説明

除電除塵装置

【課題】ユーザに異常状態を速やかに気づかせることができ異常解消のための対策を速やかに実行することができる除電除塵装置を提供する。
【解決手段】印加する放電電圧に異常が生じたときに、その異常を報知する照光ランプを、ノズルNから噴射したイオン化した空気を除電除塵対象物Wに吹き付けるとき、その除電除塵対象物Wの吹き付け場所Zにその可視光線Lvが照射されるように、本体ケースの胴部11aに配置した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、除電除塵装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子部品、フィルムの表面、塗装表面等の除電除塵対象物に付着した微細な塵を除去する装置として除電除塵装置が知られている。除電除塵装置は、放電針に高電圧を印加してコロナ放電を発生させ空気をイオン化させるとともに、このイオン化された空気を、除電除塵対象物に吹き付けることによって付着した微細な塵を除去する。
【0003】
特に、小型で操作性を有するガンタイプ(ピストル形状)の除電除塵装置は、除電除塵対象物の除塵箇所に向けてしかも近づけて迅速にイオン化された空気を吹き付けることができ、除電除塵作業の効率を図る上で非常に優れている(例えば、特許文献1、特許文献2)。特許文献1の除電除塵装置においては、イオン化された空気が吹き付けられる除電除塵対象物の吹き付け箇所に、光ファイバを介して出射される光を当てることに除塵状況を視認し易くしてより作業効率の向上を図っている。また、特許文献2では、周期的に強弱を加えたイオン化された空気を除電除塵対象物に吹き付けるようにして、塵効率を上げるようにしている。
【特許文献1】実開平5−13588号公報
【特許文献2】特開2008−62153号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、除電除塵装置においては、コロナ放電を発生させるために放電針に高周波高電圧の放電電圧を印加することから、正常に動作が行われているか常に知ることが必要である。除電除塵装置においては、放電針に正常に高周波電圧が印加されていない場合に、その異常を表示する表示ランプが他のスイッチ類に隣接した位置に設けられている。
【0005】
しかしながら、特に、除電除塵装置においては、除電除塵作業中、ユーザは、イオン化された空気が直接吹き付けられている除電除塵対象物の吹き付け箇所を注視しているため、種々のスイッチ類に隣接した位置に設けた表示ランプに目がいかない。つまり、ユーザは、除電除塵対象物の吹き付け箇所に目が向いて、表示ランプが異常表示していることに気が付かない。その結果、ユーザは、異常状態に気づかずに除電除塵作業をし続けるといった問題が生じ、異常解消のための対策を速やかに実行することができなかった。
【0006】
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、その目的は、ユーザに異常状態を速やかに気づかせることができ異常解消のための対策を速やかに実行することができる除電除塵装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明は、本体ケース内に備えた放電針と、前記放電針に電圧を印加してイオンを発生させる電圧発生手段と、空気供給源からの空気を導くと共に、前記本体ケースの外に出射して前記イオンを除電除塵対象物へ吹き付ける空気制御手段と、前記空気制御手段により前記除電除塵対象物へ前記イオンを吹き付けるためのトリガー入力を行うスイッチング手段とを備えた除電除塵装置であって、前記本体ケース外の前記イオンの出射方向に沿った光を出射し、前記除電除塵対象物に可視光を照射する異常表示用光源と、前記電圧発生手段及び前記空気制御手段の少なくとも一方の異常を検出する異常判定手段と、前記異常判定手段によって前記異常を検出してないときと検出したときとで、前記異常表示用光源の点灯状態を変更することによって、前記可視光の前記除電除塵対象物への照射状態を変える異常報知手段とを備えた。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の除電除塵装置において、前記異常表示用光源は、前記除電除塵対象物へ前記イオンを吹き付けて除電除塵動作を行っている際に、前記除電除塵対象付近を照らす照明用の光源と兼用される。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の除電除塵装置において、前記異常判定手段は、前記電圧発生手段での放電異常を検出する判定手段である。
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の除電除塵装置において、前記本体ケースは、把手を有した手持ち式である。
【0010】
請求項5に記載の発明は、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の除電除塵装置において、前記異常表示用光源は、複数の可視光線を持つ光源である。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に記載の発明によれば、異常判定手段が異常状態を検出したとき、注視している除電除塵対象物の吹き付け箇所に、可視光が照射され、しかも、点灯状態が変更されて照射されるため、ユーザは異常状態を速やかに気づくことができる。
【0012】
請求項2に記載の発明によれば、異常表示用光源は、除電除塵作業中において、除電除塵対象物の吹き付け箇所に、照明用の光源として使用されることから、光源の部品点数を少なくでき、小型化を図ることができる。
【0013】
請求項3に記載の発明によれば、除電除塵作業中は、電圧発生手段による放電異常が生じたとき、注視している除電除塵対象物の吹き付け箇所に、照明の点灯態様と相違する可視光が射される。従って、ユーザは、放電異常を速やかに気づくことができる。
【0014】
請求項4に記載の発明によれば、小型で操作性を有する手持ち式の除電除塵装置にとって、電圧発生手段による放電異常が生じたとき、除電除塵対象物の吹き付け箇所に、照明の点灯態様と相違する可視光が射されることから、異常を速やかに気づくことができる。
【0015】
請求項5に記載の発明によれば、可視光線の色を変更することによって、ユーザに異常状態を速やかに気づかせることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明を具体化した除電除塵装置の一実施形態を図面に従って説明する。
図1に示すように、除電除塵装置10は、手持ち式、所謂ガン(ピストル)形状をなし、その本体ケース11は、筒形状の胴部11aと、その胴部11aの基端部から下方に延出形成された把手11bを有している。本体ケース11の胴部11aは、先端部が先細形状に形成され、その先端に吐出口12が開口形成され、その吐出口12にはノズルNが取着されている。そして、ノズルNからイオン化した空気が断続的に噴射されるようになっている。
【0017】
胴部11aのノズルN側の側面には、異常表示用光源としての照光ランプLが設けられている。照光ランプLは、可視光線(例えば、白色光)を出射する発光ダイオードよりなり、図3に示すように、ノズルNから噴射したイオン化した空気Aを除電除塵対象物Wに吹き付けるとき、その除電除塵対象物Wの吹き付け場所Zにその可視光線Lvを照射するように配置されている。
【0018】
また、胴部11aの一側面には、間欠モード設定スイッチSW1及び点灯モード設定スイッチSW2が設けられている。間欠モード設定スイッチSW1は、周期的に強弱を加えたイオン化された空気Aを、ノズルNから吐出する際の吐出タイミングを設定するためのスイッチである。変更手段としての点灯モード設定スイッチSW2は、照光ランプLの複数の表示態様の中から1つを設定するためのスイッチである。
【0019】
なお、胴部11aの上面基端部には、環状の掛け止め13が延出形成され、除電除塵装置10を吊下する際に、フック(図示せず)に引っ掛けられるようになっている。
本体ケース11の把手11bには、トリガー14が設けられている。トリガー14は把手11bを握った手の指で押されえると、本体ケース11内に没入して、図2に示す同ケース11内に設けられたスイッチング手段及としてのトリガースイッチSW3をオフからオンさせるようになっている。また、トリガー14は、指をトリガー14から離すと元の状態に復帰し、トリガースイッチSW3をオンからオフにする。トリガースイッチSW3は、自動復帰型のスイッチであって、トリガー14が指で押されている間オン状態となり、指が離されると自動復帰してオフ状態になる。
【0020】
図2に示すように、本体ケース11の胴部11a内の基端部よりには、空気制御手段としての電磁弁ユニット15が設けられている。
電磁弁ユニット15は、電磁弁16と、電磁弁16を駆動制御する電磁弁制御回路部17を備えている。電磁弁16は、その一端(上流側)に空気導入ホース18が接続されている。空気導入ホース18は、本体ケース11の把手11b内を通って除電除塵装置10の外部に設けた空気供給源19に接続されている。空気供給源19は、圧縮ポンプ及び蓄圧器等で構成され一定圧力の空気を供給する。従って、電磁弁ユニット15(電磁弁16)には、空気導入ホース18を介して、常に一定圧力の空気が空気供給源19から供給されるようになっている。
【0021】
電磁弁16の他端(下流側)には、空気流路管20の基端部が連結され、その空気流路管20の先端部は胴部11aの吐出口12に取着した導電部材よりなる金属製のノズルNと連結されている。従って、電磁弁ユニット15(電磁弁16)は、空気導入ホース18を介して、空気供給源19から供給される一定圧力の空気を、空気流路管20を介して、ノズルNから噴出させることができる。
【0022】
詳述すると、電磁弁ユニット15の電磁弁制御回路部17は、電磁弁16を駆動して電磁弁16を開状態にすると、空気供給源19からの一定圧力の空気を空気流路管20に送出してノズルNから噴出させる状態にすることができる。反対に、電磁弁制御回路部17は、電磁弁16を駆動して電磁弁16を閉状態にすると、空気供給源19からの一定圧力の空気を遮断し、ノズルNから該空気の噴出を停止させる状態にすることができる。
【0023】
ノズルNは、その内側面に絶縁部材よりなる円筒状の絶縁体21が取着されている。従って、円筒状の絶縁体21の内側を、空気流路管20から送出された空気が流れる。
空気流路管20内であって絶縁体21の近傍位置には、放電針22が配置されている。放電針22は、絶縁体よりなる間隔保持部材23を介して空気流路管20に支持固定されているとともに、空気流路管20に対して電気的に絶縁されている。また、電磁弁16から送出される空気は間隔保持部材23で形成された空気流路管20と放電針22との間を介してノズルNに流れるようになっている。
【0024】
そして、放電針22とノズルNとの間に高周波高電圧の放電電圧Vが印加されると、放電針22とノズルNとの間にコロナ放電が発生し、このコロナ放電によりノズルN及び空気流路管20内にある空気がプラス又はマイナスにイオン化されるようになっている。本実施形態では、ノズルN及び空気流路管20内をイオン生成室24とする。従って、電磁弁16が閉状態にある時、放電針22とノズルNとの間に高電圧の交流電圧が印加されると、イオン生成室24内にプラス又はマイナスにイオン化された空気が生成され滞留する。そして、イオン生成室24内に生成されたイオン化された空気が滞留している状態から電磁弁16を開状態にすると、電磁弁ユニット15(電磁弁16)から一定圧力の空気が空気流路管20(イオン生成室24)内に送出される。これによって、イオン生成室24内に滞留していたイオン化された全ての空気Aは、ノズルNから除電除塵対象物Wに向かって噴出される。
【0025】
本体ケース11の胴部11a内には、電圧発生手段としての放電電圧生成ユニット25が設けられている。放電電圧生成ユニット25は、圧電トランス26と、圧電トランス26を駆動制御する放電制御回路部27を備えている。放電制御回路部27は、本体ケース11の把手11b内を通って伸びる配線28を介して除電除塵装置10の外部に設けた電圧電源29に接続されている。放電制御回路部27は、電圧電源29からの電源電圧を圧電トランス26に供給制御して、圧電トランス26から高周波高電圧の放電電圧Vを放電針22とノズルNとの間に印加制御するようになっている。
【0026】
本体ケース11の胴部11a内には、異常判定手段及び異常報知手段としての異常表示制御ユニット30が設けられている。異常表示制御ユニット30は、異常判定回路部31(図4参照)及び表示制御回路部32(図4参照)を備えている。異常表示制御ユニット30は、電磁弁16の異常及び圧電トランス26の異常を判定し、異常と判定したとき、照光ランプLの表示態様を通常の表示態様と異なる表示態様に変更させて、ユーザに報知するようになっている。
【0027】
なお、除電除塵装置10の外部に設けた電圧電源29は、電磁弁ユニット15及び異常表示制御ユニット30にも電源電圧を供給している。
次に、上記のように構成した除電除塵装置10の電気的構成について説明する。
【0028】
図4において、放電電圧生成ユニット25に設けられた放電制御回路部27は、トリガースイッチSW3と接続され、トリガースイッチSW3からオン・オフの起動制御信号SG1を入力する。放電制御回路部27は、トリガースイッチSW3のオンに応答して、即ち、図5(a)に示すように起動制御信号SG1がオフからオンに立ち上がる時の立ち上がり信号に応答して、図5(b)に示すように圧電トランス26の一次端子に高周波電圧を印加し、同圧電トランス26の2次端子から高周波高電圧の放電電圧Vを放電針22とノズルN間に印加する。このとき、トリガースイッチSW3がオンしている間、放電制御回路部27は、圧電トランス26を介して高周波高電圧の放電電圧Vを放電針22とノズルN間に印加する。
【0029】
そして、トリガースイッチSW3がオフすると、即ち、図5(a)に示すように起動制御信号SG1がオンからオフに立ち下がる時の立ち下がり信号に応答して、放電制御回路部27は、図5(b)に示すように放電針22とノズルN間への放電電圧Vの印加を停止する。
【0030】
電磁弁ユニット15に設けられた電磁弁制御回路部17は、間欠モード設定スイッチSW1からの選択信号を入力する。間欠モード設定スイッチSW1は、電磁弁16の間欠開閉動作の条件、即ち、デューティー比を設定するスイッチである。本実施形態では、図5(c)(d)に示すように、第1間欠モードと第2間欠モードの2通りのデューティーが設定できるようになっている。
【0031】
詳述すると、図5(c)に示す第1間欠モードにおけるタイミング信号SG2は、周期Tに対するパルス幅T1(電磁弁16が開状態にある時間)が、図5(d)に示す第2間欠モードにおけるタイミング信号SG2の、周期Tに対するパルス幅T2(電磁弁16が開状態にある時間)より長く設定されている。
【0032】
また、電磁弁制御回路部17は、トリガースイッチSW3と接続され、トリガースイッチSW3からオン・オフの起動制御信号SG1を入力する。電磁弁制御回路部17は、トリガースイッチSW3のオンに応答して、即ち、図5(a)に示すように起動制御信号SG1がオフからオンに立ち上がる時の立ち上がり信号に応答して、間欠モード設定スイッチSW1で選択した第1間欠モードまたは第2間欠モードのデューティーで、電磁弁16の開閉動作を開始させるようになっている。
【0033】
つまり、吹き付ける時間を長くして一定の量イオン化された空気を吹き付けて除電除塵したい場合には、間欠モード設定スイッチSW1にて第1間欠モードが選択される。また、吹き付ける時間を小刻みにして大量にイオン化された空気を吹き付けて除電除塵したい場合には、間欠モード設定スイッチSW1にて第2間欠モードが選択される。
【0034】
また、電磁弁制御回路部17は、トリガースイッチSW3がオンからオフになると、即ち、図5(a)(c)(d)に示すように、起動制御信号SG1がオフに立ち下がる時の立ち下がり信号に応答して、その立ち下がりから予め設定した時間Txの間、電磁弁16を開状態にした後、閉状態にするタイミング信号SG2(補助タイミング信号SG2a)を新たに生成し電磁弁16も出力する。
【0035】
詳述すると、例えば、図5(c)に示すように、起動制御信号SG1がオフに立ち下がった時点において、タイミング信号SG2にて電磁弁16が開状態を継続している時、電磁弁制御回路部17は、その立ち下がった時点から予め設定した時間Tx経過後に電磁弁16を閉状態にするタイミング信号SG2(補助タイミング信号SG2a)を新たに生成する。
【0036】
また、図5(d)に示すように、起動制御信号SG1がオンからオフに立ち下がった時点において、電磁弁制御回路部17は、タイミング信号SG2にて電磁弁16が閉状態を継続している時、立ち下がった時点から電磁弁16を開状態にして予め設定した時間Tx経過後に電磁弁16を閉弁するタイミング信号SG2(補助タイミング信号SG2a)を新たに生成する。
【0037】
つまり、補助タイミング信号SG2aを生成し、トリガースイッチSW3のオフとともに空気のイオン化生成が停止されても、そのまま電磁弁16を閉状態にしないで、予め設定した時間Tx、電磁弁16を開状態に保持する。そして、その間、イオン生成室24内に生成されて滞留しているイオン化された全ての空気を、イオン生成室24から吐出口12を介して吐出させるようにしている。
【0038】
従って、トリガースイッチSW3をオフさせて、除電除塵装置10による除電除塵対象物に付着した塵の除去作業を終了した時、イオン生成室24内にイオン化された空気が滞留していることはない。従って、イオン生成室24内にイオン化された空気が滞留していることによって、除電除塵装置10内の樹脂または金属からなる各種構成部品等を劣化・腐食させることはない。
【0039】
異常表示制御ユニット30に設けられた異常判定回路部31は、トリガースイッチSW3と接続され、トリガースイッチSW3からオン・オフの起動制御信号SG1を入力する。異常判定回路部31は、トリガースイッチSW3のオンに応答して、即ち、図6(a)に示すように起動制御信号SG1がオフからオンに立ち上がる時の立ち上がり信号に応答して、異常判定動作を開始する。そして、トリガースイッチSW3がオフすると、即ち、図5(a)に示すように起動制御信号SG1がオンからオフに立ち下がる時の立ち下がり信号に応答して、異常判定回路部31は、異常判定動作を停止する。
【0040】
異常判定回路部31は、放電異常検出回路33に接続されている。放電異常検出回路33は、放電針22とノズルNとの間にかかる放電電圧Vを検出抵抗Rに流れる電流値から検出しその検出結果を異常判定回路部31に出力する。異常判定回路部31は、放電異常検出回路33が検出した放電針22とノズルNとの間にかかる電圧値に基づいて、何らかの原因で、図6(b)に示すように、途中で放電針22とノズルN間に放電電圧Vが印加されなくなったとき、イオン化された空気が生成されていないとして、図6(c)に示す、放電異常信号SG3を、表示制御回路部32に出力するようになっている。
【0041】
表示制御回路部32は、点灯モード設定スイッチSW2からの選択信号を入力する。点灯モード設定スイッチSW2は、照光ランプLの点灯条件を設定するスイッチである。本実施形態では、図6(d)(e)(f)に示すように、第1報知モード、第2報知モード及び第3報知モードの3通りのモードが設定できるようになっている。
【0042】
詳述すると、図6(d)に示す第1報知モードは、異常判定回路部31から放電異常信号SG3が出力されている間、照光ランプLを点灯させる点灯タイミング信号SG4を生成するモードである。図6(e)に示す第2報知モードは、放電異常信号SG3が出力されていない間、照光ランプLを点灯させ、放電異常信号SG3が出力されると照光ランプLを消灯させる点灯タイミング信号SG4を生成するモードである。図6(f)に示す第3報知モードは、放電異常信号SG3が出力されていないときには照光ランプLを点灯時間が長い点滅動作をさせ、放電異常信号SG3が出力されるときには照光ランプLを点灯時間が短くかつ周期が短い点滅動作を消灯させる点灯タイミング信号SG4を生成するモードである。
【0043】
このように、表示制御回路部32は、異常判定回路部31からの放電異常信号SG3と点灯モード設定スイッチSW2からの選択信号に基づいて、照光ランプLを各種モードに点灯制御する。従って、図6(d)に示す第1報知モードでは、照光ランプLが点灯することで異常を確認することができる。また、図6(e)に示す第2報知モードでは、点灯していた照光ランプLが消えることで異常を確認することができる。さらに、図6(f)に示す第3報知モードでは、照光ランプLの点滅周期が短くなることで異常を確認することができる。
【0044】
しかも、いずれの報知モードにおいても、照光ランプLの可視光線Lvは、図3に示すように、除電除塵対象物Wのイオン化した空気Aが吹き付けられる場所Zに照射される。従って、作業中、注視している除電除塵対象物の吹き付け箇所に、可視光線Lvが照射されることから、ユーザは異常状態を速やかに気づくことができる。
【0045】
次に、上記のように構成した実施形態の効果を以下に記載する。
(1)上記実施形態によれば、胴部11aに、印加する放電電圧Vに異常が生じたときに、その異常を報知する照光ランプLを設けた。そして、照光ランプLは、ノズルNから噴射したイオン化した空気を除電除塵対象物Wに吹き付けるとき、その除電除塵対象物Wの吹き付け場所Zにその可視光線Lvが照射されるように配置した。
【0046】
従って、除電除塵作業中に、ユーザは、除電除塵対象物Wのイオン化された空気が直接吹き付け場所Zを注視しているため、照光ランプLの表示の態様の変化を見逃すことなく異常を確認でき、異常解消のための対策を速やかに実行することができる。
【0047】
しかも、第1報知モードを選択すれば、照光ランプLが点灯することで異常を確認することができる。また、第2報知モードを選択すれば、点灯していた照光ランプLが消えることで異常を確認することができ、正常時には、除電除塵対象物Wの吹き付け箇所に、照光ランプLからの可視光線Lvが常時照射されるので、明るい状態で除塵状況を把握しながら作業が行える。さらに、第3報知モードを選択すれば、照光ランプLの点滅周期が短くなることで異常を確認することができる。
【0048】
(2)上記実施形態によれば、トリガー14をオン操作することによって、放電電圧生成ユニット25(放電制御回路部27)にて放電針22とノズルN間に放電電圧Vが印加されイオン生成室24にイオン化した空気を生成した。また、これと同時に、電磁弁ユニット15(電磁弁制御回路部17)にて電磁弁16を、間欠モード設定スイッチSW1で設定したデューティー比で、開閉動作させるようにした。
【0049】
従って、イオン化された空気を、周期的に強弱を加えて除電除塵対象物Wに吹き付けることができ、除電除塵対象物Wに付着した塵を効率よく除去することができる。
(3)上記実施形態によれば、トリガー14のオフ操作に応答して、即ち、起動制御信号SG1の立ち下がり信号に応答して、放電電圧生成ユニット25(放電制御回路部27)にて放電針22とノズルN間への放電電圧Vの印加を停止した。このとき、起動制御信号SG1の立ち下がり信号に応答して、電磁弁ユニット15(電磁弁制御回路部17)は、補助タイミング信号SG2aを生成し、電磁弁16を予め設定した時間Txの間、開状態にした後、閉状態にするようにした。
【0050】
つまり、トリガー14のオフ操作に応答して、放電針22とノズルN間への放電電圧Vの停止とともに、電磁弁16を、開状態にあったなら閉状態にして、また、閉状態にあったならそのまま動作を終了させないで、予め設定した時間Tx、電磁弁16を、開状態した。
【0051】
従って、放電終了時においてイオン生成室24に残っているイオン化された空気は、予め設定した時間Tx、電磁弁16を開状態したことにより、ノズルNから吐出されて、イオン生成室24残されることはない。その結果、イオン生成室24内にイオン化した空気が残らないことから、イオン化した空気(オゾン)が除電除塵装置10内に設けた樹脂または金属からなる構成部品を劣化・腐食させることがない。
【0052】
尚、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
・上記実施形態では、図6(e)に示す第2報知モードにおいては、点灯していた照光ランプLが消えることで異常を確認することができるようにした。これを、図7(d)に示すように、点灯していた照光ランプLを、点滅動作に変更することによって異常を確認することができるようにしてもよい。
【0053】
・上記実施形態では、点灯モード設定スイッチSW2にて、3種類の報知モードを選択できたが、いずれか1だけのしかできない除電除塵装置10に応用してもよい。
・上記実施形態では、照光ランプLの異常表示を、一色(白色)の可視光線Lvによる点灯、消灯または点滅等の点灯状態の変更で行った。これを、複数の異なる色の照光ランプLを用意し、色を変えることによって異常表示を報知するようにしてもよい。
【0054】
例えば、赤(R)、緑(G)、青(B)の発光ダイオードを用意し、通常時には、赤(R)、緑(G)、青(B)の発光ダイオード全てを発光させ、放電異常の場合には赤(R)の発光ダイオードを発光させ、その他の異常の場合は、緑(G)または青(B)の発光ダイオードを発光させるようにして実施してもよい。勿論、複数の発光ダイオードを組み合わせた色を種々使って実施してもよい。
【0055】
・上記実施形態では、照光ランプLは、図6(d)(e)(f)に示すように、トリガースイッチSW3がオン状態において、点灯制御されるようにした。これを、トリガー14(トリガースイッチSW3がオン状態)のオン操作に関係なく除電除塵装置10に電源を投入して除電除塵装置10を立ち上げた時から、点灯制御するようにして実施してもよい。例えば、常には、照明のために照光ランプLを点灯状態にし、異常が発生したとき、照光ランプLを点滅状態に制御する。また、常には、照光ランプLを消灯状態にし、異常が発生したとき、照光ランプLを点滅状態に制御する。
【0056】
・上記実施形態では、放電電圧Vの異常についてのみ、異常判定回路部31が検出し、照光ランプLにて異常報知するようにした。これを、その他の異常、例えば、電磁弁16が正常に開閉動作されていないことを検出して、照光ランプLにて報知するようにしてもよい。この場合、異常箇所に応じて点灯態様を変更して実施してもよい。
【0057】
・上記実施形態では、手で持って、除電除塵対象物Wに向けてイオン化した空気Aを吹き付ける、いわゆる、ガン(ピストル)タイプの除電除塵装置に具体化したが、これに限定されるものではなく、周期的に強弱を加えたイオン化された空気を除電除塵対象物に吹き付けて塵を除去する除電除塵装置であればなんでもよい。例えば、ボックス状の除電除塵室を有し、その除電除塵室に除電除塵対象物を配置すると、その除電除塵対象物の配置を検出して、除電除塵対象物Wに向けてイオン化した空気を吹き付けて、除塵するボックスタイプの除電除塵装置に応用してもよい。この場合、照光ランプLが、その除電除塵対象物Wの吹き付け場所Zに、可視光線Lvを照射することによってユーザに異常を知らせることになる。
【0058】
・上記実施形態では、ノズルNの噴射口は、ストレートの貫通穴よりなる1つ噴射口であったが、これに限定されるものではなく、例えば、内径の短い噴射口を複数形成して、シャワーのように各噴射口から空気Aを噴射するタイプにノズル等を使用して実施せてもよい。
【0059】
・上記実施形態では、間欠モード設定スイッチSW1にて第1間欠モードと第2間欠モードの2種類のイオン化された空気Aの吹き出しモードを設定することができたが、1種類のみ、または3種類以上設定できるようにして実施してもよい。また、デューティー比が100%、即ち、連続吹き付けモードも設定できるように実施してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】除電除塵装置の斜視図。
【図2】除電除塵装置の断面図。
【図3】照光ランプの照射状態を説明する説明図。
【図4】除電除塵装置の電気的構成を説明するための電気ブロック回路図。
【図5】除電除塵装置の電磁弁の開閉動作を説明するためのタイムチャートであって、(a)はトリガー信号のタイムチャート、(b)は放電電圧のタイムチャート、(c)は第1間欠モードにおけるタイミング信号と補助タイミング信号のタイミングチャート、(d)は第2間欠モードにおけるタイミング信号と補助タイミング信号のタイミングチャート。
【図6】除電除塵装置の照光ランプLの点灯動作を説明するためのタイムチャートであって、(a)はトリガー信号のタイムチャート、(b)は放電電圧のタイムチャート、(c)は異常信号のタイミングチャート、(d)は第1点灯モードにおけるタイミング信号のタイミングチャート、(e)は第2点灯モードにおけるタイミング信号のタイミングチャート、(f)は第2点灯モードにおけるタイミング信号のタイミングチャート。
【図7】除電除塵装置の照光ランプLの点灯動作の別例を説明するためのタイムチャートであって、(a)はトリガー信号のタイムチャート、(b)は放電電圧のタイムチャート、(c)は異常信号のタイミングチャート、(d)はタイミング信号のタイミングチャート。
【符号の説明】
【0061】
10…除電除塵装置、11…本体ケース、11a…胴部、11b…把手、12…吐出口、14…トリガー、15…電磁ユニット、16…電磁弁、17…電磁弁制御回路部、18…空気導入ホース、19…空気供給源、20…空気流路管、21…絶縁体、22…放電針、24…イオン生成室、25…放電電圧生成ユニット、26…圧電トランス、27…放電制御回路部、30…表示制御ユニット、31…異常判定回路部、32…表示制御回路部、33…検出回路、A…空気、L…照光ランプ、Lv…可視光線、SW1…間欠モード設定スイッチ、SW2…点灯モード設定スイッチ、SW3…トリガースイッチ、V…放電電圧、W…除電除塵対象物、Z…場所。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体ケース内に備えた放電針と、
前記放電針に電圧を印加してイオンを発生させる電圧発生手段と、
空気供給源からの空気を導くと共に、前記本体ケースの外に出射して前記イオンを除電除塵対象物へ吹き付ける空気制御手段と、
前記空気制御手段により前記除電除塵対象物へ前記イオンを吹き付けるためのトリガー入力を行うスイッチング手段と、
を備えた除電除塵装置であって、
前記本体ケース外の前記イオンの出射方向に沿った光を出射し、前記除電除塵対象物に可視光を照射する異常表示用光源と、
前記電圧発生手段及び前記空気制御手段の少なくとも一方の異常を検出する異常判定手段と、
前記異常判定手段によって前記異常を検出してないときと検出したときとで、前記異常表示用光源の点灯状態を変更することによって、前記可視光の前記除電除塵対象物への照射状態を変える異常報知手段と
を備えたことを特徴とする除電除塵装置。
【請求項2】
請求項1に記載の除電除塵装置において、
前記異常表示用光源は、前記除電除塵対象物へ前記イオンを吹き付けて除電除塵動作を行っている際に、前記除電除塵対象付近を照らす照明用の光源と兼用されることを特徴とする除電除塵装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の除電除塵装置において、
前記異常判定手段は、前記電圧発生手段での放電異常を検出する判定手段であることを特徴とする除電除塵装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の除電除塵装置において、
前記本体ケースは、把手を有した手持ち式であることを特徴とする除電除塵装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の除電除塵装置において、
前記異常表示用光源は、複数の異なる可視光線を有する光源であり、前記異常を検出してないときと検出したときとで、前記可視光線の色を異ならせることを特徴とする除電除塵装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−482(P2010−482A)
【公開日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−163777(P2008−163777)
【出願日】平成20年6月23日(2008.6.23)
【出願人】(000106221)サンクス株式会社 (578)
【Fターム(参考)】