻ることにより、開口15aが閉められる。
【0176】
なお、図示は省略するが、伸縮部6または形状保持部67の移動と、開口15aを開閉するためのベルト54の作動とを連動させるために、発泡部10は、センサとモータとを有していてもよい。この場合には、伸縮部6または形状保持部67の移動をセンサが検知する。センサの検知結果に基づいてモータが駆動することにより、ベルト54が作動する。
【0177】
以上のように、除虫装置200において、発泡体4は、弾性材料によって形成されている。また、発泡部10は、発泡体4を伸縮させる伸縮部6を有している。この構成によれば、弾性材料の発泡体4を伸縮させることにより、発泡体4に供給される溶液から確実に発泡させることができる。
【0178】
除虫装置200において、発泡部10には、発泡部10のケース15の内部と外部とを連通させる開口15aが形成されている。また、伸縮部6の作動に連動して開口15aを開閉する蓋部51が、発泡部10に取り付けられている。
【0179】
この構成によれば、発泡体4は、マイクロポンプ11から供給される界面活性剤を含む溶液と、開口15aを介して外部から供給される空気とを用いて溶液に泡を発生させることができる。除虫装置200によれば、開口15aを開閉する蓋部51は伸縮部6の作動に連動しているため、発泡体4において空気が必要なときに開口15aから空気を供給することができる。このように、除虫装置200によれば、効率よく溶液を発泡させることができるため、害虫を効率よく捕獲することが可能である。
【0180】
以上に開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考慮されるべきである。本発明の範囲は、以上の実施の形態ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての修正と変形を含むものである。
【符号の説明】
【0181】
2:板状部、2d:谷部、2s,2e:表面、4:発泡体、6:伸縮部、7:開閉部材、10:発泡部、11:マイクロポンプ、12:マイクロポンプ、13:タンク、15a:開口、17:ランプ、18:風防機構、20:流下部、21,22,23,25,251,252,253,254,255,256,257:凸部、24:仕切部、25c,251c,252c,253c,254c:空洞部、32:孔部、38:センサ、41,42:カバー、51:蓋部、82:送風機、83:タンク、100,200:除虫装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発泡させた界面活性剤を含む溶液を用いて害虫を駆除する除虫装置であって、
界面活性剤を含む溶液を供給するマイクロポンプと、前記マイクロポンプから供給される前記溶液に泡を発生させる発泡体とを有する発泡部と、
前記発泡部よりも下方に配置され、泡を含む前記溶液を上方から下方に向かって流下させる流下部とを備えた、除虫装置。
【請求項2】
前記発泡部は、前記発泡体に空気を送る送気マイクロポンプをさらに有している、
請求項1に記載の除虫装置。
【請求項3】
前記発泡体は、弾性材料によって形成され、
前記発泡部は、前記発泡体を伸縮させる伸縮部を有している、
請求項1に記載の除虫装置。
【請求項4】
前記発泡部には、前記発泡部の内部と外部とを連通させる開口が形成され、前記伸縮部の作動に連動して前記開口を開閉する蓋部が取り付けられている、
請求項3に記載の除虫装置。
【請求項5】
前記流下部を流下する泡を含む前記溶液に向かって、泡が積層した溶液の塊の表面付近の泡のみを消泡する程度の風を送る送風機をさらに備えた、
請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の除虫装置。
【請求項6】
前記流下部は、鉛直方向から傾斜した方向に延びる板状部を有し、
前記板状部の表面が上方に面し、前記板状部の前記表面には、前記表面が延びる方向と交わる方向に突出した凸部が配置されている、
請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載の除虫装置。
【請求項7】
前記板状部の幅方向の端部には、前記板状部の前記表面と交わる方向に突出し且つ前記板状部の上下方向に延びる仕切部が配置されている、
請求項6に記載の除虫装置。
【請求項8】
前記凸部は、前記板状部の幅方向に延び、
前記凸部の一部には、前記凸部の上端と下端とを貫通するように切り欠けられた空洞部が形成されている、
請求項6または請求項7に記載の除虫装置。
【請求項9】
前記板状部は、複数の前記凸部を有し、
前記複数の凸部の前記空洞部のうちのいずれか一つの位置が他の前記空洞部の位置と前記板状部の上下方向にてずれるように、複数の前記凸部が前記板状部に配置されている、
請求項8に記載の除虫装置。
【請求項10】
前記板状部には、前記空洞部を開閉する開閉部材が取り付けられている、
請求項8または請求項9に記載の除虫装置。
【請求項11】
前記凸部が前記板状部の表面から内部に収納自在であるように前記凸部を駆動する駆動部をさらに備えた、
請求項8から請求項10までのいずれか1項に記載の除虫装置。
【請求項12】
前記板状部を上方から見る場合に、前記板状部に谷部が形成されるように前記板状部は略V字形状を有し、
前記凸部は前記板状部の谷部に配置されている、
請求項6から請求項11までのいずれか1項に記載の除虫装置。
【請求項13】
前記板状部は略円錐形状を有している、
請求項6から請求項12までのいずれか1項に記載の除虫装置。
【請求項14】
前記流下部はすり鉢状の受皿形状を有し、
泡を含む前記溶液は、前記流下部の中央部の上方から前記発泡部を介して前記流下部に供給される、請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載の除虫装置。
【請求項15】
前記流下部に積み上げられた泡の量を検知する検知部をさらに備えた、
請求項14に記載の除虫装置。
【請求項16】
前記流下部の底部には、前記溶液を下方に向かって前記流下部から流出させる孔部が形成され、前記孔部を覆う網目状のカバーが配置されている、
請求項14または請求項15に記載の除虫装置。
【請求項17】
害虫を誘引する複数のランプをさらに備えた、
請求項1から請求項16までのいずれか1項に記載の除虫装置。
【請求項18】
前記流下部の周囲の一部に配置され、前記ランプの明かりを反射する構造を有する風防機構をさらに備えた、請求項17に記載の除虫装置。
【請求項19】
前記ランプの一部は、前記風防機構の外側に配置されている、
請求項18に記載の除虫装置。
【請求項20】
前記マイクロポンプに供給される前記溶液が溜められる供給用のタンクと、
前記供給用タンクから前記マイクロポンプを介して前記流下部に流出し、且つ、前記流下部を流下した前記溶液が溜められる回収用のタンクと、をさらに備えた、
請求項1から請求項19までのいずれか1項に記載の除虫装置。
【請求項21】
界面活性剤には、特定の害虫が当該除虫装置に寄り付き難い物質が含まれ、且つ、他の特定の害虫を誘引する物質が含まれている、
請求項1から請求項20までのいずれか1項に記載の除虫装置。
【請求項22】
界面活性剤には、特定の害虫を殺す物質が含まれている、
請求項1から請求項21までのいずれか1項に記載の除虫装置。
【請求項23】
前記流下部は、吸音性または衝撃吸収性を有する材質によって形成されている、
請求項1から請求項22までのいずれか1項に記載の除虫装置。
【請求項1】
発泡させた界面活性剤を含む溶液を用いて害虫を駆除する除虫装置であって、
界面活性剤を含む溶液を供給するマイクロポンプと、前記マイクロポンプから供給される前記溶液に泡を発生させる発泡体とを有する発泡部と、
前記発泡部よりも下方に配置され、泡を含む前記溶液を上方から下方に向かって流下させる流下部とを備えた、除虫装置。
【請求項2】
前記発泡部は、前記発泡体に空気を送る送気マイクロポンプをさらに有している、
請求項1に記載の除虫装置。
【請求項3】
前記発泡体は、弾性材料によって形成され、
前記発泡部は、前記発泡体を伸縮させる伸縮部を有している、
請求項1に記載の除虫装置。
【請求項4】
前記発泡部には、前記発泡部の内部と外部とを連通させる開口が形成され、前記伸縮部の作動に連動して前記開口を開閉する蓋部が取り付けられている、
請求項3に記載の除虫装置。
【請求項5】
前記流下部を流下する泡を含む前記溶液に向かって、泡が積層した溶液の塊の表面付近の泡のみを消泡する程度の風を送る送風機をさらに備えた、
請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の除虫装置。
【請求項6】
前記流下部は、鉛直方向から傾斜した方向に延びる板状部を有し、
前記板状部の表面が上方に面し、前記板状部の前記表面には、前記表面が延びる方向と交わる方向に突出した凸部が配置されている、
請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載の除虫装置。
【請求項7】
前記板状部の幅方向の端部には、前記板状部の前記表面と交わる方向に突出し且つ前記板状部の上下方向に延びる仕切部が配置されている、
請求項6に記載の除虫装置。
【請求項8】
前記凸部は、前記板状部の幅方向に延び、
前記凸部の一部には、前記凸部の上端と下端とを貫通するように切り欠けられた空洞部が形成されている、
請求項6または請求項7に記載の除虫装置。
【請求項9】
前記板状部は、複数の前記凸部を有し、
前記複数の凸部の前記空洞部のうちのいずれか一つの位置が他の前記空洞部の位置と前記板状部の上下方向にてずれるように、複数の前記凸部が前記板状部に配置されている、
請求項8に記載の除虫装置。
【請求項10】
前記板状部には、前記空洞部を開閉する開閉部材が取り付けられている、
請求項8または請求項9に記載の除虫装置。
【請求項11】
前記凸部が前記板状部の表面から内部に収納自在であるように前記凸部を駆動する駆動部をさらに備えた、
請求項8から請求項10までのいずれか1項に記載の除虫装置。
【請求項12】
前記板状部を上方から見る場合に、前記板状部に谷部が形成されるように前記板状部は略V字形状を有し、
前記凸部は前記板状部の谷部に配置されている、
請求項6から請求項11までのいずれか1項に記載の除虫装置。
【請求項13】
前記板状部は略円錐形状を有している、
請求項6から請求項12までのいずれか1項に記載の除虫装置。
【請求項14】
前記流下部はすり鉢状の受皿形状を有し、
泡を含む前記溶液は、前記流下部の中央部の上方から前記発泡部を介して前記流下部に供給される、請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載の除虫装置。
【請求項15】
前記流下部に積み上げられた泡の量を検知する検知部をさらに備えた、
請求項14に記載の除虫装置。
【請求項16】
前記流下部の底部には、前記溶液を下方に向かって前記流下部から流出させる孔部が形成され、前記孔部を覆う網目状のカバーが配置されている、
請求項14または請求項15に記載の除虫装置。
【請求項17】
害虫を誘引する複数のランプをさらに備えた、
請求項1から請求項16までのいずれか1項に記載の除虫装置。
【請求項18】
前記流下部の周囲の一部に配置され、前記ランプの明かりを反射する構造を有する風防機構をさらに備えた、請求項17に記載の除虫装置。
【請求項19】
前記ランプの一部は、前記風防機構の外側に配置されている、
請求項18に記載の除虫装置。
【請求項20】
前記マイクロポンプに供給される前記溶液が溜められる供給用のタンクと、
前記供給用タンクから前記マイクロポンプを介して前記流下部に流出し、且つ、前記流下部を流下した前記溶液が溜められる回収用のタンクと、をさらに備えた、
請求項1から請求項19までのいずれか1項に記載の除虫装置。
【請求項21】
界面活性剤には、特定の害虫が当該除虫装置に寄り付き難い物質が含まれ、且つ、他の特定の害虫を誘引する物質が含まれている、
請求項1から請求項20までのいずれか1項に記載の除虫装置。
【請求項22】
界面活性剤には、特定の害虫を殺す物質が含まれている、
請求項1から請求項21までのいずれか1項に記載の除虫装置。
【請求項23】
前記流下部は、吸音性または衝撃吸収性を有する材質によって形成されている、
請求項1から請求項22までのいずれか1項に記載の除虫装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【公開番号】特開2013−113(P2013−113A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−138140(P2011−138140)
【出願日】平成23年6月22日(2011.6.22)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年6月22日(2011.6.22)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
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