説明

集合住宅インターホンシステム

【課題】居室親機に必要とされる各種設定として、制御機による設定モードの相違をもとに、居室親機にて設定された情報および制御機にて設定された情報のうち何れか一方の情報を選択して記憶させる。
【解決手段】居室親機2a、2b、・・・の通話手段200、201にて入出力される通話音声を録音する録音機能の使用/未使用の切り替え、表示手段202に表示させる日本語/英語の切り替え等の各種設定である第1の居室情報が、居室設定手段203により設定され記憶手段206に予め記憶されていない場合にのみ、制御機5の制御機設定手段500による各種設定であり、選択手段4より選択された第2の居室情報を有効として、記憶部に記憶させる。また、第1の居室情報が記憶手段206に予め記憶されているか否かに拘わらず、制御機の制御機強制設定手段500による各種設定であり、選択手段より選択された第2の居室情報を有効として、記憶部に記憶させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マンション等の集合住宅に設置される集合住宅インターホンシステムに係り、特に、居室親機に必要とされる各種設定の記憶手段/変更手段を当該居室親機および制御機にそれぞれ備えた集合住宅インターホンシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、この種の集合住宅インターホンシステムとして、各住戸における室内親機の機能設定の登録/変更を制御装置から遠隔にて行うことができる集合住宅用インターホンシステムが開示されている(例えば、特許文献1を参照。)。
【0003】
この集合住宅用インターホンシステムによれば、制御装置に設けたデータ入力部から室内親機の機能設定情報を入力し、これにより制御装置から室内親機に対して機能設定情報を伝送し、機能設定情報の登録/変更を可能にしたから、室内親機登録/変更時には、住戸内に入ることなく、制御装置から遠隔にて設定作業を行うことができ、住人の在、不在に関わらず室内親機をメンテナンスすることができる。
【0004】
また、室内親機に設けた住戸番号スイッチ部で自身の住戸番号を入力しておくことにより、制御装置から伝送される機能設定情報のうちから自身の住戸番号に一致する機能設定情報のみを選択できるから、制御装置から各室内親機に対して機能設定を順次行うことができ、室内親機の機能設定をスムーズに行うことができる。
【0005】
さらに、室内親機の機能設定情報を制御装置のメモリに予め準備しておくことにより、各機能設定情報毎にデータ入力部から住戸番号を入力するだけで室内親機の機能設定が可能になり、設定等の施工時間を短縮することができるという効果を有する。
【0006】
【特許文献1】特開平9−233200号公報(段落番号「0015」乃至「0036」、第1図、第2図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、背景技術に記載した特許文献1の集合住宅用インターホンシステムによれば、室内親機にて機能設定が行われたにも拘わらず、制御機にて行われた機能設定の情報が一括で居室情報に送信された場合には、室内親機にて機能設定が予め行われていたか否かに拘わらず、制御機からの情報に強制的に書き換えられる。例えば、ある居室のみ特別な設定が必要である場合であっても、制御機にて一括設定が行われた場合には、その都度、当該居室親機まで赴いて再設定せねばならなかった。
【0008】
本発明は、この難点を解消するためになされたもので、居室親機に必要とされる各種設定として、制御機による設定モードの相違をもとに、居室親機にて設定された情報および制御機にて設定された情報のうち何れか一方の情報を選択して記憶させることにより、再設定が不要となり利便性が高められた集合住宅インターホンシステムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前述の目的を達成するため、本発明の第1の態様である集合住宅インターホンシステムは、集合住宅のエントランスに設置される集合玄関機と、集合住宅の各住戸内にそれぞれ設置され集合玄関機から呼び出されて通話を成立させるための居室親機と、集合玄関機および居室親機をそれぞれ制御するための制御機とを設けたものである。居室親機は、集合玄関機からの呼び出しを表示するための表示手段と、集合玄関機との間で通話を成立させるための通話音声を入出力する通話手段と、通話手段にて入出力される通話音声を録音する録音機能の使用/未使用の切り替え、表示手段に表示させる日本語/英語の切り替え等の各種設定を行うための居室設定手段と、居室設定手段にて設定された第1の居室情報を記憶するための記憶手段とを備えたものである。制御機は、居室親機の各種設定を行うための制御機設定手段を備えたものである。居室親機は、第1の居室情報が記憶手段に予め記憶されているか否かを判断し、第1の居室情報が記憶手段に予め記憶されている場合に制御機の制御機設定手段にて設定された第2の居室情報を無効として記憶せず、第1の居室情報が記憶手段に予め記憶されていない場合に制御機の制御機設定手段にて設定された第2の居室情報を記憶手段に記憶するための居室制御手段を有したものである。
【0010】
また、本発明の第2の態様である集合住宅インターホンシステムは、本発明の第1の態様において、制御機は、第1の居室情報が記憶手段に予め記憶されているか否かに拘わらず、第2の居室情報を記憶手段に強制的に記憶させるための制御機強制設定手段を有したものである。居室親機は、制御機制御手段により送信されてくる第2の居室情報を受信したときには、記憶手段の記憶内容を受信された第2の居室情報に強制的に書き換えるための居室強制制御手段を有したものである。
【0011】
また、本発明の第3の態様である集合住宅インターホンシステムは、本発明の第2の態様において、居室制御手段は、制御機強制設定手段により送信されてくる第2の居室情報が記憶手段に予め記憶されているか否かに拘わらず、記憶手段の記憶内容を居室設定手段にて設定された第1の居室情報に書き換えるものである。
【0012】
また、本発明の第4の態様である集合住宅インターホンシステムは、本発明の第1乃至第3の態様において、制御機は、記憶手段に第2の居室情報を記憶させる居室親機を選択するための選択手段に接続可能である。
【発明の効果】
【0013】
本発明の集合住宅インターホンシステムによれば、居室親機の通話手段にて入出力される通話音声を録音する録音機能の使用/未使用の切り替え、表示手段に表示させる日本語/英語の切り替え等の各種設定である第1の居室情報が、居室設定手段により設定され記憶手段に予め記憶されている場合、制御機の制御機設定手段による各種設定であり、選択手段により選択された第2の居室情報を無効として、記憶手段への第1の居室情報の記憶が保持されるため、記憶手段の記憶内容は第2の居室情報に書き換えられることはなく、再設定が不要となり設定忘れの発生も防止することができ、利便性が高められる。一方、第1の居室情報が記憶手段に予め記憶されていない場合には、制御機の制御機設定手段による各種設定であり、選択手段により選択された第2の居室情報を有効として、記憶部に記憶させることができる。
【0014】
また、本発明の集合住宅インターホンシステムによれば、居室親機の通話手段にて入出力される通話音声を録音する録音機能の使用/未使用の切り替え、表示手段に表示させる日本語/英語の切り替え等の各種設定である第1の居室情報が、居室設定手段により設定され記憶手段に予め記憶されているか否かに拘わらず、制御機の制御機強制設定手段による各種設定であり、選択手段により選択された第2の居室情報を有効として、記憶部に記憶させることができる。
【0015】
また、本発明の集合住宅インターホンシステムによれば、制御機の制御機強制設定手段による各種設定であり、選択手段により選択された第2の居室情報が居室親機の記憶手段に記憶されているか否かに拘わらず、記憶手段の記憶内容を、居室強制設定手段による各種設定である第1の居室情報に書き換えることができる。
【0016】
さらに、本発明の集合住宅インターホンシステムによれば、制御機に接続可能な選択手段を使用して、記憶手段に第2の居室情報を記憶させる居室親機を選択することにより、多様な設定変更を容易に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の集合住宅インターホンシステムを適用した最良の実施の形態例について、図面を参照して説明する。
【0018】
図1は、本発明の実施例による集合住宅インターホンシステムの全体構成を示すシステム説明図である。
【0019】
図1に示す集合住宅インターホンシステムには、マンション等の集合住宅のエントランスに設置される集合玄関機1と、集合住宅の各住戸内にそれぞれ設置される(複数の)居室親機2a、2b、・・・と、集合住宅の管理室内に設置される管理室親機3と、玄関ラインL1を経由して接続された集合玄関機1、居室ラインL2を経由して接続(バス接続)された(複数の)居室親機2a、2b、・・・、管理室ラインL3を経由して接続された管理室親機3をそれぞれ制御するとともに、外部ラインL4を経由して接続される外部機器、ここでは、コンピュータ4との間で通信を行うことができる制御機5とが設けられている。
【0020】
なお、制御機5と(複数の)居室親機2a、2b、・・・との間の接続は、居室ラインL2を経由する接続(バス接続)の態様に限定されるものではなく、この居室ラインL2上に住戸アダプタ(図示せず。)を設ける態様も好適とされる。また、住戸アダプタとは、制御機5と(複数の)居室親機2a、2b、・・・との間の信号伝送路および通話路をそれぞれ形成するためのものであり、通常、居室親機2a、2b、・・・により制御される。
【0021】
集合玄関機1には、操作部(以下、玄関操作部という。)100、モニタ(以下、玄関モニタという。)101、カメラ102、マイク(以下、玄関マイクという。)103、スピーカ(以下、玄関スピーカという。)104が備えられている。
【0022】
この集合玄関機1において、玄関操作部100は、集合住宅のエントランスに居る人物、例えば、来訪者が、集合住宅の各住戸のうち特定の住戸内に在室中の居住者を呼び出す、または管理室内に在室中の管理人を呼び出すために所定の呼出操作を行うものである。この玄関操作部100としては、例えば、テンキーボタン、呼出ボタン、タッチパネル等が好適とされる。
【0023】
玄関モニタ101は、玄関操作部100にて行われた操作情報等を表示するための表示手段を構成している。この玄関モニタ101としては、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ等の各種のディスプレイが好適とされる。
【0024】
カメラ102は、呼出操作を行った来訪者の映像やエントランスの周囲近傍の映像を撮像するための撮像手段(映像撮像手段)を構成している。このカメラ102としては、例えば、CCD(Charge Coupled Devices)、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等の各種の撮像素子が好適とされる。
【0025】
玄関マイク103および玄関スピーカ104は、来訪者が呼出先である居住者または管理人との間で通話を成立させるにあたり、通話音声を入出力(送受信)するための通話手段を構成している。
【0026】
また、(複数の)居室親機2a、2b、・・・はそれぞれ同様な構成であり個別の居室IDを有している。この居室親機2a、2b、・・・は、スピーカ(以下、居室スピーカという。)200、マイク(以下、居室マイクという。)201、モニタ(以下、居室モニタという。)202、操作部(以下、居室操作部という。)203が備えられている。
【0027】
この居室親機2a、2b、・・・において、居室スピーカ200は、来訪者からの呼び出し、または管理人からの呼び出し(一斉呼び出しを含む。)がある旨の呼出音や音声メッセージ等を放音するための呼出報知手段とともに、居住者が呼出元である来訪者または管理人、或いは呼出先である管理人との間で通話を成立させるにあたり、通話音声を出力(受信)するための通話手段を構成している。
【0028】
居室マイク201は、前述の居室スピーカ200とともに通話手段を構成しており、居住者が呼出元である来訪者または管理人、或いは呼出先である管理人との間で通話を成立させるにあたり、通話音声を入力(送信)するためのものである。
【0029】
居室モニタ202は、来訪者または管理人からの呼び出し(一斉呼び出しを含む。)がある旨の文字(呼出)メッセージや絵データ等、集合玄関機1のカメラ102にて撮像された映像を表示するとともに、後述する居室操作部203にて行われる操作情報等を表示するための表示手段を構成している。この居室モニタ203としては、例えば、LCD、有機ELディスプレイ等の各種のディスプレイが好適とされる。
【0030】
居室操作部203は、来訪者または管理人からの呼び出し(一斉呼び出しを含む。)を確認した居住者が所定の応答操作を行うとともに、管理人を呼び出すための所定の呼出操作を行うための操作手段と、前述の居室マイク201および居室スピーカ200にて入出力(送受信)される通話音声を録音する録音機能の使用/未使用の切り替え、前述の居室モニタ202に表示させる日本語/英語の切り替え等の各種設定(以下、第1の居室情報の設定という。)を行うための居室設定手段とを構成している。この居室操作部203としては、例えば、通話ボタン、DIP(Dual In-line Package Switch)スイッチ、タッチパネル等が好適とされる。
【0031】
また、管理室親機3には、スピーカ(以下、管理室スピーカという。)300、マイク(以下、管理室マイクという。)301、送受話器302、モニタ(以下、管理室モニタという。)303、操作部(以下、管理室操作部という。)304が備えられている。
【0032】
この管理室親機3において、管理室スピーカ300は、来訪者または居住者からの呼び出しがある旨の呼出音や音声メッセージ等を放音するための呼出報知手段とともに、管理人が呼出元である来訪者または居住者、或いは呼出先である居住者との間で通話を成立させるにあたり、通話音声を出力(受信)するための通話手段を構成している。
【0033】
管理室マイク301は、前述の管理室スピーカ300とともに通話手段を構成しており、管理人が呼出元である来訪者または居住者、或いは呼出先である居住者との間で通話を成立させるにあたり、通話音声を入力(送信)するためのものである。
【0034】
送受話器302は、前述の管理室スピーカ300、管理室マイク301とともに通話手段を構成しており、管理人が呼出元である来訪者または居住者、或いは呼出先である居住者との間で通話を成立させるにあたり、通話音声を入出力(送受信)するためのものである。
【0035】
管理室モニタ303は、来訪者または居住者からの呼び出しがある旨の文字(呼出)メッセージや絵データ等、集合玄関機1のカメラ102にて撮像された映像を表示するとともに、後述する管理室操作部304にて行われる操作情報等を表示するための表示手段を構成している。この管理室モニタ303としては、例えば、LCD、有機ELディスプレイ等の各種のディスプレイが好適とされる。
【0036】
管理室操作部304は、来訪者または居住者からの呼び出しを確認した管理人が所定の応答操作を行うとともに、特定の居住者を呼び出すための所定の呼出操作、或いは一斉放送を行うための操作手段を構成している。この管理室操作部304としては、例えば、通話ボタン、呼出ボタン(一斉呼出ボタン)、タッチパネル等が好適とされる。
【0037】
なお、管理室親機3に備えられる通話手段としては、前述の管理室スピーカ300、管理室マイク301および送受話器302の3つの通話部を適用しているが、この態様に限定されるものではない。例えば、管理室スピーカ300および管理室マイク301の態様、管理室スピーカ300および送受話器302の態様のうち何れか一方の態様のみを適用することができる。
【0038】
さらに、(外部機器である)コンピュータ4は、(複数の)居室親機2a、2b、・・・の居室マイク201および居室スピーカ200にて入出力(送受信)される通話音声を録音する録音機能の使用/未使用の切り替え、居室モニタ202に表示させる日本語/英語の切り替え等の各種設定を行うとともに、この各種設定を記憶させる当該居室親機を選択するための選択手段を構成している。
【0039】
なお、外部機器は、コンピュータ4に限定されるものではなく、例えば、外部ラインL4として一般公衆回線等の外部ネットワークを経由して接続可能な施工業者、警備会社等のサーバも好適とされる。
【0040】
図2は、本発明の実施例による集合住宅インターホンシステムにおいて、(複数の)居室親機2a、2b、・・・の具体的な構成を示すブロック図である。
【0041】
図2に示す(複数の)居室親機2a、2b、・・・はそれぞれ同様な構成であり、前述の居室スピーカ200、居室マイク201、居室モニタ202および居室操作部203と、通話回路204と、復調回路205と、メモリ(以下、居室メモリという。)206と、制御回路(以下、居室制御回路という。)207と、信号送受信回路(以下、居室I/Fという。)208とが備えられている。
【0042】
この居室親機2a、2b、・・・において、通話回路204は、前述の子機スピーカ200、子機マイク201とともに通話手段を構成しており、子機マイク201に入力(送信)された通話音声であり信号処理された音声信号を4線/2線変換や増幅等を行うとともに、子機スピーカ200から出力(受信)される通話音声であり信号処理された音声信号を2線/4線変換や増幅等を行うためのものである。
【0043】
復調回路205は、前述の居室モニタ202とともに表示手段を構成しており、集合玄関機1から伝送されてくるFM(Frequency Modulation)変調された映像信号を復調するためのものである。
【0044】
居室メモリ206は、前述の居室操作部203にて設定された第1の居室情報または後術する制御機5にて設定された居室情報を記憶するための記憶手段を構成している(図1を参照。)。この居室メモリ206としては、例えば、RAM(Random Access Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)等の各種の記憶媒体が好適とされる。
【0045】
居室制御回路207は、当該居室親機の構成各部/回路をそれぞれ制御するためのものである。また、居室制御回路207は、前述の居室メモリ206の記憶内容を、制御機5にて設定される居室情報に強制的に書き換える居室強制制御手段を構成している。
【0046】
居室I/F208は、居室ラインL2および通話回路204の間の通話路、居室ラインL2から復調回路205への信号伝送路、居室ラインL2および居室制御回路207の間の信号伝送路をそれぞれ形成するためのものである。
【0047】
図3は、本発明の実施例による集合住宅インターホンシステムにおいて、制御機5の具体的な構成を示すブロック図である。
【0048】
図3に示す制御機5には、操作部(以下、制御機操作部という。)500と、メモリ(以下、制御機メモリという。)501と、制御回路(以下、制御機制御回路という。)502と、通話路形成回路503と、4つの信号送受信回路(以下、それぞれ玄関側制御機I/F、居室側制御機I/F、管理室側制御機I/F、外部側制御機I/Fという。)504、505、506、507とが備えられている。
【0049】
この制御機5において、制御機操作部500は、複数の居室親機2a、2b、・・・の居室マイク201および居室スピーカ200にて入出力(送受信)される通話音声を録音する録音機能の使用/未使用の切り替え、前述の居室モニタ202に表示させる日本語/英語の切り替え等の各種設定(以下、第2の居室情報の設定という。)を行うための制御機設定手段と、第1の居室情報が前述の(複数の)居室親機2a、2b、・・・の居室メモリ206に予め記憶されているか否かに拘わらず、第2の居室情報を居室メモリ206に強制的に記憶させるための制御機強制設定手段を構成している(図1を参照。)。この制御機操作部500としては、例えば、DIPスイッチが好適とされる。
【0050】
制御機メモリ501は、制御機操作部500またはコンピュータ4にて設定された第2の居室情報を記憶するためのものである。この制御機メモリ501としては、例えば、RAM、EEPROM等の各種の記憶媒体が好適とされる。
【0051】
制御機制御回路502は、当該制御機の構成各部/回路をそれぞれ制御するとともに、当該システム全体を制御するためのものである。また、制御機制御回路502は、第1の居室情報が前述の居室メモリ206に予め記憶されているか否かに拘わらず、第2の居室情報を居室メモリ206に強制的に記憶させるための制御機強制制御手段を構成している。
【0052】
通話路形成回路503は、玄関側制御機I/F504および居室側制御機I/F505の間の通話路、玄関側制御機I/F504および管理室側制御機I/F506の間の通話路、居室側制御機I/F505および管理室側制御機I/F506の間の通話路をそれぞれ形成するためのものである。
【0053】
玄関側制御機I/F504は、玄関ラインL1および制御機制御回路502の間の信号伝送路、玄関ラインL1および通話路形成回路503の間の通話路をそれぞれ形成するためのものである。
【0054】
居室側制御機I/F505は、居室ラインL2および制御機制御回路502の間の信号伝送路、居室ラインL2および通話路形成回路503の間の通話路をそれぞれ形成するためのものである。
【0055】
管理室側制御機I/F506は、管理室ラインL3および制御機制御回路502の間の信号伝送路、管理室ラインL3および通話路形成回路503の間の通話路をそれぞれ形成するためのものである。
【0056】
外部側制御機I/F507は、外部ラインL4および制御機制御回路502の間の信号伝送路を形成するためのものである。
【0057】
なお、制御機5において、通話路形成回路503が有する機能は、制御機制御回路502に備えることもできる。この態様によれば通話路形成回路503は不要となり回路構成が簡素化される。
【0058】
このように構成された本発明の実施例による集合住宅インターホンシステムにおいて、以下、具体的な動作について、前述の図1乃至図3および図4のフローチャート図を参照して説明する。なお、図4は、本発明の実施例による集合住宅インターホンシステムにおいて、(複数の)居室親機2a、2b、・・・の具体的な動作遷移(ステップST100〜ST107)を説明するためのフローチャート図である。
【0059】
また、本発明の実施例による動作の説明を行うにあたり、集合住宅のエントランスに居る来訪者が特定の住戸内に在室中の居住者または管理室内に在室中の管理人を呼び出して通話を成立させる動作と、管理人が居住者を呼び出して通話を成立させる動作(一斉放送を含む。)と、居住者が管理人を呼び出して通話を成立させる動作とは、背景技術に記載した特許文献1の集合住宅用インターホンシステム等の集合住宅におけるインターホン技術において公知/周知であるため、説明は省略するものとする。
【0060】
当該システムの施工時等において、例えば、施工業者は、図1に示す(複数の)居室親機2a、2b、・・・の居室マイク201および居室スピーカ200にて入出力(送受信)される通話音声を録音する録音機能の使用/未使用の切り替え、居室モニタ202に表示させる日本語/英語の切り替え等の各種設定を行う必要がある。そこで、施工業者は、制御機5の制御機操作部500またはコンピュータ4によって、(複数の)居室親機2a、2b、・・・の居室マイク201および居室スピーカ200にて入出力(送受信)される通話音声を録音する録音機能の使用/未使用の切り替え、居室モニタ202に表示させる日本語/英語の切り替え等の各種設定、すなわち、第2の居室情報を設定することができる。この第2の居室情報は、図3に示す制御機5の制御機制御回路502の制御により、制御機メモリ501に記憶される。なお、制御機メモリ501から第2の居室情報を読み出すにあたり、この第2の居室情報が図2に示す居室メモリ206に記憶される当該居室親機の選択は、コンピュータ4にて行われる設定操作をもとに、外部ラインL4、外部側制御機I/F507を経由して伝送されてくる選択信号を検出した制御機制御回路502の制御により行われる。
【0061】
以下、(複数の)居室親機2a、2b、・・・のうち、居室親機2aについて行われる各種設定の動作を説明する。
【0062】
居室親機2aの居室マイク201および居室スピーカ200にて入出力(送受信)される通話音声を録音する録音機能の使用/未使用の切り替え、居室モニタ202に表示させる日本語/英語の切り替え等の各種設定を行う、すなわち、第1の居室情報を設定するにあたり、居室親機2aが設置された住戸内に例えば、施工業者が在室している場合には、この施工業者が居室親機2aの居室操作部203を使用して所定の通常設定操作(詳述せず。)を行う。また、居室親機2aの居室制御回路207は、居室操作部203にて行われた設定操作による第1の居室情報を居室メモリ206に記憶させることができる(ST100、ST101、ST104、ST107)。
【0063】
一方、施工業者が制御機5にて居室親機2aの各種設定を行う、すなわち、制御機メモリ501に予め記憶された第2の居室情報を設定するにあたっては、制御機操作部500を使用して所定の設定操作を行う。また、制御機5の制御機制御回路502は、制御機操作部500にて行われた設定操作が通常の設定モードであるか強制の設定モードであるかの判別を行う。さらに、制御機制御回路502は、居室親機2aの各種設定のために選択されている第2の居室情報を制御機メモリ501から読み出すとともに、読み出された第2の居室情報に、判別したモード情報および居室親機2aに予め割り当てられている居室IDを付加させた居室情報設定信号を生成する。この居室情報設定信号は、制御機制御回路502から居室側制御機I/F505、居室ラインL2、(複数の)居室親機2a、2b、・・・の居室I/F208を経由して居室制御回路207にそれぞれ伝送される。
【0064】
(複数の)居室親機2a、2b、・・・の居室制御回路207は、それぞれ制御機5の制御機制御回路502から伝送されてきた居室情報設定信号に付加されている居室IDと自居室親機に予め割り当てられている居室IDとを照合し、当該居室IDが一致した場合にのみ居室情報設定信号を有効であると判断する。ここでは、居室親機2aの居室制御回路207のみ居室IDが一致し、この居室制御回路207は、有効であると検出された居室情報通常信号が通常モードの居室情報であるのか強制モードの居室情報であるのかをモード情報をもとに判別する(ステップST100、ST101、ST102)。
【0065】
最初に、居室親機2aの居室制御回路207にて判別されたモード情報が通常モードであった場合(ステップST102)、これを検出した居室制御回路207は、前述の第1の居室情報が居室メモリ206に予め記憶されているか否かを判断する(ステップST103)。ここで、第1の居室情報が居室メモリ206に予め記憶されている場合には、制御機5の制御機制御回路502から伝送されてきた居室情報設定信号に付加されている第2の居室情報は無効として、居室メモリ206への第1の居室情報の記憶を保持するため、第2の居室情報に書き換えられることはなく、再設定が不要となり設定忘れの発生も防止することができ、利便性が高められる。一方、第1の居室情報が居室メモリ206に予め記憶されていない場合には、制御機5の制御機制御回路502から伝送されてきた居室情報設定信号に付加されている第2の居室情報を有効として、居室メモリ206に記憶させることができる(ステップST106、ST107)。
【0066】
次に、居室親機2aの居室制御回路207にて判別されたモード情報が強制モードであった場合(ステップST102)、これを検出した居室制御回路207は、前述の第1の居室情報が居室メモリ206に予め記憶されているか否かに拘わらず、制御機5の制御機制御回路502から伝送されてきた居室情報設定信号に付加されている第2の居室情報を有効として、居室メモリ206の記憶内容を第2の居室情報に強制的に書き換えることができる(ステップST105、ST107)。なお、強制的な書き換えを行うにあたり、第1の居室情報が居室メモリ206に予め記憶されていない場合には、第2の情報が新規な居室情報として記憶されることになる。
【0067】
また、前述のような強制モードによる第2の居室情報が居室親機2aの居室メモリ206に強制的に記憶されているか否かに拘わらず、居室親機2aが設置された住戸内に在室している施工業者や居住者による居室操作部203を使用した所定の強制設定操作(詳述せず。)を検出した居室制御回路207は、居室メモリ206の記憶内容を、第1の居室情報に強制的に書き換えることができる。
【0068】
なお、本発明の集合住宅インターホンシステムにおいては、特定の実施の形態をもって説明してきたが、この形態に限定されるものでなく、本発明の効果を奏する限り、これまで知られた如何なる構成の集合住宅インターホンシステムであっても採用できるということはいうまでもないことである。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】本発明の実施例による集合住宅インターホンシステムの全体構成を示すシステム説明図。
【図2】本発明の実施例による集合住宅インターホンシステムにおいて、居室親機の具体的な構成を示すブロック図。
【図3】本発明の実施例による集合住宅インターホンシステムにおいて、制御機の具体的な構成を示すブロック図。
【図4】本発明の実施例による集合住宅インターホンシステムにおいて、居室親機の具体的な動作遷移を説明するためのフローチャート図。
【符号の説明】
【0070】
1……集合玄関機
2a、2b、・・・ ……(複数の)居室親機
200……居室スピーカ(通話手段)
201……居室マイク(通話手段)
202……居室モニタ(モニタ、表示手段)
203……居室操作部(居室設定手段)
204……通話回路(通話手段)
205……復調回路(表示手段)
206……居室メモリ(記憶手段)
207……居室制御回路(居室制御手段、居室強制制御手段)
4……コンピュータ(選択手段)
5……制御機
500……制御機操作部(制御機設定手段、制御機強制設定手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
集合住宅のエントランスに設置される集合玄関機(1)と、前記集合住宅の各住戸内にそれぞれ設置され前記集合玄関機から呼び出されて通話を成立させるための居室親機(2a、2b、・・・)と、前記集合玄関機および前記居室親機をそれぞれ制御するための制御機(5)とを設け、
前記居室親機は、前記集合玄関機からの呼び出しを表示するための表示手段(202、205)と、前記集合玄関機との間で通話を成立させるための通話音声を入出力する通話手段(200、201、204)と、前記通話手段にて入出力される通話音声を録音する録音機能の使用/未使用の切り替え、前記表示手段に表示させる日本語/英語の切り替え等の各種設定を行うための居室設定手段(203)と、前記居室設定手段にて設定された第1の居室情報を記憶するための記憶手段(206)とを備え、
前記制御機は、前記居室親機の前記各種設定を行うための制御機設定手段(500)を備え、
前記居室親機は、前記第1の居室情報が前記記憶手段に予め記憶されているか否かを判断し、前記第1の居室情報が前記記憶手段に予め記憶されている場合に前記制御機の制御機設定手段にて設定された第2の居室情報を無効として記憶せず、前記第1の居室情報が前記記憶手段に予め記憶されていない場合に前記制御機の制御機設定手段にて設定された第2の居室情報を前記記憶手段に記憶するための居室制御手段(207)を有することを特徴とする集合住宅インターホンシステム。
【請求項2】
前記制御機は、前記第1の居室情報が前記記憶手段に予め記憶されているか否かに拘わらず、前記第2の居室情報を前記記憶手段に強制的に記憶させるための制御機強制設定手段(500)を有し、
前記居室親機は、前記制御機制御手段により送信されてくる前記第2の居室情報を受信したときには、前記記憶手段の記憶内容を前記受信された第2の居室情報に強制的に書き換えるための居室強制制御手段(207)を有することを特徴とする請求項1記載の集合住宅インターホンシステム。
【請求項3】
前記居室制御手段は、前記制御機強制設定手段により送信されてくる前記第2の居室情報が前記記憶手段に予め記憶されているか否かに拘わらず、前記記憶手段の記憶内容を前記居室設定手段にて設定された前記第1の居室情報に書き換えることを特徴とする請求項2記載の集合住宅インターホンシステム。
【請求項4】
前記制御機は、前記記憶手段に前記第2の居室情報を記憶させる前記居室親機を選択するための選択手段(4)に接続可能であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のうち何れか1項記載の集合住宅インターホンシステム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−202017(P2007−202017A)
【公開日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−20637(P2006−20637)
【出願日】平成18年1月30日(2006.1.30)
【出願人】(000100908)アイホン株式会社 (777)
【Fターム(参考)】