説明

隠された補充孔を備えた液体ディスペンサー

本発明は、供給位置及び補充位置を有する手動操作式の液体ディスペンサー(1、2)に関し、液体ディスペンサー(1、2)は、液体容器(10)であって、ディスペンサー(1)の供給位置において液体が容器から排出される供給孔(20)と、ディスペンサー(1)の補充位置において液体が導入される、供給孔(20)とは別の補充孔(30)とを含む液体容器(10)と、供給位置では補充孔(30)を隠し且つ補充位置では補充孔(30)の覆いを外すような態様で液体容器(10)を支持する支持構造体(3)とを具備し、容器(10)の支持構造体(3)は、容器を逆さにするための手段を含み、この手段は容器(10)を供給位置では直立して保持し且つ補充位置では逆さに保持するように設計される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体ディスペンサーの分野、例えば、バスルームで見られる、ソープディスペンサー、シャンプーディスペンサー、並びに他の洗面ディスペンサー及び化粧品ディスペンサーの分野に関する。
【0002】
次に、我々は、固体でも気体でもないあらゆる物質を液体と見なすことにする。その結果、粘着性ジェルまたはペーストは、液体と見なされるであろう。
【背景技術】
【0003】
液体が保管される容器を具備している、壁に鉛直に固定された液体ディスペンサーがすでに公知になっている。典型的には、ポンプは、容器に設けられた液体供給孔を介して容器内に挿入される。ポンプに接続されたプッシュボタンは、プッシュボタンに設けられた孔の方に向けて容器内に保管された液体を吸引するために、頂端から下端にかけて作動される。
【0004】
この種類のディスペンサーの主な利点は、使用するのが簡単なことである。その結果、ディスペンサーがバスルームに設置されるとき、使用者は使用案内を必要とすることなく感覚的にディスペンサーを使用することができる。ホテルにおいて、現地語をよく知らず、その結果、ディスペンサーの使用案内を理解できない外国の顧客が通常訪れることが多いとき、このことは更に有利である。
【0005】
しかしながら、この種類のディスペンサーの主な欠点の一つは、ディスペンサーの容器が補充されるまたは取り替えられる必要があるとき、ディスペンサーの周囲を汚しがちであることである。実際に、容器への補充をするために、通常、ポンプ本体の通路孔を通して、すなわち容器の供給孔を介して容器を満たすべく、容器内に浸されているポンプ本体を取り外す必要がある。
【0006】
ポンプ本体は液体に覆われ、液体は、重力の作用の下、ディスペンサー範囲、特にディスペンサーが設置される床、壁、及びディスペンサー自体を濡らし且つ汚す傾向にある。斯かるディスペンサーは、高級ホテルの備品にそぐわない明確な審美的欠陥を更に示す。斯かるディスペンサーは、客室係に大幅な清掃時間をもたらし、結果として、ホテル支配人に追加コストをもたらす。
【0007】
斯かるディスペンサーは、通常、シャワーの操作レバーまたはバスタブの近くに設置される。例として、バスタブに関して、ディスペンサー容器の補充の間、ポンプ本体を操作して補充を行うことができるようにするためにはバスタブに入ることが不可欠であり、その結果、バスタブを清掃する必要がある。
【0008】
人はバスタブに入るのを避けるべく腕を伸ばした状態でディスペンサーを操作することができるが、容器の操作が困難になり、その結果、汚す機会が増加する。
【0009】
別の欠点は、顧客が容器内に容易に異物を導入することができてしまうことである。例えば、顧客は、難なくポンプ本体を取り外し且つ水を容器内に導入することができ、その結果、供給する液体を希釈することになる。その結果、容器は非常に質の悪い供給する液体を含有することになり、この質の悪い液体が将来の顧客に供給されることになる。将来の顧客は間違いなく不満足であるだろうし、このことは、前記供給する液体を商品化する会社のブランドイメージを傷つけるであろう。
【発明の概要】
【0010】
本出願人は、これら欠点を解消するために、供給位置及び補充位置をとることができる手動操作式の液体ディスペンサーを提案し、液体ディスペンサーは、液体容器であって、ディスペンサーの供給位置において液体が容器から排出される供給孔と、ディスペンサーの補充位置において液体が導入される、供給孔とは別の補充孔とを含む液体容器と、供給位置では補充孔を隠し且つ補充位置では補充孔の覆いを外すような態様で液体容器を支持する支持構造体とを具備し、容器を支持する支持構造体は容器を逆さにするための手段を含み、該手段は容器を供給位置では直立して保持し且つ補充位置では逆さに保持するように設計される。
【0011】
本発明に係るディスペンサーが清潔な外面を保つことができることは有利である。供給孔とは別の補充孔を通した容器の補充の間、液体が補充孔の近くに滴下する場合、滴下した液体は、補充孔が容器を支持する支持構造体によって隠されるので、見られることができないであろう。
【0012】
更にその上、使用者は、容器を支持する支持構造体によって補充孔が隠されるので、容器内に異物を導入する気にならないであろう。
【0013】
支持構造体は供給位置及び補充位置の容器を安定して維持することができる。補充の間、使用者は補充をするのに両手を使用でき、支持構造体は容器を逆さの状態に維持する。
【0014】
更に好ましくは、供給孔及び補充孔は、液体容器の対向する二つの端部に設けられる。使用者は、ディスペンサーが直立しているか逆さであるかに応じて、ディスペンサーの頂端から個々の孔に容易にアクセスすることができる。
【0015】
本発明の特定の特徴によれば、支持構造体は、固定されて維持されるのを目的とする支持台座と、液体容器が受容されるハウジングとを具備し、ハウジングは支持台座に対して回転可能に設置される。
【0016】
支持構造体は供給位置と補充位置との間で容器を逆さにすべくハウジングと協働する。
【0017】
好ましくは、支持台座は壁への固定手段を具備する。
【0018】
更に好ましくは、壁に固定される支持台座は、容器のハウジングを前記壁から離した状態に保つべく構成される。その結果、使用者は容器を容易に扱うことができ、補充の間、容器がより近くなる。バスタブのディスペンサーについて、使用者は、バスタブに入る必要がなく、または腕を伸ばして容器を扱う必要がない。
【0019】
本発明の特定の特徴によれば、液体容器のハウジングは補充孔の隠しベース(concealing base)を具備する。
【0020】
好ましくは、液体容器は、隠しベースに設けられた孔内に導入される補充ノズルを具備する。補充ノズルはベース内に延在し、その結果、ベースは、使用者の視界から補充孔を隠しつつ容器を維持するのに関与できる。
【0021】
更に好ましくは、ディスペンサーは、支持台座に対してハウジングの位置をロック/ロック解除すべく構成されたロック板を具備する。
【0022】
ロック板は、知識がない使用者が補充孔にアクセスするのを防ぐことができる。好ましくは、ロック板は、知識がない使用者の視界から隠されるロック解除レバーを具備し、容器の支持台座からハウジングを解放できる。
【0023】
本発明の特定の特徴によれば、補充位置において容器を維持すべく構成される支持キャップはハウジングの上方部分に設けられ、隠しベースは容器のハウジングの下方部分に設けられる。
【0024】
更に、支持キャップは、ポンプの分解、または供給孔内に導入されるであろう他の供給手段の分解を防ぐべく構成され、その結果、支持キャップは、容器内の液体へのアクセスを保護するのを助ける。キャップ及びベースのおかげで、容器本体は使用者に見られることができ、使用者は、容器上に刻み込まれた製品名、または容器が透明の場合は製品自体を見ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】図1は、ロックされた供給位置における、本発明に係る液体ディスペンサーの左断面図を表す。
【図2】図2は、ロックが解除された供給位置における、図1の液体ディスペンサーの左断面図を表す。
【図3】図3は、回転位置における、図2の液体ディスペンサーの左断面図を表す。
【図4】図4は、補充位置における、図2の液体ディスペンサーの左断面図を表す。
【図5】図5は、液体ディスペンサーの第2実施形態の正面図を表す。
【図6】図6は、図5の液体ディスペンサーの右側面図を表す。
【図7】図7は、図5の液体ディスペンサーの背面図を表す。
【図8】図8は、図5の液体ディスペンサーの右断面図を表す。
【図9】図9は、液体ディスペンサーの容器が無い状態の、図5の液体ディスペンサーの分解図を表す。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明は添付の図面の補助によってより理解されるであろう。本発明に係る液体ディスペンサー1を表している図1を参照すると、液体ディスペンサー1は円筒形状の液体容器10を具備し、液体容器10の上部は丸みを帯び且つ下部は平らである。
【0027】
標準通り、本願において、「高い」及び「低い」という表現は図1の図面に関して定義され、「前」、「後ろ」、「左」、及び「右」という表現も同様である。言い換えれば、図1は、後ろから固定されるディスペンサーの左からの図を表し、ディスペンサーからの供給は前から行われる。
【0028】
液体容器10は、その上方部分に、上向きに突出する円筒形状の液体供給ノズル(図示せず)を具備し、手動操作式のディスペンサーアクチュエータを形成する供給ポンプ21が設置される。供給ノズルの通路区域は容器10の供給孔20に対応する。
【0029】
供給ポンプ21はプランジャー(図示せず)及びプッシュボタン22を具備し、プランジャーは供給ノズルによって液体容器10内に挿入され、容器10の外側に設置されるプッシュボタン22はプランジャーに接続される。供給ポンプ21は供給ノズルでシールされるように設置される。プッシュボタン22は供給孔221を具備し、容器10の液体は供給孔221によって供給される。
【0030】
液体容器10は、容器10の下部に設けられる補充ノズル31を具備する。補充ノズル31は下向きに突出する円筒形状であり、その通路区域は容器10の補充孔30に対応する。補充ノズル31は、取外し可能なキャップ32によって、ここではエラストマー製のキャップによって閉じられる。この例において、容器10はプラスチック製である。ガラスまたは金属も適切であることは言うまでもない。
【0031】
ディスペンサー1の容器10は支持構造体3によって維持され、支持構造体3は容器10のハウジング60と支持台座40とを具備し、ハウジング60は支持台座40に対して移動可能に設置される。ここで、支持構造体はプラスチック製であるが、金属のような他の材料からも製造されうることは言うまでもない。
【0032】
支持台座40は、長方形状の第1鉛直部分41と、前方に突出する自由端を有する、長方形状の第2水平部分42とを具備する曲板の形状で示される。言い換えれば、支持台座40は、ほぼL字の形状で示される。ここで、支持台座40の鉛直部分41は、ネジによって壁に固定される。他の手段も適切であることは言うまでもない。
【0033】
ハウジング60は、ほぼ長方形状の鉛直な底板63を具備する。支持台座40の鉛直部分41に対して取外し可能に固定されるハウジング60は、その上方部分に容器の支持キャップ61を具備し、その下方部分に容器10の補充孔30の隠しベース62を具備する。
【0034】
この例において、支持キャップ61は底板63の上方部分に対して取外し可能に固定される。支持キャップ61が繋止されるように固定されてもよいことは言うまでもない。
【0035】
図1を参照すると、支持キャップ61は、水平であり、すなわち底板63に対して直角に延在する。キャップ61は、二つの側部(右側部及び左側部)、前部611、後部、閉じた上部612、及び開いた下部を有する、長方形の蓋の形状で示される。キャップ61の後部は底板63の前部に固定される。この例において、キャップ61の後部は、後方に突出する固定フック65を具備し、キャップ61の固定手段を形成する固定フック65は、底板63内に形成された孔に挿入される。
【0036】
図示しない実施形態によれば、キャップ61の後部は開いており、且つ固定フック65はキャップ61の側部の拡張部分に設けられ、後方に突出する固定フック65は、底板63内に形成された孔に挿入される。
【0037】
図1を参照すると、フック65は、支持台座40に対してハウジング60の位置をブロックするために、支持台座40の鉛直部分41に形成された孔と、支持台座40の鉛直部分41に対して平行に且つ鉛直に延在するロック板90に形成された孔とを横切る。
【0038】
ロック板90は、支持台座40に対して容器10のハウジング60をブロックまたは解放すべく構成される。ロック板90は鉛直バネ51によって支持台座40に接続され、鉛直バネ51のバネ定数は、ロック板90がハウジング60のロック位置において鉛直下向きに移動するように圧力を加え、その結果、ロック板90は、支持台座40に形成された孔を部分的に遮る。
【0039】
ロック板90は下端部にロック解除レバー91を具備し、ロック解除レバー91は、使用者が、支持台座40の鉛直部分41に設けられた孔の覆いを外すために、(バネ51に対抗する力によって)ロック板を上向きに移動させることを可能とする。その結果、ハウジング60は図2に表されるようにロックが解除される。
【0040】
キャップ61の上部612にはその後縁から前縁にかけて縦溝66が形成される。上部612の溝66の横寸法は、キャップ61の上部612をポンプ21のプッシュボタン22が通過できるようにするのに適する。図示しない実施形態において、キャップ61は円形の孔を具備し、ポンプ21のプッシュボタン22が円形の孔を介して導入される。キャップ61はポンプ21の分解を防止することができる。
【0041】
容器の補充孔30の隠しベース62は、それ自体、水平板69の形態で示され、水平板69はその後縁によって底板63に繋止されるように固定され、前記水平板65は下向きに設けられた周方向スカート(circumferential skirt)620を具備する。言い換えれば、ベース62は長方形の蓋の形態で示され、長方形の蓋の上部は水平板69に対応し、且つ長方形の蓋の後部、側部(左及び右)、及び前部621は周方向スカート620に対応する。図1を参照すると、ベース62は蓋の形状であるが、この蓋の後部は、底板63によって閉じられる。
【0042】
更に、隠しベース62は、その水平板69に設けられた円形孔を具備し、円形孔は、容器10の補充ノズル31が挿入後にベース62のスカート620内に隠されるように、容器10の補充ノズル31を収容することを目的とする。縁681が上向きに持ち上げられる円環板(annular disk)68が、液体容器10を収容すべくベース62の水平板69の上部上に固定される。
【0043】
ハウジング60は支持台座40の水平部分42上に載っている。貫通孔45が支持台座40の水平部分42の上流端の近くで水平部分42の厚み内を左から右にかけて設けられる。隠しベース62のスカート620の側部(左及び右)はそれぞれ貫通孔を具備し、ベース62の孔及び支持台座40にはロッドが横断し、このロッドはその端部において移動防止リング(anti-translation ring)によってロックされる。ロッドは、ベース62及び支持台座40について、回転ヒンジを形成し、回転ヒンジは、移動可能なベース62が、固定されている支持台座40に対して回転することを可能とする。
【0044】
ハウジング60内に容器10を設置する間、容器10の補充ノズル31は隠しベース62の水平板69の孔内に導入され、容器10の下部は、持ち上げられた縁681を用いて円環板68内に受容され、前記縁681は容器10の側部と接触する。容器10は、その長さ方向に、すなわちハウジング60の底板63に対して平行に延在する。
【0045】
その後、人が、この目的の為に設けられた、キャップ61の上部612の溝66にポンプ21のプッシュボタン22を通すことによって、容器10上にキャップ61を固定する。その後、キャップ61の固定フック65は、ハウジング60の底板63の孔、支持台座40の鉛直部分41の孔、及びロック板90の孔に順に挿入され、容器10は、支持台座40によってそれ自体が維持された底板63に維持される。
【0046】
ロックされた供給位置において、底板63は支持台座40の鉛直部分41に対して平行に延在し、底板63の下側の縁は支持台座40の水平部分42を押圧する。ベース62の周方向スカート620は、支持台座40の水平部分42を覆い、支持台座40は外側から見られることができない。
【0047】
本発明の手段を記述してきたが、以下、本発明の実施がさらに詳細に記述されるであろう。
【0048】
供給位置において、容器10は直立している。図1に表されるように、供給ノズルが上向きであり、一方、補充ノズル31は下向きである。
【0049】
一回分の供給する液体1、ここでは液体ソープを得たい使用者は、ポンプ21のプランジャーによって容器10のソープを吸引させるべく、ポンプ21のプッシュボタン22を頂端から下端にかけて押す。ソープは、プッシュボタン22に設けられた供給孔221を通して使用者によって回収される。
【0050】
ディスペンサー1を使用することは簡単且つ感覚的であり、鉛直に作動されるポンプ21は液体の正確な計量を可能とする。一方、使用者は容器10内に異物を簡単且つ迅速に導入することができない。実際に、ディスペンサー1のキャップ61はロック板90によってロックされ、キャップ61は知識がない人によるポンプ21の分解を防ぐ。知識がない使用者は、補充孔30がベース62のスカート620内に隠されるので、ディスペンサー1が供給孔20とは別に補充孔30を有することに気付かない。
【0051】
ディスペンサー1内の液体ソープを補充するステップが以下に更に詳細に記載される。
【0052】
供給位置において、ハウジング60は支持台座40の水平部分42上に載る(図1)。ロック解除後、ハウジング60は補充位置(図4)に移動するために図3に表されるように前方に回転される。図4に表されるように、補充位置において、容器10は逆さにされ、供給ノズルは下向きであり、一方、補充ノズル31は上向きである。
【0053】
回転前に、使用者はロック板90の固定フック65を解放すべくロック解除レバー91を作動させ、フック65はハウジング60の底板63に固定されたままである。
【0054】
回転中、ロッドと、ベース62及び支持台座40に設けられた貫通孔との協働によって形成されたヒンジは、固定されたままである支持台座40に対してハウジング60を回転させるのを可能とする。この例において、支持台座40は壁に繋止されるように固定される。
【0055】
図4に表されるように、半周の回転後、スカート620の前部の下側の縁は、支持台座40の水平部分42の下部に隣接する。容器10は、補充ノズル31が上向きの状態で逆さにされた位置に維持される。スカート620の前部の下側の縁によって実現されたストッパーのおかげで、補充位置は安定している。その結果、キャップ32によって閉じられた補充ノズル31は、覆いが外される。容器10は、重力の作用の下、容器10が落下するのを防ぐ上方キャップ61によって、ハウジング60内に維持される。
【0056】
補充中、補充ノズル31を閉じているキャップ32は取り外される。人が、補充ボトル70によって、補充ノズル31内に導入される供給漏斗71を介して容器10を満たし、補充ボトル70の体積は、通常、容器10の体積よりも大きい。
【0057】
補充作業はいくつかの理由から容易である。まず第一に、回転後、容器10は、ディスペンサー1の支持台座40が固定される壁から離れるように移動せしめられ、その距離は支持台座40の水平部分42の長さに相当する。その結果、容器10は使用者により近く、使用者は腕を伸ばして補充ボトル70を保持する必要なく容器10への補充を行うことができる。このことは、例えば、ディスペンサー1がバスタブ内に設置されるときに特に有利である。
【0058】
次に、ディスペンサー1が安定した位置に維持されるので、使用者は補充ボトル70を保持するのに両手を使用することができ、その結果、補充がより正確になり、且つ汚すことが起こりにくい。最後に、補充ボトル70からの液体が補充ノズル31に隣接して落ちる場合でさえ、この液体は回収され且つ隠しベース62のスカート620によって隠されるであろう。容器10が補充された時点で、容器10は供給位置に回転されて戻り、補充ノズル31は隠しベース62によって再び隠される。ディスペンサー1の外面は補充後に清潔なままである。
【0059】
図5〜図9を参照すると、第2実施形態に係る液体ディスペンサー2が示される。
【0060】
本実施形態は前述した実施形態に非常に似ており、このため、記述を単純化するために、図1〜図4の装置の要素と同等または近似の図5〜図9のディスペンサーの要素であって図1〜図4の装置の要素と同一の構造又は機能を有する要素に用いられる参照番号は同一である。更に、図1の装置の記述を全部繰り返すことなく、前述した内容は、不一致部分がないとき、図5〜図9の装置にも適用される。
【0061】
図5〜図7を参照すると、液体ディスペンサー2は、保護キャップ81と、保護ベース82とを具備し、保護キャップ81は分解を防止すべくポンプ20のベースを覆い、保護ベース82は容器10の補充ノズル31を覆うことになる。
【0062】
保護キャップ81は、ポンプ21の上方部分を通過させるために上部に孔を具備する長方形の蓋の形態で示される。ここで、保護キャップ81の寸法は、保護キャップ81が設置される容器10の上方部分に適合するようになっている。保護キャップ81は、頂端から底端にかけてポンプ21を包み込むことになる。
【0063】
図8を参照すると、保護ベース82は、支持台座40の支持アーム44の通路のために後部に孔を具備する長方形の蓋の形態で示される。ここで、保護ベース82の寸法は、保護ベース82が設置される容器10の下方部分に適合するようになっている。保護ベース82は、底端から頂端にかけて容器10の補充ノズル31を包み込むことになる。
【0064】
この実施形態において、容器10は、容器がその上方部分(支持キャップ61)及び下方部分(隠しベース62)によって維持された前述した実施形態とは対称的に、その下方部分によってのみ支持台座40に接続される。
【0065】
支持台座40の鉛直部分は、以後、固定板41によって指示され、該固定板41に設けられた固定孔52を横断するネジによって壁に対して鉛直に接続される。二つの水平支持アーム44が、前方に、すなわち固定板41に対して垂直に延在する。二つの支持アーム44は、平行であり且つそれらの自由端に貫通孔45を具備する。支持台座40は水平壁46を更に具備し、水平壁46の後縁は固定板41に固定され且つ水平壁46の側部は支持アーム44の上側の縁に固定され、水平壁46は支持アーム44の長さの一部のみを覆う。
【0066】
図7を参照すると、補充ノズル31は、ディスペンサーの支持ベース100に形成された切欠き101内に維持される。図9に表される支持ベース100は、長方形状の水平板の形態で示され、水平板の前縁から後縁の近くにかけて切欠き101が設けられる。支持ベース100は、側縁の前端部から下向きに設けられる回転式アーム106を具備し、回転式アーム106は前記支持ベース100の水平板と直角である。ロッドの通路である貫通孔105が支持ベース100の回転式アーム106各々に設けられる。
【0067】
支持ベース100は、ディスペンサー2の支持台座40に対して回転可能に設置される。図8を参照すると、支持ベース100の孔105及び支持台座40にはロッドが横断し、このロッドはその端部において移動防止リングによってロックされる。ロッドは、支持ベース100及び支持台座40について、回転ヒンジを形成し、回転ヒンジは、移動可能な支持ベース100が、固定されている支持台座40に対して回転することを可能とする。
【0068】
供給位置において、支持ベース100は支持台座40の支持アーム44上に載り、回転式アーム106は支持アーム44の外側にあり且つ下向きであり、支持ベース100の下部は、支持台座40の水平壁46によって覆われない支持アーム44の上縁を押圧する。支持ベース100は、補充位置に容器10を逆さにすべく前方に回転できる。
【0069】
支持ベース100は、水平板の後縁に、ロック板90のタブ97を受容することを目的とするロック孔107を具備し、ロック板90のタブ97は、支持ベース100と、支持台座40の固定板41との間に設置される。ここで、ロック板90は、支持台座40の支持アーム44の側部の内面に設けられたレール上に設置され、ロック板90は支持台座40の水平壁46の下のレール上を前方から後方に摺動する。
【0070】
図9を参照すると、ロック板90は、長方形状の水平板の形態で示され、前方に突出しているロックタブ97を前縁に具備し、ロックタブ97はロック板90の上部と同一の平面で延在する。ロック解除レバー91がロック板90に設けられ、下向きに突出している鉛直部分の形態で示されるレバー91は、固定板51に対して平行に延在し、ロック板90の下部の中心に設けられる。
【0071】
供給位置では、ロック板90はその前縁が支持ベース100に隣接し、ロックタブ97は補充位置への容器の回転を防止すべく支持ベース100のロック孔107に導入される。
【0072】
使用者は、容器10を回転させるために、ロック解除孔107からロックタブ97を外すべくロック解除レバー91を後方に押すことによってロック解除レバー91を作動させる。好ましい実施形態において、バネが、対応する孔107内にロックタブ97を押すべく、ロック板90と、支持台座40の鉛直板41との間に設置される。ロック解除後、支持ベース100は支持アーム44に対して回転することができる。
【0073】
この例では、容器10の補充ノズル31は径方向リップ(radial lip)302を具備し、径方向リップ302は支持ベース100の切欠き101内に前方から後方に挿入される。ディスペンサー2の供給位置において、容器10の方を向いている径方向リップ302の部分は、支持ベース100の下部と接触している。容器100は支持ベース100上に鉛直に維持され、補充ノズル31は支持ベース100の下に鉛直に延在する。保護ベース82は、ヒンジ及び補充ノズル31を覆うべく、底端から頂端に下方から嵌め込まれる。言い換えれば、支持ベース100及び保護ベース82は、補充孔を隠す機能と、第1実施形態では隠しベース62によって行われる回転する機能とを果たす役割をする。
【0074】
保護ベース82の後部に設けられた孔は、支持台座40の支持アーム44及びロック板90のロックタブ97の通過を可能とする。供給位置において、補充ノズル31は見られることができない。
【0075】
容器10への補充を行うために、保護ベース82は取り出され、その後、ロックレバー91は支持ベース100を解放すべく作動され、支持ベース100は容器10と共に前方に回転して水平位置に固定化され、その結果、支持ベース100の回転式アーム106は上向きにされる。容器10は逆さにされ、径方向リップ302は、容器10を支持ベースに繋止された状態に維持する。補充ノズル31は上向きにされる。容器10を補充するために必要なことは、補充ノズル31のキャップ32を取り外すことだけである。
【0076】
壁に固定されるディスペンサー1、2が記述されてきたが、水平面上に支持台座40を固定することによってディスペンサーが水平面にも固定されうることは言うまでもない。
【0077】
回転ヒンジを形成するための、支持台座40内に設けられた孔及びハウジング60内に設けられた孔を貫通するロッドが記述されてきた。この回転ヒンジが他の手段によっても実施されることは言うまでもなく、最も重要なことはピボット継手(pivot joint)が二つの要素間に形成されるとういうことである。このため、ピボット継手は、独立した二つのロッドによって実現されることができ、各ロッドは、支持台座40の孔と、ハウジング60の孔または支持ベース100の孔とを横断する。
【0078】
また、容器が供給位置と補充位置との間で時計回りまたは反時計回りに回転しうるように、ピボット継手が、支持台座40が固定される壁に対して直角な方向に形成されうることは言うまでもない。例えば、ピボット継手はハウジングの底板63と支持台座40の固定板41との間に形成されてもよい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
供給位置及び補充位置を有する手動操作式の液体ディスペンサー(1、2)であって、
液体容器(10)であって、前記ディスペンサー(1)の供給位置において前記液体が前記容器から排出される供給孔(20)と、前記ディスペンサー(1)の補充位置において前記液体が導入される、前記供給孔(20)とは別の補充孔(30)とを具備する液体容器(10)と、
前記供給位置では前記補充孔(30)を隠し且つ前記補充位置では前記補充孔(30)の覆いを外すような態様で前記液体容器(10)を支持する支持構造体(3)と
を具備するディスペンサー(1、2)において、
前記容器(10)の前記支持構造体(3)が、前記容器を逆さにするための手段を具備し、該手段が前記供給位置では前記容器(10)を直立して保持し且つ前記補充位置では前記容器(10)を逆さに保持するように設計されることを特徴とする、ディスペンサー。
【請求項2】
前記供給孔(20)及び前記補充孔(30)が前記液体容器(10)の対向する二つの端部に設けられる、請求項1に記載のディスペンサー。
【請求項3】
前記支持構造体(3)が、固定されて維持されるべき支持台座(40)と、前記液体容器(10)が収容されるハウジング(60)とを具備し、該ハウジング(60)が前記支持台座(40)に対して回転可能に設置される、請求項1または2に記載のディスペンサー。
【請求項4】
前記支持台座(40)が壁への固定手段(42)を具備する、請求項3に記載のディスペンサー。
【請求項5】
前記液体容器(10)のハウジング(60)が前記補充孔(30)を隠すためのベース(62)を具備する、請求項1〜4のいずれか1項に記載のディスペンサー。
【請求項6】
前記液体容器(10)が、前記隠しベース(62)に設けられた孔(63)内に導入される補充ノズル(31)を具備する、請求項1〜5のいずれか1項に記載のディスペンサー。
【請求項7】
前記支持台座に対して前記ハウジングの位置をロック/ロック解除すべく構成されるロック板(90)を具備する、請求項3〜6のいずれか1項に記載のディスペンサー。
【請求項8】
前記補充位置において前記容器(10)を維持すべく構成される支持キャップ(61)が前記ハウジング(60)の上方部分に設けられ、前記隠しベース(62)が前記容器(10)のハウジング(60)の下方部分に設けられる、請求項5〜7のいずれか1項に記載のディスペンサー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2011−520711(P2011−520711A)
【公表日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−508907(P2011−508907)
【出願日】平成21年5月13日(2009.5.13)
【国際出願番号】PCT/EP2009/055785
【国際公開番号】WO2009/138434
【国際公開日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【出願人】(510300773)
【Fターム(参考)】