説明

集中配電部品

【課題】各電気伝導部材は完全な環状部材にしなくて済み複数の電線から構成されているので、完全な環状部材の物に比べて、環状の収納部材の収納溝に対して簡単に装着でき、歩留まりを上げながら組み立て加工性を向上できる集中配電部品を提供する。
【解決手段】電力供給部側に接続される始端部と、モータのステータの巻線の一方端側に接続される終端部とを、それぞれ有する複数相の電気伝導部材10,11,12と、複数相の電気伝導部材10,11,12に対応して配置される集電部20と、電気絶縁性を有し、複数相の前記電気伝導部材と集電部を収納する環状の収納部材30を備え、複数相の電気伝導部材10,11,12は、それぞれ複数の電線で構成されており、各電線の一端部が始端部70であり、各電線の他端部が終端部71であり、終端部71は間隔をおいて配置されている

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータ用の集中配電部品に関し、特に車両に搭載されるモータ用の集中配電部品に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、環境を重視して省燃費化をはかるために、ハイブリッドカーの開発が行われている。ハイブリッドカーは、自動車の主動力源としては化石燃料用いたエンジンを用いて、このエンジンをアシストするためのモータアシスト機構を備えている。
【0003】
自動車に用いられるモータは、例えばエンジンのシャフトに直結されたロータと、このロータの周囲に配置されたリング状のステータを備えている。このステータは、コアに複数の巻線を施すことにより形成された多数の磁極と、これらの磁極を収納しているホルダと、複数の巻線に対して集中的に配電を行うための集中配電部材を有する。
【0004】
従来の集中配電部材は、U相、V相、W相のバスバーを有している。各バスバーは、バッテリ側に接続される端子と、ステータの複数の巻線側に接続されるタブを有している。このバスバーは、導電性金属板材を打ち抜くことにより形成され、その後円環状に折り曲げられる(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
また、別の形式の集中配電部材は、U相、V相、W相の3つの円環状の電線部材と帯状部材を有し、3つの円環状の電線部材は、絶縁性の帯状部材を折り曲げることで、帯状部材の溝に収納するようになっているものがある(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特許第3717833号公報
【特許文献2】特開2005−160137号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、特許文献1の集中配電部材では、各バスバーは、導電性金属板材を打ち抜くことにより形成されるので、導電性金属板材を打ち抜いた後の導電性金属板材の残部が多く、バスバーを製造する場合の導電性材料の歩留まりが悪いばかりでなく、打ち抜かれた各バスバーは、正確に円環状に折り曲げる必要があるので、組み立て加工性が悪い。
【0007】
また、特許文献2の集中配電部材では、3つの円環状の電線部材を取り扱わなければならないので組み立て作業が面倒であり、3つの円環状の配線部材の内側には、それぞれ複数のタブを折り曲げるようにして突出して形成しなければならず、組み立て加工性を向上できない。
【0008】
そこで、本発明は上記課題を解消し、歩留まりを上げながら組み立て加工性を向上できる集中配電部品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解消するために、本発明の集中配電部品は、電力供給部側に接続される始端部と、モータのステータの巻線の一方端側に接続される終端部とを、それぞれ有する複数相の電気伝導部材と、
前記複数相の前記電気伝導部材に対応して配置される集電部と、
電気絶縁性を有し、前記複数相の前記電気伝導部材と前記集電部を収納する環状の収納部材と、を備え、
前記複数相の前記電気伝導部材は、それぞれ複数の電線で構成されており、各前記電線の一端部が前記始端部であり、各前記電線の他端部が前記終端部であり、前記終端部は間隔をおいて配置されていることを特徴とする。
【0010】
本発明の集中配電部品は、好ましくは前記複数相の前記電気伝導部材の前記始端部は、接続端子部材に結束して接続されていることを特徴とする。
【0011】
本発明の集中配電部品は、好ましくは前記収納部材は、前記複数相の前記電気伝導部材の前記複数の電線を別々に絶縁して収納する複数の第1収納溝と、前記集電部を収納する第2収納溝とを有していることを特徴とする。
【0012】
本発明の集中配電部品は、好ましくは前記収納部材は、前記複数相の前記電気伝導部材の前記複数の電線を収納する第1収納溝と、前記集電部を収納する第2収納溝とを有していることを特徴とする。
【0013】
本発明の集中配電部品は、好ましくは前記集電部は、導電性板材を打ち抜くことで作られており、前記収納部材の内周方向に突出して、前記巻線の他方端側に接続される接続突起を有していることを特徴とする。
【0014】
本発明の集中配電部品は、好ましくは前記収納部材は、前記電線の前記終端部を通して固定する終端部固定溝を有することを特徴とする。
【0015】
本発明の集中配電部品は、好ましくは前記複数の前記電線は、前記電線の長さが長いほど太くなっていることを特徴とする。
【0016】
本発明の集中配電部品は、好ましくは前記複数相は、3相ブラシレスモータのU相とV相とW相である。
【0017】
本発明の集中配電部品は、好ましくは前記電線は、前記第1収納溝において絶縁紙にまかれワニスにより覆われている。
【発明の効果】
【0018】
本発明の集中配電部品によれば、各電気伝導部材は完全な環状部材ではない複数の電線から構成されているので、完全な環状部材の物に比べて、環状の収納部材の収納溝に対して簡単に装着でき、歩留まりを上げながら組み立て加工性を向上できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、図面を参照して、本発明の好ましい実施形態を詳細に説明する。
【0020】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の集中配電部品の好ましい第1の実施形態を示す図である。
【0021】
図1に示す集中配電部品1は、例えばハイブリッド自動車に搭載される3相のDCブラシレスモータの複数の巻線(コイル)に対して駆動電流を給電するのに使用される。このモータは、例えばエンジンのシャフトに直結されたロータと、このロータの周囲に配置されたリング状のステータを備えている。このステータは、コアに複数の巻線を施すことにより形成された多数の磁極と、これらの磁極を収納しているホルダと、複数の巻線に対して集中的に配電を行うための集中配電部品1を有する。
【0022】
集中配電部品1は、環状の集中配電部材である。集中配電部品1は、3相の電気伝導部材10,11,12と、集電部20と、環状の収納部材30とを備える。図1では、集電部20は、図示の簡単化のために小さな丸印で図示している。
【0023】
まず、3相の電気伝導部材10,11,12の構造について、図2ないし図5を参照して説明する。図2は、3相ブラシレスモータのU相に対応する電気伝導部材10を示し、図3は、V相に対応する電気伝導部材11を示し、図4は、W相に対応する電気伝導部材12を示している。図5は、3相の電気伝導部材10,11,12を示している。3相の電気伝導部材10,11,12は、所定角度分円周方向にずらした状態で組み合わされている。
【0024】
図2ないし図5に示すように、3相の電気伝導部材10,11,12は、3相ブラシレスモータのU相とV相とW相に対応しており、同じ構造を有している。
【0025】
図2に示すU相に対応する電気伝導部材10は、8本の電線40ないし47を有する。電線40ないし43の長さは順に短くなっている。電線44ないし47の長さは順に短くなっている。
【0026】
図3に示すV相に対応する電気伝導部材11は、8本の電線50ないし57を有する。電線50ないし53の長さは順に短くなっている。電線54ないし57の長さは順に短くなっている。
【0027】
図4に示すW相に対応する電気伝導部材12は、8本の電線60ないし67を有する。電線60ないし63の長さは順に短くなっている。電線64ないし67の長さは順に短くなっている。
【0028】
図2に示す電線40ないし47は、それぞれ始端部70と終端部71を有している。同様にして、電線50ないし57は、それぞれ始端部70と終端部71を有している。電線60ないし67は、それぞれ始端部70と終端部71を有している。各電線は、例えば銅またはアルミニウムなどの導体線であり、例えば絶縁被覆を有するエナメル線を採用できるが、裸線であっても良い。
【0029】
図2ないし図4に示す各電線の始端部70は、図6に示すように例えば通電かしめにより結束部材73により結束されており、結束部材73は接続端子部材74を有している。この接続端子部材74は、機械的に電気的に各電線の始端部70に接続されている。接続端子部材74は、車載バッテリのような電力供給部側に対してコンバータを介して接続される。各電線の太さは、電線の長さによらず同じである。
【0030】
次に、図7と図8を参照して、集電部20について説明する。
【0031】
集電部20は、中性点リングあるいは中立点リングとも呼ぶことができ、帯状の本体部21と複数の接続突起22を有している。この集電部20は、例えば銅またはアルミニウムなどの導電性板材を打ち抜くことで作られており、複数の接続突起22は、図1に示す収納部材30の内周方向に突出している。
【0032】
集電部20の複数の接続突起22は、図9に示すようにU相とV相とW相の巻線100,101,102の他方端103側に接続されている。U相とV相とW相の巻線100,101,102の一方端105側は、図2ないし図4に示すU相とV相とW相の電気伝導部材10,11,12の終端部71に対してそれぞれ接続される。
【0033】
次に、図10ないし図12を参照して、環状の収納部材30の構造を説明する。
【0034】
図10に示すように、収納部材30は、リング状の電気絶縁部材であり、図10(C)と図11に示すような断面形状を有している。収納部材30は、内周壁80,区分壁81,82,83、84を有している。
【0035】
内周壁80,区分壁81,82,83、84は、収納部材30の長手方向(円周方向)に沿って互いに平行に形成されている。内周壁80と区分壁81の間には、U相に対応する電気伝導部材10を収納する収納溝91が形成されている。同様にして、区分壁81,82の間には、V相に対応する電気伝導部材11を収納する収納溝92が形成されている。区分壁82,83の間には、W相に対応する電気伝導部材12を収納する収納溝93が形成されている。内周壁80と区分壁81の間に形成されている収納溝94には、集電部20の本体部21が収納されている。集電部20の接続突起22は、収納部材30の内周方向Rに突出している。収納溝91,92,93は、電気伝導部材10、11,12をそれぞれ収納するための第1収納溝である。収納溝94は、集電部20を収納するための第2収納溝である。
【0036】
次に、集中配電部品1の組立て加工手順例について説明する。
【0037】
図10に示す収納部材30と、図2ないし図4に示すU相に対応する電気伝導部材10と、V相に対応する電気伝導部材11と、W相に対応する電気伝導部材12を用意して、3相の電気伝導部材10,11,12は、図11に示すように、それぞれ収納溝91,92,93に収納する。3相の電気伝導部材10,11,12は、予め円形状になっているが、完全な環状体ではないので、円環状の収納溝91,92,93に対して、簡単かつ確実に装着できる。この場合に、図1に示すように、3相の電気伝導部材10,11,12は、少しずつ円周方向にずらして配置することで、U相の終端部71,とV相の終端部71,W相の終端部71が順次円周方向に沿って配置される。
【0038】
3相の電気伝導部材10,11,12の各電線の始端部70は、接続端子部材74を用いて例えばバッテリ側に接続され、各電線の終端部71は、図9に示す各相のコイル100,101,102の一端部105に接続される。図11と図12に示すように、収納部材30の収納溝94には集電部20が収納される。集電部20の接続端子22は、図9に示すように各相のコイルの他端部103に接続される。
【0039】
これにより、バッテリからモータのコイル100,101,102に通電する際には、バッテリ側からの駆動電流が、3相の電気伝導部材10,11,12を通じて、図9の3相のコイル100,101,102に対して供給される。
【0040】
上述した集中配電部品1では、3相の電気伝導部材10,11,12がそれぞれ複数本の電線により構成されており、電気伝導部材10,11,12を構成するために導電性金属板を打ち抜く必要が無く、導電性金属板を使用しないので歩留まりが低下しない。しかも電線の集合体であるので、取り扱いが容易である。3相の電気伝導部材10,11,12と集電部30は、円環状の収納部品20の収納溝に沿ってはめ込むだけで簡単に組み立て加工することができる。従って、本発明の第1の実施形態の集中配電部品1を製造する際の歩留まりを上げながら、組み立て加工性を向上できる。
【0041】
(第2の実施形態)
図13と図14を参照して、本発明の集中配電部品の好ましい第2の実施形態を説明する。
【0042】
図13は、集中配電部品1のU相に対応する電気伝導部材10と、V相に対応する電気伝導部材11と、W相に対応する電気伝導部材12と、集電部20と、収納部材30を示す断面図であり、図14は、収納部材130の一部分を示す斜視図である。
【0043】
図13に示す集中配電部品1は、図2ないし図4に示すU相に対応する電気伝導部材10と、V相に対応する電気伝導部材11と、W相に対応する電気伝導部材12と同様の電気伝導部材10,11、12を有しているが、導電性の集電部20と電気絶縁性の収納部材30の形状が異なる。
【0044】
図13と図14に示すように、銅板で造られた集電部20は、帯状の本体部21と複数の接続突起22を有している。接続突起22は本体部21から内周方向Tに沿って突出している。収納部材30は、収納溝190と、収納溝194を有している。収納溝190は断面U字形を有しており、収納溝190の中には、U相に対応する電気伝導部材10と、V相に対応する電気伝導部材11と、W相に対応する電気伝導部材12が順に積層されている。図13の例は、各電線はエナメル線であり、太さは同じである。収納溝194には、集電部20の本体部21が収納されている。収納溝190は、第1収納溝である。収納溝194は、第2収納溝である。
【0045】
図13に示すように、U相に対応する電気伝導部材10と、V相に対応する電気伝導部材11と、W相に対応する電気伝導部材12は、別々に絶縁紙300により電気絶縁されており、収納溝190内にはワニス301が含侵されている。
【0046】
図14に示すように、U相に対応する電気伝導部材10と、V相に対応する電気伝導部材11と、W相に対応する電気伝導部材12の各終端部71は、終端部固定溝350を通じて内周方向Tに導出することができる。これにより、各終端部71は、簡単にコイルの一端部に接続することができる。
【0047】
上述した集中配電部品1では、3相の電気伝導部材10,11,12がそれぞれ複数本の電線により構成されており、電気伝導部材10,11,12を構成するのは金属板を打ち抜く必要が無く、しかも電線の集合体であるので、取り扱いが容易である。しかも、3相の電気伝導部材10,11,12と集電部20は、円環状の収納部品30の収納溝に沿ってはめ込むだけで簡単に組み立て加工することができる。従って、本発明の第2の実施形態の集中配電部品1を製造する際の歩留まりを上げながら、組み立て加工性を向上できる。
【0048】
(第3の実施形態)
図15と図16を参照して、本発明の集中配電部品の好ましい第3の実施形態を説明する。
【0049】
図15は、U相に対応する電気伝導部材10と、V相に対応する電気伝導部材11と、W相に対応する電気伝導部材12と、集電部220と、収納部材230を示す断面図である。図16は、代表して電気伝導部材100,11,12の各4本の電線を示す図である。
【0050】
図15の第3の実施形態が、図13の第2の実施形態と異なるのは、電線の太さであり、U相に対応する電気伝導部材10の電線40,41,42,43と、V相に対応する電気伝導部材11の電線50,51,52,53と、W相に対応する電気伝導部材12の電線60,61,62,63は、長さが長くなるのに従って、太くなっている。この太さの変更については、図示はしていないが、図2に示すU相に対応する電気伝導部材10の電線44,45,46,47と、図3に示すV相に対応する電気伝導部材11の電線54,55,56,57と、図4に示すW相に対応する電気伝導部材12の電線64,65,66,67についても同様である。
【0051】
このように、電線の太さを変えるのは、各電線における電気抵抗の数値を揃えることにより、集中配電部品1から各巻線に対して供給する電流値を一定にすることで、モータの動作効率の改善を図るためである。
【0052】
一例として、図16に例示するように、最も短い電線43の抵抗をR1とし、2番目に短い電線42の抵抗をR2とし、3番目に短い電線41の抵抗をR3とし、最も長い電線40の抵抗をR4とする。例えば、最も細い電線43の断面積を0.3716mm、電線42の断面積を0.789mm、電線41の断面積を1.282mm、そして電線40の断面積を1.964mmとした場合には、各抵抗値は次のようになる。
R1=(2×10ー6(Ωcm)/0.003716(cm))×30(cm)×π×(1.5/24)=0.00317(Ω)
R2=(2×10ー6(Ωcm)/0.00789(cm))×30(cm)×π×(4.5/24)=0.00448(Ω)
R3=(2×10ー6(Ωcm)/0.01282(cm))×30(cm)×π×(7.5/24)=0.004595(Ω)
R4=(2×10ー6(Ωcm)/0.01964(cm))×30(cm)×π×(10.5/24)=0.004199(Ω)
このように、各電線の抵抗R1ないしR4は、ほぼ揃えることができる。例えば直径を30(cm)とした場合に30(cm)×πは円周長さであり、(1.5/24)は、円周方向の長さを24等分したときにおける1.5の長さに相当することを示している。
【0053】
上述した集中配電部品1では、3相の電気伝導部材10,11,12がそれぞれ複数本の電線により構成されており、電気伝導部材10,11,12を構成するのは金属板を打ち抜く必要が無く、しかも電線の集合体であるので、取り扱いが容易である。しかも、3相の電気伝導部材10,11,12と集電部20は、円環状の収納部品30の収納溝に沿ってはめ込むだけで簡単に組み立て加工することができる。従って、本発明の第3の実施形態の集中配電部品1を製造する際の歩留まりを上げながら、組み立て加工性を向上できる。
【0054】
本発明の実施形態では、複数相の電気伝導部材の各電線の始端部は、端子部に結束して接続されているので、取り扱いが容易である。収納部材は、複数相の電気伝導部材の複数の電線を第1収納溝において別々に収納するので、相互の絶縁性を確保することができる。集電部は第2収納溝に収納できるので、組み立て加工性が向上する。
【0055】
本発明の集中配電部品の実施形態によれば、各電気伝導部材は完全な環状部材にしなくて済み複数の電線から構成されているので、完全な環状部材の物に比べて、環状の収納部材の収納溝に対して簡単に装着でき、歩留まりを上げながら組み立て加工性を向上できる。
【0056】
本発明の集中配電部品の実施形態によれば、収納部材は、複数相の電気伝導部材の複数の電線を収納する第1収納溝と、集電部を収納する第2収納溝とを有しているので、複数相の電気伝導部材と集電部は簡単に絶縁性を確保しながら収納できる。
【0057】
集電部は、導電性板材を打ち抜くことで作られており、収納部材の内周方向に突出して、巻線の他方端側に接続される接続突起を有しているので、集電部は簡単に造ることができる。
【0058】
収納部材は、電線の終端部を通して固定する終端部固定溝を有しているので、各終端部は簡単に固定できることから組み立て加工性が向上する。
【0059】
複数の電線は、電線の長さが長いほど太くなっていることから、各電線における抵抗値を揃えることができ、集中配電部品1から各巻線に対して供給する電流値を一定にすることで、モータの動作効率の改善を図ることができる。
【0060】
電線は、第1収納溝において絶縁紙にまかれワニスにより覆われていることから、各電線の絶縁性を確保できる。
【0061】
本発明の実施形態では、各電気伝導部材10,11,12は、完全な環状部材ではないので、完全な環状部材の物に比べて、環状の収納部材の収納溝に対して簡単に装着できる。また、各電気伝導部材10,11,12は、環状の収納部材でなく、直線状の収納部材の収納溝に対しても簡単に装着でき、その後収納部材は環状に加工できる。
【0062】
ところで、本発明は、上記実施形態に限定されず種々の変形例を採用できる。
【0063】
例えば、第1の実施形態と第2の実施形態では、各電線の太さが同じであるが、これに限らず電線の長さが短ければ細くして、電線の長さが長ければ太くするようにしても良い。
【0064】
収納部材の断面形状や、集電部の形状は、図示例に限定されず任意に設定できる。U相、V相、W相の各電気伝導部材10,11,12は、それぞれ8本の電線により構成されているが、この本数に限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明の集中配電部品の好ましい第1の実施形態を示す斜視図である。
【図2】3相ブラシレスモータのU相に対応する電気伝導部材を示す平面図である。
【図3】V相に対応する電気伝導部材を示を示す平面図である。
【図4】W相に対応する電気伝導部材を示す図である。
【図5】3相の電気伝導部材を示す図である。
【図6】各電線の始端部の結束例を示す図である。
【図7】集電部の例を示す図である。
【図8】集電部の一部を拡大して示す図である。
【図9】3相のコイルと集電部などを示す図である。
【図10】集電部を示す図である。
【図11】集電部と電気伝導部材と収納部材を示す断面図である。
【図12】集電部と電気伝導部材の一部を示す斜視図である。
【図13】本発明の第2の実施形態を示す図である。
【図14】本発明の第2の実施形態における収納部材の一部を示す斜視図である。
【図15】本発明の第3の実施形態を示す図である。
【図16】図15の第3の実施形態における4本の電線を代表して示す図である。
【符号の説明】
【0066】
1 集中配線部品
10 U相に対応する電気伝導部材
11 V相に対応する電気伝導部材
12 W相に対応する電気伝導部材
20 集電部
22 集電部の接続突起
30 収納部材
40ないし47 電線
50ないし57 電線
60ないし67 電線
70 電線の始端部
71 電線の終端部
73 結束部材
91,92,93 収納溝(第1収納溝)
94 収納溝(第2収納溝)
190 収納溝(第1収納溝)
194 収納溝(第2収納溝)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力供給部側に接続される始端部と、モータのステータの巻線の一方端側に接続される終端部とを、それぞれ有する複数相の電気伝導部材と、
前記複数相の前記電気伝導部材に対応して配置される集電部と、
電気絶縁性を有し、前記複数相の前記電気伝導部材と前記集電部を収納する環状の収納部材と、を備え、
前記複数相の前記電気伝導部材は、それぞれ複数の電線で構成されており、各前記電線の一端部が前記始端部であり、各前記電線の他端部が前記終端部であり、前記終端部は間隔をおいて配置されていることを特徴とする集中配電部品。
【請求項2】
前記複数相の前記電気伝導部材の前記始端部は、接続端子部材に結束して接続されていることを特徴とする請求項1に記載の集中配電部品。
【請求項3】
前記収納部材は、前記複数相の前記電気伝導部材の前記複数の電線を別々に絶縁して収納する複数の第1収納溝と、前記集電部を収納する第2収納溝とを有していることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の集中配電部品。
【請求項4】
前記収納部材は、前記複数相の前記電気伝導部材の前記複数の電線を収納する第1収納溝と、前記集電部を収納する第2収納溝とを有していることを特徴とする請求項3に記載の集中配電部品。
【請求項5】
前記集電部は、導電性板材を打ち抜くことで作られており、前記収納部材の内周方向に突出して、前記巻線の他方端側に接続される接続突起を有していることを特徴とする請求項4に記載の集中配電部品。
【請求項6】
前記収納部材は、前記電線の前記終端部を通して固定する終端部固定溝を有することを特徴とする請求項5に記載の集中配電部品。
【請求項7】
前記複数の前記電線は、前記電線の長さが長いほど太くなっていることを特徴とする請求項6に記載の集中配電部品。
【請求項8】
前記複数相は、3相ブラシレスモータのU相とV相とW相であることを特徴とする請求項6に記載の集中配電部品。
【請求項9】
前記電線は、前記第1収納溝において絶縁紙にまかれワニスにより覆われていることを特徴とする請求項4に記載の集中配電部品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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