説明

集塵機

【課題】好適な集塵機能を得る。
【解決手段】上方が開口し、有底形状であって、吸込口を有するタンク2と、タンク2に固定される本体4と、を有し、本体4は、モータ5と、モータ5により回転するファン6と、を有し、タンク2には、吸込口と本体4との間を仕切り、収縮変形可能なプレフィルタ15が配置されている集塵機1であって、プレフィルタ15の中に、ダンパ22とパウダフィルタ17とを配置し、プレフィルタ15とパウダフィルタ17との間にダンパ22を配置したことを特徴としている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸込口を設けたタンクの上部に、モータ及びファンを備えた本体を設け、モータの駆動に伴うファンの回転により、吸込口から外気を吸込み、タンク内に設けたフィルタで塵埃を捕捉する集塵機に関する。
【背景技術】
【0002】
集塵機は、吸込口を設けたタンクの上部に、モータ及びファンを備えた本体を分離可能に載置し、モータの駆動に伴うファンの回転で吸込口から空気を吸い込み、本体内を通過させて外部に排出させる。タンク内には、袋状の一次フィルタと、その一次フィルタの内側へ有底筒状に突出して一次フィルタの収縮を阻止する二次フィルタとが設けられており、塵埃を含んだ空気がまず一次フィルタを通過する際に、大きな塵埃が一次フィルタで捕捉され或いはタンク内に落下して集塵され、一次フィルタを通過した細かい塵埃は二次フィルタに捕捉されるようになっている。
このような集塵機では、塵埃が最も多く接触する一次フィルタに塵埃が付着しやすく、目詰まりが生じると吸引力が低下することから、例えば特許文献1に開示の集塵機のように、一次フィルタの内側に、剛鋼線とバネ鋼板とで構成された駕籠状のフィルタケージを設ける対策が考えられる。これは、吸込時には負圧によって一次フィルタをフィルタケージに密着させて内側に弾性変形させ、運転停止時には、負圧の解消によりフィルタケージが元の形に復帰する動作を利用して一次フィルタを膨らませることで、自動的に塵埃の払い落としを可能とするものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−45318号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、駕籠状のフィルタケージは、その形状から一次フィルタに対する接触部分が局部的になるため、運転停止時の復元動作が一次フィルタへ均等に伝わりにくく、一次フィルタの膨らみも局部的となって塵埃の払い落としにムラが生じやすい。よって、目詰まりによる吸引力低下は完全には解消されない。また、フィルタケージを鋼線や鋼板等によって別途作製することで、コストアップにも繋がっている。
【0005】
そこで、本発明は、好適な集塵機能を維持できる集塵機を提供することを目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、上方が開口し、有底形状であって、吸込口を有するタンクと、前記タンクに固定される本体と、を有し、前記本体は、モータと、前記モータにより回転するファンと、を有し、前記タンクには、前記吸込口と前記本体との間を仕切り、収縮変形可能な第1のフィルタが配置されている集塵機であって、
前記第1のフィルタの中に、第2のフィルタと第3のフィルタとを配置し、前記第1のフィルタと前記第3のフィルタとの間に前記第2のフィルタを配置したことを特徴とするものである。
請求項2に記載の発明は、上方が開口し、有底形状であって、吸込口を有するタンクと、前記タンクに固定される本体と、を有し、前記本体は、モータと、前記モータにより回転するファンと、を有し、前記タンクには、前記吸込口と前記本体との間を仕切り、収縮変形可能な第1のフィルタが配置されている集塵機であって、
前記第1のフィルタの径方向内側に、第2のフィルタを配置し、前記第2のフィルタの径方向内側に、第3のフィルタを配置したことを特徴とするものである。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2の構成において、前記第2のフィルタは収縮可能であることを特徴とするものである。
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3の何れかの構成において、前記第1のフィルタの径方向外側に、前記吸込口が配置されていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、好適な集塵機能が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】集塵機の断面図である。
【図2】プレフィルタの説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、集塵機の一例を示す断面図で、集塵機1は、底部にキャスタ3,3・・を備えて上方を開口する有底円形状のタンク2と、そのタンク2の上方に載置され、モータ5及びファン6を備えた本体4とからなる。本体4は、タンク2の上部開口を閉塞するタンクカバー7と、そのタンクカバー7の上方に連結されるカウリング8とを有し、タンクカバー7の中央で下方に突設した筒状部9及びカウリング8との間でモータ5を、ファン6が下向きとなるように収容して、筒状部9の下面中央に形成した吸気口10から吸い込んだ空気を、通風路11を介してカウリング8の周縁下方に設けた排気口12から排出可能としている。さらに、本体4は、タンク2への載置状態で、タンク2の側面上方に設けた図示しないフックをタンクカバー7周縁に掛止させることで、タンク2に固定可能となっている。13は、タンク2の側面で吸込口を開口させ、吸引ホース等が接続可能な吸込筒、14は、タンク2の内側から吸込筒13に内挿され、吸込筒13に吸い込まれた空気をタンク2の底部側へ誘導するホルダである。
【0010】
一方、タンク2の上部開口には、一次フィルタとなるプレフィルタ15が装着されている。このプレフィルタ15は、図2に示すように、上部を開口し、下方へ行く程小径になるすり鉢状を呈する合成繊維(例えばポリエステル)製の有底袋体で、上部開口の周縁に設けたフック16をタンク2の上部開口に掛止させることで、タンク2内で本体4と吸込筒13との間を仕切可能となっている。また、プレフィルタ15には、繊維に親水性の帯電防止剤を付加する周知の帯電防止加工が施されている。
また、プレフィルタ15の内側でタンク2の上部開口には、二次フィルタとなるパウダフィルタ17が装着されている。このパウダフィルタ17も、下方へ行くに従って徐々に小径となる有底筒状の外形を呈し、上端のトッププレート18と、下端のボトムプレート19と、合成繊維(例えばポリエステル)を円筒状に折り曲げ形成して両プレート18,19間に配設されるフィルタ20とからなり、トッププレート18の周縁に設けたフック部21をプレフィルタ15のフック16の上からタンク2の上部開口に掛止させることで、プレフィルタ15の内部に突出して本体4と吸込筒13との間を仕切可能となっている。
【0011】
そして、22は弾性体としてのダンパで、所定の厚さ(ここでは10mm)で板状のポリウレタンスポンジからなり、プレフィルタ15の内側面に合わせた筒状に丸めてプレフィルタ15内に収容することで、プレフィルタ15の底部を除く内側面全体に亘ってパウダフィルタ17との間に介在されている。よって、プレフィルタ15は、運転停止状態では、ダンパ22の弾性によりすり鉢状に膨らむ形状に保持されることになる。
一方、タンクカバー7の筒状部9の下面には、補強部としてリング状のリブ23が、吸気口10との同心円上で下方に向けて突設されて、その下端をパウダフィルタ17のボトムプレート19に近接させている。
【0012】
以上の如く構成された集塵機1においては、本体4に設けられた図示しないスイッチをON操作すると、モータ5が駆動してファン6が回転する。すると、吸引ホース等を介して吸込筒13から吸い込まれた外部の空気がタンク2内に導かれ、プレフィルタ15及びダンパ22を通過してさらにパウダフィルタ17を通過した後、吸気口10から本体4内に進入し、通風路11を通って排気口12から外部へ排出される。この空気の流れによって、空気と共にタンク2内に吸い込まれた塵埃がまずプレフィルタ15に捕捉され、プレフィルタ15を通過した塵埃はさらにダンパ22に捕捉され、ダンパ22も通過した細かい塵埃がパウダフィルタ17に捕捉される。
この運転状態では、内側に吸気口10が位置するプレフィルタ15内が負圧となるため、プレフィルタ15は、パウダフィルタ17の外周へ張り付くように収縮変形し、両フィルタ15,17間に位置するダンパ22も収縮変形する。このプレフィルタ15及びダンパ22の変形によってパウダフィルタ17に外力が加わるが、タンクカバー7の筒状部9に突設したリブ23がボトムプレート19に当接し、パウダフィルタ17を内側から支えるため、フィルタ20の座屈や変形が防止される。
【0013】
そして、スイッチをOFFしてモータ5の駆動を停止させると、空気の流れが停止して負圧が解消され、ダンパ22が弾性力によって元の形状に復元する。このダンパ22の復元動作によってプレフィルタ15が内側から全周に亘って押されて外側へ膨らみ、元のすり鉢状に復帰する。このプレフィルタ15の動作により、プレフィルタ15の表面に付着していた塵埃が払い落とされることになる。特にここでは、プレフィルタ15に帯電防止加工が施されているため、塵埃の剥離性が向上して効果的に除去される。
【0014】
このように、上記形態の集塵機1によれば、プレフィルタ15とパウダフィルタ17との間に、ダンパ22を、プレフィルタ15の内側面を全周に亘って覆うように介在させたことで、運転/停止に伴うプレフィルタ15及びダンパ22の収縮/復元動作によってプレフィルタ15に付着した塵埃を万遍なく効率的に払い落とすことができる。よって、プレフィルタ15の目詰まりによる吸引力の低下が防止され、好適な集塵機能を維持可能となる。また、プレフィルタ15とパウダフィルタ17との間にダンパ22を介在させる簡単な構成であるため、コストアップも小さくて済む。さらに、ダンパ22もフィルタ機能を有することで、パウダフィルタ17への塵埃の付着が少なくなり、パウダフィルタ17のメンテナンスの頻度が減少して使い勝手が良くなる。
特にここでは、弾性体となるダンパ22に板状のスポンジを利用しているため、復元力が高い好適なダンパをより安価に得ることができる。
そして、本体4の筒状部9の下面に、パウダフィルタ17の内底面に近接するリブ23を突設したことで、運転時のパウダフィルタ17の座屈や変形が効果的に防止され、耐久性の向上が期待できる。
【0015】
なお、弾性体は、上記形態のようなスポンジに限らず、通気性を有する弾性体であれば、フェルト等の他の材質のものも使用可能で、材質によっては一次フィルタの底面を含む内周面全体を覆うように設けても良い。また、単一の弾性体に限らず、例えばスポンジとフェルト等の種類や性能が異なる弾性体を貼り合わせた多層構造も採用可能である。さらに、弾性体は一次フィルタの内面に貼り付けても良い。
一方、補強部は、上記形態のようなリング状のリブに限らず、二次フィルタの支持が可能であれば突起や突条を断続的に突設したりしても良い。勿論二次フィルタの剛性が高ければ補強部は省略して差し支えない。
【符号の説明】
【0016】
1・・集塵機、2・・タンク、4・・本体、5・・モータ、6・・ファン、7・・タンクカバー、9・・筒状部、10・・吸気口、13・・吸込筒、15・・プレフィルタ、17・・パウダフィルタ、18・・トッププレート、19・・ボトムプレート、20・・フィルタ、22・・ダンパ、23・・リブ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上方が開口し、有底形状であって、吸込口を有するタンクと、
前記タンクに固定される本体と、を有し、
前記本体は、モータと、前記モータにより回転するファンと、を有し、
前記タンクには、前記吸込口と前記本体との間を仕切り、収縮変形可能な第1のフィルタが配置されている集塵機であって、
前記第1のフィルタの中に、第2のフィルタと第3のフィルタとを配置し、
前記第1のフィルタと前記第3のフィルタとの間に前記第2のフィルタを配置したことを特徴とする集塵機。
【請求項2】
上方が開口し、有底形状であって、吸込口を有するタンクと、
前記タンクに固定される本体と、を有し、
前記本体は、モータと、前記モータにより回転するファンと、を有し、
前記タンクには、前記吸込口と前記本体との間を仕切り、収縮変形可能な第1のフィルタが配置されている集塵機であって、
前記第1のフィルタの径方向内側に、第2のフィルタを配置し、
前記第2のフィルタの径方向内側に、第3のフィルタを配置したことを特徴とする集塵機。
【請求項3】
前記第2のフィルタは収縮可能であることを特徴とする請求項1又は2に記載の集塵機。
【請求項4】
前記第1のフィルタの径方向外側に、前記吸込口が配置されていることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の集塵機。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−52390(P2013−52390A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−242024(P2012−242024)
【出願日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【分割の表示】特願2012−200683(P2012−200683)の分割
【原出願日】平成17年7月12日(2005.7.12)
【出願人】(000137292)株式会社マキタ (1,210)
【Fターム(参考)】