説明

集塵装置

【課題】水を供給して塵埃を捕集する集塵装置において、ユーザへの負担を増大させることなく、供給される水の後処理を容易に行うことが可能な集塵装置を提供する。
【解決手段】電気掃除機100は、本体部5と、塵埃を含む空気を本体部5の外から内部に流入させるための流通路と、流通路に接続するように本体部5内に配置され、流通路に吸気を発生させるブラシモータ部530と、流通路に配置され、ブラシモータ部530によって発生した吸気から塵埃を分離して捕集するサイクロン集塵部550とを備え、サイクロン集塵部550において、ブラシモータ部530によって発生した吸気を所定の期間通過させて、塵埃を乾燥させることによって、塵埃に含まれる水分を除去する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、一般的には集塵装置に関し、特定的には、たとえば、湿式電気掃除機に応用されるように、水を供給して塵埃を捕集する集塵装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、電気掃除機は乾式電気掃除機と湿式電気掃除機とに分類され、サイクロン式電気掃除機では、乾式サイクロン電気掃除機と湿式サイクロン電気掃除機とがある。
【0003】
サイクロン式電気掃除機においては、塵埃を含む吸気を円筒形のサイクロン集塵室の円周接線方向に送り込み、その遠心力によって気体である空気と固体である塵埃とを分離し、吸気中から塵埃を除去する。
【0004】
たとえば、特許第3158044号公報(特許文献1)に記載の湿式サイクロン電気掃除機は、超音波振動手段によって水を霧化する霧化部を備えており、霧化部で霧化された霧化水を吸引用モータの吸引力によってサイクロン集塵室の吸気管側に導入するように構成されている。このように構成されているので、霧化水をサイクロン集塵室内上方より螺旋状に降下するように供給して、塵埃を含む空気と霧化水とが混じり合い、塵埃に霧化水が吸着し、塵埃の凝集性を高め、微細塵を効率よく捕集することができる、と上記の公報には記載されている。
【特許文献1】特許第3158044号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
サイクロン集塵部に水分を付加する従来の湿式サイクロン電気掃除機においては、サイクロン集塵室内に水分が残留する。このため、サイクロン集塵室内で菌の繁殖やカビの発生、異臭が発生するなどの問題がある。この問題に対処するために、ユーザは掃除後にサイクロン集塵室内に残留した水分を取り除かなければならない。また、ユーザにとっては外部からではサイクロン集塵室内に水が残留しているか、塵埃がまだ湿っているかがわからないので、掃除を行うタイミングがわかりづらい。このため、菌の繁殖やカビの発生、異臭が発生してしまうこと、必要以上にサイクロン集塵室を掃除することによるユーザーへの負担の増加、メンテナンス時間の増加という問題がある。
【0006】
この問題を解決するために、電子加熱等の加熱方法を用いて乾燥させるという対策が考えられる。
【0007】
しかしながら、この対策では、電子加熱等の加熱手段を用いるため、電力消費量が増加し、電気代の増加などのユーザへの負担、ひいては地球環境の悪化にもつながる。
【0008】
また、従来の電気掃除機は、吸引用送風機によって吸引された塵埃を含む空気は、モータを冷却するために、モータの回転部とブラシ部を通過し、熱を掃除機本体の外部へ排出するように構成されている。このため、上述のように電子加熱等で加熱を行う場合、加熱された気流がモータ部分を通過するため、モータの十分な冷却が行われず、モータ性能の低下によって吸い込み仕事率が低下し、これに伴って掃除効率が低下し、電気代の増加などのユーザへの負担、さらにモータ寿命の短縮を引き起こす等の問題がある。
【0009】
なお、従来の湿式サイクロン電気掃除機では、水分を供給するために水分供給部としての給水タンクに常に貯水しておかなければならない。このため、掃除後に給水タンク内の水を使い切っていない場合、余った水は菌の繁殖やカビの発生、異臭の発生を引き起こしてしまう。これにより、掃除をするたびに給水タンクに水を入れ、掃除後に水を捨てるという手間がかかり、ユーザへの負担が大きくなる。また、必要以上の水を給水タンクに貯水した状態で掃除を行うため、電気掃除機本体の重量は重くなり、掃除を行う際に、取り回しがしづらくなるなどの操作性の悪化により、ユーザへの負担が大きくなる。さらに、掃除に使用しなかった水は無駄になり、水道代の増加、ひいては地球環境の悪化にもつながるという問題がある。
【0010】
そこで、この発明の目的は、水を供給して塵埃を捕集する集塵装置において、ユーザへの負担を増大させることなく、供給される水の後処理を容易に行うことが可能な集塵装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この発明に従った集塵装置は、本体と、塵埃を含む空気を本体の外から内部に流入させるための流通路と、この流通路に接続するように本体内に配置され、流通路に吸気を発生させる送風機と、流通路に配置され、送風機によって発生した吸気から塵埃を分離して捕集する集塵部とを備える。集塵部において、送風機によって発生した吸気を所定の期間通過させて、塵埃を乾燥させることによって、塵埃に含まれる水分を除去する。
【0012】
このようにして、水分を含む塵埃を送風機によって発生した吸気で乾燥させることによって、塵埃中の水分は、所定の期間の内にある程度乾燥によって除去されていくため、集塵部に水分が残留し難く、サイクロン集塵部内で菌の繁殖やカビの発生、異臭が発生するなどの問題を起こし難い集塵装置が得られる。また、塵埃中の水分は、所定の期間の内にある程度乾燥によって除去されていくため、集塵部に水分が残留し難いので、掃除後に水分を取り除くというメンテナンスを軽減することが可能な集塵装置が得られる。このため、供給される水の後処理を容易に行うことが可能である。さらに、塵埃と、塵埃が通過する流通路や集塵部の内壁等の経路内を吸気によって乾燥することができるので、集塵部内で菌の繁殖やカビの発生、異臭の発生等を防止することができる。さらにまた、塵埃に含まれる水分は、所定の期間内に集塵部内を流れる気流で乾燥されることによって除去されるので、電子加熱等の加熱方法を必要としない。これにより、電力消費量の増加がなく、電気代の増加などのユーザへの負担、ひいては地球環境の悪化を引き起こすことのない、経済的で環境にもやさしい集塵装置が得られる。
【0013】
この発明の集塵装置は、集塵部が配置される位置よりも上流側の流通路に水を供給する水供給部をさらに備え、水供給部は、所定の期間で乾燥することが可能な水の量を供給することが好ましい。
【0014】
このように、水供給部は、所定の期間で乾燥することが可能な水の量を供給するので、集塵部に水分が残留しないようにすることができ、集塵部内で菌の繁殖やカビの発生、異臭の発生などの問題を引き起こさない集塵装置を得ることができる。
【0015】
また、この発明の集塵装置は、集塵部に配置され、塵埃の量を検知する塵埃量検知部をさらに備え、塵埃量検知部は、検知された塵埃の量に基づいて、水供給部が供給する水の量を決定することが好ましい。
【0016】
このように、塵埃量検知部が、検知された塵埃の量に基づいて、水供給部が供給する水の量を決定することによって、塵埃の量に応じて水供給部が供給する水の量を最適化することができるので、必要以上の水を水供給部に貯水する必要がない。これにより、塵埃から水を蒸発または乾燥によってより短い期間で除去することができるので、水の後処理をより容易に行うことができる。また、貯水によって集塵装置本体の重量は重くなることがなく、たとえば、本発明の集塵装置を電気掃除機に適用した場合、掃除を行う際に、取り回しがしづらくなるなどの操作性が悪化することがないので、ユーザへの負担が少なくなる。また、水供給部に不要な水が余ることがないので、水を無駄にすることがなく、水道代の増加によるユーザへの経済的負担が少なくなり、ひいては地球環境の悪化を防ぐことができる。
【0017】
この発明の集塵装置は、集塵部が配置される位置よりも上流側の流通路に配置され、塵埃の量を検知する塵埃量検知部をさらに備え、塵埃量検知部は、検知された塵埃の量に基づいて、水供給部が供給する水の量を決定することが好ましい。
【0018】
このように構成することにより、塵埃量検知部を集塵部に配置する場合と同様の上述した作用効果を達成することができるだけでなく、たとえば、集塵部がサイクロン集塵室で構成され、塵埃量検知部を集塵部に配置する場合に比べて、複雑に流れていない気流中に含まれる塵埃を検出することができるので、塵埃推定量の精度の低下、誤差の拡大を防ぐことができる。
【0019】
この発明の集塵装置は、集塵部が配置される位置よりも下流側に配置され、気流に含まれる水分の量を検出することにより乾燥状態を検知する乾燥状態検知部をさらに備え、乾燥状態検知部によって検知された乾燥状態に基づいて、所定の期間を決定することが好ましい。
【0020】
このように構成することにより、乾燥状態に応じて塵埃の乾燥期間を制御することができるので、集塵部内に水分が残留するのを防止することができるだけでなく、より効率的に、より精度よく、塵埃に含まれる水分を除去するための乾燥を行うことができる。
【0021】
この発明の集塵装置は、集塵部が配置される位置よりも上流側の流通路に水を供給する水供給部をさらに備え、水供給部は、空気を冷却し、空気中の水蒸気を凝結させることによって得られた水を用いて、水粒子を供給することが好ましい。
【0022】
このように構成することによって、ユーザが給水することなく、集塵部が配置される位置よりも上流側の流通路に水を供給することができる。このため、水を水粒子供給部に貯水する必要がない。これにより、貯水によって集塵装置本体の重量は重くなることがなく、たとえば、本発明の集塵装置を電気掃除機に適用した場合、掃除を行う際に、取り回しがしづらくなるなどの操作性が悪化することがないので、ユーザへの負担が少なくなる。また、ユーザが水を供給する必要がないので、掃除をするたびに給水タンクに水を入れ、掃除後に水を捨てるという手間がなくなり、ユーザへの負担が小さくなる。さらに、ユーザが給水することがないので、水を無駄にすることがなく、水道代の増加によるユーザへの経済的負担が少なくなり、ひいては地球環境の悪化を防ぐことができる。
【0023】
この発明の集塵装置において、集塵部は、送風機が配置される位置よりも下流側に配置されることが好ましい。
【0024】
このように、集塵部は、送風機が配置される位置よりも下流側に配置されるので、送風機用のモータの熱によって温められた気流によって乾燥される。このため、水分を含む塵埃の乾燥が促進されるので、乾燥効率を高めることができる。
【発明の効果】
【0025】
以上のようにこの発明によれば、水を供給して塵埃を捕集する集塵装置において、水分を含む塵埃を送風機によって発生した吸気で乾燥させることによって、塵埃に含まれる水分を所定の期間内に除去することができるので、ユーザへの負担を増大させることなく、供給される水の後処理を容易に行うことが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、この発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0027】
図1は、この発明の集塵装置の一例として電気掃除機の概略的な構成を示す図である。
【0028】
図1に示すように、電気掃除機100の吸込口1は床面F上の塵埃を吸気とともに吸い込む。吸込口1の出口側には真直な円筒状の吸引パイプ2の一端が接続されている。吸引パイプ2の他端には、取手を有し、中途にて若干折れ曲がった接続パイプ3の一端が接続されている。接続パイプ3の他端には、折り曲げ自在のサクションホース4の一端が接続されている。さらに、サクションホース4の他端には、電気掃除機100の本体部5が接続されている。
【0029】
本体部5は、略直方体をなす筐体510と、筐体510の側面に回転自在に設けられ、筐体510を床面F上にて移動自在に支持する車輪520を備えており、筐体510内には後述の集塵部、吸引用送風機、電気集塵機、コードリール、吸引用送風機の通電を制御する制御回路等が収容されている。
【0030】
なお、図1においては、塵埃を含んだ気流の流れが矢印で示されている。矢印Pで示すように吸込口1から流入した気流は、吸引パイプ2を通じて、矢印Qで示すように接続パイプ3、サクションホース4の順に吸引経路を流れた後、矢印Rで示すように本体部5内に吸引されて塵埃を除去され、モータを冷却した後に矢印Sで示すように本体部5の外部へ排気される。吸込口1、吸引パイプ2、接続パイプ3およびサクションホース4は、塵埃を含む空気を本体部5の外から内部に流入するための流通路の一部を構成する。
【0031】
集塵部としては、集塵袋方式とサイクロン方式が知られている。
【0032】
集塵部としてサイクロン集塵部を備えた電気掃除機においては、掃除機本体内のサイクロン集塵部による遠心分離によって塵埃を分離捕集し、塵埃が捕集され、清浄になった空気を掃除機本体外部へ排気する。また、サイクロン集塵部は、外径が数μm未満の塵埃に対しては原理的に集塵効率が低下するため、微細な塵埃は捕集されずに排出される。そのため、吸引用送風機の一例であるブラシモータに塵埃が入り込むのを防止するための高性能集塵フィルタをブラシモータの上流に配置している。
【0033】
図2は、図1に示す電気掃除機がサイクロン式電気掃除機である場合の本体部の構成を模式的に示す図である。
【0034】
図2に示すように、サイクロン式電気掃除機では、筐体510内には、吸引用送風機の一例であるブラシモータ部530と、ブラシモータ部530の上流側に配置されたHEPAフィルタ540と、集塵部の一例であるサイクロン集塵部550とが配置されている。ブラシモータ部530は、流通路の一部を構成するサクションホース4に連通するように接続され、筐体内510内に配置されて、サクションホース4を通じる流通路に吸気を発生させる。サイクロン集塵部550は、流通路に配置され、ブラシモータ部530によって発生した吸気から塵埃を分離して捕集する。
【0035】
サイクロン集塵部550は、集積室551と、集積室551の上流側に配置された入口筒552と、集積室551の下流側に配置された外筒553と、外筒553の下流側に接続された連絡筒554とから構成される。吸引経路としての流通路の一部を構成するサクションホース4は入口筒552に接続されている。外筒553と集積室551の内部の空間は連通するように形成されている。流通路の一部を構成する連絡筒554は、HEPAフィルタ540を介してブラシモータ部530に接続されている。
【0036】
サイクロン集塵部550に流入した塵埃を含む吸気は、入口筒552から集積室551へ流入する。集積室551へ流入した吸気は、集積室551が円筒形状であるため旋回気流となり、中心軸近傍の強制渦領域とその外周側の準自由渦領域とを形成しながら、その経路構造と重力とにより下向きに流れていく。このとき、遠心力が塵埃に作用するため、例えば外径が3μm以上の塵埃は集積室551の内壁に押し付けられて吸気から分離され、下降する気流に沿って集積室551に集められる。その後、気流は上昇に転じ、外筒553、連絡筒554を通じて、HEPAフィルタ540へ流入する。
【0037】
サイクロン集塵部550は、数μm以上の塵埃に対しては高い捕集効率を有しているが、これ以下の大きさの塵埃の捕集についてはあまり効果的ではない。そのため、HEPAフィルタ540によってサイクロン集塵部550で捕集できない微細な塵埃を捕集する。
【0038】
この発明の実施の形態では、図2に示すように、サイクロン集塵部550が配置される位置よりも上流側の流通路に、この例では、入口筒552に連通するように水供給部として水分供給部560が配置されている。この水分供給部560により、サイクロン集塵部550に捕集された塵埃に水分が付加される。たとえば、水分供給部560は、吸引用送風機としてのブラシモータ部530による吸引圧力によって、外部から吸引される空気に水を混入して供給する。
【0039】
この発明の実施の形態の電気掃除機100では、たとえば、上記のようにして水分供給部560により塵埃に含ませられた水分は、ブラシモータ部530によって発生した吸気を所定の期間通過させて、サイクロン集塵部550において塵埃を乾燥させることによって除去できることは、発明者が鋭意検討し、以下の実験の結果による知見に基づいてなされるものである。
【0040】
図10は、本発明の集塵装置の構成の基礎となる実験結果として、図2に示される電気掃除機の本体部において水分を水分供給部560から供給した後、ブラシモータ部530によって発生した吸気による乾燥を行った場合の乾燥時間と、乾燥率との関係を示す図である。この実験結果を得るための測定は、JIS C 9802に規定された家庭用電気掃除機の性能測定法に基づいてなされたものである。具体的には、塵埃1gを吸引後、1ミリリットルの水分を供給し、乾燥率(乾燥率[%]=(水分付加前の塵埃重量)/(水分付加後の塵埃重量))の時間的推移を測定した。
【0041】
図10に示す実験結果から、6〜7分後には、乾燥率が90%以上になっているので、塵埃に含まれる水分は、ブラシモータ部530によって発生した吸気による塵埃の乾燥で、ほぼ除去されているものと考えられる。
【0042】
なお、図10に示される傾向は、塵埃量や塵埃の種類によって多少変化するが、塵埃量や塵埃の種類を変更しても概ね同様の傾向が得られた。
【0043】
なお、上記の実験結果は、サイクロン式電気掃除機を用いた場合の結果であるが、遠心力を利用しない、たとえば、集塵袋方式のダイレクト集塵式電気掃除機を用いた場合においても、上記と同様の結果が得られるものと考えられる。
【0044】
以上の実験結果に基づいて、この発明の集塵装置の一例である電気掃除機の各実施形態を説明する。
【0045】
(実施形態1)
本実施形態においては、図2に示される電気掃除機の本体部においてサイクロン集塵部550に捕集された塵埃に含まれる水分が、ブラシモータ部530によって発生した吸気による乾燥で除去される。
【0046】
捕集された塵埃に含まれる水分を乾燥する手段としては、例えば使用者による運転停止を検知し、運転停止後30秒間乾燥のためにブラシモータ部530の空運転を行うなどが考えられる。また、制御装置にこの一連の動作を自動にて行わせる等の方法がある。
【0047】
乾燥期間は、上記の30秒間に限らず、塵埃に含まれる水分を少なくとも一部でも除去するための期間であればよい。
【0048】
また、乾燥時のブラシモータ部530の空運転は、上記の通常回転数による運転の他にモータの回転数を低下させたモード、例えば掃除作業運転時の30000回転/分に対して、乾燥のための空運転時には、10000回転/分などの別運転モードに設定してもよい。
【0049】
この実施形態によれば、塵埃中の水分は、一定時間のブラシモータ部530の空運転の内にある程度乾燥によって除去されていくため、サイクロン集塵部に水分が残留し難く、サイクロン集塵部内で菌の繁殖やカビの発生、異臭が発生するなどの問題を起こし難い湿式サイクロン電気掃除機が得られる。また、塵埃中の水分は、一定時間のブラシモータ部530の空運転の内にある程度乾燥によって除去されていくため、サイクロン集塵部に水分が残留し難いので、掃除後に水分を取り除くというメンテナンスを軽減することが可能なサイクロン電気掃除機が得られる。
【0050】
また、塵埃に含まれる水分は、一定時間内にサイクロン集塵部550内を流れる気流によって乾燥されるため、電子加熱等の加熱方法を必要としない。このため、電力消費量の増加がなく、電気代の増加などのユーザへの負担、ひいては地球環境の悪化を引き起こすことのない、経済的で環境にもやさしいサイクロン電気掃除機が得られる。
【0051】
さらに、乾燥時の空運転では、モータの回転数を低くすることにより、電気代の増加や騒音などを防ぐことが可能な湿式サイクロン電気掃除機が得られる。
【0052】
さらにまた、電子加熱等の加熱方法を必要としないので、電子加熱等で加熱を行う場合に発生していた、加熱された気流がモータ部分を通過するためにモータの十分な冷却が行われず、モータ性能が低下すること、これに伴って吸い込み仕事率が低下し、掃除効率の低下と電気代の増加などのユーザへの負担、さらにモータ寿命の短縮等の問題を引き起こさない湿式サイクロン電気掃除機が得られる。
【0053】
(実施形態2)
図3は、本発明の実施形態2に係る電気掃除機の本体部の構成を模式的に示す図である。
【0054】
図3に示すように、本実施形態は、水分供給部560により、サイクロン集塵部550に捕集された塵埃に水分が付加される。塵埃量検知部570が、集塵部としてのサイクロン集塵部550に配置され、塵埃の量を検知する。サイクロン集塵部550に付加される水分量は、塵埃量検知部570により推定された塵埃量から算出される水分量である。その他の構成は、実施形態1と同様である。
【0055】
塵埃量検知部570は、サイクロン集塵部550内に捕集されたゴミ容積を検出し、ゴミ容積から塵埃量を推定する。具体的には、一例として、サイクロン集塵部550においてダストカップの底面から集積された塵埃の高さを、赤外線発光素子と受光部とからなるセンサによって検出し、その検出された塵埃の高さと、ダストカップの容積とに基づいて塵埃量(重量)を算出する。
【0056】
水分量は、以下の実験結果に基づいて算出する。
【0057】
塵埃1g当たり1ミリリットルの水分を付加した場合、流量1.5m/minの空気を7分間、集塵部に流すこと、すなわち、10.5mの空気で十分に乾燥させること(乾燥率[%]=(水分付加前の塵埃重量)/(水分付加後の塵埃重量)=90[%]の場合に相当する)ができた。この結果に基づいて、上記で算出された塵埃量に対して、十分に乾燥可能な水分の付加量を算出する。
【0058】
このようにして塵埃量から算出される水分量は、付加した水分を電気掃除機内を流れる気流により一定時間(一回の掃除あたりの電気掃除機使用時間である7分以内)で乾燥することができ、また塵埃を水分により凝集することができる最適な水分量である。
【0059】
この実施形態によれば、供給された水分は、塵埃量から算出された最適水分量がサイクロン集塵部に供給されるため、一定期間内にサイクロン集塵部内は乾燥される。
【0060】
また、供給された水分は、塵埃量から算出された最適水分量であり、一定時間内に乾燥によって除去されるため、サイクロン集塵部550に水分が残留せず、サイクロン集塵部550内で菌の繁殖やカビの発生、異臭の発生などの問題を起こさない湿式サイクロン電気掃除機が得られる。
【0061】
さらに、供給された水分は、塵埃量から算出された最適水分量であり、一定時間内に乾燥によって除去されるため、掃除後にサイクロン集塵部550に水が残留しないため、掃除後に水分を取り除くというメンテナンスを必要としない湿式サイクロン掃除機が得られる。
【0062】
さらにまた、供給された水分は、塵埃量から算出された最適水分量であり、一定時間内にサイクロン集塵部550内を流れる気流によって乾燥されるため、電子加熱等の加熱方法を必要としない。このため、電力消費量の増加がなく、電気代の増加などのユーザへの負担、ひいては地球環境の悪化を引き起こすことのない、経済的で環境にもやさしい湿式サイクロン電気掃除機が得られる。
【0063】
供給された水分は、塵埃量から算出された最適水分量であるため、より短い乾燥期間で塵埃の乾燥を行うことができ、乾燥期間中の運転時における電気代の増加や騒音の増加、ユーザ拘束時間の増加が引き起こす掃除効率の低下などを防ぐことができる湿式サイクロン電気掃除機が得られる。
【0064】
供給された水分は、塵埃量から算出された最適水分量であり、一定時間内に掃除機内を流れる気流によって乾燥されるため、電子加熱等の加熱方法を必要としない。このため、電子加熱等で加熱を行う場合に発生していた、加熱された気流がモータ部分を通過するためにモータの十分な冷却が行われず、モータ性能の低下による吸い込み仕事率の低下に伴う掃除効率の低下、電気代の増加などのユーザへの負担、さらにモータ寿命の短縮等の問題を引き起こさない湿式サイクロン電気掃除機が得られる。
【0065】
・ また、水分供給部560より供給される水分が塵埃量に応じた最適な水分量であるため、必要以上の水分を貯水する必要がない。このため、電気掃除機本体の重量が重くなることはなく、掃除を行う際に、取り回しがし難くなるなどの操作性の悪化がなく、ユーザへの負担も少ない湿式サイクロン電気掃除機が得られる。
【0066】
さらに、水分供給部560より供給される水分が塵埃量に応じた最適な水分量であるため、水分を供給する水分供給部560に常に貯水しておく必要がない。このため、多量の水が水分供給部560に余ることがなく、水を無駄にすることなく、水道代の増加によるユーザの経済的負担、ひいては地球環境の悪化を防ぐことができる。
【0067】
なお、高性能集塵フィルタにおいても完全には捕集できない微細な塵埃は、付加した水分による液架橋力により凝集が促進される。微細な塵埃は、元々、分子間力やファンデルワールス力等により凝集しやすい性質を有しており、一度水分の助力によって凝集すると、水分が乾燥したとしても分散することはないと考えられる。これにより、高性能集塵フィルタにおいても完全には捕集できない微細な塵埃の捕集率が高い湿式サイクロン電気掃除機が得られる。
【0068】
また、上記の効果により、サイクロン集塵部550に捕集された塵埃を捨てる場合に起こる再飛散を抑制することができる。
【0069】
綿ゴミのような比較的比重の軽いゴミの場合、水分の付加により圧縮が促進されるため、より多くのゴミをサイクロン集塵部550に捕集することができる。一度、水分の助力によって圧縮された綿ゴミは、水分が乾燥しても、圧縮された状態がある程度保持されると考えられる。これにより、綿ゴミ等の体積の大きなゴミを圧縮することができるため、サイクロン集塵部550により多くのゴミを捕集することができる湿式サイクロン電気掃除機が得られる。
【0070】
(実施形態3)
図4は、本発明の実施形態3に係る電気掃除機の本体部の構成を模式的に示す図である。
【0071】
図4に示すように、本実施形態では、塵埃量検知部570が集塵部としてのサイクロン集塵部550よりも上流側の流通路である吸引経路、この例ではサクションホース4に配置されている。その他の構成は、実施形態1と同様である。
【0072】
塵埃量検知部570は、例えば、赤外線発光素子と受光部からなり、サイクロン集塵部550より上流の吸引経路を通過する気流に含まれる塵埃を検出する。サンプリング時間ごとの塵埃検出の出力を積算することによって、吸引した塵埃の量を推定する。サイクロン集塵部550に付加される水分量は、塵埃量検知部570により推定された塵埃量から算出される水分量である。塵埃の量と水分量の算出方法は、実施形態4と同様である。
【0073】
なお、上述した塵埃量検知部570は赤外線発光素子と受光部とからなる構成に限定されることなく、例えば、従来から用いられている羽根車等で機械的に計量する方式や赤外線レーザなどの反射を用いた電気的な計量方式を採用してもよい。
【0074】
この実施形態によれば、吸引経路を通過する気流に含まれる塵埃を検出することにより、吸引した塵埃量を推定することができる。実施形態2と同様の効果が得られる。また、塵埃量検知部570は、サイクロン集塵部550内に配置されていないので、サイクロン集塵部550内に塵埃検知部570を配置する実施形態4の場合に比べて、気流が複雑に流れていないので、塵埃量検知部570にゴミが詰まる等による精度低下や、塵埃推定量の誤差の拡大、ゴミが詰まった場合のメンテナンス等を行う必要がない。
【0075】
(実施形態4)
図5は、本発明の実施形態4に係る電気掃除機の本体部の構成を模式的に示す図である。
【0076】
図5に示すように、この実施形態では、乾燥状態検知部580は、集塵部としてのサイクロン集塵部550が配置される位置よりも下流側に配置され、気流に含まれる水分量を検出することにより、乾燥状態を検知する。その他の構成は、実施形態1と同様である。
【0077】
この実施形態によれば、水分供給部560から供給される水分は、塵埃の量に基づいて算出する必要はないので、塵埃量検知部が不要である。
【0078】
乾燥状態検知部580は、例えば、湿度センサを用いて構成され、外部の湿度とサイクロン集塵部550の下流側の気流の湿度とを比較することによって、乾燥状態を検知する。これにより、乾燥状態検知部の出力に基づいて、乾燥時間を制御することができる。
【0079】
たとえば、水分供給部560が水をサイクロン集塵部550に集積した塵埃に供給した後、乾燥状態検知部580が乾燥状態を検知するまでの間、水分供給部560による水の供給を停止する。これにより、サイクロン集塵部550内に水分が残留しないとともに、塵埃と、サイクロン集塵部550等の塵埃が通過する経路内とを乾燥することができる。
【0080】
なお、乾燥状態検知部580は、湿度センサを用いた構成に限定されず、気流中の水分量を検出することが可能なその他の装置で構成されてもよい。
【0081】
乾燥状態検知部580は、本実施形態のように配置される場合に限定されるものではなく、サイクロン集塵部550よりも下流側であれば、モータよりも上流側に配置されてもよい。
【0082】
この実施形態によれば、塵埃と、サイクロン集塵部550等の塵埃が通過する経路内を確実に乾燥することができるため、サイクロン集塵部550に水分が残留せず、サイクロン集塵部550内で菌の繁殖やカビの発生、異臭が発生するなどの問題を起こさない湿式サイクロン電気掃除機が得られる。
【0083】
また、掃除後にサイクロン集塵部550に水が残留しないため、掃除後に水分を取り除くというメンテナンスを必要としないサイクロン電気掃除機が得られる。
【0084】
さらに、塵埃量検知部を構成する赤外線発光デバイスなどよりも、乾燥状態検知部を構成する湿度センサなどの方が安価であり、本実施形態では塵埃量検知部が必要でないため、製造コストを抑えることができる。
【0085】
さらにまた、乾燥状態検知部の出力により、乾燥時間を制御することができるため、より効率的に、より精度よく、水分供給後の乾燥を行うことができる。
【0086】
(実施形態5)
図6は、本発明の実施形態5に係る電気掃除機の本体部の構成を模式的に示す図である。
【0087】
図6に示すように、この実施形態では、塵埃量検知部570をサイクロン集塵部550内に配置し、乾燥状態検知部580をサイクロン集塵部550が配置される位置よりも下流側に配置する。その他の構成は、実施形態1と同様である。塵埃量検知部570の機能は実施形態2で説明したものと同様であり、乾燥状態検知部580の機能は実施形態4で説明したものと同様である。
【0088】
この実施形態によれば、供給された水分は、塵埃量から算出された最適水分量がサイクロン集塵部550に供給され、乾燥状態検知部580により、水分供給後に気流の乾燥状態を検知することができるため、より効率的に、より精度よく、水分供給後の乾燥を行うことができる。すなわち、実施形態4で達成される作用効果をさらに効果的に達成することができる。
【0089】
(実施形態6)
図7は、本発明の実施形態6に係る電気掃除機の本体部の構成を模式的に示す図である。
【0090】
図7に示すように、塵埃量検知部570をサイクロン集塵部550が配置される位置よりも上流側の流通路に配置し、乾燥状態検知部580をサイクロン集塵部550が配置される位置よりも下流側に配置する。その他の構成は、実施形態1と同様である。塵埃量検知部570の機能は実施形態2で説明したものと同様であり、乾燥状態検知部580の機能は実施形態4で説明したものと同様である。
【0091】
この実施形態によれば、塵埃量から算出された最適水分量がサイクロン集塵部550に供給され、乾燥状態検知部580により、水分供給後に気流の乾燥状態を検知することができるため、より効率的に、より精度よく、水分供給後の乾燥を行うことができる。
【0092】
また、実施形態5の場合のようにサイクロン集塵部550内に塵埃検知部570を配置する場合は、気流が複雑に流れているため、塵埃量検知部570にゴミが詰まる等による精度の低下や、塵埃推定量の誤差の拡大、ゴミが詰まった場合のメンテナンス等を行う必要があるが、実施形態6によれば、これらの問題を解消することができ、実施形態5よりも乾燥効果をさらに高めることができる。
【0093】
(実施形態7)
図8は、本発明の実施形態7に係る電気掃除機の本体部の構成を模式的に示す図である。
【0094】
図8に示すように、サイクロン集塵部550に加えて、HEPAフィルタ591を含む集塵部590がモータの下流側に配置される。また、乾燥状態検知部580をサイクロン集塵部550が配置される位置よりも下流側に配置する。その他の構成は、実施形態8と同様である。
【0095】
この実施形態においては、集塵部590が、モータの下流にあるため、モータの熱によって温められた気流によって乾燥される。また、乾燥状態検知部580は、サイクロン集塵部550を流通する空気の乾燥状態も合わせて検知を行う。
【0096】
集塵部590が、モータの下流にあるため、モータの熱によって温められた気流によって乾燥されると同時に、集塵部590からの気流も乾燥状態検知部580によって監視される。サイクロン集塵部550における乾燥は実施形態6と同じであるが、集塵部590においては乾燥が促進される。
【0097】
また、供給された水分は、塵埃量から算出された最適水分量がサイクロン集塵部550に供給されるため、一定期間内にサイクロン集塵部550内は乾燥される。
【0098】
この実施形態によれば、モータの熱によって温められた気流によって乾燥を行うため、乾燥の効率が飛躍的に高まる。
【0099】
(実施形態8)
図9は、本発明の一つの実施形態として電気掃除機の本体部に適用される水分供給部の構成を模式的に示す図である。
【0100】
図9に示すように、水分供給部560は、水分結露部561と、水分結露部561で得られた水分を流通させる水分流通路562と、水分を計量する水分計量部563と、水分供給管565と、水分供給管565の内部に配置された弁564と、水分を霧化する霧化部566とから構成される。
【0101】
水分結露部561は、電子冷却、例えばペルチェ素子等を用いることにより、空気を冷却し、空気中の水分を結露し、水分を取得する。水分結露部561によって得られた水分は、水分計量部563によって計量され、弁564が開くことにより、供給される水分量を制御し、霧化部566へ水分を供給する。霧化部566は、図2に示すように入口筒552に連通するように接続される。
【0102】
水分計量部563は、例えば、赤外線発光素子と受光部からなるセンサによって水の高さを検出し、水分容積を算出する。
【0103】
水分計量部563で算出された水分量が、実施形態2にて算出した最適水分量に達すると、弁564を開放するように構成されている。
【0104】
なお、水分供給の手段としては、モータの吸気圧力を利用してもよく、あるいは、例えば、マイクロポンプ、圧電素子等によって構成された、少量の水分を供給するための装置を用いて、実施形態2にて算出された最適水分量を供給してもよい。
【0105】
上記のように構成された水分供給部560を用いることにより、ユーザが給水することなく、サイクロン集塵部に供給する水分を得ることができる。
【0106】
また、水分を供給する水分供給部に常に貯水しておく必要がないため、多量の水が水分供給部に余ることがなく、菌の繁殖やカビの発生、異臭の発生を引き起こすことがない湿式サイクロン電気掃除機が得られる。
【0107】
さらに、水分を供給する水分供給部に常に貯水しておく必要がないことにより、貯水部分を取り付ける必要がないため、電気掃除機本体の重量が重くなることはなく、掃除を行う際に、取り回しがし難くなるなどの操作性の悪化がなく、ユーザへの負担も少ない湿式サイクロン電気掃除機が得られる。また、製造コストを抑えることができる。
【0108】
さらにまた、ユーザが水を供給する必要がないため、掃除をするたびに、水分供給部に水を入れ、掃除後に水を捨てるという手間のかからない湿式サイクロン電気掃除機が得られる。水を給水する必要がないため、水を無駄にすることなく、水道代の増加によるユーザの経済負担、ひいては地球環境の悪化を防ぐことができる。
【0109】
(実施形態9)
実施形態9は、本発明の構成が、集塵装置の一例として空気清浄機に適用された場合の作用効果について説明する。
【0110】
高性能集塵フィルタにおいても完全には捕集できない微細な塵埃は、付加した水分による液架橋力により凝集が促進される。微細な塵埃は、元々、分子間力やファンデルワールス力等により凝集しやすい性質を有しており、一度水分の助力によって凝集すると、水分が乾燥したとしても分散することはないと考えられる。これにより、高性能集塵フィルタにおいても完全には捕集できない微細な塵埃の捕集率の高い空気清浄機が得られる。
【0111】
また、上記の効果により、集塵部に捕集された塵埃を取り除く場合に起こる再飛散を抑制することができる。
【0112】
綿ゴミのような比較的比重の軽いゴミの場合、水分の付加により圧縮が促進されるため、より多くの綿ゴミを集塵部に捕集することができる。一度、水分の助力によって圧縮された綿ゴミは、水分が乾燥しても、圧縮された状態がある程度保持されると考えられる。これにより、集塵部により多くの塵埃を捕集することができる空気清浄機が得られる。
【0113】
上述した電気掃除機の実施形態のように、供給される水分を塵埃量から算出された最適水分量にすることにより、供給された水分は一定時間内に乾燥によって除去されるため、集塵部に水分が残留せず、集塵部内で菌の繁殖やカビの発生、異臭が発生するなどの問題を起こさない空気清浄機が得られる。
【0114】
また、供給される水分を塵埃量から算出された最適水分量にすることにより、供給された水分は、一定時間内に空気清浄機内を流れる気流によって乾燥されるため、電子加熱等の加熱方法を必要としない。このため、電力消費量の増加がなく、電気代の増加などのユーザへの負担、ひいては地球環境の悪化を引き起こすことのない、経済的で環境にもやさしい空気清浄機が得られる。
【0115】
さらに、供給された水分は、一定時間内に空気清浄機内を流れる気流によって乾燥されるため、電子加熱等の加熱方法を必要としないので、電子加熱等で加熱を行う場合に発生していた問題が解消される。すなわち、加熱された気流がモータ部分を通過するためにモータの十分な冷却が行われないことによる問題として、モータ性能の低下による吸い込み仕事率の低下に伴う掃除効率の低下、それによる電気代の増加などのユーザへの負担、さらにモータ寿命の短縮を引き起こす等の問題を引き起こさない空気清浄機が得られる。
【0116】
以上の実施形態では、本発明の集塵装置が適用される例として、電気掃除機、空気清浄機について説明したが、少なくとも、送風機を用いて吸気から塵埃を分離する集塵装置を備えたものであれば、種々の機器に本発明の集塵装置を適用することができる。また、本発明の集塵装置は、サイクロン式電気掃除機だけでなく、集塵袋式電気掃除機にも適用することができ、上述した作用効果と同様の作用効果を達成することができる。
【0117】
以上に開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考慮されるべきである。本発明の範囲は、以上の実施の形態ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての修正と変形を含むものである。
【図面の簡単な説明】
【0118】
【図1】この発明の集塵装置の一例として電気掃除機の概略的な構成を示す図である。
【図2】図1に示す電気掃除機がサイクロン式電気掃除機である場合の本体部の構成を模式的に示す図である。
【図3】本発明の実施形態2に係る電気掃除機の本体部の構成を模式的に示す図である。
【図4】本発明の実施形態3に係る電気掃除機の本体部の構成を模式的に示す図である。
【図5】本発明の実施形態4に係る電気掃除機の本体部の構成を模式的に示す図である。
【図6】本発明の実施形態5に係る電気掃除機の本体部の構成を模式的に示す図である。
【図7】本発明の実施形態6に係る電気掃除機の本体部の構成を模式的に示す図である。
【図8】本発明の実施形態7に係る電気掃除機の本体部の構成を模式的に示す図である。
【図9】本発明の一つの実施形態として電気掃除機の本体部に適用される水分供給部の構成を模式的に示す図である。
【図10】本発明の集塵装置の構成の基礎となる実験結果として、吸気による塵埃の乾燥を行った場合の乾燥時間と、乾燥率との関係を示す図である。
【符号の説明】
【0119】
100:電気掃除機、4:サクションホース、5:本体部、510:筐体、530:ブラシモータ部、550:サイクロン集塵部、560:水分供給部、561:水分結露部、570:塵埃量検知部、580:乾燥状態検知部。



【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体と、
塵埃を含む空気を前記本体の外から内部に流入させるための流通路と、
前記流通路に接続するように前記本体内に配置され、前記流通路に吸気を発生させる送風機と、
前記流通路に配置され、前記送風機によって発生した吸気から塵埃を分離して捕集する集塵部とを備え、
前記集塵部において、前記送風機によって発生した吸気を所定の期間通過させて、塵埃を乾燥させることによって、塵埃に含まれる水分を除去する、集塵装置。
【請求項2】
前記集塵部が配置される位置よりも上流側の前記流通路に水を供給する水供給部をさらに備え、
前記水供給部は、前記所定の期間で乾燥することが可能な水の量を供給する、請求項1に記載の集塵装置。
【請求項3】
前記集塵部に配置され、塵埃の量を検知する塵埃量検知部をさらに備え、
前記塵埃量検知部は、検知された塵埃の量に基づいて、前記水供給部が供給する水の量を決定する、請求項2に記載の集塵装置。
【請求項4】
前記集塵部が配置される位置よりも上流側の前記流通路に配置され、塵埃の量を検知する塵埃量検知部をさらに備え、
前記塵埃量検知部は、検知された塵埃の量に基づいて、前記水供給部が供給する水の量を決定する、請求項2に記載の集塵装置。
【請求項5】
前記集塵部が配置される位置よりも下流側に配置され、気流に含まれる水分の量を検出することにより乾燥状態を検知する乾燥状態検知部をさらに備え、
前記乾燥状態検知部によって検知された乾燥状態に基づいて、前記所定の期間を決定する、請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の集塵装置。
【請求項6】
前記集塵部が配置される位置よりも上流側の前記流通路に水を供給する水供給部をさらに備え、
前記水供給部は、空気を冷却し、空気中の水蒸気を凝結させることによって得られた水を供給する、請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載の集塵装置。
【請求項7】
前記集塵部は、前記送風機が配置される位置よりも下流側に配置される、請求項1から請求項6までのいずれか1項に記載の集塵装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−39252(P2009−39252A)
【公開日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−206415(P2007−206415)
【出願日】平成19年8月8日(2007.8.8)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】