説明

集塵装置

【課題】集塵装置の電極板の撓みを防止し、ひいては集塵性能の安定化を図る。
【解決手段】第1電極板(70)及び第2電極板(60)のいずれか一方又は両方に、直線状に延びる少なくとも1本以上の折り返し部(101,102,103,104)を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、集塵装置に関し、電極板の撓みを防止する対策に係るものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、空気中の集塵対象物を帯電させ、帯電させた集塵対象物を電気的に誘引して捕捉する集塵装置が知られている。
【0003】
例えば特許文献1には、この種の集塵装置が搭載された空気浄化装置が開示されている。この空気浄化装置は、縦長のケーシングの内部に空気通路が形成されている。空気通路には、空気流れの上流側から下流側に向かって順に、噴霧ノズル、集塵装置、デミスタ等が配置されている。噴霧ノズルからは水が噴霧されており、この水中に臭気成分が溶解したり、オイルミストが物理的に捕捉されたりする。集塵装置は、複数組の対となる電極板を有している。これらの電極板の間には、その上流側寄りに帯電部が形成され、下流側に集塵部が形成されている。帯電部では、集塵対象物となるオイルミストが正又は負の電荷に帯電する。帯電したオイルミストは、集塵部を形成する電極板(集塵電極板)に誘引され、この電極板に付着する。これにより、空気中からオイルミストが除去される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−125653号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のような集塵装置では、厨房や工場等の比較的大風量の排ガスを処理するため、集塵対象物を捕集するための電極板の面積も比較的大きくなる。一方、このようにして電極板が大きくなると、電極板が撓みやすくなる。集塵装置では、集塵対象物を効率良く捕捉するために、対となる電極板の間の距離(いわゆる電極間距離)を最適に保つ必要がある。よって、電極板の大型化に伴い電極板が撓んでしまうと、電極間距離が大きく変化してしまう。その結果、電極間距離が極端に狭くなった箇所では、スパーク等の異常放電を招く虞がある。また、電極間距離が不均一となることで、集塵対象物が電極板に局所的に捕集されてしまい、集塵装置の全体としての集塵性能が低下してしまうことがある。
【0006】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、集塵装置の電極板の撓みを防止し、ひいては集塵性能の安定化を図ることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の発明は、空気中の集塵対象物を帯電させる帯電部(66)と、互いに対向する第1電極板(70)及び第2電極板(60)と、両電極板(60,70)の間に上記集塵対象物を捕集するための電界を形成するように該両電極板(60,70)に電圧を印加する電源部(55)とを備えた集塵装置を対象とし、上記第1電極板(70)及び第2電極板(60)のいずれか一方又は両方には、直線状に延びる少なくとも1本以上の折り返し部(101,102,103,104)が形成されていることを特徴とする。
【0008】
第1の発明では、第1電極板(70)と第2電極板(60)とに電圧が印加されることで、両者の電極板(60,70)の間に電界が形成される。帯電部(66)で帯電された空気中の塵埃対象物は、第1電極板(70)又は第2電極板(60)に誘引されて捕集される。
【0009】
本発明では、第1電極板(70)と第2電極板(60)のいずれか一方又は両方に、1本以上の折り返し部(101,102,103,104)が形成される。この折り返し部(101,102,103,104)は、電極板(60,70)を直線状に延びて形成される。このため、電極板(60,70)では、折り返し部(101,102,103,104)の延伸方向における撓み変形が抑制される。その結果、電極板(60,70)の撓みに起因して両者の電極板(60,70)の間の距離が変化してしまうのを防止できる。
【0010】
第2の発明は、第1の発明において、上記第1電極板(70)及び第2電極板(60)のいずれか一方又は両方には、複数の折り返し部(101,102,103,104)が互いに平行になるように配列され、上記複数の折り返し部(101,102,103,104)は、隣り合う折り返し部(101,102,103,104)の折り返し方向が逆向きとなっていることを特徴とする。
【0011】
第2の発明では、電極板(60,70)に複数の折り返し部(101,102,103,104)が平行に配列される。これにより、折り返し部(101,102,103,104)の延伸方向における撓みが、複数の折り返し部(101,102,103,104)の配列方向の全域に亘って抑制される。また、複数の折り返し部(101,102,103,104)は、隣り合う折り返し部(101,102,103,104)の折り返し方向が逆向きとなるように配列される。つまり、電極板(60,70)では、各折り返し部(101,102,103,104)の折り返し方向が交互になる。このため、電極板(60,70)に複数の折り返し部(101,102,103,104)を形成したとしても、電極板(60,70)の全体としての平面度はさほど損なわれない。従って、折り返し部(101,102,103,104)の形成に起因して、両者の電極板(60,70)の間隔が極端に広くなったり狭くなったりすることもない。
【0012】
第3の発明は、第1又は第2の発明において、上記第1電極板(70)の側辺部には、複数の突起電極(76)が該側辺部に沿う方向に配列されて構成される鋸歯電極部(75)が形成され、上記第2電極板(60)には、上記鋸歯電極部(75)との間に上記帯電部(66)を形成するように該鋸歯電極部(75)に対向する帯電側電極部(63)が形成され、上記折り返し部(103)は、上記鋸歯電極部(75)の基部に沿うように上記第1電極板(70)に形成されていることを特徴とする。
【0013】
第3の発明では、第1電極板(70)の側辺部に鋸歯電極部(75)が形成される。第2電極板(60)には、鋸歯電極部(75)に対向するように帯電側電極部(63)が形成される。これにより、鋸歯電極部(75)の各突起電極(76)から帯電側電極部(63)に向かって放電が行われる。よって、鋸歯電極部(75)と帯電側電極部(63)との間には、集塵対象物を帯電させるための帯電部(66)が形成される。
【0014】
このような鋸歯電極部(75)が仮に複数の突起電極(76)の配列方向に撓んでしまうと、突起電極(76)と帯電側電極部(63)との間の距離が変化してしまう。このようにして突起電極(76)と帯電側電極部(63)との距離が狭くなると、突起電極(76)の先端から帯電側電極部(63)に向かってスパークが生じ易くなる。また、突起電極(76)と帯電側電極部(63)との距離が広がると、所望の放電を維持できなくなる。従って、鋸歯電極部(75)の撓みに起因して、集塵対象物の帯電性能が低下してしまう虞がある。
【0015】
そこで本発明では、このような鋸歯電極部(75)の撓みを防止するように、鋸歯電極部(75)の基部に沿うように第1電極板(70)に折り返し部(103)を形成している。これにより、第1電極板(70)では、鋸歯電極部(75)が複数の突起電極(76)の配列方向において撓んでしまうことが抑制される。従って、各突起電極(76)と鋸歯電極部(75)との間の間隔を最適に維持できる。
【0016】
第4の発明は、第1乃至第3のいずれか1つの発明において、上記第2電極板(60)は、複数の開口(62a)が形成されたメッシュ電極部(62)を含み、上記折り返し部(101,104)は、上記メッシュ電極部(62)に形成されていることを特徴とする。
【0017】
第4の発明では、第2電極板(60)にメッシュ電極部(62)が形成される。これにより、例えば第2電極板(60)の軽量化が図られる。このように第2電極板(60)にメッシュ板状のメッシュ電極部(62)を形成すると、第2電極板(60)の剛性が低下し、第2電極板(60)が撓み易くなる。しかしながら、本発明では、このメッシュ電極部(62)に折り返し部(101,104)を形成しているため、第2電極板(60)の撓みを効果的に防止できる。
【0018】
第5の発明は、第1乃至第4のいずれか1つの発明において、上記折り返し部(101,102)は、上記第1電極板(70)と上記第2電極板(60)との双方に形成され、上記第1電極板(70)の折り返し部(102)と上記第2電極板(60)の折り返し部(101)とは、互いに直交する方向に延びていることを特徴とする。
【0019】
第5の発明では、第1電極板(70)の折り返し部(102)と第2電極板(60)の折り返し部(101)とが直交するように配列される。ここで、第1電極板(70)の折り返し部(102)と第2電極板(60)の折り返し部(101)とを仮に平行に配置すると、両者の折り返し部(101,102)の相対的な位置によっては、電極板(60,70)の距離が極端に狭くなったり、極端に広くなってしまうことがある。つまり、この構成では、両者の電極板(60,70)の電極間距離が、電極板(60,70)の取り付け位置の誤差によって大きく変動してしまう。これに対し、本発明のように、第1電極板(70)の折り返し部(102)と第2電極板(60)の折り返し部(101)とを直交に配列すると、電極板(60,70)の取り付け位置がずれても電極板(60,70)の電極間距離がさほど変化しない。
【0020】
第6の発明は、第1乃至第4のいずれか1つの発明において、上記折り返し部(102,104)は、上記第1電極板(70)と上記第2電極板(60)との双方に形成され、上記第1電極板(70)の折り返し部(102)と上記第2電極板(60)の折り返し部(104)とは、電極板(60,70)の厚み方向視において互いに重複するように形成され、且つ該互いに重複する折り返し部(102,104)の折り返し方向が同じ向きになっていることを特徴とする。
【0021】
第6の発明では、第1電極板(70)の折り返し部(102)と第2電極板(60)の折り返し部(104)とが電極板(60,70)の厚さ方向において互いに重複するように形成される。また、このように互いに重複する折り返し部(102,104)は同じ向きに折り返される。このため、本発明では、折り返し部(102,104)の延びる方向と直交する方向において、両者の電極板(60,70)の電極間距離を一定に保つことができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、電極板(60,70)に直線状の折り返し部(101,102,103,104)を形成することで、この電極板(60,70)の剛性を向上させている。よって、電極板(60,70)を大型化しても、電極板(60,70)の撓みを防止できる。従って、両者の電極板(60,70)の電極間距離が極端に狭くなってスパークが生じたり、この電極間距離が極端に広くなって集塵性能が低下したりすることを防止できる。また、電極板(60,70)の一部のみに集塵対象物が局所的に捕集されることで、集塵性能が低下してしまうことも防止できる。その結果、本発明に係る集塵装置では、電極板(60,70)を大型化しながら、所望とする集塵性能を安定して得ることができる。
【0023】
特に、第2の発明では、電極板(60,70)に複数の折り返し部(101,102,103,104)を平行に配列し、隣り合う折り返し部(101,102,103,104)の折り返し方向を互いに逆向きとしている。これにより、電極板(60,70)の剛性を更に向上させて電極板(60,70)の撓みを防止できる。また、電極板(60,70)の平面度を確保できるので、電極板(60,70)を折り返すことに起因して両者の電極板(60,70)の電極間距離が不均一となることも防止できる。
【0024】
第3の発明では、帯電部(66)を形成するための鋸歯電極部(75)の基部に折り返し部(103)を形成している。よって、鋸歯電極部(75)が突起電極(76)の配列方向において撓んでしまうのを防止でき、突起電極(76)と帯電側電極部(63)との間で安定した放電を行うことができる。
【0025】
第4の発明では、比較的剛性の低いメッシュ電極部(62)に折り返し部(101,104)を形成することで、このメッシュ電極部(62)の剛性を高めて撓み変形を防止できる。
【0026】
第5の発明では、第1電極板(70)の折り返し部(102)と第2電極板(60)の折り返し部(101)とを直交して配置している。これにより、第1電極板(70)と第2電極板(60)との相対的な位置が取り付け誤差等によってずれた場合にも、両者の電極板(60,70)の電極間距離が極端に変化してしまうことを回避できる。
【0027】
第6の発明では、第1電極板(70)の折り返し部(102)と第2電極板(60)の折り返し部(104)とを重複させ、且つ折り返し方向も同じ向きとしている。これにより、両者の電極板(60,70)の電極間距離を全域に亘って均一化できる。従って、電極板(60,70)の一部に集塵対象物が局所的に付着してしまうことを回避でき、集塵性能を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】図1は、実施形態に係る空気浄化装置の全体構成を示す概略構成図である。
【図2】図2は、実施形態に係る集塵ユニットの概略構成を示す斜視図である。
【図3】図3(A)は、実施形態に係る高圧電極板の正面図であり、図3(B)は、実施形態に係る低圧電極板の正面図である。
【図4】図4(A)は、変形例に係る高圧電極板の正面図であり、図4(B)は、変形例に係る低圧電極板の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【0030】
《発明の実施形態》
本発明に係る集塵装置は、集塵ユニット(50)として空気浄化装置(10)に搭載されている。空気浄化装置(10)は、レストランやホテル等の厨房から排出される空気を対象としている。空気浄化装置(10)は、空気中に含まれるオイルミスト、その他の臭気成分等を浄化対象物としている。
【0031】
空気浄化装置(10)は、ケーシング(11)を有している。ケーシング(11)は、縦長の中空状に形成され、内部に空気が流れる空気通路(12)が形成されている。ケーシング(11)の天板(13)には、吸込口(14)が形成されている。吸込口(14)は、ダクト(図示省略)を介して厨房空間と接続されている。ケーシング(11)の底板(15)の近傍には、排気口(16)が形成されている。排気口(16)の流出端には、排気ファン(17)が接続されている。排気ファン(17)は、吸込口(14)から吸い込んだ空気を空気通路(12)を通じて排気口(16)へ搬送する空気搬送部である。排気口(16)の内部には、空気を浄化するための機能部品(詳細は後述する)が配置されている。
【0032】
空気通路(12)には、空気流れの上流側から下流側に向かって順に、第1デミスタ(21)、噴霧放電ユニット(30)、集塵ユニット(50)、第2デミスタ(22)が設けられている。
【0033】
第1デミスタ(21)は、空気中に含まれるオイルミストや水蒸気等を物理的に捕捉する。
【0034】
噴霧放電ユニット(30)は、空気中へ水を噴霧することで、この水中にオイルミスト等を物理的に捕捉したり、親水性の臭気成分等を水中に吸収したりする、いわゆるスクラバー式の脱臭ユニットとして機能する。加えて、噴霧放電ユニット(30)は、ストリーマ放電を行って活性種(高速電子、励起分子、OHラジカル等)を発生させ、この活性種により臭気成分等を分解する、放電式の脱臭ユニットも兼ねている。噴霧放電ユニット(30)は、噴霧ユニット(31)と放電ユニット(40)と放電電源部(45)とを備えている。
【0035】
噴霧ユニット(31)は、噴霧ヘッダ(32)と3つの噴霧ノズル(33,33,33)を有している。なお、複数(例えば二列)の噴霧ユニット(31)を空気通路(12)に設けてもよい。噴霧ヘッダ(32)は、水平方向に延びる中空状の金属製の配管であり、内部に水が供給される。噴霧ヘッダ(32)の下部には、3つの噴霧ノズル(33,33,33)が接続されている。各噴霧ノズル(33)は、金属製の噴霧器であり、その噴出口が下方を向いている。各噴霧ノズル(33)の噴出口からは、該噴霧ノズル(33)を中心として中空円錐状に水が噴霧される。
【0036】
放電ユニット(40)は、電極保持部(41)と3つの放電電極部(42)とを有している。電極保持部(41)は、水平方向に延びる金属板であり、噴霧ヘッダ(32)と対向するように該噴霧ヘッダ(32)と略平行に配置されている。電極保持部(41)は、絶縁用碍子(図示省略)を介してケーシング(11)に支持される。電極保持部(41)の上部には、3つの放電電極部(42)が支持されている。これらの放電電極部(42)は、各噴霧ノズル(33,33,33)に対応するようにして、各々の噴霧ノズル(33)に対向して配置されている。
【0037】
放電電極部(42)は、複数の放電電極(43)で構成されている。本実施形態では、3つの放電電極(43,43,43)が一組の放電電極部(42)を構成している。放電電極(43)は、針状ないし棒状の金属製の電極であり、電極保持部(41)から上方に延びている。各放電電極部(42)では、3つの放電電極(43)が互いに平行に近接して配置されている。これらの近接する3つの放電電極(43)は、噴霧ノズル(33)から中空円錐状に噴出される噴霧水の軌跡の内部に位置する。
【0038】
放電電源部(45)は、噴霧ノズル(33)から噴霧される水と放電電極(43)との間に電位差を付与する直流高圧電源である。具体的に、放電電源部(45)は、その正極側が電極保持部(41)を介して放電電極(43)と電気的に接続され、その負極側が噴霧ヘッダ(32)を介して噴霧ノズル(33)と電気的に接続されている。なお、放電電源部(45)の負極側は、アースと接続されてアース電位となっている。放電電源部(45)は、噴霧ノズル(33)から噴霧される水に向かって、放電電極(43)からストリーマ放電が行われるように、噴霧ノズル(33)と放電電極(43)との間に数kVの直流電圧を印加する。
【0039】
集塵ユニット(50)は、空気中に含まれるオイルミスト等の微細な粒子を帯電させ、帯電させた微細な粒子を捕捉する集塵装置を構成している。集塵ユニット(50)は、水滴分離板(51)と、複数の高圧電極板(60)と、複数の低圧電極板(70)と電源部(55)とを有している。
【0040】
水滴分離板(51)は、先端側が上方を向くように山形に折り返された複数の山折板部(52)によって構成されている。各山折板部(52)は、各々の2つの下端部が対応する高圧電極板(60)の上端に支持されている。各山折板部(52)は、電極板(60,70)の配列方向と直交するように水平方向に延びている。そして、各山折板部(52)には、その長手方向と直角に形成される複数のスリット(図示省略)が、該山折板部(52)の長手方向に配列されている。各スリットは、空気の流れを許容する空気流通孔を構成している。水滴分離板(51)は、空気中から水滴を分離するように構成されている。即ち、空気が水滴分離板(51)を通過する際には、空気中の水が水滴分離板(51)に捕捉され、各山折板部(52)の傾斜面に沿うように高圧電極板(60)へ案内される。一方、水が分離された空気は、山折板部(52)に形成される複数のスリットを通過して、各電極板(60,70)の間を流れる。
【0041】
図1及び図2に示すように、高圧電極板(60)と低圧電極板(70)とは、互いに平行となりながら、水平方向に向かって交互に配列されている。各高圧電極板(60)は、複数の支持部材(図示省略)によって、一体的に支持されている。同様に、低圧電極板(70)は、複数の支持部材(図示省略)によって、一体的に支持されている。高圧電極板(60)と低圧電極板(70)とには、詳細は後述する複数の折り返し部(101,102,103)がそれぞれ形成されている。
【0042】
電源部(55)は、その正極側が各高圧電極板(60)と電気的に接続され、その負極側が各低圧電極板(70)と電気的に接続されている。なお、電源部(55)の正極側は、アースと接続されてアース電位となっている。電源部(55)は、両者の電極板(60,70)間の上流端側に集塵対象物となるオイルミストを帯電させる帯電部(66)を形成するように、両電極板(60,70)に電圧を印加する。同時に、電源部(55)は、両者の電極板(60,70)間の下流側に帯電したオイルミストを捕集するための集塵部(67)を形成するように、両電極板(60,70)に電圧を印加する。
【0043】
図2及び図3(A)に示す高圧電極板(60)は、第2電極板を構成している。高圧電極板(60)は、枠板本体部(61)と、該枠板本体部(61)の内部に形成されるメッシュ電極部(62)と、枠板本体部(61)の上側に形成される上側板部(63)と、枠板本体部(61)の下側に形成される一対の下側板部(64,64)とを有している。枠板本体部(61)は、メッシュ電極部(62)を囲むような矩形状に形成されている。メッシュ電極部(62)は、メッシュ板状の電極を構成している。即ち、メッシュ電極部(62)には、その厚さ方向に貫通する複数の開口(メッシュ孔(62a))が形成されている。上側板部(63)は、枠板本体部(61)から水平方向の両側に張り出すように、該枠板本体部(61)よりも幅広に形成されている。一対の下側板部(64)は、枠板本体部(61)の下部における幅方向の両側寄りに形成されている。下側板部は、枠板本体部(61)の幅方向中間部位から両側端に向かうに連れて高さが長くなるような略三角形板状に形成されている。
【0044】
図2及び図3(B)に示す低圧電極板(70)は、第1電極板を構成している。低圧電極板(70)は、絶縁用碍子(図示省略)を介してケーシング(11)に支持されている。低圧電極板(70)は、矩形状の電極板本体部(71)と、該電極板本体部(71)の上側に形成される上縁板部(72)と、電極板本体部(71)の下側に形成される下縁板部(73)とを有している。上縁板部(72)は、電極板本体部(71)よりも幅及び高さが短い矩形状に形成され、電極板本体部(71)の幅方向の中間部位に形成されている。下縁板部(73)は、上下に扁平な三角形板状に形成されている。
【0045】
低圧電極板(70)には、上縁板部(72)の上側の側辺部に鋸歯電極部(75)が配設されている。鋸歯電極部(75)は、複数の突起電極(76)が上縁板部(72)の上側の側辺部に沿うように配列されて構成される。鋸歯電極部(75)は、高圧電極板(60)の上側板部(63)に対向するように配設されている。突起電極(76)は、上方に突出する突起状に形成されている。なお、本実施形態では、鋸歯電極部(75)が上縁板部(72)と別体に形成されているが、この鋸歯電極部(75)を上縁板部(72)と一体に形成してもよい。
【0046】
集塵ユニット(50)では、高圧電極板(60)の上側板部(63)と、低圧電極板(70)の鋸歯電極部(75)との間に、上述した帯電部(66)が形成される。つまり、上側板部(63)は、複数の突起電極(76)と対向して帯電部(66)の形成に寄与する、集塵側電極部を構成している。集塵ユニット(50)では、鋸歯電極部(75)の各突起電極(76)から、上側板部(63)に向かってコロナ放電が進展する。これにより、帯電部(66)では、オイルミストが所定の電荷(本実施形態では、マイナスの電荷)に帯電する。
【0047】
また、集塵ユニット(50)では、高圧電極板(60)のメッシュ電極部(62)と、低圧電極板(70)の電極板本体部(71)との間に、上述した集塵部(67)が形成される。集塵部(67)では、マイナスに帯電したオイルミストが、アース電位となるメッシュ電極部(62)側に誘引される。即ち、本実施形態のメッシュ電極部(62)は、塵埃対象物が捕集される集塵電極を構成している。
【0048】
図1に示すように、集塵ユニット(50)の下流側には、第2デミスタ(22)が配置されている。第2デミスタ(22)は、空気中に残存するオイルミストや水蒸気等を物理的に捕捉する。
【0049】
第2デミスタ(22)の下流側には、上述した排気口(16)が形成されている。排気口(16)の内部には、空気流れの上流側から下流側に向かって順に、第3デミスタ(23)、エアフィルタ(24)、触媒脱臭部(25)が配置されている。第3デミスタ(23)は、空気中に残存するオイルミストや水蒸気等を物理的に捕捉する。エアフィルタ(24)は、空気中に残存する比較的小径の粒子を捕捉する。触媒脱臭部(25)は、空気が流通可能な基材の表面に脱臭触媒(吸着機能を有する脱臭部材や触媒機能を有する触媒部材)が担持されて構成されている。
【0050】
ケーシング(11)の底板(15)寄りには、噴霧ノズル(33)から噴霧された水を回収する水槽(80)が形成されている。水槽(80)には、噴霧ノズル(33,33,33)を向くように上方に開放する矩形状の開放面(81)が形成されている。また、水槽(80)の底部には、ケーシング(11)の第1側壁(11a)に近づくにつれて下方に傾斜する傾斜部(82)が形成されている(図1を参照)。
【0051】
空気浄化装置(10)は、水槽(80)内に水を補充する給水機構(85)と、水槽(80)内に回収された水を噴霧ノズル(33)へ循環させる循環機構(90)とを備えている。
【0052】
給水機構(85)は、所定の給水ラインから水が送られる給水管(86)と、該給水管(86)の流出端が接続される給水ポート(87)と、給水管(86)を開閉する第1開閉弁(88)と、水槽(80)内の水面の高さを検出する水位計(89)とを有している。給水ポート(87)の流出端は、ケーシング(11)の水槽(80)内に臨むように開口している。第1開閉弁(88)は、給水管(86)の流路を開閉自在な、例えば電磁開閉弁で構成されている。水位計(89)は、第1側壁(11a)において、給水ポート(87)よりも下側寄りに配置されている。空気浄化装置(10)では、水槽(80)内の水面高さ(W)が水位計(89)の高さに達すると、第1開閉弁(88)が所定の時間だけ開放される。これにより、水槽(80)内には、給水管(86)からの水が適宜補充される。その結果、水槽(80)内の水面高さ(W)が、所定の高さ範囲に維持される。なお、水位計(89)よりも高い位置に別に水位計を設けることで、給水動作の後に水面高さ(W)がこの水位計の高さに達すると、第1開閉弁(88)を閉鎖して給水動作を終了させる構成としてもよい。
【0053】
循環機構(90)は、流入口をなす排水ポート(91)と、流入端が排水ポート(91)と接続して流出端が噴霧ヘッダ(32)と接続する循環流路(92)とを備えている。排水ポート(91)は、ケーシング(11)の第1側壁(11a)を貫通して水槽(80)の底部寄りに開口している。排水ポート(91)の流入端は、給水ポート(87)及び水位計(89)よりも下方であって、且つ傾斜部(82)の最下部よりもやや上方に位置している。なお、本実施形態の排水ポート(91)は、第1側壁(11a)において、前後方向(図1における紙面方向)における中間位置に配置されている。
【0054】
循環流路(92)には、循環水の上流側から下流側に向かって順に、第1ストレーナ(93)、循環ポンプ(94)、流量調整弁(95)、及び第2ストレーナ(96)が接続されている。第1ストレーナ(93)は、循環水中に含まれる比較的小径の固形物等を捕捉する。循環ポンプ(94)は、水槽(80)内の水を噴霧ノズル(33)まで搬送するための水搬送部を構成している。流量調節弁(95)は、循環流路(92)の流路を調整可能な、例えば電動弁で構成されている。第2ストレーナ(96)は、循環水中に含まれる比較的小径の固形物等を捕捉する。
【0055】
本実施形態の空気浄化装置(10)は、噴霧ノズル(33)から噴霧された噴霧水中から析出したスケール(炭酸カルシウム)を捕捉するための網部材(100)を備えている。網部材(100)は、水槽(80)の内部に配置されている。本実施形態の網部材(100)は、水槽(80)の開放面(81)の全域に跨るように水平に延びて形成されている。つまり、網部材(100)は、水槽(80)の左右前後の側壁に跨るような矩形状に形成され、水平な状態でケーシング(11)に保持されている。
【0056】
〈電極板の折り返し部の構成〉
上述したように、高圧電極板(60)と低圧電極板(70)とには、それぞれ複数の折り返し部(101,102,103)が形成されている。これらの折り返し部(101,102,103)は、押し加工によって形成される。この押し加工による折り返し部(101,102,103)の深さは、電極板(60,70)の平面度を損なわない程度の範囲に設定されている。具体的に、本実施形態の折り返し部(101,102,103)の深さは、約0.3mmに設定されている。
【0057】
図3(A)に示すように、高圧電極板(60)には、水平方向に直線状に延びる5本の横折り返し部(101)がメッシュ電極部(62)に形成されている。これらの横折り返し部(101)は、互いに平行となりながら、等間隔を置くように上下方向に配列されている。また、横折り返し部(101)は、その長手方向の両端が枠板本体部(61)に至るように延びている。
【0058】
横折り返し部(101)は、高圧電極板(60)の厚さ方向の一端側に突出する3本の谷部(101a)と、該厚さ方向の他端側に突出する2本の山部(101b)とで構成されている。本実施形態では、メッシュ電極部(62)の上端側から下端側に向かって、谷部(101a)、山部(101b)、谷部(101a)、山部(101b)、谷部(101a)という順に配列されている。つまり、高圧電極板(60)では、隣り合う横折り返し部(101a,101b)の折り返し方向が互いに逆を向いている。なお、図3及び図4では、谷部を一点鎖線で表し、山部を二点鎖線で表している。
【0059】
図3(B)に示すように、低圧電極板(70)には、鉛直方向に直線状に延びる3本の縦折り返し部(102)が形成されている。3本の縦折り返し部(102)は、そのほとんどの部位が電極板本体部(71)に形成されている。これらの縦折り返し部(102)は、2本の谷部(102a)と1本の山部(102b)とで構成されている。山部(102b)は、電極板本体部(71)の幅方向の中間部に形成されている。2本の谷部(102a)は、山部(102b)の幅方向の両側に等間隔を置いて形成されている。つまり、低圧電極板(70)においても、隣り合う縦折り返し部(102a,102b)の折り返し方向が互いに逆を向いている。また、低圧電極板(70)の縦折り返し部(102)は、高圧電極板(60)の横折り返し部(101)と直交するように配列されている。
【0060】
低圧電極板(70)の上縁板部(72)には、水平方向に直線状に延びる2本の鋸歯側折り返し部(103)が形成されている。鋸歯側折り返し部(103)は、鋸歯電極部(75)の基部に沿うようにして複数の突起電極(76)の配列方向に延びている。2本の鋸歯側折り返し部(103)は、上側に形成される1本の谷部(103a)と下側に形成される1本の山部(103b)とで構成されている。
【0061】
−運転動作−
空気浄化装置(10)の運転動作について図1を参照しながら説明する。空気浄化装置(10)の運転時には、排気ファン(17)が運転される。放電電源部(45)が、噴霧ノズル(33)と放電電極部(42)との間に直流電圧を印加し、電源部(55)が、高圧電極板(60)と低圧電極板(70)との間に直流電圧を印加する。第1開閉弁(88)が適宜開閉され、流量調整弁(95)が所定の開度となる。更に、循環ポンプ(94)が運転状態となる。
【0062】
排気ファン(17)の運転に伴い、厨房空間から排出された空気が吸込口(14)を通じて、ケーシング(11)内の空気通路(12)へ搬送される。空気通路(12)を流れる空気は、第1デミスタ(21)を通過する。第1デミスタ(21)では、空気中に含まれる比較的大径の粒子(水蒸気やオイルミスト等)が除去される。第1デミスタ(21)を通過した空気は、噴霧ユニット(31)の近傍を流れる。
【0063】
噴霧ユニット(31)では、各噴霧ノズル(33)から水が噴霧されている。このため、空気中に含まれるオイルミスト等は、この水に物理的に捕捉される。また、空気中に含まれる親水性の臭気成分等が、この水に吸収されて除去される。また、噴霧放電ユニット(30)では、噴霧ノズル(33)から中空円錐状に噴霧される水に対して、放電電極(43)からストリーマ放電が行われる。より詳細に、放電電極(43)からは噴霧水に対して放射状にプラズマ柱が形成される。その結果、放電電極(43)の近傍では、高速電子、励起分子、OHラジカル等の活性種が生成される。このため、空気中に含まれる臭気成分等は、この活性種によって酸化分解される。
【0064】
その後、空気は、集塵ユニット(50)側へ流れ、水滴分離板(51)のスリットを通過する。この際、空気中に含まれる水滴等が、水滴分離板(51)を伝って高圧電極板(60)の表面へ流れていく。水滴分離板(51)を通過した空気は、高圧電極板(60)と低圧電極板(70)との間を通過する。両者の電極板(60,70)の上流端部では、帯電部(66)において、鋸歯電極部(75)と上側板部(63)との間でマイナス放電が行われる。このため、帯電部(66)では、オイルミスト等の粒子がマイナスの電荷に帯電する。次いで、帯電部(66)の下流側の集塵部(67)では、帯電したオイルミスト等が、アース電位となる高圧電極板(60)側に誘引される。誘引されたオイルミスト等は、高圧電極板(60)のメッシュ電極部(62)等に付着して捕集される。
【0065】
集塵ユニット(50)を流出した空気は、第2デミスタ(22)を通過する。第2デミスタ(22)では、比較的小径の粒子が除去される。第2デミスタ(22)を流出した空気は、排気口(16)を流れる。排気口(16)では、空気が第3デミスタ(23)及びエアフィルタ(24)を通過することで、空気中の水分が更に除去される。その後、空気が触媒脱臭部(25)を通過することで、空気中に残存する臭気成分が分解、あるいは吸着されて除去される。以上のようにして浄化された空気は、排気ファン(17)の吹出口より大気中へ放出される。
【0066】
〈折り返し部による電極板の撓み防止作用〉
図3に示すように、本実施形態の各電極板(60,70)には、それぞれ複数の折り返し部(101,102,103)が形成されている。具体的に、高圧電極板(60)のメッシュ電極部(62)には、水平方向に延びる複数の横折り返し部(101)が形成されている。このため、高圧電極板(60)では、特にメッシュ電極部(62)の水平方向における撓み変形が抑制される。また、メッシュ電極部(62)の横折り返し部(101)は、谷部(101a)と山部(101b)とが交互に配列されるため、高圧電極板(60)の平面度も保たれる。
【0067】
一方、低圧電極板(70)では、複数の縦折り返し部(102)によって、特に電極板本体部(71)の鉛直方向における撓み変形が抑制される。加えて、低圧電極板(70)では、複数の鋸歯側折り返し部(103)によって、特に上縁板部(72)の水平方向の撓み変形が抑制される。これにより、鋸歯電極部(75)の水平方向におこえる撓み変形も抑制される。
【0068】
本実施形態では、これらの折り返し部(101,102,103)により、両者の電極板(60,70)の撓み変形が抑制される。このため、電極板(60,70)を大型化したとしても、このような撓みに起因して両者の電極板(60,70)の間の電極間距離が変化してしまうことを防止できる。よって、本実施形態では、帯電部(66)及び集塵部(67)において、所望とする電界を形成することができ、集塵性能の安定化が図られる。
【0069】
−実施形態の効果−
実施形態によれば、電極板(60,70)に直線状の折り返し部(101,102,103)を形成することで、これらの電極板(60,70)の剛性を向上させている。よって、両者の電極板(60,70)を大型化しても、電極板(60,70)の撓みを防止できる。従って、両者の電極板(60,70)の電極間距離が極端に狭くなってスパークが生じたり、この電極間距離が極端に広くなって集塵性能が低下したりすることを防止できる。また、高圧電極板(60)の一部のみにオイルミスト等が局所的に捕集されてしまい、集塵性能が低下してしまうことも防止できる。その結果、実施形態の集塵ユニット(50)では、電極板(60,70)を大型化しながら、所望とする集塵性能を安定して得ることができる。
【0070】
高圧電極板(60)では、横折り返し部(101)を平行に配列し、隣り合う折り返し部(101)の山/谷方向を互いに逆向きとしている。これにより、高圧電極板(60)の剛性を更に向上できる。また、高圧電極板(60)の平面度を確保できるので、高圧電極板(60)を折り返すことに起因して両者の電極板(60,70)の電極間距離が不均一となることも防止できる。
【0071】
集塵ユニット(50)では、鋸歯電極部(75)の基部に鋸歯側折り返し部(103)を形成している。よって、鋸歯電極部(75)が突起電極(76)の配列方向において撓んでしまうのを防止できる。その結果、突起電極(76)と上側板部(63)との間で安定したコロナ放電を行うことができ、オイルミスト等を確実に帯電させることができる。
【0072】
集塵ユニット(50)では、高圧電極板(60)の横折り返し部(101)と低圧電極板(70)の縦折り返し部(102)とが互いに直交するように配列されている。これにより、高圧電極板(60)と低圧電極板(70)との相対位置が取り付け誤差等によってずれた場合にも、両電極板(60,70)の電極間距離が極端に変化してしまうことを回避できる。
【0073】
〈実施形態の変形例〉
上述した実施形態の電極板(60,70)を以下のような変形例の構成としてもよい。図4(A)に示す変形例の高圧電極板(60)では、メッシュ電極部(62)に3本の縦折り返し部(104)が形成されている。これらの縦折り返し部(104)は、鉛直方向に直線状に延び、且つ互いに平行に配列されている。縦折り返し部(104)は、2本の谷部(104a)と1本の山部(104b)とで構成されている。これらの縦折り返し部(104)は、図4(B)に示す低圧電極板(70)の縦折り返し部(103)に対応する配置、形状になっている。
【0074】
具体的に、この変形例では、高圧電極板(60)の縦折り返し部(104)と、低圧電極板(70)の縦折り返し部(102)とが、電極板(60,70)の厚さ方向視において互いに重複するように配列される。また、両者の電極板(60,70)では、互いに重複する縦折り返し部(102,104)の折り返し方向(山/谷の関係)が同じとなっている。更に、高圧電極板(60)の縦折り返し部(104)と低圧電極板(70)の縦折り返し部(101)とでは、折り返し部(102,104)における押し加工の深さも同じとなっている。
【0075】
以上のような構成により、この変形例では、高圧電極板(60)のメッシュ電極部(62)と、低圧電極板(70)の電極板本体部(71)との間の電極間距離が、その全域に亘って概ね一定に保たれる。よって、集塵部(67)では、全域に亘って一定の強度の電界を形成でき、集塵性能の安定化を図ることができる。
【0076】
《その他の実施形態》
上記実施形態については、以下のような構成としてもよい。
【0077】
上述した実施形態では、第1電極板(70)と第2電極板(60)との双方に折り返し部(101,102,103,104)を形成しているが、これらの電極板(60,70)の一方のみに直線状の折り返し部を形成ていもよい。また、折り返し部(101,102,103,104)の本数は単なる例示であり、1本以上であれば、如何なる数であってもよい。
【0078】
上述した実施形態では、高圧電極板(60)をアース電位とし、低圧電極板(70)を負極としているが、例えば高圧電極板(60)を正極とし、低圧電極板(70)をアース電位とすることもできる。
【0079】
上述した実施形態では、高圧電極板(60)と低圧電極板(70)との間に帯電部(66)を形成しているが、これらの電極板(60,70)と別に電極対を配置し、この電極対の間に帯電部(66)を形成するようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0080】
以上説明したように、本発明は、集塵装置に関し、電極板の撓みを防止する対策について有用である。
【符号の説明】
【0081】
55 電源部
60 高圧電極板(第2電極板)
62 メッシュ電極部
63 上側板部(帯電側電極部)
66 帯電部
70 低圧電極板(第1電極板)
75 鋸歯電極部
76 突起電極
101 横折り返し部(折り返し部)
102 縦折り返し部(折り返し部)
103 鋸歯側折り返し部(折り返し部)
104 縦折り返し部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気中の集塵対象物を帯電させる帯電部(66)と、互いに対向する第1電極板(70)及び第2電極板(60)と、両電極板(60,70)の間に上記集塵対象物を捕集するための電界を形成するように該両電極板(60,70)に電圧を印加する電源部(55)とを備えた集塵装置であって、
上記第1電極板(70)及び第2電極板(60)のいずれか一方又は両方には、直線状に延びる少なくとも1本以上の折り返し部(101,102,103,104)が形成されていることを特徴とする集塵装置。
【請求項2】
請求項1において、
上記第1電極板(70)及び第2電極板(60)のいずれか一方又は両方には、複数の折り返し部(101,102,103,104)が互いに平行になるように配列され、
上記複数の折り返し部(101,102,103,104)は、隣り合う折り返し部(101,102,103,104)の折り返し方向が逆向きとなっていることを特徴とする集塵装置。
【請求項3】
請求項1又は2において、
上記第1電極板(70)の側辺部には、複数の突起電極(76)が該側辺部に沿う方向に配列されて構成される鋸歯電極部(75)が形成され、
上記第2電極板(60)には、上記鋸歯電極部(75)との間に上記帯電部(66)を形成するように該鋸歯電極部(75)に対向する帯電側電極部(63)が形成され、
上記折り返し部(103)は、上記鋸歯電極部(75)の基部に沿うように上記第1電極板(70)に形成されていることを特徴とする集塵装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1つにおいて、
上記第2電極板(60)は、複数の開口(62a)が形成されたメッシュ電極部(62)を含み、
上記折り返し部(101,104)は、上記メッシュ電極部(62)に形成されていることを特徴とする集塵装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1つにおいて、
上記折り返し部(101,102)は、上記第1電極板(70)と上記第2電極板(60)との双方に形成され、
上記第1電極板(70)の折り返し部(102)と上記第2電極板(60)の折り返し部(101)とは、互いに直交する方向に延びていることを特徴とする集塵装置。
【請求項6】
請求項1乃至4のいずれか1つにおいて、
上記折り返し部(102,104)は、上記第1電極板(70)と上記第2電極板(60)との双方に形成され、
上記第1電極板(70)の折り返し部(102)と上記第2電極板(60)の折り返し部(104)とは、電極板(60,70)の厚み方向視において互いに重複するように形成され、且つ該互いに重複する折り返し部(102,104)の折り返し方向が同じ向きになっていることを特徴とする集塵装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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