隔壁付き接続口部材との連通用ロックコネクタ
【課題】操作性が良く、ロック状態が確実に保持されるロック機構を備えた隔壁付き接続口部材との連通用ロックコネクタを提供する。
【解決手段】基端部1a及び隔壁に挿入可能な先端部1bを有する管体1と、管体の先端部を包囲し管体の中央部分と結合したフード2と、フードの側壁に形成された切り欠き部2aと、管体の中央部分に固定され管体の軸に直交する方向に延在する支持片4a、4b、5a、5bと、管体の側部に配置されてその軸方向に沿って延在し先端側の係止部6a及び基端側の操作部6bを含み、中央部が支持片の先端と結合した一対のロックレバー6とを備える。係止部は、その先端に内方に突出する係止爪7を有し、フードの切り欠き部内に、外表面がフードの外表面と略面一になるように配置される。操作部を押圧することにより、支持片が可撓的に変形して、係止爪の相互間隔が広がる。
【解決手段】基端部1a及び隔壁に挿入可能な先端部1bを有する管体1と、管体の先端部を包囲し管体の中央部分と結合したフード2と、フードの側壁に形成された切り欠き部2aと、管体の中央部分に固定され管体の軸に直交する方向に延在する支持片4a、4b、5a、5bと、管体の側部に配置されてその軸方向に沿って延在し先端側の係止部6a及び基端側の操作部6bを含み、中央部が支持片の先端と結合した一対のロックレバー6とを備える。係止部は、その先端に内方に突出する係止爪7を有し、フードの切り欠き部内に、外表面がフードの外表面と略面一になるように配置される。操作部を押圧することにより、支持片が可撓的に変形して、係止爪の相互間隔が広がる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、隔壁を通して液体連通を得るための接続に用いられるコネクタ、特に、輸液療法において使用される輸液バッグ等の医療用容器の接続口部材に設けられた隔壁を通して液体連通を得るとともに、その際の接続状態を保持するためのロック機構を備えたロックコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
輸液療法において使用される輸液バッグのような医療用容器の接続口部材には栓体が設けられ、容器内の液体を取り出すためには、栓体を介して輸液管を医療用容器に接続しなければならない。そのような接続には従来、輸液管の先端に瓶針を設け、その瓶針を栓体に穿刺することにより、医療用容器と輸液管とを連通させるコネクタ構造が用いられている。また実際の使用に際しては、両者の間に互いに引き離す力が加わる場合があるため、輸液中に接続が外れないように、瓶針を容器に対して一時的に固定し、接続状態を保持する機構(ロック機構)が用いられている。
【0003】
そのようなロック機構の例として、特許文献1には、針の両側部から先端に延びるクリップを有するコネクタが開示されている。針を栓体に穿刺した後、クリップで栓体側の部材を挟み込むことにより、針が栓体に穿刺された状態を保持する構造である。
【0004】
また特許文献2には、針体を円筒形のカバー部材中に配置し、円筒先端部に切り込みを設けることにより、可撓性の一対の舌片からなる係合部を形成したコネクタが開示されている。舌片の先端には円筒内方に突出した爪が形成され、針を栓体に穿刺したときに一対の爪が栓体側の部材に係合して、接続状態がロックされる構造である。
【特許文献1】特公昭62−43697号公報
【特許文献2】特開2001−245983号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載のロック機構は、クリップが露出して容易に接触可能な状態で使用されるため、不慮の接触によりクリップが開いて保持が外れる恐れがある。特許文献2に記載のロック機構は、ロックを解除する際に、円筒形のカバー部材を変形させることにより、一対の舌片先端の間隔、すなわち爪の間隔を広げる構造である。従って変形量があまり大きくないので、ロック状態における爪の間隔が広すぎると、ロック解除の操作が困難になるため、爪の間隔に制限がある。その結果、係止による保持力が不十分になり易い。また、ロック解除の操作も容易とは言えない。
【0006】
従って本発明は、操作性が良く、ロック状態が確実に保持されるロック機構を備えた、隔壁付き接続口部材との連通用ロックコネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のロックコネクタは、輸液管と接続可能な基端部及び隔壁付き接続口部材に挿入可能な先端部を有する管体と、前記管体の先端部を包囲するように配置され前記管体の中央部分と結合したフードと、前記フードの側壁に形成された切り欠き部と、前記管体の中央部分に固定され前記管体の軸に直交する方向に延在する一対の支持片と、前記管体の側部に配置されて前記管体の軸方向に沿って延在し、先端側の係止部及び基端側の操作部を含み、その中央部が前記支持片の先端と結合して支持された一対のロックレバーとを備える。前記ロックレバーにおける前記係止部は、その先端に内方に突出する係止爪を有するとともに、前記フードの前記切り欠き部内に、その外表面が前記フードの外表面と略面一になるように配置される。前記ロックレバーにおける前記操作部に対して、前記管体に接近する向きの押圧力を加えることにより、前記支持片が可撓的に変形して、一対の前記ロックレバーにおける前記係止爪相互の間隔が広がるように構成される。
【発明の効果】
【0008】
本発明のロックコネクタによれば、接続に際して、接続相手の接続口部材とコネクタを相互に押し付ける操作を行うだけでよく、接続を解除する際には、ロックレバーの操作部を指で挟みつけるだけでよいので、操作が簡単である。しかも、ロックレバーはフードとは独立しており、支持片にのみ支持されているので、係止部の先端の係止爪を変位させるための、可撓的な変形の量を多くとることが容易である。その結果、確実な係合を得ることが可能である。更に、係止部の外表面がフードの外表面と略面一であるため、係止部の先端が不慮の接触により変形させられ、係合が外れる可能性が軽減される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
(実施の形態1)
本発明の実施の形態1におけるロックコネクタの構造について、図1〜図4を参照して説明する。
【0010】
図1の側面図に示されるように、このロックコネクタは、中心に管体1を有する。図1には、管体1における基端部1aのみが示されているが、図2に示す断面図から判るように、管体1は更に先端部1bを有する。基端部1aには、使用に際して輸液管(図示せず)が接続される。先端部1bは、例えば医療用容器と輸液管とを連通させる際に、医療用容器などの接続口部材に設けられた隔壁(セプタム)のスリットを貫通して挿入される。
【0011】
管体1の先端部1bを包囲するように、略円筒状のフード2が配置されている。フード2は、その基端側において、管体1の軸方向中央部と結合している。フード2と管体1の結合部3は、図3の平面図あるいは、図4の正面図に示される。フード2は、図3に明瞭に示されるように、その円筒側壁に切り欠き部2aが形成されている。なお、図2は、図3におけるA−A断面を示したものである。
【0012】
図2及び図4に示されるように、管体1の中央部には、フード2に加えて支持片4a、4b、5a、5bが固定され、各々管体1の軸に直交する方向に延在している。なお図4においては見易さを考慮して、支持片4a、4b、5a、5bにハッチングを施した。6はロックレバーである。ロックレバー6は、図2に明瞭に示されるように、管体1の側部に一対配置され、それぞれ管体1の軸方向に沿って延在する。ロックレバー6は、その中央部が支持片4a、4b、5a、5bの先端と結合し、それにより管体1に対する所定位置に支持されている。支持片4a、4bが一組で一方のロックレバー6を支持し、支持片5a、5bが一組で他方のロックレバー6を支持している。従って、実質的には一対の支持片が、各ロックレバー6に対応して設けられていることになる。
【0013】
ロックレバー6は、支持片4a、4b、5a、5bとの結合部分から見た先端側が係止部6aを、基端側が操作部6bを構成している。ロックレバー6における係止部6aは、その先端に内方に突出する係止爪7を有する。係止部6aは、フード2の切り欠き部2a内に配置され、図3及び図4に示されるように、その外表面がフード2の外表面と略面一になっている。また、切り欠き部2aは先端側が閉じているので、ロックレバー6の係止部6aの先端は、平面的にはフード2により包囲され、使用時に接触を受けるおそれが軽減されている。
【0014】
ロックレバー6における操作部6bに対して、管体1に接近する向きの押圧力、すなわち、図1あるいは図2に示される一対のロックレバー6の操作部6bを挟みこむように力を加えることにより、支持片4a、4b、5a、5bが可撓的に変形する。それにより、ロックレバー6は、支持片4a、4b、5a、5bとの結合部近傍を中心として回動し、一対の係止爪7相互の間隔が拡大する。
【0015】
図2及び図4に示されるように、管体1とフード2との結合部近傍には、位置決め部8が設けられている。位置決め部8は、フード2内の管体1の周囲に十字形状に配置され、接続対象である接続口部材における、管体1が挿入されるべき部位周辺の部材がフード内2に進入した時に、接続口部材の先端に当接して位置決めする機能を有する。それにより、管体1の挿入状態がぐらつくことを抑制し、安定した接続状態を得ることができる。
【0016】
また図1及び図3に示されるように、フード2の基端側には円筒面を一部平坦に変形させた把持部2bが形成されている。この把持部2bは、コネクタの接続操作を行う際に、この部分を把持して操作することにより、操作の容易性を高めるためのものである。
【0017】
以上の各要素は、一体化された一部材として構成されることが好ましい。材質としては、穿刺操作に必要な程度の硬度と、接続・離脱操作に必要な弾性(可撓性)を有することが要求される。例えば、ポリカーボネート、ポリプロピレン等が好適である。
【0018】
以上のように構成されたロックコネクタの動作について、図5〜図9を参照して説明する。各図に示した10は、上記コネクタが接続される対象である、医療用容器等の接続口部材である。接続口部材10の正面図が図6に示される。接続口部材10は、医療用容器等の容器本体11(一部のみを示す)に結合されており、容器本体11に固定された管状の喉部12と、喉部12の先端に取り付けられた円筒状の係合部13からなる。係合部13は、先端に連結孔13aを有し、後部が径大部13bとなっている。それにより、喉部12と係合部13の境界部に段差部が形成されている。喉部12と係合部13は連通した内腔を有し、連結孔13aにより外部に対して開口している。連結孔13aは、セプタム14により封口されている。セプタム14は、喉部12の先端と、係合部13の内面により挟持されている。セプタム14は中央部にスリットを有し、コネクタの管体1の先端部を挿入可能となっている。
【0019】
接続口部材10にコネクタを接続する際には、図5に示すように両者を対向させ、接続口部材10の係合部13がコネクタのフード2内に挿入されるように操作する。それにより、コネクタの管体1の先端部1bが接続口部材10の連結孔13aに対向し、セプタム14のスリットを割って、接続口部材10の内腔に挿入される。管体1を十分に挿入した状態が図7及び図8に示される。この状態においては、ロックレバー6の係止部6aに設けられた係止爪7が、接続口部材10の径大部13bを乗り越えて、係止爪7と径大部13b後端とが係合している。それにより、接続状態がロックされる。またその際、係合部13の先端が位置決め部8に当接する。それにより係合部13は、位置決め部8と係止爪7の間に挟持された状態になり、安定した接続状態を得ることができる。
【0020】
接続を解除する際には、一対のロックレバー6における各操作部6bを指で把持し、挟みつける。それにより、図9及び図10に示されるように、一対の係止爪7の相互の間隔が離間し、接続口部材10の径大部13bとの係合が外れる。
【0021】
以上の構成および動作によれば、接続に際しては、接続口部材10とコネクタを相互に押し付ける操作を行うだけでよく、きわめて簡易である。
【0022】
接続を解除する際には、操作部6bを指で挟みつけるだけでよい。ロックレバー6はフード2とは独立しており、支持片4a、4b、5a、5bにのみ支持されている。従って、係止部6aの先端の係止爪7を変位させるための、可撓的な変形の量を多くとることが容易である。その結果、径大部13bとの係合のための変形量を十分に確保して、確実な係合を得ることが可能である。
【0023】
しかも、係止部6aはフード2に完全に包囲され、また、外表面がフード2の外表面と略面一であるため、係止部6aの先端が不慮の接触により変形させられる可能性が低くなる。従って、係合が外れる事故の発生が軽減される。
【0024】
また、管体1の先端部1bがフード2内に収容された構造であるため、先端部1bを接触による汚染から保護することができ、輸液との接触部を清潔に保つことができる。
【0025】
図11、図12は、ロックレバー6の変形例を示す。この例では、ロックレバー6における操作部6bが、他方のロックレバー6に向かって延びたストッパー部9を有する。一方のロックレバー6のストッパー部9の先端は、他方のそれと対向している。コネクタの接続解除に際して、操作部6bが押圧力により相互に接近したときに、各ストッパー部9の先端が互いに当接することにより、操作部6bの相互間隔が、所定の範囲よりも小さくならないように制限される。
【0026】
(実施の形態2)
実施の形態2におけるロックコネクタについて、図13〜15を参照して説明する。このコネクタの特徴は、実施の形態1における図2および図4に示した位置決め部8に代えて、環状構造の位置決め部を有することである。
【0027】
図13および図14に示すように、管体1の中央部に、管体1の軸に直交する方向に延在する支持片15a、15bの一端が結合している。支持片15a、15bの他端には、ロックレバー6が支持されている。支持片15a、15bと同一の平面を成すように、結合部16a、16bが設けられ、管体1とフード2を結合している。支持片15a、15bと結合部16a、16bとは、支持片間隙部17により分離され、それにより、支持片15a、15bが可撓的に変形可能になっている。
【0028】
支持片15a、15bと結合部16a、16bの周縁部には、環状位置決め部18が形成されている。環状位置決め部18は、図14に示されるように、支持片15a、15bの中央部に対する段差を形成している。図示されていないが、結合部16a、16bに形成された環状位置決め部18も同様である。
【0029】
実施の形態1における位置決め部8の場合、接続口部材を4点で支持するのに対して、環状位置決め部18によれば、接続口部材の係合部の外周部を略全周に亘って支持することができる。それにより、管体1の挿入状態のぐらつきが抑制され、安定した接続状態を得ることができる。
【0030】
(実施の形態3)
実施の形態3におけるロックコネクタについて、実施の形態2の説明にも参照した図13および図15を参照して説明する。本実施の形態のコネクタの特徴は、図13に示される支持片間隙部17の間隙の幅が、0.05mm〜0.5mmの範囲に設定されていることである。同様に、図15に示される切り欠き部2bにおける、フード2とロックレバー6の係止部6aの間に形成された間隙の幅も、0.05mm〜0.5mmの範囲に設定されている。
【0031】
このように間隙の幅を制限することによる利点は、次のとおりである。ロックコネクタと接続口部材を互いに接合あるいは離脱させる操作に際しては、管体1が接続口部材のセプタムのスリットを押し広げながら行われるので、接続口部材が設けられた医療用容器から液体が漏れることがある。漏れた液体は、上記の各間隙を通って外部に漏れる惧れがある。そこで、各間隙の幅を上記のように設定すれば、間隙における液体の表面張力の作用により、液体が間隙を通過することを抑止する効果が得られる。その結果、管体1がセプタムを貫通する部分で医療用容器の液体が漏れても、フード2内に保持され、コネクタ外部への液漏れを抑制することができ、周辺の環境を清潔に保つことができる。
【0032】
間隙の幅は、0.05mmよりも狭く設定すると、製造が困難であり、実用的ではない。0.5mmよりも広く設定すると、液体の間隙通過を表面張力の作用により抑止する効果が十分に得られない。
【0033】
本実施の形態の構成は、実施の形態1の図4に示したような支持片4a、4b、5a、5bを有する場合にも適用できる。要するに、図4に示した支持片4a、4b、5a、5bの相互間に形成される間隙、および支持片4a、4b、5a、5bと他の部分との間に形成される間隙を、上記の範囲の幅に設定することにより、液漏れを抑制する効果が得られる。
【0034】
(実施の形態4)
実施の形態4におけるロックコネクタについて、図16〜18を参照して説明する。このロックコネクタの基本的な構造的は、図13〜図15に示されるものと同様である。相違点は、図16に示されるように、支持片間隙部17にエラストマー19が充填されていることである。また図17、図18に示されるように、切り欠き部2bにもエラストマー20が充填されている。
【0035】
上述のように、本実施の形態におけるロックコネクタの特徴は、フードの側壁における切り欠き部の周縁の端面とロックレバーの係止部の周縁の端面との間の間隙、および支持片とフードの側壁内面との間に形成される間隙に、熱可塑性エラストマーを充填して封止したことである。支持片自体に間隙が形成されている場合には、その間隙にもエラストマーが充填される。
【0036】
エラストマーを充填することにより、実施の形態3と同様に、ロックコネクタと接続口部材を互いに接合あるいは離脱させる操作に際して、管体がセプタムを貫通する部分で医療用容器の液体が漏れても、コネクタ外部への液漏れを抑制することができる。なお、上記の各間隙のうち、少なくとも1種の間隙に熱可塑性エラストマーが充填されていれば、相応の効果が得られるので、必ずしも全ての間隙にエラストマーが充填されなくともよい。
【0037】
また、切り欠き部2bを完全に封止するとロックレバー6の動作に支障を生じる場合もあるので、そのような場合は、図19(a)〜(d)に示すようにすればよい。図19(a)〜(d)は、切り欠き部2bに位置する、フード2とロックレバー6の係止部6aの端面部を模式的に示す部分断面図である。
【0038】
図19(a)は、係止部6aの端面にエラストマー20が接合され、フード2の端面にはエラストマー20が接合されず、当接している構造を示す。逆に、フード2の端面にエラストマー20が接合され、係止部6aの端面にはエラストマー20が当接している構造としてもよい。接合とは、二色成形あるいはインサート成形により、エラストマー20がフード2または係止部6aの端面に固着された状態をいう。当接とは、単に接触している状態をいう。
【0039】
図19(b)は、係止部6aおよびフード2の双方の端面に各々エラストマー20が接合されて、各エラストマー20が中間部で当接している構造を示す。
【0040】
図19(c)、(d)は、各々図19(a)、(b)の構造において、フード2あるいは係止部6aの端面とエラストマー20の間、および各エラストマー20の対向部に間隙が設けられている構造を示す。それらの間隙は、0.05mm〜0.5mmの範囲の幅に設定されている。
【0041】
図19(a)〜(d)の構造により、ロックレバー6の動作の自由度を確保しながら、液漏れを防止することができる。
【0042】
また、図20(a)または(b)に示すような構造にすることもできる。図20(a)は、エラストマー21により、支持片間隙部17(図示せず)は完全に封止し、切り欠き部2bは、基端部側を半分程度封止した構造である。それにより、ロックレバー6の動作の自由度を確保しながら、液漏れを実質的に抑制することが可能である。図20(b)は、製造をより容易にするための構造を示す。
フード2の基端部側半分を全体的にエラストマー22で覆うことにより、図20(a)の構造と同様に各間隙が封止されている。
【0043】
なお本発明のロックコネクタは、医療用容器の接続口部材との接続以外にも、スリット入りのセプタムを備えた混注ポートとの接続に適用可能である。
【0044】
上記の実施の形態では、スリット入りの隔壁を有する接続口部材との接続を前提とした連通用ロックコネクタについて示した。この構造は、誤穿刺防止のために鋭利な先端を持たない挿入端構造を用いる場合に、穿刺時の操作性を良くする効果において、特に優位性を発揮する。一方、本発明の連通用ロックコネクタの構造は、隔壁にスリットが設けられていない場合に用いられるコネクタにも適用可能である。その場合は、隔壁を薄くして破断し易くしたり、あるいは管体1の先端部1bを鋭利な形状にすればよい。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明によれば、操作性が良く、ロック状態が確実に保持されるロック機構を備えた、隔壁付き接続口部材との連通用ロックコネクタを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の実施の形態1における、隔壁付き接続口部材との連通用ロックコネクタを示す側面図
【図2】同ロックコネクタの断面図
【図3】同ロックコネクタの平面図
【図4】同ロックコネクタの正面図
【図5】同ロックコネクタを医療用容器等の接続口部材と接続する直前の状態を示す側面図
【図6】図5における接続口部材の正面図
【図7】ロックコネクタが医療用容器等の接続口部材と接続された状態を示す側面図
【図8】図7の断面図
【図9】同ロックコネクタの接続が解除されるときの状態を示す側面図
【図10】図8の断面図
【図11】図1のロックコネクタの一部を変形した例を示す側面図
【図12】図11のロックコネクタの背面図
【図13】実施の形態2および3における、隔壁付き接続口部材との連通用ロックコネクタを示す正面図
【図14】同ロックコネクタの断面図
【図15】同ロックコネクタの平面図
【図16】実施の形態4における、隔壁付き接続口部材との連通用ロックコネクタを示す正面図
【図17】同ロックコネクタの断面図
【図18】同ロックコネクタの平面図
【図19】同ロックコネクタの変形例における要部を模式的に示す部分断面図
【図20】同ロックコネクタの他の変形例を模式的に示す平面図
【符号の説明】
【0047】
1 管体
1a 基端部
1b 先端部
2 フード
2a 切り欠き部
3 結合部
4a、4b、5a、5b 支持片
6 ロックレバー
6a 係止部
6b 操作部
7 係止爪
8 位置決め部
9 ストッパー部
10 接続口部材
11 容器本体
12 喉部
13 係合部
13a 連結孔
13b 径大部
14 セプタム
15a、15b 支持片
16a、16b 結合部
17 支持片間隙部
18 環状位置決め部
19、20、21、22 エラストマー
【技術分野】
【0001】
本発明は、隔壁を通して液体連通を得るための接続に用いられるコネクタ、特に、輸液療法において使用される輸液バッグ等の医療用容器の接続口部材に設けられた隔壁を通して液体連通を得るとともに、その際の接続状態を保持するためのロック機構を備えたロックコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
輸液療法において使用される輸液バッグのような医療用容器の接続口部材には栓体が設けられ、容器内の液体を取り出すためには、栓体を介して輸液管を医療用容器に接続しなければならない。そのような接続には従来、輸液管の先端に瓶針を設け、その瓶針を栓体に穿刺することにより、医療用容器と輸液管とを連通させるコネクタ構造が用いられている。また実際の使用に際しては、両者の間に互いに引き離す力が加わる場合があるため、輸液中に接続が外れないように、瓶針を容器に対して一時的に固定し、接続状態を保持する機構(ロック機構)が用いられている。
【0003】
そのようなロック機構の例として、特許文献1には、針の両側部から先端に延びるクリップを有するコネクタが開示されている。針を栓体に穿刺した後、クリップで栓体側の部材を挟み込むことにより、針が栓体に穿刺された状態を保持する構造である。
【0004】
また特許文献2には、針体を円筒形のカバー部材中に配置し、円筒先端部に切り込みを設けることにより、可撓性の一対の舌片からなる係合部を形成したコネクタが開示されている。舌片の先端には円筒内方に突出した爪が形成され、針を栓体に穿刺したときに一対の爪が栓体側の部材に係合して、接続状態がロックされる構造である。
【特許文献1】特公昭62−43697号公報
【特許文献2】特開2001−245983号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載のロック機構は、クリップが露出して容易に接触可能な状態で使用されるため、不慮の接触によりクリップが開いて保持が外れる恐れがある。特許文献2に記載のロック機構は、ロックを解除する際に、円筒形のカバー部材を変形させることにより、一対の舌片先端の間隔、すなわち爪の間隔を広げる構造である。従って変形量があまり大きくないので、ロック状態における爪の間隔が広すぎると、ロック解除の操作が困難になるため、爪の間隔に制限がある。その結果、係止による保持力が不十分になり易い。また、ロック解除の操作も容易とは言えない。
【0006】
従って本発明は、操作性が良く、ロック状態が確実に保持されるロック機構を備えた、隔壁付き接続口部材との連通用ロックコネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のロックコネクタは、輸液管と接続可能な基端部及び隔壁付き接続口部材に挿入可能な先端部を有する管体と、前記管体の先端部を包囲するように配置され前記管体の中央部分と結合したフードと、前記フードの側壁に形成された切り欠き部と、前記管体の中央部分に固定され前記管体の軸に直交する方向に延在する一対の支持片と、前記管体の側部に配置されて前記管体の軸方向に沿って延在し、先端側の係止部及び基端側の操作部を含み、その中央部が前記支持片の先端と結合して支持された一対のロックレバーとを備える。前記ロックレバーにおける前記係止部は、その先端に内方に突出する係止爪を有するとともに、前記フードの前記切り欠き部内に、その外表面が前記フードの外表面と略面一になるように配置される。前記ロックレバーにおける前記操作部に対して、前記管体に接近する向きの押圧力を加えることにより、前記支持片が可撓的に変形して、一対の前記ロックレバーにおける前記係止爪相互の間隔が広がるように構成される。
【発明の効果】
【0008】
本発明のロックコネクタによれば、接続に際して、接続相手の接続口部材とコネクタを相互に押し付ける操作を行うだけでよく、接続を解除する際には、ロックレバーの操作部を指で挟みつけるだけでよいので、操作が簡単である。しかも、ロックレバーはフードとは独立しており、支持片にのみ支持されているので、係止部の先端の係止爪を変位させるための、可撓的な変形の量を多くとることが容易である。その結果、確実な係合を得ることが可能である。更に、係止部の外表面がフードの外表面と略面一であるため、係止部の先端が不慮の接触により変形させられ、係合が外れる可能性が軽減される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
(実施の形態1)
本発明の実施の形態1におけるロックコネクタの構造について、図1〜図4を参照して説明する。
【0010】
図1の側面図に示されるように、このロックコネクタは、中心に管体1を有する。図1には、管体1における基端部1aのみが示されているが、図2に示す断面図から判るように、管体1は更に先端部1bを有する。基端部1aには、使用に際して輸液管(図示せず)が接続される。先端部1bは、例えば医療用容器と輸液管とを連通させる際に、医療用容器などの接続口部材に設けられた隔壁(セプタム)のスリットを貫通して挿入される。
【0011】
管体1の先端部1bを包囲するように、略円筒状のフード2が配置されている。フード2は、その基端側において、管体1の軸方向中央部と結合している。フード2と管体1の結合部3は、図3の平面図あるいは、図4の正面図に示される。フード2は、図3に明瞭に示されるように、その円筒側壁に切り欠き部2aが形成されている。なお、図2は、図3におけるA−A断面を示したものである。
【0012】
図2及び図4に示されるように、管体1の中央部には、フード2に加えて支持片4a、4b、5a、5bが固定され、各々管体1の軸に直交する方向に延在している。なお図4においては見易さを考慮して、支持片4a、4b、5a、5bにハッチングを施した。6はロックレバーである。ロックレバー6は、図2に明瞭に示されるように、管体1の側部に一対配置され、それぞれ管体1の軸方向に沿って延在する。ロックレバー6は、その中央部が支持片4a、4b、5a、5bの先端と結合し、それにより管体1に対する所定位置に支持されている。支持片4a、4bが一組で一方のロックレバー6を支持し、支持片5a、5bが一組で他方のロックレバー6を支持している。従って、実質的には一対の支持片が、各ロックレバー6に対応して設けられていることになる。
【0013】
ロックレバー6は、支持片4a、4b、5a、5bとの結合部分から見た先端側が係止部6aを、基端側が操作部6bを構成している。ロックレバー6における係止部6aは、その先端に内方に突出する係止爪7を有する。係止部6aは、フード2の切り欠き部2a内に配置され、図3及び図4に示されるように、その外表面がフード2の外表面と略面一になっている。また、切り欠き部2aは先端側が閉じているので、ロックレバー6の係止部6aの先端は、平面的にはフード2により包囲され、使用時に接触を受けるおそれが軽減されている。
【0014】
ロックレバー6における操作部6bに対して、管体1に接近する向きの押圧力、すなわち、図1あるいは図2に示される一対のロックレバー6の操作部6bを挟みこむように力を加えることにより、支持片4a、4b、5a、5bが可撓的に変形する。それにより、ロックレバー6は、支持片4a、4b、5a、5bとの結合部近傍を中心として回動し、一対の係止爪7相互の間隔が拡大する。
【0015】
図2及び図4に示されるように、管体1とフード2との結合部近傍には、位置決め部8が設けられている。位置決め部8は、フード2内の管体1の周囲に十字形状に配置され、接続対象である接続口部材における、管体1が挿入されるべき部位周辺の部材がフード内2に進入した時に、接続口部材の先端に当接して位置決めする機能を有する。それにより、管体1の挿入状態がぐらつくことを抑制し、安定した接続状態を得ることができる。
【0016】
また図1及び図3に示されるように、フード2の基端側には円筒面を一部平坦に変形させた把持部2bが形成されている。この把持部2bは、コネクタの接続操作を行う際に、この部分を把持して操作することにより、操作の容易性を高めるためのものである。
【0017】
以上の各要素は、一体化された一部材として構成されることが好ましい。材質としては、穿刺操作に必要な程度の硬度と、接続・離脱操作に必要な弾性(可撓性)を有することが要求される。例えば、ポリカーボネート、ポリプロピレン等が好適である。
【0018】
以上のように構成されたロックコネクタの動作について、図5〜図9を参照して説明する。各図に示した10は、上記コネクタが接続される対象である、医療用容器等の接続口部材である。接続口部材10の正面図が図6に示される。接続口部材10は、医療用容器等の容器本体11(一部のみを示す)に結合されており、容器本体11に固定された管状の喉部12と、喉部12の先端に取り付けられた円筒状の係合部13からなる。係合部13は、先端に連結孔13aを有し、後部が径大部13bとなっている。それにより、喉部12と係合部13の境界部に段差部が形成されている。喉部12と係合部13は連通した内腔を有し、連結孔13aにより外部に対して開口している。連結孔13aは、セプタム14により封口されている。セプタム14は、喉部12の先端と、係合部13の内面により挟持されている。セプタム14は中央部にスリットを有し、コネクタの管体1の先端部を挿入可能となっている。
【0019】
接続口部材10にコネクタを接続する際には、図5に示すように両者を対向させ、接続口部材10の係合部13がコネクタのフード2内に挿入されるように操作する。それにより、コネクタの管体1の先端部1bが接続口部材10の連結孔13aに対向し、セプタム14のスリットを割って、接続口部材10の内腔に挿入される。管体1を十分に挿入した状態が図7及び図8に示される。この状態においては、ロックレバー6の係止部6aに設けられた係止爪7が、接続口部材10の径大部13bを乗り越えて、係止爪7と径大部13b後端とが係合している。それにより、接続状態がロックされる。またその際、係合部13の先端が位置決め部8に当接する。それにより係合部13は、位置決め部8と係止爪7の間に挟持された状態になり、安定した接続状態を得ることができる。
【0020】
接続を解除する際には、一対のロックレバー6における各操作部6bを指で把持し、挟みつける。それにより、図9及び図10に示されるように、一対の係止爪7の相互の間隔が離間し、接続口部材10の径大部13bとの係合が外れる。
【0021】
以上の構成および動作によれば、接続に際しては、接続口部材10とコネクタを相互に押し付ける操作を行うだけでよく、きわめて簡易である。
【0022】
接続を解除する際には、操作部6bを指で挟みつけるだけでよい。ロックレバー6はフード2とは独立しており、支持片4a、4b、5a、5bにのみ支持されている。従って、係止部6aの先端の係止爪7を変位させるための、可撓的な変形の量を多くとることが容易である。その結果、径大部13bとの係合のための変形量を十分に確保して、確実な係合を得ることが可能である。
【0023】
しかも、係止部6aはフード2に完全に包囲され、また、外表面がフード2の外表面と略面一であるため、係止部6aの先端が不慮の接触により変形させられる可能性が低くなる。従って、係合が外れる事故の発生が軽減される。
【0024】
また、管体1の先端部1bがフード2内に収容された構造であるため、先端部1bを接触による汚染から保護することができ、輸液との接触部を清潔に保つことができる。
【0025】
図11、図12は、ロックレバー6の変形例を示す。この例では、ロックレバー6における操作部6bが、他方のロックレバー6に向かって延びたストッパー部9を有する。一方のロックレバー6のストッパー部9の先端は、他方のそれと対向している。コネクタの接続解除に際して、操作部6bが押圧力により相互に接近したときに、各ストッパー部9の先端が互いに当接することにより、操作部6bの相互間隔が、所定の範囲よりも小さくならないように制限される。
【0026】
(実施の形態2)
実施の形態2におけるロックコネクタについて、図13〜15を参照して説明する。このコネクタの特徴は、実施の形態1における図2および図4に示した位置決め部8に代えて、環状構造の位置決め部を有することである。
【0027】
図13および図14に示すように、管体1の中央部に、管体1の軸に直交する方向に延在する支持片15a、15bの一端が結合している。支持片15a、15bの他端には、ロックレバー6が支持されている。支持片15a、15bと同一の平面を成すように、結合部16a、16bが設けられ、管体1とフード2を結合している。支持片15a、15bと結合部16a、16bとは、支持片間隙部17により分離され、それにより、支持片15a、15bが可撓的に変形可能になっている。
【0028】
支持片15a、15bと結合部16a、16bの周縁部には、環状位置決め部18が形成されている。環状位置決め部18は、図14に示されるように、支持片15a、15bの中央部に対する段差を形成している。図示されていないが、結合部16a、16bに形成された環状位置決め部18も同様である。
【0029】
実施の形態1における位置決め部8の場合、接続口部材を4点で支持するのに対して、環状位置決め部18によれば、接続口部材の係合部の外周部を略全周に亘って支持することができる。それにより、管体1の挿入状態のぐらつきが抑制され、安定した接続状態を得ることができる。
【0030】
(実施の形態3)
実施の形態3におけるロックコネクタについて、実施の形態2の説明にも参照した図13および図15を参照して説明する。本実施の形態のコネクタの特徴は、図13に示される支持片間隙部17の間隙の幅が、0.05mm〜0.5mmの範囲に設定されていることである。同様に、図15に示される切り欠き部2bにおける、フード2とロックレバー6の係止部6aの間に形成された間隙の幅も、0.05mm〜0.5mmの範囲に設定されている。
【0031】
このように間隙の幅を制限することによる利点は、次のとおりである。ロックコネクタと接続口部材を互いに接合あるいは離脱させる操作に際しては、管体1が接続口部材のセプタムのスリットを押し広げながら行われるので、接続口部材が設けられた医療用容器から液体が漏れることがある。漏れた液体は、上記の各間隙を通って外部に漏れる惧れがある。そこで、各間隙の幅を上記のように設定すれば、間隙における液体の表面張力の作用により、液体が間隙を通過することを抑止する効果が得られる。その結果、管体1がセプタムを貫通する部分で医療用容器の液体が漏れても、フード2内に保持され、コネクタ外部への液漏れを抑制することができ、周辺の環境を清潔に保つことができる。
【0032】
間隙の幅は、0.05mmよりも狭く設定すると、製造が困難であり、実用的ではない。0.5mmよりも広く設定すると、液体の間隙通過を表面張力の作用により抑止する効果が十分に得られない。
【0033】
本実施の形態の構成は、実施の形態1の図4に示したような支持片4a、4b、5a、5bを有する場合にも適用できる。要するに、図4に示した支持片4a、4b、5a、5bの相互間に形成される間隙、および支持片4a、4b、5a、5bと他の部分との間に形成される間隙を、上記の範囲の幅に設定することにより、液漏れを抑制する効果が得られる。
【0034】
(実施の形態4)
実施の形態4におけるロックコネクタについて、図16〜18を参照して説明する。このロックコネクタの基本的な構造的は、図13〜図15に示されるものと同様である。相違点は、図16に示されるように、支持片間隙部17にエラストマー19が充填されていることである。また図17、図18に示されるように、切り欠き部2bにもエラストマー20が充填されている。
【0035】
上述のように、本実施の形態におけるロックコネクタの特徴は、フードの側壁における切り欠き部の周縁の端面とロックレバーの係止部の周縁の端面との間の間隙、および支持片とフードの側壁内面との間に形成される間隙に、熱可塑性エラストマーを充填して封止したことである。支持片自体に間隙が形成されている場合には、その間隙にもエラストマーが充填される。
【0036】
エラストマーを充填することにより、実施の形態3と同様に、ロックコネクタと接続口部材を互いに接合あるいは離脱させる操作に際して、管体がセプタムを貫通する部分で医療用容器の液体が漏れても、コネクタ外部への液漏れを抑制することができる。なお、上記の各間隙のうち、少なくとも1種の間隙に熱可塑性エラストマーが充填されていれば、相応の効果が得られるので、必ずしも全ての間隙にエラストマーが充填されなくともよい。
【0037】
また、切り欠き部2bを完全に封止するとロックレバー6の動作に支障を生じる場合もあるので、そのような場合は、図19(a)〜(d)に示すようにすればよい。図19(a)〜(d)は、切り欠き部2bに位置する、フード2とロックレバー6の係止部6aの端面部を模式的に示す部分断面図である。
【0038】
図19(a)は、係止部6aの端面にエラストマー20が接合され、フード2の端面にはエラストマー20が接合されず、当接している構造を示す。逆に、フード2の端面にエラストマー20が接合され、係止部6aの端面にはエラストマー20が当接している構造としてもよい。接合とは、二色成形あるいはインサート成形により、エラストマー20がフード2または係止部6aの端面に固着された状態をいう。当接とは、単に接触している状態をいう。
【0039】
図19(b)は、係止部6aおよびフード2の双方の端面に各々エラストマー20が接合されて、各エラストマー20が中間部で当接している構造を示す。
【0040】
図19(c)、(d)は、各々図19(a)、(b)の構造において、フード2あるいは係止部6aの端面とエラストマー20の間、および各エラストマー20の対向部に間隙が設けられている構造を示す。それらの間隙は、0.05mm〜0.5mmの範囲の幅に設定されている。
【0041】
図19(a)〜(d)の構造により、ロックレバー6の動作の自由度を確保しながら、液漏れを防止することができる。
【0042】
また、図20(a)または(b)に示すような構造にすることもできる。図20(a)は、エラストマー21により、支持片間隙部17(図示せず)は完全に封止し、切り欠き部2bは、基端部側を半分程度封止した構造である。それにより、ロックレバー6の動作の自由度を確保しながら、液漏れを実質的に抑制することが可能である。図20(b)は、製造をより容易にするための構造を示す。
フード2の基端部側半分を全体的にエラストマー22で覆うことにより、図20(a)の構造と同様に各間隙が封止されている。
【0043】
なお本発明のロックコネクタは、医療用容器の接続口部材との接続以外にも、スリット入りのセプタムを備えた混注ポートとの接続に適用可能である。
【0044】
上記の実施の形態では、スリット入りの隔壁を有する接続口部材との接続を前提とした連通用ロックコネクタについて示した。この構造は、誤穿刺防止のために鋭利な先端を持たない挿入端構造を用いる場合に、穿刺時の操作性を良くする効果において、特に優位性を発揮する。一方、本発明の連通用ロックコネクタの構造は、隔壁にスリットが設けられていない場合に用いられるコネクタにも適用可能である。その場合は、隔壁を薄くして破断し易くしたり、あるいは管体1の先端部1bを鋭利な形状にすればよい。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明によれば、操作性が良く、ロック状態が確実に保持されるロック機構を備えた、隔壁付き接続口部材との連通用ロックコネクタを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の実施の形態1における、隔壁付き接続口部材との連通用ロックコネクタを示す側面図
【図2】同ロックコネクタの断面図
【図3】同ロックコネクタの平面図
【図4】同ロックコネクタの正面図
【図5】同ロックコネクタを医療用容器等の接続口部材と接続する直前の状態を示す側面図
【図6】図5における接続口部材の正面図
【図7】ロックコネクタが医療用容器等の接続口部材と接続された状態を示す側面図
【図8】図7の断面図
【図9】同ロックコネクタの接続が解除されるときの状態を示す側面図
【図10】図8の断面図
【図11】図1のロックコネクタの一部を変形した例を示す側面図
【図12】図11のロックコネクタの背面図
【図13】実施の形態2および3における、隔壁付き接続口部材との連通用ロックコネクタを示す正面図
【図14】同ロックコネクタの断面図
【図15】同ロックコネクタの平面図
【図16】実施の形態4における、隔壁付き接続口部材との連通用ロックコネクタを示す正面図
【図17】同ロックコネクタの断面図
【図18】同ロックコネクタの平面図
【図19】同ロックコネクタの変形例における要部を模式的に示す部分断面図
【図20】同ロックコネクタの他の変形例を模式的に示す平面図
【符号の説明】
【0047】
1 管体
1a 基端部
1b 先端部
2 フード
2a 切り欠き部
3 結合部
4a、4b、5a、5b 支持片
6 ロックレバー
6a 係止部
6b 操作部
7 係止爪
8 位置決め部
9 ストッパー部
10 接続口部材
11 容器本体
12 喉部
13 係合部
13a 連結孔
13b 径大部
14 セプタム
15a、15b 支持片
16a、16b 結合部
17 支持片間隙部
18 環状位置決め部
19、20、21、22 エラストマー
【特許請求の範囲】
【請求項1】
輸液管と接続可能な基端部及び隔壁付き接続口部材に挿入可能な先端部を有する管体と、前記管体の先端部を包囲するように配置され前記管体の中央部分と結合したフードと、前記フードの側壁に形成された切り欠き部と、前記管体の中央部分に固定され前記管体の軸に直交する方向に延在する一対の支持片と、前記管体の側部に配置されて前記管体の軸方向に沿って延在し、先端側の係止部及び基端側の操作部を含み、その中央部が前記支持片の先端と結合して支持された一対のロックレバーとを備え、
前記ロックレバーにおける前記係止部は、その先端に内方に突出する係止爪を有するとともに、前記フードの前記切り欠き部内に、その外表面が前記フードの外表面と略面一になるように配置され、
前記ロックレバーにおける前記操作部に対して、前記管体に接近する向きの押圧力を加えることにより、前記支持片が可撓的に変形して、一対の前記ロックレバーにおける前記係止爪相互の間隔が広がるように構成された、隔壁付き接続口部材との連通用ロックコネクタ。
【請求項1】
輸液管と接続可能な基端部及び隔壁付き接続口部材に挿入可能な先端部を有する管体と、前記管体の先端部を包囲するように配置され前記管体の中央部分と結合したフードと、前記フードの側壁に形成された切り欠き部と、前記管体の中央部分に固定され前記管体の軸に直交する方向に延在する一対の支持片と、前記管体の側部に配置されて前記管体の軸方向に沿って延在し、先端側の係止部及び基端側の操作部を含み、その中央部が前記支持片の先端と結合して支持された一対のロックレバーとを備え、
前記ロックレバーにおける前記係止部は、その先端に内方に突出する係止爪を有するとともに、前記フードの前記切り欠き部内に、その外表面が前記フードの外表面と略面一になるように配置され、
前記ロックレバーにおける前記操作部に対して、前記管体に接近する向きの押圧力を加えることにより、前記支持片が可撓的に変形して、一対の前記ロックレバーにおける前記係止爪相互の間隔が広がるように構成された、隔壁付き接続口部材との連通用ロックコネクタ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開2008−132372(P2008−132372A)
【公開日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−53198(P2008−53198)
【出願日】平成20年3月4日(2008.3.4)
【分割の表示】特願2003−41659(P2003−41659)の分割
【原出願日】平成15年2月19日(2003.2.19)
【出願人】(000153030)株式会社ジェイ・エム・エス (452)
【出願人】(000149435)株式会社大塚製薬工場 (154)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年3月4日(2008.3.4)
【分割の表示】特願2003−41659(P2003−41659)の分割
【原出願日】平成15年2月19日(2003.2.19)
【出願人】(000153030)株式会社ジェイ・エム・エス (452)
【出願人】(000149435)株式会社大塚製薬工場 (154)
【Fターム(参考)】
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