説明

集積配置された複数個の画像マーキングエンジンによる両面画像記録

【課題】高画質且つ高速(高スループット)で両面画像記録を行える画像記録方法及び装置を提供する。
【解決手段】画像マーキングエンジン(IME)1100内の片面印刷路1110に記録媒体を送り込む。そのIME1100のニップ内で所定速度で移動させつつその媒体に所定圧力を加えると、対応する転写面上にあるインク像がその媒体の表面に転写される。次いで、表裏反転器例えば1114で表裏反転させた後、その媒体を別のIME1150内の片面印刷路1160に送り込む。そのIME1150のニップ内で上記と同じ又は異なる所定速度で移動させつつその媒体に上記と同じ又は異なる所定圧力を加えると、対応する転写面上にあるインク像がその媒体の表面に転写される。この単一通過型両面記録では、例えばIME1100では転写用加圧ローラを転写面に接触させず、IME1150では接触させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は画像記録技術、特に集積配置されたIME(画像マーキングエンジン)のうち複数個を用い単一通過型両面記録(single pass duplexing)を実行する方法、装置及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
媒体シート等の記録媒体上に画像を記録できる装置は既に数多く実用化されている。その例としては、原稿の像を感光面等の上に形成し媒体シート上に転写するタイプの複写機や、画像情報を電気信号に変換して媒体シート上に画像を再現するインパクト式(タイプ式、ワイヤドット式等)又はノンインパクト式(感熱式、インクジェット式、レーザビーム式等)のプリンタがある。
【0003】
こうした画像記録装置はモジュール化可能である。また、そうしたモジュール即ちIMEを複数個用い、媒体供給モジュール等と適宜組み合わせることで、多機能的で拡張性にも富んだ印刷システムを構築することができる。例えば、その印刷機能乃至能力をカスタマイズ可能なIMEや当該機能乃至能力に差異のあるIMEを複数個、集積配置した印刷システムである。後述する通り、本発明もこの種のシステムとして実施可能である(但しそれ以外の形態でも実施可能である)。
【0004】
そのIMEとしては、例えばオフセット方式に従いインクジェット印刷を行うものが知られている。この種のIMEでは、オフセット印刷用の中間転写面を画像形成に先立ち形成、整備する。その際には、例えば回転ドラムに対しその下方から剥離液塗布器を接近させ、その装置内の芯状パッドをドラム表面に接触させることによって、液状の剥離剤(剥離液)をその面に塗布、補給しインク剥離性のある中間転写面を形成、整備する。剥離液塗布器は剥離液塗布が済んだらドラム表面から後退させる。
【0005】
液質の中間転写面が形成乃至整備された部位は、ドラム回転に伴いプリントヘッド近傍へと進んでいく。プリントヘッドは、インクの液滴を射出することによってインクによる像を中間転写面上に形成する。例えば相変化インクを使用するSIJ(固体インクジェット)方式のIMEならば、まず固体状の相変化インクを加熱等により流動化させ、流動化したインクを中間転写面に付着させる。付着したインクはドラム回転につれ冷めて固まっていき、固体状だが柔軟性のある中間的な状態へと変化する。こうしてインク像が形成されたら、転写面の剥離性を利用しその像を最終的な記録媒体(例えば媒体シート)に加圧転写する。この加圧転写は、転写用加圧ローラを動かしドラム表面に接触させることで回転ドラム・転写用加圧ローラ間にニップ(加圧転写ゾーン)を発生させ、そのニップ内に媒体シートを送り込むことによって行う。
【0006】
また、媒体シートの片面にとどまらず両面に画像を記録することも広く行われている。シート両面に印刷や複写を施すことで、シート使用枚数を抑えることができ、ひいては資源及び保管スペースを節約することができる。そうした両面記録方式としては、例えばシートの片面のみに画像を記録してどこかにためておき、所要枚数分の片面記録が済んだらそれらの片面記録済シートを再び取り込んで他面に画像を所要枚数分記録する、という方式が実用化されている。ただ、この方式は、その表面に記録されるコンテンツが同一で且つその裏面に記録されるコンテンツも互いに同一なシートを多数枚作成する際には効率的であるものの、非同一コンテンツのシートを多数枚作成する際には非常に不効率になる。例えば、ページ1、2、3、4、…からなる書類を作成する場合、この方式では、個々のシートの片面上に奇数ページ1、3、5、…の画像を記録した後、そのシートを再び取り込んでその裏面上に偶数ページ2、4、6、…の画像を記録することを目指す。しかし、その途上でシートのジャミング即ち複数枚同時供給が発生すると、ページ同士の表裏関係が乱れてしまう。そのため、結局最初のページに立ち返り画像記録をやり直さねばならないことがある。これを避けるには、シートの片面に奇数ページの画像を記録した後その裏にくるべき偶数ページの画像をそのシートの他面に記録する、という動作を1枚ずつ実行すればよいが、そのようにするとシート供給の繰返しで処理時間が嵩み、ppm値(毎分印刷ページ数)が低下する等の効率低下が発生する。
【0007】
しかも、近年では、画像記録装置に対する生産性向上、高速化の要請がかつてなく強まっている。どの方式にもその方式なりの媒体供給速度限界、画像記録速度限界といったものがあるので、そうした高速化要請に応えるには数多くの問題を解決しなければならない。その要請に応えうる装置を実現できたとしても、通常は、高速ではあるがかなり大型で嵩張った装置、即ち高価で不経済な高速プリンタになるはずである。本質的にやっかいな面のある高価な装置を納得して導入することができるのは、恐らくは、比率的には僅かな超大量印刷顧客だけである。
【0008】
そして、両面記録時画質を十分高く保つには、インクジェット方式による標準的な両面印刷プロセスならば、両面印刷時生産性即ちppm値を抑えねばならない。例えば、片面印刷時の記録速度が50ppmならば、速度抑制アルゴリズムを使用し両面印刷時の記録速度を24ppm或いは38ppmに抑えねばならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許第7188929号明細書
【特許文献2】米国特許第6508551号明細書
【特許文献3】米国特許第7136616号明細書
【特許文献4】米国特許第7310108号明細書
【特許文献5】米国特許第5389958号明細書
【特許文献6】米国特許第6196675号明細書
【特許文献7】米国特許第4591884号明細書
【特許文献8】米国特許第5208640号明細書
【特許文献9】米国特許第5041866号明細書
【特許文献10】米国特許第5805191号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的の一つは、高画質且つ高速(高スループット)で両面画像記録を行える画像記録方法及び装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
まず、複数個のIMEを集積配置したタイプの画像記録装置、例えばSIJ方式のIMEを使用する集積型のプリンタに関し、本願では、記録媒体の片面への画像記録をそれらIMEのうち1個で行い他面への画像記録を他の1個で行う単一通過型の両面記録モードを提案する。従来の両面記録に比べ、このモードによる両面記録は画像コンテンツによらず高速で(例えば38ppm超の速度で)行うことができる。また、本願では、あるIMEで媒体シートの片面に画像を記録する際、そのIMEの転写用加圧ローラを転写面例えばドラム表面と接触しないようにすることで、その転写用加圧ローラを介した媒体シート裏面への剥離液転写を減らし又はなくすと共に、他のIMEでその媒体シートの裏面に画像を記録する際、先のIMEで画像が記録された面での光沢不良、オフセット、ローラゴースト発生等の不良発生を従前通り抑えることができる。両面記録時不良の一種として知られる裏面への剥離液付着が妨げられる分、本願では両面記録時画質が高まる。
【0012】
ここに、本発明の一実施形態に係る固体インクジェット印刷システム用印刷制御方法は、対応する転写面上に第1及び第2インク像を形成させるステップと、第1インクジェットプリンタ内の片面印刷路上にある第1ニップに所定速度で記録媒体を送り込ませるステップと、対応する転写面上の第1インク像がその記録媒体の第1面に転写するよう第1ニップ内でその記録媒体に所定圧力を作用させるステップと、その記録媒体をそのための経路で表裏反転させるステップと、第2インクジェットプリンタ内の片面印刷路上にある第2ニップに上記と同じ又は異なる所定速度でその記録媒体を送り込ませるステップと、対応する転写面上の第2インク像がその記録媒体の第2面に転写するよう第2ニップ内でその記録媒体に上記と同じ又は異なる所定圧力を作用させるステップと、を有する。
【0013】
本発明の他の実施形態に係るインクジェット印刷システムシステム用印刷制御装置は、対応する転写面上に第1及び第2インク像を形成させる手段と、第1ドラム上の転写面と第1ローラ上に随時形成される非液濡れ面との間にあり、且つ第1インクジェットプリンタ内に存する第1ニップに、所定速度で記録媒体を送り込ませる手段と、対応する転写面上の第1インク像がその記録媒体の第1面に転写するよう第1ニップ内でその記録媒体に所定圧力を作用させる手段と、その記録媒体をそのための経路で表裏反転させる手段と、(硬質な)第2ドラム上の転写面と(軟質な)第2ローラ上に随時形成される液濡れ面との間にあり、且つ第2インクジェットプリンタ内に存する第2ニップに、上記と同じ又は異なる所定速度でその記録媒体を送り込ませる手段と、対応する転写面上の第2インク像がその記録媒体の第2面に転写するよう第2ニップ内でその記録媒体に上記と同じ又は異なる所定圧力を作用させる手段と、を有する。
【0014】
本発明の更に他の実施形態に係るインクジェット印刷システムは、少なくとも1個の第1インクジェットプリンタと、少なくとも1個の第2インクジェットプリンタと、を備える。第1インクジェットプリンタは、それぞれ、その上の転写面上に第1インク像が形成される第1ドラム、その上の非液濡れ面と第1ドラムの表面との間に第1ニップが形成される第1ローラ、記録媒体を所定の記録速度で第1ニップ内に送る部材、並びにその記録媒体に第1ニップ内で所定圧力を加える部材を備える。第2インクジェットプリンタは、それぞれ、その上の転写面上に第2インク像が形成される第2ドラム、その上の液濡れ面と第2ドラムの表面との間に第2ニップが形成される第2ローラ、記録媒体を上記と同じ又は異なる所定の記録速度で第2ニップ内に送る部材、並びにその記録媒体に第2ニップ内で上記と同じ又は異なる所定圧力を加える部材を備える。本システムは、更に、第1インクジェットプリンタから記録媒体を受け入れ表裏反転させて第2インクジェットプリンタに送る表裏反転器と、第1インクジェットプリンタから入口にある記録媒体配分モジュールへ、またそのモジュールから第1又は第2インクジェットプリンタへと、横方向に延びた1本又は複数本の媒体供給路及び横方向に延びた1本又は複数本の媒体帰還路を介し指定順序で記録媒体を循環させる手段と、を備える。本システムでは、第1,第2を含め複数個あるインクジェットプリンタを記録媒体が随時出入りする。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施形態に係るインクジェット印刷システムにおける片面転写プロセスを説明するための部分拡大図である。
【図2】同じく両面記録時他面転写プロセスを説明するための部分拡大図である。
【図3】媒体シート裏面へのオイル付着と両面記録時不良の関係を示す図である。
【図4】転写用加圧ローラの稼働条件とローラゴースト発生のレベルとの関係を示す図である。
【図5】本実施形態におけるIME及び媒体供給モジュールの配置例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1及び図2に、本発明の一実施形態における画像記録装置2,4の構成を示す。これらの装置2,4は加圧転写(transfix)による印刷プロセスを実行するインクジェットプリンタである。このプロセスは、加熱により流動化させた相変化インクをエラストマ質の中間転写面12に付着させ、そのインクを記録媒体28上に加圧転写し、必要ならば後段のフューザで媒体28上のインクを再熔融させるプロセスである。本実施形態では、更に、媒体28の片面に図1の装置2で印刷を施し、その媒体28を表裏反転させ、図2の装置4でその媒体28の他面に印刷やインク像仕上げ処理を施すことも可能である。この点については後にまた説明する。また、これらの図では互いに同様の又は対応する部材に同様の符号を付してある。そのうちプリントヘッド11は複数個のインク吐出口を有する部材であり、図示しない相応のハウジング及び支持部材によって固定的に又は可動的に支持されている。ヘッド11は転写面12にインクを付着、堆積させるための部材であり、そのインクは、当初は固体状のインクに熱エネルギを供給し約85〜約150℃まで昇温させて流動性を持たせたものである。インクの劣化や化学分解が生じかねないのでそれ以上の温度にはしない。ヘッド11上のインク吐出口からこのインクをラスタスキャン式に吐出させると、その先にある転写面12にそのインクが付着してインク像26が発生する。そのインク像26は冷めていき、やがてある中間的な温度に達する。すると、そのインク像26は固体状だが柔軟性のある状態になる。インク像26はその状態で媒体28上に加圧転写され、再熔融や表裏反転を経てインク再転写や仕上げに供される。次に、装置2における加圧転写プロセスと、装置4における加圧転写プロセスとについて、より詳細に説明する。
【0017】
まず、装置2,4の担持体14はエラストマ層8によって被覆されている。図示例の担持体14はドラム状であるが、ドラムに限らずウェブ、プラテン、ベルト、バンド等の形状乃至構成にすることもできる。更に、そのエラストマ層8の上には中間転写面12が形成される。この面12は一種の液濡れ(oiled)面である。即ち、ドラム14上のエラストマ層8に剥離液塗布材を接触させると、剥離液の層がその層8上に発生し、その剥離液層の表面が転写面12となる。こうした中間転写面形成に適する剥離液の例としては、水、フッ素系オイル、グリコール、界面活性剤、鉱油、シリコーンオイル、機能油等の流体やそれらの任意の組合せを掲げうる。また、そのための剥離液塗布材としては、例えば、ウェブ、芯状パッド、芯状ローラ等に剥離液を浸み込ませて使用する。図示例では、織布等で形成された芯状ローラ乃至パッドに剥離液を浸み込ませて剥離液塗布材とした塗布アセンブリ16を使用している。このアセンブリ16は、層8の表面に付いた剥離液44を部分的に削ぎ均一化する刮ぎ刃18も備えている。また、このアセンブリ16は、ジャーナル軸周りで図示方向にドラム14を回転させたとき、図示しないカム及びカムフォロワの働きで上方に移動するよう、構成されている。この移動はドラム14に剥離液塗布材が接触することで制止される。その剥離液塗布材には剥離液が浸みているので、当該接触によってドラム14の表面に剥離液が付着、堆積して転写面12が発生する。なお、ここで示した中間転写面形成方式及びその細部については、この参照を以て本願に繰り入れられ本願出願人を米国での特許権者とする特許文献10(発明者:Jones et al.)に開示されているので、そちらを参照されたい。
【0018】
装置2,4では、更に、剥離液塗布によりエラストマ層8上に発生した中間転写面12を加熱器19によって昇温させている。加熱器19としては輻射型抵抗ヒータ等相応のものを使用する。その位置は図示の位置、或いはドラム14内とする。加熱器19は、プリントヘッド11からのインクが付着可能な温度まで転写面12を昇温させる。目標となる温度は中間転写面形成用の剥離液や使用されるインクの具体的な性質により左右されるが、例えば常温から約25〜約70℃或いはそれ以上の温度まで上昇させることとなろう。温度コントローラ40は、サーミスタ42を利用しつつ面12の温度を調整する。次いで、約85〜約150℃に熱して流動化させたインクをヘッド11から吐出させ、転写面12の最表部に付着させてインク像26を形成する。転写面12の温度はそのインクの温度より低いので、面12に付着したインクは冷めていき、固体状だが柔軟性のある中間状態へと変化する。
【0019】
また、装置2では、図示しない媒体供給手段から送られてくる記録媒体28例えば紙シートや透明フィルムが、記録媒体案内器20及び21により案内されニップ29に進入する。ニップ29はローラ23とドラム14とを正確に対向させることによって形成されている。即ち、ローラ23は金属製例えば鋼製のコアをエラストマ層22で被覆した構成であり、その層22をドラム14側のエラストマ層8に対面させることでニップ29が形成されている。従って、湾曲のある中間転写面12上にインク像26を形成した後引き続きドラム14を回転させると、その像26はニップ29内に進入していく。像26は、それをかたちづくるインク滴がニップ29内で媒体28上に押しつけられ潰れる結果、その画像構造を保ったまま媒体28に付着する。このとき、ローラ23を予めドラム14から引き離しておき、媒体28の先端辺がニップ29に入ったらその媒体28上に下降させ、媒体28の後端辺がニップ29を出たら停止させてその媒体28から上昇させると(ローラ横の両矢印線)、転写面12にローラ23を接触させることなく像26を媒体28に加圧転写することができる。即ち、媒体28の表面のうちローラ23側エラストマ層22が接触する面を、ドラム14上の像26が転写される側とは逆の面に、限ることができる。
【0020】
他方の装置4では、図示しない媒体供給手段から送られてくる記録媒体28例えば紙シートや透明フィルムが、記録媒体案内器20及び21により案内されニップ39に進入する。ニップ39はローラ33とドラム14とを正確に対向させることによって形成されている。即ち、ローラ33は金属製例えば鋼製のコアをエラストマ層32で被覆した構成であり、その層32をドラム14側のエラストマ層8に対面させることでニップ39が形成されている。従って、湾曲のある中間転写面12上にインク像26を形成した後引き続きドラム14を回転させると、その像26はニップ39内に入っていく。像26は、それをかたちづくるインク滴がニップ39内で媒体28上に押しつけられ潰れる結果、その画像構造を保ったまま媒体28に付着する。このとき、媒体28がニップ39に入る前から面12にローラ33を接触させておき、媒体28がニップ39を通っている間押しつけておき、そして媒体28がニップ39を抜けた後は再び面12にローラ33を接触させるようにすると、ローラ33をドラム14側から引き離さずに、媒体28上に像26を加圧転写することができる。即ち、媒体28がニップ39内を通る前後にローラ33側エラストマ層22を剥離液層表面12に接触させることができる。
【0021】
これら、回転しているドラム14の表面にあるエラストマ層8上に中間転写面12を形成、整備し、その面12上にインク像26を形成し、そしてその像26を記録媒体28に加圧転写するプロセスでは、注記すべきことに、層8を厚くすると一次及び二次インクスポット径並びに媒体28(例えば紙)の荒さに適合しやすくなって転写効率が高まり、また層8を薄くするとインク像26が薄く且つ広く拡がって媒体28(例えば紙)に浸みやすくなる。転写効率が高くなる厚みは約40〜200μm、インクの拡がりがよい厚みは約5〜40μmである。また、その像26をニップ29,39内で媒体28に転写、付着させる際、ローラ23,33を覆う弾性のエラストマ層22,32によってその媒体28に加える圧力は、例えば800ポンド重未満とする(但し1ポンド=約0.45kg)。像26の転写が済んだら、転写先たる最終的な記録媒体28例えば紙を剥離液層表面12の最表部から剥離させる。その際には、装置2,4に実装されている枢動可能な複数個のストリッパフィンガ25(1個のみ図示)を助力とすることができる。また、その後次の画像を記録する前に、塗布アセンブリ16及びその刮ぎ刃18が作動、上昇してドラム14に接触するので、剥離液層の表面12には剥離液が補給、適量化されることとなる。
【0022】
また、剥離液層の表面たる中間転写面12から最終的な記録媒体28へとインク像26を転写させる動作は、上述の通り、図1を参照して模式的に説明したものと、図2を参照して模式的に説明したものとで異なっている。即ち、像26を媒体28に転写するとき、図2では僅かだが計測可能な量の剥離液もその媒体28上に転写される。その剥離液は媒体28上で剥離液層を形成する。その剥離液層の平均的な厚みは、計算値では約0.8μmである。別の言い方をすると、媒体28に転写されそこで層を形成する剥離液の質量は、1ページ当たり約0.1〜約200mg、例えば約0.5〜約50mgと表せる。この量は、画像記録プロセスを開始してから所定枚数の媒体28に画像を記録するまでの間に塗布アセンブリ16内の剥離液の質量がどの程度減るかを追跡する試験によって、求めることができる。
【0023】
そして、図1,図2に示した装置2,4では、ローラ23,33とドラム14側エラストマ層8との接触により形成されるニップ29,39を通り抜け、それによってインク像26が転写された記録媒体28を、熱処理器60にて熱処理することができる。この熱処理器60は、その温度が例えば50〜100℃になるよう媒体28上の像26を加熱、除熱又は保温する。なお、インクはある温度を超えると流動化乃至発火し、また媒体28もある温度を超えると発火するので、熱処理器60で媒体28上の像26を加熱する際の温度は上限制限される。熱処理器60は、ニップ29,39を出たときの温度が保たれるよう媒体28及びインクを熱絶縁するという単純な構成でもよいし、熱エネルギを加除する加熱乃至除熱システムとして構成してもよい。
【0024】
このように、本実施形態では、記録媒体28の第1面への印刷は装置2、その媒体28の第2面への印刷は装置4、というように、表裏で別のIME乃至インクジェットプリンタを使用することができる。また、図1を参照して説明した動作によれば、第1面印刷時にローラ23側エラストマ層22の表面が剥離液で濡れない(non-oiled)ため、その面を介した転写による媒体への剥離液付着という両面記録時不良の発生を抑え又は減らすことができる。更に、図2を参照して説明した動作によれば、第2面印刷時にローラ33側エラストマ層32の表面が剥離液で十分に濡れる(oiled)ため、ローラ33側に剥離液が十分供給されないことによる裏面オフセット、光沢劣化及びローラゴースト発生の増加を妨げることができる。第1面印刷と第2面印刷を別のIMEに担わせることができる限り、IMEの個数が3個以上のシステムでも同様の効果を得ることができる。図3に、媒体裏面への剥離液付着量と両面記録時不良の発生量との関係を示す。この関係から判る通り、第1面印刷時に使用する転写用加圧ローラ22の表面を剥離液で濡らさない方が、両面記録時不良が少なくなる。また、図4に、転写用加圧ローラ表面の剥離液量によるローラゴースト発生量の変化を示す。図中の稼働条件番号のうち、1は剥離液で濡らさなかった場合を、2はドラム上の剥離液との接触のみで転写用加圧ローラ表面を濡らした場合を、3は転写用加圧ローラ表面に剥離液を供給する動作(MDO:Mid-Duplex Oiling)及び転写用加圧ローラをドラム上の剥離液に接触させる動作(ロールオン)を実行した場合を、4はMDO及びロールオンに加えエクストラロールオフ(ドラムに対する転写用加圧ローラの位置関係を故意に固定することで転写用加圧ローラ表面に剥離液を供給する動作)を実行した場合を、そして5はMDO、ロールオン、エクストラロールオフに加え清掃区間限定清掃(第1面印刷後の転写用加圧ローラ表面に多めに剥離液を残す清掃)を実行した場合を表しており、縦軸にはそれらの条件下でのゴーストSIR(standard image reference)値が表されている。本実施形態では、第2面印刷を担うIMEにて両面記録時不良抑制をさほど考慮しなくてもよいため、図中の稼働条件のうちそのIMEにおけるドラム対転写用加圧ローラの接触機会が複数ある稼働条件を使用することによって、印刷動作の実行前及び実行中にローラの表面の液濡れ状態をより好適に保つことができる。これと同様のデータは光沢やオフセットに関しても得ることができよう。
【0025】
また、本実施形態に係る印刷システムは、後述の通りIME複数個と媒体供給モジュールを有する構成である。そのIMEとしては、記録媒体上に画像を記録可能なものならどのようなものでも使用できる。例えばインクジェットプリンタ、電子写真プリンタ、感熱紙利用型サーマルヘッドプリンタ等のいずれでも、また白黒プリンタ及びカラープリンタのいずれでも、使用することができる。白黒(K)及びカラー(C)のプリンタを併用する場合、図5を参照して後述する形態に限らず、本発明の技術的範囲内で様々な構成、種類又は個数のIME又はその代替物を様々に組み合わせて使用することができる。個々のIMEは、入出力インタフェース、メモリ、マーキングカートリッジプラットフォーム、マーキングドライバ、ファンクションスイッチ、コントローラ、自己診断ユニット、それらを相互接続するデータ/コントロールバス等で構成できる。IME間に処理速度差があってもかまわない。媒体供給モジュールには、後述如くガーベージカン即ち廃棄部(廃棄路)を設けることもできる。
【0026】
各IMEは、その接続先たるデータ源から信号線等の接続手段を介し画像データを受け取り、そのデータに基づき記録媒体上に画像を記録する。そのデータ源としてはかなり多様な装置乃至媒体を使用することができる。例えば、スキャナ、ディジタル複写機、ファクシミリ機等の電子的画像データ生成装置や、ネットワーク乃至インターネット(特にWWW:worldwide web)のサーバ乃至クライアント等の電子的画像データ送信/保存装置や、磁気記録ディスク、CD−ROM等の画像データ搬送用データ担体を、記録対象となる画像のデータ源とし使用することができる。本願出願時に既知か否かを問わない。スキャン、合成等で取得乃至生成したデータを、個々のIMEに提供できるものであればよい。
【0027】
その接続手段としては、IME・データ源間を接続可能なものであれば、本願出願時に既知か否かを問わずあらゆる装置乃至システムを使用可能である。例えば装置間を直接接続するためのケーブルや、公衆電話交換網(PSTN)、無線通信回線、ワイドエリアネットワーク(WAN)、ローカルエリアネットワーク(LAN)、イントラネット、インターネット等の分散処理網乃至システムに接続するための装置である。総じていえば、画像データ源をIMEに接続可能な接続システム乃至機構であればどのようなものでも、本願出願時に既知か否かを問わず当該接続手段として使用することができる。また、そうした接続手段を使用せずデータ源をIMEに直結してもよい。
【0028】
それらのIMEは、図5を参照してこれから説明する通り、適宜組み合わせて相互に密結合/集積配置することができる。それにより、より高い印刷速度、より低いランニングコスト並びに高水準のアップタイム及びシステム冗長性を実現することができる。また、それらのIMEに対する記録媒体の供給は、集積配置された(図示例では2個の)媒体供給モジュールによって行うことができる。
【0029】
まず、図5に示す印刷システム110はモジュラアーキテクチャを採っており、IME、媒体供給モジュール等のモジュールと、それを収容する枠組みと、横方向に延びる高速媒体移送路(媒体供給/帰還路)とを備えている。図中の枠組みは縦長であり、そのなかにはIME、媒体供給モジュール等のモジュールが複数個ずつ収容されているが、モジュール収容可能個数が1個の枠組みを使用することや、媒体供給/帰還路用の枠組みを別に分けることもできる。枠組みの形状は、当該モジュールを上下方向からも横方向からも入れられるように工夫されている。枠組みの棚板及び側壁は、IME、媒体供給モジュール等、様々な種類のモジュールを収容できるように工夫されている。IME、媒体供給モジュール等のモジュールの縦続連結個数は任意に増減可能であり、従ってモジュール追加により更に高速なシステム110にすることができる。そして、システム110の処理機能を残りの部分で確保しつつ、個々のIMEをシステム110から切り離して修理等にまわすことができる。
【0030】
より具体的に述べると、本システム110は、3個の縦長な印刷タワー114、116及び118と媒体供給タワー120を集積配置したシステムである。タワー114、116及び118にはIMEが都合6個(1100、1150、1200、1250、1200及び1250)、タワー120には媒体供給モジュールが2個(122及び124)収容されている。また、図示しないが、本システム110には媒体仕上げ/スタック部を例えば2個(151及び152)有する仕上げタワーを付加することもできる。更に、本システム110の媒体供給側は入口にある記録媒体配分モジュール140によって、また仕上げ側は出口にある記録媒体集約モジュール150によってそれぞれ閉止されている。これらのモジュール140,150は、このシステム110内で記録媒体例えば紙を循環させる役目や、その媒体をシステム110外に出す役目を担っている。6個あるIME1100、1150、1200、1250、1300,1350及び2個ある供給モジュール122,124は、モジュール140・150間に挟まれるよう収容及び集積されている。使用するIMEの個数、白黒IME(K)及びカラーIME(C)の個数比率及び組合せ方、並びにそれらのIMEの仕組みは、図示のものとは異なるものにすることもできる。IMEのうち何個かは、前掲の画像記録装置(インクジェットプリンタ)2及び4と同様の仕組みにするとよい。
【0031】
稼働時には、記録媒体は、まず媒体供給タワー120を出て配分モジュール140に入り、更に高速媒体移送路たる媒体供給路に入って横方向に移送され、そしてその供給路によってIME集積配置領域内に運ばれる。
【0032】
本実施形態では、それらのIMEのうち複数個を使用し、前述の如く単一通過型の両面記録を実行することができる。単一通過型両面記録とは、記録媒体例えば媒体シートの第1面にはあるIMEで、第2面には別のIMEで、それぞれ画像を記録(印刷)する手法である。第1面への記録が済んだ後に媒体を表裏反転させ、第1面記録に使用したIMEへ回付する必要はない。
【0033】
ご理解頂けるように、こうした単一通過型両面記録は、図示されている6個のIMEのうちどの2個の組合せでも実行可能である。そこで、以下の説明では、互いに横並びの位置関係にあるIME1100,1150を例にとる。この例では、1個目のIME1100は第1面記録用、その下流にある2個目のIME1150は第2面記録用にする。無論、単一通過型両面記録に使用されるIME同士の位置関係は縦並びでも横並びでもよい。隣同士の関係でなくてもよい。
【0034】
また、横方向に延びる高速媒体移送路を含め、IMEへの媒体進入やIMEからの媒体退出に関わる経路に沿った複数の場所には、スイッチ乃至振分器が配置乃至形成されている。図示しないがこの点はご理解頂けるであろう。これは、媒体シート等の記録媒体が所望経路を辿って移動するよう、その進入先経路を切り替えるためのものである。こうしたスイッチ乃至振分器としては、例えばそのポジションを電気的に切替可能なものを使用する。システム動作の信頼性及び生産性を高めるには、例えば、集中制御装置が諸モジュールに対する媒体シートの割当及び移送に責任を持ち、適宜スイッチポジションを制御してジョブストリームを実行するようにすればよい。
【0035】
その高速媒体移送路としては、都合4個の媒体供給/帰還路160,162,164,166が横方向に延設されている。図中、それらにおける記録媒体の移動方向は矢印線で示されている。即ち、上層の帰還路160では向かって右から左へ、中層の供給路162では左から右へ、中層の帰還路164では右から左へ、そして下層の供給路166では左から右へと、媒体が横方向に移動する。配分モジュール140は、向かって右側にある供給タワー120内の供給モジュール122,124から媒体例えばシートを受け取り、そのシートを供給路162,166に引き渡す。集約モジュール150は、向かって左側にある最終段の印刷タワー118を介し供給路162,166からシートを受け取り、そのシートを所定順序で仕上げ/スタック部151,152に送り或いは帰還路160,164により循環させる。なお、供給/帰還路160,162,164,166における媒体移動方向は原則として上述の通りであるが、それら(のセグメント)における媒体移動方向が一時的に逆方向になることもある。例えば媒体移送経路を修正するときである。
【0036】
従って、本実施形態では、任意のIMEにて記録媒体の第1面に画像を記録し、他の1個又は複数個のIMEにてその媒体の第2面に画像を記録することによって、単一通過型両面記録や複数通過型記録(multi-pass printing)を実行することができる。この機能に特に寄与している部材は、帰還路160,164、表裏反転器及び配分/集約モジュール140,150である。即ち、モジュール140,150とつながりそれらの間を結ぶ帰還路160,164があるので、例えば、まずは向かって右下のIME1200に回付し、次いでモジュール150の上部に送り、更に上層の帰還路160に沿ってモジュール140に戻し、そして向かって左上のIME1250に回付する、といった経路で媒体を流通させることができる。帰還路160,164上の媒体を、入口内経路161,165に入る手前で、媒体廃棄路123,125経由で廃棄することもできる。
【0037】
例えば、IMEのうちIME1100を使用するものとする。この場合、本システム110では、記録媒体が詳細には次のような経路を辿る。即ち、記録媒体は、まず供給タワー120を出発して入口にある配分モジュール140に入り、入口内経路161,163及び165のうち何個かを通って下層の供給路166に進んでいく。ご理解頂ける通り、帰還路160,164を通る経路で媒体を移送し又は循環させることもできる。供給路166上の媒体は、IME1100への入口にてその供給路166から出た後、IME進入路1102上を辿り待機部即ち入口側の表裏反転器1108に入っていく。反転器1108内の媒体は、処理部進入路1106を経由しそのIME1100の処理部に入り、処理部内経路1110沿いに移送される。こうして処理部内で画像が記録された媒体は、処理部出口1112にて処理部内経路1110から出て、次に示す経路のうちいずれかを辿る。即ち、反転器進入路1113を通ってもう一つの待機部たる出口側の表裏反転器1114に入り反転器退出路1115を通ってその反転器1114を出る経路か、その反転器1114を迂回する迂回路1116を辿る。どちらの場合でも、媒体はIME1100を出て供給路166に入っていく。
【0038】
また、IMEのうち他の1個例えばIME1150を使用するものとする。この場合、本システム110では、記録媒体が詳細には次のような経路を辿る。即ち、記録媒体は、まず供給タワー120を出発した後直ちに、或いは他のIMEを経由してから、入口にある配分モジュール140に入り、下層の供給路166に進んでいく。ご理解頂ける通り、帰還路160,164を通る経路で媒体を移送し又は循環させることもできる。供給路166上の媒体は、IME1150への入口にてその供給路166から出た後、IME進入路1152上を辿り待機部即ち入口側の表裏反転器1158に入っていく。反転器1158内の媒体は、処理部進入路1156を経由しそのIME1150の処理部に入り、処理部内経路1160沿いに移送される。こうして処理部内で画像が記録された媒体は、処理部出口1162にて処理部内経路1160から出て、次に示す経路のうちいずれかを辿る。即ち、もう一つの待機部たる出口側の表裏反転器1164に入る経路か、その反転器1164を迂回する迂回路1166を辿る。どちらの場合でも、媒体はIME1150を出て供給路166に入っていく。供給路166上の媒体は、出口内経路167を介して帰還路164若しくは媒体仕上げ/スタック部151に送ることも、出口内経路167〜169を介して帰還路160若しくは仕上げ/スタック部152に送ることもできる。
【0039】
更に、本実施形態ではIMEの構成や配置を任意に定めることができる。IME同士の相対的な位置関係を最適化するには、例えば、白黒両面印刷の頻度とカラー両面記録の頻度との差等、顧客別利用形態統計を分析して位置関係を決めればよい。
【0040】
図示の通り、そのIMEには、一対の表裏反転器(例えば1108及び1114)をサブシステムとして組み込むことができる。表裏反転器は、記録媒体を媒体供給路から受け取り或いは媒体供給路に引き渡す手段であると共に、より重要なことに、裏面記録に備え媒体例えばシートを表裏反転させる手段である。ご理解頂けるように、個々のモジュール(例えばIME)に迂回路を設けること、例えば入口側の表裏反転器に対する迂回路(図示せず)や出口側の表裏反転器に対する迂回路(例えば1116,1166)を設けることができるので、一方又は双方の表裏反転器を迂回させることで媒体に複数通過型記録を施すこともできる。
【0041】
更に、本システム110はモジュラアーキテクチャを採っており、媒体供給/帰還路の寸法・形状やそれらの相互連結部の仕様が共通化されている。従って、本システム110では、様々な種類のIMEを、媒体移送路のうちそのIME内にある部分の異同によらず併用することができる。即ち、IME内媒体移送路のうちIME進入路及びIME退出路が共通仕様に従い構成されていれば、任意のIMEから他の任意のIMEへと、媒体例えばシートを(随時表裏反転させて)引き渡すことができる。
【0042】
また、モジュラアーキテクチャを採っているため、本システム110では様々な種類のIMEを併用することができる。即ち、上述の通りその種類や処理速度に違いのある様々なIMEを併用できる。モジュラアーキテクチャはIMEや媒体移送路についての冗長性が高い。モジュラアーキテクチャでは、記録媒体供給源は入口に1個設けるだけでよく、媒体集約モジュールも出口に1個設けるだけでよい。必要なら、その媒体集約モジュールにて、記録媒体を表裏反転させ、双方向に移動させ、或いは複数の宛先に送出することもできる。ご理解頂けるように、任意のサブシステムを指定し画像記録プロセスを実行させることができるので、本システム110では、非常に高い生産性(非常に大きなppm値)を達成することができる。そして、図示しないが、IMEを奇数個使用してモジュラアーキテクチャにすることもできる。例えば3個のIMEにてシステムを構成する場合、3個のうち2個が上下方向に並び、3個のうち2個が横方向に並ぶよう、即ち3個のうち1個をかなめにして3個のIMEが並ぶよう、それらのIMEを配置すればよい。
【0043】
更に、モジュラアーキテクチャでは単一通過型両面記録、複数通過型カラー記録、冗長両面記録ループ等を実行することができる。従って、媒体移送距離を短縮して信頼性及び両面記録時生産性を高めることができる。
【0044】
そして、以上の説明は本発明のある特定の実施形態についてのものである。本発明を実施するに当たっては、上述した実施形態で使用されているIMEを変形することや、インクジェットプリンタ以外の画像記録機構に置換することができる。画像記録機構が(電子写真式IME等に)置換されれば、システム及びそのIMEに対し求められる性能も変わる。別紙特許請求の範囲で定義されている発明、即ち本願にて保護を求める発明の技術的範囲には、そうした変形乃至改変が施されたものも数多包含されるので留意されたい。
【符号の説明】
【0045】
2,4,1100,1150,1200,1250,1300,1350 画像記録装置(IME:画像マーキングエンジン)、8 ドラム側エラストマ層、11 プリントヘッド、12 中間転写面、14 ドラム状担持体、16 塗布アセンブリ、18 刮ぎ刃、19 加熱器、20,21 記録媒体案内器、22,32 ローラ側エラストマ層、23,33 ローラ、25 ストリッパフィンガ、26 インク像、28 記録媒体、29,39 ニップ、40 温度コントローラ、42 サーミスタ、44 剥離液、60 熱処理器、110 印刷システム、114,116,118 印刷タワー、120 媒体供給タワー、122,124 媒体供給モジュール、123,125 媒体廃棄路、140 媒体配分モジュール、150 媒体集約モジュール、151,152 媒体仕上げ/スタック部、160,164 媒体帰還路、161,163,165 入口内経路、162,166 媒体供給路、167〜169 出口内経路、1102,1152 IME進入路、1106,1156 処理部進入路、1108,1114,1158,1164 表裏反転器、1110,1160 処理部内経路、1112,1162 処理部出口、1113 反転器進入路、1115 反転器退出路、1116,1166 迂回路。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対応する転写面上に第1及び第2インク像を形成させるステップと、
第1インクジェットプリンタ内の片面印刷路上にある第1ニップに所定速度で記録媒体を送り込ませるステップと、
対応する転写面上の第1インク像がその記録媒体の第1面に転写するよう第1ニップ内でその記録媒体に所定圧力を作用させるステップと、
その記録媒体をそのための経路で表裏反転させるステップと、
第2インクジェットプリンタ内の片面印刷路上にある第2ニップに上記と同じ又は異なる所定速度でその記録媒体を送り込ませるステップと、
対応する転写面上の第2インク像がその記録媒体の第2面に転写するよう第2ニップ内でその記録媒体に上記と同じ又は異なる所定圧力を作用させるステップと、
を有する固体インクジェット印刷システム用印刷制御方法。
【請求項2】
請求項1記載の固体インクジェット印刷システム用印刷制御方法であって、第1ドラムと対面乃至接触して第1ニップを形成する第1ローラの表面を、随時、非液濡れ面にする固体インクジェット印刷システム用印刷制御方法。
【請求項3】
対応する転写面上に第1及び第2インク像を形成させる手段と、
第1ドラム上の転写面と第1ローラ上に随時形成される非液濡れ面との間にあり、且つ第1インクジェットプリンタ内に存する第1ニップに、所定速度で記録媒体を送り込ませる手段と、
対応する転写面上の第1インク像がその記録媒体の第1面に転写するよう第1ニップ内でその記録媒体に所定圧力を作用させる手段と、
その記録媒体をそのための経路で表裏反転させる手段と、
第2ドラム上の転写面と第2ローラ上に随時形成される液濡れ面との間にあり、且つ第2インクジェットプリンタ内に存する第2ニップに、上記と同じ又は異なる所定速度でその記録媒体を送り込ませる手段と、
対応する転写面上の第2インク像がその記録媒体の第2面に転写するよう第2ニップ内でその記録媒体に上記と同じ又は異なる所定圧力を作用させる手段と、
を有するインクジェット印刷システム用印刷制御装置。
【請求項4】
その上の転写面上に第1インク像が形成される第1ドラム、その上の非液濡れ面と第1ドラムの表面との間に第1ニップが形成される第1ローラ、記録媒体を所定の記録速度で第1ニップ内に送る部材、並びにその記録媒体に第1ニップ内で所定圧力を加える部材を備える少なくとも1個の第1インクジェットプリンタと、
その上の転写面上に第2インク像が形成される第2ドラム、その上の液濡れ面と第2ドラムの表面との間に第2ニップが形成される第2ローラ、記録媒体を上記と同じ又は異なる所定の記録速度で第2ニップ内に送る部材、並びにその記録媒体に第2ニップ内で上記と同じ又は異なる所定圧力を加える部材を備える少なくとも1個の第2インクジェットプリンタと、
第1インクジェットプリンタから記録媒体を受け入れ表裏反転させて第2インクジェットプリンタに送る表裏反転器と、
第1インクジェットプリンタから入口にある記録媒体配分モジュールへ、またそのモジュールから第1又は第2インクジェットプリンタへと、横方向に延びた1本又は複数本の媒体供給路及び横方向に延びた1本又は複数本の媒体帰還路を介し指定順序で記録媒体を循環させる手段と、
を備え、第1,第2を含め複数個あるインクジェットプリンタを記録媒体が随時出入りするインクジェット印刷システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2010−30300(P2010−30300A)
【公開日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−169678(P2009−169678)
【出願日】平成21年7月21日(2009.7.21)
【出願人】(596170170)ゼロックス コーポレイション (1,961)
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
【Fターム(参考)】