説明

除電ブラシ

【課題】可撓性保持部材で繊維状電極を挟持した除電ブラシにおいて、OA機器等の筐体への貼着強度が得られると共に、筐体の貼着部の大部分が非導電性材料であっても繊維電極をアースでき、除電性能を発揮する除電ブラシを提供する。
【解決手段】平面的に配列する多数の繊維状電極22の各一端部分を、矩形状のテープ状表面部材24とテープ状裏面部材25とによって挟持した除電ブラシ21において、前記繊維状電極と導電性繊維23とをほぼ直交する方向に交差させて通電可能に接続させ、前記テープ状表面部材の長手方向のほぼ全長にわたって配設すると共に、該導電性繊維が部分的に露出した導電性繊維露出部と、前記テープ状表面部材とテープ状裏面部材の互いに対峙する面に、前記繊維状電極と導電性繊維を固定するための非導電性粘着層を形成し、前記テープ状裏面部材の前記テープ状表面部材に対峙していない側の面には非導電性粘着層28を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はOA機器などに貼着して使用する、静電気除去のため自己放電型の除電ブラシに関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタ、複写機、ファクシミリ等のOA機器等では、出力媒体としての紙や合成樹脂フィルム等の帯電を除去するために自己放電式の除電ブラシが設けられる。この除電ブラシの多くは、アルミニウム板等の保持部材間に繊維状電極が植設された構造であり、ビス等によりOA機器等に設置される。
近年、OA機器等の小型化に伴い、装着作業が容易で、しかも曲面部位にも装着可能な除電ブラシが要望され、アルミニウム箔等の可撓性保持部材で繊維状電極を挟持した構造の除電ブラシが多用されている(特許文献1〜3等参照)。このような除電ブラシは、保持部材の片面に塗布された粘着材を介してOA機器等の筐体に貼着することにより設置される。
【0003】
ところで、自己放電式除電ブラシの性能を発揮するには、繊維電極を筐体の金属等の導電性の部位にアースする必要がある。アルミニウム箔等の可撓性保持部材で繊維状電極を挟持した構造の除電ブラシをアースする手段として、従来は貼着する側の保持部材に導電性粘着テープを使用し、筐体の金属等の導電性金属部位に貼着していた。
しかし、導電性粘着テープは高価であり、また、通常の非導電性粘着テープに比べ、粘着力が低いという欠点があり、貼着部の表面状態によっては、貼着した除電ブラシが脱落する恐れがあった。また、OA機器等の筐体は樹脂化が進んでおり、除電ブラシ貼着部が非導電性材料の場合は導電性粘着テープを介してアースできないという問題もある。
【0004】
【特許文献1】実開平3−124598号公報
【特許文献2】特開平5−258890号公報
【特許文献3】特許第2590792号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、アルミニウム箔等の可撓性保持部材で繊維状電極を挟持した構造の除電ブラシにおいて、OA機器等の筐体への貼着強度が充分得られると共に、筐体の貼着部の大部分が非導電性材料であっても繊維電極をアースでき、除電性能を十分発揮する除電ブラシを安価に提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の除電ブラシは、(1)平面的かつ略平行に配列する多数の繊維状電極の各一端部分を、テープ状表面部材とテープ状裏面部材とによって挟持固定してなる除電ブラシにおいて、前記繊維状電極とほぼ直交する方向に交差させて該繊維状電極と通電可能に接続させた導電性繊維を、前記テープ状表面部材の長手方向のほぼ全長にわたって配設するとともに、該導電性繊維が部分的に露出した導電性繊維露出部を形成し、前記テープ状表面部材とテープ状裏面部材の互いに対峙する面に、前記繊維状電極と導電性繊維を該テープ状表面部材とテープ状裏面部材に固定するための非導電性粘着層を形成するとともに、前記テープ状裏面部材の前記テープ状表面部材に対峙していない側の面には非導電性粘着層を形成してなり、前記繊維状電極に取り込まれた電荷を前記導電性繊維露出部を経由して除電するようにしたことを特徴とする除電ブラシ。
このとき、(2)前記テープ状裏面部材の長手方向の長さを前記テープ状表面部材の長手方向の長さよりも短くし、前記導電性繊維を前記テープ状裏面部材の端部より突出させることによって前記テープ状裏面部材の端部に前記導電性繊維露出部を形成してもよいし、(3)前記テープ状裏面部材を部分的に欠落させることによって前記導電性繊維露出部を形成してもよく、(4)前記導電性繊維露出部における前記テープ状表面部材の表面(すなわち、前記テープ状裏面部材と対峙していない側の面)から、その裏側の面に向かって凹陥状態に塑性変形させた凹陥部が形成されていてもよい。
【0007】
また、本発明の除電ブラシは、(5)平面的かつ略平行に配列する多数の繊維状電極の各一端部分を、テープ状表面部材とテープ状裏面部材とによって挟持固定してなる除電ブラシにおいて、前記繊維状電極とほぼ直交する方向に交差させて該繊維状電極と通電可能に接続させた導電性繊維を、前記テープ状表面部材の長手方向のほぼ全長にわたって配設するとともに、前記テープ状裏面部材の一部は前記テープ状表面部材と対峙しない側の面に導電性粘着層が形成された導電性部材からなる導電性テープ状裏面部材であって、前記テープ状表面部材とテープ状裏面部材とが互いに対峙する側の面に前記繊維状電極と導電性繊維を前記テープ状表面部材とテープ状裏面部材に固定するための非導電性粘着層を形成してなり、前記繊維状電極に取り込まれた電荷を前記テープ状裏面部材の前記導電性粘着層が形成された部分を経由して除電するようにしたことを特徴とするものであってもよい。
【発明の効果】
【0008】
本発明の除電ブラシによれば、該除電ブラシのテープ状裏面部材に形成された非導電性粘着層を介して除電を必要とする機器の筐体に貼着するとともに繊維状電極と交差する導電性繊維を設けることにより、各々の繊維状電極に吸着した電荷を該導電性繊維に集電することができ、次いで導電性繊維露出部及び導電性粘着層を介して直接該筐体に通電可能に接続するようにしたので、効果的に機器の筐体にアース等して除電することができる。
【0009】
また、従来の導電性粘着テープにより貼着した場合よりも粘着力が強く、貼着した除電ブラシが脱落する恐れが極めて少ない上、高価な導電性粘着テープを使用しないか、その使用量を大幅に減らすことができるので、除電ブラシを安価に提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
図1〜3は本発明の除電ブラシの第1の実施態様例を示す図で、図1はその概略斜視図であり、図2は部分的に破断された一部破断正面図であり、図3は図2におけるA−A面で切断された断面を示す横断面図である。
本例の除電ブラシ1は、図1〜3に示すように長方形の細長い形状を有し、互いに平行に対峙するテープ状表面部材4とテープ状裏面部材5との間に、平面的かつほぼ平行に配列した多数の繊維状電極2と、この繊維状電極2とほぼ直交する方向に交差させ、通電可能に接続させた状態でテープ状表面部材4及びテープ状裏面部材5の長手方向に配設させた導電性繊維3とを、繊維状電極2の各一端部分において挟持固定する。繊維状電極2の各他端部分はテープ状表面部材4及びテープ状裏面部材5の外部に露出させる。
【0011】
さらに、平面的かつほぼ平行に配列した繊維状電極2の配列幅はテープ状裏面部材5の長手方向の長さとほぼ同じ幅となし、導電性繊維3の長さは繊維状電極2が配列されている領域よりも突出させて長くする。そしてテープ状表面部材4の長手方向の長さをテープ状裏面部材5の長さよりも長く、導電性繊維3の長さとほぼ同じにすることにより、導電性繊維3をテープ状裏面部材5の端部から露出した導電性繊維露出部Bを設ける。
【0012】
テープ状裏面部材5は除電ブラシ1の静電気除去のためのOA機器等の筐体(以下、単に「OA機器等の筐体」ともいう)への装着部であり、テープ状裏面部材5の裏側(テープ状表面部材4と対峙しない側の面)の表面には非導電性粘着層6が形成されており、本発明の除電ブラシは、この非導電性粘着層6を介してOA機器等の筐体に貼着させて使用に供される。非導電性粘着層6の素材としては、例えばアクリル系、ゴム系、シリコン系、ウレタン系等の粘着材等が使用できる。
テープ状表面部材4及びテープ状裏面部材5が互いに対峙する面の少なくとも一方に非導電性粘着層6を形成しておくことによって、繊維状電極2及び導電性繊維3をテープ状表面部材4及びテープ状裏面部材5により強固に固定することができる。また、粘着層として非導電性粘着層6を用いたので、導電性粘着層を粘着層として用いる場合よりも、より製造コストを低減化することができる。
【0013】
テープ状表面部材4及びテープ状裏面部材5のそれぞれぞれの内面(互いに対峙する側の面)には、繊維状電極2及び導電性繊維3をテープ状表面部材4及びテープ状裏面部材5に固定するための非導電性粘着層7、7が形成される。それ故に、各々の繊維状電極2,2・・・に吸着した電荷を該導電性繊維3に集電し易くすることができる。非導電性粘着層7、7は、導電性繊維3が露出した部分(導電性繊維露出部B)以外において必ずしもテープ状表面部材4及びテープ状裏面部材5のそれぞれに形成する必要はなく、テープ状表面部材4及びテープ状裏面部材5のいずれか一方の内面に形成しておくだけでもよい。ただし、導電性繊維とOA機器等の筐体とは電気的に接続する必要があり、つまり、テープ状裏面部材5と筐体とを非導電性粘着層6を介して貼着した際に導電性繊維が筐体と接触しているのが好ましいので、導電性繊維3が露出した部分(導電性繊維露出部B)におけるテープ状表面部材4の内面に非導電性粘着層7を設けて、導電性繊維露出部Bにおいては、テープ状表面部材4の内面と筐体とが非導電性粘着層7を介して貼着する(導電性繊維は筐体と接触している)ようにする。
非導電性粘着層7の素材としては、例えばアクリル系、ゴム系、シリコン系、ウレタン系、エポキシ系、ポリオレフィン系等の溶剤系や、熱可塑系あるいは熱硬化系等、の粘着材が使用できる。
【0014】
テープ状表面部材4及びテープ状裏面部材5としては、アルミニウム箔などの金属箔、ポリエステルフィルム、ポリエチレン、ポリウレタン等の合成樹脂フィルムもしくはシート、紙、これらの積層体などからなり、かつ、可撓性を有するテープ状の部材が用いられる。
繊維状電極2としては、ステンレス繊維(導電性繊維)、銅、アモルファス合金などの金属繊維、カーボン繊維、合成繊維に導電性ポリマーや硫化銅を被覆した導電性繊維、金属染色繊維等が用いられる。また、これらの導電性繊維の不織布、織布、編布などの導電性布帛(織物)であってもよい。
【0015】
導電性繊維3としてはステンレス繊維、アモルファス金属繊維、その他の金属繊維、カーボン繊維、導電化した有機繊維、導電化した不織布を帯状に裁断したもの等が使用できるが、繊維状電極2と同一のものを用いることにより、構成材料を少なくし、また該電極2及び該繊維3の製造面からも好ましい。
【0016】
除電ブラシ1を製造するには、例えば、最初に片方の表面に非導電性粘着層6、他方の表面に非導電性粘着層7がそれぞれ形成されたテープ状裏面部材5の非導電性粘着層7上に、その長手方向とほぼ平行にテープ状裏面部材5の長手方向の長さよりも長い導電性繊維3を裁置する。次にテープ状裏面部材5の上に、この導電性繊維3の上から導電性繊維3とほぼ直交するように交差させて繊維状電極2をほぼ平行に並べて配列させる。その後、この上に片面に非導電性粘着層7が形成された、長手方向の長さがテープ状裏面部材5よりも長いテープ状表面部材4を、非導電性粘着層7の形成面がテープ状裏面部材5と対峙する向きに重畳し、押圧してテープ状表面部材4とテープ状裏面部材5との間に繊維状電極2及び導電性繊維3とを挟持、固定すればよい。
【0017】
本発明の除電ブラシの使用に際しては、テープ状裏面部材5の非導電性粘着層6が形成された面をOA機器等の筐体に貼着して、繊維状電極2を静電気発生物と接触すべき位置に垂下させ、ついで導電性繊維露出部Bと、OA機器等の筐体の導電性部位とを直接貼着させて通電可能にする。このようにすれば、各々の繊維状電極2に吸着した電荷を導電性繊維3により集電することができ、次いで導電性繊維露出部Bを介して例えば図示しない筐体側の、例えばアース端子等を経てアースされる等して除電される。さらに、露出部Bは部分的に導電性繊維3が露出しているものであり、残りの部分はテープ状表面部材4とテープ状裏面部材5とで挟持されているので、導電性繊維3は脱落し難いものである。
【0018】
図4は本発明の除電ブラシの第2の実施態様例を示す斜視図である。本実施態様例の除電ブラシは、前記第1の実施態様例の除電ブラシ1における導電性繊維露出部Bを端部に形成するのではなく端部以外の場所に設けた点以外は、各構成部材の素材も含めて前記第1の実施態様例の除電ブラシ1と同様である。
【0019】
すなわち、第2の実施態様例の除電ブラシ11は、それぞれ長方形の形状を有するテープ状表面部14とテープ状裏面部15との間に、繊維状電極12と、この繊維状電極12とほぼ直交する方向に交差し、互いに電気的に接続させた状態でテープ状裏面部材15(及びテープ状表面部材14)の長手方向に配設させた導電性繊維13とを、繊維状電極12の一端において挟持、固定する。ただし、テープ状裏面部材15は2つのテープ状裏面部材15、15を長手方向に一定の間隔をおいてそれぞれテープ状表面部材14と平行に対峙させる。この2つのテープ状裏面部材15、15の間隙から導電性繊維13を部分的に露出させることによって導電性繊維露出部Bを形成させた構成を有するものである。
【0020】
この除電ブラシ11は、例えば、最初に、片方の表面に非導電性粘着層16、他方の表面に非導電性粘着層17がそれぞれ形成された2つのテープ状裏面部材15を一定の間隔を隔てて配置し、それぞれの非導電性粘着層17上に、その長手方向とほぼ平行にテープ状表面部材14の長さの導電性繊維13を裁置する。次にテープ状裏面部材15の上に、この導電性繊維13の上から導電性繊維13とほぼ直交するように交差させて繊維状電極12をほぼ平行に並べて配列させる。このとき、2つのテープ状裏面部材15、15の間隙部には繊維状電極12を配列させてもさせなくても良い。次いでこの上に片面に非導電性粘着層17が形成されたテープ状表面部材14を非導電性粘着層17面から重畳し、押圧して前記第1の実施態様例の除電ブラシ1と同様にして製造される。
【0021】
なお、上記とは逆に、テープ状表面部材14の片方の面に非導電性粘着層17を形成し、該層17上に繊維状電極12を配列させ、該繊維状電極12上に導電性繊維13を裁置し、この上にテープ状裏面部材15,15を一定の間隔を隔てて配置、重畳し、押圧して製造してもよい。
【0022】
本例の除電ブラシ11では、テープ状裏面部15のテープ状表面部材14とは対峙しない側の面の表面に形成された非導電性粘着層16をOA機器等の筐体に直接貼着し、各々の繊維状電極12に吸着し集電された電荷は導電性繊維13に集電され、次いで導電性繊維露出部Bにおける露出した導電性繊維13を介してOA機器等の筐体側の例えばアース端子等を経てアースすることによって除電される。
【0023】
また、図5は本願発明の除電ブラシの前記第2の実施態様例(除電ブラシ11)の別の実施態様例を示す斜視図であり、本例の除電ブラシ11は、部分的に欠落させた1つのテープ状裏面部材15を用い、この欠落部において導電性繊維13を露出させるようにした導電性繊維露出部Bを設ける以外は図4に例示の前記第2の実施態様例の除電ブラシ11と同様の構成としたものである。
【0024】
図6は図5に例示の除電ブラシ11をC−C面で切断した断面を示す横断面図である。前記第2の実施態様例に示す除電ブラシ11(図4及び図5に例示)においては、導電性繊維露出部Bにおけるテープ状表面部材14を、その表側(テープ状裏面部材15と対峙しない側)の面からプレス等により導電性繊維13が配設されている部分に対応する場所を中心に凹陥状態に塑性変形させた凹陥部18を形成しておくことが望ましい。このように凹陥部18を形成しておくことにより、凹陥部18の反対側の面では導電性繊維13が突出するため、非導電性粘着層16を介してテープ状裏面部15をOA機器等の筐体に貼着した際、該筐体に直接当接するため、テープ状表面部材14の裏側(テープ状裏面部材15と対峙する側の面)に非導電性粘着層16を設けておかなくてもよいし、また繊維状電極12から筐体へのアースが良好に行えるのでより好ましい。
【0025】
なお、前記第1の実施態様例の除電ブラシ1(図1〜3)においても、導電性繊維露出部Bにおけるテープ状表面部材4を、その表側(テープ状裏面部材5と対峙しない側)の面に前記凹陥部18(図6)のような凹陥部を設けておき、この部分における非導電性粘着材層7を形成しないでおいても良い。
【0026】
図7は本願発明の除電ブラシの第3の実施態様例を示す斜視図である。本実施態様例の除電ブラシは、導電性繊維露出部Bを設けない点において前記第1及び第2の実施態様例の除電ブラシ1及び除電ブラシ11とは異なるが、用いられる各部材及びその製造方法は前記第1及び第2の実施態様例の除電ブラシ1及び除電ブラシ11と同様であり、その製造方法も前記第1及び第2の実施態様例の除電ブラシ1及び除電ブラシ11とほぼ同様にして製造される。
【0027】
本実施態様例の除電ブラシ21は、それぞれ長方形の形状を有するテープ状表面部24とテープ状裏面部25との間に、繊維状電極22と、この繊維状電極22とほぼ直交する方向に交差し、互いに電気的に接続させた状態でテープ状表面部材24及びテープ状裏面部材25の長手方向に配設させた導電性繊維23とを、繊維状電極22の一端において挟持、固定してなる。ただし、テープ状裏面部材25の一部分(本例ではテープ状裏面部材25の端部)には、少なくとも導電性を有する部材とその裏面(表面部材24と対峙しない側の面)に導電性粘着層28を形成させた構成を有する(テープ状裏面部材25の一部が導電性テープ状裏面部材となっている)ことが特徴である。テープ状裏面部材25の表面部材24と対峙しない側の面における、導電性粘着層28が形成されていない部分には非導電性粘着層26が形成されている。
導電性粘着層28の素材としては、例えばアクリル系、ゴム系、シリコン系、ウレタン系、エポキシ系、ポリオレフィン系等の粘着剤に導電性物質を含有させたものが使用できる。導電性物質としては、例えば鉄、アルミニウム、カーボン、金属酸化物などを用いることができる。
【0028】
本例の除電ブラシ21の使用に際しては、非導電性粘着層26及び導電性粘着層28によりテープ状裏面部材25をOA機器等の筐体に貼着し、各々の繊維状電極22に吸着した電荷が導電性繊維23に集電され、次いでテープ状裏面部25における、導電性粘着層28が形成されている部分を介して筐体側の例えばアース端子等を経てアースされる等して除電される。
さらに、導電性繊維23は、テープ状表面部材24とテープ状裏面部材25に挟持されているので、該導電性繊維は脱落し難いものとなっている。なお、裏面(表面部材24と対峙する側の面とは反対側の面)に導電性粘着層28を形成させたテープ状裏面部材25が設けられる位置は必ずしも図7に例示したようにテープ状裏面部材25の端部とする必要はなく、装着するOA機器等の筐体におけるアース等の可能な位置に応じて適宜変更することできる。
【産業上の利用可能性】
【0029】
本発明は複写機、印刷機、ファクシミリ等のOA機器等における静電気除去のための除電ブラシとしてOA機器等に装着して利用される。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の除電ブラシの一実施態様例を示す概略斜視図である。
【図2】本発明の除電ブラシの一実施態様例を示す一部破断正面図である。
【図3】本発明の除電ブラシの一実施態様例を示す概略横断面図である。
【図4】本発明の除電ブラシの他の実施態様例を示す概略斜視図である。
【図5】本発明の除電ブラシの更に別の実施態様例を示す概略斜視図である。
【図6】本発明の除電ブラシの更に別の実施態様例を示す概略斜視図である。
【図7】本発明の除電ブラシの更に別の実施態様例を示す概略斜視図である。
【符号の説明】
【0031】
1、11、21 除電ブラシ
2、12、22 繊維状電極
3、13、23 導電性繊維
4、14、24 テープ状表面部材
5、15、25 テープ状裏面部材
6、16、26、7、17、 非導電性粘着層
18 凹陥部
28 導電性粘着層
B 導電性繊維露出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面的かつ略平行に配列する多数の繊維状電極の各一端部分を、テープ状表面部材とテープ状裏面部材とによって挟持固定してなる除電ブラシにおいて、
前記繊維状電極とほぼ直交する方向に交差させて該繊維状電極と通電可能に接続させた導電性繊維を、前記テープ状表面部材の長手方向のほぼ全長にわたって配設するとともに、該導電性繊維が部分的に露出した導電性繊維露出部を形成し、
前記テープ状表面部材とテープ状裏面部材の互いに対峙する面に、前記繊維状電極と導電性繊維を該テープ状表面部材とテープ状裏面部材に固定するための非導電性粘着層を形成するとともに、前記テープ状裏面部材の前記テープ状表面部材に対峙していない側の面には非導電性粘着層を形成してなり、
前記繊維状電極に取り込まれた電荷を前記導電性繊維露出部を経由して除電するようにしたことを特徴とする除電ブラシ。
【請求項2】
前記テープ状裏面部材の長手方向の長さを前記テープ状表面部材の長手方向の長さよりも短くし、前記導電性繊維を前記テープ状裏面部材の端部より突出させることによって前記テープ状裏面部材の端部に前記導電性繊維露出部を形成してなることを特徴とする請求項1に記載の除電ブラシ。
【請求項3】
前記テープ状裏面部材を部分的に欠落させることによって前記導電性繊維露出部を形成してなることを特徴とする請求項1に記載の除電ブラシ。
【請求項4】
前記導電性繊維露出部における前記テープ状表面部材の表側の面から、その裏側の面に向かって凹陥状態に塑性変形させた凹陥部が形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の除電ブラシ。
【請求項5】
平面的かつ略平行に配列する多数の繊維状電極の各一端部分を、テープ状表面部材とテープ状裏面部材とによって挟持固定してなる除電ブラシにおいて、
前記繊維状電極とほぼ直交する方向に交差させて該繊維状電極と通電可能に接続させた導電性繊維を、前記テープ状表面部材の長手方向のほぼ全長にわたって配設するとともに、
前記テープ状裏面部材の一部は前記テープ状表面部材と対峙しない側の面に導電性粘着層が形成された導電性部材からなる導電性テープ状裏面部材であって、
前記テープ状表面部材とテープ状裏面部材とが互いに対峙する側の面に前記繊維状電極と導電性繊維を前記テープ状表面部材とテープ状裏面部材に固定するための非導電性粘着層を形成してなり、
前記繊維状電極に取り込まれた電荷を前記テープ状裏面部材の前記導電性粘着層が形成された部分を経由して除電するようにしたことを特徴とする除電ブラシ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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