説明

隠蔽シール

【課題】隠蔽片が剥がされたことをより確実かつ容易に認識することができる隠蔽シールを提供する。
【解決手段】透明フィルム11と、前記透明フィルムの裏面に所定のパターンにて印刷される剥離性を有する剥離層12と、前記透明フィルムの裏面及び前記剥離層を覆うように形成される印刷層13と、前記印刷層の裏面に不可逆的に弾性変化する特性を有するクッション層14と、前記クッション層の裏面に形成される擬似接着層15と、を具備する隠蔽片10と、前記隠蔽片の裏面に形成される透明なベースフィルム21と、前記ベースフィルムの裏面に形成される粘着層22とで構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パスワード、サイン、印影等を隠す隠蔽片を有する隠蔽シールであり、特に、一度剥がされてパスワード等が読み取られた場合、読み取った事実が残るようにした隠蔽シールに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、不正にパスワード、サイン、印影等を見ることを防止するために、隠蔽片を有するシールがある。また、隠蔽片を剥がした場合、剥がしたという事実がわかるように、剥がした箇所に「開封無効」等の文字が残るものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特許第2958265号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の構成では、いったん不透明層7(隠蔽片)が剥がされても、不透明層7の裏面には表面貼着層9が残る。すると、表面粘着層9の粘着力により、再び不透明層7を基板シート1に貼りつけることができてしまう。この場合、いったん不透明層7が剥がされているにもかかわらず、剥がされたことを認識することが困難となる。
【0005】
そこで、本発明は、隠蔽片が剥がされたことをより確実かつ容易に認識することができる隠蔽シールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するための構成は次のとおりである。
【0007】
(1)
透明フィルムと、前記透明フィルムの裏面に所定のパターンにて印刷される剥離性を有する剥離層と、前記透明フィルムの裏面及び前記剥離層を覆うように形成される印刷層と、前記印刷層の裏面に不可逆的に弾性変化する特性を有するクッション層と、前記クッション層の裏面に形成される擬似接着層と、を具備する隠蔽片と、
前記隠蔽片の裏面に形成される透明なベースフィルムと、前記ベースフィルムの裏面に形成される粘着層と、
を有し、
前記隠蔽片を前記ベースフィルムから剥離する際に、前記透明フィルムと前記剥離層が離間することで、前記印刷層のうち前記剥離層を設けた領域が前記クッション層に食い込み、前記印刷層のうち前記剥離層を設けていない領域が前記透明フィルムに付着し、且つ前記隠蔽片は前記擬似接着層の作用により前記ベースフィルムに対して再付着しないように構成することを特徴とする隠蔽シール。
【0008】
(2)
前記隠蔽片の少なくとも一端には、前記ベースフィルムを露出させることにより分離用余白が形成されることを特徴とする請求項1に記載の隠蔽シール。
【発明の効果】
【0009】
(1)の構成によれば、隠蔽片の内部で、印刷層のうち剥離層を設けた領域がクッション層に食い込むために印刷が表面から見えにくくなり、印刷層のうち剥離層を設けていない領域が透明フィルムに付着する。これにより、隠蔽片の外部から見たとき、剥離したことを示す表示が浮き出ることとなる。また、擬似接着層があるために、隠蔽片はベースフィルムに再付着することがないため、再付着をして再度隠蔽片が隠蔽部分を隠蔽することを防ぐことができる。したがって、隠蔽片が剥がされたことをより確実かつ容易に認識することができる。
【0010】
(2)の構成によれば、分離用余白を形成したことで、隠蔽片をベースフィルムから容易に剥がすことができ、使い勝手をよくすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
図を用いて本発明の隠蔽シール1について詳細に説明する。図1は、隠蔽シール1の使用前の状態を示す説明図であり、図2は、隠蔽シール1の隠蔽片10の剥離中の状態を示す説明図であり、図3は、隠蔽シール1の使用後の状態を示す説明図である。
【0012】
(隠蔽シール1の構成)
図1乃至図3に示すように、隠蔽シール1は、隠蔽片10とベース片20とから構成され、隠蔽すべき印刷が施された台紙P等の隠蔽対象部分に貼り付けられる。
【0013】
まず、隠蔽片10の構成を説明する。図1(b)に示すように、隠蔽シール1の隠蔽片10は、上層から透明フィルム11と、透明フィルム11の裏面に所定のパターンにて印刷される剥離性を有する剥離層12と、透明フィルム11の裏面及び剥離層12を覆うように形成される印刷層13と、印刷層13の裏面に不可逆的に弾性変化する特性を有するクッション層14と、クッション層14の裏面に形成される擬似接着層15と、を具備する。尚、透明フィルム11の表面には、特殊なマット加工を施してもよい。
【0014】
透明フィルム11は、ビニル、ポリプロピレン、ポリスチレン等の透明な高分子フィルムにて形成された両面インライン製膜易接着コート処理品であり、表面にオリジナル印刷を施すことができる。
【0015】
剥離層12は、UV(紫外線硬化型)シリコン樹脂にて形成されている。また、剥離層12は、シリコン系、テフロン(登録商標)系、マット粒子系、ステアリルアクリレート等高級アルコールのアクリル酸エステルに代表される油脂系、ニトロセルロースに代表されるセルロースエステル、エーテル系にて形成してもよい。剥離層12は、「開封済」等のパターンが浮き出るように、所定間隔で複数、凸版印刷、フレキソ印刷、スクリーン印刷等により形成している。
【0016】
印刷層13は、隠蔽片10を剥がした際に現れる印刷を施したもので、隠蔽片10を剥がした際に剥離する剥離層12のパターンを表示する。
【0017】
クッション層14は、UV樹脂又はホットメルト、ドライラミネート等の手段を用いて同一ライン上で処理できるコーティング層を塗布、又はラミネートすることにより形成される。クッション層14として、ウレタンアクリレート系、ポリエステルアクリレート系、ポリマーのアクリルモノマー溶解物等を用いる。これらのウレタンアクリレート系、ポリエステルアクリレート系、ポリマーのアクリルモノマー溶解物等は、塗布後縮むテンションを持って固化し、一部が剥離するとこの部分が縮み、不可逆的に弾性変化する特性を有する。
【0018】
擬似接着層15は、平常では、接着性を示さないが、特殊な加圧条件下又は加熱条件下にて接着された層である。このため、平常時に擬似接着層15において隠蔽片10をベース片20から剥離すると、隠蔽片10をベース片20に対して再付着することができない。
【0019】
次に、ベース片20の構成を説明する。図1(b)に示すように、ベース片20は、透明なベースフィルム21と、ベースフィルム21の裏面に形成された粘着層22から構成される。
【0020】
ベースフィルム21は透明な樹脂にて形成される。このため、暗証番号等の隠蔽すべき印刷の上に貼り付けられた状態でも、ベースフィルム21や粘着層22を介して暗証番号を読み取ることができる。
【0021】
粘着層22は、各種粘着剤で構成することができるが、少なくとも、隠蔽片10を剥離した場合の上方にかかる引張力によっては、台紙Pからベースフィルム21が剥がれないだけの粘着力が必要である。
【0022】
尚、隠蔽片10は一端がベースフィルム21より短く形成され、ベースフィルム21の一端には分離用余白21aが形成されている。
【0023】
(隠蔽シール1の使用状況)
次に、隠蔽シール1の使用方法について説明する。まず、離型紙(不図示)から隠蔽シール1を剥がし、図1に示すように、用紙Pにおける暗証番号が記入されている部分等の隠蔽対象部分に貼り付ける。
【0024】
図2に示すように、この隠蔽シール1を貼り付けた用紙Pを受け取った者は、ベースフィルム21から隠蔽片10を剥がす。この際、分離用余白21aと隠蔽片10の境にて隠蔽片10のみを簡単に剥がすことができる。
【0025】
ここで、隠蔽片10をベースフィルム21から剥がす際の、隠蔽片10の内部の動作を詳細に説明する。図2(b)に示すように、隠蔽片10をベースフィルム21から剥がす際、透明フィルム11から剥離層12が剥離する。すると、剥離層12上に形成された印刷層13aが透明フィルム11の裏面に形成された印刷層13bから切断される。そして、剥離した剥離層12は、クッション層14の皮膜性とクッション性によりクッション層14に食い込んだ状態で隠蔽シール1とともに被着体から剥がされる。
【0026】
図3(a)に示すように、隠蔽片10を剥がし終わると、隠蔽片10とベース片20が分離する。この状態において、ベースフィルム21を透して台紙Pに記入された暗証番号が視認可能となる。また、分離した擬似接着層15は再び貼り合わせることができず、剥がした隠蔽片10はベースフィルム21に貼り付けることができない。
【0027】
図3(b)に示すように、剥がした後の隠蔽シール1は、クッション層14の不可逆的な弾性変形により、剥離層12及びこの剥離層12に重なった一部の印刷層13aが透明フィルム11から剥離し、クッション層14が縮む。これにより、透明フィルム11と剥離層12の間に隙間Sが生じ、印刷層13aと印刷層13bの透明フィルム11からの位置にずれが生じる。すなわち、剥離層12を設けた領域(印刷層13a)は半透明となり、剥離層12を設けていない領域(印刷層13b)は完全な状態で留まり、剥離層12を形成した「開封済」等のパターンが表れる。これにより、一度剥がした隠蔽シール1を再度、被着体に貼り直したとしても一度剥がしたことを認識することができる。
【0028】
以上のように本実施形態においては、隠蔽シール1を貼って剥がしたときに、透明フィルム11から剥離層12が剥離する。この際、剥離層12の裏に形成された印刷層13aと透明フィルム11上に形成された印刷層13bとの間にせん断力が働き分離する。そして、分離した印刷層13aがクッション層14に食い込んだ状態で、クッション層14と透明フィルム11の間に留まる。このように、クッション層14と透明フィルム11の間にある印刷層13が、印刷層13aと印刷層13bとに不可逆的に分離することにより、隠蔽シール1を剥がしたことを確実に認識することができる。
【0029】
また、ベースフィルム21と隠蔽片10の間に擬似接着層15を設け、剥がした隠蔽片10を用紙Pに残ったベースフィルム21に貼り付けることができない。これにより、隠蔽片10を剥がした状態を保つことができる。
【0030】
また、隠蔽片10の一端をベースフィルム21より短くし、ベースフィルム21の一端に分離用余白21aを形成した。これにより、隠蔽片10をベースフィルム21から容易に剥がすことができ、使い勝手をよくすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0031】
本発明は、シールのみならず各種ラベルに利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】隠蔽シール1の使用前の状態を示す説明図。
【図2】隠蔽シール1の隠蔽片10の剥離中の状態を示す説明図。
【図3】隠蔽シール1の使用後の状態を示す説明図。
【符号の説明】
【0033】
P…台紙、S…隙間、1…隠蔽シール、10…隠蔽片、11…透明フィルム、12…剥離層、13…印刷層、14…クッション層、15…擬似接着層、20…ベース片、21…ベースフィルム、22…粘着層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明フィルムと、前記透明フィルムの裏面に所定のパターンにて印刷される剥離性を有する剥離層と、前記透明フィルムの裏面及び前記剥離層を覆うように形成される印刷層と、前記印刷層の裏面に不可逆的に弾性変化する特性を有するクッション層と、前記クッション層の裏面に形成される擬似接着層と、を具備する隠蔽片と、
前記隠蔽片の裏面に形成される透明なベースフィルムと、前記ベースフィルムの裏面に形成される粘着層と、
を有し、
前記隠蔽片を前記ベースフィルムから剥離する際に、前記透明フィルムと前記剥離層が離間することで、前記印刷層のうち前記剥離層を設けた領域が前記クッション層に食い込み、前記印刷層のうち前記剥離層を設けていない領域が前記透明フィルムに付着し、且つ前記隠蔽片は前記擬似接着層の作用により前記ベースフィルムに対して再付着しないように構成することを特徴とする隠蔽シール。
【請求項2】
前記隠蔽片の少なくとも一端には、前記ベースフィルムを露出させることにより分離用余白が形成されることを特徴とする請求項1に記載の隠蔽シール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−197615(P2008−197615A)
【公開日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−202683(P2007−202683)
【出願日】平成19年8月3日(2007.8.3)
【基礎とした実用新案登録】実用新案登録第3131580号
【原出願日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【出願人】(592233347)シーレックス株式会社 (19)
【Fターム(参考)】