集塵装置
【課題】本発明は、室内空間を有効に利用できるとともに捕集した塵埃を容易に取り除くことができるパネルを利用した集塵装置を提案することを目的とする。
【解決手段】パネル2の内部に電線3を配線し、この電線3に対してAC/DCコンバータ4より出力される直流の高電位を供給する。これにより、電線3が、基準電位となる接地電位に比べて高電位となるため、AC/DCコンバータ4より供給される電位と逆極性に帯電された塵埃が、電線3の静電気力により引き込まれ、パネル2表面に付着する。
【解決手段】パネル2の内部に電線3を配線し、この電線3に対してAC/DCコンバータ4より出力される直流の高電位を供給する。これにより、電線3が、基準電位となる接地電位に比べて高電位となるため、AC/DCコンバータ4より供給される電位と逆極性に帯電された塵埃が、電線3の静電気力により引き込まれ、パネル2表面に付着する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塵埃を捕集する集塵装置に関するもので、特に、帯電した塵埃を電気的に捕集する集塵装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ハウスダストや花粉などの塵埃が疾病の原因として知られており、これら塵埃が原因となる疾病を防ぐために、近年、室内環境に対する問題意識が高まり、床面上や空気中に浮遊した塵埃を取り除くための集塵装置が一般に普及されている。この集塵装置の代表的なものとしては、コロナ放電により帯電させた塵埃を、塵埃を帯電させた電荷と逆極性となる電位に帯電させた電極で捕集する空気清浄機などが、よく知られている。
【0003】
しかしながら、この空気清浄機の場合、当該装置の設置場所周辺が集塵の対象となるため、局所的な集塵機能を備えるものにすぎず、室内全体に広がる微細な塵埃を除去するには、時間的にも空間的にも非効率である。加えて、空気清浄機に塵埃を引き込む必要があるため、空気清浄機の多くは、室内の空気を吸気するためのファンが設けられる。そのため、空気清浄機の駆動中には、ファンを回転させるための駆動音が発生し、この駆動音が不快感を与える。
【0004】
又、室内空間を有効に利用するとともに、室内の美観を損なわないことを目的として、空気清浄機能を備えた壁構造が提案されている。このような壁構造として、本出願人も、特許文献1において、室内の空気を吸入する吸入口と、吸入口をから吸入した空気を室内に吹き出す吹出口とを壁に設け、吸入口と吹出口とをつなぐ風路にフィルタを設置することで、風路を通過させた室内空気の清浄化を行うものを提案している。更に、道路や線路などの車などに対する走行路線の領域内に生じる粉塵を除去するために、特許文献2に提案されるような、繊維材を帯電パネルに接触させて発生させた静電気により粉塵を帯電パネルに捕集する粉塵除去用ユニットが提案されている。
【特許文献1】実公平06−025783号公報
【特許文献2】特開2002−047627号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献2による粉塵除去用ユニットの場合、帯電パネルを帯電させるために、繊維材を帯電パネルに接触させつつ回転させるプロペラ部材を備える必要がある。即ち、帯電パネルの表面に接触する繊維材を植設されたプロペラが必要となる。更に、このプロペラを強制的に回転させるためには、例えば、モータなどの動力部分などが必要となる。よって、特許文献2の粉塵除去用ユニットは大がかりな構造となるため、このような粉塵除去用ユニットを壁構造として適用した場合、当該壁構造の設置空間が大きくなり、室内空間を狭めてしまう。
【0006】
又、特許文献1の壁構造では、フィルタによる空気清浄を行うものであるため、フィルタを通過させる空気の流れをフィルタに対して一方向に設定する必要がある。よって、空気の流れを強制的に決定するためのファンが必要となり、空気清浄機と同様、ファンを回転させる際の駆動音が発生することとなる。更に、フィルタにより塵埃の除去を行うために、塵埃を捕集して汚れたフィルタは、その捕集能力が低下してしまう。そのため、特許文献1のような壁構造においては、その清浄能力を維持するために、定期的にフィルタの取り替えを行う必要がある。
【0007】
このような問題に鑑みて、本発明は、室内空間を有効に利用できるとともに捕集した塵埃を容易に取り除くことができるパネルを利用した集塵装置を提案することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の集塵装置は、壁に設置されたパネルと、前記パネル内部に配線された電線と、前記電線に対して直流高電位を印加する直流高圧電源と、を備えた集塵装置であって、前記直流高圧電源により前記直流高電位が一端に印加される電線の他端を電気的に開放し、対流により前記パネル近辺に移動する帯電した塵埃を前記パネルの表面に付着させて捕集することを特徴とする。
【0009】
このような集塵装置において、前記パネルの少なくとも表面が絶縁体である樹脂材によって構成されるものとし、前記パネル自体を絶縁体により構成するものとしてもよい。
【0010】
又、前記パネルと前記壁との間に間隙を設けて、前記パネルの前記壁との対向する表面に塵埃を捕集するものとしてもよいし、前記パネルを前記壁に直接設置するとともに、前記パネルの室内側の表面に塵埃を捕集するものとしてもよい。更に、前記パネルの前記壁との対向する表面に塵埃を捕集する場合、前記壁を接地電位とすることによって、前記パネル表面における静電気力を強くすることができる。
【0011】
前記パネルの前記壁との対向する表面に塵埃を捕集する場合、浮き壁などの建材により構成することができる。又、前記パネルの室内側の表面に塵埃を捕集する場合、巾木、回り縁、腰壁などによって構成することができる。
【0012】
上述のいずれかの集塵装置において、前記パネルの表面に沿って塵埃を通過させる対流を発生する加熱源を更に備えるものとすることで、捕集する塵埃を強制的に前記パネルの表面上を通過させる対流を生成する手段を備えるものとしてもよい。
【0013】
上述のいずれかの集塵装置において、前記パネルにおける、少なくとも塵埃を捕集する表面を含む一部が、取り外し可能な構造となるものとしてもよい。このように構成することで、集塵を行った取り外し構造部分を取り外して、当該構造部分の表面を拭き取るなどして、捕集した塵埃を除去することが可能となる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によると、高電位が印加された電線を配線したパネルによって構成するため、室内の壁構造の一部とすることができ、室内空間を有効に活用することができる。そして、この壁構造の一部とすることにより、対流に対する幅を広くすることができ、集塵面積を広げることができるため、集塵効率を高めることができる。又、対流によって流れる塵埃を捕集する構造であり、強制的に空気の流れを形成するファンなどを備えた構成でないので、機械的な騒音がない。更に、パネル表面で集塵を行うため、パネル表面を拭き取るなど、捕集した塵埃の除去作業を容易なものとすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
(基本構成)
まず、本発明の集塵装置について、その基本構成を以下に説明する。図1は、本発明の集塵装置の基本構成を示す概略図である。図2は、図1の集塵装置を壁構造として室内に設置したときの状態を示す図である。図3は、図1の集塵装置による塵埃の捕集を説明する図である。
【0016】
図1に示すように、集塵装置1は、その表面に塵埃を捕集する樹脂材料によるパネル2と、パネル2内に配線された電線3と、電線3に対して直流の高電位を与える直流電源となるAC/DCコンバータ4と、商用電源の供給元であるコンセントに接続されてAC/DCコンバータ4に対して交流電源の供給を行う電源プラグ5とを備える。そして、パネル2は、高電位が与えられる電線3による感電を防ぐために、少なくともその表面が絶縁材料で覆われるとともに、その内部には、集塵用の電極として働く複数本の電線3が配線される。
【0017】
パネル2内に配線される電線3は、AC/DCコンバータ4に対して並列となるように配線されるとともに、例えば、電線3それぞれを平行に配線するなど、パネル2の面方向に広がるように配線される。又、AC/DCコンバータ4は、接地電位が与えられることにより、電線3に供給する正又は負の高電位を、接地電位を基準電位とした電位に設定することができる。即ち、部屋を構成する床などが接地電位となるため、この接地電位をAC/DCコンバータ4で基準電位に設定することで、AC/DCコンバータ4と接続された電線3を、床などに比べて正又は負の高電位とすることができる。
【0018】
このように構成される集塵装置1を壁構造としたときの塵埃の捕集の概要について、図2及び図3を参照して説明する。尚、図3では、集塵装置1を構成するパネル2の断面の概略を示すとともに、床6が接地電位とされるものとする。又、室内を浮遊する塵埃7が接地電位を基準として正に帯電しているものとするとともに、AC/DCコンバータ4から電線3に供給される電位は、床6の接地電位を基準とした負の高電位であるものとする。
【0019】
室内においては、冷暖房器具などにより、例えば、図2の矢印に示すような自然対流が生じている。よって、この室内空気の自然対流によって、室内を浮遊する塵埃7が、集塵装置1が設置された壁側まで到達した後、この壁に沿って移動することとなる。即ち、図2のような自然対流が生じている場合は、部屋の中央から壁側まで運ばれた塵埃が、壁に沿って床6から天井に向かって運ばれる。
【0020】
このとき、集塵装置1では、パネル2内に配線されている電線3には負の高電位が供給されるため、電線3が負に帯電していることとなり、電線3それぞれの周囲に電界を生じさせることとなる。そして、正に帯電している塵埃7がパネル2の表面近傍を移動する際、パネル2の表面には、負に帯電した電線3による電界が生じているため、正帯電の塵埃7と負帯電の電線3との間で静電気力が生じる。これにより、自然対流に沿ってパネル2の表面近傍を移動する塵埃7は、パネル2の表面に付着することとなる。
【0021】
このように構成される集塵装置1は、パネル2に配線される電線3を床6に対して平行になるように配線することで、図2のような室内空気の自然対流の流れに対して垂直な方向に配線することができる。そして、パネル2及び電線3の床に対して平行な長さを長くすることにより、室内空気の自然対流に沿って流れる塵埃7のパネル2表面での集塵量を多くすることができる。
【0022】
又、パネル2表面と電線3との距離を調整することによって、パネル2表面における静電気力を調整することができるため、パネル2表面での塵埃の付着力を調整することができる。即ち、パネル2表面と電線3との距離が短くなるほど、パネル2表面での塵埃の付着力が大きくなる。更に、パネル2に配線する電線3の間隔を調整することによっても、パネル2表面全体の塵埃の付着力を調整することができる。即ち、電線3の間隔を短くすることが、帯電電極の面積が広くなることに等しいため、電線3の間隔を短くするほど、パネル2表面での塵埃の付着力を調整することができる。
【0023】
更に、パネル2について、少なくともその表面について絶縁性の樹脂で形成するものとするが、この樹脂に対して、タルクやマイカなどの無機フィラーや木粉繊維などの有機フィラーを配合するものとしてもよい。このフィラーの配合によって、パネル2を寸法安定性の高いものとすることができるとともに、パネル2自体の反りを抑制することができる。そして、配合率などを変更することにより、パネル2の誘電率を変更することができるため、パネル2表面での付着力の調整を行うこともできる。
【0024】
尚、図1においては、パネル2内の電線3の配線方法として、AC/DCコンバータ4に対して並列に接続された複数本の電線3が平行に配線されるものとしたが、電線3の配線方法は、この図1に示す例に限るものではない。例えば、1本の電線3をパネル2全面に配線されるように、図4(a)に示すように、電線3をメアンダ状に屈曲させた配線としてもよいし、図4(b)に示すように、電線3を渦巻状に屈曲させた配線としてもよい。更に、電線3の代わりに、図5(a)のようなパネル2の相似形状となる平板の導体板3aを用いてもよいし、図5(b)のようなパネル2の相似形状となる平板で且つ網目状となる導体板3bを用いてもよい。
【0025】
又、上述の説明では、塵埃7が正に帯電しているものとして、電線3に負の高電位が供給されるものとしたが、負に帯電している塵埃7を捕集する場合は、電線3に正の高電位を供給すればよい。更に、対流の方向におけるパネル2の上流側と下流側とに領域を2分割し、分割したそれぞれの領域に配線される電線3に与える高電位を逆の極性とするものとしてもよい。このとき、例えば、上流側の領域に配線された電線3に正の高電位が供給され、下流側の領域に配線された電線3に負の高電位が供給されるものとすると、パネル2の上流側の領域において、負に帯電した塵埃を捕集し、パネル2の下流側の領域において、正に帯電した塵埃を捕集することができる。
【0026】
以下の各実施形態の集塵装置は、上述の基本構成を備えるものであり、以下では、それぞれの実施形態における特徴部分を説明する。又、第1〜第4の実施形態の集塵装置が、浮き壁を構成する集塵装置であり、第5の実施形態の集塵装置が巾木を構成する集塵装置である。
【0027】
<第1の実施形態>
本発明における第1の実施形態の集塵装置について、図面を参照して以下に説明する。図6が、本実施形態の集塵装置を壁に取り付けたときの構成を示す外観斜視図であり、図7が、図6の集塵装置を支持部材の構成を示す外観斜視図である。又、図8は、図6の集塵装置における集塵部材と支持部材との関係を示す断面図であり、(a)が、床面に平行な方向の断面図であり、(b)が、床面に垂直な方向の断面図である。更に、図9は、図6の集塵装置における回路構成を示す概略図である。
【0028】
図6に示すように、本実施形態の集塵装置1は、部屋の壁に接続される支持部材21と、支持部材21に挿入されて壁面に表面が対向するように支持される集塵部材22とによって、浮き壁となるパネル2(図1のパネル2に相当)が構成される。即ち、支持部材21が、壁面と対向する側に集塵部材22を支持する構造を備え、この支持部材21の支持構造によって集塵部材22が支持される。そして、支持部材21の壁面と反対側が化粧材によって表面装飾が施されることで浮き壁を構成し、集塵部材22の壁面との対向面において塵埃が捕集される。
【0029】
支持部材21は、図7に示すように、壁面と平行となる浮き壁の主部である壁部100と、壁部100における床面に対して平行な方向の両側端部に壁に対して垂直に設けられて壁と接続する接続部101,102と、壁部100に床面側の端部に壁に向かって突起させた集塵部材22を支持する支持部103と、集塵装置1への電源供給のON/OFFを行う主電源スイッチ(以下、「スイッチ」と呼ぶ)104とを備える。即ち、支持部材21は、床面に対して平行な面での断面構成が、図8(a)に示すように、壁部100及び接続部101,102によりコの字状となり、又、床面に対して垂直な面での断面構成が、図8(b)に示すように、壁部100及び支持部103によりL字状となる
【0030】
この図7に示す構成の支持部材21は、接続部101,102それぞれにおいて、壁部100との接続位置に、集塵部材22における床面に対して平行な方向の端部が挿入される溝105,106が、床面に対して垂直な方向に延びた形状となるように形成される。又、支持部103には、壁部100との接続位置に、集塵部材22における床面側の端部が挿入される溝107が、床面に対して平行な方向に延びた形状となるように形成される。
【0031】
これにより、1枚の平板構造となる集塵部材22が天井側から支持部材21に対して挿入されるとき、集塵部材22の両端部が溝105,106に嵌合される。そして、溝105,106によって、集塵部材22の床側の端部が、床側の支持部103の溝107まで誘導され、溝107に集塵部材22に挿入される。よって、集塵部材22は、溝105〜107に対して、その床面に平行な両端部と床面側の端部が嵌合されて支持された状態となり、壁に対して浮いた位置に保持される。
【0032】
このように構成されるとき、集塵部材22は、絶縁材料となる樹脂により構成され、その内部に、直流の高電位が供給される複数本の電線3が、床面及び壁面それぞれと平行となるように配線される。尚、電線3については、基本構成で説明したように、図4による配線方法により配線されるものとしてもよいし、図5に示す導体板3a,3bにより代用するものとしてもよい。
【0033】
この集塵部材22は、後述するが、その床側の端部が支持部103の溝107に挿入された保持された状態となったとき、その内部に配線された電線3に高電位が印加される。これにより、室内の自然対流によって、集塵部材22の壁面と対向する表面と壁面との間の空間に、図8(b)の矢印のように、帯電した塵埃が流れ込むと、集塵部材22の壁面と対向する表面が、集塵面として帯電した塵埃を捕集する。
【0034】
又、集塵部材22は、天井側から支持部材21より引き抜くことができる。よって、集塵部材22の集塵面に捕集された塵埃の量が多くなったとき、スイッチ104により主電源をOFFとして、電線3への電力供給を停止した後、集塵部材22を支持部材21より引き抜く。そして、集塵部材22の集塵面を拭き取るなどすることにより、集塵面に集塵された塵埃を容易に取り除くことができる。尚、この集塵部材22の支持部材21からの取り外しを容易にするために、集塵部材22の天井側の端部に取手などを備えるようにしてもよい。
【0035】
このような構造を備えた集塵装置1の電気的な構成について、図9を参照して以下に説明する。図9に示すように、集塵部材22は、その内部において相互に平行となるように配線された複数本の電線3と、この複数本の電線3それぞれを並列に接続するために電線3全てと接続された電線201と、電線201に接続されて後述の端子108と物理的に接続することで電気的な接続が成される端子202とを備える。
【0036】
又、支持部材21は、その内部に、端子202と物理的に接続されることで電線201と電気的に接続する端子108と、この端子108に出力側が接続されたAC/DCコンバータ4と、外部で接地されることでAC/DCコンバータ4に接地電位を供給する接地用端子109と、電源プラグ5と接続される電源用端子110と、AC/DCコンバータ4の入力側と電源用端子110との間に接続されたスイッチ104とを備える。この支持部材21は、AC/DCコンバータ4、スイッチ104、端子108、接地用端子109、及び電源用端子110の設置部分周辺や、これらを電気的に接続する配線部分周辺について、絶縁材料で構成される。
【0037】
この図9のような電気的な構成が成されるとき、まず、電源プラグ5がコンセントなどで商用電源と接続されることで、商用電源が電源用端子110及びスイッチ104を介してAC/DCコンバータ4の入力側に供給される。尚、スイッチ104は、図6及び図7に示すように、その操作部が支持部材21の外部に設けられた構成となる。又、接地用端子109が外部で接地されることで、接地用端子109を介して接地電位がAC/DCコンバータ4の出力側に供給される。
【0038】
このように電源供給がなされている支持部材21に集塵部材22が挿入されると、集塵部材22の端子202と支持部材21の端子108とが物理的に接続されることによって、端子108,202を介して、AC/DCコンバータ4の出力側と電線201が電気的に接続される。このとき、スイッチ104をONとすることにより、支持部材21では、商用電源からの交流電源がAC/DCコンバータ4に供給される。
【0039】
そして、AC/DCコンバータ4は、その出力側に接地用端子109からの接地電位が供給されるため、この接地電位を基準とした高電位(例えば、1〜10kV)を端子108に出力する。よって、集塵部材22の端子202にAC/DCコンバータ4からの直流の高電位が供給されるため、電線201によって並列に接続された複数本の電線3に対して直流の高電位が供給されることとなる。これにより、集塵部材22の壁面と対向する面が集塵面として働き、当該集塵面で塵埃の捕集が成される。
【0040】
又、集塵部材22の捕集した塵埃を除去するために支持部材21より取り外すときは、まず、主電源スイッチとなるスイッチ104をOFFとすることで、AC/DCコンバータ4への電源供給を遮断して、AC/DCコンバータ4による直流高電圧の生成を停止する。その後、上述のように、集塵部材22を支持部材21から引き抜くことにより、感電を防止した状態で集塵部材22を取り外すことができる。
【0041】
このように構成するとき、端子108が溝105〜107のいずれかに設けられ、端子202は、溝105〜107に挿入される集塵部材22の端部において、端子108と接続可能な位置に設けられる。この端子108,202について、その一方を凸状とするとともに、他方を凹状とすることで、端子108,202の一方に他方が嵌め込まれる構成とするものとしてもよい。このとき、溝105,106などといった、溝107の底以外に、端子108が設けられる場合は、更に、凸状となる端子については、突起した方向に付勢されるとともに、集塵部材22の端部を溝105,106にスライドさせるために、支持部材21又は集塵部材22内部に押し込まれて収容可能な構成とされる。
【0042】
尚、本実施形態においては、集塵部材22が天井面側にスライド可能な構成とすることで、支持部材21より分離可能な構成としたが、支持部材21の床面側の支持部103に可動部材を設けて、当該可能部材を床側に開いた後に、集塵部材22を床面側にスライドさせて支持部材21より分離可能な構成としてもよい。同様に、集塵部材22を床面に対して水平な方向にスライドさせて支持部材21より分離させる構成としてもよい。
【0043】
<第2の実施形態>
本発明における第2の実施形態の集塵装置について、図面を参照して説明する。図10は、本実施形態の集塵装置を壁に取り付けたときの構成を示す外観斜視図であり、図11は、図10の集塵装置における塵埃の除去を行うために開いたときの外観斜視図である。又、図12は、図10の集塵装置の支持部材と集塵部材との関係を示す図であり、図13は、図10の集塵装置における回路構成を示す概略図である。尚、本実施形態の集塵装置の構成において、第1の実施形態の集塵装置(図7〜図9)の構成と同一の目的で使用する部分については、同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0044】
図10に示すように、本実施形態の集塵装置1は、第1の実施形態の支持部材21(図7参照)と異なり、壁面に対して垂直に突設された棒状の2本の支持部材21a,21bによって構成される。即ち、支持部材21a,21bは、第1の実施形態の支持部材21の接続部101,102に相当する位置に設置され、その長手方向が、床面に対して垂直であり、且つ、敷設される壁面に対して平行となる。
【0045】
そして、壁面から離れて取り付けられる集塵部材22aは、壁に取り付けられた支持部材21aの壁側と離れた端部に接続されるとともに、支持部材21a,21bに挟持されることで、その集塵面が壁面と対向するように固定される。この集塵部材22aの集塵面(壁面と対向する表面)の裏側が、第1の実施形態の支持部材21における壁部100に相当し、その表面に化粧材による装飾が施される。
【0046】
又、支持部材21aは、集塵部材22aとの接続部分において、集塵部材22aを回転させる回転軸111を備え、集塵部材22aは、この回転軸111を中心に回転することで、図11に示すように、支持部材21bに対して開くことができる。一方、支持部材21bは、壁と逆側の端部において、集塵部材22aの回転軸111との接続部分と逆側の端部を保持するための構造を備える。即ち、支持部材21bは、壁面より突設された棒状の固定部112と、固定部112の壁と逆側の端部に設けられるとともに回動可能な可動部113と、可動部113を固定部112との接続部分を中心に回転させる回転軸114とを備える。又、集塵部材22aは、支持部材21bによって保持される端部において、固定部112と可動部113とによって挟持される突起部203を備える。
【0047】
このように構成されるとき、図10のように、集塵部材22aが支持部材21a,21bによって挟持されるようにして固定されることで、第1の実施形態と同様、集塵部材22aと壁面との間の空間に、自然対流によって運ばれる帯電した塵埃が流入する。この帯電した塵埃が、集塵部材22aと壁面との間の空間を通過することにより、集塵部材22aの集塵面で捕集される。
【0048】
又、集塵部材22aの集塵面で捕集された塵埃の量が多くなり、その集塵能力が低下すると、本実施形態においては、集塵部材22aを、回転軸111を中心に開くことによって、集塵部材22aの集塵面を室内側に開放することができる。即ち、集塵部材22aによる集塵が行われているときは、図10のように、支持部材21bに集塵部材22aが保持された状態とされる。そして、集塵部材22aの集塵面における塵埃の除去を行うときは、図11のように、支持部材21bから集塵部材22aを取り外して、支持部材21aとの接続部分を中心に回転させて、集塵部材22aの集塵面を室内側に開放する。
【0049】
この集塵部材22aの開閉について、図12を参照にして以下に説明する。尚、図12は、天井面から見た集塵機1の上面図であり、(a)が、支持部材21bにより集塵部材22aが保持されている状態を示し、(b)が、支持部材21bによる集塵部材22aの保持が解除された状態を示し、(c)が、集塵部材22aを開いた状態を示す。
【0050】
まず、支持部材21bにおける構成を簡単に説明する。上述したように、支持部材21bは、壁より突設された固定部112の端部に、回転軸114を中心に回動する可動部113を備えた構成である。そして、図12(a)に示すように、可動部113は、床面に対して平行な断面がL字状とされ、回転軸114から離れた部分を支持部材21a側に突起した形状となる。又、回転軸114は、固定部112の端部における中心位置から外側(支持部材21aと反対側)の位置に設けられる。又、集塵部材22aの支持部材21b側に設けられる突起部203が、集塵部材22aの集塵面側に設けられ、集塵部材22aの支持部材21b側の端部が、可動部113によって係止する形状とされる。
【0051】
このように構成されるとき、図12(a)に示すように、固定部112の端部の内側の面と可動部113の支持部材21a側への突起部分とがコの字状の面を作ることで、集塵部材22aの突起部203が挟持されることで、集塵部材22aが壁に対して平行に浮いた状態に固定される。この図12(a)の状態で集塵動作がなされた後、集塵部材22aで捕集した集塵の除去を行うために、集塵面の室内への開放を行うとき、まず、図12(b)のように、回転軸114を中心軸として可動部113を支持部材21bの外側に回転させる。
【0052】
これにより、集塵部材22aの突起部203の可動部113との接触面が開放された状態となるため、集塵部材22aの支持部材21bによる保持が解除された状態となる。よって、集塵部材22aが回転軸111を中心軸として回転可能となるため、次に、図12(c)のように、集塵部材22aを壁面から離れる方向に回転させる。これにより、集塵部材22aの集塵面を室内側に開放することができるため、集塵部材22aの集塵面の拭き取りが可能となり、捕集した塵埃の除去を行うことができる。
【0053】
このような構造を備えた集塵装置1の電気的な構成について、図13を参照して説明する。図13に示すように、集塵部材22aは、集塵装置22(図9参照)と同様、平行に配線された電線3と、電線3全てと接続された電線201とを備える。そして、この集塵部材22aは、集塵装置22(図9参照)と異なり、電線201と接続される端子202の代わりに、出力側が電線201と接続されるAC/DCコンバータ4と、外部で接地されることでAC/DCコンバータ4に接地電位を供給する接地用端子204と、AC/DCコンバータ4の入力側に接続された端子205とを備える。
【0054】
又、支持部材21bが、電源プラグ5と接続される電源用端子110と、端子205と物理的に接続されることでAC/DCコンバータ4と電気的に接続する端子115と、電源用端子110と端子115との間に接続された電線116とを備える。即ち、支持部材21bは、支持部材21(図9参照)と異なり、AC/DCコンバータ4及びスイッチ104を内蔵していない構成となる。
【0055】
更に、端子115が、支持部材21bの可動部113における集塵部材22aとの接触面側に設けられる。そして、端子115に端子205を接続可能とするために、集塵部材22aの可動部113との接触面における端子115との相対位置に、端子205が設置される。このように、支持部材21b及び集塵部材22aそれぞれに対して端子115,205を設けることによって、図12(a)、(b)のように、支持部材21bの可動部113を回動させることで、端子115,205の接続及び切断が成される。即ち、端子115,205と可動部113の構成によって、第1の実施形態におけるスイッチ104(図9参照)と同様の主電源スイッチが構成される。
【0056】
この図13のような電気的な構成が成されるとき、電源プラグ5がコンセントなどで商用電源と接続されることで、図12(a)のように、支持部材21bの可動部113により集塵部材22aが保持されている場合、商用電源が、支持部材21bの電源用端子110及び電線116を介して、端子115に接続される集塵部材22aの端子205に供給される。よって、集塵部材22a内のAC/DCコンバータ4に商用電源が供給されることとなり、接地端子204に与える接地電位を基準電位とした高電位が、電線201を介して電線3に供給される。これにより、集塵部材22aの壁面と対向する面が集塵面として働き、当該集塵面で塵埃の捕集が成される。
【0057】
又、集塵部材22aの捕集した塵埃を除去する場合は、上述したように、まず、支持部材21bを図12(b)に示すような構成とする。即ち、支持部材21bの可動部113を回転させ、可動部113の端子115と集塵部材22aの端子205との接続を切断する。これにより、集塵部材22a内のAC/DCコンバータ4への商用電源の供給が停止されるため、電線201を介した電線3への高電位の供給が停止される。よって、図12(c)のように、集塵部材22aを室内側に開いて、集塵面の塵埃の除去を行う際に、感電を防止することができる。
【0058】
尚、本実施形態では、床面に垂直な方向を長手方向とした回転軸111により集塵部材22aを開くものとしたが、床面に水平な方向を長手方向とした回転軸により集塵部材22aを開くものとしてもよい。このとき、集塵部材22aは、集塵装置1を天井側に取り付ける場合は、集塵装置1の天井側に回転軸を設けて床側が開くように構成し、集塵装置1を床側に取り付ける場合は、集塵装置1の床側に回転軸を設けて天井側が開くように構成してもよい。
【0059】
又、集塵部材22aの回転軸111と逆側の端部を保持するための構成については、上述の支持部材21bの構成に限定されるものではなく、支持部材21bと集塵部材22aとの接触面において係止用の部材を設けることで保持するものなど、他の構成としてもよい。更に、第1の実施形態と同様、AC/DCコンバータ4への電源供給の可否を決定するスイッチ104を備えるものとしてもよい。このスイッチ104を設ける場合、AC/DCコンバータ4を支持部材21a,21bのいずれかに設けるものとしてもよい。
【0060】
又、集塵部材22aに備えられたAC/DCコンバータ4を、集塵部材22aと常時接続されている支持部材21aに設ける構成としてもよい。このようにすることで、集塵部材22aが、電線による配線のみを備えた構成とすることができるため、集塵部材22aの軽量化を図ることができる。
【0061】
<第3の実施形態>
本発明における第3の実施形態の集塵装置について、図面を参照して以下に説明する。図14は、本実施形態における集塵装置の構成を示す概略断面図である。尚、本実施形態の集塵装置の構成において、第1の実施形態の集塵装置(図7〜図9)の構成と同一の目的で使用する部分については、同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0062】
図14に示すように、本実施形態の集塵装置1は、第1の実施形態の構成(図8(b)参照)に更に、支持部材21における支持部103よりも床側に設置されたライト23を備えた構成となる。このライト23は、壁面に埋め込まれたプラグ24に固定されることにより、電気的に接続される。その他の構成については、第1の実施形態と同様であるため、その詳細な説明は省略する。
【0063】
このように構成される集塵装置1によると、ライト23が加熱源として機能するため、ライト23により床側の空気を暖められることとなり、図14の矢印に示すように、暖められた空気が天井側へ移動する対流が強制的に生成される。即ち、集塵部材22と壁との空間を通過する空気を暖める構成とするために、ライト23が支持部材21の支持部103と壁との間に設けられ、図14の矢印に示す対流が強制的に生成される。これにより、ライト23の加熱により生成された対流に運ばれる塵埃を、集塵部材22の集塵面の上面に強制的に通過させることができる。
【0064】
又、ライト23として、例えば、複数の電球を用いた場合、床面及び壁面それぞれに平行となるように一列に配置することで、支持部材21における支持部103と壁の間における空気の流入口に対して、むらなく対流を発生させることができる。そして、この一列に配置した複数の電球を透明な樹脂カバーによって覆うことによって、床側の照明器具を構成することができる。又、このライト23として、図14のような電球によるものではなく、その長手方向が床面及び壁面それぞれに平行となるように設置された蛍光灯によって構成されるものとしてもよい。
【0065】
尚、本実施形態では、照明器具としても機能するライト23によって、特徴となる加熱源を構成するものとしたが、床側の空気を暖めて集塵部材22の集塵面上を通過させる対流を生じさせる加熱源であれば、他の構成であってもよい。よって、例えば、床下に電熱線などを配置することで、床面から天井に向かって強制的な対流を生じさせる加熱源であってもよい。
【0066】
又、本実施形態について、第1の実施形態の構成に追加したものとしたが、第2の実施形態の構成(図10〜図13)に対しても、本実施形態の特徴であるライト23による加熱源を追加することによって、集塵部材22aの集塵面上を通過させる対流を生じさせることができる。即ち、第2の実施形態における構成に対して、集塵部材22aの床側の端部よりも床側における、集塵部材22aの集塵面と壁との間となる位置に、ライト23を設置することによって、集塵部材22aの集塵面上を通過させる対流を生じさせることができる。
【0067】
<第4の実施形態>
本発明における第4の実施形態の集塵装置について、図面を参照して以下に説明する。図15は、本実施形態における集塵装置の構成を示す概略断面図である。尚、本実施形態の集塵装置の構成において、第1の実施形態の集塵装置(図7〜図9)の構成と同一の目的で使用する部分については、同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0068】
図15に示すように、本実施形態の集塵装置1は、第1の実施形態の構成(図8(b)参照)に更に、集塵部材22における集塵面と対向する壁面上に設置された導体板25を備えた構成となる。この導体板25は、AC/DCコンバータ4に与えられる接地電位と同一の接地電位が供給され、AC/DCコンバータ4から高電位が供給される電線3による電界強度を大きくすることができる。その他の構成については、第1の実施形態と同様であるため、その詳細な説明は省略する。
【0069】
このように構成される集塵装置1において、接地電位が与えられる導体板25が設置されることで、上述したように、電線3による電界強度を大きくすることができるため、帯電した塵埃に対する静電気力を強くすることができ、結果的に、塵埃の捕集能力を高めることができる。この導体板25は、図15に示すように、壁面上に設置するものとしてもよいし、壁面内部に設置するとともに、壁面が絶縁材料で形成されるものとしてもよい。
【0070】
尚、導体板25は、電線3に対向する位置に設置されることが望ましいが、電線3の配線と類似した形状とする必要はない。即ち、電線3の形状としては、図1や図4のような電線3の配線と同様のパターンによる形状としてもよいし、図5に示すような形状としてもよい。又、本実施形態においても、第3の実施形態と同様、第2の実施形態の構成(図10〜図13)に対しても、本実施形態の特徴となる導体板25を追加することで、本実施形態における効果を得ることができる。
【0071】
<第5の実施形態>
本発明における第5の実施形態の集塵装置について、図面を参照して以下に説明する。図16は、本実施形態における集塵装置の構成を示す外観斜視図であり、図17が、本実施形態の集塵装置における回路構成を示す概略図である。尚、本実施形態の集塵装置の構成において、第1の実施形態の集塵装置(図7〜図9)の構成と同一の目的で使用する部分については、同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0072】
図16に示すように、本実施形態の集塵装置1は、第1〜第4の実施形態のように浮き壁を構成するものではなく、床面側の壁上に設置された巾木50として構成される。即ち、第1の実施形態における集塵部材22(図9参照)と同様、図17に示すように、絶縁材料となる巾木50の内部に、床面と平行となるように配線された電線3を備えるとともに、この電線3それぞれを並列に接続するための電線201を備える。
【0073】
そして、この電線201は巾木50の設置された壁の内部にまで配線され、壁の内側に設置されたAC/DCコンバータ4の出力側に接続される。又、AC/DCコンバータ4は、出力側に接地電位が与えられるとともに、その入力側がスイッチ104と接続されことで、スイッチ104を介して商用電源が入力される構成となる。更に、スイッチ104は、その操作部分が壁面に現れるように、壁内部に埋め込まれた構成とされる。
【0074】
このような構成とすることで、スイッチ104により主電源をONとすると、AC/DCコンバータ4に商用電源が供給されるため、巾木50内部に配線された電線3へ高電位が供給されることとなる。よって、巾木50の室内側の表面が集塵面として機能し、巾木50の近傍に存在する帯電した塵埃が、巾木50の集塵面に付着して捕集される。このとき、巾木50が床側に設置されるため、床面に落下している帯電した塵埃についても、集塵することができる。
【0075】
そして、巾木50の集塵面に捕集された塵埃の量が多くなったとき、スイッチ104により主電源をOFFとし、AC/DCコンバータ4への電源供給を停止する。そして、集塵部材22の集塵面を拭き取るなどすることにより、集塵面に集塵された塵埃を容易に取り除くことができる。
【0076】
尚、本実施形態において、集塵装置1によって巾木50を構成するものとして説明したが、天井側の壁に設置される回り縁や、人の腰位置までに設置される腰壁などを構成するものとしてもよい。このとき、集塵装置1を回り縁として構成する場合、巾木や腰壁などと異なり、人体に触れにくい位置に設置されるため、集塵装置1の静電気による不快感を防ぐことができる。
【0077】
又、本実施形態において、図18(a)のように、巾木50を床面より天井側に配置するとともに、巾木50よりも床側に、加熱源となるライト23を設けることで、第4の実施形態の構成と同様の構成としてもよい。この第4の実施形態において特徴となる構成を追加した集塵装置を回り縁51に利用した場合は、図18(b)のように、天井側にライト23を配置することができるため、部屋全体の照明として活用することができる。
【0078】
更に、本実施形態において、図19(a)のように、巾木50の設置位置から離れた床面に、接地電位が与えられた導体板25を設置することで、第5の実施形態と同様の構成としてもよい。この第5の実施形態において特徴となる構成を追加した集塵装置を回り縁51に利用した場合は、図19(b)のように、天井面に導体板25を配置することができるため、導体対25を含む集塵装置に人体が触れない位置に設置することができる。
【産業上の利用可能性】
【0079】
本発明の集塵装置は、壁構造の一部を構成する建材に適用可能であり、壁側と対面させた表面で集塵する場合は、浮き壁として構成することができ、室内側の表面で集塵する場合は、壁の一部、巾木、回り縁、腰壁などとして構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】は、本発明の集塵装置の基本構成を示す概略図である。
【図2】は、図1の集塵装置を壁構造として室内に設置したときの状態を示す図である。
【図3】は、図1の集塵装置を構成するパネルの断面と塵埃の関係とを示す概略図である。
【図4】は、図1の集塵装置における電線の配線方法の別例を示す概略図であり、(a)がメアンダ状とした配線例を示し、(b)が渦巻き状の配線例を示す。
【図5】は、図1の集塵装置に用いる導体板の構成を示す概略図であり、(a)が平板形状とした導体板を示し、(b)が網目状の導体板を示す。
【図6】は、本発明の第1の実施形態における集塵装置の構成を示す外観斜視図である。
【図7】は、図6の集塵装置における支持部材の構成を示す外観斜視図である。
【図8】は、図6の集塵装置における概略断面図であり、(a)が、床面に平行な方向の断面図であり、(b)が、床面に垂直な方向の断面図である。
【図9】は、図6の集塵装置における回路構成を示す概略図である。
【図10】は、本発明の第2の実施形態における集塵装置の構成を示す外観斜視図である。
【図11】は、図10の集塵装置における集塵部材の開いた状態の構成を示す外観斜視図である。
【図12】は、図10の集塵装置における天井から見た上面図であり、(a)が、集塵部材が保持されている状態を示し、(b)が、集塵部材の保持が解除された状態を示し、(c)が、集塵部材を開いた状態を示す。
【図13】は、図10の集塵装置における回路構成を示す概略図である。
【図14】は、本発明の第3の実施形態における集塵装置の構成を示す概略断面図である。
【図15】は、本発明の第4の実施形態における集塵装置の構成を示す概略断面図である。
【図16】は、本発明の第5の実施形態における集塵装置の構成を示す外観斜視図である。
【図17】は、図16の集塵装置における回路構成を示す概略図である。
【図18】は、第5の実施形態における集塵装置に第3の実施形態の集塵装置の構成を追加した例を示す概略断面図である。
【図19】は、第5の実施形態における集塵装置に第4の実施形態の集塵装置の構成を追加した例を示す概略断面図である。
【符号の説明】
【0081】
1 集塵装置
2 パネル
3 電線
4 AC/DCコンバータ
5 電源プラグ
6 床
7 塵埃
21,21a,21b 支持部材
22,22a 集塵部材
23 ライト
24 プラグ
25 導体板
50 巾木
51 回り縁
100 壁部
101,102 接続部
103 支持部
104 スイッチ
105〜107 溝
108,115 端子
109 接地用端子
110 電源用端子
111,114 回転軸
112 固定部
113 可動部
116 電線
201 電線
202,205 端子
203 突起部
204 接地用端子
【技術分野】
【0001】
本発明は、塵埃を捕集する集塵装置に関するもので、特に、帯電した塵埃を電気的に捕集する集塵装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ハウスダストや花粉などの塵埃が疾病の原因として知られており、これら塵埃が原因となる疾病を防ぐために、近年、室内環境に対する問題意識が高まり、床面上や空気中に浮遊した塵埃を取り除くための集塵装置が一般に普及されている。この集塵装置の代表的なものとしては、コロナ放電により帯電させた塵埃を、塵埃を帯電させた電荷と逆極性となる電位に帯電させた電極で捕集する空気清浄機などが、よく知られている。
【0003】
しかしながら、この空気清浄機の場合、当該装置の設置場所周辺が集塵の対象となるため、局所的な集塵機能を備えるものにすぎず、室内全体に広がる微細な塵埃を除去するには、時間的にも空間的にも非効率である。加えて、空気清浄機に塵埃を引き込む必要があるため、空気清浄機の多くは、室内の空気を吸気するためのファンが設けられる。そのため、空気清浄機の駆動中には、ファンを回転させるための駆動音が発生し、この駆動音が不快感を与える。
【0004】
又、室内空間を有効に利用するとともに、室内の美観を損なわないことを目的として、空気清浄機能を備えた壁構造が提案されている。このような壁構造として、本出願人も、特許文献1において、室内の空気を吸入する吸入口と、吸入口をから吸入した空気を室内に吹き出す吹出口とを壁に設け、吸入口と吹出口とをつなぐ風路にフィルタを設置することで、風路を通過させた室内空気の清浄化を行うものを提案している。更に、道路や線路などの車などに対する走行路線の領域内に生じる粉塵を除去するために、特許文献2に提案されるような、繊維材を帯電パネルに接触させて発生させた静電気により粉塵を帯電パネルに捕集する粉塵除去用ユニットが提案されている。
【特許文献1】実公平06−025783号公報
【特許文献2】特開2002−047627号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献2による粉塵除去用ユニットの場合、帯電パネルを帯電させるために、繊維材を帯電パネルに接触させつつ回転させるプロペラ部材を備える必要がある。即ち、帯電パネルの表面に接触する繊維材を植設されたプロペラが必要となる。更に、このプロペラを強制的に回転させるためには、例えば、モータなどの動力部分などが必要となる。よって、特許文献2の粉塵除去用ユニットは大がかりな構造となるため、このような粉塵除去用ユニットを壁構造として適用した場合、当該壁構造の設置空間が大きくなり、室内空間を狭めてしまう。
【0006】
又、特許文献1の壁構造では、フィルタによる空気清浄を行うものであるため、フィルタを通過させる空気の流れをフィルタに対して一方向に設定する必要がある。よって、空気の流れを強制的に決定するためのファンが必要となり、空気清浄機と同様、ファンを回転させる際の駆動音が発生することとなる。更に、フィルタにより塵埃の除去を行うために、塵埃を捕集して汚れたフィルタは、その捕集能力が低下してしまう。そのため、特許文献1のような壁構造においては、その清浄能力を維持するために、定期的にフィルタの取り替えを行う必要がある。
【0007】
このような問題に鑑みて、本発明は、室内空間を有効に利用できるとともに捕集した塵埃を容易に取り除くことができるパネルを利用した集塵装置を提案することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の集塵装置は、壁に設置されたパネルと、前記パネル内部に配線された電線と、前記電線に対して直流高電位を印加する直流高圧電源と、を備えた集塵装置であって、前記直流高圧電源により前記直流高電位が一端に印加される電線の他端を電気的に開放し、対流により前記パネル近辺に移動する帯電した塵埃を前記パネルの表面に付着させて捕集することを特徴とする。
【0009】
このような集塵装置において、前記パネルの少なくとも表面が絶縁体である樹脂材によって構成されるものとし、前記パネル自体を絶縁体により構成するものとしてもよい。
【0010】
又、前記パネルと前記壁との間に間隙を設けて、前記パネルの前記壁との対向する表面に塵埃を捕集するものとしてもよいし、前記パネルを前記壁に直接設置するとともに、前記パネルの室内側の表面に塵埃を捕集するものとしてもよい。更に、前記パネルの前記壁との対向する表面に塵埃を捕集する場合、前記壁を接地電位とすることによって、前記パネル表面における静電気力を強くすることができる。
【0011】
前記パネルの前記壁との対向する表面に塵埃を捕集する場合、浮き壁などの建材により構成することができる。又、前記パネルの室内側の表面に塵埃を捕集する場合、巾木、回り縁、腰壁などによって構成することができる。
【0012】
上述のいずれかの集塵装置において、前記パネルの表面に沿って塵埃を通過させる対流を発生する加熱源を更に備えるものとすることで、捕集する塵埃を強制的に前記パネルの表面上を通過させる対流を生成する手段を備えるものとしてもよい。
【0013】
上述のいずれかの集塵装置において、前記パネルにおける、少なくとも塵埃を捕集する表面を含む一部が、取り外し可能な構造となるものとしてもよい。このように構成することで、集塵を行った取り外し構造部分を取り外して、当該構造部分の表面を拭き取るなどして、捕集した塵埃を除去することが可能となる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によると、高電位が印加された電線を配線したパネルによって構成するため、室内の壁構造の一部とすることができ、室内空間を有効に活用することができる。そして、この壁構造の一部とすることにより、対流に対する幅を広くすることができ、集塵面積を広げることができるため、集塵効率を高めることができる。又、対流によって流れる塵埃を捕集する構造であり、強制的に空気の流れを形成するファンなどを備えた構成でないので、機械的な騒音がない。更に、パネル表面で集塵を行うため、パネル表面を拭き取るなど、捕集した塵埃の除去作業を容易なものとすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
(基本構成)
まず、本発明の集塵装置について、その基本構成を以下に説明する。図1は、本発明の集塵装置の基本構成を示す概略図である。図2は、図1の集塵装置を壁構造として室内に設置したときの状態を示す図である。図3は、図1の集塵装置による塵埃の捕集を説明する図である。
【0016】
図1に示すように、集塵装置1は、その表面に塵埃を捕集する樹脂材料によるパネル2と、パネル2内に配線された電線3と、電線3に対して直流の高電位を与える直流電源となるAC/DCコンバータ4と、商用電源の供給元であるコンセントに接続されてAC/DCコンバータ4に対して交流電源の供給を行う電源プラグ5とを備える。そして、パネル2は、高電位が与えられる電線3による感電を防ぐために、少なくともその表面が絶縁材料で覆われるとともに、その内部には、集塵用の電極として働く複数本の電線3が配線される。
【0017】
パネル2内に配線される電線3は、AC/DCコンバータ4に対して並列となるように配線されるとともに、例えば、電線3それぞれを平行に配線するなど、パネル2の面方向に広がるように配線される。又、AC/DCコンバータ4は、接地電位が与えられることにより、電線3に供給する正又は負の高電位を、接地電位を基準電位とした電位に設定することができる。即ち、部屋を構成する床などが接地電位となるため、この接地電位をAC/DCコンバータ4で基準電位に設定することで、AC/DCコンバータ4と接続された電線3を、床などに比べて正又は負の高電位とすることができる。
【0018】
このように構成される集塵装置1を壁構造としたときの塵埃の捕集の概要について、図2及び図3を参照して説明する。尚、図3では、集塵装置1を構成するパネル2の断面の概略を示すとともに、床6が接地電位とされるものとする。又、室内を浮遊する塵埃7が接地電位を基準として正に帯電しているものとするとともに、AC/DCコンバータ4から電線3に供給される電位は、床6の接地電位を基準とした負の高電位であるものとする。
【0019】
室内においては、冷暖房器具などにより、例えば、図2の矢印に示すような自然対流が生じている。よって、この室内空気の自然対流によって、室内を浮遊する塵埃7が、集塵装置1が設置された壁側まで到達した後、この壁に沿って移動することとなる。即ち、図2のような自然対流が生じている場合は、部屋の中央から壁側まで運ばれた塵埃が、壁に沿って床6から天井に向かって運ばれる。
【0020】
このとき、集塵装置1では、パネル2内に配線されている電線3には負の高電位が供給されるため、電線3が負に帯電していることとなり、電線3それぞれの周囲に電界を生じさせることとなる。そして、正に帯電している塵埃7がパネル2の表面近傍を移動する際、パネル2の表面には、負に帯電した電線3による電界が生じているため、正帯電の塵埃7と負帯電の電線3との間で静電気力が生じる。これにより、自然対流に沿ってパネル2の表面近傍を移動する塵埃7は、パネル2の表面に付着することとなる。
【0021】
このように構成される集塵装置1は、パネル2に配線される電線3を床6に対して平行になるように配線することで、図2のような室内空気の自然対流の流れに対して垂直な方向に配線することができる。そして、パネル2及び電線3の床に対して平行な長さを長くすることにより、室内空気の自然対流に沿って流れる塵埃7のパネル2表面での集塵量を多くすることができる。
【0022】
又、パネル2表面と電線3との距離を調整することによって、パネル2表面における静電気力を調整することができるため、パネル2表面での塵埃の付着力を調整することができる。即ち、パネル2表面と電線3との距離が短くなるほど、パネル2表面での塵埃の付着力が大きくなる。更に、パネル2に配線する電線3の間隔を調整することによっても、パネル2表面全体の塵埃の付着力を調整することができる。即ち、電線3の間隔を短くすることが、帯電電極の面積が広くなることに等しいため、電線3の間隔を短くするほど、パネル2表面での塵埃の付着力を調整することができる。
【0023】
更に、パネル2について、少なくともその表面について絶縁性の樹脂で形成するものとするが、この樹脂に対して、タルクやマイカなどの無機フィラーや木粉繊維などの有機フィラーを配合するものとしてもよい。このフィラーの配合によって、パネル2を寸法安定性の高いものとすることができるとともに、パネル2自体の反りを抑制することができる。そして、配合率などを変更することにより、パネル2の誘電率を変更することができるため、パネル2表面での付着力の調整を行うこともできる。
【0024】
尚、図1においては、パネル2内の電線3の配線方法として、AC/DCコンバータ4に対して並列に接続された複数本の電線3が平行に配線されるものとしたが、電線3の配線方法は、この図1に示す例に限るものではない。例えば、1本の電線3をパネル2全面に配線されるように、図4(a)に示すように、電線3をメアンダ状に屈曲させた配線としてもよいし、図4(b)に示すように、電線3を渦巻状に屈曲させた配線としてもよい。更に、電線3の代わりに、図5(a)のようなパネル2の相似形状となる平板の導体板3aを用いてもよいし、図5(b)のようなパネル2の相似形状となる平板で且つ網目状となる導体板3bを用いてもよい。
【0025】
又、上述の説明では、塵埃7が正に帯電しているものとして、電線3に負の高電位が供給されるものとしたが、負に帯電している塵埃7を捕集する場合は、電線3に正の高電位を供給すればよい。更に、対流の方向におけるパネル2の上流側と下流側とに領域を2分割し、分割したそれぞれの領域に配線される電線3に与える高電位を逆の極性とするものとしてもよい。このとき、例えば、上流側の領域に配線された電線3に正の高電位が供給され、下流側の領域に配線された電線3に負の高電位が供給されるものとすると、パネル2の上流側の領域において、負に帯電した塵埃を捕集し、パネル2の下流側の領域において、正に帯電した塵埃を捕集することができる。
【0026】
以下の各実施形態の集塵装置は、上述の基本構成を備えるものであり、以下では、それぞれの実施形態における特徴部分を説明する。又、第1〜第4の実施形態の集塵装置が、浮き壁を構成する集塵装置であり、第5の実施形態の集塵装置が巾木を構成する集塵装置である。
【0027】
<第1の実施形態>
本発明における第1の実施形態の集塵装置について、図面を参照して以下に説明する。図6が、本実施形態の集塵装置を壁に取り付けたときの構成を示す外観斜視図であり、図7が、図6の集塵装置を支持部材の構成を示す外観斜視図である。又、図8は、図6の集塵装置における集塵部材と支持部材との関係を示す断面図であり、(a)が、床面に平行な方向の断面図であり、(b)が、床面に垂直な方向の断面図である。更に、図9は、図6の集塵装置における回路構成を示す概略図である。
【0028】
図6に示すように、本実施形態の集塵装置1は、部屋の壁に接続される支持部材21と、支持部材21に挿入されて壁面に表面が対向するように支持される集塵部材22とによって、浮き壁となるパネル2(図1のパネル2に相当)が構成される。即ち、支持部材21が、壁面と対向する側に集塵部材22を支持する構造を備え、この支持部材21の支持構造によって集塵部材22が支持される。そして、支持部材21の壁面と反対側が化粧材によって表面装飾が施されることで浮き壁を構成し、集塵部材22の壁面との対向面において塵埃が捕集される。
【0029】
支持部材21は、図7に示すように、壁面と平行となる浮き壁の主部である壁部100と、壁部100における床面に対して平行な方向の両側端部に壁に対して垂直に設けられて壁と接続する接続部101,102と、壁部100に床面側の端部に壁に向かって突起させた集塵部材22を支持する支持部103と、集塵装置1への電源供給のON/OFFを行う主電源スイッチ(以下、「スイッチ」と呼ぶ)104とを備える。即ち、支持部材21は、床面に対して平行な面での断面構成が、図8(a)に示すように、壁部100及び接続部101,102によりコの字状となり、又、床面に対して垂直な面での断面構成が、図8(b)に示すように、壁部100及び支持部103によりL字状となる
【0030】
この図7に示す構成の支持部材21は、接続部101,102それぞれにおいて、壁部100との接続位置に、集塵部材22における床面に対して平行な方向の端部が挿入される溝105,106が、床面に対して垂直な方向に延びた形状となるように形成される。又、支持部103には、壁部100との接続位置に、集塵部材22における床面側の端部が挿入される溝107が、床面に対して平行な方向に延びた形状となるように形成される。
【0031】
これにより、1枚の平板構造となる集塵部材22が天井側から支持部材21に対して挿入されるとき、集塵部材22の両端部が溝105,106に嵌合される。そして、溝105,106によって、集塵部材22の床側の端部が、床側の支持部103の溝107まで誘導され、溝107に集塵部材22に挿入される。よって、集塵部材22は、溝105〜107に対して、その床面に平行な両端部と床面側の端部が嵌合されて支持された状態となり、壁に対して浮いた位置に保持される。
【0032】
このように構成されるとき、集塵部材22は、絶縁材料となる樹脂により構成され、その内部に、直流の高電位が供給される複数本の電線3が、床面及び壁面それぞれと平行となるように配線される。尚、電線3については、基本構成で説明したように、図4による配線方法により配線されるものとしてもよいし、図5に示す導体板3a,3bにより代用するものとしてもよい。
【0033】
この集塵部材22は、後述するが、その床側の端部が支持部103の溝107に挿入された保持された状態となったとき、その内部に配線された電線3に高電位が印加される。これにより、室内の自然対流によって、集塵部材22の壁面と対向する表面と壁面との間の空間に、図8(b)の矢印のように、帯電した塵埃が流れ込むと、集塵部材22の壁面と対向する表面が、集塵面として帯電した塵埃を捕集する。
【0034】
又、集塵部材22は、天井側から支持部材21より引き抜くことができる。よって、集塵部材22の集塵面に捕集された塵埃の量が多くなったとき、スイッチ104により主電源をOFFとして、電線3への電力供給を停止した後、集塵部材22を支持部材21より引き抜く。そして、集塵部材22の集塵面を拭き取るなどすることにより、集塵面に集塵された塵埃を容易に取り除くことができる。尚、この集塵部材22の支持部材21からの取り外しを容易にするために、集塵部材22の天井側の端部に取手などを備えるようにしてもよい。
【0035】
このような構造を備えた集塵装置1の電気的な構成について、図9を参照して以下に説明する。図9に示すように、集塵部材22は、その内部において相互に平行となるように配線された複数本の電線3と、この複数本の電線3それぞれを並列に接続するために電線3全てと接続された電線201と、電線201に接続されて後述の端子108と物理的に接続することで電気的な接続が成される端子202とを備える。
【0036】
又、支持部材21は、その内部に、端子202と物理的に接続されることで電線201と電気的に接続する端子108と、この端子108に出力側が接続されたAC/DCコンバータ4と、外部で接地されることでAC/DCコンバータ4に接地電位を供給する接地用端子109と、電源プラグ5と接続される電源用端子110と、AC/DCコンバータ4の入力側と電源用端子110との間に接続されたスイッチ104とを備える。この支持部材21は、AC/DCコンバータ4、スイッチ104、端子108、接地用端子109、及び電源用端子110の設置部分周辺や、これらを電気的に接続する配線部分周辺について、絶縁材料で構成される。
【0037】
この図9のような電気的な構成が成されるとき、まず、電源プラグ5がコンセントなどで商用電源と接続されることで、商用電源が電源用端子110及びスイッチ104を介してAC/DCコンバータ4の入力側に供給される。尚、スイッチ104は、図6及び図7に示すように、その操作部が支持部材21の外部に設けられた構成となる。又、接地用端子109が外部で接地されることで、接地用端子109を介して接地電位がAC/DCコンバータ4の出力側に供給される。
【0038】
このように電源供給がなされている支持部材21に集塵部材22が挿入されると、集塵部材22の端子202と支持部材21の端子108とが物理的に接続されることによって、端子108,202を介して、AC/DCコンバータ4の出力側と電線201が電気的に接続される。このとき、スイッチ104をONとすることにより、支持部材21では、商用電源からの交流電源がAC/DCコンバータ4に供給される。
【0039】
そして、AC/DCコンバータ4は、その出力側に接地用端子109からの接地電位が供給されるため、この接地電位を基準とした高電位(例えば、1〜10kV)を端子108に出力する。よって、集塵部材22の端子202にAC/DCコンバータ4からの直流の高電位が供給されるため、電線201によって並列に接続された複数本の電線3に対して直流の高電位が供給されることとなる。これにより、集塵部材22の壁面と対向する面が集塵面として働き、当該集塵面で塵埃の捕集が成される。
【0040】
又、集塵部材22の捕集した塵埃を除去するために支持部材21より取り外すときは、まず、主電源スイッチとなるスイッチ104をOFFとすることで、AC/DCコンバータ4への電源供給を遮断して、AC/DCコンバータ4による直流高電圧の生成を停止する。その後、上述のように、集塵部材22を支持部材21から引き抜くことにより、感電を防止した状態で集塵部材22を取り外すことができる。
【0041】
このように構成するとき、端子108が溝105〜107のいずれかに設けられ、端子202は、溝105〜107に挿入される集塵部材22の端部において、端子108と接続可能な位置に設けられる。この端子108,202について、その一方を凸状とするとともに、他方を凹状とすることで、端子108,202の一方に他方が嵌め込まれる構成とするものとしてもよい。このとき、溝105,106などといった、溝107の底以外に、端子108が設けられる場合は、更に、凸状となる端子については、突起した方向に付勢されるとともに、集塵部材22の端部を溝105,106にスライドさせるために、支持部材21又は集塵部材22内部に押し込まれて収容可能な構成とされる。
【0042】
尚、本実施形態においては、集塵部材22が天井面側にスライド可能な構成とすることで、支持部材21より分離可能な構成としたが、支持部材21の床面側の支持部103に可動部材を設けて、当該可能部材を床側に開いた後に、集塵部材22を床面側にスライドさせて支持部材21より分離可能な構成としてもよい。同様に、集塵部材22を床面に対して水平な方向にスライドさせて支持部材21より分離させる構成としてもよい。
【0043】
<第2の実施形態>
本発明における第2の実施形態の集塵装置について、図面を参照して説明する。図10は、本実施形態の集塵装置を壁に取り付けたときの構成を示す外観斜視図であり、図11は、図10の集塵装置における塵埃の除去を行うために開いたときの外観斜視図である。又、図12は、図10の集塵装置の支持部材と集塵部材との関係を示す図であり、図13は、図10の集塵装置における回路構成を示す概略図である。尚、本実施形態の集塵装置の構成において、第1の実施形態の集塵装置(図7〜図9)の構成と同一の目的で使用する部分については、同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0044】
図10に示すように、本実施形態の集塵装置1は、第1の実施形態の支持部材21(図7参照)と異なり、壁面に対して垂直に突設された棒状の2本の支持部材21a,21bによって構成される。即ち、支持部材21a,21bは、第1の実施形態の支持部材21の接続部101,102に相当する位置に設置され、その長手方向が、床面に対して垂直であり、且つ、敷設される壁面に対して平行となる。
【0045】
そして、壁面から離れて取り付けられる集塵部材22aは、壁に取り付けられた支持部材21aの壁側と離れた端部に接続されるとともに、支持部材21a,21bに挟持されることで、その集塵面が壁面と対向するように固定される。この集塵部材22aの集塵面(壁面と対向する表面)の裏側が、第1の実施形態の支持部材21における壁部100に相当し、その表面に化粧材による装飾が施される。
【0046】
又、支持部材21aは、集塵部材22aとの接続部分において、集塵部材22aを回転させる回転軸111を備え、集塵部材22aは、この回転軸111を中心に回転することで、図11に示すように、支持部材21bに対して開くことができる。一方、支持部材21bは、壁と逆側の端部において、集塵部材22aの回転軸111との接続部分と逆側の端部を保持するための構造を備える。即ち、支持部材21bは、壁面より突設された棒状の固定部112と、固定部112の壁と逆側の端部に設けられるとともに回動可能な可動部113と、可動部113を固定部112との接続部分を中心に回転させる回転軸114とを備える。又、集塵部材22aは、支持部材21bによって保持される端部において、固定部112と可動部113とによって挟持される突起部203を備える。
【0047】
このように構成されるとき、図10のように、集塵部材22aが支持部材21a,21bによって挟持されるようにして固定されることで、第1の実施形態と同様、集塵部材22aと壁面との間の空間に、自然対流によって運ばれる帯電した塵埃が流入する。この帯電した塵埃が、集塵部材22aと壁面との間の空間を通過することにより、集塵部材22aの集塵面で捕集される。
【0048】
又、集塵部材22aの集塵面で捕集された塵埃の量が多くなり、その集塵能力が低下すると、本実施形態においては、集塵部材22aを、回転軸111を中心に開くことによって、集塵部材22aの集塵面を室内側に開放することができる。即ち、集塵部材22aによる集塵が行われているときは、図10のように、支持部材21bに集塵部材22aが保持された状態とされる。そして、集塵部材22aの集塵面における塵埃の除去を行うときは、図11のように、支持部材21bから集塵部材22aを取り外して、支持部材21aとの接続部分を中心に回転させて、集塵部材22aの集塵面を室内側に開放する。
【0049】
この集塵部材22aの開閉について、図12を参照にして以下に説明する。尚、図12は、天井面から見た集塵機1の上面図であり、(a)が、支持部材21bにより集塵部材22aが保持されている状態を示し、(b)が、支持部材21bによる集塵部材22aの保持が解除された状態を示し、(c)が、集塵部材22aを開いた状態を示す。
【0050】
まず、支持部材21bにおける構成を簡単に説明する。上述したように、支持部材21bは、壁より突設された固定部112の端部に、回転軸114を中心に回動する可動部113を備えた構成である。そして、図12(a)に示すように、可動部113は、床面に対して平行な断面がL字状とされ、回転軸114から離れた部分を支持部材21a側に突起した形状となる。又、回転軸114は、固定部112の端部における中心位置から外側(支持部材21aと反対側)の位置に設けられる。又、集塵部材22aの支持部材21b側に設けられる突起部203が、集塵部材22aの集塵面側に設けられ、集塵部材22aの支持部材21b側の端部が、可動部113によって係止する形状とされる。
【0051】
このように構成されるとき、図12(a)に示すように、固定部112の端部の内側の面と可動部113の支持部材21a側への突起部分とがコの字状の面を作ることで、集塵部材22aの突起部203が挟持されることで、集塵部材22aが壁に対して平行に浮いた状態に固定される。この図12(a)の状態で集塵動作がなされた後、集塵部材22aで捕集した集塵の除去を行うために、集塵面の室内への開放を行うとき、まず、図12(b)のように、回転軸114を中心軸として可動部113を支持部材21bの外側に回転させる。
【0052】
これにより、集塵部材22aの突起部203の可動部113との接触面が開放された状態となるため、集塵部材22aの支持部材21bによる保持が解除された状態となる。よって、集塵部材22aが回転軸111を中心軸として回転可能となるため、次に、図12(c)のように、集塵部材22aを壁面から離れる方向に回転させる。これにより、集塵部材22aの集塵面を室内側に開放することができるため、集塵部材22aの集塵面の拭き取りが可能となり、捕集した塵埃の除去を行うことができる。
【0053】
このような構造を備えた集塵装置1の電気的な構成について、図13を参照して説明する。図13に示すように、集塵部材22aは、集塵装置22(図9参照)と同様、平行に配線された電線3と、電線3全てと接続された電線201とを備える。そして、この集塵部材22aは、集塵装置22(図9参照)と異なり、電線201と接続される端子202の代わりに、出力側が電線201と接続されるAC/DCコンバータ4と、外部で接地されることでAC/DCコンバータ4に接地電位を供給する接地用端子204と、AC/DCコンバータ4の入力側に接続された端子205とを備える。
【0054】
又、支持部材21bが、電源プラグ5と接続される電源用端子110と、端子205と物理的に接続されることでAC/DCコンバータ4と電気的に接続する端子115と、電源用端子110と端子115との間に接続された電線116とを備える。即ち、支持部材21bは、支持部材21(図9参照)と異なり、AC/DCコンバータ4及びスイッチ104を内蔵していない構成となる。
【0055】
更に、端子115が、支持部材21bの可動部113における集塵部材22aとの接触面側に設けられる。そして、端子115に端子205を接続可能とするために、集塵部材22aの可動部113との接触面における端子115との相対位置に、端子205が設置される。このように、支持部材21b及び集塵部材22aそれぞれに対して端子115,205を設けることによって、図12(a)、(b)のように、支持部材21bの可動部113を回動させることで、端子115,205の接続及び切断が成される。即ち、端子115,205と可動部113の構成によって、第1の実施形態におけるスイッチ104(図9参照)と同様の主電源スイッチが構成される。
【0056】
この図13のような電気的な構成が成されるとき、電源プラグ5がコンセントなどで商用電源と接続されることで、図12(a)のように、支持部材21bの可動部113により集塵部材22aが保持されている場合、商用電源が、支持部材21bの電源用端子110及び電線116を介して、端子115に接続される集塵部材22aの端子205に供給される。よって、集塵部材22a内のAC/DCコンバータ4に商用電源が供給されることとなり、接地端子204に与える接地電位を基準電位とした高電位が、電線201を介して電線3に供給される。これにより、集塵部材22aの壁面と対向する面が集塵面として働き、当該集塵面で塵埃の捕集が成される。
【0057】
又、集塵部材22aの捕集した塵埃を除去する場合は、上述したように、まず、支持部材21bを図12(b)に示すような構成とする。即ち、支持部材21bの可動部113を回転させ、可動部113の端子115と集塵部材22aの端子205との接続を切断する。これにより、集塵部材22a内のAC/DCコンバータ4への商用電源の供給が停止されるため、電線201を介した電線3への高電位の供給が停止される。よって、図12(c)のように、集塵部材22aを室内側に開いて、集塵面の塵埃の除去を行う際に、感電を防止することができる。
【0058】
尚、本実施形態では、床面に垂直な方向を長手方向とした回転軸111により集塵部材22aを開くものとしたが、床面に水平な方向を長手方向とした回転軸により集塵部材22aを開くものとしてもよい。このとき、集塵部材22aは、集塵装置1を天井側に取り付ける場合は、集塵装置1の天井側に回転軸を設けて床側が開くように構成し、集塵装置1を床側に取り付ける場合は、集塵装置1の床側に回転軸を設けて天井側が開くように構成してもよい。
【0059】
又、集塵部材22aの回転軸111と逆側の端部を保持するための構成については、上述の支持部材21bの構成に限定されるものではなく、支持部材21bと集塵部材22aとの接触面において係止用の部材を設けることで保持するものなど、他の構成としてもよい。更に、第1の実施形態と同様、AC/DCコンバータ4への電源供給の可否を決定するスイッチ104を備えるものとしてもよい。このスイッチ104を設ける場合、AC/DCコンバータ4を支持部材21a,21bのいずれかに設けるものとしてもよい。
【0060】
又、集塵部材22aに備えられたAC/DCコンバータ4を、集塵部材22aと常時接続されている支持部材21aに設ける構成としてもよい。このようにすることで、集塵部材22aが、電線による配線のみを備えた構成とすることができるため、集塵部材22aの軽量化を図ることができる。
【0061】
<第3の実施形態>
本発明における第3の実施形態の集塵装置について、図面を参照して以下に説明する。図14は、本実施形態における集塵装置の構成を示す概略断面図である。尚、本実施形態の集塵装置の構成において、第1の実施形態の集塵装置(図7〜図9)の構成と同一の目的で使用する部分については、同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0062】
図14に示すように、本実施形態の集塵装置1は、第1の実施形態の構成(図8(b)参照)に更に、支持部材21における支持部103よりも床側に設置されたライト23を備えた構成となる。このライト23は、壁面に埋め込まれたプラグ24に固定されることにより、電気的に接続される。その他の構成については、第1の実施形態と同様であるため、その詳細な説明は省略する。
【0063】
このように構成される集塵装置1によると、ライト23が加熱源として機能するため、ライト23により床側の空気を暖められることとなり、図14の矢印に示すように、暖められた空気が天井側へ移動する対流が強制的に生成される。即ち、集塵部材22と壁との空間を通過する空気を暖める構成とするために、ライト23が支持部材21の支持部103と壁との間に設けられ、図14の矢印に示す対流が強制的に生成される。これにより、ライト23の加熱により生成された対流に運ばれる塵埃を、集塵部材22の集塵面の上面に強制的に通過させることができる。
【0064】
又、ライト23として、例えば、複数の電球を用いた場合、床面及び壁面それぞれに平行となるように一列に配置することで、支持部材21における支持部103と壁の間における空気の流入口に対して、むらなく対流を発生させることができる。そして、この一列に配置した複数の電球を透明な樹脂カバーによって覆うことによって、床側の照明器具を構成することができる。又、このライト23として、図14のような電球によるものではなく、その長手方向が床面及び壁面それぞれに平行となるように設置された蛍光灯によって構成されるものとしてもよい。
【0065】
尚、本実施形態では、照明器具としても機能するライト23によって、特徴となる加熱源を構成するものとしたが、床側の空気を暖めて集塵部材22の集塵面上を通過させる対流を生じさせる加熱源であれば、他の構成であってもよい。よって、例えば、床下に電熱線などを配置することで、床面から天井に向かって強制的な対流を生じさせる加熱源であってもよい。
【0066】
又、本実施形態について、第1の実施形態の構成に追加したものとしたが、第2の実施形態の構成(図10〜図13)に対しても、本実施形態の特徴であるライト23による加熱源を追加することによって、集塵部材22aの集塵面上を通過させる対流を生じさせることができる。即ち、第2の実施形態における構成に対して、集塵部材22aの床側の端部よりも床側における、集塵部材22aの集塵面と壁との間となる位置に、ライト23を設置することによって、集塵部材22aの集塵面上を通過させる対流を生じさせることができる。
【0067】
<第4の実施形態>
本発明における第4の実施形態の集塵装置について、図面を参照して以下に説明する。図15は、本実施形態における集塵装置の構成を示す概略断面図である。尚、本実施形態の集塵装置の構成において、第1の実施形態の集塵装置(図7〜図9)の構成と同一の目的で使用する部分については、同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0068】
図15に示すように、本実施形態の集塵装置1は、第1の実施形態の構成(図8(b)参照)に更に、集塵部材22における集塵面と対向する壁面上に設置された導体板25を備えた構成となる。この導体板25は、AC/DCコンバータ4に与えられる接地電位と同一の接地電位が供給され、AC/DCコンバータ4から高電位が供給される電線3による電界強度を大きくすることができる。その他の構成については、第1の実施形態と同様であるため、その詳細な説明は省略する。
【0069】
このように構成される集塵装置1において、接地電位が与えられる導体板25が設置されることで、上述したように、電線3による電界強度を大きくすることができるため、帯電した塵埃に対する静電気力を強くすることができ、結果的に、塵埃の捕集能力を高めることができる。この導体板25は、図15に示すように、壁面上に設置するものとしてもよいし、壁面内部に設置するとともに、壁面が絶縁材料で形成されるものとしてもよい。
【0070】
尚、導体板25は、電線3に対向する位置に設置されることが望ましいが、電線3の配線と類似した形状とする必要はない。即ち、電線3の形状としては、図1や図4のような電線3の配線と同様のパターンによる形状としてもよいし、図5に示すような形状としてもよい。又、本実施形態においても、第3の実施形態と同様、第2の実施形態の構成(図10〜図13)に対しても、本実施形態の特徴となる導体板25を追加することで、本実施形態における効果を得ることができる。
【0071】
<第5の実施形態>
本発明における第5の実施形態の集塵装置について、図面を参照して以下に説明する。図16は、本実施形態における集塵装置の構成を示す外観斜視図であり、図17が、本実施形態の集塵装置における回路構成を示す概略図である。尚、本実施形態の集塵装置の構成において、第1の実施形態の集塵装置(図7〜図9)の構成と同一の目的で使用する部分については、同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0072】
図16に示すように、本実施形態の集塵装置1は、第1〜第4の実施形態のように浮き壁を構成するものではなく、床面側の壁上に設置された巾木50として構成される。即ち、第1の実施形態における集塵部材22(図9参照)と同様、図17に示すように、絶縁材料となる巾木50の内部に、床面と平行となるように配線された電線3を備えるとともに、この電線3それぞれを並列に接続するための電線201を備える。
【0073】
そして、この電線201は巾木50の設置された壁の内部にまで配線され、壁の内側に設置されたAC/DCコンバータ4の出力側に接続される。又、AC/DCコンバータ4は、出力側に接地電位が与えられるとともに、その入力側がスイッチ104と接続されことで、スイッチ104を介して商用電源が入力される構成となる。更に、スイッチ104は、その操作部分が壁面に現れるように、壁内部に埋め込まれた構成とされる。
【0074】
このような構成とすることで、スイッチ104により主電源をONとすると、AC/DCコンバータ4に商用電源が供給されるため、巾木50内部に配線された電線3へ高電位が供給されることとなる。よって、巾木50の室内側の表面が集塵面として機能し、巾木50の近傍に存在する帯電した塵埃が、巾木50の集塵面に付着して捕集される。このとき、巾木50が床側に設置されるため、床面に落下している帯電した塵埃についても、集塵することができる。
【0075】
そして、巾木50の集塵面に捕集された塵埃の量が多くなったとき、スイッチ104により主電源をOFFとし、AC/DCコンバータ4への電源供給を停止する。そして、集塵部材22の集塵面を拭き取るなどすることにより、集塵面に集塵された塵埃を容易に取り除くことができる。
【0076】
尚、本実施形態において、集塵装置1によって巾木50を構成するものとして説明したが、天井側の壁に設置される回り縁や、人の腰位置までに設置される腰壁などを構成するものとしてもよい。このとき、集塵装置1を回り縁として構成する場合、巾木や腰壁などと異なり、人体に触れにくい位置に設置されるため、集塵装置1の静電気による不快感を防ぐことができる。
【0077】
又、本実施形態において、図18(a)のように、巾木50を床面より天井側に配置するとともに、巾木50よりも床側に、加熱源となるライト23を設けることで、第4の実施形態の構成と同様の構成としてもよい。この第4の実施形態において特徴となる構成を追加した集塵装置を回り縁51に利用した場合は、図18(b)のように、天井側にライト23を配置することができるため、部屋全体の照明として活用することができる。
【0078】
更に、本実施形態において、図19(a)のように、巾木50の設置位置から離れた床面に、接地電位が与えられた導体板25を設置することで、第5の実施形態と同様の構成としてもよい。この第5の実施形態において特徴となる構成を追加した集塵装置を回り縁51に利用した場合は、図19(b)のように、天井面に導体板25を配置することができるため、導体対25を含む集塵装置に人体が触れない位置に設置することができる。
【産業上の利用可能性】
【0079】
本発明の集塵装置は、壁構造の一部を構成する建材に適用可能であり、壁側と対面させた表面で集塵する場合は、浮き壁として構成することができ、室内側の表面で集塵する場合は、壁の一部、巾木、回り縁、腰壁などとして構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】は、本発明の集塵装置の基本構成を示す概略図である。
【図2】は、図1の集塵装置を壁構造として室内に設置したときの状態を示す図である。
【図3】は、図1の集塵装置を構成するパネルの断面と塵埃の関係とを示す概略図である。
【図4】は、図1の集塵装置における電線の配線方法の別例を示す概略図であり、(a)がメアンダ状とした配線例を示し、(b)が渦巻き状の配線例を示す。
【図5】は、図1の集塵装置に用いる導体板の構成を示す概略図であり、(a)が平板形状とした導体板を示し、(b)が網目状の導体板を示す。
【図6】は、本発明の第1の実施形態における集塵装置の構成を示す外観斜視図である。
【図7】は、図6の集塵装置における支持部材の構成を示す外観斜視図である。
【図8】は、図6の集塵装置における概略断面図であり、(a)が、床面に平行な方向の断面図であり、(b)が、床面に垂直な方向の断面図である。
【図9】は、図6の集塵装置における回路構成を示す概略図である。
【図10】は、本発明の第2の実施形態における集塵装置の構成を示す外観斜視図である。
【図11】は、図10の集塵装置における集塵部材の開いた状態の構成を示す外観斜視図である。
【図12】は、図10の集塵装置における天井から見た上面図であり、(a)が、集塵部材が保持されている状態を示し、(b)が、集塵部材の保持が解除された状態を示し、(c)が、集塵部材を開いた状態を示す。
【図13】は、図10の集塵装置における回路構成を示す概略図である。
【図14】は、本発明の第3の実施形態における集塵装置の構成を示す概略断面図である。
【図15】は、本発明の第4の実施形態における集塵装置の構成を示す概略断面図である。
【図16】は、本発明の第5の実施形態における集塵装置の構成を示す外観斜視図である。
【図17】は、図16の集塵装置における回路構成を示す概略図である。
【図18】は、第5の実施形態における集塵装置に第3の実施形態の集塵装置の構成を追加した例を示す概略断面図である。
【図19】は、第5の実施形態における集塵装置に第4の実施形態の集塵装置の構成を追加した例を示す概略断面図である。
【符号の説明】
【0081】
1 集塵装置
2 パネル
3 電線
4 AC/DCコンバータ
5 電源プラグ
6 床
7 塵埃
21,21a,21b 支持部材
22,22a 集塵部材
23 ライト
24 プラグ
25 導体板
50 巾木
51 回り縁
100 壁部
101,102 接続部
103 支持部
104 スイッチ
105〜107 溝
108,115 端子
109 接地用端子
110 電源用端子
111,114 回転軸
112 固定部
113 可動部
116 電線
201 電線
202,205 端子
203 突起部
204 接地用端子
【特許請求の範囲】
【請求項1】
壁に設置されたパネルと、
前記パネル内部に配線された電線と、
前記電線に対して直流高電位を印加する直流高圧電源と、
を備えた集塵装置であって、
前記直流高圧電源により前記直流高電位が一端に印加される電線の他端を電気的に開放し、対流により前記パネル近辺に移動する帯電した塵埃を前記パネルの表面に付着させて捕集することを特徴とする集塵装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記パネルの少なくとも表面が絶縁体である樹脂材によって構成されていることを特徴とする集塵装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2において、
前記パネルと前記壁との間に間隙を設けて、前記パネルの前記壁との対向する表面に塵埃を捕集することを特徴とする集塵装置。
【請求項4】
請求項3において、
前記壁を接地電位とすることを特徴とする集塵装置。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれか一項において、
前記パネルの表面に沿って塵埃を通過させる対流を発生する加熱源を更に備えることを特徴とする集塵装置。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のいずれか一項において、
前記パネルにおける、少なくとも塵埃を捕集する表面を含む一部が、取り外し可能な構造であることを特徴とする集塵装置。
【請求項1】
壁に設置されたパネルと、
前記パネル内部に配線された電線と、
前記電線に対して直流高電位を印加する直流高圧電源と、
を備えた集塵装置であって、
前記直流高圧電源により前記直流高電位が一端に印加される電線の他端を電気的に開放し、対流により前記パネル近辺に移動する帯電した塵埃を前記パネルの表面に付着させて捕集することを特徴とする集塵装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記パネルの少なくとも表面が絶縁体である樹脂材によって構成されていることを特徴とする集塵装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2において、
前記パネルと前記壁との間に間隙を設けて、前記パネルの前記壁との対向する表面に塵埃を捕集することを特徴とする集塵装置。
【請求項4】
請求項3において、
前記壁を接地電位とすることを特徴とする集塵装置。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれか一項において、
前記パネルの表面に沿って塵埃を通過させる対流を発生する加熱源を更に備えることを特徴とする集塵装置。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のいずれか一項において、
前記パネルにおける、少なくとも塵埃を捕集する表面を含む一部が、取り外し可能な構造であることを特徴とする集塵装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2009−172543(P2009−172543A)
【公開日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−15924(P2008−15924)
【出願日】平成20年1月28日(2008.1.28)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年1月28日(2008.1.28)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】
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