説明

集束された超音波治療システム

本発明は超音波治療システムに関し、特に治療を誘導するために画像整列及び融合方法を使用する集束された超音波治療装置に関する。本発明により提供される治療システムは中央制御手段、超音波エネルギ供給手段、超音波エネルギ供給手段の移動及び位置付け手段、実時間B型の超音波画像誘導手段を具備している。本発明のシステムはまた患者の姿勢固定手段を有し、この手段の助けにより、実時間のB型の超音波画像は診断画像と整列され、整列に基づいて、B型の超音波画像と診断画像は治療を誘導するように融合される。技術における既知の方式と比較して、本発明は効率的であり、高強度の超音波集束された治療を解決するのに廉価であり、特に困難な腫瘍治療問題において、非常に実用的な方式を提供し、それは臨床腫瘍治療で容易に使用されることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は超音波治療システムに関し、特に画像整合及び融合方法の使用によって誘導される高強度の集束された超音波(HIFU)治療装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、超音波治療の使用範囲は益々広くなっている。超音波治療の開発によって、特別な超音波治療、特に高強度の集束されて焦点の合った超音波(HIFU)は多数の種類の病気、特に腫瘍を効率的に治療するために損傷を与える照射線量を与える。通常の外科および化学療法と比較して、HIFU治療は患者に与える外傷が少なく、非侵襲性治療を実現することができる。それ故、その臨床的な応用は急速に開発されている。その適応は、肝臓癌、骨の肉腫、胸部癌、膵臓癌、腎臓癌、柔組織の腫瘍、骨盤腫瘍等を含んでいる。
【0003】
超音波腫瘍治療装置は通常、球面焦点集束を採用する。球面の各点から放射される超音波は球面の中心に向けられ、焦点の集束された超音波になる。超音波治療装置上のエミッタは身体の外部から身体の内部へ超音波を放射し、これらは放射及び送信期間中に焦点が結ばれ、高エネルギの焦点を形成する。したがって高強度及び連続的な超音波エネルギは主体のターゲット領域へ与えられる。焦点で発生される一時的な高温な効果(65〜100℃)、キャビテーション効果、機械的効果、音響−化学的効果は選択的に、病気の組織の凝集壊死を生じさせ、腫瘍の増殖、侵入、転移を不能にするために使用される。
【0004】
高強度の集束された超音波治療の適用期間中、焦点の正確で安全で効率的な局所化が治療の成功には不可欠であり、さらにターゲットの位置を突き止めるための動作の容易性がさらに改良される必要がある。
【0005】
医学的な画像化は現在の新しい医療治療の必須の部分になっている。その応用は臨床行為全体を通して存在する。これは病気の診断で広く使用されるだけでなく、手術手順のプラン、プロトコルの構成、手術および放射線療法の治療効果の評価において重要な役割を果たしている。現在、医学的な画像は解剖的画像と機能的画像の2つのカテゴリに分けられることができる。解剖的画像は主としてX線画像、CT、MRI、US及び全ての種類の内視鏡(例えば腹腔鏡および喉頭鏡)により得られた一連の画像を含む人間の形態学的情報を示す。さらに、例えばX線画像から得られるDSA、MRIから得られるMRA、およびUS画像から得られるドップラ画像のような幾つかの派生的な特別な技術が存在する。機能的画像は主として、PET、SPECT、fMRI等を含む人間の代謝情報を示す。一方でまた、例えばEEG、MEG、pMRI(潅流MRI)、fCT等、広い意味または使用が少ない機能的画像化方法が幾つか存在する。
【0006】
医学的画像学の活発な開発によって、診断のための多くの種類の有用な情報を超音波治療および治療の局所化のために多くの選択肢を提供する。超音波治療の分野では、通常Bモードの超音波画像化装置(Bモードスキャナ)が採用され、X線コンピュータ断層撮影スキャナ(CT)および核磁気共鳴映像法(MRI)も使用される。Bモードスキャナ、CT、MRIについてそれぞれ以下、要約する。
【0007】
[Bモードの超音波画像化]
既存の焦点集束された超音波治療システムは通常、治療の位置を決定し監視するためにBモードスキャナを採用する。本発明の発明者は1998年1月25日に発明の名称“high intensity focused ultrasound system for scanning and curing tumor”と題する出願を提出し、この中国特許第98100283.8号明細書は2000年11月29日に認められて公表された。この特許では、この技術的な解決策が詳細に記載されている。ここではその全文を参考文献として使用する。Bモードの超音波監視システムは次のような利点を有する。廉価で、実時間画像化が可能であり、治療の超音波と同じ音響パスを有しており、画像のグレースケールの変化にしたがって高強度の焦点集束された超音波(HIFU)露出後の組織の壊死の観察が可能である。しかし、超音波画像は観察の深さについて限定され、骨が画像に非常に影響するので骨の後ろの組織を表示することがほぼ不可能であり、治療の監視期間中に画像上に深刻な雑音が存在する。さらに超音波画像は組織の境界を識別する能力が貧弱であり、その腫瘍に対する解像度は理想的ではなく、特にBモードの超音波画像は小さい腫瘍及び深い層の腫瘍を識別することはほとんど不可能であり、それ故、オペレータが腫瘍の境界を決定することは非常に困難であり、時には腫瘍は完全に決定されることができなくなる。この場合には、オペレータによっては持ち合わせのCTまたはMRIフィルムと関連して腫瘍と周囲の組織との関係にしたがって腫瘍を近似的に決定する。しかし、このようにして決定された腫瘍のターゲット領域は実際の腫瘍の領域からいくらか偏差を有する。治療を受ける腫瘍のターゲット領域は腫瘍の境界を超える可能性があり、または腫瘍の境界にしたがって腫瘍の領域よりも非常に小さい可能性がある。不十分な経験のオペレータでは、偏差はさらに大きい。このような治療システムはオペレータの臨床経験に非常に依存し、治療の実行はより複雑になり、治療結果の不確実さはさらに大きくなる。或いは比較的複雑な状態では、治療手順を実行することは非常に困難であり、治療の安全性及び効果は確認されることができない。したがって、腫瘍の境界を正確に局所化することが非常に重要であることが分かる。
【0008】
[X線コンピュータ断層撮影スキャナ(CT)]
CT(コンピュータ断層撮影)は1970年代初期の放射診断における前進であった。CTは身体を走査し情報を得るためにX線を使用する。その後、その情報はコンピュータにより処理され、再構成された画像がえられることができる。これは通常のX線により画像化されるのが困難な器官および病気を画像化することができる。明確な解剖的関係を有するこれらの再構成された画像はリアルであり、したがって身体の検査範囲は広げられ、病気の診断の初期の検出率及び正確率は非常に躍進された。痛みや損傷及び危険性のないこの簡単で便利で安全な走査は医学的な画像化診断の開発を推進した。CTは最初は頭部を検査するために使用され、全身のCTスキャンは1974年に現れた。10年程の間にCTは世界中で使用され、第1世代から第5世代まで開発されている。全身のCTは頭部、胸部、腹部および骨盤の断面画像を撮影することができる。さらに甲状腺、脊柱、関節、柔組織、五感器官のような身体の小さい部分の領域走査を行うこともできる。CTは腫瘍、嚢、拡大されたリンパ節、血腫、膿腫、肉芽腫のような占有型の病気を発見し、寸法、種類、数、侵入範囲を決定するのに最も適しており、また幾つかの器官の癌腫の段階を決定することができる。場合によっては、CTはまた固体、嚢、血管、炎症性、カルシウム関連、脂肪等のような病気の病的特性を識別することもできる。CTスキャンは単純な走査、強化された走査、コントラスト走査を含む3つの方法を有する。単純な走査はルーチン走査であり一般的な検査である。幾つかの病気をさらに明白に表示できる強化された走査は走査の前に静脈に水溶性の有機ヨードを注入する。コントラスト走査は最初に器官または構造に対してコントラストを与え、その後それを走査し、例えばコントラストまたは空気が脳の槽に注入され、走査は脳の槽とその中の小さい腫瘍とを表示するために開始される。
【0009】
腫瘍についてのCTの解像度はBモード超音波の解像度よりも高い。1乃至2cmの小さい腫瘍に対しては、CTの視覚率は88%であり、Bモード超音波では48%である。特にCTは脳の出血、水脳症、脳動脈の奇形、脳癌等の画像化には良好である。胆嚢の病気に対しては、Bモード超音波の診断の正確性はCTの正確性を超え、通常Bモード超音波の診断の正確度は95%である。また、肝癌誘発物質、脂肪肝、脾腫、腸の病気では、Bモード超音波の検出率は高い。
【0010】
既存の技術では、既に幾つかの超音波治療システムはCT走査画像の座標系と治療の座標系を連結するための固定手段を配備している。CT画像は治療手順を作成するために使用され、その後、CT走査画像の座標系と、治療の座標系との関係によって、自動的に制御された治療が治療期間中に画像を監視せずに行われる。ここでのCT画像は過去の画像である(実時間画像ではない)。この方法はある程度まで局所化の正確度を改良するが、治療を受けるターゲット領域の偏差は、呼吸動作、心拍、消化器官の動作等の身体の物理的な動きにより生じる可能性がある。監視されていないので、治療を受けるターゲット領域のこの種の動きからの影響は学習されることができず、治療は依然として偏移される可能性が大きい。一方で、監視なしにCTスキャンの身体位置と治療の一貫性を確実にすることは非常に困難である。通常、人間の身体はCTスキャン前に単一の使用で厳密に迅速に成形されたファントム中に閉じ込められ、その後、人間の身体とファントムは共にCTにより走査される。人間の身体は剛性のファントム中に閉じ込められるので、患者はファントムの損傷を避けるために、休息のためにファントムを取外すことができない。患者は長時間、閉じられたファントム中に固定されることができず、患者はファントムと共にCT走査後に治療用の治療装置へ直ぐに転送される必要がある。この方法は治療のプランが作成され、治療が直ちにまたはCTスキャン後短時間で行われることを必要とする。
【0011】
さらに、超音波治療の特性、例えば患者の身体的状態(例えば患者の肥満度)、腫瘍の位置、腫瘍の特性(例えば腫瘍内の血液の供給)、皮膚からの腫瘍の深さ、肋骨により阻止される音響伝播路等による、治療効果に影響する多くの要素が存在する。多くの要素は測定されるのが困難であり、治療に大きな影響を与える。例えば音響伝播路と治療を受けるターゲット領域内の血液の供給はターゲット領域の温度の上昇に大きな影響を与える。しかし血液の供給は計算が非常に困難である。治療効果における実時間の評価が存在せず、治療プランの適時の調節が行われないならば、超音波治療の治療効果全体は限定される。
【0012】
[核磁気共鳴映像法(NMRI)]
核磁気共鳴映像法(NMRI)は生物学及び医療分野で重要な応用である。これはMRI(磁気共鳴映像法)の短縮名称を有し、核磁気共鳴CTとも呼ばれる(ここでのCTはコンピュータ断層撮影法の短縮名称である)。MRIの簡単な原理は、患者が画像化磁石内に位置することである。無線周波数信号がその後患者に与えられる。主体の領域の水素中の核が無線周波数信号により励起され、弱い周波数信号を送信し、この信号は核磁気共鳴信号と呼ばれる。このプロセス中、適切な勾配が磁界に与えられ、それによって磁気共鳴信号は選択的に捕捉されることができる。情報は各点の組織特性を得るように処理され、さらに組織が画像化されることができる。
【0013】
磁気共鳴映像法(MRI)は異なる組織を識別する大きな能力を有し、正常な組織と腫瘍組織との弁別および腫瘍組織の境界の決定を容易にする。MRIは主体の容積データを提供し、人体の一部または全身が画像化され、それ故、MRIはHIFUにより治療を受ける主体の領域の位置を突き止め、HIFUの手術手順をプランするのに非常に適している。一方で、MRI技術の開発により、既存のMRI装置は既に実時間で組織の画像を得ることができ、さらに画像はある容積を有する3次元画像である。それ故、MRIは実時間で治療手順を監視するための優秀な技術を提供する。特に温度画像は熱治療により予測される非侵襲性の温度測定方法を提供する。
【0014】
この技術では、患者の内部組織の超音波治療はMRIにより監視され誘導されることが発見されている。HIFU手術では、MRIはHIFU治療前に治療を受ける主体の領域の位置を突き止めるために患者を走査し、さらに超音波を主体の領域に誘導し、HIFU治療期間中の組織の温度変化を監視するために使用され、それによって主体の領域のみが周囲の正常な組織を破壊せずに加熱されることを確実にする。MRIの利点は当業者の技術者によりよく知られている。
【0015】
MRIは人体に対するX線CTの放射の影響を防止することができるだけでなく、病気の組織を画像化することもできる。現在、MRIは骨、関節、脊髄、骨盤の腔内の内臓、子宮、縦隔の病気、心臓の大管の病気を検査し、心筋梗塞を識別するための比較的理想的な手段である。
【0016】
しかしMRIの実時間監視の適用価格は非常に高い。さらに、MRIの磁界が一定であるために、治療システムの非磁気設計は高レベルを有し、それ故、治療システムはMRIシステムと組み合わせて使用されるのが非常に困難である。
【0017】
要約すると、Bモード超音波、CT、MRIはそれら固有の利点を有し、さらに欠点も有する。さらにそれらの異なる画像化原理による画像情報の制限によって、一種類の画像の単一使用の効果は理想的なものではなくなる。それ故、臨床治療は超音波治療の局所化の問題を解決するために廉価で、高性能で、有用な技術的解決が緊急に必要である。
【0018】
本発明者は前述の問題を解決するための新しい画像処理方法を発見することを望んでいる。コンピュータ、通信、センサ、材料技術の急速な開発により、画像融合が現れ、1990年代以降開発されている。画像融合分野における幾つかの進歩の成果が近年実現されている。画像融合技術は画像を処理するための方法を提供する。
【0019】
最初に、画像融合は同じまたは異なる画像様式により得られた画像が重畳され、それによってこれらの画像が必然的に幾何学的に変形されそれらの空間的解像度が統一され位置が一致された後、補足情報を得て、情報量を増加することを示している。本発明の画像融合の研究範囲は、画像の対置、融合画像の表示および解析、対応する解剖的画像(MRI、CT)から得られたプリオリ情報を使用する放射データ(SPECT、PET)の効率的な補正及びデータの再構成を含んでいる。
【0020】
常に、異なる画像様式により提供される情報は相互に補足的である。より完全な情報を提供するように異なる画像様式を使用するために、効率的な情報は常に積分される必要がある。積分の第1のプロセスは多数の画像の幾何学形状位置を空間的フィールド中の点毎に対応させることである。このプロセスは「整合」と呼ばれる。積分の第2のプロセスは融合画像中に含まれる補足的な情報を組み合わせ、その情報を表示することである。このプロセスは「融合」と呼ばれる。
【0021】
異なった比較的複雑な臨床要求に対しては、良好な効果を有し、特に高強度の集束された超音波治療システムに適している既存の装置による廉価で容易な一致で実行されることのできる技術的な解決策が超音波治療技術を改良し、安全性を強化し治療時間を効率的に短くするために必要とされる。現在、超音波治療分野にはこのような技術的解決策は存在しない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
本発明の目的は、HIFU治療で治療を受けるターゲット領域を局所化するための確実な方法を提供することであり、それは治療の安全性及び効率を強化でき、他方で合理的な価格でこの治療の技術的難点を解決することができる。一方、本発明は超音波治療をより安全に実行するように治療を監視するためこの位置決定方法を使用することを望んでいる。前述の目的を実現するため、本発明は以下のように技術的解決策を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0023】
本発明の1特徴は焦点集束された超音波治療システムを提供することであり、このシステムは前記システムの制御に使用され、音響エネルギ範囲を制御し治療焦点を移動させる手段と、前記治療システムへ情報を入力または前記治療システムから情報を出力しマウスまたはキーボードを使用して動作コマンドを入力でき、治療を受ける領域を決定するためディスプレイによって超音波誘導システムから転送されるBモードの超音波画像を観察するためのインターフェース装置とを含んでいる中央制御手段と、
エネルギをプリセットターゲット領域へ提供し、治療焦点を形成するために例えば0.3*0.3*1cmの領域のような小さい領域内に音響エネルギを集中するための音響エネルギアプリケータと、
命令にしたがって画像化するように検出プローブを動かし、前記治療焦点を位置させるために前記音響エネルギアプリケータを動かすための音響エネルギアプリケータの機械的駆動及び位置付け手段と、
ターゲット領域を走査し、Bモードの超音波画像を生成し、生成されたBモードの超音波画像を前記中央制御手段へ実時間で転送し、それによってオペレータに病気部分の位置を突き止めさせ、前記画像にしたがって治療するための音響エネルギを供給する実時間Bモードの超音波画像誘導装置とを具備している。前記焦点集束された超音波治療システムはさらに身体位置の固定手段を備えている。この身体位置の固定手段の助けにより、実時間のBモードの超音波画像は1つの診断画像と整列されることができ(または「整合」と呼ばれる)、その後整合に基づいて、Bモードの超音波画像は治療を誘導するため診断画像と融合される。
【0024】
本発明の1つの特徴で述べられている診断画像はCT画像、MRI画像、SPECT画像、PET画像または前述の画像により整合され融合された画像を含んでいるが、それに限定されない。
【0025】
本発明の治療システムにより採用される誘導される治療は手作業で作られる治療プランによる治療である。或いは3次元の治療プランは前記診断画像を使用して作られることができ、その後、3次元治療プランは実時間のBモードの超音波画像へ投影され、自動治療プランが作られる。また3次元治療プランは実時間の捕捉されたBモードの超音波画像を使用して作られ、その後前記3次元の治療プランが変更及び調節されるように前記診断画像へ投影され、自動治療が前記調節されたプランにしたがって実行される。
【0026】
さらに、本発明のシステムは3次元治療プランを作成し、自動治療を行うことを可能にする。
【0027】
さらに、本発明のシステムは治療効果における実時間評価のためにBモード超音波を採用できる。
【0028】
一方で、本発明は画像整合のための位置付け手段を提供する。この特別に作られた局所化および固定手段は診断装置とインターフェースされることができ、CT、MR等のような検査される診断装置の台上に位置されることができ、画像化には影響しない。この位置付け手段はまた治療装置とインターフェースされるように設計される。この位置付け手段により、患者は治療装置の台上に固定され、他方で治療のための身体位置と検査を受けるための身体位置の一貫性が確保される。異なる診断装置では、位置付け手段の異なるインターフェースは診断装置との最良の整合とその便利な設置を確実にするように設計される。
【0029】
さらに正確な局所化が可能な焦点集束された超音波治療システムを提供するために、本発明は既存の異なる医療診断画像とBモードの超音波画像を監視のために統合し、それによって既存の超音波治療システムとのインターフェースを容易に実現し、特に腫瘍の臨床的な局所化を容易にし、治療プランを作成し、実時間で治療を監視する。オペレータは正確に治療を受けるターゲット領域を発見できる。
【0030】
[本発明の有益な効果]
CTまたはMRI画像の整合のような、実時間のBモードの超音波画像と診断画像を通して、オペレータは治療を受けるターゲット領域を正確に発見することができる。画像整合に基づいて、本発明は実時間のBモードの超音波画像と整合された画像、CTまたはMRI画像との融合を行い、それによってオペレータに対して治療を行うように良好に誘導する。画像整合及び融合に基づいて、及び3次元治療プランの作成によって、3次元の自動治療及び実時間3次元視覚的治療監視が行われる。この分野の既存の技術的解決策と比較して、本発明は高い強度の集束された超音波治療、特に腫瘍治療における困難な問題を廉価で効率的に解決する。これは非常に実用的な技術的解決策を与え、これは腫瘍の臨界的な治療に容易に適用されることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
本発明の要約後、本発明の目的、利点、構成は添付図面及び実施形態により以下の詳細な説明を参照して当業者により良好に理解されることができる。
[実施形態1]
図1および図2Aに示されているように、本発明の実施形態は動作制御システム1、3次元治療プランシステム2、エネルギ制御装置3、Bモード超音波システム4、多次元移動システム5、水処理システム6、治療ベッド7、位置付け手段8等を含んでいる。
【0032】
本発明の実施形態1では、診断画像は比較的高い解像度のCT画像である。市場には多くの種類の既存のCTスキャナが存在し、GE、フィリップス、シーメンス、東芝等の製品、例えばGEからのLightSpeed16が選択されることができる。相対的な情報については、http://www.gehealthcare.com/cnzh/rad/ct/products/light_series/index.html.を参照する。
【0033】
患者のCT画像およびBモードの超音波画像(Bモードスキャナは、ESAOTE DU4を採用することができ、http://www.esaote.com.cn/product.aspを参照する)はオペレータに治療を行うよう誘導するために整合され融合される。あるいは、整合され融合された画像にしたがって、3次元治療プランが作られ、オペレータの監視の下で自動的な治療が実行される。
【0034】
本発明の実施形態1の動作フローは図2Aに示されている。
【0035】
最初に、1次診断画像にしたがった治療のための最初の身体位置が決定され、Bモードスキャナによる監視下で治療装置上でバーチャル治療が行われ、治療に対して最適な身体位置が決定される。このプロセスは予備位置調節と呼ばれる。予備位置調節後、腫瘍は例えばCTまたはMRIのような高解像度を有する診断画像、或いは例えばPETの機能画像により検査されることができる。任意の検査前に、患者はプリセット身体位置にしたがって固定される必要があり、座標系は整列される。検査後、画像は引き出され1次治療プランがその画像にしたがって作成されることができる。治療の実行前に、患者はプリセット身体位置にしたがって治療装置上に位置される。配置後、画像整合及び融合が行われ、最終的な治療プランが決定される。その後、実時間で、3次元バーチャルな実際のシステムの監視の下で整合され融合された画像により誘導される治療は実行されることができる。治療の終了後、治療の効果は解析され、評価され、報告が発行される。
【0036】
[実施形態2]
本発明の実施形態2では、図1および図2Bを参照する。比較的高い解像度のMRI画像と治療システムのBモードの超音波画像は治療を行うようにオペレータを誘導するために整合され融合される。或いは整合され融合された画像にしたがって、3次元治療プランが作成され、その後オペレータによる監視の下で自動的な治療が実行される。
【0037】
このMRI画像は例えばGEからのSigma MR/i 1.0/1.5T等、市場で販売されている装置から得られることができる(http://www.gehealthcare.com/cnzh/rad/mri/products/mri/mri.htmlを参照)。
【0038】
[実施形態3]
本発明の実施形態3では、図1および図2Cを参照する。比較的高い解像度のCTおよびMRIの融合された画像と治療システムのBモードの超音波画像は治療を行うようにオペレータを誘導するために整合され融合される。或いは整合され融合された画像にしたがって、3次元治療プランが作成され、その後オペレータによる監視下で自動的な治療が実行される。
【0039】
CTおよびMRI画像の融合前に、患者のCTスキャンおよびMRIスキャンがそれぞれ実行される。走査の時、位置付け手段8が局所化および固定化のために使用される。
【0040】
他の手順は実施形態1の手順と同じである。
【0041】
[本発明の実施形態の共通の動作手順]
本発明の他の処理手順を以下詳細に説明する。
【0042】
[最初の位置付けおよび予備位置調節]
最初の位置付けおよび予備位置調節の動作は非常に簡単であり、以前、多くの治療モードで使用されてきた。オペレータは最初の診断画像を得て、これはフィルムまたはCDの形態で存在することができる。これらの画像からオペレータは腫瘍の寸法と位置を決定でき、オペレータの固有の経験にしたがって、周囲の正常な組織及び危険な器官を損傷せずに、良好な治療効果が実現されることができ音響エネルギが十分に腫瘍領域で集束される身体位置を最初に決定することができる。その後、オペレータは本発明の治療装置上で予備位置調節を行い、治療に適切な身体位置を決定するように監視するためにBモード超音波を装置で使用する。図3の真空マット802は形態および固定に使用される。位置付け及びフィッティングマークが通常身体の皮膚、例えば胸部の皮膚に生成され、これは動かすことが困難である。或いはマークは骨の最終位置にしたがって生成される。
【0043】
[画像整合の実現]
本発明は画像整合を実現するために簡単な計算を伴って位置付け手段8を使用する。整合は水平移動及びズームスケールのみである。以下計算について説明する。注:以下説明する全ての種類の座標系は3次元デカルト座標系である。各軸の方向は同じであり、原点の位置だけが異なる。
【0044】
位置付け手段の座標系に関する画像の座標系のオフセットはオフセット1(x, y, z)であり、オフセット1の決定を以下説明する(式7)。
【0045】
治療装置の座標系に関する位置付け装置の座標系のオフセットはオフセット2(x, y, z)であり、オフセット2の決定を以下説明する。
【0046】
診断画像の1画素ドットにより占有されるスペース(mm)、即ちスケールは画素スペースc(x, y, z)である。このスケールのx成分とy成分は診断画像上のスケールにより測定されることができる。Z成分は走査されるスライス間の距離に等しく、或いはDICOM(医学におけるデジタル画像化及び通信)の標準的な医療画像ファイルから読み取られることができる。現在、全ての主流の診断画像化装置はこのフォーマットの医学画像を与える。
【0047】
画素の単位が“mm”単位に変換された後、診断画像中のPc(x, y, z)の任意の点はP(x, y, z)の点になる。位置付け手段のこの点の座標はP1であり、したがって、
P.x = Pc.x * 画素スペースc.x;
P.y = Pc.y * 画素スペースc.y;
P.z = Pc.z * 画素スペースc.z;(式1)
Pcが知られているならば、Pは以下のとおりであることが分かる。
Pc.x = P.x / 画素スペースc.x;
Pc.y = P.y / 画素スペースc.y;
Pc.z = P.z / 画素スペースc.z;(式2)
Pから、P1は以下であることが分かる。
P1.x =P.x + オフセット1.x;
P1.y =P1.y + オフセット1.x;
P1.z =P1.z + オフセット1.y;(式3)
治療座標系のP点の座標はP2であり、したがって、
P2.x =P1.x + オフセット2.x = P.x + オフセット1.x + オフセット2.x
P2.y =P1.y + オフセット2.y = P.y + オフセット1.y + オフセット2.y
P2.z =P1.z + オフセット2.z = P.z + オフセット1.z + オフセット2.z(式4)
治療座標系のP2の任意の点が知られているならば、診断画像の座標系のPの点は以下であることが分かる。
P.x =P2.x − (オフセット1.x + オフセット2.x)
P.y =P2.y − (オフセット1.y + オフセット2.y)
P.z =P2.z − (オフセット1.z + オフセット2.z)(式5)
画素の単位を有するPcの点は式2を使用して計算される。
【0048】
Bモードの超音波画像中のPbの点にしたがって、治療座標系のその点のP2座標を見つけることができる。
【0049】
Bモードの超音波画像の1画素ドットにより占有されるスペース(mm)、即ちスケールは画素スペースb(x, y, z)である。このスケールのx成分とy成分はBモードの超音波画像上のスケールにより直接測定されることができる。Z成分は走査されるスライス間の距離に等しい。
【0050】
治療座標系に関するBモードの超音波画像の座標系のオフセットはオフセットb(x, y, z)である。オフセットbは治療装置のBモードプローブの設置により決定される。これは治療装置により決定されるので、任意の計算の必要はない。
【0051】
P2.x = Pb.x * 画素スペースb.x + オフセットb.x;
P2.y = Pb.y * 画素スペースb.y + オフセットb.y;
P2.y = Pb.y * 画素スペースb.y + オフセットb.y(式6)
P2が発見され、Pが式5を使用して計算されることができた後、画像座標系中のそのPcは式2を使用して計算される。
【0052】
整合の時、通常は最初に実時間でBモードの超音波画像を捕捉する。整合がある領域で行われるならば、その領域は長方形領域として設定されることが想定され(同じ画像中の全ての点のZ座標は同じである)、これは点Pb1とPb2のx、y座標により決定される。
【0053】
診断画像中のPb1とPb2の座標Pc1とPc2はそれぞれ式6、式5、式2を使用して計算され、Pc1とPc2のx、y成分により決定される長方形領域内の画像が捕捉される。Bモードの超音波画像のスケール画素スペースbは恐らく診断画像のスケール画素スペースcとは異なっているので、捕捉された診断画像は画素スペースc/画素スペースbのズーム係数によりズームされる(式7)。前述したように処理後、Bモードの超音波画像のある領域中には対応する整合された診断画像が存在し、したがって画像整合が実現される。
【0054】
人体は位置付け手段8が使用されるとき、剛性の主体として考慮される。Bモードスキャナ、CTまたはMRはこの剛性の主体の画像の捕捉に使用される。Bモードの超音波画像の座標、寸法、スケールはCTまたはMR画像のものとは異なっているので、座標、寸法、スケールの変換が必要とされる。オフセットは位置付け手段により得られる。
【0055】
図3の(A)に示されているように、画像整合のための位置付け手段8は位置調節プレート801、治療位置付けマーク802、位置付けキャリッジ803、位置付けピラー804、真空適合アンダーレイ805、治療ロック手段806、締付条帯807、締付条帯上の剛毛のバックル(ナイロンの留め金、フックおよびループ)808を具備している。
【0056】
位置付け手段8は剛性な主体のような患者を固定するために使用される。異なる時に、患者の身体の空間的位置は変更されることができるが、患者の身体は歪まされない。
【0057】
[画像の整合]
画像整合の動作フローが図4に示されている。位置付け手段8の原理、設置及び動作は図5に示されている。
【0058】
位置付け手段8は治療装置と診断装置との間の設置インターフェースのための位置調節プレート801と、位置調節プレート801に関して真空適合アンダーレイの位置を決定するための位置調節プレート801の上部表面に設置されている位置付けピラー804と、人体と位置調節プレートとの間で使用され、位置調節プレート801上に配置されている真空適合アンダーレイ805とを含んでいる。位置付けピラー804はマットの水平位置を決定するために使用される。人体は真空適合アンダーレイ805上に載せられ、人体の表面は真空適合アンダーレイに緊密に接触する。真空適合アンダーレイ805が真空にされた後、剛性に成形され、患者を固定し位置付けることができる。締付条帯807の1端部は位置調節プレート801上に固定されている。締付条帯807の他方の端部の剛毛のバックルは別の締付条帯の剛毛のバックルと共に高速度接着する。治療位置付けマーク802は治療ベッドに関して人体の軸方向(Z座標)に沿った位置付け手段のオフセットを決定するために使用される。治療ロック手段806は治療中に、治療ベッド7に対して位置調節プレート801を固定するために使用される。
【0059】
真空適合アンダーレイについては、http://www.topslane.com.cn/pro02-VFUc.htmlを参照する。本発明ではTopslane International社による製造された真空適合アンダーレイを採用している。これはオペレータが腫瘍を有する患者の位置を調節し、位置を変えることを助ける。真空のクッションには特別な粒状の材料が充填されている。真空のクッションは患者が容易にかたどられるように通常の圧力下では柔らかい。真空のクッション中の空気が排出されるとき、真空のクッションは患者の身体の外形に適合して漸進的に硬化し、数分後、患者の解剖的外形に十分適合して剛性の鋳型になる。このようにして、治療の位置付け及び位置調節の正確性が確保され、位置付け及び位置調節の時間は動作効率を改良するために減少されることができる。空気を排出した後、真空適合アンダーレイは長時間、通常は30日間その形状を維持されることができる。異なる状態下における真空適合アンダーレイの異なる形態が図3の(B)および(C)に示されている。
【0060】
位置調節プレート801は超音波治療装置と診断装置の治療ベッドにしたがって設計されて、治療装置と診断装置の動作に干渉せずに、円滑な設置を確実にすることができる。
【0061】
[治療装置上の位置付け手段8の設置及び位置調節]
予備位置調節が図5に示されている。位置調節プレート801の中央に穴が設けられており、さらに真空適合アンダーレイの中央部に対応する穴が設けられ、それによって治療アプリケータ10から放射された音響エネルギは何等の障害なく人体に透過でき、治療の焦点12は患者の病気のある領域に形成される。位置調節プレート801の下部表面には整合溝が存在し、位置付けのため治療ベッドの突出部分との一致を確実にする。位置調節プレート801が治療ベッドと良好に整合された後、位置調節手段の座標系は治療装置の座標系に関連される。共通して、xおよびyの原点と、位置調節手段と治療装置の両者の座標系の方向は重畳され、垂直方向のZ座標だけがオフセットを有する。このオフセットSPはマーク802を通して治療装置の座標系のZ座標から読み取られることができる。
【0062】
x、y、z方向での設置のオフセットは治療装置の座標系に関する位置付け手段の座標系のオフセット、即ちオフセット2(x, y, z);オフセット2.x = 0;オフセット2.y = 0;オフセット2.z = SPである。
【0063】
位置調節プレート801が治療ベッド上に設置された後、通常の状態下の真空適合アンダーレイ805は位置調節プレート801上に配置される。この時点における真空適合アンダーレイ805は柔らかいので、位置付けピラーは真空適合アンダーレイにより包まれ、位置付け穴は真空適合アンダーレイ中の空気が出された後に位置付けピラーに沿って形成される。真空適合アンダーレイ805が取り付けられた後、患者は真空適合アンダーレイ上に配置され、治療を受ける領域周辺の身体の表面は真空適合アンダーレイ805と位置調節プレート801の穴と整列される。締付条帯807は柔らかい真空適合アンダーレイを患者と共に均一に締めるために使用される。その後、真空適合アンダーレイ中の空気は真空ポンプを使用して取り出され、その形状を最終的なものとする。形状が最終的なものとされた後、オペレータは病気の部分を観察し、この身体の位置が合理的であるか否かの判断を行うためにBモードの超音波画像を使用する。合理的でないならば、幾らかの空気は真空適合アンダーレイが柔らかくなるまで、それに注入される必要がある。その後、適切な身体位置が発見されるまで、患者の身体の位置は再度調節され、真空適合アンダーレイ中の空気は再度排出される。適切な身体位置が決定された後、マークペンを使用して整合マークが人体および真空適合アンダーレイ上に形成され、それによって位置の変更が行われたときに検査と補正を容易にする。その後、治療装置上の患者の設置及び位置付けが終了される。この位置付けプロセスは治療予備位置調節または最初の位置調節と呼ばれる。
【0064】
最初の位置調節が完了した後、締付条帯が解放される。真空適合アンダーレイは成形されても、それは幾らかの弾性を有し、適切な歪を受けた後回復することができる。さらに真空適合アンダーレイは十分に閉じられない。それ故、患者は真空適合アンダーレイの形状を壊すことなく真空適合アンダーレイから容易に抜け出ることができる。その後、真空適合アンダーレイは保管のために位置調節プレートから取り出され、ブリード穴は閉じられた状態で維持される。最後に、位置調節プレート801は治療ベッドから取り外される。
【0065】
その後、位置付け手段8が設置され、患者は診断装置上に配置される。
【0066】
[診断装置における位置付け手段の設置及び位置調節(診断位置調節)]
患者と位置付け手段は共に検査室に入る。最初に、位置調節プレート801が診断装置、例えばMRまたはCT上に設置される。その設置は簡単であり、位置調節プレート801は直接診断装置上に配置され、位置調節プレートは何等の傾斜もなく診断装置に平行に維持される。位置調節プレート801と検査ベッドとの間でロックする必要はなく、位置調節プレートと検査ベッドとの間の摩擦は検査期間中の検査ベッドに関して位置調節プレートの動きが存在しないことを十分に確実にする。その後、成形された真空適合アンダーレイ805は位置調節プレート801上に配置され、真空適合アンダーレイの位置付け穴は位置調節プレート上の位置付けピラー804と一致する。その後患者は真空適合アンダーレイ中に置かれ、人体上の整合マークと真空適合アンダーレイが慎重に検査される。最後に、締付条帯が何等かの揺れを防止するために真空適合アンダーレイと人体とを縛るために使用される。
【0067】
診断及び検査の位置調節が終了された後、走査は診断装置のオペレータにより実行されることができる。
【0068】
検査が完了された後、締付条帯807が解放され、患者は真空適合アンダーレイから出される。一方で、診断装置のオペレータは後の画像解析と最初の治療プランおよびBモードの超音波画像整合のための準備を行うために画像データをCDへ記録する。
【0069】
治療装置の座標系に関する位置付け手段の座標系のオフセット2が決定され、位置付け手段の座標系に関する診断画像の座標系のオフセット1(x, y, z)は以下のように決定される。
【0070】
オフセット1は画像マークの識別により決定される。
【0071】
位置付けキャリッジ803が位置付け手段上に配置されている。位置付けキャリッジ803は少なくとも1つのマーカーを有する。各マーカーは位置付け手段の座標系中で固定座標Psを有する。これらのマーカーは診断画像中の人体の組織とは異なるグレースケールを有する。これらは画像上で明るい点または暗い点として表示される。例えばCT画像のマーカーは例えば鉄等の金属であってもよく、これはCT画像上の明るい点である。識別によって、これらのマークは自動的にソフトウェアにより、またはマウスを使用してオペレータの手作業によってコンピュータ上で表示される画像上に円として描かれることができる。ソフトウェアはマウスの位置にしたがって画像中のこれらのマーカーの座標Pcを計算することができ、したがって、
オフセット1.x = Ps.x − Pcs.x * 画素スペースc.x
オフセット1.y = Ps.y − Pcs.y * 画素スペースc.y
オフセット1.z = Ps.z − Pcs.z * 画素スペースc.z(式7)
[治療時の位置調節(治療位置調節)]
図5を参照すると、最初に位置調節プレート801が治療ベッド7上に固定される。ここでの動作は予備位置調節の動作と同じである。成形された真空適合アンダーレイ805は位置調節プレート801上に配置され、真空適合アンダーレイ805の位置付け穴は位置調節プレート801上の位置付けピラー804と一致する。その後治療装置の水袋9を固定するための水封布11は真空適合アンダーレイ805をカバーし、水封布11の下部の開放部は水を密封するために水袋の縁に固定されている。水封布11は薄く、厚さは0.1mmよりも小さい厚さであり、それ故、水封布11の1つの層の付加は検査の位置調節に関して治療に影響しない。その後、患者は真空適合アンダーレイ805に固定され、水封布11と患者の整合マークと真空適合アンダーレイは慎重にチェックされる。最後に、締付条帯807は真空適合アンダーレイ803と位置調節プレート801と共に患者を締め付けるために使用される。治療の位置調節が行われるとき、位置付け手段の設置は時には、予備位置調節の設置とは異なっており、それ故オフセット2はこの位置調節動作の結果を受ける。
【0072】
位置付け手段は空間位置の変化が回転のない水平運動だけであることを確実にする。これは診断画像とBモードの超音波画像の整合をより簡単にする。これは複雑な画像計算を必要としない。整合は高い信頼性のある機械的な保証にしたがう。
【0073】
通常、画像整合を実現するのは非常に複雑である。通常の整合方法は次のステップ、即ち、特徴の抽出、特徴の一致、随意の変換、パラメータ決定、全体的な変換の実行を含んでいる。各ステップは多くの操作と動作を必要とする。特徴抽出を1例として挙げると、同じマーカー、例えば胸骨が整合される2つの画像からそれぞれ抽出されるとき、画像上の胸骨の適切な位置または胸骨の特徴、例えばグレースケール特徴またはテキスチャ特徴はオペレータにより明白に与えられ、その後コンピュータが使用されて与えられた特徴にしたがって動作と抽出を行う。現在、自動整合のためのある種のソフトウェアが存在しているが、動作量は大きく、正確性は高くない。特にBモードの超音波画像では、各組織の特徴は非常に明白ではなく、自動整合はさらに困難である。現在、Bモードの超音波画像と他の診断画像との自動整合のためのソフトウェアは存在しない。しかし、本発明のシステムは位置の水平移動と、整合される2種類の画像間に存在する簡単なズーミングだけを行うために人体の位置の固定手段を使用する。整合の動作は前述したように計算に関して非常に簡単である。
【0074】
勿論、人体自体の状態変化または内臓の物理的な移動のために、画像化のときの患者の身体的状態が治療の時とは異なるならば、十分に機械的な整合に依存する前述の画像の僅かな偏差が生じる可能性がある。それ故、治療装置上のBモードスキャナの走査期間中、患者の呼吸は制限される必要があり、通常、走査は吸気または呼気が終了するときに行われる。患者は走査期間中、呼吸することができないので、走査は比較的短時間で終了されなければならない。この種の偏差は器官を、両画像中の明白なマークと比較することによって検出されることができ、その後正確な整合のためにソフトウェア機能により修正されることができる。
【0075】
[画像融合]
画像が整合された後、Bモードの超音波画像と他の診断画像を融合し、2つの画像を同じ位置に表示するためにコンピュータ技術を使用することができる。このようにして、融合されたBモードの超音波画像において、組織または腫瘍を明瞭に見つけ出すことができ、これらは融合前に他の診断画像でのみ見られることができる。画像整合に基づいて、2つの画像は融合計算にしたがってのみ融合され、その後表示される。オペレータは正確に、素早く腫瘍の境界と、治療を受けるターゲット領域を決定し、合理的で効率的な治療を行うための基礎として融合された画像を直接使用することができる。
【0076】
画像融合表示は一種のコンピュータ画像処理である。多くの画像融合方法が存在し、ここではスライスに基づいた2次元の融合方法を使用する。幾つかの相対的で簡単な効率的方法を以下説明する。
1.直接融合:2つの画像が透明に重畳され、2つの画像の表示強度のスケールが制御される。
2.色成分の重畳方法:コンピュータにより表される各色は3つの成分(R、G、B)を有する。第1の画像の1つまたは2つの成分は第2の画像のグレーレベルにより置換される。このようにして重畳された画像はカラフルな画像になる。
3.第2の方法により生成される画像はグレー画像に変換される。
4.スペーシング選択:第1の画像中の画素1または複数の画素のスペーシングは第2の画像中の対応する座標の画素と置換され、新しい画像が得られる。
【0077】
1または幾つかの方法は実際の応用にしたがって画像融合のために選択されることができる。
【0078】
[画像整合後の治療方法]
腫瘍が小さく、その周囲に臨界的な組織が存在しないならば、3次元治療プランは使用されない。オペレータは整合されたまたは融合された画像にしたがって治療を受けるターゲット領域を決定し、経験にしたがって治療のための適切な投薬量を適用することができる。
【0079】
整合された画像は治療を受けるターゲット領域を決定するために使用される。治療を受けるターゲット領域はBモードの超音波画像により決定されることができ、一方この領域は整合されたCT画像で表示されることができる。オペレータは最初にBモードの超音波画像で治療されるべきターゲット領域を決定し、整合されたCT画像中のターゲット領域をチェックすることができる。何等かの差が発見されたならば、治療は適切な調整後に実行されることができる。また、治療を受けるターゲット領域は整合されたCT画像により決定されることができ、一方で、この領域は実時間のBモードの超音波画像で表示されることができる。オペレータはBモードの超音波画像中で治療されるターゲット領域をチェックできる。何等かの差が発見されたならば、治療は適切な調整後に実行されることができる。
【0080】
[画像整合または融合に基づいた3次元治療プラン]
患者がCTまたはMRIのような診断装置による検査を終了し、検査画像が得られたとき、画像のセグメント化および3次元の再構成を行うためにこれらの検査画像を使用することができる。3次元の再構成に基づいて、腫瘍の境界、音響通路中の組織、臨界的な器官が解析され、治療方針および治療投薬量が超音波治療の専門家のデータベースと関連して決定される。その後、包括的な治療プランが作成される。
【0081】
画像の整合後、前述したように作成された治療プランは整合関係の使用により、治療装置の座標系へ変換される。シミュレーション治療が治療プランの合理性をチェックし、治療プランを評価または修正するために3次元でシミュレートされた治療装置で実行される。シミュレーション治療がパスしたならば、治療プランは治療制御システムへ送られる。オペレータは治療を監視し、治療効果を評価し、3次元の視覚的な治療監視の助けにより自動または半自動的な治療を行うために、実時間のBモード画像化システムを使用することができる。
【0082】
当業者は前述の実施形態の多くの変更及び改良を容易に行うことができ、或いは他の分野に応用することができる。本発明は全ての種類の実施形態、応用を含んでいる。本発明を好ましい実施形態にしたがって説明したが、本発明の技術的範囲は本発明の特許請求の範囲を除いて、限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】本発明の超音波治療システムを示す概略図。
【図2A】本発明の治療におけるBモードの超音波画像およびCTの画像整合と融合の動作フロー図。
【図2B】本発明の治療におけるBモードの超音波画像とMRIの画像整合と融合の動作フロー図。
【図2C】本発明の治療におけるBモードの超音波画像と、CTおよびMRIの融合画像の画像整合と融合の動作フロー図。
【図3】本発明の位置決定手段の設置位置と、標準の真空適合アンダーレイとして表示されている診断画像およびBモードの超音波画像の整合のための位置決定手段と、真空後の真空適合アンダーレイとして表示されている診断画像およびBモードの超音波画像の整合のための位置決定手段とを示す図。
【図4】本発明の画像整合のフローを示す図。
【図5】治療と、治療ベッド上の位置決定手段の設置を示す概略図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
集束された超音波治療システムにおいて、
a.前記システムの制御に使用され、音響エネルギ範囲を制御し治療焦点を動かす手段と、前記治療システムへ情報を入力させまたは前記治療システムから情報を出力させるインターフェース装置とを含んでいる中央制御手段と、
b.エネルギを予め設定されたターゲット領域へ供給し、治療焦点を形成する音響エネルギアプリケータと、
c.命令にしたがって画像化するように検出プローブを動かし、前記治療焦点を位置付けるために前記音響エネルギアプリケータを動かすための前記音響エネルギアプリケータの機械的駆動及び位置付け手段と、
d.ターゲット領域を走査し、実時間のBモード超音波画像を生成し、生成されたBモードの超音波画像を前記中央制御手段へ実時間で転送し、それによってオペレータに病気部分の位置を決定させ、前記画像にしたがって音響エネルギを供給するための実時間Bモード超音波画像誘導装置とを具備しており、
前記集束された超音波治療システムはさらに身体位置の固定手段を具備し、この身体位置の固定手段の助けにより、前記実時間のBモード超音波画像は1つの診断画像と整合されることができ、その整合に基づいて前記Bモード超音波画像は前記治療を誘導するために前記診断画像と融合される超音波治療システム。
【請求項2】
前記診断画像はCT画像、MRI画像、SPECT画像、PET画像または前述の画像により整合され融合された画像から選択される請求項1記載のシステム。
【請求項3】
前記誘導される治療は手作業で作られる治療プランによる治療である請求項2記載のシステム。
【請求項4】
3次元の治療プランは前記診断画像を使用して作られることができ、前記3次元治療プランは自動治療プランを作るため実時間のBモードの超音波画像へ投影される請求項2記載のシステム。
【請求項5】
3次元治療プランは実時間の捕捉されたBモード超音波画像を使用して作られることができ、前記3次元の治療プランは変更及び調節されるように前記診断画像へ投影され、自動治療が前記調節されたプランにしたがって実行される請求項2記載のシステム。
【請求項6】
前記誘導される治療は、3次元治療プランによる自動治療である請求項2記載のシステム。
【請求項7】
さらに、実時間で治療効果を評価するためにBモード超音波監視を使用する請求項2乃至6のいずれか1項記載のシステム。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2008−528138(P2008−528138A)
【公表日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−552489(P2007−552489)
【出願日】平成17年8月26日(2005.8.26)
【国際出願番号】PCT/CN2005/001328
【国際公開番号】WO2006/079265
【国際公開日】平成18年8月3日(2006.8.3)
【出願人】(507232087)チョンチン・ハイフ(エイチアイエフユー)・テクノロジー・カンパニー・リミテッド (11)
【Fターム(参考)】