説明

集塵空気調和システム

【課題】厨房等から排出される汚染空気を、高い集塵効率、殺菌作用、及び脱臭作用によって処理し、高い熱量の除去済空気を空気調和に有効利用することが可能な集塵空気調和システムの提供を課題とする。
【解決手段】調和システム1は、汚染空気4を吸気し、電気集塵処理、殺菌処理、及び脱臭処理の各処理を行い、当該汚染空気4から微粒子5、細菌成分6、及び臭気成分7を除去し、清浄化した乾燥状態の除去済空気8を排出する浄化装置2と、除去済空気8と外気9との熱交換処理を行う全熱交換器10を有する空気調和設備11とを主に具備する。浄化装置2は、ハウジング15、集塵殺菌部16、脱臭部17、及び気流発生部18を有し、集塵殺菌部16の放電部31によって発生させたコロナ放電によってプラズマ環境下を創生し、汚染空気4に含まれる微粒子5の荷電と細菌成分6の殺菌処理を同時に行うことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、集塵空気調和システムに関するものであり、特に、集塵、殺菌、脱臭、省エネルギー化の4つの機能を複合的に備え、高熱量の汚染空気を浄化し、その後熱交換処理をすることが可能な集塵空気調和システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、工場等で各種製品の機械加工等の製造時にオイルミスト、ダスト、油煙、及び煤煙等の浮遊粒子状物質(微粒子)を含む汚染空気が大気中或いは工場室内に飛散することがある。この浮遊粒子状物質の中には、工場内環境を悪化させ、製品の品質に直接影響を与えるものや、工場の作業者の健康状態に影響を与える危険性を有するものがある。さらに、大気中に放出した場合、酸性物質の放出による酸性雨の増加や二酸化炭素排出量の増加による地球温暖化の影響等の自然環境(地球環境)に甚大な影響を及ぼす可能性のあるものが含まれている。そのため、これらの汚染空気については、固体または液体のかかる浮遊粒子状物質を大気等に放出する前に浄化処理(集塵処理)を行い、国または各地方自治体で制定されたそれぞれの成分についての基準値以下に調製した上で、大気等に放出することが行われている。また、工場内環境を良好に保つために、工場内空気の換気を強制的に行い、外部の新鮮な空気を常に室内に導入することも頻繁に行われている。
【0003】
一方、上述のような大量の浮遊粒子状物質を一箇所から排出する以外にも、日常生活の中で浮遊粒子状物質が排出されることがある。例えば、自動車から排出される排気ガスには、窒素酸化物や二酸化炭素等の自然環境に対する影響を及ぼすガス成分が含まれている。加えて、飲食店等の商業施設からは、調理時に発生する油煙や厨房臭等が常に排出されている。特に、近年の食生活習慣の変化から、深夜営業や24時間営業を行うファーストフードチェーンが増加し、係る油煙等が一日中垂れ流しになっているケースもあり、一日当たりの一店舗から排出される汚染空気の量は膨大なものである。しかしながら、これについての規制は、上記工場等に比べると比較的緩和されたものであり、厳格な排出基準について規定されていることはほとんどなかった。ここで、調理時等に発生する油煙等の汚染空気は、フライ物を揚げた際に発生したり、或いは焼き肉店等において客が客席に設置されたロースターで食材(肉、野菜等)を焼いた際に発生する煙等が含まれている。すなわち、工場等で発生した汚染空気に比べ、比較的温度が高い(換言すれば、熱量が高い)、高エネルギーの状態のものである。しかしながら、これらの高熱量の汚染空気は、従来はフィルター等の簡易的な集塵処理を行った後、大気に放出されることが多く、高熱量のエネルギーを無駄に大気中に放出していることになっていた。
【0004】
これらの厨房等から発生した汚染空気に含まれる臭気成分によって、当該飲食店の近隣住民からクレームが発生することが近年において特に増加している。例えば、年間2万件程度の悪臭公害の被害の訴えがある中で、実に約70%以上がこれらの飲食店からの臭気成分が原因であるとの報告もなされている。そのため、飲食店にとっては、これらの近隣住民等の間のトラブルを未然に防止するために、排出する汚染空気について油煙等を除去する集塵処理及び臭気成分を除去する脱臭処理を施した上で、大気中に放出する対策を検討する場合も多かった。さらに、近年増加している複合型大型商業施設の中には、多数の飲食店等が集積し、当該施設内にこれらの排気を放出することはできないものである。そのため、各飲食店毎に大型のダクトを設置し、当該ダクトを通して上記汚染空気を吸引し、脱臭等の処理を行った上で屋上などから施設外に排出することを行っていた。そのため、これらの排出に要するエネルギーが大きなものとなることがあった。
【0005】
一方、上記飲食店等の商業施設及び工場等の各種製造施設では、汚染空気を排出する排気設備の他に、施設内環境を良好なものとするために、温度や湿度等の施設内環境を維持するための空気調和設備(エアコンディショナ)をそれぞれ有している。そして、排気設備及び空気調和設備をそれぞれ独立して稼働させている。この場合、焼き肉店のような多量の油煙が発生する店舗では、比較的小規模な店舗でも年間で3000万〜6000万立方メートルの空気を外気から導入し、熱交換処理後に外部に放出することを行っている。その結果、1時間当たりで実に15回程度の換算で換気処理を行っており、これらの排出量は年々増加する傾向にある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述したように、浮遊粒子状物質等を含む汚染空気を清浄化する処理に係る装置(集塵装置、浄化装置等)と、施設内環境を維持するための空気調和設備とは、それぞれ個別に設置されるものであり、両装置を互いに連携させて浄化及び空気調和を一体化するシステムはほとんど存在していなかった。ここで、汚染空気に含まれるオイルミスト等を従来型のフィルタ方式(濾過方式)の集塵装置を利用して処理した場合であっても、その集塵効率はあまり高くないことがあり、さらにこれらの集塵効率は集塵時間(集塵装置の稼働時間)に応じて徐々に低下することがあった。したがって、長時間稼働後の集塵装置から排出される空気には、浮遊粒子状物質等の微粒子が残存している可能性がった。一方、空気調和設備は、オフィス等の比較的清浄な空気を想定して取り入れるものであり、吸気口に取付けられた空気透過性のフィルタ等の簡易な濾過機能しか有していないことがほとんどであった。そのため、集塵効率の低下した除去済空気を空気調和設備に直結して処理することは、係るフィルタ等の目詰まりを発生させたり、空気調和設備自体の故障や不良発生の要因となる可能性が高く、従来においてはこのようなシステムは全く行われていなかった。
【0007】
一方、厨房等から排出される汚染空気は、上述したように調理時の熱によって比較的高い熱量を有する場合が多く、浄化処理後にそのまま大気中に放出することは、エネルギーを無駄に消費することになった。さらに、近年において都市部で問題となっている所謂「ヒートアイランド現象」の要因の一つになることがあった。そのため、係る熱量を空気調和の際に有効的に活用することを期待する声が大きかった。
【0008】
さらに、汚染空気の中には、各種雑菌が含まれている場合もあり、これらが繁殖することによって悪臭を発生させる可能性があった。そのため、係る雑菌(細菌成分)を死滅させる殺菌処理、及び悪臭の要因となる臭気成分を除去するための脱臭処理を併せて行うことを可能とするシステムが期待されていた。
【0009】
そこで、本発明は上記実情に鑑み、工場等の生産施設や飲食店等の商業施設から発生する浮遊粒子状物質等を含む高い熱量の汚染空気を、集塵、殺菌、脱臭処理するとともに、除去済空気の熱量を有効的に利用して施設内空気の空気調和のために使用可能な集塵空気調和システムの提供を課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するため、本発明の集塵空気調和システムは、「内部に空気通路の形成されたハウジング、前記ハウジングの前記空気通路に気流を発生させる気流発生手段、発生した前記気流によって前記ハウジング内に吸気された汚染空気に含まれる微粒子をコロナ放電を利用して荷電する放電手段、及び荷電された前記微粒子をクーロン力を利用して捕集する捕集手段を備える電気集塵手段と、前記汚染空気または前記電気集塵手段によって前記微粒子の除去された微粒子除去済空気をプラズマ環境下に流通させ、細菌成分を除去するプラズマ殺菌手段と、前記プラズマ殺菌手段の下流側に設けられ、前記細菌成分の除去された殺菌済空気に含まれる臭気成分を脱臭する脱臭手段と、前記脱臭手段の下流側に設けられ、前記臭気成分の脱臭された除去済空気を全熱交換器を通して熱交換させ、空気調和に利用する空気調和手段と」を具備して主に構成されている。
【0011】
ここで、電気集塵手段とは、放電手段によってコロナ放電を発生させ、処理対象の汚染空気をコロナ放電下に通過させることによって、汚染空気中に含まれる微粒子を電気的に荷電し、さらに電気的に絶縁され、対極となるように設定されたプレート等の捕集手段で捕集するものである。ここで、本願出願人は、これらの新規構造を有する電気集塵器の構成について既に多数の特許出願を行っている(例えば、特許文献1乃至特許文献3参照)。これにより、回転軸に従って軸回転する吸着プレートのプレート面に荷電された微粒子をクーロン力の作用によって吸着させ、電気的に捕集することが可能となる。係る回転する吸着プレートによってプレート面に満遍なく微粒子が付着することとなり、一箇所に局所的に付着したことによりクーロン力の作用低下を抑制することができる。これにより、高い集塵効率を長時間に亘って維持することが可能となり、電気集塵手段の下流側に設置された空気調和手段に対し、不良発生のおそれがないクリーンな空気(除去済空気)を送出することができる。その結果、電気集塵手段及び空気調和手段を直に連結することができる。
【0012】
一方、プラズマ殺菌手段とは、物質が高イオン化し、正電荷の粒子と負電荷の電子が電離した状態で分布し、全体として当該領域が電気的中性に保たれたプラズマ状態を安定的に創生し、プラズマ状態の領域(プラズマ環境下)に汚染空気等を通過させることにより、プラズマ作用によって細菌成分を瞬間的に死滅させることが可能なものである。なお、プラズマ殺菌手段は、電気集塵手段の上流側または下流側、或いは電気集塵手段と一体的(詳細は後述する)のいずれかに設置されるもので構わない。ここで、プラズマの発生は、周知の技術及び構成を採用することが可能であり、ここでは詳細な説明を省略する。例えば、電気的に相対する各極の間に高電圧を付与し、グロー放電の状態を創り出すものが示される。この物質が高イオン化した状態を細菌成分が通過することにより、高エネルギー状態に晒された細菌成分(微生物)は電気的作用によって死滅することとなる。
【0013】
また、脱臭手段とは、燃焼法、吸着法、水スクラバー法、スプレー法、オゾン脱臭法等の周知の手法を採用し、臭気成分を除去することが可能である。ここで、活性炭の微細孔に臭気成分を吸着させる吸着法を採用した場合、長期間に亘って脱臭処理を継続することにより、臭気成分で微細孔が目詰まりを起こす可能性がある。その結果、脱臭性能が低下する。このため、上記の電気集塵手段及びプラズマ殺菌手段によって高集塵効率及び高殺菌性を得ることができたとしても、その下流側に設けられた脱臭手段での脱臭性能が低くなった場合、さらに下流側に連結して設けられた空気調和手段にクリーンな空気を供給することが困難なり、故障発生の要因となる。そのため、係る脱臭手段についても長期間に亘って安定して脱臭性能を維持することが可能な性能を有するものを使用する必要がある。
【0014】
さらに、空気調和手段とは、各施設において一般的に使用されている既存の空気調和設備(エアコンディショナ)を利用することが可能であり、全熱交換器によって脱臭手段から導出された除去済空気と外部から取り入れた大気と熱交換をすることにより、空気調和に使用することができる。係る空気調和手段の処理は、周知技術を利用することができるため、ここでは詳細な説明を省略する。ここで、除去済空気は熱交換処理後には、その大部分が大気中に放出されるものの、一部は熱交換処理後の外気(給気)と再び合流し、空気調和設備本体に導入され、施設内に対し温度管理された状態で供給される。すなわち、油煙等の汚染空気を清浄化し、再び室内空気として循環させることが可能となっている。
【0015】
したがって、本発明の集塵空気調和システムによれば、オイルミスト等の固体または液体の多量の浮遊粒子状物質(微粒子)を含む汚染空気を電気集塵手段でクーロン力を利用して微粒子を除去し、プラズマ環境下で細菌成分を死滅させ、脱臭手段で臭気成分を除去し、全熱交換器で高い熱量を有する除去済空気を熱交換処理することにより、空気調和に循環させて利用することが可能となる。これにより、厨房等で発生した汚染空気の熱量を空気調和に利用することが可能となり、空気調和手段(設備)の負担を軽減することができる。そのため、集塵、殺菌、脱臭、及び省エネルギーの四つの機能を奏する複合的な集塵空気調和システムが構築される。特に、電気集塵手段を利用することにより、高集塵効率を長時間に亘って安定して保つことができるため、従来は困難であった浄化装置(集塵、殺菌、脱臭機能)と全熱交換機(熱交換機能)とを直に接続することが可能となる。
【0016】
さらに、本発明の集塵空気調和システムは、上記構成に加え、「前記電気集塵手段及び前記プラズマ殺菌手段は、一体的に形成され、前記微粒子を荷電する前記コロナ放電によって前記プラズマ環境が生成される」ものであっても構わない。
【0017】
したがって、本発明の集塵空気調和システムによれば、プラズマ殺菌手段と一体的に形成された電気集塵手段の放電手段によって発生するコロナ放電からプラズマ環境が生成される。そのため、汚染空気中の微粒子を荷電するとともに、汚染空気(微粒子除去済空気を含有)に含まれる細菌成分をプラズマの作用を利用して荷電とほぼ同一のタイミングで殺菌処理することが可能となる。これにより、荷電及び殺菌による処理を行う装置をコンパクトに形成することが可能となり、複合型大型商業施設にテナントとして入る飲食店等であっても本発明の集塵空気調和システムを採用することが可能となる。
【0018】
さらに、本発明の集塵空気調和システムは、上記構成に加え、「前記プラズマ殺菌手段は、前記プラズマ環境下で酸化分解性を有するオゾンガスを発生させ、前記脱臭手段は、前記空気通路の上流側で発生した前記オゾンガスを利用し、吸着性能を長寿命化する長寿命化手段を」具備するものであっても構わない。
【0019】
したがって、本発明の集塵空気調和システムによれば、プラズマ殺菌手段によってプラズマ環境下で発生するオゾンガスを利用し、当該オゾンガスの酸化分解性能によって脱臭手段(特に、脱臭材)の長寿命化を図ることができる。すなわち、プラズマ環境下では、物質が高イオン化した状態で、通常オゾンガスが発生する。係るオゾンガスは、細菌成分の死滅した殺菌済空気とともに下流側の脱臭手段に到達することになる。このとき、脱臭材として活性炭を採用し、微細孔に臭気成分を吸着させて脱臭を行っているケースでは、当該脱臭材の微細孔に到達したオゾンガスによって臭気成分が酸化分解する。そのため、活性炭等の吸着による脱臭性能とオゾンガスの酸化分解性能とが相乗的な効果(シナジー効果)を生み出すこととなり、脱臭材の微細孔に臭気成分が吸着する可能性が低くなる。その結果、脱臭手段の長寿命化が図られる。
【0020】
さらに、本発明の集塵空気調和システムは、上記構成に加え、「前記電気集塵手段は、前記吸着プレートに付着した前記微粒子を洗浄する洗浄手段を」具備するものであっても構わない。
【0021】
したがって、本発明の集塵空気調和システムによれば、微粒子の捕集される吸着プレートを洗浄する洗浄手段により、電気集塵手段の稼働停止時間を可能な限り少なくして、安定した汚染空気の浄化処理を行うことが可能となる。
【0022】
さらに、本発明の集塵空気調和システムは、上記構成に加え、「飲食店の厨房設備または客席から発生した油煙及び調理臭を含む高熱量の前記汚染空気を対象として処理する」であっても構わない。
【0023】
したがって、本発明の浄化環境システムによれば、特に飲食店の厨房設備から排出された汚染空気を対象とすることができる。これにより、油煙及び厨房臭を含む汚染空気を処理して大気中に排出可能とするとともに、飲食店の施設内の空気調和に汚染空気の熱量を循環して利用することが可能となる。これにより、一箇所の飲食店に対して汚染空気の除去及び排気、空気調和設備での利用が可能となる。
【発明の効果】
【0024】
本発明の効果として、集塵、殺菌、脱臭、及び省エネルギーの各機能をそれぞれ段階的に実行することにより、特に、高い熱量を有する汚染空気を効果的に処理し、熱量の高い状態で空気調和に係る処理を行うことが可能となる。その結果、従来は単に排出のみを行っていた飲食店等であっても汚染空気を利用して空気調和に循環させることが可能となり、省エネルギー化を図ることができる。特に、高い集塵性能を長時間維持することが可能な電気集塵手段、及びプラズマ殺菌手段によって発生したオゾンガスを利用して脱臭材の吸着性能を長時間維持することの可能な脱臭手段を係る順序で構成することにより、汚染空気の微粒子、細菌成分、臭気成分を効率的に除去することが可能となる。その結果、下流側の熱交換手段の全熱交換器が故障するおそれがなく、安定した処理が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本実施形態の集塵空気調和システムの概略構成を示す説明図である。
【図2】浄化装置集塵殺菌部の構成を示す拡大説明図である。
【図3】浄化装置による(a)燻煙粒子の集塵効率、(b)燻煙粒子数、(c)臭気濃度の各データを示す図表である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の一実施形態である集塵空気調和システム1(以下、単に「調和システム1」と称す)について、図1乃至図3に基づいて説明する。ここで、図1は本実施形態の調和システム1の概略構成を示す説明図であり、図2は浄化装置の集塵殺菌部16の構成を示す拡大説明図であり、図3は浄化装置2による(a)燻煙粒子の集塵効率、(b)燻煙粒子数、(c)臭気濃度の各データを示す図表である。ここで、本実施形態の調和システム1は、主に飲食店等に設置され、調理の際に厨房から発生する油煙や厨房臭等を含む汚染空気4を処理し、飲食店内の空気調和に利用するものについて例示するものとする。
【0027】
本実施形態の調和システム1は、図1及び図2に主として示されるように、飲食店の厨房で発生する油煙や臭気成分を含む汚染空気4を吸引して内部に取入れ、コロナ放電を利用した電気集塵処理、プラズマ殺菌を利用した殺菌処理、及び吸着性及び長寿命化された脱臭材を利用した脱臭処理の各処理を順次実施し、当該汚染空気4から固体または液体の微粒子5、細菌成分6、及び臭気成分7をそれぞれ除去し、清浄化し、かつ乾燥状態にある除去済空気8を排出可能な浄化装置2と、浄化装置2の下流側に除去済空気8を導出する導出管3を介して連結され、排出された除去済空気8の熱量と外部から取り入れた外気9との間で熱交換処理を行う全熱交換器10を備え、熱交換処理後の外気9及び除去済空気8の中の一部の空気(循環空気8a)を利用し、飲食店等の室内温度の調整に係る空気調和を実施するための空気調和設備11とを具備して主に構成されている。ここで、浄化装置2が本発明における電気集塵手段、プラズマ殺菌手段、及び脱臭手段の各機能を奏する構成に相当し、一方、全熱交換器10を含む空気調和設備11が本発明における空気調和手段に相当している。
【0028】
さらに、具体的に説明すると、浄化装置2は、図1及び図2に示すように、厨房等から排出された微粒子5等を多量に含む汚染空気4を吸気する吸気口12及び浄化処理された除去済空気8を排出する排気口13を有し、吸気口12及び排気口13を連通する空気通路14が内部に形成された略直方体形状のステンレス製筐体のハウジング15と、ハウジング15の上流側(吸気口12側)の空気通路14を略閉塞するように設けられた集塵殺菌部16と、ハウジング15の下流側(集塵殺菌部16の下流であって排気口13の近傍に相当)に設けられ、空気通路14を略閉塞するように脱臭材が配された脱臭部17とを具備して構成されている。
【0029】
さらに、ハウジング15の内部の空気通路14を吸気口12から吸気された汚染空気4が流通するように、空気通路14内での空気の流れ(気流)を発生させるための気流発生部18に係る構成を有している。ここで、気流発生部18は、脱臭部17の下流側に排気口13と並設され、空気通路14内に突出した回転ファン19を用い、ハウジング15の側方に一部を突き出した駆動用モータ20の回転駆動力を利用し、当該回転ファン19を高速で回転させることにより、空気通路14内に気流を発生させることができる。ここで、ハウジング15及び気流発生部18(気流発生手段)は、浄化装置2の電気集塵手段の一構成として形成され、その中にプラズマ殺菌手段及び脱臭手段を包含し、一体的に形成されている。なお、電気集塵手段、プラズマ殺菌手段、及び脱臭手段の各機能について、それぞれ単独の装置として形成し、これらを順次連結するものであっても構わないが、脱臭処理は電気集塵処理または殺菌処理の後に必ず実施する必要がある。
【0030】
集塵殺菌部16は、空気通路14の幅方向(図1及び図2の紙面前後方向に相当)にわたって横架し、回転可能に軸支された略棒状の吸着軸21、互いの吸着面22をそれぞれ対向させ、所定の間隔で離間させた状態で円心が吸着軸21が貫通するようにして取設された円板状の複数の吸着プレート23、及びハウジング15に軸支された吸着軸21の一方の軸端とギア等の駆動伝達機構(図示しない)を介して接続され、全ての吸着プレート23を吸着軸21に従って協働して回転可能な回転力を発生させる回転用モータ(図示しない)を備える捕集部24(捕集手段に相当)と、捕集部24に対して電気的に絶縁された状態で空気通路14の幅方向にわたって横架され、放電電圧を供給するそれぞれ一対の放電軸25a及び荷電プレート支持軸25bによって、放電面26を吸着プレート23の吸着面22に対向するように近接した状態で互いの吸着プレート23の間に挿入された状態で指示された略矩形状を呈する複数の荷電プレート27と、荷電プレート27の吸気口対向縁28から吸気口12に向かって先端部分の尖鋭端部29が放射状に突設された複数の放電電極部30を有する放電部31(放電手段に相当)と、放電部31の放電軸25aと電気的に接続され、尖鋭端部29から高電圧によるコロナ放電を発生させることが可能な放電電圧供給部(図示しない)と、空気通路14の内側上方に設けられ、吸着プレート23の吸着面22に対してそれぞれ洗浄液32をスプレー状にして噴霧可能に噴射口33を向けて取設された噴射ノズル34、噴射ノズル34と接続され、洗浄液32を供給する供給ホース35、及びハウジング15の外部に設けられ、噴霧する洗浄液32を一時的に貯留する洗浄液タンク36、及び貯留された洗浄液32を噴射ノズル34まで供給し、空気圧を利用して噴霧するためのエアーポンプ37を有する吸着面洗浄部38(洗浄手段に相当)と、気流発生部18、捕集部31、放電部31、及び吸着面洗浄部38等とそれぞれ電気的に接続され、各構成を制御する制御部(図示しない)とを主に具備して構成されている。
【0031】
なお、集塵殺菌部16における放電部31は、コロナ放電を発生させることが可能であり、係る高電圧のコロナ放電によって空気通路14にはプラズマ環境が創生されることになる。そのため、空気通路14を通過する汚染空気4は、微粒子5に対する荷電と同時に、プラズマによる細菌成分6の殺菌処理を行うことができる。すなわち、集塵殺菌部16(特に放電部31)は本発明におけるプラズマ殺菌手段としての機能を有し、汚染空気4に対する殺菌効果を奏することができる。
【0032】
また、集塵殺菌部16の下流側には、脱臭部17が当該空気通路14を略閉塞した状態で設置されている。具体的に説明すると、集塵殺菌部16を通過し、電気集塵処理及び殺菌処理の済んだ殺菌済空気39に含まれる臭気成分7を除去するために、脱臭部17はハニカム構造を呈して構成された微細孔を有する活性炭を主成分とする脱臭材によって主に構成されている。ここで、脱臭部17は、例えば、100mm×100mm×200mmで構成されたハニカム構造の触媒フィルターとして利用することが可能であり、活性炭の微細孔に臭気成分7を200mmの厚さのフィルターによってほとんどを吸着することができるようになっている。なお、上流側の集塵殺菌部16の放電部31によって発生したコロナ放電によりプラズマ環境が生成されることにより、同時にオゾンガス40が発生し、気流に沿って当該オゾンガス40が脱臭部17まで導かれることになる。そして、このオゾンガス40は、活性炭の微細孔に吸着する。ここで、酸化分解性を有するオゾンガス40が微細孔に到達することにより、吸着された臭気成分7を化学的作用によって分解することが可能となる。その結果、脱臭部17は微細孔の臭気成分7の吸着による目詰まりが発生することが少なくなり、良好な脱臭性能を長期間にわたって維持することができる、換言すれば、長寿命化を図ることができる。
【0033】
さらに、空気調和設備11は、図1等に示すように、浄化装置2の排気口13と導出管3を介して全熱交換器10と接続され、全熱交換器10によって外部から導入された外気9と排気口13から送出された除去済空気8の間で熱交換処理を行い、その後、除去済空気8は主に排気として外部(大気)に放出されるものである。一方、外部から導入された、熱交換処理後の外気9は、空調本体41に導入され、飲食店の室内の空気調和を行うために利用される。なお、大気に放出される熱交換処理後の除去済空気8の一部は、処理後の空気9と合流し、空調本体41に導入される。
【0034】
次に、本実施形態の調和システム1を使用した汚染空気4の浄化処理及び空気調和処理の一例について具体的に説明する。まず、浄化装置2及び空気調和設備11を稼働し、制御部によって気流発生部18の駆動用モータ20を駆動する。これにより、駆動用モータ20に接続された空気通路14内の回転ファン19が高速で回転する。その結果、空気通路14内に空気の流れ(気流)が発生する。係る気流の発生によって、浄化装置2の吸気口12から周囲の汚染空気4を吸込む力が作用する。これにより、ハウジング15の空気通路14内に汚染空気4が取込まれる。
【0035】
このとき、吸気口12の近傍には、荷電プレート27の吸気口対向縁28に複数の尖鋭端部29を有する放電電極部30が放射状に設けられている。そして、当該放電電極部30に接続した放電電圧供給部から高電圧が供給されることにより、コロナ放電が発生している。すなわち、吸気口12から吸引された汚染空気4は係るコロナ放電の照射を受けることとなる。コロナ放電の照射を受けた汚染空気4に含まれる油煙やダスト等の固体または液体の浮遊粒状物質からなる微粒子5は荷電されることになる。そして、電気的に対極となる吸着プレート23の吸着面22にクーロン力によって吸着されることとなる。このとき、各吸着プレート23の間には、荷電された微粒子5と電気的に同位に設定された荷電プレート27が挿入されている。そのため、荷電プレート27に近接した微粒子5は、クーロン力によって反発し、吸着プレート23側に強制的に送られる。このため、吸着プレート23で確実に捕集されることになる。
【0036】
ここで、放電部31によって発生したコロナ放電は、高電圧による放電現象である。そのため、コロナ放電の領域は、物質が高イオン化し、正電荷及び負電荷による電気的に中性のプラズマ状態(プラズマ環境)が創生されていることになる。これにより、上記の微粒子5の荷電とともに、汚染空気4に含まれる細菌成分6を死滅させるプラズマ殺菌として作用することになる。その結果、汚染空気4は殺菌される。すなわち、集塵殺菌部16によって微粒子5及び細菌成分6の除去された殺菌済空気39が生成されることになる。なお、本実施形態の場合、コロナ放電の照射を受けた瞬間に殺菌処理がなされ、その後、回転する吸着プレート23に捕集される。そのため、殺菌処理の後に電気集塵処理を行うものであるが、係る順序はどちらであっても構わない。
【0037】
なお、本実施形態の浄化装置2における集塵殺菌部16には、微粒子5が吸着した吸着プレート23の吸着面22を洗浄する吸着面洗浄部38が設けられている。ここで、クーロン力を利用して荷電された微粒子5を捕集するため、荷電された微粒子5と吸着プレート23(吸着面22)との間の電位差は大きな方が高い吸着性能を得られることは当然である。しかしながら、長期間にわたって捕集を行うことにより、吸着面22に捕集された微粒子5がこびりつき、これが絶縁物質として吸着面22への捕集性能が低下することがある。
【0038】
そこで、吸着面洗浄部38を利用して洗浄処理が行われる。洗浄の方法の一例について説明すると、洗浄液タンク36に40℃程度の温水を投入し、洗浄液32が1%の濃度になるように洗浄剤を適量投入する。そして、制御部を介して供給ポンプ37のスイッチをオンにすることにより、空気通路14の内部上方に設置され、各吸着プレート23に対して噴射口33がそれぞれ向けられた噴射ノズル34から所定液量(例えば、約24リットル/分)の洗浄液32を所定時間(例えば、30分間)噴射する。このとき、吸着プレート23は回転用モータによって吸着軸21に従って軸回転を行っている。これにより、洗浄液32が吸着面22に満遍なく噴射されることになる。その後、洗浄液32の噴射を停止した後、吸着プレート23の軸回転を5分間継続する。これにより、遠心力によって吸着面22の洗浄液32及び微粒子5が吸着プレート23のプレート端から空気通路14に飛散する。その結果、吸着面22が洗浄される。なお、空気通路14に飛散した洗浄液32及び液体成分を多く含む微粒子5は、自重によって空気通路14の通路底(図示しない)に落下し、その後ドレン(図示しない)を介して、ハウジング15の外部に放出される。そのため、脱臭部17に係る洗浄液32等が到達することはない。
【0039】
そして、ハウジング15内の空気通路14及び集塵殺菌部16の乾燥を行う。さらに、ウォームアップ運転を行い、放電部31の放電電極部30に高電圧を与える。これにより、コロナ放電によって高圧状態を一時的に生成することにより、捕集部24及び放電部31に残存する洗浄液32をコロナ放電によって乾燥させることができる。これにより、洗浄が完了する。なお、洗浄液32の噴霧からウォームアップ運転の完了まで、上記の場合約44分で完了する。そのため、例えば、24時間稼働後は、上記の洗浄作業を行うことにより、常に高い集塵効率を長期間に亘って維持することができる。
【0040】
その後、殺菌済空気39は、プラズマ環境下を創生した際に発生したオゾンガス40の一部とともに脱臭部17に到達する。これにより、殺菌済空気39の中の臭気成分7が脱臭部17に吸着し、脱臭される。なお、オゾンガス40による酸化分解性を利用した作用は既に説明したため、ここでは説明を省略する。これにより、脱臭部17の吸着性能が低下することなく、長時間にわたって脱臭処理をすることができる。その結果、浄化装置2の上流側で汚染空気4中の微粒子5及び細菌成分6をほぼ完全に除去し、さらに、脱臭部17によって臭気成分7を除去することができる。したがって、浄化装置2の排気口2から排出される除去済空気8は、さらに下流側の全熱交換器10に導入できる程度の十分に高い清浄度を有していることになる。
【0041】
本実施形態の調和システム1における浄化装置2の集塵効率及び脱臭性能について、サクラチップの燻煙を処理した場合の具体例について説明する。これによると、吸気口12の近傍の燻煙濃度(入口濃度)及び排気口13の近傍の燻煙濃度(出口濃度)を、ピエゾバランス粉塵計(KANOMAX製)を用いて測定した結果を図3(a)に示す。これによると、6回の測定を行った結果、その集塵効率は平均で99.84%を示し、非常に高いものであった。さらに、パーティクルカウンター(MODEL 3886:KANOMAX製)を使用した燻煙粒子数を計測した結果、0.3μmの燻煙粒子サイズのものが、入口負荷で35,115,000個/立方メートル存在したものが、集塵処理後には56183個/立方メートル、0.5μmの燻煙粒子サイズのものが、入口負荷で18,307,000個/立方メートル存在したものが、集塵処理後には29290個/立方メートルに劇的に減少していることが確認された(図3(b)参照)。さらに、臭いセンサ(新コスモス電機製)を利用した臭気濃度を測定した結果、脱臭後の臭気濃度は“188”を示し、目標値の300以下を大きくクリアしていた(図3(c)参照)。これにより、本実施形態における浄化装置2は、優れた集塵効率及び脱臭性能を有することが示された。特に、吸着面洗浄部38による短時間での洗浄及び再稼働が可能となり、浄化装置2の稼働停止時間を短縮することができ、プラズマ環境下で発生したオゾンガス40を利用することにより、脱臭部17の脱臭材の吸着性能を長寿命化させることができる。そのため、24時間営業の飲食店のような長期間に亘って浄化装置2を稼働させる必要がある箇所に、本実施形態における浄化装置2を採用することは特に好適であると解される。
【0042】
ここで、厨房等から発生した油煙を含む汚染空気4は、比較的温度が高い状態にあり、上記の各処理を経た場合であっても、依然として高い熱量を有している。そのため、係る熱量を有効に活用するため、本実施形態のシステム2は、除去済空気8を空気調和設備11の全熱交換器10に導入している。係る全熱交換機10は、既存の空調設備等において使用されているものである。
【0043】
これにより、浄化装置2によって浄化処理された除去済空気8を全熱交換器10を通して熱交換処理をすることにより、空調本体41を介して室内の空気調和が行われる。その結果、従来は放出していたエネルギー(汚染空気4の熱量)を無駄にすることがなく、室内環境を改善するために利用することが可能となる。図1に示示すように、全熱交換機10によって処理された除去済空気8は、室外にそのまま放出するものであっても、熱交換された空気と合流し、空調本体41に導入されるものであっても、さらにそのまま室内に放出するもの(図1における破線矢印参照)であっても構わない。
【0044】
以上説明したように、本実施形態の調和システム1によれば、浄化装置2によって高い集塵効率を長期間によって維持し、プラズマ殺菌処理を行い、プラズマ環境下で発生したオゾンガス40を利用して脱臭材の吸着性能を長寿命化することにより、清浄化度の高い除去済空気8を安定的に生成し、さらに熱量の高い除去済空気8を利用して熱交換を行うことができる。その結果、飲食店等における室内環境を良好に改善することができる。
【0045】
すなわち、近年の飲食店の厨房等は、浄化装置2と室内用の空調設備とがそれぞれ別個に設置され、両者を連結して使用することは皆無であったものを改善し、省エネルギー化及び二酸化炭素の排出量の削減を可能とするものである。さらに、焼き肉店等の場合、各座席毎に無煙ロースター等を設置し、肉等を調理するために数100℃に保持することが可能な熱源をそれぞれ有している。そして、発生源からの油煙や臭い等の拡散を防止するために、ロースター周辺の空気と一緒に高温の油煙等の汚染空気4を強制的に吸引ファンによって吸引している。すなわち、室内の環境を維持するために排出される空気調和設備によって供給される温風温度(暖房の場合)よりもはるかに高温の温風(熱風)を吸引し、所定の処理後に外気に排気することを行っている。特に、冬場の季節には、店内の設定温度よりも暖かい空気を常に排気し続けていることになる。そのため、係る熱量を有効に供給することが本実施形態の調和システム1により可能となり、消費電力を低減し、環境対策に貢献することができる。
【0046】
一方、製品を製造する機械加工工場等の大規模な工場内空間を対象とするものであっても上記効果を享受することができる。すなわち、機械加工時等において、鉱物油の切削油や水溶性の潤滑添加剤・防さび剤・防腐剤等の種々の添加剤を利用することがあり、工場内空間にこれらの微細な粒状物質が浮遊していることがある。そのため、局所的にこれらの発生を抑えたりする等の対策が施されているものの、対策にかけるコストに対して効果があまり上がっていないことがあった。さらに、工場内空気を換気することもあり、多量の二酸化炭素を垂れ流している状態といえることもあった。そこで、本発明の調和システム1を採用することにより、環境対策に対する大きな貢献をすることができる。
【0047】
以上、本発明について好適な実施形態を挙げて説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、以下に示すように、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改良及び設計の変更が可能である。
【0048】
すなわち、本実施形態の調和システム1において、電気集塵、殺菌、及び脱臭の各処理を実施するものとして一体的に形成された浄化装置2を用いるものを示したがこれに限定されるものではなく、各処理を実施する構成をそれぞれ別個に構築したものであっても構わない。しかしながら、飲食店等の小規模空間に設置する場合、当該空間の占有スペースを可能な限り小さくすることが好ましいため、実施形態で示したように、一体的にコンパクトな浄化装置2を構築することが好ましい。
【0049】
さらに、プラズマ殺菌手段として、電気集塵手段のコロナ放電を利用するものを示したがこれに限定されるものではなく、その他のプラズマ環境を生成可能な手法を用いることも可能である。このとき、プラズマ殺菌手段及び電気集塵手段はいずれが先であっても構わない。しかしながら、空気通路14内を可能な限り汚れを少なくするためには、荷電を先に実行、または荷電と殺菌を同時に実行することが好適であると思われる。
【0050】
加えて、浄化装置2において、活性炭を脱臭材として利用した触媒作用を有するハニカム構造の脱臭部17の使用を示したが、これに限定されるものではなく、その他の周知の脱臭手段を採用することもできる。
【符号の説明】
【0051】
1 調和システム(集塵空気調和システム)
2 浄化装置
4 汚染空気
5 微粒子
6 細菌成分
7 臭気成分
8 除去済空気
8a 循環空気
9 外気
10 全熱交換器
11 空気調和設備(空気調和手段)
16 集塵殺菌部(電気集塵手段、プラズマ殺菌手段)
17 脱臭部(脱臭手段)
18 気流発生部(気流発生手段)
20 駆動用モータ(気流発生手段)
23 吸着プレート
24 捕集部(捕集手段)
27 荷電プレート
31 放電部(放電手段)
38 吸着面洗浄部(洗浄手段)
39 殺菌済空気
40 オゾンガス
【先行技術文献】
【特許文献】
【0052】
【特許文献1】国際公開第2005/084813号
【特許文献2】国際公開第2006/134627号
【特許文献3】特開2008−142670号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に空気通路の形成されたハウジング、前記ハウジングの前記空気通路に気流を発生させる気流発生手段、発生した前記気流によって前記ハウジング内に吸気された汚染空気に含まれる微粒子をコロナ放電を利用して荷電する放電手段、及び荷電された前記微粒子をクーロン力を利用して捕集する捕集手段を備える電気集塵手段と、
前記汚染空気または前記電気集塵手段によって前記微粒子の除去された微粒子除去済空気をプラズマ環境下に流通させ、細菌成分を除去するプラズマ殺菌手段と、
前記プラズマ殺菌手段の下流側に設けられ、前記細菌成分の除去された殺菌済空気に含まれる臭気成分を脱臭する脱臭手段と、
前記脱臭手段の下流側に設けられ、前記臭気成分の脱臭された除去済空気を全熱交換器を通して熱交換させ、空気調和に利用する空気調和手段と
を具備することを特徴とする集塵空気調和システム。
【請求項2】
前記電気集塵手段及び前記プラズマ殺菌手段は、
一体的に形成され、
前記微粒子を荷電する前記コロナ放電によって前記プラズマ環境が生成されることを特徴とする請求項1に記載の集塵空気調和システム。
【請求項3】
前記プラズマ殺菌手段は、
前記プラズマ環境下で酸化分解性を有するオゾンガスを発生させ、
前記脱臭手段は、
前記空気通路の上流側で発生した前記オゾンガスを利用し、吸着性能を長寿命化する長寿命化手段をさらに具備することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の集塵空気調和システム。
【請求項4】
前記電気集塵手段は、
前記吸着プレートに付着した前記微粒子を洗浄する洗浄手段をさらに具備することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一つに記載の集塵空気調和システム。
【請求項5】
飲食店の厨房設備または客席から発生した油煙及び調理臭を含む高熱量の前記汚染空気を対象として処理することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一つに記載の集塵空気調和システム。






【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−273871(P2010−273871A)
【公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−129491(P2009−129491)
【出願日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【出願人】(598160498)株式会社ハイデック (3)
【Fターム(参考)】