説明

集光レンズ、及びそれを用いた光源ユニット

【課題】複数の発光ダイオード光源からの異なる波長光を混合して、均質な色調にした光にすることができ、目視による色むらを認知できない程度に低減でき、所望の方向へ選択的に効率よく集光させつつ出射できる簡易で小型の集光レンズ、それを用い被照射物を均一な色調に照らすのに用いられる光源ユニットを提供する。
【解決手段】集光レンズ1は、集光レンズは、直列に並んで異なる波長光を夫々発する複数の発光ダイオード光源8からの出射方向の側に配置されるもので、シリンドリカルレンズ2が、その長手方向を該直列の方向Cと一致させて、具備されている。光源ユニット20は、直列に並んで異なる波長光を出射する複数の発光ダイオード光源8からの出射方向の側に、シリンドリカルレンズ2がその長手方向を該直列の方向Cと一致させつつ、その光軸方向を該出射方向に一致させて配置された集光レンズに、前記発光ダイオード光源8が、嵌って一体化している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の発光素子からの異なる波長光を混合して、均質な色調にした光にして出射する集光レンズ、及びそれらが一体化したもので被照射物を均一な色調に照らすのに用いられる光源ユニットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
照明器具、液晶ディスプレイのバックライトなど各種照明装置は、三原色である赤・緑・青(RGB)を混色して、様々な色調の光を出射するものである。
【0003】
その光源として、発光ダイオード(LED)が用いられている。このような発光ダイオード、とりわけ最近汎用されている高輝度発光ダイオードは、白熱電球、ハロゲンランプ、水銀灯、蛍光灯などの白色系照明装置よりも、遥かに小さく、単独でも明るく、消費電力が少なくて、寿命が長い。そのため、発光ダイオードは、室内灯等の一般的な照明器具のみならず、液晶ディスプレイのバックライト、アミューズメント用照明器具、自動車や各種産業器具のような照明装置の光源として汎用されるようになっている。
【0004】
0.1〜数mm程度の小型で高出力の発光ダイオードの複数から発した異なる波長光を混合した光、例えば、青色発光ダイオードからの青色光と青色発光ダイオードに被せた蛍光剤含有カラーフィルタからの黄色光との混合した光を、凸レンズで集光してスポット的に照明する場合、それら各発光ダイオード間の距離、又は各発光ダイオードの大きさのせいで、夫々の発光ダイオードから凸レンズの周辺部へ入射する際の入射角度に差が生じ、スポットの周辺ほど色むらやぼやけとなって現れてしまうという問題がある。
【0005】
従来、異なる波長光を発する複数の発光ダイオードを取り巻く大型の反射面と、その出射方向側に設置された大型のプリズムやフライアイレンズとを用いたり、それらを多数繰り返し並べて、発光ダイオードからの光路を複雑化させたりすることにより、十分な混色を行っていた。そのため照明装置を大型化せざるを得ず、装置の小型化やパーツ数の減数化を図れない。
【0006】
小型化しつつ光源からの光を効率よく混色させ輝度むらや色むらを低減するため、例えば特許文献1に、光源に対向する平面部と、その平面部に設けられ光源からの光を散乱させ又は拡散させる光学機能部とを有し、光源から出射された光が入射される凹状の入射側の側面と、その入射側の側面から入射された光が通る導光部と、その導光部を通る光を出射させる出射側面とを具備したレンズが、開示されている。
【0007】
一層簡易な構造で、異なる波長光を発する発光素子からの光を、色むら無く混合でき、均質な色調の光を所望の方向へ集光し出射できる小型のレンズが求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2009−192915号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は前記の課題を解決するためになされたもので、複数の発光ダイオード光源からの異なる波長光を混合して、均質な色調にした光にすることができ、目視による色むらを認知できない程度に低減でき、所望の方向へ選択的に効率よく集光させつつ出射できる簡易で小型の集光レンズ、それを用い被照射物を均一な色調に照らすのに用いられる光源ユニット、及びそれが組み込まれた照明装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記の目的を達成するためになされた特許請求の範囲の請求項1の集光レンズは、直列に並んで異なる波長光を夫々発する複数の発光ダイオード光源からの出射方向の側に配置されるもので、シリンドリカルレンズが、その長手方向を該直列の方向と一致させて、具備されていることを特徴とする。
【0011】
請求項2に記載の集光レンズは、請求項1に記載されたもので前記直列の方向に沿い、前記シリンドリカルレンズの側面から、先細りの翼状レンズが突出していることを特徴とする。
【0012】
請求項3に記載の集光レンズは、請求項2に記載されたもので、前記翼状レンズが、前記出射方向の側で、前記発光ダイオード光源の光軸に垂直な面又は前記シリンドリカルレンズ側へ内傾若しくは外傾する面を有しており、前記発光ダイオード光源への光源側で、前記シリンドリカルレンズの曲面と逆向きの曲面又はそれに沿う擬似多面曲面となっていることを特徴とする。
【0013】
請求項4に記載の集光レンズは、請求項1に記載されたもので、前記シリンドリカルレンズが、同一の曲率で連続した曲面、又は曲率の異なる複数の部分面からなる連続した曲面を有する非球面であることを特徴とする。
【0014】
請求項5に記載の集光レンズは、請求項1に記載されたもので、端面が、前記長手方向と鉛直になりつつ、乱反射及び/又は拡散する粗面となっていることを特徴とする。
【0015】
請求項6に記載の集光レンズは、請求項1に記載されたもので、前記集光レンズの前記長手方向での全長Lと、前記発光ダイオード光源から前記シリンドリカルレンズの頂部までの高さHと、前記複数の発光ダイオード光源の最外間幅wとが、
L≧2H+w
の関係になっていることを特徴とする。
【0016】
請求項7に記載の光源ユニットは、直列に並んで異なる波長光を出射する複数の発光ダイオード光源からの出射方向の側に、シリンドリカルレンズがその長手方向を該直列の方向と一致させつつ、その光軸方向を該出射方向に一致させて配置されている集光レンズに、前記発光ダイオード光源が、嵌って一体化していることを特徴とする。
【0017】
請求項8に記載の光源ユニットは、請求項7に記載されたもので、前記発光ダイオード光源が、集光レンズへ、空気層を介することなく、前記嵌っていることを特徴とする。
【0018】
請求項9に記載の光源ユニットは、請求項7に記載されたもので、照射すべき被照射物までの距離Dが、前記複数の発光ダイオード光源の最外間幅wの少なくとも30倍とすることを特徴とする。
【0019】
請求項10に記載の照明装置は、請求項7に記載の光源ユニットが、単一で基板に接続され、又はその複数で単列若しくは複数列を為して連続し若しくは点在して並べられて基板に接続されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明の集光レンズは、複数の発光ダイオードから発する赤色・緑色又は青色やその中間色であって異なる色調の波長光を混合し均質な色調にして、被照射物への所望の方向に選択的に効率よく集光させつつ、出射することができるものである。この集光レンズは、個々の発光ダイオード光源に由来する本来の色調の光を出射させることなく、集光レンズの特異な形状に基づいて、小型化しつつ、色むらを目視で認知できない程度に低減できる。
【0021】
この集光レンズは、その側面側に翼状レンズが突出していると、発光ダイオードから広角度に発する光を、効率よく所望の方向へ集光させることができる。
【0022】
また、集光レンズは、その長手方向での端面が粗らされていると、そこで乱反射や拡散をして、色むらを一層生じさせない。
【0023】
集光レンズは、簡易な構造で、しかも小型かつ軽量であるので、簡便に大量生産でき、歩留まりがよい。
【0024】
本発明の光源ユニットは、集光レンズと複数の発光ダイオードとが一体化しているので、効率よく集光できるうえ、簡便に大量生産できる。
【0025】
本発明の照明装置は、この光源ユニットを単数又は複数具備し、均等に色むら無く、被照射物を明るく照らすものである。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明を適用する集光レンズ及びそれを用いた光源ユニットを示す斜視図である。
【図2】本発明を適用する集光レンズ及びそれを用いた光源ユニットの使用途中を示す側面及び正面図である。
【図3】本発明を適用する別な集光レンズを用いた光源ユニット内に実装される複数の発光ダイオードの別な態様を示す斜視図である。
【図4】本発明を適用する集光レンズを用いる光源ユニットが実装された照明装置の使用途中を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明を実施するための好ましい形態について詳細に説明するが、本発明の範囲はこれらの形態に限定されるものではない。
【0028】
本発明の集光レンズ1は、図1に示すように、直列に並んで異なる波長光である赤色光と緑色光と青色光とを夫々発する3種類のLEDを複数の発光ダイオード光源8(R)・8(G)・8(B)として、その光出射方向側に配置したもので、略半円柱状で所謂蒲鉾型のシリンドリカルレンズ2を有している。
【0029】
シリンドリカルレンズ2は、光出射方向側で曲面5a・5bとなっている。シリンドリカルレンズ2の頂部5a近傍におけるその半円柱状を為す形状は、特に限定されないが、曲面を、非球面式である下記数式(1)
【数1】

(数式(1)中、R:曲率、k:円錐係数、a:非球面係数、z:レンズ高さ、x:レンズ横幅である)で表現する場合、
例えば曲率が1×1015〜40程度の値を有し、かつ円錐係数が−1×1020〜40程度の値を有するように形成されたものである。このような値をとることで、頂部5a近傍の曲率をその両脇に位置する曲面5bの曲率に比較して小さいものとする。このような係数以外であっても、頂部5a近傍の曲率を小さくできる係数の組み合わせであれば、特に制限されない。シリンドリカルレンズ2の長手方向は、複数の発光ダイオード光源8(R)・8(G)・8(B)の直列の方向Cと一致している。複数の発光ダイオード光源8(R)・8(G)・8(B)の直列が、シリンドリカルレンズ2の中央に位置していることが好ましい。
【0030】
その直列の方向Cに沿い、シリンドリカルレンズ2の両側面から、先細りの翼状レンズ3が、突出している。翼状レンズ3は、シリンドリカルレンズ2の略半円柱状を為す曲面5a・5bと逆向きに向いて一体に形成されている。翼状レンズ3は、シリンドリカルレンズ2よりも大きい径の略半円柱状となっていることにより、シリンドリカルレンズ2から突出しつつ、発光ダイオード光源8(R)・8(G)・8(B)の光出射方向側で、その光軸と垂直な平面6aを形成している。
【0031】
集光レンズ1は、被照射物12側の翼状レンズ3の面6aで、屈折せずに光線を通過させるためのものであるから、発光ダイオード光源8の光軸Aと垂直になっていることが好ましいが、この平面6aがシリンドリカルレンズ2の側へ幾分内傾又は外傾していてもよい。
【0032】
シリンドリカルレンズ2の曲面5a・5bは、発光ダイオード光源8の光軸A方向と、発光ダイオード光源8の光軸Aからの傾斜角θが45°以下の光を透過して集光しながら出射できるように調整された曲率を、有していることが好ましい(図2参照)。
【0033】
一方、翼状レンズ3の出射方向側の平面6aは、その光軸Aからの傾斜角θが45〜55°の光を透過して拡散しながら出射するように、発光ダイオード光源8の光出射方向側でその光軸Aと垂直な面となっていると、特に好ましい。
【0034】
翼状レンズ3の発光ダイオード光源8側の曲面6bは、発光ダイオード光源8の光軸Aからの傾斜角θが55°を上限とし傾斜角θが80°を下限とする光を、反射し、翼状レンズ3の出射方向側の平面6a又はシリンドリカルレンズ2の曲面5a・5bから出射するように調整された曲率を、有していることが好ましい。翼状レンズ3の発光ダイオード光源8側の曲面6bは、光源からの透過光が全反射となるように曲率を調整しておくことが好ましいが、その外面を金属被膜で被覆していてもよい。この曲面6bは、図2(i)の側面図に示すように、発光ダイオード光源8からの放物線状に調整されたものであって、発光ダイオード光源8がその放物線の焦点に当たる位置に設置されると、曲面6bで反射した光は平面6aから垂直に出射するので、光軸Aと平行になり好ましい。曲面6bはこの曲面に沿う擬似多面体の曲面となっていてもよい。
【0035】
発光ダイオード光源8が、数100μm乃至数mm四方程度の面積を持っている場合、発光ダイオード光源から発する光は、発光ダイオード光源8の発光面の様々な場所から放射状に発せられる結果、様々な角度で、集光レンズ1中に入射する。そこで、発光ダイオード光源8の大きさを考慮して、集光レンズ1の形状、とりわけシリンドリカルレンズ2や翼状レンズ3の形状やその曲率を十分大きくしかつ円錐係数を十分小さくすることで集光レンズ1のシリンドリカルレンズ2の頂部5a付近で平坦面に近い曲面となるように設計すると、光源からの光を効率よく集光できるようになるので、好ましい。集光レンズ1がそのシリンドリカルレンズ2の頂部5a付近で平坦に近い曲面となってものであると、集光レンズ1の外形寸法に対して発光ダイオード光源8の面積が広い場合で、被照射物12の狭い範囲に集中的に集光させたいときに、特に有効である。
【0036】
集光レンズ1は、発光ダイオード光源8の大きさや集光させて照射すべき範囲の大きさや被照射物の面までの距離に応じて、その形状、例えば曲率、外形寸法を適宜調整して、個別に設計されたものであることが、好ましい。
【0037】
集光レンズ1の長手方向と鉛直な両端面4・4が、例えばサンドブラスト処理で粗らされた粗面となっている。この粗面により発光ダイオード光源8(R)・8(G)・8(B)からその両端面4・4に当たる光が、全反射することなく乱反射乃至散乱するようになっている。そのため、両端面4・4から出射しても色むらが抑制されている。この両端面4・4で形成せれた拡散・乱反射面は、拡散効果が高いほど良好な混色が得られ、色むらを一層改善する。この両端面4・4は、長手方向と鉛直となっていることが好ましいが、集光レンズ1を鋳型成型する場合に離型し易いように抜きテーパーとしてシリンドリカルレンズ2の頂部5aに近付くほどわずかに内傾していてもよい。
【0038】
集光レンズ1は、図2に示すように、集光レンズ2の長手方向での全長Lが、発光ダイオード光源8(R)・8(G)・8(B)からシリンドリカルレンズ2の最頂部までの高さHの2倍と、複数の発光ダイオード光源8のうち最も離れた発光ダイオード光源8(R)・8(B)外端同士の最外間幅wとの合計以上であることが好ましい。その範囲未満であると、発光ダイオード光源8(R)・8(G)・8(B)からの3つ全ての波長光の何れかが混合されない結果、異なった色調になって照射されてしまい、色むらが目立ってしまう。
【0039】
集光レンズ1は、発光ダイオード光源8(R)・8(G)・8(B)を収容する窪み10を好ましく有している。発光ダイオード光源8の位置決めは、この窪み10によって行われる。この窪み10は、空気層を介することなく発光ダイオード光源8(R)・8(G)・8(B)を嵌め込みつつ接着する接着剤9で充填されていてもよい。接着剤9として、高透明度のシリコーン系接着剤が用いられる。接着剤9により空気層を介せずに接着することで、空気層による表面反射が防止され、光量の取り出し効率が向上する。接着剤9として、透明度のやや劣る半透明接着剤を用いる場合であっても、発光ダイオード光源8から発する光の透過性を損なわないように、接着剤9の層厚を十分に薄くして用いてもよい。
【0040】
集光レンズ1は、面取りされていてもよい(不図示)が、面取りされていない方が好ましい。
【0041】
集光レンズ1の材質は、屈折率を示す透光性の透明材質であればガラスのような無機材料であっても樹脂のような有機材料であってもよく特に制限されないが、ガラスのような無機材よりも比較的成形性の良い透明な樹脂またはゴムが好ましい。例えば透明樹脂として、ポリエチレン樹脂、塩素化ポリエチレン樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネイト樹脂が挙げられ、透明ゴムとして、フッ素ゴム、シリコーンゴムが挙げられる。
【0042】
このような集光レンズ1の材質は、発光ダイオード光源8からの熱や青色成分に含まれる紫外線に耐え得る必要があるため、透明シリコーン樹脂や透明シリコーンゴムのようなシリコーンであると、一層好ましい。このようなシリコーンの屈折率は、約1.4〜1.5程度のものが特に好ましい。例えば、シリコーンは、屈折率が約1.52で、硬度がショアDコードで約70度程度のものが挙げられる。屈折率が高い材質の方が、レンズの小型化の観点から有利であるが、屈折率が1.41程度の材料でもよい。
【0043】
集光レンズ1を使用する用途・場所・時に応じて、その材質として、多少の加圧接触でも柔軟に変形し得る軟質のシリコーン樹脂やシリコーンゴムを用いてもよいが、集光レンズ1表面への異物付着の回避、集光レンズ1を実装用マウントのノズルで吸引して発光ダイオード光源8に実装する際のノズルからの脱離の確実性向上の観点から、硬質のシリコーン樹脂が、特に好ましい。
【0044】
集光レンズ1の材質が透明な樹脂またはゴムであれば、ガラスのような研磨は必要なく、射出成形や金型プレス成形でレンズを製造できるため、生産性が高いだけでなく、軽量化に資する。光源からの放熱に対する安定した耐熱性、高輝度光の長期間透過による黄変を引き起こさない耐変色性、透明性、金型転写の正確性、透過率、金型成型時の精密な転写性等を考慮すると、透明シリコーン樹脂であることが好ましい。中でも、低分子シロキサンを除去した低分子シロキサンカット製品、例えば東レダウコーニング株式会社製のOE−6665やEG−6301(商品名)、信越化学工業株式会社製のKJR632やLPS−L400やLPS−L500(商品名)のような市販品であると一層好ましい。
【0045】
なお、集光レンズ1として、翼状レンズ3が設けられた例を示したが、それを有していなくてもよい。集光レンズ1の両端面4・4が粗面である例を示したが、表面処理されていなくてもよく、平滑面であってもよい。
【0046】
本発明を適用する光源モジュール20は、図1及び図2に示すように、集光レンズ1と、発光ダイオード光源8(R)・8(G)・8(B)とが、一体化しているものである。発光ダイオード光源8(R)・8(G)・8(B)は、集光レンズ1の窪み10に嵌め込まれ、透明な接着剤9、例えばシリコーン樹脂系接着剤で固定されていてもよい。
【0047】
発光ダイオード光源8として、赤緑青の光を発する別々なLEDパッケージからなる発光ダイオード光源8(R)・8(G)・8(B)が、直列に並んだ例を示したが、それらの発光部分であるLEDチップ8(R)・8(G)・8(B)を1つのLEDパッケージとしそれの複数個が直列に配置され、その直列の方向Cとシリンドリカルレンズ2の長手方向とを一致させていてもよい。図3に示すように、赤緑青のような複数の波長光を夫々独立に発する3個のLEDチップ8(R)・8(G)・8(B)としそれらが直列に並んで封入されたLEDパッケージ8a・8b・・・が、その直列の方向Cと同方向に複数、配置され、シリンドリカルレンズ2の長手方向とを一致させていてもよい。一つのLEDパッケージ8aだけが配置され、それのLEDチップ8(R)・8(G)・8(B)の直列の方向Cを、シリンドリカルレンズ2の長手方向に一致させていてもよい。複数の波長光を発するLEDチップまたはLEDパッケージ8(R)・8(G)・8(B)が互いに狭い間隔しかあけずに配置されているほど、混色が一層良好となる結果、遠距離のみならず近距離の被照射物12を照らすことができるようになる。
【0048】
光源ユニット20は、照射すべき被照射物12までの距離Dが、複数の発光ダイオード光源8のうち最も離れた発光ダイオード光源8(R)と8(B)との長手方向における互いの外端間、即ち最外間幅wの少なくとも30倍となるように、予め調整しておく必要がある。この範囲未満であると、発光ダイオード光源8(R)・8(G)・8(B)からの3つ全ての波長光の何れかが混合されずに異なった色調になって照射されてしまう色むらの範囲が、相対的に大きくなり過ぎて、目立ってしまう。
【0049】
本発明を適用する照明装置30は、図4に示すように、光源ユニット20の複数が直線状に並び、発光ダイオード光源8(R)・8(G)・8(B)から導出されたリード線11が基板31上の配線32に接続されたものである。
【0050】
光源ユニット20は、円弧状に列を成して並べられていてもよく、直線状に並んだ列が複数並べられて縦横に整然と配置されていてもよい。また、放射状に点在させてもよく、長手方向を一点に向けた状態で円弧状に並べてもよく、縦向きと横向きとを交互に混在して配置してもよく、ランダムに点在させてもよい。
【0051】
照明装置30は、単一の光源ユニット20を用い、発光ダイオード光源8のリード線11が基板31上の配線32に接続されていてもよい。
【0052】
なお、発光ダイオード光源8としてRGBの3色の光を夫々発するものの例を示したが、混色されるものであれば特に制限はなく発光ダイオード光源8から発する光の色調は限定されない。例えば、青色系同士の青色混色、R・G・Bのうちの二色の組合せからなる混色、更には、LEDの上に蛍光体層を設け、波長変換された発光ダイオード光源を混色してもよい。また、色フィルターを介して発光ダイオード光源に為した後、混色してもよい。また白色LEDを3〜6個直列に並べ、集光レンズ1を被せ、均質な白色光に混色してもよい。また、LED内部に拡散材を含有した発光ダイオード光源8を混色してもよい。
【0053】
この集光レンズ1を用いた光源ユニット20が実装された照明装置30は、以下のようにして、製造される。先ず、図1に示すような集光レンズ1の形状に対応して窪んでいる金型を作製する。その金型の窪み面のうち、集光レンズ1の端面4に対応する部位を、例えば放電加工等により荒らしておく。その荒れた表面状態を精密に転写させることができるシリコーン樹脂の原料を含有する組成物を金型に流し込み、硬化させて、集光レンズ1を得る。次いで、図2に示すように、発光ダイオードである発光素子8(R)・8(G)・8(B)を、集光レンズ1の窪み10(図2参照)に挿入し、透明接着剤9で気密に封入すると、光源ユニット20が得られる。その後、図4に示すように、複数の光源ユニット20を基材31上で直線状に並べ、それの発光ダイオード光源8から延びたリード線11を、基材31上の配線32に接続して半田付けすると、照明装置30が得られる。
【0054】
この照明装置30は、以下のようにして使用される。配線32に通電して印加すると発光ダイオード光源8(R)・8(G)・8(B)が、発光する。発光した光の代表的な光路を図2中、P〜Pで示す。
【0055】
同図(i)の側面図に示すように、発光素子8から光軸Aより幾分傾いてに沿って進む光Pは、集光レンズ1の内部を経て、シリンドリカルレンズ2の曲面上の頂部5aで、幾分屈折されて、そこから出射し、被照射物12に至る。その光Pよりも多少傾いた光Pは、集光レンズ1の内部を経て、シリンドリカルレンズ2の側面の曲面5bで、更に大きく屈折されて、そこから出射し、光Pとほぼ平行になって、被照射物12に至る。光Pより傾いた光Pは、翼状レンズ3の出射方向側の平面6aへ鈍角で至ってそこで全反射し、その光源側の曲面6bに至って屈折して翼状レンズ3から下方へ出射し拡散する。その光Pより傾いた光Pは、集光レンズ1の内部を経て、翼状レンズ3の曲面6bで全反射され、翼状レンズ3の平面6aから出射し、光Pと平行になって、被照射物12に至る。
【0056】
また同図(ii)の正面図に示すように、発光ダイオード光源8(R)から鉛直に進む光Pは、集光レンズ1の内部を経て、シリンドリカルレンズ2の曲面の頂部5aで、屈折することなく、直進して、そこから出射し、被照射物12に至る。その光Pよりも多少傾いた光Pは、集光レンズ1の内部を経て、シリンドリカルレンズ2の曲面の頂部5aで、屈折されて、そこから出射する。一方、その光Pより多少傾いた光Pは、集光レンズ1の内部を経て、集光レンズ1の端面4に至り、その端面4で乱反射する。
【0057】
一方、発光ダイオード光源8(R)に隣り合う発光ダイオード光源8(G)から、鉛直よりもやや発光ダイオード光源8(R)側に傾いた光Pは、シリンドリカルレンズ2の曲面の頂部5aで、屈折する。このように、隣り合う発光ダイオード光源又は更に離れている発光ダイオード光源から、発する光が混合される。
【0058】
各発光ダイオード光源8(R)・8(G)・8(B)から発した光は、集光レンズ3の長手方向で、それら発光ダイオード光源8(R)・8(G)・8(B)の載置位置の差によっても、同様に集光レンズ1から出射されることから、終には同様な屈折状態や混合状態をとって、均質に光が混合され、集光レンズ1から出射される。
【0059】
このようにして、発光ダイオード光源8(R)・8(G)・8(B)が発した光は、大部分が混合されながら集光し、発光ダイオード光源8(R)・8(G)・8(B)の位置ずれによる色むらが、目視で認識し得ない程度に、十分に小さくなっているから、目視で認識できる範囲であたかも混合色の色調の光のみが、出射されているように映る結果、被照射物12を均一な白色光で照らすことになる。
【0060】
このような照明装置30によれば、集光レンズ1のシリンドリカルレンズ2の長手方向で指向角約100°となり、その長手方向に垂直な方向で指向角約20°となる集約的な集光を達成することができ、同時に異なる色調の光を混色し白色光を得ることができる。しかも小型で、光の集光効率が良いから、省エネルギーに資する。
【実施例】
【0061】
以下に、本発明を適用する集光レンズ1、それを組み込んだ光源ユニット20、及びそれを有する照明装置30を試作した例について、図を参照しながら、具体的に示す。
【0062】
集光レンズ1は、図1に示す形状のものを作製した。図3に示すように、RGBの3つの発光ダイオード光源8(R)・8(G)・8(B)を1つのパッケージに搭載したフルカラーLEDパッケージチップ8aを、発光ダイオード光源8として使用した。LEDパッケージチップ8a内で夫々、各発光ダイオード光源8(R)・8(G)・8(B)は0.8mm四方であり、0.275mmの隙間をあけて直列に配置されたものである。
【0063】
集光レンズ1は、適切な形状となるように、次のようにして設計されたものである。図2(ii)に示すような最も離れた発光ダイオード光源8(R)と8(B)との長手方向の外向きの端同士の距離、即ち最外間幅wは、2.95mmである。発光ダイオード光源8(R)・8(G)・8(B)の表面から、集光レンズ1のシリンドリカルレンズ2の頂部5aの頂点までの高さHを4mmとし、集光レンズ1の長手方向での全長Lを、L≧2H+wに適合するように、10.95mm以上にする。シリンドリカルレンズ2の形状は、各発光ダイオード光源8(R)・8(G)・8(B)の大きさを考慮し、それらの光軸とのなす角が45°以内である光を、効率よく集光できるように、形状を最適化されている。次いで、翼状レンズ3は、シリンドリカルレンズ2の両方の側面から1mmずつ突出している。翼状レンズ3の光源側曲面6bは、発光ダイオード光源8(R)・8(G)・8(B)の各中心から該当の角度域内を複数に分割し、分割した各角度に応じて、同角度の光線を光軸と平行に反射させる反射角を順次求め、その後各反射角を接続し1つの曲線状としたものである。このままレンズ形状として使用してもよいが、スプライン補完等によって各角度を曲線で滑らかにされている。この結果、翼状レンズ3の光源側曲面6bは、概ね放物線の形状を示している。用途に合わせてさらに形状を変化させてもよい。
【0064】
このように設計された所望の集光レンズ1の形状に応じた金型を作製し、シリコーン樹脂原料を流し込み硬化させて、設計通りの透明シリコーン樹脂製集光レンズ1を鋳型成型した。この集光レンズ1は、屈折率が1.52で、硬度がショアDコードで70度である。
【0065】
この集光レンズ1の窪み10に発光ダイオード8光源(R)・8(G)・8(B)を嵌め込み、透明接着剤9で固定し、発光ダイオード8光源(R)・8(G)・8(B)から夫々導出したリード線11を適切な方向に曲げて、光源ユニット20を得た。複数の光源ユニット20を、基板31上に並べ、その配線パターン11に、リード線を接続して、照明装置30を作製した。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明の集光レンズは複数の波長光を発する発光ダイオード光源と共に一体化され、複数の波長光を混合して均一な色調の光を出射する光源ユニットとして、用いられる。
【0067】
この光源ユニットを実装した照明装置は、室内外のインテリア照明灯、テレビやパーソナルコンピューターや携帯電話用の液晶ディスプレイのバックライト、携帯ゲーム機用のディスプレイのようなアミューズメント用照明器具、自動車のヘッドライト、各種産業用照明器具などの照明装置として、有用である。
【符号の説明】
【0068】
1は集光レンズ、2はシリンドリカルレンズ、3は翼状レンズ、4は端面、5aはシリンドリカルレンズの曲面の頂部、5bはシリンドリカルレンズの曲面の側部、6aは翼状レンズの平面、6bは翼状レンズの曲面、8・8(R)・8(G)・8(B)は発光ダイオード光源、8a・8b・・・はLEDパッケージ、9は接着剤、10は窪み、11はリード線、20は光源モジュール、30は照明装置、31は基板、32は配線、Aは光軸、Cは直列方向、Dは照射すべき被照射物までの距離、Hは発光ダイオード光源からシリンドリカルレンズの頂部までの高さ、Lは集光レンズの長手方向での全長、wは複数の発光ダイオード光源の最外間幅、θ〜θは傾斜角、P〜Pは光路である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
直列に並んで異なる波長光を夫々発する複数の発光ダイオード光源からの出射方向の側に配置されるもので、シリンドリカルレンズが、その長手方向を該直列の方向と一致させて、具備されていることを特徴とする集光レンズ。
【請求項2】
前記直列の方向に沿い、前記シリンドリカルレンズの側面から、先細りの翼状レンズが突出していることを特徴とする請求項1に記載の集光レンズ。
【請求項3】
前記翼状レンズが、前記出射方向の側で、前記発光ダイオード光源の光軸に垂直な面又は前記シリンドリカルレンズ側へ内傾若しくは外傾する面を有しており、前記発光ダイオード光源への光源側で、前記シリンドリカルレンズの曲面と逆向きの曲面又はそれに沿う擬似多面曲面となっていることを特徴とする請求項2に記載の集光レンズ。
【請求項4】
前記シリンドリカルレンズが、同一の曲率で連続した曲面、又は曲率の異なる複数の部分面からなる連続した曲面を有する非球面であることを特徴とする請求項1に記載の集光レンズ。
【請求項5】
端面が、前記長手方向と鉛直になりつつ、乱反射及び/又は拡散する粗面となっていることを特徴とする請求項1に記載の集光レンズ。
【請求項6】
前記集光レンズの前記長手方向での全長Lと、前記発光ダイオード光源から前記シリンドリカルレンズの頂部までの高さHと、前記複数の発光ダイオード光源の最外間幅wとが
L≧2H+w
の関係になっていることを特徴とする請求項1に記載の集光レンズ。
【請求項7】
直列に並んで異なる波長光を出射する複数の発光ダイオード光源からの出射方向の側に、シリンドリカルレンズがその長手方向を該直列の方向と一致させつつ、その光軸方向を該出射方向に一致させて配置されている集光レンズに、前記発光ダイオード光源が、嵌って一体化していることを特徴とする光源ユニット。
【請求項8】
前記発光ダイオード光源が、集光レンズへ、空気層を介することなく、前記嵌っていることを特徴とする請求項7に記載の光源ユニット。
【請求項9】
照射すべき被照射物までの距離Dが、前記複数の発光ダイオード光源の最外間幅wの少なくとも30倍とすることを特徴とする請求項7に記載の光源ユニット。
【請求項10】
請求項7に記載の光源ユニットが、単一で基板に接続され、又はその複数で単列若しくは複数列を為して連続し若しくは点在して並べられて基板に接続されていることを特徴とする照明装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−70010(P2011−70010A)
【公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−221064(P2009−221064)
【出願日】平成21年9月25日(2009.9.25)
【出願人】(597096161)株式会社朝日ラバー (74)
【Fターム(参考)】