階段
【課題】 踏板受け具にカバーを容易に且つ安定して取付けできるようにすること。
【解決手段】 踏板受け具1と、カバー2と、カバー取付具3と、下端キャップ4とを備え、踏板受け具1は、支持体5に固定される支持壁6と、垂直方向に連続する中空部7と、中空部7のコーナー部近傍に設けた複数の踏板10取付用のタッピングホール8a,8a,8b,8bを有し、上側が下側よりも支持壁6から張り出すように斜めに切断してあり、カバー取付具3は、踏板受け具1のタッピングホール8b,8b間に係止して設けられ、タッピングホール8b,8bよりも支持壁6から離れた位置でカバー2裏面を係合支持しており、下端キャップ4は、踏板受け具1の垂直壁6bに固着され、カバー2の下端を載置支持している。
【解決手段】 踏板受け具1と、カバー2と、カバー取付具3と、下端キャップ4とを備え、踏板受け具1は、支持体5に固定される支持壁6と、垂直方向に連続する中空部7と、中空部7のコーナー部近傍に設けた複数の踏板10取付用のタッピングホール8a,8a,8b,8bを有し、上側が下側よりも支持壁6から張り出すように斜めに切断してあり、カバー取付具3は、踏板受け具1のタッピングホール8b,8b間に係止して設けられ、タッピングホール8b,8bよりも支持壁6から離れた位置でカバー2裏面を係合支持しており、下端キャップ4は、踏板受け具1の垂直壁6bに固着され、カバー2の下端を載置支持している。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、らせん階段等の階段に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のらせん階段は、支柱の周囲に踏板受け具を取付け、踏板受け具に踏板を載置してネジで固定している。踏板受け具は、階段を上るときにつま先が当たらないようにするため、踏板を載置する上面側が下面側よりも支柱外周側に大きく張り出すように外周側を斜めにカットすることがあるが、この場合、踏板受け具小口などを隠すカバーを取付ネジの頭部を見せることなく、また脱落しないように取付けるのは容易ではなかった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は以上に述べた実情に鑑み、踏板受け具にカバーを容易に且つ安定して取付けできるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記の課題を達成するために請求項1記載の発明による階段は、踏板受け具と、カバーと、カバー取付具と、下端キャップとを備え、踏板受け具は、支持体に固定される支持壁と、垂直方向に連続する中空部と、中空部のコーナー部近傍に設けた複数の踏板取付用のタッピングホールを有し、上側が下側よりも支持壁から張り出すように斜めに切断してあり、カバー取付具は、踏板受け具のタッピングホール間に係止して設けられ、タッピングホールよりも支持壁から離れた位置でカバー裏面を係合支持しており、下端キャップは、踏板受け具の垂直壁に固着され、カバーの下端を載置支持していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0005】
請求項1記載の階段は、踏板受け具が上側が下側よりも支持壁から張り出すように斜めに切断してあるので、階段を上る時につま先が踏板受け具に当たるのを防止でき、踏板受け具の踏板取付用のタッピングホール間に係止してカバー取付具を設け、踏板受け具の垂直壁に固着して下端キャップを設け、カバーはタッピングホールよりも支持壁から離れた位置でカバー取付具に裏面を係合支持すると共に、下端を下端キャップに載置支持したので、踏板受け具の斜めの切断小口の形態によらず、カバーを容易に且つ安定して取付けることができる。カバー取付具を踏板受け具のタッピングホール間に係止して設けたので、カバー取付具を簡単に且つ安定して取付けでき、しかも踏板受け具にカバー取付具のための係止部を別に設ける必要がないので、合理的である。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】踏板の支柱への取付部分を拡大して示す一部切欠側面図である。
【図2】踏板の支柱への取付部分を拡大して示す一部切欠平面図である。
【図3】らせん階段の正面図である。
【図4】(a)は踏板受け具の平面図、(b)は同側面図、(c)は同正面図である。
【図5】(a)はカバー取付具のX方向矢視図、(b)は同側面図、(c)は同正面図である。
【図6】(a)はカバーのY方向矢視図、(b)は同側面図である。
【図7】(a)は下端キャップの平面図、(b)は同側面図、(c)は同正面図である。
【図8】本発明の要部の組付け手順を示す側面図である。
【図9】踏板の支柱への取付部分の他の実施形態を示す一部切欠側面図である。
【図10】図9のA−A断面図である。
【図11】(a)は図9の実施形態に用いるカバー取付具のZ方向矢視図、(b)は同側面図、(c)は同正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図3は、本発明の一実施形態に係るらせん階段を示している。本らせん階段は、建物の躯体に固定して鉛直に設けた支柱5と、支柱5の周囲にらせん状に配置された複数の踏板10,10,…と、踏板10,10,…の外周に沿って設けたらせん状の手摺11を備える。支柱5、踏板10及び手摺11は、アルミ製である。
【0008】
支柱5は、図2に示すように、円筒状となっており、外周面に所定の角度刻みで溝12が長手方向に形成されている。
踏板10は、平面視略扇形に形成され、図1に示すように、内周側部を支柱5に固定した踏板受け具1上に載置し、上方からの4本のボルト13で踏板受け具1に固定してある。
【0009】
踏板受け具1は、アルミ押出形材から形成したものであり、図1,2,4に示すように、上下方向を押出方向として配置され、支柱5の外周面に当接する支持壁6と、支持壁6から外周側に離間して配置された外周側壁14と、左右の側壁9,9とで、垂直方向に連続する略矩形の中空部7が形成されている。踏板受け具1の上面と下面は水平に切断され、外周側は上側が下側よりも支持壁6から張り出すように斜めに切断してある。踏板受け具1は、図2に示すように、支持壁6と左右の側壁9,9とのコーナー部と、外周側壁14よりも外周側の外周側壁14と左右の側壁9,9とのコーナー部の計4箇所に、踏板10取付用のボルト13が捩じ込まれるタッピングホール8a,8a,8b,8bを有している。外周側のタッピングホール8bと外周側壁14との間には、若干隙間16を設けてある。支持壁6は、内周側面6aが支柱5の外周側面に沿うように凹曲面に形成され、外周側面6bは平らな垂直面になっている。支持壁6の内周側面6aの中央部には、上下方向に突条17を有しており、この突条17を支柱5外周面の溝12に係止させることで、踏板受け具1を鉛直に且つ上下の踏板受け具1で所定の角度ずつずらして配置するのが容易になっている。踏板受け具1は、図1に示すように、支持壁6の上下2箇所を支柱5にボルト18a,18bで固定している。外周側壁14には、上側のボルト18aを締め付けるための工具の逃がし孔19が形成されている。
【0010】
上述のように踏板受け具1の外周側が斜めに切断され、斜め切断された小口20には、図4(c)に示すように、外周側のタッピングホール8b,8bと外周側壁14が斜めに切断された状態で露出しているため、この斜め切断小口20にカバー2を直接係合取付けするのは容易ではない。そこで本らせん階段では、図1,2に示すように、踏板受け具1の外周側壁14よりも外周側の側壁9,9間にカバー取付具3を設け、カバー取付具3にカバー2を係合させている。
カバー取付具3は樹脂製で、図5に示すように、横長の長方形の取付板部21が垂直に形成され、取付板部21より一対の突出壁22,22が前方にのび、突出壁22,22の先端にカバー係止部23が斜め切断小口20と同一の角度で傾斜して設けてある。カバー係止部23は、両側の側縁部23a,23aが後向きに曲がった傘型の断面形状となっている。取付板部21には中央にネジの挿通孔24が設けてあり、カバー係止部23にはネジの逃がし孔25が設けてある。
カバー取付具3は、図1,2に示すように、取付板部21の両側の側縁部を踏板受け具1の外周側壁14とタッピングホール8b,8b間の隙間16に差し入れ、取付板部21をタッピングホール8b,8b間に係止した状態で外周側からネジ26で固定してある。カバー係止部23は、踏板受け具1の斜め切断小口20よりも外周側に突出している。
【0011】
カバー2は、図6に示すように、アルミ押出形材を斜めに切断して形成している。カバー2は、幅方向の中央部が前方に膨らむように円弧状に湾曲し、両側の縁部に折返し部27,27を有している。カバー2の裏面には、係止突条28,28が間隔をあけて2本設けてあり、裏面の上部側にはスポンジ状の緩衝材29が貼り付けてある。
カバー2は、図1,2に示すように、カバー取付具3のカバー係止部23の両側の縁部23a,23aを係止突条28,28間に係止させて取付けられ、折り返し部27,27が踏板受け具1の側壁9,9の外側に重なり、踏板受け具1の斜め切断小口20を隠している。カバー2の裏面に設けた緩衝材29が、カバー取付具3のカバー係止部23に押付けられることで、係止突条28,28がカバー係止部23に安定して係止し、カバー2のがたつきを抑制できる。
【0012】
踏板受け具1の下部には、樹脂製の下端キャップ4を設けてある。下端キャップ4は、図7に示すように、垂直な取付板部30と底板部31を有し、取付板部30にはボルト18bが挿通される上下方向の長孔32が形成してある。下端キャップ4は、図1に示すように、取付板部30を支持壁6の外周側面6bに当接し、踏板受け具1を支柱5に取付けている下側のボルト18bにより固定されており、下端キャップ4の底板部31が踏板受け具1とカバー2の下側の小口を隠し、且つカバー2の下端を底板部31に載置支持している。
【0013】
次に、各部品の組付け手順を説明する。まず、図8(a)に示すように、踏板受け具1の支持壁6を支柱5の外周面に当接し、上下2本のボルト18a,18bで固定する。このとき、下側のボルト18bで下端キャップ4の取付板部30を支持壁6と共締めする。次に図8(b)に示すように、カバー取付具3の取付板部21を踏板受け具1の外周側壁14とタッピングホール8b,8bの間の隙間16に下方より差し入れ、取付板部21をタッピングホール8b,8b間に係止させた上でネジ26で固定する。次に、図8(c)に示すように、カバー2を裏面の係止突条28,28をカバー取付具3のカバー係止部23に係止支持させると共に、下端キャップ4の底板部31に載置支持して取付ける。その後、踏板受け具1の上面に踏板10を載置し、ボルト13をタッピングホール8a,8bに捩じ込んで踏板10を固定する。
【0014】
以上に述べたように本らせん階段は、踏板受け具1が上側が下側よりも外周側に張り出すように外周側を斜めに切断してあるので、階段を上る時につま先が踏板受け具1に当たるのを防止でき、踏板受け具1の踏板10取付用のタッピングホール8b,8b間に係止してカバー取付具3を設け、タッピングホール8bよりも外周側に離れた位置でカバー取付具3にカバー2裏面を係合支持することで、踏板受け具1がそのように斜めに切断してあっても、その切断小口20の形態によらず、またタッピングホール8bに邪魔されることもなく、カバー2を容易且つ確実に係合させられ、さらにカバー2の下端を下端キャップ4の底板31に載置支持しているので、カバー2を落下することがないように安定して取付けできる。また、ネジやボルトの頭部が外部に露出しないので、意匠性が優れている。カバー取付具3を、踏板受け具1のタッピングホール8b,8b間に係止して設けたので、カバー取付具3を簡単に且つ安定して取付けでき、しかも踏板受け具1にカバー取付具3のための係止部を別に設ける必要がないので、合理的である。踏板受け具1の中空部7の各コーナー部近傍にタッピングホール8a,8bを設けることで、タッピングホール8a,8b同士のピッチをできるだけ広くとることができ、これにより踏板10の取付強度が高められる。カバー2が、樹脂製のカバー取付具3と下端キャップ4により取付けてあるため、らせん階段を人が上り下りするときの震動に起因して発生する不快な金属同士のこすれ音の発生を防止することができる。さらに、カバー1の裏面とカバー係止部23間に緩衝材29を挟み込んでいるので、階段昇降時の震動やカバー2を足で蹴ったときでも、音が鳴るのをより確実に防止できる。
【0015】
図9,10は、踏板10の支柱5への取付部分の他の実施形態を示しており、図11はこれに用いられるカバー取付具3を示している。カバー取付具3以外の部品は、先の実施形態と同じものを用いている。カバー取付具3は、取付板部21の上側の中央部に係止爪33が設けてあり、取付板部21の両側の下部に板バネ状の当接片34を設けてあり、係止爪33が踏板受け具1の外周側壁14の逃がし孔19の下縁に係止することで、カバー取付具3が下に下がるのを規制し、当接片34が外周側壁14とタッピングホール8b,8b間でつっぱり、取付板部21を外周側壁14に押付けている。
本実施形態によれば、カバー取付具3の取付時に、取付板部21を踏板受け具1の外周側壁14とタッピングホール8b,8b間に下方より差し入れ、上方にスライドさせて係止爪33を外周側壁14の逃がし孔19に係止させるだけで、カバー取付具3を安定して取付けでき、ネジ26が不要になるため、施工性がより一層向上する。
【0016】
本発明は以上に述べた実施形態に限定されない。踏板受け具1やカバー取付具3、カバー2等の各部品の形状、材質は、適宜変更することができる。本発明は、らせん階段に限らず、直線状の階段にも適用できる。
【符号の説明】
【0017】
1 踏板受け具
2 カバー
3 カバー取付具
4 下端キャップ
5 支柱(支持体)
6 支持壁
6b 支持壁の外周側面(垂直壁)
7 中空部
8a,8b タッピングホール
9 側壁
10 踏板
【技術分野】
【0001】
本発明は、らせん階段等の階段に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のらせん階段は、支柱の周囲に踏板受け具を取付け、踏板受け具に踏板を載置してネジで固定している。踏板受け具は、階段を上るときにつま先が当たらないようにするため、踏板を載置する上面側が下面側よりも支柱外周側に大きく張り出すように外周側を斜めにカットすることがあるが、この場合、踏板受け具小口などを隠すカバーを取付ネジの頭部を見せることなく、また脱落しないように取付けるのは容易ではなかった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は以上に述べた実情に鑑み、踏板受け具にカバーを容易に且つ安定して取付けできるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記の課題を達成するために請求項1記載の発明による階段は、踏板受け具と、カバーと、カバー取付具と、下端キャップとを備え、踏板受け具は、支持体に固定される支持壁と、垂直方向に連続する中空部と、中空部のコーナー部近傍に設けた複数の踏板取付用のタッピングホールを有し、上側が下側よりも支持壁から張り出すように斜めに切断してあり、カバー取付具は、踏板受け具のタッピングホール間に係止して設けられ、タッピングホールよりも支持壁から離れた位置でカバー裏面を係合支持しており、下端キャップは、踏板受け具の垂直壁に固着され、カバーの下端を載置支持していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0005】
請求項1記載の階段は、踏板受け具が上側が下側よりも支持壁から張り出すように斜めに切断してあるので、階段を上る時につま先が踏板受け具に当たるのを防止でき、踏板受け具の踏板取付用のタッピングホール間に係止してカバー取付具を設け、踏板受け具の垂直壁に固着して下端キャップを設け、カバーはタッピングホールよりも支持壁から離れた位置でカバー取付具に裏面を係合支持すると共に、下端を下端キャップに載置支持したので、踏板受け具の斜めの切断小口の形態によらず、カバーを容易に且つ安定して取付けることができる。カバー取付具を踏板受け具のタッピングホール間に係止して設けたので、カバー取付具を簡単に且つ安定して取付けでき、しかも踏板受け具にカバー取付具のための係止部を別に設ける必要がないので、合理的である。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】踏板の支柱への取付部分を拡大して示す一部切欠側面図である。
【図2】踏板の支柱への取付部分を拡大して示す一部切欠平面図である。
【図3】らせん階段の正面図である。
【図4】(a)は踏板受け具の平面図、(b)は同側面図、(c)は同正面図である。
【図5】(a)はカバー取付具のX方向矢視図、(b)は同側面図、(c)は同正面図である。
【図6】(a)はカバーのY方向矢視図、(b)は同側面図である。
【図7】(a)は下端キャップの平面図、(b)は同側面図、(c)は同正面図である。
【図8】本発明の要部の組付け手順を示す側面図である。
【図9】踏板の支柱への取付部分の他の実施形態を示す一部切欠側面図である。
【図10】図9のA−A断面図である。
【図11】(a)は図9の実施形態に用いるカバー取付具のZ方向矢視図、(b)は同側面図、(c)は同正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図3は、本発明の一実施形態に係るらせん階段を示している。本らせん階段は、建物の躯体に固定して鉛直に設けた支柱5と、支柱5の周囲にらせん状に配置された複数の踏板10,10,…と、踏板10,10,…の外周に沿って設けたらせん状の手摺11を備える。支柱5、踏板10及び手摺11は、アルミ製である。
【0008】
支柱5は、図2に示すように、円筒状となっており、外周面に所定の角度刻みで溝12が長手方向に形成されている。
踏板10は、平面視略扇形に形成され、図1に示すように、内周側部を支柱5に固定した踏板受け具1上に載置し、上方からの4本のボルト13で踏板受け具1に固定してある。
【0009】
踏板受け具1は、アルミ押出形材から形成したものであり、図1,2,4に示すように、上下方向を押出方向として配置され、支柱5の外周面に当接する支持壁6と、支持壁6から外周側に離間して配置された外周側壁14と、左右の側壁9,9とで、垂直方向に連続する略矩形の中空部7が形成されている。踏板受け具1の上面と下面は水平に切断され、外周側は上側が下側よりも支持壁6から張り出すように斜めに切断してある。踏板受け具1は、図2に示すように、支持壁6と左右の側壁9,9とのコーナー部と、外周側壁14よりも外周側の外周側壁14と左右の側壁9,9とのコーナー部の計4箇所に、踏板10取付用のボルト13が捩じ込まれるタッピングホール8a,8a,8b,8bを有している。外周側のタッピングホール8bと外周側壁14との間には、若干隙間16を設けてある。支持壁6は、内周側面6aが支柱5の外周側面に沿うように凹曲面に形成され、外周側面6bは平らな垂直面になっている。支持壁6の内周側面6aの中央部には、上下方向に突条17を有しており、この突条17を支柱5外周面の溝12に係止させることで、踏板受け具1を鉛直に且つ上下の踏板受け具1で所定の角度ずつずらして配置するのが容易になっている。踏板受け具1は、図1に示すように、支持壁6の上下2箇所を支柱5にボルト18a,18bで固定している。外周側壁14には、上側のボルト18aを締め付けるための工具の逃がし孔19が形成されている。
【0010】
上述のように踏板受け具1の外周側が斜めに切断され、斜め切断された小口20には、図4(c)に示すように、外周側のタッピングホール8b,8bと外周側壁14が斜めに切断された状態で露出しているため、この斜め切断小口20にカバー2を直接係合取付けするのは容易ではない。そこで本らせん階段では、図1,2に示すように、踏板受け具1の外周側壁14よりも外周側の側壁9,9間にカバー取付具3を設け、カバー取付具3にカバー2を係合させている。
カバー取付具3は樹脂製で、図5に示すように、横長の長方形の取付板部21が垂直に形成され、取付板部21より一対の突出壁22,22が前方にのび、突出壁22,22の先端にカバー係止部23が斜め切断小口20と同一の角度で傾斜して設けてある。カバー係止部23は、両側の側縁部23a,23aが後向きに曲がった傘型の断面形状となっている。取付板部21には中央にネジの挿通孔24が設けてあり、カバー係止部23にはネジの逃がし孔25が設けてある。
カバー取付具3は、図1,2に示すように、取付板部21の両側の側縁部を踏板受け具1の外周側壁14とタッピングホール8b,8b間の隙間16に差し入れ、取付板部21をタッピングホール8b,8b間に係止した状態で外周側からネジ26で固定してある。カバー係止部23は、踏板受け具1の斜め切断小口20よりも外周側に突出している。
【0011】
カバー2は、図6に示すように、アルミ押出形材を斜めに切断して形成している。カバー2は、幅方向の中央部が前方に膨らむように円弧状に湾曲し、両側の縁部に折返し部27,27を有している。カバー2の裏面には、係止突条28,28が間隔をあけて2本設けてあり、裏面の上部側にはスポンジ状の緩衝材29が貼り付けてある。
カバー2は、図1,2に示すように、カバー取付具3のカバー係止部23の両側の縁部23a,23aを係止突条28,28間に係止させて取付けられ、折り返し部27,27が踏板受け具1の側壁9,9の外側に重なり、踏板受け具1の斜め切断小口20を隠している。カバー2の裏面に設けた緩衝材29が、カバー取付具3のカバー係止部23に押付けられることで、係止突条28,28がカバー係止部23に安定して係止し、カバー2のがたつきを抑制できる。
【0012】
踏板受け具1の下部には、樹脂製の下端キャップ4を設けてある。下端キャップ4は、図7に示すように、垂直な取付板部30と底板部31を有し、取付板部30にはボルト18bが挿通される上下方向の長孔32が形成してある。下端キャップ4は、図1に示すように、取付板部30を支持壁6の外周側面6bに当接し、踏板受け具1を支柱5に取付けている下側のボルト18bにより固定されており、下端キャップ4の底板部31が踏板受け具1とカバー2の下側の小口を隠し、且つカバー2の下端を底板部31に載置支持している。
【0013】
次に、各部品の組付け手順を説明する。まず、図8(a)に示すように、踏板受け具1の支持壁6を支柱5の外周面に当接し、上下2本のボルト18a,18bで固定する。このとき、下側のボルト18bで下端キャップ4の取付板部30を支持壁6と共締めする。次に図8(b)に示すように、カバー取付具3の取付板部21を踏板受け具1の外周側壁14とタッピングホール8b,8bの間の隙間16に下方より差し入れ、取付板部21をタッピングホール8b,8b間に係止させた上でネジ26で固定する。次に、図8(c)に示すように、カバー2を裏面の係止突条28,28をカバー取付具3のカバー係止部23に係止支持させると共に、下端キャップ4の底板部31に載置支持して取付ける。その後、踏板受け具1の上面に踏板10を載置し、ボルト13をタッピングホール8a,8bに捩じ込んで踏板10を固定する。
【0014】
以上に述べたように本らせん階段は、踏板受け具1が上側が下側よりも外周側に張り出すように外周側を斜めに切断してあるので、階段を上る時につま先が踏板受け具1に当たるのを防止でき、踏板受け具1の踏板10取付用のタッピングホール8b,8b間に係止してカバー取付具3を設け、タッピングホール8bよりも外周側に離れた位置でカバー取付具3にカバー2裏面を係合支持することで、踏板受け具1がそのように斜めに切断してあっても、その切断小口20の形態によらず、またタッピングホール8bに邪魔されることもなく、カバー2を容易且つ確実に係合させられ、さらにカバー2の下端を下端キャップ4の底板31に載置支持しているので、カバー2を落下することがないように安定して取付けできる。また、ネジやボルトの頭部が外部に露出しないので、意匠性が優れている。カバー取付具3を、踏板受け具1のタッピングホール8b,8b間に係止して設けたので、カバー取付具3を簡単に且つ安定して取付けでき、しかも踏板受け具1にカバー取付具3のための係止部を別に設ける必要がないので、合理的である。踏板受け具1の中空部7の各コーナー部近傍にタッピングホール8a,8bを設けることで、タッピングホール8a,8b同士のピッチをできるだけ広くとることができ、これにより踏板10の取付強度が高められる。カバー2が、樹脂製のカバー取付具3と下端キャップ4により取付けてあるため、らせん階段を人が上り下りするときの震動に起因して発生する不快な金属同士のこすれ音の発生を防止することができる。さらに、カバー1の裏面とカバー係止部23間に緩衝材29を挟み込んでいるので、階段昇降時の震動やカバー2を足で蹴ったときでも、音が鳴るのをより確実に防止できる。
【0015】
図9,10は、踏板10の支柱5への取付部分の他の実施形態を示しており、図11はこれに用いられるカバー取付具3を示している。カバー取付具3以外の部品は、先の実施形態と同じものを用いている。カバー取付具3は、取付板部21の上側の中央部に係止爪33が設けてあり、取付板部21の両側の下部に板バネ状の当接片34を設けてあり、係止爪33が踏板受け具1の外周側壁14の逃がし孔19の下縁に係止することで、カバー取付具3が下に下がるのを規制し、当接片34が外周側壁14とタッピングホール8b,8b間でつっぱり、取付板部21を外周側壁14に押付けている。
本実施形態によれば、カバー取付具3の取付時に、取付板部21を踏板受け具1の外周側壁14とタッピングホール8b,8b間に下方より差し入れ、上方にスライドさせて係止爪33を外周側壁14の逃がし孔19に係止させるだけで、カバー取付具3を安定して取付けでき、ネジ26が不要になるため、施工性がより一層向上する。
【0016】
本発明は以上に述べた実施形態に限定されない。踏板受け具1やカバー取付具3、カバー2等の各部品の形状、材質は、適宜変更することができる。本発明は、らせん階段に限らず、直線状の階段にも適用できる。
【符号の説明】
【0017】
1 踏板受け具
2 カバー
3 カバー取付具
4 下端キャップ
5 支柱(支持体)
6 支持壁
6b 支持壁の外周側面(垂直壁)
7 中空部
8a,8b タッピングホール
9 側壁
10 踏板
【特許請求の範囲】
【請求項1】
踏板受け具と、カバーと、カバー取付具と、下端キャップとを備え、踏板受け具は、支持体に固定される支持壁と、垂直方向に連続する中空部と、中空部のコーナー部近傍に設けた複数の踏板取付用のタッピングホールを有し、上側が下側よりも支持壁から張り出すように斜めに切断してあり、カバー取付具は、踏板受け具のタッピングホール間に係止して設けられ、タッピングホールよりも支持壁から離れた位置でカバー裏面を係合支持しており、下端キャップは、踏板受け具の垂直壁に固着され、カバーの下端を載置支持していることを特徴とする階段。
【請求項1】
踏板受け具と、カバーと、カバー取付具と、下端キャップとを備え、踏板受け具は、支持体に固定される支持壁と、垂直方向に連続する中空部と、中空部のコーナー部近傍に設けた複数の踏板取付用のタッピングホールを有し、上側が下側よりも支持壁から張り出すように斜めに切断してあり、カバー取付具は、踏板受け具のタッピングホール間に係止して設けられ、タッピングホールよりも支持壁から離れた位置でカバー裏面を係合支持しており、下端キャップは、踏板受け具の垂直壁に固着され、カバーの下端を載置支持していることを特徴とする階段。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−219468(P2012−219468A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−84525(P2011−84525)
【出願日】平成23年4月6日(2011.4.6)
【出願人】(000175560)三協立山株式会社 (529)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年4月6日(2011.4.6)
【出願人】(000175560)三協立山株式会社 (529)
【Fターム(参考)】
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