説明

集積化スイッチング電源装置および電気機器

【課題】MHz以上の高速スイッチングが可能となるとともに小型化が可能となる集積化スイッチング電源装置を提供する。
【解決手段】集積化スイッチング電源装置100は、スイッチング素子Q1と、定電流素子Q2と、ダイオードD1とが直列に接続される直列接続体SCBと、定電流素子を駆動制御する駆動制御素子101と、直列接続体の一端側に位置する素子の主端子から導出された第1の外部端子t1と、直列接続体の他端側に位置する素子の主端子から導出された第2の外部端子t2と、スイッチング素子のいずれかの主端子とダイオードの主端子との接続点から導出された第3の外部端子t3と、スイッチング素子の制御端子から導出された第4の外部端子t4と、駆動制御素子に電源を供給する第5の外部端子t5と、駆動制御素子に基準電位を入力する第6の外部端子t6と、駆動制御素子に外部から信号を入力する第7の外部端子t7とを含む外部端子とを持つ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、集積化スイッチング電源装置および電気機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のLED点灯装置、及びLED点灯装置を備える照明器具においては、少なくとも1つのノーマリーオンタイプのスイッチング素子を有し、スイッチング素子のオンオフ動作により直流出力を発生する出力生成手段と、出力生成手段より発生される直流出力により点灯される半導体発光素子と、半導体発光素子を流れる電流を用いてスイッチング素子をオフ動作させる駆動制御手段とを具備するとともに、スイッチング素子と、出力生成手段の定電流素子およびダイオードとを直列接続して集積化させることができることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−119237号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、MHz以上の高周波スイッチングが可能となるとともにより小型化が可能となる集積化スイッチング電源装置および電気機器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の集積化スイッチング電源装置および電気機器は、スイッチング素子と、定電流素子と、ダイオードとが直列に接続される直列接続体と;定電流素子の制御端子に接続されるとともに定電流素子を駆動制御する駆動制御素子と;直列接続体の一端側に位置する素子の主端子から導出された第1の外部端子と、直列接続体の他端側に位置する素子の主端子から導出された第2の外部端子と、スイッチング素子および定電流素子のいずれかの主端子とダイオードの主端子との接続点から導出された第3の外部端子と、スイッチング素子の制御端子から導出された第4の外部端子と、駆動制御素子から導出されるとともに駆動制御素子の電源供給源に接続する第5の外部端子と、駆動制御素子から導出されるとともに駆動制御素子に基準電位を入力する第6の外部端子と、駆動制御素子から導出されるとともに駆動制御素子に外部から信号を入力する第7の外部端子とを含む複数の外部端子と;を持つ。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、スイッチング素子と、定電流素子と、ダイオードとが直列に接続される直列接続体および定電流素子の制御端子に接続されるとともに定電流素子を駆動制御する駆動制御素子を集積化することにより、各素子間を接続するためのパターン配線長が短くなるので、MHz以上の高周波スイッチングが可能となり、集積化スイッチング電源装置および電気機器の小型化が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】第1の実施例に係る集積化スイッチング電源装置および電気機器を例示する回路図である。
【図2】同集積化スイッチング電源装置の形態を示し、(a)は模式的上面図、(b)は(a)のA−A´線断面図である。
【図3】同集積化スイッチング電源装置を例示する回路図である。
【図4】第2の実施例に係る集積化スイッチング電源装置を例示する回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(第1の実施形態)第1の実施形態の集積化スイッチング電源装置は、スイッチング素子と、定電流素子と、ダイオードとが直列に接続される直列接続体と;定電流素子の制御端子に接続されるとともに定電流素子を駆動制御する駆動制御素子と;直列接続体の一端側に位置する素子の主端子から導出された第1の外部端子と、直列接続体の他端側に位置する素子の主端子から導出された第2の外部端子と、スイッチング素子および定電流素子のいずれかの主端子とダイオードの主端子との接続点から導出された第3の外部端子と、スイッチング素子の制御端子から導出された第4の外部端子と、駆動制御素子から導出されるとともに駆動制御素子の電源供給源に接続する第5の外部端子と、駆動制御素子から導出されるとともに駆動制御素子に基準電位を入力する第6の外部端子と、駆動制御素子から導出されるとともに駆動制御素子に外部から信号を入力する第7の外部端子とを含む複数の外部端子と;を持つ。
【0009】
(第2の実施形態)第2の実施形態の集積化スイッチング電源装置は、第1の実施形態に記載の集積化スイッチング電源装置において、直列接続体の定電流素子および駆動制御素子は集積化されるとともにモジュール化されていることを特徴とする。
【0010】
(第3の実施形態)第3の実施形態の集積化スイッチング電源装置は、第2の実施形態に記載の集積化スイッチング電源装置において、直列接続体のスイッチング素子およびダイオードは集積化されていることを特徴とする。
【0011】
(第4の実施形態)第4の実施形態の集積化スイッチング電源装置は、第1〜第3の実施形態のいずれか1つに記載の集積化スイッチング電源装置において、第3の外部端子と、第6の外部端子とは共通化されていることを特徴とする。
【0012】
(第5の実施形態)第5の実施形態の電気機器は、第1〜第4の実施形態のいずれか1つに記載の集積化スイッチング電源装置と;集積化スイッチング電源装置が接続された負荷回路と;負荷回路が接続された照明負荷と;を持つ。
【0013】
以下、実施形態の集積化スイッチング電源装置および電気機器を図面を参照して説明する。なお、図面は模式的または概念的なものであり、各部分の形状と幅との関係、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。また、同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。さらに、本願明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【実施例1】
【0014】
第1の実施例について説明する。図1は、第1の実施例に係る集積化スイッチング電源装置を含む電気機器を例示する回路図である。図2(a)、(b)は、スイッチング電源用装置の形態を例示し、(a)は模式的上面図、(b)は(a)のA−A´線断面図である。図3は、第1の実施例に係る集積化スイッチング電源装置を例示する回路図である。
【0015】
第1の実施例に係る集積化スイッチング電源装置100においては、図1および図2に示すように、スイッチング素子Q1、定電流素子Q2およびダイオードD1を直列に接続して集積化された直列接続体SCBを備えている。定電流素子Q2の制御端子(ゲート)に接続されるとともに定電流素子Q2を駆動制御する駆動制御素子101を備えている。
【0016】
スイッチング電源用装置100においては、直列接続体SCBの一端側に位置する素子の主端子から導出された第1の外部端子t1と、直列接続体SCBの他端側に位置する素子の主端子から導出された第2の外部端子t2と、スイッチング素子Q1および定電流素子Q2のいずれかの主端子とダイオードD1の主端子との接続点から導出された第3の外部端子t3と、スイッチング素子Q1の制御端子(ゲート)から導出された第4の外部端子t4と、駆動制御素子101から導出されるとともに駆動制御素子101に電源を供給する第5の外部端子t5と、駆動制御素子101から導出されるとともに駆動制御素子101に基準電位を入力する第6の外部端子t6と、駆動制御素子101から導出されるとともに駆動制御素子101に外部から信号を入力する第7の外部端子t7とを含む複数の外部端子とを含むとして、第1ないし第7の外部端子t1〜t7を備えている。
【0017】
集積化スイッチング電源装置100は、第1のインダクタL1を主要回路部品とする外付けの回路部品と組み合わせてスイッチング電源SRを構成することができる。そして、直流電源DCから直流電力の入力を得て動作し、その出力の直流電力で負荷回路LCを付勢する。
【0018】
本実施例において、スイッチング素子Q1は、スイッチング電源SRのスイッチングを行う。スイッチング素子Q1は、ノーマリオン特性を有するスイッチング素子すなわちノーマリオンスイッチおよびノーマリオフ特性を有するスイッチング素子すなわちノーマリオフスイッチのいずれであってもよい。
【0019】
ワイドバンドギャップ半導体を用いたスイッチング素子の場合、ノーマリオン特性を有しているものの方が得やすく、スイッチングが速く、かつ低オン抵抗である。また、ノーマリオフスイッチは、電源投入時にオフしているので、扱いやすいが、自励発振で動作させた場合、発振開始の起動回路を必要とする。しかし、簡単な起動回路を付加すればよいので、基本的な問題はない。ノーマリオンスイッチであれば、電源投入時に起動回路を付加しなくてもよいので、回路を簡素化でき、その分集積化スイッチング電源装置100やこれを用いたスイッチング電源SRの小形化に寄与する。ノーマリオンスイッチの場合のオフ動作は、定電流素子Q2で行うのが好ましい。
【0020】
スイッチング素子Q1にワイドバンドギャップ半導体を用いたスイッチング素子、例えばGaN−HEMTを用いると、高周波でのスイッチング特性が著しく向上するので、MHz以上、好ましくは10MHz以上で動作する本実施例のスイッチング素子Q1として好適である。スイッチング電源SRの動作周波数が上述のように高くなると、第1および第2のインダクタL1、DWも小形化するためにスイッチング電源SRの大幅な小形化を図ることができる。なお、ワイドバンドギャップ半導体は、例えば半導体基板に炭化珪素(SiC)や窒化ガリウム(GaN)やダイヤモンドのようなワイドバンドギャップを有する半導体であればどのようなものであってもよい。
【0021】
本実施例において、定電流素子Q2は、定電流特性を有する素子であり、所定の定電流値を超えたとき、スイッチング素子Q1をオフさせる。定電流素子Q2は、MHz以上の周波数領域、好ましくは10MHz以上の周波数領域で動作させ得る素子である。例えば、接合型FETなどを用いることができる。なお、接合型FETの一種であるGaN−HEMTを定電流素子Q2として使用するのが好適である。この場合、ゲート電圧を変化させることで定電流値を変更することができる。その高速性から定電流値に達した後、定電流素子Q2のドレイン−ソース間電圧が素速く上昇し、スイッチング素子Q1をオフさせる。なお、定電流値が固定の場合、定電流素子Q2として定電流ダイオードを用いることもできる。
【0022】
また、定電流素子Q2は、スイッチング素子Q1をオフさせるために、スイッチング素子Q1のオン時に第1のインダクタL1に電流が流れる回路中にスイッチング素子Q1と直列に介在するように回路を構成する。さらに、定電流素子Q2は、スイッチング素子Q1を駆動する第2のインダクタDWを含む第1のスイッチング素子Q1の駆動回路中にも介在するように回路を構成する。
【0023】
本実施例において、ダイオードD1は、MHz以上の周波数領域で動作し得るものであり、後述するスイッチング電源回路SRの第1のインダクタL1から減少する電流(回生電流)が流出する際の回路を提供する。ワイドバンドギャップ半導体、例えばGaN系のダイオードを用いることにより、上記周波数条件を容易に満足することができる。なお、上記ダイオードD1は、10MHz以上の周波数領域であっても良好な動作を行い、より一層の高速スイッチングが可能になる。また、ダイオードD1は、第1のインダクタL1から減少する電流を順方向として流せるものであればよい。
【0024】
このように、直列接続体SCBは、MHz以上の周波数領域で動作し得るものであり、好ましくは、10MHz以上の周波数領域であっても良好な動作を行い得るものである。直列接続体SCBの各素子は、ヒ化ガリウム(GaAs)よりもバンドギャップの広いワイドバンドギャップ半導体で構成される。
【0025】
本実施例に係る集積化スイッチング電源装置100の直列接続体SCBにおいては、図1に示すように、スイッチング素子Q1、定電流素子Q2およびダイオードD1の順に図示極性で直列に接続されている。第1の外部端子t1は、スイッチング素子Q1の一方の主端子(ドレイン)から導出され、第2の外部端子t2は、ダイオードD1の他方の主端子(アノード)から導出される。また、第3の外部端子t3は、定電流素子Q2の他方の主端子(ソース)およびダイオードD1の一方の主端子(カソード)の接続点から導出される。第4の外部端子t4は、スイッチング素子Q1の制御端子(ゲート)から導出される。第5の外部端子t5は、駆動制御素子101に電源を供給するとともに駆動制御素子101から導出される。第6の外部端子t6は、駆動制御素子101に基準電位を入力するとともに駆動制御素子から導出される。第7の外部端子は、駆動制御素子101に外部から信号を入力するとともに駆動制御素子から導出される。このように、本実施例に係る集積化スイッチング電源装置100は、7つの外部端子を含んでいる。
【0026】
また、集積化スイッチング電源装置100は、図2(a)および(b)に示すように、例えばGaN系マルチチップ構造によって構成され、フリップチップ実装されている。なお、所望によりスイッチング素子Q1、定電流素子Q2およびダイオードD1を直列接続するように連続して、GaN系シングルチップに形成した構成であってもよい。
【0027】
GaN系マルチチップ構造によって構成した場合は、図2(b)に示すように、例えば金属基板M、絶縁層I、GaNチップGC、レジスト層Rおよび半田バンプBUを備えた積層体として構成される。GaNチップGCは、図2(a)の点線で示す相対的に大きな四角形部分が、スイッチング素子Q1、定電流素子Q2およびダイオードD1のそれぞれのチップであり、それらが一体化され、かつ直列接続して構成されている。なお、図中の実線で示す相対的に小さな四角形部分は、レジスト層Rに形成されたバンプ用開口であり、その中に複数の外部端子t1〜t7が導出されるスイッチ素子Q1、定電流素子Q2、ダイオードD1および駆動制御素子101の外部端子を形成する電極Eが臨んでいる。また、点線で示す相対的に小さな四角形部分は、外部端子が導出されない上記と同様の端子部分である。図2(b)に示されている3つの半田バンプBUは、それぞれ第1の外部端子t1、第2の外部端子t2および第3の外部端子t3を形成している。なお、半田バンプBUを除いて、集積化スイッチング電源装置100の外周を既知のパッケージ(図示しない。)で包囲することができる。
【0028】
また、直列接続した第1のスイッチング素子Q1と定電流素子Q2とを1チップに形成し、ダイオードD1を独立に1チップに形成して、マルチチップに形成した素子を一体化して集積化スイッチング電源装置100を構成することもできる。スイッチング素子Q1と定電流素子Q2とが形成されたチップと、ダイオードD1が形成されたチップとをそれぞれ共通回路部品とすることができ、多様な回路形態に対応することができる。
【0029】
本実施例によれば、集積化スイッチング電源装置100が上述の構成を具備していることにより、定電流素子Q2を流れる増加する電流が定電流値に到達し、さらに増加しようとすると、定電流素子Q2の両端の電圧が急激に上昇する。そのとき定電流素子Q2に生じる両端の電圧上昇によって、スイッチング素子Q1の駆動回路に組み込まれる他方の主端子(ソース)の電位を、制御端子(ゲート)の電位に対して相対的に高くすることができる。その結果、制御端子の電位がスイッチング素子Q1の閾値電圧より低くなるため、スイッチング素子Q1をオフさせることができる。この回路動作は、スイッチング素子Q1がノーマリオンスイッチで、かつ閾値電圧が負であることにより、一層容易かつ確実になるが、ノーマリオフスイッチに対しても有効である。
【0030】
本実施例の集積化スイッチング電源装置100を用いて構成されるスイッチング電源回路SRは、図1に示したように、直流電源DCおよびチョッパ回路CHCを具備している。入力端t11、t12は、整流回路Recを介して交流電源ACに接続され、出力端t13、t14には、負荷回路LCが接続される。
【0031】
本実施例において、チョッパ回路CHCは、降圧チョッパ、昇圧チョッパおよび昇降圧チョッパなどの各種チョッパを含む概念である。さらに、チョッパ回路CHCには、同期整流方式の場合も含まれる。上記各チョッパは、いずれも集積化スイッチング電源装置100および第1のインダクタL1を主構成要素として構成されるものである。そして、スイッチング素子Q1をオンさせることにより、直流電源DCから第1のインダクタL1に増加する電流が流れる。また、スイッチング素子Q1をオフさせることにより、第1のインダクタL1に蓄積された電磁エネルギーが放出され、ダイオードD1を経由して減少する電流が流れるという動作を繰り返す。そして、直流電源DCの電圧をDC−DC変換して、出力端に直流電圧を出力する点で共通している。なお、同期整流方式の場合は、上記に追加してさらに、スイッチング素子Q1がオフのとき、図示しない第2のスイッチング素子をオンさせ、スイッチング素子Q1をオンさせるとき、図示しない第2のスイッチング素子をオフさせる。
【0032】
また、本実施例において、チョッパ回路CHCは、第1のインダクタL1に磁気結合する第2のインダクタDWを具備している。この第2のインダクタDWは、スイッチング素子Q1がオンして第1のインダクタL1に流れる増加する電流を検出して、その出力電圧でスイッチング素子Q1をオン状態に維持する。すなわち、第2のインダクタDWは、第1のインダクタL1に増加する電流が流れるとき誘起される電位を、第1のスイッチング素子Q1の制御端子(ゲート)に供給して、スイッチング素子Q1をオン状態に維持する。
【0033】
さらに、チョッパ回路CHCは、入力端t11、t12および出力端t13、t14を備え、内部は、降圧チョッパ、昇圧チョッパおよび昇降圧チョッパなど既知の各種チョッパのいずれかにより構成されている。
【0034】
直流電源DCは、上述のチョッパ回路CHCに対して変換前の直流電圧を入力する。また、直流電源DCは、直流電圧を出力できればどのような構成でもよい。例えば、整流回路Recを主体として構成され、所望により平滑コンデンサなどからなる平滑回路を設けることができる。また、バッテリーなどの二次電池を用いることもできる。図1においては、整流回路Recは、好ましくはブリッジ形整流回路からなり、交流電源AC、例えば商用交流電源の交流電圧を全波整流して直流電圧を出力する構成を例示している。
【0035】
第1の実施例において、所望によりスイッチング電源回路SRをモジュール化してスイッチング電源モジュールを構成することができる。このモジュールは、MHz以上の周波数領域、好適には10MHz以上の周波数領域で動作するスイッチング電源回路SRに好適である。また、スイッチング電源モジュールに設けられる外部端子は、いずれも直流用であり、直流の入出力だけに用いられる。したがって、動作が安定であるとともに、スイッチング電源回路SRの顕著な小形化を実現することができる。また、スイッチング電源回路SRを負荷回路LC、例えば照明装置の発光ダイオードに隣接して設けることも可能になり、照明装置などの全体の著しい小形化に寄与する。また、第1のインダクタL1と第2のインダクタDWとを含むインダクタLと、集積化スイッチング電源装置100と、をスイッチング電源用モジュールSMJとしてモジュール化してもよい。
【0036】
第1の実施例の集積化スイッチング電源装置100を図3を参照して説明する。本実施例の集積化スイッチング電源装置100の構成について説明する。
【0037】
スイッチング素子Q1の一方の主端子であるドレインは、集積化スイッチング電源装置100の外部端子t1に接続されている。また、スイッチング素子Q1の他方の主端子であるソースは、定電流素子Q2の一方の主端子であるドレインに接続されている。スイッチング素子Q1の制御素子(ゲート)は、集積化スイッチング電源装置100の外部端子t4に接続されている。定電流素子Q2の他方の主端子(ソース)は、ダイオードD1の一方の主端子であるカソードに接続され、定電流素子Q2のソースとダイオードD1のカソードとの接続点は集積化スイッチング電源装置100の外部端子t3に接続されている。ダイオードD1の他方の主端子であるアノードは集積化スイッチング電源装置100の外部端子t2に接続されている。定電流素子Q2の制御端子(ゲート)は駆動制御素子101の駆動回路101bに接続されている。駆動回路101bは発振回路101aに接続される。発振回路101aおよび駆動回路101bは、集積化スイッチング電源装置100の外部端子t5に接続され、電源を供給される。また、発振回路101aおよび駆動回路101bは、集積化スイッチング電源装置100の外部端子t6に接続され、基準電位を入力される。集積化スイッチング電源装置100の外部端子t6は、定電流素子Q2のソースとダイオードD1のカソードとの接続点にも接続される。集積化スイッチング電源装置100の外部端子t7は、駆動制御素子101の外部I/F101cに接続される。また、外部I/F101cは、駆動制御素子101の発振回路101aおよび駆動回路101bに接続される。
【0038】
本実施例の集積化スイッチング電源装置100の動作について説明する。
【0039】
本実施例の集積化スイッチング電源装置100をスイッチング電源回路SRのチョッパ回路CHCに自励式チョッパ回路として用いる場合には、前述したように、スイッチング素子Q1または定電流素子Q2に流れる電流が所定値に達したとき、定電流素子Q2をオフさせるように駆動制御素子101が駆動制御動作し、定電流素子Q2の主端子間(ドレイン−ソース間)の電圧変化を利用してスイッチング素子Q1をオフさせる。
【0040】
また、本実施例の集積化スイッチング電源装置100をスイッチング電源回路SRのチョッパ回路CHCに他励式チョッパ回路として用いる場合には、集積化スイッチング電源装置100の外部端子t7に、駆動制御素子101の動作状態を外部から制御するために駆動制御素子101の外部I/F101cに信号が入力される。外部I/F101cに入力する信号としては、例えば、調光信号、定電流素子Q2の駆動周波数制御信号、定電流素子Q2のデューティー制御信号等がある。外部I/F101cは、集積化スイッチング電源装置100の外部端子t7から入力される信号に基づき、外部I/F101cに接続された発振回路101aおよび駆動回路101bに指示信号を入力する。発振回路101aは、外部I/F101cから入力された指示信号に基づき発振動作を行い、発振動作に基づく信号を駆動回路101bに入力する。駆動回路101bは、発振回路101aおよび外部I/F101cから入力される信号に基づき、定電流素子Q2の制御端子(ゲート)に印加される電圧を制御する。なお、発振回路101aおよび駆動回路101bは、集積化スイッチング電源装置100の外部端子t5に接続され、電源を供給されるとともに定電流素子Q2のソースとダイオードD1のカソードとの接続点に接続された集積化スイッチング電源装置100の外部端子t6に接続され、基準電位を入力される。
【0041】
本実施例の集積化スイッチング電源装置100の効果について説明する。
【0042】
本実施例の集積化スイッチング電源装置100は、スイッチング素子Q1と、定電流素子Q2と、ダイオードD1とが直列に接続される直列接続体SCBおよび定電流素子Q2の制御端子に接続されるとともに定電流素子Q2を駆動制御する駆動制御素子101を集積化することにより、各素子間を接続するためのパターン配線長が短くなるので、MHz以上の高周波スイッチングが可能となり、集積化スイッチング電源装置101および電気機器の小型化が可能となる。
【0043】
本実施例の集積化スイッチング電源装置100の変形例について説明する。
【0044】
集積化スイッチング電源装置100において、直列接続体SCBおよび駆動制御素子101を1チップに形成してもよいし、直列接続体SCBおよび駆動制御素子101をそれぞれ独立に1チップに形成し、マルチチップに形成した素子を一体化して集積化スイッチング電源装置100を構成してもよい。
【0045】
また、定電流素子Q2および駆動制御素子101を素子102として1チップに形成し、スイッチング素子Q1およびダイオードD1を素子103として1チップに形成し、それぞれ独立に形成されたチップを一体化して集積化スイッチング電源装置100を構成することもできる。
【0046】
集積化スイッチング電源装置100は、素子102および素子103をそれぞれ独立にチップとして形成し、素子102および素子103の2つのチップを一体化して形成されているので、スイッチング素子Q1のゲート−ソース間電圧に対応した耐圧を有する市販の制御駆動ICを素子102として用いることができる。
【0047】
集積化スイッチング電源装置100は、スイッチング電源SRの入力電圧および出力電圧に対応した耐圧を有する必要があるスイッチング素子Q1およびダイオードD1を素子103として1チップに形成し、スイッチング素子Q1のゲート−ソース間電圧に対応した耐圧を有する市販の制御駆動ICを素子102として用いるとともに、素子102および素子103をモジュール化して構成するので、集積化スイッチング電源装置100および電気機器のコストを低減することができる。
【実施例2】
【0048】
第2の実施例の集積化スイッチング電源装置100を図4を参照して説明する。本実施例の集積化スイッチング電源装置100の構成について説明する。
【0049】
ダイオードD1の一方の主端子であるカソードは、集積化スイッチング電源装置100の外部端子t1に接続されている。また、スイッチング素子Q1の一方の主端子であるドレインは、ダイオードD1の他方の主端子であるアノードに接続されている。集積化スイッチング電源装置100の外部端子t1とダイオードD1のカソードの接続点に集積化スイッチング電源装置100の外部端子t3は接続されている。スイッチング素子Q1の他方の主端子であるソースは、定電流素子Q2の一方の主端子であるドレインに接続されている。スイッチング素子Q1の制御素子(ゲート)は、集積化スイッチング電源装置100の外部端子t4に接続されている。定電流素子Q2の他方の主端子(ソース)は、集積化スイッチング電源装置100の外部端子t2に接続されている。定電流素子Q2の制御端子(ゲート)は駆動制御素子101の駆動回路101bに接続されている。駆動回路101bは発振回路101aに接続される。発振回路101aおよび駆動回路101bは、集積化スイッチング電源装置100の外部端子t5に接続され、電源を供給される。また、発振回路101aおよび駆動回路101bは、集積化スイッチング電源装置100の外部端子t6に接続され、基準電位を入力される。集積化スイッチング電源装置100の外部端子t6は、定電流素子Q2のソースとダイオードD1のカソードとの接続点にも接続される。集積化スイッチング電源装置100の外部端子t7は、駆動制御素子101の外部I/F101cに接続される。また、外部I/F101cは、駆動制御素子101の発振回路101aおよび駆動回路101bに接続される。
【0050】
本実施例の集積化スイッチング電源装置100は、実施例1と同様の動作および効果を有するとともに、実施例1と同様の変形例を適用可能である。
【0051】
なお、本実施例において、直列接続体SCBは、スイッチング素子Q1の一方の主端子であるドレインは、ダイオードD1の一方の主端子であるアノードに接続される構成であるため、実施例1よりもより容易にスイッチング素子Q1およびダイオードD1を素子103として1チップに形成することができ、素子103のコストを低減することができる。さらに、スイッチング素子Q1のゲート−ソース間電圧に対応した耐圧を有する市販の制御駆動ICを素子102として用いるとともに、素子102および素子103をモジュール化して構成すれば、集積化スイッチング電源装置100および電気機器のコストをより一層低減することができる。
【0052】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態または実施例は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態または実施例は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態または実施例やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0053】
Q1・・・スイッチング素子
Q2・・・定電流素子
D1・・・ダイオード
SCB・・・直列接続体
101・・・駆動制御素子
t1・・・第1の外部端子
t2・・・第2の外部端子
t3・・・第3の外部端子
t4・・・第4の外部端子
t5・・・第5の外部端子
t6・・・第6の外部端子
t7・・・第7の外部端子
100・・・集積化スイッチング装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スイッチング素子と、定電流素子と、ダイオードとが直列に接続される直列接続体と;
定電流素子の制御端子に接続されるとともに定電流素子を駆動制御する駆動制御素子と;
直列接続体の一端側に位置する素子の主端子から導出された第1の外部端子と、直列接続体の他端側に位置する素子の主端子から導出された第2の外部端子と、スイッチング素子および定電流素子のいずれかの主端子とダイオードの主端子との接続点から導出された第3の外部端子と、スイッチング素子の制御端子から導出された第4の外部端子と、駆動制御素子から導出されるとともに駆動制御素子の電源供給源に接続する第5の外部端子と、駆動制御素子から導出されるとともに駆動制御素子に基準電位を入力する第6の外部端子と、駆動制御素子から導出されるとともに駆動制御素子に外部から信号を入力する第7の外部端子とを含む複数の外部端子と;
を備えたことを特徴とする集積化スイッチング電源装置。
【請求項2】
直列接続体の定電流素子および駆動制御素子は集積化されるとともにモジュール化されていることを特徴とする請求項1記載の集積化スイッチング電源装置。
【請求項3】
直列接続体のスイッチング素子およびダイオードは集積化されていることを特徴とする請求項2記載の集積化スイッチング電源装置。
【請求項4】
第3の外部端子と、第6の外部端子とは共通化されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の集積化スイッチング電源装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1つに記載の集積化スイッチング電源装置と;
集積化スイッチング電源装置が接続された負荷回路と;
負荷回路が接続された照明負荷と;
を備えたことを特徴とする電気機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−77647(P2013−77647A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−215519(P2011−215519)
【出願日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【出願人】(000003757)東芝ライテック株式会社 (2,710)
【Fターム(参考)】