説明

離型フィルム

【課題】 ポリエステルよりなる離型フィルムを用いた製造工程において、ロール清掃の低減による製造歩留まりの向上や、異物の低減による品質を向上させることのできる離型フィルムを提供する。
【解決手段】 10〜100mN/cmの剥離力を有する離型層をポリエステルフィルムの片面に設けたフィルムであり、当該フィルムのプレス接着率が70〜95%の範囲であり、離型層を有していない面と金属との摩擦係数が0.10〜0.28の範囲であることを特徴とする離型フィルム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、離型フィルムに関するものであり、詳しくは離型フィルムを用いた製造工程において、製造工程内のロール汚染が極めて少ない離型フィルムに関するものである。さらに詳しくは、本発明は、例えば、液晶ディスプレイ(以下、LCDと略記する)、プラズマディスプレイパネル(以下、PDPと略記する)、有機エレクトロルミネッセンス(以下、有機ELと略記する)等、表示部材製造用等の光学用途のほか、離型フィルム起因の異物を極端に嫌う用途や、製造工程の効率化を求められている用途に好適な離型フィルムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ポリエステルフィルム上に接着性、帯電防止性等の各種機能を有する塗布層が設けられた離型フィルムは、液晶偏光板、位相差板、PDP、有機EL等の表示部材製造用等をはじめ、各種光学用途等に使用されている。
【0003】
各種光学用途の部材として離型フィルムが使用される製造方法としては、離型フィルムの離型層面側に粘着剤を塗布し粘着層を設け、その粘着層の上に各種基材を貼り合せる方法や、先に各種基材に粘着層を設け、その粘着層に離型層面側が接するように離型フィルムを貼り合せる方法が挙げられる。どちらの方法においても、粘着層を介して各種基材と離型フィルムを貼り合わす際に、ニップロールによる貼り合わせ工程を有し、離型層を有していない面は、強い力のニップロールに直接接触するため、フィルム表面に存在するオリゴマーがロールに付着し、異物となり製品欠陥の原因となったり、オリゴマーの付着したロールの洗浄により製造工程の歩留まりを悪くしたりするなどの問題がある。ニップロール以外においても、離型層を有していない面は、各製造工程でのロールと直接接触するため、同様の問題が生じる。
【0004】
たとえば、ポリエステルフィルム表面のオリゴマーがロール上で堆積し、異物として製品内に混入し光学用途に用いた場合には、光学製品として致命的な欠陥となり、堆積したオリゴマーを除去するためにラインを停止し、ラインの掃除が必要となる場合には、歩留まりが悪化し、低価格化への対応できなくなる場合がある。
【0005】
近年、IT(Information Technology)分野の躍進に伴い、LCD、PDP、有機EL等の表示部材製造時に使用される離型フィルムの品質向上と共に異物に伴う各種不具合がさらに顕在化する傾向にある。
【0006】
LCD用ディスプレイ製造時に使用する粘着剤層保護用離型フィルムを構成する基材フィルム、ブラウン管(以下、CRTと略記する)用あるいはLCD用ディスプレイの反射防止フィルム用基材フィルム、タッチパネル用基材フィルム、液晶表示装置の構成部材であるプリズムレンズシート用基材フィルム、CRTのガラス飛散防止フィルム用基材フィルム、電子ペーパー用基材フィルム等には、特に優れた透明性が要求される。
【0007】
上述の各種基材フィルムとして離型フィルムを用いた場合、特に光を透過して見る、いわゆる視認性が極めて重視される用途でもあるため、フィルム表面の異物の存在なども、通常のフィルム用途では全く問題とならない異物でさえ、大問題となる。
【0008】
近年、LCDの視認性向上を目的として表示画面の輝度をより高くする傾向があり、上記不具合が深刻な問題となってきている。
【0009】
一方、生産性向上に伴う製造コストの低減を図ることを目的として、製造工程の高速化に伴い、上述のオリゴマーがより汚染しやすい状況になっている。
【特許文献1】特開2000−108252号公報
【特許文献2】特開2000−141568号公報
【特許文献3】特開2001−246698号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上記実情に鑑みなされたものであって、その解決課題は、ポリエステルよりなる離型フィルムを用いた製造工程において、ロール清掃の低減による製造歩留まりの向上や、異物の低減による品質を向上させる離型フィルムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、特定の構成を有する離型フィルムによれば、上記課題を容易に解決できることを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0012】
すなわち、本発明の要旨は、10〜100mN/cmの剥離力を有する離型層をポリエステルフィルムの片面に設けたフィルムであり、当該フィルムのプレス接着率が70〜95%の範囲であり、離型層を有していない面と金属との摩擦係数が0.10〜0.28の範囲であることを特徴とする離型フィルムに存する。
【0013】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明における離型フィルムの基体であるポリエステルフィルムは単層構成であっても積層構成であってもよく、2層、3層構成以外にも本発明の要旨を越えない限り、4層またはそれ以上の多層であってもよく、特に限定されるものではない。
【0014】
本発明においてフィルムに使用するポリエステルは、ホモポリエステルであっても共重合ポリエステルであってもよい。ホモポリエステルからなる場合、芳香族ジカルボン酸と脂肪族グリコールとを重縮合させて得られるものが好ましい。芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸などが挙げられ、脂肪族グリコールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等が挙げられる。代表的なポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート等が例示される。一方、共重合ポリエステルのジカルボン酸成分としては、イソフタル酸、フタル酸、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、オキシカルボン酸(例えば、p−オキシ安息香酸など)等の一種または二種以上が挙げられ、グリコール成分として、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、4−シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコール等の一種または二種以上が挙げられる。何れにしても本発明でいうポリエステルとは、通常60モル%以上、好ましくは80モル%以上がエチレンテレフタレート単位であるポリエチレンテレフタレート等であるポリエステルを指す。
【0015】
本発明のポリエステルフィルムを構成するポリエステル層中には、易滑性付与を主たる目的として粒子を配合することが好ましい。配合する粒子の種類は、易滑性付与可能な粒子であれば特に限定されるものではなく、具体例としては、例えば、シリカ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、硫酸カルシウム、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウム、カオリン、酸化アルミニウム、酸化チタン等の粒子が挙げられる。また、特公昭59−5216号公報、特開昭59−217755号公報等に記載されている耐熱性有機粒子を用いてもよい。この他の耐熱性有機粒子の例として、熱硬化性尿素樹脂、熱硬化性フェノール樹脂、熱硬化性エポキシ樹脂、ベンゾグアナミン樹脂等が挙げられる。さらに、フィルム原料の製造工程中、触媒等の金属化合物の一部を沈殿、微分散させた析出粒子を用いることもできる。
【0016】
一方、使用する粒子の形状に関しても特に限定されるわけではなく、球状、塊状、棒状、扁平状等のいずれを用いてもよい。また、その硬度、比重、色等についても特に制限はない。これら一連の粒子は、必要に応じて2種類以上を併用してもよい。
【0017】
また、用いる粒子の平均粒径は、通常0.05〜5μm、好ましくは0.05〜3μmの範囲である。平均粒径が0.05μm未満の場合には、粒子が凝集しやすく、分散性が不十分な場合があり、一方、5μmを超える場合には、フィルムの表面粗度が粗くなりすぎて、後工程において種々の表面機能層を塗設させる場合等に不具合が生じる場合がある。
【0018】
さらにポリエステル層中の粒子含有量は、通常0.001〜5重量%、好ましくは0.005〜3重量%の範囲である。粒子含有量が0.001重量%未満の場合には、フィルムの易滑性が不十分な場合があり、一方、5重量%を超えて添加する場合にはフィルムの透明性が不十分な場合がある。
【0019】
ポリエステル層中に粒子を添加する方法としては、特に限定されるものではなく、従来公知の方法を採用しうる。例えば、各層を構成するポリマーを製造する任意の段階において添加することができる。
【0020】
また、ベント付き混練押出機を用い、エチレングリコールまたは水などに分散させた粒子のスラリーとポリエステル原料とをブレンドする方法、または、混練押出機を用い、乾燥させた粒子とポリエステル原料とをブレンドする方法などによって行われる。
【0021】
なお、本発明におけるポリエステルフィルム中には、上述の粒子以外に必要に応じて従来公知の酸化防止剤、帯電防止剤、熱安定剤、潤滑剤、染料、顔料等を添加することができる。
【0022】
本発明においては上記したような方法により表面を適度に粗面化したフィルムを得るが、フィルム表面の算術平均粗さ(Ra)は、10〜60nmの範囲であることが好ましい。Raが10nm未満ではフィルムの滑り性が悪くなるため、製膜での巻き取りが困難となり、ロール外観が悪くなったり、離型フィルムを加工する際に不具合が生じたりすることがある。またRaが60nmを超えるとフィルムヘーズが高くなり、光学用フィルムとしての用途が限定されてしまうことがある。特に、粘着剤を設ける離型層面に比べ、離型層を有していない面のRaが10nm未満では、各種光学用途の部材として離型フィルムを用いた際に、製造工程において、ニップロール等のロールと直接接触するため、フィルムの滑り性が悪く、ロールにオリゴマーが付着しやすくなり、異物が発生したり、ロール掃除に伴う歩留まりが低下したりすることがある。
【0023】
本発明の離型フィルム厚みは、フィルムとして製膜可能な範囲で、離型フィルムとしての加工が可能であれば特に限定されるものではないが、通常10〜100μm、好ましくは15〜50μmの範囲である。フィルム厚みが10μm未満では、フィルムに腰が無いため、離型フィルムを剥がす工程でトラブルが生じることがある。フィルム厚みが100μmを超える場合は、製造コストが上がるため低価格化の要求に反することになる。
【0024】
次に本発明におけるポリエステルフィルムの製造例について具体的に説明するが、以下の製造例に何ら限定されるものではない。
【0025】
すなわち、先に述べたポリエステル原料を使用し、ダイから押し出された溶融シートを冷却ロールで冷却固化して未延伸シートを得る方法が好ましい。この場合、シートの平面性を向上させるためシートと回転冷却ドラムとの密着性を高める必要があり、静電印加密着法および/または液体塗布密着法が好ましく採用される。次に得られた未延伸シートは二軸方向に延伸される。その場合、まず、前記の未延伸シートを一方向にロールまたはテンター方式の延伸機により延伸する。延伸温度は、通常70〜120℃、好ましくは80〜110℃であり、延伸倍率は通常2.5〜7倍、好ましくは3.0〜6倍である。次いで、一段目の延伸方向と直交する方向に延伸するが、その場合、延伸温度は通常70〜170℃であり、延伸倍率は通常3.0〜7倍、好ましくは3.5〜6倍である。そして、引き続き180〜270℃の温度で緊張下または30%以内の弛緩下で熱処理を行い、二軸配向フィルムを得る。上記の延伸においては、一方向の延伸を2段階以上で行う方法を採用することもできる。その場合、最終的に二方向の延伸倍率がそれぞれ上記範囲となるように行うのが好ましい。
【0026】
また、本発明においては離型フィルムを構成するポリエステルフィルム製造に関しては同時二軸延伸法を採用することもできる。同時二軸延伸法とは、前記の未延伸シートを通常70〜120℃、好ましくは80〜110℃で温度コントロールされた状態で機械方向および幅方向に同時に延伸し配向させる方法であり、延伸倍率としては、面積倍率で4〜50倍、好ましくは7〜35倍、さらに好ましくは10〜25倍である。そして、引き続き、170〜250℃の温度で緊張下または30%以内の弛緩下で熱処理を行い、延伸配向フィルムを得る。上述の延伸方式を採用する同時二軸延伸装置に関しては、スクリュー方式、パンタグラフ方式、リニアー駆動方式等、従来公知の延伸方式を採用することができる。
【0027】
さらに上述のポリエステルフィルムの延伸工程中にフィルム表面を処理する、いわゆるインラインコーティングを施すことができる。インラインコーティングによりポリエステルフィルム上に塗布層が設けられる場合には、延伸と同時に塗布が可能となると共に、塗布層の厚みを延伸倍率により変化させることができるため、ポリエステルフィルムとして好適なフィルムを製造できる。
【0028】
次に本発明における塗布層の形成について説明する。本発明における離型フィルムを構成する塗布層は上述のインラインコーティングによりポリエステルフィルム上に設けられてもよく、一旦製造したフィルム上に系外で塗布する、いわゆるオフラインコーティングを採用してもよく、両者を併用してもよい。なお、積層ポリエステルフィルムの製造が安価に対応可能な点でインラインコーティングの方が好ましく用いられる。
【0029】
インラインコーティングについては以下に限定するものではないが、例えば、逐次二軸延伸においては特に縦延伸が終了して、横延伸前にコーティング処理を施すことができる。塗布延伸法によりポリエステルフィルム上に塗布層が設けられる場合には、製膜と同時に塗布が可能になると共に塗布層を高温で処理することができ、ポリエステルフィルムとして好適なフィルムを製造できる。
【0030】
次に本発明における離型層の形成について説明する。
【0031】
本発明における離型フィルムを構成する離型層は、上述の塗布延伸法(インラインコーティング)等のフィルム製造工程内において、ポリエステルフィルム上に設けられてもよく、一旦製造したフィルム上に系外で塗布する、いわゆるオフラインコーティングを採用しても良く、何れの手法を採用してもよい。塗布延伸法(インラインコーティング)については以下に限定するものではないが、例えば、逐次二軸延伸においては特に1段目の延伸が終了して、2段目の延伸前にコーティング処理を施すことができる。塗布延伸法によりポリエステルフィルム上に離型層が設けられる場合には、延伸と同時に塗布が可能になると共に離型層の厚みを延伸倍率に応じて薄くすることができ、ポリエステルフィルムとして好適なフィルムを製造できる。
【0032】
また、本発明における離型フィルムを構成する離型層は離型性を良好とするために、硬化型シリコーン樹脂を含有するのが好ましい。硬化型シリコーン樹脂を主成分とするタイプでもよいし、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アルキッド樹脂等の有機樹脂とのグラフト重合等による変性シリコーンタイプ等を使用してもよい。
【0033】
硬化型シリコーン樹脂の種類としては付加型・縮合型・紫外線硬化型・電子線硬化型・無溶剤型等、何れの硬化反応タイプでも用いることができる。具体例を挙げると、信越化学工業(株)製KS−774、KS−775、KS−778、KS−779H、KS−847H、KS−856、X−62−2422、X−62−2461、X−62−1387、KNS−3051、X−62−1496、KNS320A、KNS316、X−62−1574A/B、X−62−7052、X−62−7028A/B、X−62−7619、X−62−7213、GE東芝シリコーン(株)製YSR−3022、TPR−6700、TPR−6720、TPR−6721、TPR6500、TPR6501、UV9300、UV9425、XS56−A2775、XS56−A2982、UV9430、TPR6600、TPR6604、TPR6605、SM3200、SM3030、東レ・ダウコーニング(株)製DKQ3−202、DKQ3−203、DKQ3−204、DKQ3−205、DKQ3−210、SRX357、SRX211、SD7220、LTC750A、LTC760A、SP7259、BY24−468C、SP7248S、BY24−452、SP7268S、SP7265S、LTC1000M、LTC1050L、SYLOFF7900、SYLOFF7198、SYLOFF22A等が例示される。さらに離型層の剥離性等を調整するために剥離コントロール剤を併用してもよい。
【0034】
また、本発明は、反離型層面に滑り性を与えるために、無官能のシロキサン等よりなる移行成分を配合してもよい。
【0035】
本発明において、ポリエステルフィルムに離型層を設ける方法として、リバースグラビアコート、ダイレクトグラビアコート、ロールコート、ダイコート、バーコート、カーテンコート等、従来公知の塗工方式を用いることができる。塗工方式に関しては「コーティング方式」槇書店 原崎勇次著 1979年発行に記載例がある。
【0036】
本発明において、ポリエステルフィルム上に離型層を形成する際の硬化条件に関しては特に限定されるわけではなく、例えば、塗布延伸法(インラインコーティング)により離型層を設ける場合、通常、170〜280℃で3〜40秒間、好ましくは200〜280℃で3〜40秒間を目安として熱処理を行うのが良い。一方、オフラインコーティングにより離型層を設ける場合、通常、80〜200℃で3〜40秒間、好ましくは100〜180℃で3〜40秒間を目安として熱処理を行うのが良い。また、塗布延伸法(インラインコーティング)あるいはオフラインコーティングに係わらず、必要に応じて熱処理と紫外線照射等の活性エネルギー線照射とを併用してもよい。尚、活性エネルギー線照射による硬化のためのエネルギー源としては、従来から公知の装置,エネルギー源を用いることができる。離型層の塗工量は塗工性の面から、通常0.005〜1g/m、好ましくは0.005〜0.5g/mの範囲である。塗工量が0.005g/m未満の場合、塗工性の面より安定性に欠け、均一な塗膜を得るのが困難になる場合がある。一方、1g/mを超えて厚塗りにする場合には離型層自体の塗膜密着性、硬化性等が低下する場合がある。
【0037】
本発明において塗布層上に離型層を設ける場合、塗布層を設けた後にフィルムを一旦巻き取り、あらためて離型層を設けてもよく、また、塗布層を設けた後、連続して、離型層を塗布層上に設けてもよく、何れの方法を採用してもよい。
【0038】
本発明における離型フィルムに関して、離型層が設けられていない面には本発明の主旨を損なわない範囲において、接着層、帯電防止層、オリゴマー析出防止層等の塗布層を設けてもよい。
【0039】
また、離型フィルムを構成するポリエステルフィルムには予め、コロナ処理、プラズマ処理等の表面処理を施してもよい。
【0040】
本発明における離型フィルムのヘーズ値は1〜8%の範囲が好ましい。ヘーズ値が1%未満ではフィルムの滑り性が悪くなるため、離型層を加工する際に、ロールにオリゴマーが付着しやすくなり、異物が発生したり、ロール掃除に伴う歩留まりが低下したりすることがある。また、ヘーズ値が8%を越えると透明性が不十分となり、例えば、光学的評価を伴う検査工程においては異物の混入を見落としやすくなる等の不具合を生じる場合があり、光学用フィルムとしての用途が限定されてしまうことがある。
【0041】
本発明における離型フィルムの剥離力は、10〜100mN/cm、好ましくは10〜50mN/cmの範囲である。剥離力が10mN/cm未満の場合、剥離力が軽くなりすぎて本来剥離する必要がない場面においても容易に剥離する不具合を生じる場合があり、一方、100mN/cmを超える場合には、剥離力が重くなりすぎ、剥離する際に粘着剤が変形し、後の工程で問題が生じたり、粘着剤が離型フィルム側に付着したりするので好ましくない。
【0042】
本発明の離型フィルムの反離型層面と金属との摩擦係数は0.10〜0.28の範囲であり、好ましくは0.20〜0.25の範囲とする。本願発明のフィルムは、製造時および使用時に金属ロールと接触する工程が多いため、金属との摩擦係数を特定範囲とすることが重要である。本発明における条件で測定した場合の摩擦係数が本発明の範囲を満足する場合、フィルムを取り扱う工程における取り扱い性が高度に満足される。摩擦係数が0.28を超えた場合は、反離型層面に接触した金属ロール表面に、オリゴマーが付着し、付着したオリゴマーがロール上に堆積し、異物となるため好ましくない。また、摩擦係数が0.10未満では、フィルムが滑りすぎるため、製造工程においてニップロールが滑る等の問題が生じたり、ロール状に巻いた時にフィルム同士のずれが発生したりして、ロール状の製品を得ることが難しくなる。
【0043】
一般にポリエステルフィルムに滑り性を与える方法としては、フィルム中に粒子を添加し、表面粗度を高くする方法が用いられているが、添加粒子による内部ヘーズやフィルム表面の突起による散乱により、フィルムヘーズが高くなり、全光線透過率も低くなるため、光学用として好適なフィルムを得ることが難しい。
【0044】
本発明は、離型層に用いた離型成分がロールに巻かれた際、離型層の反対面にシリコーンが移行する性質を利用することにより、表面粗度を変えずに優れた滑り性を与えることができ、優れた光学特性と滑り性を両立させることができる。
【0045】
さらに、本発明は、フィルムの滑り性を改良し、金属ロールへのオリゴマー付着を防止するために、プレス接着率を70〜95%、さらに好ましくは85〜90%の範囲とする。プレス接着率が95%を超える場合は、フィルムの滑り性が改良されず、金属ロールへオリゴマーが付着しやすくなり好ましくない。プレス接着率が70%未満では、フィルムが滑りすぎるため、製造工程でニップロールが滑る等の問題が生じたり、ロール状に巻いた時にフィルム同士のずれが発生し、ロール状の製品を得ることが難しくなる。
【0046】
本発明の離型フィルムは、離型層面および反離型層面の表面オリゴマー量を1.0mg/mとすることが好ましい。表面オリゴマー量が、1.0mg/mを超える場合は、反離型層面の滑り性やプレス接着率が本発明の範囲内でも、本発明の効果が十分発揮されず金属ロールへのオリゴマー付着が見られ好ましくない。
【0047】
本発明においてオリゴマーとは、熱処理後、結晶化してフィルム表面に析出する低分子量物のうちの環状三量体と定義する。
【発明の効果】
【0048】
本発明の離型フィルムによれば、製造工程内でのロール汚染が極めて少なく、その結果製造工程の効率化や、製品中の異物を極めて低減することができ、その工業的価値は高い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0049】
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。また、本発明で用いた測定法は次のとおりである。
【0050】
(1)ポリエステルの固有粘度の測定
ポリエステルに非相溶な他のポリマー成分および顔料を除去したポリエステル1gを精秤し、フェノール/テトラクロロエタン=50/50(重量比)の混合溶媒100mlを加えて溶解させ、30℃で測定した。
【0051】
(2)平均粒径(d50:μm)の測定
遠心沈降式粒度分布測定装置(株式会社島津製作所社製SA−CP3型)を使用して測定した等価球形分布における積算(重量基準)50%の値を平均粒径とした。
【0052】
(3)算術平均粗さ(Ra)
(株)小坂研究所社製表面粗さ測定機(SE−3F)を用いて次のようにして求めた。
すなわち、フィルム断面曲線からその中心線の方向に基準長さL(2.5mm)の部分を抜き取り、この抜き取り部分の中心線をx軸、縦倍率の方向をy軸として粗さ曲線 y=f(x)で表わしたとき、次の式で与えられた値を〔μm〕で表わす。算術平均粗さは、試料フィルム表面から10本の断面曲線を求め、これらの断面曲線から求めた抜き取り部分の算術平均粗さの平均値で表わした。なお、触針の先端半径は2μm、荷重は30mgとし、カットオフ値は0.08mmとした。
Ra=(1/L)∫|f(x)|dx
【0053】
(4)離型層の塗布量測定
蛍光X線測定装置((株)島津製作所(製)型式「XRF−1500」)を用いてFP(Fundamental Parameter Method)法により、下記測定条件下、離型フィルムの離型層が設けられた面および離型層がない面の珪素元素量を測定し、その差をもって、離型層中の珪素元素量とした。次に得られた珪素元素量を用いて、−SiO(CHのユニットとしての塗布量(Si)(g/m)を算出した。
【0054】
《測定条件》
分光結晶:PET(ペンタエリスリトール)
2θ:108.88°
管電流:95mA
管電圧:40kv
【0055】
(5)フィルム表面のオリゴマー量(OL)測定
測定面が内面となるように、フィルムを上部が開いている縦横10cm、高さ3cmの箱の内面にできるだけ密着させて箱形の形状とする。次いで、上記の方法で作成した箱の中にDMF(ジメチルホルムアミド)4mlを入れて3分間放置した後、DMFを回収する。回収したDMFを液体クロマトグラフィー(島津製作所製:LC−7A)に供給して、DMF中のオリゴマー量を求め、この値を、DMFを接触させたフィルム面積で割って、フィルム表面オリゴマー量(mg/m)とする。DMF中のオリゴマー量は、標準試料ピーク面積と測定試料ピーク面積のピーク面積比より求めた(絶対検量線法)。標準試料の作成は、予め分取したオリゴマー(環状三量体)を正確に秤量し、正確に秤量したDMFに溶解し作成した。標準試料の濃度は0.001〜0.01mg/mlの範囲が好ましい。なお、液体クロマトグラフの条件は下記のとおりとした。
【0056】
移動相A:アセトニトリル
移動相B:2%酢酸水溶液
カラム:三菱化学(株)製『MCI GEL ODS 1HU』
カラム温度:40℃
流速:1ml/分
検出波長:254nm
【0057】
(6)プレス接着率の評価
《プレス接着力》
75μmポリエステルフィルム/測定試料フィルム/75μmポリエステルフィルムの構成とし、温度60℃、圧力1MPa、時間120分の条件でプレス処理を行う。プレス処理後、75μmポリエステルフィルムの、測定試料フィルム離型層面に接していた側の面に、日東製No.31テープを貼り付け、剥離力(A)を測定する。剥離力は、引張試験機((株)インテスコ製「インテスコモデル2001型」)を使用し、引張速度300mm/分の条件下、180°剥離を行った。
《基礎接着力》
プレス処理に用いたと同じ75μmポリエステルフィルムに、日東製No.31テープを貼り付け、剥離力(A)と同様の要領にて剥離力(B)を測定する。
【0058】
下記式に基づいてプレス接着率を求める。
【0059】
プレス接着率(%)=(プレス接着力/基礎接着力)×100
なお、測定は20±2℃、65±5%RHにて行う。
【0060】
(7)離型フィルムの残留接着率の評価
《残留接着力》
試料フィルムの離型層表面に日東電工(製)No.31B粘着テープを2kgゴムローラーにて1往復圧着し、100℃で1時間加熱処理する。次いで、圧着したサンプルから試料フィルムを剥がし、No.31B粘着テープをJIS−C−2107(ステンレス板に対する粘着力、180°引き剥がし法)の方法に準じて接着力を測定する。これを残留接着力とする。
《基礎接着力》
残留接着力の場合と同じテープ(No.31B)を用いてJIS−C−2107に準じてステンレス板に粘着テープを圧着して、同様の要領にて測定を行う。この時の値を基礎接着力とする。これらの測定値を用いて、下記式に基づいて残留接着率を求める。
【0061】
残留接着率(%)=(残留接着力/基礎接着力)×100
なお、測定は20±2℃、65±5%RHにて行う。
【0062】
(8)離型フィルムの剥離力(F)の評価
試料フィルムの離型層表面に両面粘着テープ(日東電工製「No.502」)の片面を貼り付けた後、50mm×300mmのサイズにカットした後、室温にて1時間放置後の剥離力を測定する。剥離力は、引張試験機((株)インテスコ製「インテスコモデル2001型」)を使用し、引張速度300mm/分の条件下、180°剥離を行った。
【0063】
(9)金属との動摩擦係数(μd)
2週間以上保管したロールサンプルの表層から少なくとも20枚のフィルムを剥ぎ取り測定用サンプルを採取した。金属との動摩擦係数は、採取したフィルムの滑り性により評価した。滑り性は、固定した表面仕上げ0.2Sの硬質クロムメッキ金属ロール(直径6mm)にフィルムを巻きつけ角 135°(θ)で接触させ、53g(T2)の荷重を一端にかけて、1m/分の速度でこれを走行させ他端の抵抗力(T1(g))を測定し、次式により走行中の摩擦係数(μd)を求めた。
【0064】
μd=(1/θ)ln(T1/T2)=0.424ln(T1/53)
【0065】
(10)実用特性
《ロール汚染状況》
粘着層を有する積層フィルムを製造した際に、製造装置の各ロールを目視観察し、ロールの汚染状況を評価した。
○:製造後のロール表面に付着物が見られない
△:製造後のロール表面に僅かに付着物が見られるが、製造上支障のないレベル
×:製造後のロール表面に付着物が見られ、ロール清掃を必要とする
【0066】
《加工適正》
粘着層を有する積層フィルムを製造において、製造状況を下記のランクに分けで評価した。
○:問題なく製造できた
△:問題が発生したが、製品を製造できた
×:問題が発生し、製品を製造することができなかった
上記判定基準中、△以上のものが実使用上問題なく使用できるレベルである。
【0067】
《ロール外観》
離型フィルムの製造において、離型フィルムの製品ロールの外観を目視観察し評価した。特に、ロール両端面のズレを観察した。
(ロール外観良好) ◎>○>△>× (ロール外観不良)
上記判定基準中、△以上のものが実使用上問題なく使用できるレベルである。
【0068】
《離型特性》
粘着層を有する積層フィルムより離型フィルムを剥がした時の状況より、離型特性を評価した。
○:離型フィルムが綺麗に剥がれ、粘着剤が離型層に付着する現象が見られない
△:離型フィルムは剥がれるが、速い速度で剥離した場合に粘着剤が離型層に付着する ×:離型フィルムに粘着剤が付着する
【0069】
実施例および比較例において使用したポリエステルは、以下のようにして準備したものである。
[ポリエステルの製造方法]
・ポリエステルフィルム(A)
テレフタル酸ジメチル100重量部とエチレングリコール60重量部とを出発原料とし、触媒として酢酸マグネシウム・四水塩0.09重量部を反応器にとり、反応開始温度を150℃とし、メタノールの留去とともに徐々に反応温度を上昇させ、3時間後に230℃とした。4時間後、実質的にエステル交換反応を終了させた。この反応混合物にエチルアシッドフォスフェート0.04部を添加した後、エチレングリコールに分散させた平均粒子径2.4μmのシリカ粒子を0.07部、三酸化アンチモン0.04部を加えて、4時間重縮合反応を行った。すなわち、温度を230℃から徐々に昇温し280℃とした。一方、圧力は常圧より徐々に減じ、最終的には0.3mmHgとした。反応開始後、反応槽の攪拌動力の変化により、極限粘度0.65に相当する時点で反応を停止し、窒素加圧下ポリマーを吐出させた。得られたポリエステル(1)の極限粘度は0.65、オリゴマー(環状三量体)の含有量は0.98重量%であった。
【0070】
得られたポリエチレンテレフタレートを180℃で4時間、不活性ガス雰囲気中で乾燥し、溶融押出機により290℃で溶融し、口金から押出し静電印加密着法を用いて表面温度を40℃に設定した冷却ロール上で冷却固化して未延伸シートを得た。得られた未延伸シートにまず、95℃で延伸倍率をMD方向に3.6倍延伸し、テンターに導き、TD方向に4.3倍の逐次二軸延伸を行った。その後、230℃にて3秒間熱固定し、厚さ38μmのポリエステルフィルムフィルム(A)を得た。
【0071】
・ポリエステルフィルム(B)
ポリエステルフィルム(A)を、溶融押出機に投入可能な形状に粉砕し、再生フレークを作成した。ポリエステルの製造(A)において、ポリエチレンテレフタレートを再生フレークに変更する以外はポリエステルの製造(A)と同様にしてポリエステル(B)を得た。
【0072】
・ポリエステルフィルム(C)
ポリエステルの製造(A)において、シリカ粒子の添加量を0.15部に変更する以外はポリエステルの製造(A)と同様にしてポリエステル(C)を得た。
【0073】
・ポリエステルフィルム(D)
ポリエステルの製造(A)において、最終的に得られるフィルム厚さを10μmに変更する以外はポリエステルの製造(A)と同様にしてポリエステル(D)を得た。
【0074】
・ポリエステルフィルム(E)
ポリエステルの製造(A)において、シリカ粒子の添加量を0.08部に変更する以外はポリエステルの製造(A)と同様にしてポリエステル(E)を得た。
【0075】
実施例1:
ポリエステルフィルム(A)に、下記離型剤組成−1からなる離型剤を塗布量(乾燥後)が0.1g/mになるようにリバースグラビアコート方式により塗布し、ドライヤー温度120℃、ライン速度30m/minの条件でロール状の離型フィルムを得た。得られたPETフィルムに下記離型剤組成−1からなる離型層を塗布量が0.1g/m2(乾燥後)になるように設けて離型フィルムを得た。
《離型剤組成−1》
硬化型シリコーン樹脂(KS−847H:信越化学製) 100部
硬化剤(PL−50T:信越化学製) 1部
ポリエーテル変性シリコーンオイル(KF−351:信越化学製) 1部
MEK/トルエン混合溶媒(混合比率は1:1) 1500部
【0076】
実施例2:
実施例1において、塗布剤組成を下記に示す離型剤組成−2に変更する以外は実施例1と同様にして離型フィルムを得た。
《離型剤組成−2》
硬化型シリコーン樹脂(KS−847H:信越化学製) 100部
硬化剤(PL−50T:信越化学製) 1部
ポリエーテル変性シリコーンオイル(KF−351:信越化学製) 3部
MEK/トルエン混合溶媒(混合比率は1:1) 1500部
【0077】
実施例3:
実施例1において、ポリエステルフィルム(A)をポリエステルフィルム(B)に変更する以外は実施例1と同様にして離型フィルムを得た。
【0078】
実施例4:
実施例1において、ポリエステルフィルム(A)をポリエステルフィルム(C)に変更する以外は実施例1と同様にして離型フィルムを得た。得られた離型フィルムは、フィルムヘーズが高く、光学用途には不向きなフィルムであった。
【0079】
実施例5:
実施例1において、塗布剤組成を下記に示す離型剤組成−3に変更する以外は実施例1と同様にして離型フィルムを得た。
《離型剤組成−3》
硬化型シリコーン樹脂(KS−774:信越化学製) 100部
硬化剤(PL−4:信越化学製) 10部
MEK/トルエン混合溶媒(混合比率は1:1) 1500部
【0080】
実施例6:
実施例1において、ポリエステルフィルム(A)をポリエステルフィルム(D)に変更する以外は実施例1と同様にして離型フィルムを得た。
【0081】
実施例7:
実施例1において、ポリエステルフィルム(A)をポリエステルフィルム(E)に変更し、塗布剤組成を下記に示す離型剤組成−4に変更する以外は実施例1と同様にして離型フィルムを得た。
《離型剤組成−4》
硬化型シリコーン樹脂(KS−847H:信越化学製) 100部
硬化剤(PL−50T:信越化学製) 1部
ポリエーテル変性シリコーンオイル(KF−351:信越化学製) 0.5部
MEK/トルエン混合溶媒(混合比率は1:1) 1500部
【0082】
比較例1:
実施例1において、塗布剤組成を下記に示す離型剤組成−5に変更する以外は実施例1と同様にして離型フィルムを得た。
《離型剤組成−5》
硬化型シリコーン樹脂(KS−847H:信越化学製) 100部
硬化剤(PL−50T:信越化学製) 1部
ポリエーテル変性シリコーンオイル(KF−351:信越化学製) 3部
MEK/トルエン混合溶媒(混合比率は1:1) 1500部
【0083】
比較例2:
実施例1において、塗布剤組成を下記表1に示す離型剤組成−6に変更する以外は実施例1と同様にして離型フィルムを得た。
《離型剤組成−6》
硬化型シリコーン樹脂(KS−847H:信越化学製) 100部
硬化剤(PL−50T:信越化学製) 1部
MEK/トルエン混合溶媒(混合比率は1:1) 1500部
【0084】
比較例3:
実施例1において、塗布剤組成を下記表1に示す離型剤組成−7に変更する以外は実施例1と同様にして離型フィルムを得た。
《離型剤組成−7》
硬化型シリコーン樹脂(KS−847H:信越化学製) 100部
硬化剤(PL−50T:信越化学製) 1部
ポリエーテル変性シリコーンオイル(KF−351:信越化学製) 8部
MEK/トルエン混合溶媒(混合比率は1:1) 1500部
【0085】
比較例4:
実施例1において、塗布剤組成を下記に示す離型剤組成−8に変更する以外は実施例1と同様にして離型フィルムを得た。
《離型剤組成−8》
硬化型シリコーン樹脂(KS−854:信越化学製) 100部
硬化剤(PL−50T:信越化学製) 1部
MEK/トルエン混合溶媒(混合比率は1:1) 1500部
【0086】
比較例5:
実施例1において、塗布剤組成を下記表1に示す離型剤組成−9に変更する以外は実施例1と同様にして離型フィルムを得た。
《離型剤組成−9》
硬化型シリコーン樹脂(KS−847H:信越化学製) 100部
硬化剤(PL−50T:信越化学製) 1部
ポリエーテル変性シリコーンオイル(KF−351:信越化学製) 10部
【0087】
MEK/トルエン混合溶媒(混合比率は1:1) 1500部
【0088】
(粘着剤層を有する積層フィルムの製造)
厚さ38μmのポリエステルフィルムの片面に、アクリル系粘着剤を乾燥後の厚みが25μmとなるように塗布し、130℃の乾燥炉内を通過時間30秒で通過させた後、実施例および比較例で得られた離型フィルムの離型層面が粘着剤層側となるように貼り合せ粘着層を有する積層フィルムを作成した。
《アクリル粘着剤塗布液》
アクリル粘着剤(オリバインBPS429−4:東洋インキ製) 100部
硬化剤(BPS8515:東洋インキ製) 3部
MEK/トルエン混合溶媒(混合比率は1:1) 50部
【0089】
実施例・比較例で得られた離型フィルムの離型層表面に、アクリル系粘着剤を乾燥後の厚みが25μmとなるように塗布し、130℃の乾燥炉内を通過時間30秒で通過させた後、厚さ38μmのポリエステルフィルムを貼り合せ粘着層を有する積層フィルムを作成した。
《アクリル粘着剤塗布液》
アクリル粘着剤(オリバインBPS429−4:東洋インキ製) 100部
硬化剤(BPS8515:東洋インキ製) 3部
MEK/トルエン混合溶媒(混合比率は1:1) 50部
以上、得られた結果を、下記表1〜3にまとめて示す・
【0090】
【表1】

【0091】
【表2】

【0092】
【表3】

【産業上の利用可能性】
【0093】
本発明の離型フィルムは、例えば、液晶偏光板、位相差板等の光学用途の粘着剤保護用として好適に利用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
10〜100mN/cmの剥離力を有する離型層をポリエステルフィルムの片面に設けたフィルムであり、当該フィルムのプレス接着率が70〜95%の範囲であり、離型層を有していない面と金属との摩擦係数が0.10〜0.28の範囲であることを特徴とする離型フィルム。