説明

集積回路チップ冷却装置

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は集積回路チップの冷却装置に関し、更に詳しくは、液体冷却膜を使用し、チップの上面より熱を放出する回路モジュールに関する。
【0002】
【従来の技術】集積回路チップの利用はここ数年著しく増加傾向にある。チップ・サイズは短小化し、電力利用は過去に比較して効率的であるにも関わらず、実際に複数の密接したチップをモジュール内に実装するためには、チップにより消散される比較的高密度の電力を除去するための冷却装置に重点を置く必要がある。液体冷却液は一般に高密度のアプリケーションに使用される。基板上に搭載される集積回路チップの冷却に関連する1つの問題として、チップ間においてその高さが異なるために、あるチップは傾けられたり曲げられたりする。従って、多少方向が異なるチップにも順応でき、各チップの配置場所に対し、ほぼ均等に冷却効果を提供する冷却装置が望まれることになる。
【0003】従来技術により、大電力集積回路チップのための様々な冷却装置が提案されてきた。これらには複数のチップがモジュール内に配列されるものなどが含まれる。以前の熱伝導モジュール(TCM)では、チップと接触する水冷ハウジング内に含まれるピストンを使用した。ある装置ではチップの冷却のために、水冷式ビロー(bellow)を組み込んだ。こうした装置はIBM Technical DisclosureBulletin、Vol.28、No.11、pp.4759-4761(April 1986)により示されている。別のチップ冷却構成がIBM Technical Disclosure Bulletin、Vol.27、No.1B、pp.494-495 (June 1984)で提案されており、ここでは内部放射状水冷パターンを有する銅構造が、金属合金層を使用して単一の半導体チップとのインタフェースに使用される。
【0004】大電力チップを冷却するための他の装置としては、複数のチップをカバーする冷却箔(foil)を使用する。こうした装置の1つが米国特許第4381032号で開示されており、ここでは各チップに対し箔を保持するためにピストンを使用し、また箔を通じて伝導する熱を除去するためにピストンの周辺を流れる冷却液を使用する。集積回路チップ上の熱伝導箔を使用する別の装置が、米国特許第4531146号で開示されている。IBM Technical Disclosure Bulletin、Vol.29、No.7, p.2887 (December 1986)はまた別の装置を開示しており、ここではスプリングにより下方に引っ張られる各チップに対し、可撓性のシール上に置かれる金属性ヒートシンクを使用する。ヒート・シンクの上面はフィンを備え、冷却液の噴射により冷却される。
【0005】本出願の出願人に公布されたChrysler等らによる最近の特許、すなわち米国特許第4928207号では、冷却液がピストンの中央の開口を通じて各チップに運ばれる。ピストンはチップからは放射上の翼板を有するスペーサにより間隔を置かれる。しかし、この装置ではチップに直接接触する誘電性の冷却液を使用し、これは冷却水では適当ではない。なぜならチップの腐食及び回路の短絡の問題が生じるからである。
【0006】これらの装置は多くの方法により適切ではあるが、大部分はそれらの構成装置に対し高精度な機械的公差を要求するため、結果的に比較的高価なものとなる。これは特に、熱伝達経路の一部を形成する熱伝導モジュールにおいて、ピストンを使用する装置において事実となる。更に、複数チップ・モジュールの電力密度は著しく増加するものと予想され、特に装置がバイポーラ技術により大規模集積回路(VLSI)密度に近づくと明らかである。こうした状況はチップ及び冷却液との間の更に高い熱伝導率を要求し、これは従来の装置では適応できない。水をベースにした冷却液の使用は、この点で望ましい。更に、冷却装置の信頼性、製造コストが比較的安価であること、また市場において容易に交換可能であることが必要となる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】従って、従来技術の問題点及び欠点、更に新たな集積チップ技術の要求を鑑み、本発明は集積回路チップのための高性能冷却装置を提供することを目的とする。
【0008】本発明の目的には、比較的低精度の機械的公差による構成装置を使用する集積回路チップ用冷却装置を提供することも含まれる。
【0009】本発明の目的には、水を基本とする冷却液を使用する集積回路チップ用冷却装置を提供することも含まれ、この冷却液はチップを腐食及び他の問題から保護するためにチップそのものには触れることがない。
【0010】更に本発明の目的には、傾けられたり、曲げられたり、或いはチップ間で異なる高さを有する集積回路チップのための冷却装置を提供することも含まれ、これはチップとチップ基板との接続にストレスを与えない方法による。
【0011】本発明の目的には、各チップの配置場所に均等な冷却効果を提供する複数チップの冷却装置を提供することも含まれる。
【0012】本発明の目的には、チップと冷却液との間の高い熱伝導率経路を提供する集積回路チップ用冷却装置を提供することも含まれる。
【0013】
【課題を解決するための手段】上述の目的及び当業者により理解される他の目的が、本発明により達成される。本発明は集積回路チップを冷却するための装置を提供し、この装置はチップの上面と接触するための変形可能で、液体不浸透性である熱伝導膜と、膜上で耐水エンクロージャを形成するハウジングとを含む。ハウジング内には冷却液のためのインレットが提供され、これは好適には最大の熱伝達効率を考慮し、水を基本とする冷却液である。少なくとも1個のピストンがハウジング内に配置され、チップ上の1箇所において膜と接触する下面を有する。ピストンは下面上に、膜に沿って冷却液を導くための少なくとも1チャネルを有する。ハウジング内には使用済みの冷却液を取り除くためのアウトレットが提供される。
【0014】別の観点において、本発明は基板上に搭載される複数の集積回路チップを冷却するための装置を提供し、この基板はチップ面に接触するための可撓性の金属箔と耐水エンクロージャを形成する箔上のハウジングにより構成される。インレット及びアウトレットが、冷却液のために再度ハウジング内に提供される。複数のピストンがハウジング内に配置され、各ピストンはチップの1つに対応する位置において箔に接触する下面を有し、インレットから下面及び下面上の複数のチャネルへ通じる単数或いは複数の流路を含む。これらの流路を通じて冷却液は箔に沿って流れる。各ピストンには独立のサスペンションが提供され、好適にはスプリングである。これはピストンの下面を箔に対し押し当て、チップ面に対し箔を密着させ、冷却液による続く熱除去の間に熱がチップから箔に伝導するようにする。
【0015】更に別の観点において、本発明はチップ搭載面を有する基板、及びこの基板上の少なくとも1個の集積回路チップにより構成される熱伝導モジュールを提供する。変形可能で、液体不浸透性である熱伝導膜がチップの上面に広がる。好適には、使用される膜は、その厚みが約0.5mm(0.020インチ)以下の金属箔である。ピストンは箔をチップ上面に押し当て、これらの面を均一化する下面を有し、この下面は少なくとも1本の開放チャネルを含み、このチャネルが冷却液の通過及び膜との接触を可能とし、冷却液とチップとの直接的な接触を伴わずに、チップから熱を伝達させる。
【0016】好適にはピストンは円筒上であり、ピストンを通じ冷却液を流すための縦軸に沿って広がる中央流路と、冷却液をピストンの下方へ導くための中央流路から下面に沿って外側へ放射状に広がる複数のチャネルを有する。構造上、本発明によれば、ピストンは全てモールド化プラスティックなどの比較的低精度の機械的公差を有する非伝導材料により構成可能である。本発明は特に、その上面が基板の平面から傾けて取り付けられるチップに対し、膜を均一化するために適応される。
【0017】
【実施例】本発明の実施例を図1−図6に示す。図において同一番号は本発明の同一機構を表すが、これら機構は必ずしも同じ縮尺で描かれてはいない。
【0018】図1は本発明の第1の実施例を示し、単一ユニットの熱伝導モジュール5からなり、これは単一の集積回路チップ或いは素子10を含み、典型的にはセラミック基板14上の6.5mm平方に実装される。半導体チップ10は平らな上面を有し、プレーナ基板14の上部に、はんだなどの複数の接続手段12により接続される。基板へのこの種のチップ接続は一般に"フリップ・チップ"パッケージングと称される。基板14の下面は複数のピン・コネクタ16を含み、これが回路基板(図示せず)にプラグ入力される。基板14は単一層或いは多層基板である。基板内の配線はチップに電力を供給し、チップから別のチップへのまたチップとピンとの間の信号の接続を形成する。
【0019】チップ10の電力使用のため、通常チップを目的の動作温度範囲に維持するために、除去しなければならない実質的に過度の熱が生成される。チップ・コネクタ12は断面領域に限定され、従ってチップからほとんど熱を伝導しない。チップ10から効果的に熱を伝導させるために、図1に示す熱伝導モジュールは、チップの上面に広がりこれと接触する変形可能で、液体不浸透性である熱伝導膜或いは箔40を含む。膜40は好適には、銅、錫、インジウムなど、及びこれらの合金などの金属により形成される可撓性の箔である。箔或いは膜は単一層構造或いは多層構造を取る。箔の厚みは様々であるが、好適には0.5mm(0.020インチ)以下であり、0.25mm(0.010インチ)よりも厚くなく、0.05mm(0.002インチ)よりも薄くないことが望ましい。箔はその片側或いは両側に耐腐食性のコート層が設けられ、例えばチタン/ニッケル塗布箔或いは金または他の貴金属が使用され、汚れ或いは他の腐食による影響を阻止する。膜40は締め具18によりモジュール・キャップ或いはハウジング50("ハット"とも称される)の下側に固定され、装置の内部構造を通じ通過する冷却液に対する耐液性エンクロージャを提供する。これについては後に詳しく説明する。
【0020】膜40をチップ上に密着させ、最大の熱伝導度を得るためにチップの上面と均一化するために、ピストン20が提供され、これがハウジング内の室56内をスライドするように配置される。ピストン20はその下端部が開放の底部に及ぶように室56内に独立に吊るされる。圧縮スプリング32は内部のピストンの肩の部分26を支持し、ピストンを膜40の上面に対し下方に押しつけ、膜40とチップ10とを密着させる。ピストン20の壁とピストン室56との間には多少の空間が設けられ、ピストンが軽く移動できるようにし、従ってピストンの平らな下面24は、傾斜したり曲げられたチップ10に対し真正面から接し、適応できる。
【0021】ピストン20は目的の構成であればよく、一般的な円形シリンダの形状が最も適切である。しかし、ピストンは円形以外の断面(縦軸に垂直な断面で表される)を有することも可能であり、例えば正方形、長方形或いは楕円であったりする。ピストンは下に置かれるチップとほぼ同じ幅であることが望ましいが、ピストンの幅をチップ幅よりも大きくすることも小さくすることも可能である。
【0022】膜40の実際の冷却は、膜上のモジュール・キャップ50を通じて循環する水或いは水を基本とする他の冷却液による還流により提供される。冷却液はインレット34及びインレット・チャネル35を通じて矢印方向に流れ、ピストン室に流入する。図3及び図4で更に詳細に説明されるように、ピストン20は開口部25を有し、これは中央の通路或いは孔28につながり、更にピストン本体を通じてピストンの縦軸と同軸上に広がる。冷却液はピストン孔28を通じて下方に流れ、チップ10上の膜40に突き当たる。孔28の下端は、ピストン20の下面或いは表面24内に一体に成形或いはモールドされる複数の浅いチャネル30に通じる。チャネル30はピストンの下端に対して開放されており、冷却液の流れを孔28から外側に対称的且つ放射状に、膜40の上面に沿って導く流路を提供する。図3及び図4で示されるように、これらのチャネルは高さ寸法"a"及び幅寸法"c"を有し、各チャネルは断面領域としてa x cを有する。これらのチャネルは他の寸法を取ることも可能であり、例えば図5及び図6に示すようにより深くまた/或いは狭いことも可能である。これらの図ではチャネル30は高さ"b"がより大きく、幅"d"がより狭い。好適には各チャネルの高さは、約0.025mm以上、0.130mm以下(0.001インチ以上、0.005インチ以下)の間の値を取り、幅は約1mm以上、2mm以下(0.040インチ以上0.080インチ以下)の間の値を取る。当業者は特定の冷却装置の要求に適合するように、容易にピストン・チャネル30の高さ及び幅を最適化できるであろう。
【0023】ピストン20がチップ10の上面に対し、膜40をしっかりと保持及び安定させるように、ピストンの下面24が十分な領域を有することが重要である。この点で、ピストン周囲に沿うピストンの下面24の各セグメントの幅は、隣接するチャネル30の幅とほぼ同じか大きい寸法を取る。ピストン面のセグメントは実質的に、Chrysler等による米国特許第4928207号のスペーサ22において示される狭い翼よりも広い(隣接するチャネルと比較して)ことが望ましい。
【0024】ピストンの下面上に設けられるチャネル数は、チップ10から膜40を通じて除去される熱量に応じて変更可能である。しかしながら、図4及び図6で示される放射上パターンにおける複数のチャネルは、最適な熱伝達を考慮して使用されるべきである。冷却液がチャネル30を通じ、ピストン20と膜40の上面との間を流れるとき、対流的熱伝達により、チップ10から膜40を通じて伝導される熱が除去される。冷却水の潜在的な腐食性及びチップ10の回路短絡といった問題により、膜40及びモジュール・キャップ50によるエンクロージャは、チップ及びその基板に直接触れる領域に冷却液が漏れることがないよう、耐水性であることが必要である。膜の下において、基板及びチップはヘリウム或いは窒素などの不活性ガスで覆われるか、或いは鉱油などの誘電液により覆われる。オイルが使用される場合は、アネロイド補正器が必要となる。
【0025】チャネル30を通じて、冷却液はピストン20のベース周辺から外側へ通過し、室36へ流れ込み、ここでアウトレット・チャネル37を通じて、ピストン・エンクロージャとキャップとの間を上方に進み、その後、矢印で示されるように、冷却液アウトレット38を介してモジュールから排出される。
【0026】多くの従来設計とは異なり、本発明で使用されるピストンは熱伝達経路の一部を直接的には形成しない。すなわち、チップから除去される熱は、実質的にピストンを通じては伝導されない。その代わり、ピストンは次の機能を有する。すなわち、(1)膜をチップの上面に密着させ、チップから膜への最大の熱伝導性を得る、(2)膜上における冷却液の通路のための所定の経路を提供し、各チップ上に間接的に押し当てることにより、膜から冷却液への最大対流熱伝導を得る。上記結果、ピストンが熱伝導経路の一部を提供する従来の装置とは異なり、本発明のピストンは熱伝導性の材料により形成される必要はなく、また高精度の機械的公差により形成される必要もない。本発明で使用されるピストンは、完全な非導電材料により形成可能であり、例えばプラスチックのように、注入成形タイプ或いはこれらのアプリケーションに典型的な比較的低精度の公差により実現できる。
【0027】本発明の第2の実施例を図2に示す。ここでは複数単位の熱伝導モジュール60が複数のピストン(図では2個)を収容し、各ピストンは別々のチップ10と関連してそれらの頭上に配置され、チップからは膜40だけで隔てられている。モジュール内には100個或いはそれ以上の集積回路チップが搭載される可能性があり、これらのチップ間には傾斜されたり、曲げられたり或いは高さの異なるものが存在するため、単一の膜40が各チップの上面に密着するように、各ピストン20は独立に圧縮スプリング32によりハウジング50内のピストン室56内に吊るされる。チップの横には箔ステップ42が提供され、これらは正方形ステップであったり、各チップに近隣する他の突起であったりし、箔の大部分を基板面上に押し上げる役割をする。マニホルド54はガスケット52によりハウジング上で密閉され、膜40に対し冷却液に対する耐液性のエンクロージャを提供する。
【0028】図2の実施例では、冷却液はマニホルド54内のインレット流路34に入り、インレット・チャネル35を通じて各ピストン20に分散される。各々のピストンの中央孔28を通過後、冷却液はピストン・チャネル30からピストンのベース近傍の室36へ入り、その後アウトレット38(図示せず)を介してモジュールから排出される。
【0029】複数のチップを含む熱伝導モジュールでは、大きさ及び電力消費が種々のチップ間で異なる。このような場合、各ピストンの冷却特性を個々のチップ・ロケーションで均等化するように、冷却が同一モジュール内で調整される。これは例えば、ピストン材料の選択、ピストン及びその中央孔の直径、ピストンの下面上のチャネルのサイズ及び構成、及び他のパラメータを適切に変更することにより、個々のチップに要求される冷却度合いを適合させる。
【0030】図7は図1で表されたものと同様の6.5mmx6.5mmの単一チップの熱伝導モジュールのテスト結果を表す。この結果は熱性能、すなわちチップと、流量率が約0.087から0.246 l/min(0.023から0.065gal./min)の冷却水との間の60℃の温度差を介する、約135から180W/cm2の熱抽出を表す。100個のチップ・モジュールに対し、冷却液の流量率が8.7から24.6 l/min(2.3から6.5 gal./min)の間で、一様の電力密度が容易に調節できる。この電力密度は現在典型的なモジュールで放出される電力密度である71W/cm2を遥かに越えているが、新たなVLSI技術では近づく可能性がある。
【0031】以上述べたように、本発明は容易に製造することができる集積回路チップのための冷却装置を提供し、この装置は高い熱容量を有する水を基本とする冷却液を使用し、これはチップを腐食から保護する。更に、本発明は傾斜されたり、曲げられたり、或いは種々の高さを有するチップに対しても、チップとチップ基板との接続にストレスを加えること無く、各チップに対し均等な冷却効果を提供する装置を提供する。
【0032】本発明は特定の実施例を参照して述べてきたが、当業者には本発明の精神及び範中を逸脱すること無く様々な変更が可能であり、また本発明がその精神及び範中から逸脱しない全ての変更及び修正をカバーすることが理解されよう。
【0033】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、集積回路チップのための高性能冷却装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例による単一の集積回路チップのための熱伝導モジュールの部分図である。
【図2】複数の集積回路チップを含む基板に使用される本発明の別の実施例の部分図である。
【図3】本発明で使用されるピストンの縦軸に沿う部分図である。
【図4】図3で表されるピストンの底面のライン4−4に沿う下面図である。
【図5】本発明で使用される別のタイプのピストンの縦軸に沿う部分図である。
【図6】図5で表されるピストンの底面のライン6−6に沿う下面図である。
【図7】本発明の実施例による冷却能力を表す単一チップ当たりの冷却水の流量率関数を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】チップ搭載面を有する基板と、該基板上の少なくとも1個の集積回路チップと、前記チップの上面上に広がる変形可能であり、液体不浸透性である熱伝導膜と、その下面が前記膜を前記チップの上面に対し押し当てるピストンとを含み、該ピストンの下面は冷却液の流路となる少なくとも1本の開放チャネルを含み、前記冷却液は前記膜に接触し、前記冷却液と前記チップとの直接的な接触を要せずに前記チップから熱を伝導することを特徴とする熱伝導モジュール。
【請求項2】前記膜は金属箔であることを特徴とする請求項1記載の熱伝導モジュール。
【請求項3】前記ピストンの下面は複数の前記チャネルを含むことを特徴とする請求項1記載の熱伝導モジュール。
【請求項4】前記ピストンは該ピストン本体を貫通する少なくとも1本の孔を有し、該孔は前記冷却液の前記ピストンの下面上の前記チャネルへの流路を形成することを特徴とする請求項1記載の熱伝導モジュール。
【請求項5】前記ピストンは該ピストン本体を貫通し前記下面に通じる中央孔を含み、前記冷却液は前記孔を通過して前記膜に突き当たり、前記ピストンの下面は前記中央孔から外側に放射上に広がる複数の前記チャネルを含むことを特徴とする請求項1記載の熱伝導モジュール。
【請求項6】プレーナ基板面上に搭載される複数のチップをカバーする単一の膜と、各前記チップに対応して独立に吊るされるピストンとを含み、前記膜及び前記ピストンは、前記膜がその上面が基板平面から傾斜されるチップに密着するように適応されることを特徴とする請求項1記載の熱伝導モジュール。
【請求項7】基板面上において異なるサイズ或いは電力消費を有する複数のチップと、複数のピストンとを含み、各ピストンは個々のチップ・ロケーションにおける冷却要求に適合するように、前記チップの各々に対応する冷却特性を有することを特徴とする請求項1記載の熱伝導モジュール。
【請求項8】基板上に搭載される少なくとも1個の集積回路チップを冷却するための装置において、前記チップ表面に接触するための可撓性の金属箔と、耐水エンクロージャを形成する前記箔上のハウジングと、該ハウジング内に設けられている冷却液用のインレットと、前記ハウジング内に配置される少なくとも1個のピストンとを含み、前記少なくとも1個のピストンは前記箔に前記少なくとも1個のチップに対応する位置において接触する下面を有し、前記ピストンは前記インレットから前記下面及び該下面上の複数のチャネルに通じる流路を含み、前記冷却液は前記箔に沿って流れ、前記ハウジング内に設けられている、ピストン・チャネルからの使用済みの冷却液用のアウトレットと、少なくとも1個のピストンに関連し、前記ピストンの下面を前記箔に押し当て、該箔と前記少なくとも1個のチップ面を均一化し、該チップから前記箔への熱の伝導を促し、前記冷却液により熱が除去されるようにする独立のサスペンション機構とを含むことを特徴とする装置。
【請求項9】少なくとも1個の集積回路チップを冷却するための装置において、前記チップの上面に接触する変形可能であり、液体不浸透性である熱伝導膜と、耐水エンクロージャを形成する前記膜上のハウジングと、該ハウジング内に設けられている冷却液用のインレットと、前記ハウジング内に配置される少なくとも1個のピストンとを含み、前記ピストンは前記膜に前記チップ上の位置において接触する下面を有し、前記ピストンは前記冷却液を前記膜に沿って導くための前記下面上の少なくとも1本のチャネルを有し、前記ハウジング内に設けられている使用済みの冷却液用のアウトレットとを含むことを特徴とする装置。
【請求項10】前記ピストンの下面を前記膜に押し当て、該膜と前記チップ面を均一化し、ピストン下において前記チップから前記膜への熱の伝導を促し、前記冷却液により熱が除去されるようにする前記ピストンのための独立のサスペンション機構を含むことを特徴とする請求項9記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公告番号】特公平6−56867
【公告日】平成6年(1994)7月27日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平4−84175
【出願日】平成4年(1992)4月6日
【公開番号】特開平5−109955
【公開日】平成5年(1993)4月30日
【出願人】(390009531)インターナショナル・ビジネス・マシーンズ・コーポレイション (4,084)
【氏名又は名称原語表記】INTERNATIONAL BUSINESS MASCHINES CORPORATION