説明

陽イオン分析イオンクロマトグラフィ用カラム

【課題】陽イオン分析イオンクロマトグラフィ用カラムにおいて、特殊な溶離液や高濃度溶離液を必要とせず、1価及び2価陽イオンをバランス良くかつ短時間で分離できるカラムを提供する。
【解決手段】溶離液の酸濃度が0.5mM〜5.0mMで溶出する下式(I)で示されるアンモニウム/ナトリウム/カルシウムの保持時間の商が0.05以上となる陽イオン分析イオンクロマトグラフィ用カラムであって、好ましくは、真空度700mmHg〜760mmHg、温度70℃〜120℃で5時間〜150時間、熱処理した陽イオン交換体が充填されてなる。
TNH/TNa/TCa ………(I)
(ただし、式(I)中、TNHは、アンモニウムの保持時間を、TNaは、ナトリウムの保持時間を、TCaは、カルシウム、マグネシウムで溶出が遅い方の保持時間を示す。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、イオンクロマトグラフィ用カラム、特に陽イオン分析イオンクロマトグラフィ用カラムに関する。さらに詳しくは、弱酸性陽イオン交換カラム、1価、2価陽イオンの同時分析イオンクロマトグラフィ用カラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、無機イオンの分析にはイオンクロマトグラフィが用いられ、近年はその簡便さから環境水、原子力や半導体関連の工業用水、大気中のイオン分析に重用されてきている。
1価および1価以外の陽イオンを分離分析するイオンクロマトグラフィは、スチレン/ジビニルベンゼン共重合体にスルホン酸基を化学結合させたものやシリカゲルにプロピルスルホン酸基を化学結合させた強酸性のイオン交換体が広く用いられてきた。しかしながら、これらの強酸性イオン交換体を用いたカラムでは、試料中に混在する重金属イオンがイオン交換体に吸着して本来の分析に弊害を及ぼしたり、1価以外の2価陽イオンや重金属イオンの吸着を起こし溶出しなかったり、保持時間の短縮を起こすため、同一の溶離条件では1価及び1価以外の陽イオンを同時に測定できないなどの問題があった(例えば、非特許文献1参照。)。
【0003】
近年、この問題を解決する弱酸性陽イオン交換体として、シリカゲル表面に、4%のジキュミルパーオキサイドを含むポリブタジエンマレイン酸(モル比1対1)の被膜を形成した弱酸性陽イオン交換体が発表された(非特許文献2参照。)。
この弱酸性陽イオン交換体を使ったイオンクロマトグラフィでは、溶離液に弱酸である有機酸を用いて一度の測定で、1価と2価の陽イオンを同時に分離分析できるものの、1価陽イオン溶出後の、2価陽イオンの溶出が遅いという問題がある。
【0004】
そこで、この方法を改善する工夫として、同じ陽イオン交換体を用いて溶離液中にピリジン−2,6ジカルボン酸を添加し、2価陽イオンとの錯体を形成させることにより2価陽イオンの保持容量比を選択的に減少させ測定時間を短くする方法が発表された(非特許文献3参照。)。また、被覆したポリマーの脱離を防止するため、ポリブタジエンマレイン酸と橋架け剤となるトリアリルイソシアヌレート等のポリビニル化合物を反応させた弱酸性陽イオン交換体も発表された(特許文献1参照。)。
さらに、グリシジル基を含有する粒子のグリシジル基を加水分解し、その水酸基に多塩基酸化合物を反応させてイオン交換基を導入した弱性陽イオン交換体もある。
陽イオン交換体の一般的な製造方法は、例えば特許文献2に提案されている。
【非特許文献1】日本分析化学会関東支部編集、高速液体クロマトグラフィーハンドブック(丸善)
【非特許文献2】Chromatographia、Vol.23,No.7,p465−472
【非特許文献3】Am.Lab.(Fair field Conn.)Vol.21,No.5,p92−101
【特許文献1】特開平5−96184号公報
【特許文献2】特開平11−156216号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、これらの方法で製造した弱酸性陽イオン交換カラムには、溶離液の酸濃度が5mM以下の低濃度の場合、一価陽イオン(特にアンモニウム/ナトリウム)の分離を良くすると、2価陽イオンの溶出が遅くなるという課題がある。
【0006】
本発明は、ピリジン−2,6−ジカルボン酸や18-C-6クラウンエーテルのような特殊な試薬を添加した溶離液や、複数の酸からなる特殊な溶離液、または、10mM〜20mMの高濃度溶離液を必要とせず、1価及び2価陽イオンをバランス良く、つまり1価陽イオンの分離能を損なうことなく特にアンモニウム/ナトリウムの分離に優れ、かつ、1価陽イオンの分離後、1価陽イオンと2価陽イオンが離れすぎずに2価陽イオンが短時間に分離分析できるカラムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、溶離液の酸濃度が0.5mM〜5.0mMで溶出する下式(I)で示されるアンモニウム/ナトリウム/カルシウムの保持時間の商が0.05以上となる陽イオン分析イオンクロマトグラフィ用カラムに関する。
TNH/TNa/TCa ………(I)
(ただし、式(I)中、TNHは、アンモニウムの保持時間を、TNaは、ナトリウムの保持時間を、TCaは、カルシウム、マグネシウムで溶出が遅い方の保持時間を示す。)
このような陽イオン分析イオンクロマトグラフィ用カラムは、例えば、カラムに充填する陽イオン交換体を真空乾燥機で真空度700mmHg〜760mmHg、70℃〜120℃、5時間〜150時間熱処理することにより達成できる。
また、陽イオン交換体の交換基としては、一般式(II)の構造が望ましい。
【化1】

(ただし、一般式(II)中、nは1〜5の整数、Rは水素原子またはアルキル基を示す。)
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、陽イオン分析イオンクロマトグラフィ用カラムにおいて、特殊な溶離液や高濃度溶離液を必要とせず、1価及び2価陽イオンをバランス良く、すなわち1価陽イオンの分離能を損なわずに分離でき、特にアンモニウム/ナトリウムの分離に優れるカラムを提供できる。また、1価陽イオンの分離後、1価陽イオンと2価陽イオンが離れすぎずに2価陽イオンが短時間に分離分析できるカラムを提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
イオンクロマトグラフィの条件は特に限定しないが、溶離液の酸濃度が5mMを超える濃い場合は、5mM以下の場合に比べて、比較的1価及び2価陽イオンのバランスは良くなりやすいが、イオンクロマトのバックグランドが上がるため通常サプレッサ等の装置を必要とする。本発明に従えば、サプレッサ等の装置なしでイオンクロマトが使用できる低い酸濃度、つまり0.5mM〜5.0mM、好ましくは0.5mM〜3.0mMの濃度で、1価及び2価陽イオンをバランス良く、つまり、1価陽イオンの分離能を損なうことなく特にアンモニウム/ナトリウムの分離に優れ、かつ、1価陽イオンの分離後、1価陽イオンと2価陽イオンが離れすぎずに2価陽イオンが短時間に分離分析できるカラムが提供される。なお、0.5mM未満の低濃度の酸を溶離液として用いると、溶出力が不足し、2価陽イオンの保持が長くなったり、溶出しなくなったりする。
【0010】
1価陽イオン/2価陽イオンの溶出バランスの評価として、カルシウムの保持時間に対するアンモニウムの保持時間とナトリウムの保持時間の割合をアンモニウム/ナトリウム/カルシウムの保持時間の商として示した。
具体的には、下式(I)の商が大きいほどナトリウムとアンモニウムの分離に優れ、1価陽イオンと2価陽イオンが離れていないことを示す。
TNH/TNa/TCa ………(I)
(ただし、式(I)中、TNHは、アンモニウムの保持時間を、TNaは、ナトリウムの保持時間を、TCaは、カルシウム、マグネシウムで溶出が遅い方の保持時間を示す。)
本発明では、アンモニウム/ナトリウム/カルシウムの保持時間の商が0.05以上となる陽イオン分析イオンクロマトグラフィ用カラムを提供できる。なお、上記TCaは、通常、カルシウムの保持時間であることが多い。式(I)の商の値は、好ましくは0.06以上である。
【0011】
真空乾燥機で陽イオン交換体を真空度700mmHg〜760mmHg、温度70℃〜120℃で熱処理すると、マグネシウム、カルシウム等の2価陽イオンの保持時間が熱処理時間と比例的に短縮出来、アンモニウム、ナトリウム等の1価陽イオンの保持時間は余り短縮されない。これは真空乾燥熱処理により、カラム中のイオン交換体の大きな細孔が潰れ、イオン半径が大きい2価陽イオンは細孔に保持されなくなるためと推定される。結果として該処理方法を用いると溶離液の酸濃度が0.5mM〜5.0mMでも溶出するアンモニウム/ナトリウム/カルシウムの保持時間の商が0.05以上となる陽イオン分析用カラムを作製できる。真空度700mmHg未満では、2価陽イオンの保持時間の短縮が遅い傾向がある。また、温度が70℃未満でも同様に2価陽イオンの保持時間の短縮が遅く、120℃を超えると、イオン交換体ゲルの分解、交換基の脱離等が起きる場合がある。従って、熱処理温度は70℃〜90℃がより好ましい。
【0012】
熱処理時間は、2価陽イオンの保持時間、1価陽イオン/2価陽イオンのバランス(アンモニウム/ナトリウム/カルシウムの保持時間の商)を見ながら5〜150時間間で調整が可能である。5時間未満の場合は、熱処理の効果が少なく、150時間を超えるとイオン交換体の分解、交換基の脱離等が起きやすくなる。
【0013】
カラムに充填する陽イオン交換体は、1価及び2価陽イオンの同時分析をするためには、多価カルボン酸を有するものが好ましく、更に、上記した一般式(II)の構造を持つことがより好ましい。一般式(II)中、nは1〜5の整数、Rは水素原子またはアルキル基である。Rはメチル基またはエチル基が好ましい。
【0014】
1価と2価の陽イオンの溶出バランス性、つまり、イオンの分離能を損なうことなく、1価イオンの分離後、2価の陽イオンが離れすぎずに短時間に分離分析できることから、一般式(II)中の−COOR基の数nは2以上、5以下であることが好ましい。nは2であることがより好ましい。
本発明において、特に好ましい陽イオン交換体としては、一般式(II)で表されるイオン交換基において、1価と2価の陽イオンの溶出バランス性から、式中の−COOR基の数nが2以上、5以下であり、かつ、−COOR基がお互いに、隣接した炭素原子に結合している位置関係を1以上有することが好ましい。
【0015】
カラムに充填する陽イオン交換体の製造方法は特に限定されるものではなく、公知の一般的な陽イオン交換体の製造方法で製造することができる。
以下に、陽イオン交換体が、一般式(II)で表されるイオン交換基がエーテル結合を介して重合体粒子に結合したものである場合の、好ましい製造方法について説明する。ここで、重合体粒子は、イオン交換基以外の重合性単量体中の重合性炭素−炭素間二重結合の反応によって形成される。本発明において、重合又は共重合の方法は懸濁重合法、分散重合、ソープフリー重合等が用いられる。重合の容易さの点から懸濁重合がより好ましいが、これに限定されることはない。
【0016】
本発明における陽イオン交換体の製造方法としては、下記一般式(III)又は(IV)で表わされる化合物中の水酸基又はX基と反応性の官能基を有する重合性単量体を含む重合性単量体を重合または共重合して重合体粒子を製造した後、これに一般式(III)又は(IV)で表される化合物を反応させる方法が挙げられる。前記水酸基又はX基と反応性の官能基としては、グリシジル基、水酸基、ハロゲン等の基が挙げられ、少なくとも一種が用いられる。この製造方法により、一般式(II)で表される基を重合体粒子に導入できる。
また、一般式(II)で表されるイオン交換基を有する非架橋性重合性単量体を、他の共重合成分と共重合させて陽イオン交換体を製造することもできる。
さらに、前記反応性の官能基を有する重合性粒子、または重合後にエピクロルヒドリン等を反応してグリシジル基等を導入した重合性粒子に、一般式(II)の構造のイオン交換基をエーテル結合で直接導入することもできる。
【化2】

(ただし、一般式(III)、(IV)中、Rは一般式(II)と共通であり、nは1〜5の整数を示し、Xは炭素数4以下のハロアルキル基を示す。)
【0017】
本発明において、重合体粒子には、非架橋性重合性単量体および架橋性重合性単量体を併用することが好ましい。
陽イオン交換体に使用される非架橋性重合性単量体は、1分子中に1個の重合性の炭素−炭素間二重結合を有する単量体である。スチレン系、アクリル系及びメタクリル系の非架橋性重合性単量体が挙げられる。また、これらの非架橋性重合性単量体の誘導体としては、水酸基、グリシジル基、ハロゲン、アルキル基、アルキルオキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基等を有する誘導体があげられ、同様に用いられる。
【0018】
一般式(III)で表わされる化合物の水酸基と反応性の官能基であるハロゲン又はグリシジル基を有する非架橋性重合性単量体において、ハロゲンを有するスチレンの誘導体としては、スチレンの水素原子が塩素、臭素等原子に置換したもので、クロロメチルスチレン等の芳香環の側鎖に置換されたものが好ましい。例えば、クロロメチルスチレン、ジクロロメチルスチレン、ペンタブチルクロロスチレン等や、これらのクロロをブロモに変えたハロゲン化誘導体等が挙げられる。ハロゲンを有するアクリル酸エステルの誘導体としては、例えば、メタクリル酸クロロメチル、メタクリル酸クロロエチル、メタクリル酸クロロブチルチル等があげられる。
【0019】
また、グリシジル基を有するスチレンの誘導体としては、例えば、ビニルベンジルグリシジルエーテル、ビニルベンジルグリシジルエステル等が挙げられる。グリシジル基を有するアクリル酸、メタクリル酸の誘導体としては、例えば、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、グリシジルクロネート、グリシジルイタコネート、グリシジルフマレート、グリシジルマレート等が挙げられる。
【0020】
一般式(IV)で表わされる化合物のX基と反応性の官能基である水酸基又はグリシジル基を有する非架橋性重合性単量体において、水酸基を有するスチレンの誘導体としては、水酸基を1〜5個有するスチレンが挙げられ、他に水酸基以外の炭化水素基等を有しても良い。例えば、モノヒドロキシスチレン、ジヒドロキシスチレン、ペンタヒドロキシスチレン、モノメチルヒドロキシスチレン、ペンタエチルヒドロキシスチレン、モノプロピルヒドロキシスチレン、ペンタブチルヒドロキシスチレン等が挙げられる。
【0021】
また、水酸基を有するアクリル酸、メタクリル酸の誘導体としては、例えば、アクリル酸ヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシプロピル、ネオぺンチルグリコールモノアクリレート、テトラメチロールメタントリアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、メタクリル酸ヒドロキシプロピル、ネオぺンチルグリコールモノメタアクリレート、テトラメチロールメタントリメタアクリレート等が挙げられる。また、グリシジル基を有するスチレンの誘導体としては、例えば、ビニルベンジルグリシジルエーテル、ビニルベンジルグリシジルエステル等が挙げられる。グリシジル基を有するアクリル酸、メタクリル酸の誘導体としては、例えば、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、グリシジルクロネート、グリシジルイタコネート、グリシジルフマレート、グリシジルマレート等が挙げられる。
【0022】
一般式(III)又は(IV)で表わされる化合物の水酸基、X基と反応性の官能基を有しない非架橋性重合性単量体において、アルキル基を有するスチレンの誘導体としては、炭素数1〜4のアルキル基又はアルケニル基等の炭化水素を1〜5個有するスチレンが挙げられ、具体的にはα−メチルスチレン、ジメチルスチレン、ビニルトルエン、p−t−ブチルスチレン等が挙げられる。
【0023】
アルキル基を有するアクリル酸、メタクリル酸の誘導体としては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ドデシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸ウンデシル、メタクリル酸ドデシル等が挙げられる。
【0024】
アルキルオキシ基を有するアクリル酸、メタクリル酸の誘導体としては、例えば、アクリル酸メトキシエチル、アクリル酸メトキシエチレングリコール、アクリル酸メトキシジプロピレングリコール、メタクリル酸メトキシエチル、メタクリル酸プトキシトリエチレングリコール、メタクリル酸メトキシジプロピレングリコール等が挙げられる。
【0025】
また、アリールオキシ基又はアラルキルオキシ基を有するものとして、例えば、アクリル酸フェノキシエチル、アクリル酸フェノキシテトラエチレングリコール、アクリル酸ベンジル、アクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸テトラヒドロフルフリル等が挙げられる。また、その他、アクリル酸ジシクロペンテニル、メタクリル酸ジシクロペンテニルオキシエチル、アクリル酸N−ビニル−2−ピロリドン等が挙げられる。その他の非架橋性重合性単量体としては、例えば、アクリロニトリル、メタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、ビニルピリジン等が挙げられる。これら上記の具体例に限定されるものではなく、さらに、これらを数種混合することもできる。
【0026】
より好ましくは、重合後のイオン交換基の導入が不要で製造が容易で効率的な点から、一般式(II)で表されるイオン交換基を有しかつエーテル結合で結合された構造を有する非架橋性重合性単量体が望ましい。例えば、フタル酸ビニルエーテル、フタル酸1−メチルビニルエーテル、ヒドロキシフタル酸ビニルエーテル、ヒドロキシフタル酸1−メチルビニルエーテル、トリメリット酸ビニルエーテル、トリメリット酸1−メチルビニルエーテル、ピロメリット酸ビニルエーテル、ピロメリット酸1−メチルビニルエーテル及びこれらの誘導体が挙げられる。これら具体例に限定されるものではなく、さらに、これらは1種又は2種以上を組合せて使用することができる。
【0027】
本発明に使用される架橋性重合性単量体としては、1分子中に2個以上の重合性基を有する単量体であればいずれでもよい。1分子中に2個の重合性基を有する単量体としては、例えば、ジビニルベンゼン、グリコールとメタクリル酸あるいはアクリル酸のジエステル、例えばエチレングリコールジメタクリレート、エチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパンジメタクリレート、テトラメチロールメタンジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート等が挙げられ、1分子中に3個以上の重合性基を有する単量体としては、例えば、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールエタントリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート等が挙げられる。これら具体例に限定されるものではなく、さらに、これらを数種混合することもできる。
【0028】
本発明における非架橋性重合性単量体及び架橋性重合性単量体において、イオン交換基導入の容易さ、カラムヘの充填の容易さ、カラム耐久性等から前記の非架橋性重合性単量体と架橋性重合性単量体の配合比から計算した重合体粒子の溶解度パラメータ(SP値)は、9.5〜14(cal/cm31/2であることが好ましい。より好ましくは、9.7〜13.5(cal/cm31/2であり、さらに好ましくは、10.0〜13.0(cal/cm31/2の親水性重合体粒子である。SP値が、9.5より小さい重合体粒子にCOOR基を導入した陽イオン交換体では、疎水性が強くなり、イオン交換以外の分離が作用したり、水系での充填が難しくなったりする傾向がある。SP値が、14より大きいと重合体粒子の親水性が強くなりすぎて水溶液に対する重合体粒子の膨潤度が大きくなり、イオンクロマト用充填剤として機能しなくなる傾向がある。
【0029】
下記に示すSP値を示す重合性単量体を用いて、重合体粒子の溶解度パラメータを調整することができる。例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート(SP値:12.3)、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールモノ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート等の水酸基を含有する非架橋性重合性単量体又は架橋性重合性単量体と、エチレングリコールジメタクリレート(SP値:10.4)等の架橋性重合性単量体とを共重合させたものにエピクロロヒドリン等を反応させてグリシジル基を導入したもの、グリシジル(メタ)アクリレート(SP値:10.7)等のグリシジル基含有非架橋性重合性単量体と、エチレングリコールジメタクリレート(SP値:10.4)等の架橋性重合性単量体とを共重合させたものが挙げられる。
【0030】
重合体粒子を得るための、上記の非架橋性重合性単量体と架橋性重合性単量体との重合比は、90〜30重量%:10〜70重量%が好ましい。架橋性重合性単量体が10重量%未満であると、得られる弱酸性イオン交換樹脂の機械強度が乏しく、繰り返し使用における耐久性が劣り、安定した分離分析ができなくなる傾向がある。また、架橋性重合性単量体が70重量%を超えると場合によっては細孔径の調整ができにくくなる傾向がある。重合体粒子を得るための重合又は共重合の際には、必要に応じ、その他の公知の非架橋性重合性単量体や架橋性重合性単量体を用いて共重合させることができる。
また、重合体粒子を得るための重合または共重合に際しては、上記のような非架橋性重合性単量体及び/又は架橋性重合性単量体は、不活性な有機溶媒、例えばジメチルスルホキシド、キシレン、トルエン、ジオキサン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、アセトン、テトラヒドロフラン等に溶解されるのが好ましい。
【0031】
重合体粒子は水性媒体中で重合されるのが好ましい。水性媒体は、基本的には重合体粒子の元となる油滴を所望の大きさに乳化分散するためのもので、その量は、単量体の種類や量により左右されるので一概に決められないが、重合性単量体100重量部に対して80〜400重量部であることが好ましい。80重量部未満では乳化分散液の粘度が上昇し、所望の油滴を調整しにくくなる傾向があり、また400重量部を越えると、製造バッチあたりの重合体粒子の収量が悪くなり、生産性の低下等の問題が生じる場合がある。媒体中のモノマー及び有機溶媒の油滴を安定化させるためにゼラチン、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、あるいはヒドロキシアパタイト等の分散剤を使用することができる。
【0032】
上記分散剤の中には単独ではその機能を十分あらわさないものがあり、それには分散助剤を加えることが有効である。この分散助剤としては一般に知られている界面活性剤、陽イオン系、陰イオン系、ノニオン系界面活性剤が使用されるが、その中で特に陰イオン界面活性剤が好ましい。陰イオン界面活性剤としては、例えばアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、α−オレフィンスルホン酸ナトリウム、アルキルスルホン酸ナトリウム、あるいはこれらの金属塩等がある。陰イオン界面活性剤は水性媒体に対し、1×10-4〜0.1重量%添加されるのが好ましい。1×10-4重量%未満では、分散助剤としての機能が発現しにくくなる傾向があり、0.1重量%を超えるとこれ自体分散剤または乳化剤として機能してしまい、良好な懸濁重合が行えなくなる傾向がある。
【0033】
重合または共重合に用いられる重合開始剤としては、過酸化物系ラジカル開始剤、アゾ系ラジカル開始剤が好ましく、例えば、過酸化ベンゾイル、過安息香酸−2−エチルヘキシル、過酸化アセチル、アセトンジ−tert−ブチルペルオキシケタール、ジイソプロピルヒドロペルオキシド等の過酸化物系ラジカル重合開始剤、2,2′−アゾビスイソブチロニトリル、2,2´−アゾビス(2−メチルプロパン)等のアゾ系重合開始剤が挙げられる。
【0034】
ラジカル重合開始剤は、重合性基を1個有する単量体100重量部に対して0.05〜10重量部使用されるのが好ましい。使用量が0.05重量部未満では重合時間が長くなり、また未反応の単量体が重合体微粒子中に残存する傾向がある。一方、使用量が10重量部を越える場合は重合開始剤が無駄であるばかりでなく、重合中の発熱制御が困難で、分子鎖長が不十分等の問題が発生する傾向がある。
【0035】
本発明における陽イオン交換体は多孔性をもたせるため、さらに細孔調節剤として、重合時に種々の溶媒が加えられてもよい。この細孔調節剤となる溶媒は、前述の、不活性な有機溶媒と同じであってもよい。この溶媒としては重合性単量体には可溶で、重合体は溶解しないもので、具体的にはトルエン、キシレン、エチルベンゼン、ジエチルベンゼン、ヘプタノール、イソアミルアルコール、酢酸エチル、酢酸ブチル、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル等の脂肪族又は芳香族エステル、酢酸エチレングリコールモノエチルエーテル、ヘキサン、オクタン、デカン等、公知のものが使用できる。これらは得られる重合体のもととなる単量体の種類によって適宜使い分けられ、単独でもよいし、数種類併用しても良い。これらの溶媒の配合割合は、多孔性の点から重合性単量体総量に対して、好ましくは、5〜300重量%、より好ましくは20〜200重量%、さらに好ましくは50〜100重量%添加される。この配合割合が5重量%未満であったり、300重量%を超えたりすると所望の多孔性が得られにくくなり、また、得られる重合体は耐圧性の乏しいものになる傾向がある。
【0036】
本発明における陽イオン交換体に最終的に導入されているイオン交換基である−COOR基の量としては、0.5〜7.0ミリ当量/gが好ましく、より好ましくは1.0〜6.5ミリ当量/g、さらに好ましくは1.5〜6.5ミリ当量/g、特に好ましくは1.5〜6.0ミリ当量/gである。交換容量は乾燥した陽イオン交換体の−COOR基量として定義される。交換容量が0.5ミリ当量/g未満である場合は、1価イオン(Li+、Na+、NH4+、K+)の溶出後、2価イオン(Mg2+、Ca2+)の溶出が遅くなりやすい傾向があり実用的ではない。また、7.0ミリ当量/gを超えると、分離分析成分であるイオン成分が陽イオン交換体に強固に吸着されて溶出まで極端に時間がかかったり、溶離液濃度を高めてイオン成分の溶出を容易にするとイオンクロマトグラムの基準線(バックグランド)が高くなり、目的イオンの検出感度が低下して分離分析ができなかったりする傾向がある。
【0037】
重合体粒子に、一般式(II)の構造をエーテル結合で導入するには、一旦重合性粒子を製造した後に、前記一般式(III)又は一般式(IV)で表される化合物を用いて反応させることが好ましい。重合体粒子の官能基がハロゲンの場合、一般式(III)で表される化合物の水酸基を反応させることができ、重合体粒子の官能基が水酸基の場合、一般式(IV)で表される化合物のハロアルキル基のハロゲンを反応させることができる。また、重合体粒子の官能基がグリシジル基の場合、一般式(III)又は一般式(IV)で表される化合物の水酸基又はハロゲンを反応させることができる。一般式(III)及び一般式(IV)で表される−COOR基を有する化合物において、式中、Rは一般式(II)中のRと同じである。
【0038】
一般式(III)で表される化合物としては、例えば、ヒドロキシ安息香酸又はそのエステル化物、ヒドロキシフタル酸又はそのエステル化物等が挙げられ、具体的にはヒドロキシ安息香酸、ジヒドロキシ安息香酸、トリヒドロキシ安息香酸、テトラヒドロキシ安息香酸、ヒドロキシフタル酸、ジヒドロキシフタル酸、テトラヒドロキシフタル酸、ヒドロキシトリメリット酸、ジヒドロキシトリメリット酸、ヒドロキシピロメリット酸等及びこれらのエステルの誘導体が挙げられる。中でも、特にカルボキシル基どうしが隣接した位置関係にある構造を1つ以上有するフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸のエステル化物が好ましい。一般式(III)の化合物の使用量は特に制限はないが重合性粒子1gに対し0.3mM〜100mMが適している。
【0039】
また、一般式(IV)で表される化合物としては、例えば、クロルメチル安息香酸等又はそのエステル化物、クロルメチルフタル酸又はそのエステル化物等が挙げられ、具体的にはクロルメチル安息香酸、ジクロルメチル安息香酸、トリクロルメチル安息香酸、テトラクロルメチル安息香酸、クロルメチルフタル酸、ジクロルメチルフタル酸、テトラクロルメチルシフタル酸、クロルメチルトリメリット酸、ジクロルメチルトリメリット酸、クロルメチルピロメリット酸等及びこれらのエステルの誘導体が挙げられる。中でも、特にカルボキシル基どうしが隣接した位置関係にある構造を1つ以上有するフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸のエステルの誘導体が好ましい。一般式(IV)の化合物の使用量は特に制限はないが、重合性粒子1gに対し0.3mM〜100mMが適している。
【0040】
上記一般式(III)又は一般式(IV)で表される化合物を溶解する溶媒として、溶解でき、上記化合物と反応しない溶媒であれば、特に制限はなく、一般にジメチルスルホキシド、キシレン、トルエン、ジオキサン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、アセトン、テトラヒドロフラン等の有機溶媒が挙げられる。一般式(III)又は一般式(IV)で表される化合物の導入付加の条件としての反応温度は、用いる溶媒の融点以上、沸点以下であれば特に制限はない。ただし、交換容量の制御を容易にするためには80℃〜140℃が好ましい。温度が低すぎるとイオン交換基量が不足する傾向があり、高すぎると交換基が多すぎたり、イオン交換体の強度が不足したりする傾向がある。反応時間は特に制限はないが、均一な反応を進めるため、30分以上が好ましく、より好ましくは3〜10時間である。また、反応を迅速に進行させるために触媒を用いることができる。その触媒の種類としては、水酸化ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム等、トリメチルアミン、トリフェニルホスフィン等のアルカリ性触媒の使用が好ましい。その添加量は上記一般式(III)又は一般式(IV)で表される化合物に対して1〜l00重量%使用されるのが好ましい。
【0041】
上記一般式(III)で表される化合物がヒドロキシカルボン酸エステルである場合は、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等のアルカリ性水溶液を用いて、エステル部の加水分解を行いカルボキシル基に変換することができる。アルカリ濃度は0.1N以上が好ましく、より好ましくは0.1〜0.5Nである。
【0042】
なお、一般式(II)で表されるイオン交換基を有しかつエーテル結合で結合された構造を有する非架橋性重合性単量体を合成することもできる。この場合も、一般式(III)又は一般式(IV)で表される化合物を用いて反応させることが好ましい。一般式(III)又は一般式(IV)で表される化合物の導入の条件としては、重合体粒子に導入する条件と同じでよい。
【0043】
本発明における陽イオン交換体の平均粒子径は、得られる多孔性の重合体粒子の分離特性(理論段数、分離度)の指標となり、水性懸濁重合前の混合溶液を懸濁状態にする際の攪拌機の攪拌速度を調整することによって容易に制御できる。比表面積は、得られる重合体粒子の多孔性の指標となり、細孔調節剤の種類と配合量で調整することによって容易に制御できる。本発明における陽イオン交換体の平均粒子径としては、1〜50μmであることが好ましく、より好ましくは3〜30μm、さらに好ましくは5〜20μmである。比表面積としては1〜500m2/gであることが好ましく、より好ましくは10〜450m2/g、さらに好ましくは30〜400m2/g、特に好ましくは110〜300m2/gである。平均粒子径が1μm未満ではカラムに充填する際、圧力損失が大きくなりカラム圧力が上昇する傾向がある。また、50μmを超えるとクロマトグラムがブロードになる傾向となる。比表面積が1m2/g未満では充填した際の圧力上昇を招き、また、2価イオンの溶出が遅れる傾向があり、500m2/gを超えると充填剤の機械的強度が低下する傾向がある。
【実施例】
【0044】
次に、実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例1
<重合体粒子の合成>
エチレングリコールジメタクリレー卜 18g、テトラメチロールメタントリメタクリレート 21g、グリシジルメタクリレート 165g、酢酸n−ブチル 70g、イソアミルアルコール 130g及びアゾビスイソブチロニトリル 0.9gの混合物を0.5重量%メチルセルロース水溶液2000gに加え、90℃で10時間懸濁重合させた。
反応液を冷却した後、生成した共重合体を濾過し、水洗、メタノール洗浄して、重合体粒子を得た。得られた重合体粒子を平均粒子径6.5μmに分級し、次いで、60℃で15時間乾燥した。
【0045】
<交換基の導入>
ジメチルホルムアミド 1250mlにヒドロキシフタル酸ジメチルエステル 100g、トリフェニルホスフィン 50gを溶解した溶液に、上記の重合体粒子50gを加え、90℃で8時間反応させた。反応物を濾過し、ジメチルホルムアミド、アセトン、イオン交換水で洗浄し、次いで0.5N水酸化カリウム水溶液750mlに分散させ、80℃で4時間加水分解を行い、その後、1N硝酸、イオン交換水で洗浄して弱酸性陽イオン交換体を得た。
【0046】
<熱処理>
上記イオン交換体をメタノールで洗浄後、真空乾燥機で真空度755mmHg、75℃で、熱処理を34時間行った。
【0047】
<充填、評価>
上記熱処理済みイオン交換体5.0gをイオン交換水に分散させ、4.6φ×250mmのPEEK製カラムに加圧充填した。該カラムをイオンクロマトグラフ(横河アナリティカルシステムズ製品名IC7000)に装着して以下の条件で測定を行った。
溶離液:2.5mMしゅう酸
オーブン温度:40℃
流量:1.0ml/min
サンプル:リチウム(Li)0.5ppm、ナトリウム(Na)2ppm、アンモニウム(NH)2ppm、カリウム(K)5ppm、マグネシウム(Mg2+)5ppm、カルシウム(Ca2+)5ppm
試料注入量:50μl
【0048】
得られたクロマトグラムから各イオンの保持時間を表1に示した。また、これを数値化した指標として、得られたNH、Na、Ca2+イオンの保持時間から下式(I)によりその商を求めて表1に併記した。TCaは、カルシウムの保持時間であった。
TNH/TNa/TCa ………(I)
(ただし、式(I)中、TNHは、NHの保持時間を、TNaは、Naの保持時間を、TCaは、カルシウム、マグネシウムで溶出が遅い方の保持時間を示す。)
なお、TNH/TNa/TCaの商が大きい程、NaとNHの分離に優れ、1価陽イオンと2価陽イオンが離れていないことを示す。表1から、NaとNHの分離に優れ、かつ、1価陽イオンの分離直後に2価陽イオンが溶出し、1価陽イオンと2価陽イオンが離れすぎることなく短時間で分離できる良好な溶出バランスが示された。
【0049】
実施例2
<重合体粒子の合成>
実施例1と同様にして重合体粒子を合成した。
<交換基の導入>
実施例1と同様にして、重合体粒子に交換基を導入してイオン交換体を合成した。
<熱処理>
上記イオン交換体をメタノールで洗浄後、真空乾燥機で真空度755mmHg、75℃で、熱処理を29時間行った。
<充填、評価>
実施例1と同様に評価を行い、得られたクロマトグラムから、各イオンの保持時間とTNH/TNa/TCaの商を算出して表1に併記した。
【0050】
比較例1
<重合体粒子の合成>
実施例1と同様にして重合体粒子を合成した。
<交換基の導入>
実施例1と同様にして、重合体粒子に交換基を導入しイオン交換体を合成した。
<充填、評価>
上記で合成したイオン交換体に熱処理を施さずに、実施例1と同様に評価を行い、得られたクロマトグラムから、各イオンの保持時間とTNH/TNa/TCaの商を算出して表1に併記した。
【0051】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶離液の酸濃度が0.5mM〜5.0mMで溶出する下式(I)で示されるアンモニウム/ナトリウム/カルシウムの保持時間の商が0.05以上となる陽イオン分析イオンクロマトグラフィ用カラム。
TNH/TNa/TCa ………(I)
(ただし、式(I)中、TNHは、アンモニウムの保持時間を、TNaは、ナトリウムの保持時間を、TCaは、カルシウム、マグネシウムで溶出が遅い方の保持時間を示す。)
【請求項2】
真空度700mmHg〜760mmHg、温度70℃〜120℃で5時間〜150時間、熱処理した陽イオン交換体が充填された請求項1記載の陽イオン分析イオンクロマトグラフィ用カラム。
【請求項3】
陽イオン交換体の交換基が下記一般式(II)の構造である請求項2記載の陽イオン分析イオンクロマトグラフィ用カラム。
【化1】

(ただし、一般式(II)中、nは1〜5の整数、Rは水素原子またはアルキル基を示す。)

【公開番号】特開2006−329875(P2006−329875A)
【公開日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−156020(P2005−156020)
【出願日】平成17年5月27日(2005.5.27)
【出願人】(000004455)日立化成工業株式会社 (4,649)