説明

離型剤塗布装置およびこれを用いた離型剤塗布方法

【課題】キャビティの形状が複雑であったり、キャビティが狭小部を有している場合であっても、離型剤をキャビティに良好に塗布することが可能な離型剤塗布装置およびこれを用いた離型剤塗布方法を提供する。
【解決手段】固定型25と可動型26とを有し型閉じ状態でキャビティを形成する金型33と、可動型26の移動を案内するガイドポスト18とを有する金型装置34に設けられる離型剤塗布装置61であって、型開き状態にある金型33のキャビティ形成部30,31に指向する離型剤塗布ノズル45,90,95と、これらに離型剤を供給する離型剤供給流路46,91,96とが金型装置34内に設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、離型剤を金型のキャビティに良好に塗布することができる離型剤塗布装置およびこれを用いた離型剤塗布方法に関する。
【背景技術】
【0002】
金型を用いて成形品を成形する金型成形では、成形品が金型内面に固着し取り出せないなどのトラブルを避けるために、キャビティ内面に離型剤を塗布するようになっている。離型剤の種類は、成形方法や成形品の素材によって異なるが、油、ワックス、シリコンを乳化したものが用いられることが多い。
【0003】
特に、精密金型に溶融合金を高温圧入し、高精度で鋳肌性状の良い成形品を短時間で大量生産するダイキャスト法において、成形品であるダイキャスト製品を高精度で鋳肌性状の良いまま取り外すために、離型剤は重要となっている。ダイキャスト製品は、自動車や家電製品等、種々の工業製品に使用されており、その中でもアルミニウム合金のダイキャスト製品は生産量が多い。
【0004】
金型への離型剤の塗布がうまくいっていない場合には、ダイキャスト製品の外観的欠陥として、変形・湯巡り不良・湯皺・湯流れ模様・湯境・焼き付き・かじりなどが発生したり、内部欠陥として、巣が発生したりする。
【0005】
変形とは、ダイキャスト製品が規定の形状となっていないことであり、応力集中のための収縮不均衡や押し出しピンの強度不足、冷却不均衡によって生じる。冷却不均衡は、通常、離型剤の種類、塗布量、塗布方法で解決が図られる。
【0006】
湯巡り不良とは、溶湯がダイキャスト製品の隅々まで充填されず、結果途中で凝固した状態をさす。薄肉部分で充填時間が短く、キャビティ内の離型剤分解によるガスがキャビティ内に残存しやすいときにおこりやすい。ガス抜きの工夫を盛り込んだ金型設計と離型剤の性状をガス発生の少ない構成に変更したり、離型剤の塗布量を減らす、高保温性の離型剤に変更するなどの対応がある。
【0007】
湯皺とは、ダイキャスト製品表面にできた不規則な皺状の模様をいい、湯流れ模様はスジ状の光沢のことである。これらの現象は金型温度が低いときや離型剤から発生したガスが高圧になり、ダイキャスト製品の表面を押したり、離型剤の塗布量が多い場合に発生する。対策としては、付着性のよい離型剤を低濃度で使用したり、塗布量を少なくするとともに金型を適正温度に保ったりする。
【0008】
湯境とは、溶湯が合流する部分で融合せず、残った境目で溶湯の入り方が不均一となり、一方の溶湯が先に凝固し境目として残る事象である。溶湯の流れをスムーズにし、溶湯や金型温度を上げることにより対処する。離型剤の塗布量を減らすことによって改善される場合もある。
【0009】
焼き付きとは、ダイキャスト製品の表面が局所的過熱や金型の磨耗によって金型や鋳抜きピンの表面に溶着して、離型時に剥がれ取られることである。付着性のよい離型剤に変更したり、離型剤の塗布量を増やすことで改善可能である。
【0010】
かじりとは、ダイキャスト製品を取り出すとき、表面に生じた傷であり、キャビティ内の局部的過熱により溶湯の凝固が遅れ金型や鋳抜きピン表面に溶着をおこし焼き付いて、ダイキャスト製品の取り出し時に傷がつく。かじりは、離型剤の付着量が少ない時に発生しやすく、したがって離型剤の増量と高濃度化が解決方法である。付着性のよい離型剤に変更することもかじりの抑制になる可能性がある。
【0011】
また、内部欠陥の巣は、金型内部の空気や離型剤から発するガスが溶湯内に残存したまま凝固することにより生じる空洞であり、比較的大きな空洞を巣、小さいスポンジ状のものはボロシティという場合もある。巣は離型剤の塗布量を減らしたり、低濃度化したり、さらにはガス発生の少ない離型剤に変更することにより抑制できる。
【0012】
ここで、ダイキャスト金型には、例えば150〜400度の温度域があり、そのキャビティ内に合金を鋳込むため、離型剤も前記温度域で均一に付着させねばならない。離型剤の均一付着がうまくいかないと、前述したようなダイキャスト製品の内外欠陥が生じる場合がある。このような欠陥の問題を、離型剤の組成を変更して解決したり、あるいは、装置を工夫して解決したりしている。
【0013】
ところで、大量生産工程では、作業時間が限られることから、塗布形式は塗布ガンあるいは塗布ノズルを1つまたは複数個設置しリンク式アームやロボットにより移動しながらあるいは固定したまま塗布することが多く、そのような装置が市販されている。
【0014】
例えば、特許文献1には、離型剤塗布装置の小型化とサイクルタイムの短縮を狙い、スプレーヘッドに対して可動式のスプレーノズルが提案されている。また、特許文献2には、離型剤を塗布する度に射出ユニットを移動させず、したがって稼動費用を削減でき、成形サイクルを短縮可能にするために、可動側金型に凹部を設け、この凹部から離型剤を供給する技術が開示されている。さらに、特許文献3では、移動タイプのスプレーヘッドの離型剤の塗布状況を改善するために、スプレーヘッドを三次元移動する改善案が提示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】特開平6−312251号公報
【特許文献2】特開2001−113352号公報
【特許文献3】特開2006−334646号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
前記背景技術で記述したように、リンク式アームやロボットによる塗布装置での離型剤塗布により離型剤の塗布状況は改善されているものの、ダイキャスト製品の形状が複雑だったり、狭小部に離型剤を塗布しなければならないときは、背景技術で述べた装置・方法では十分で無い。
【0017】
例えば、特許文献1に記載された可動式スプレーノズルや特許文献3に記載されたスプレーヘッドの三次元移動では、毎回同じ狭小部に離型剤を塗布することは不可能である。つまり、スプレーノズルの移動軌跡を毎回正確に同一にすることは不可能であるし、毎回同じ位置・角度に正確に停止させることも不可能である。角度が1度ずれると50cm先では8.7mmのずれになってしまう。これでは複雑形状あるいは狭小部に離型剤を塗布することは困難である。
【0018】
また、特許文献2によれば、前記の型開き後スプレーヘッドを金型内に移動し離型剤を塗布する工程のかなりの部分を省略できるため、サイクルタイム短縮に効果があると考えられる。しかし、複雑な形状のダイキャスト製品のキャビティは、当然のことながら複雑な形状をなしており、そのキャビティに均一に離型剤を塗布するには、金型内に複数の離型剤供給路を設けなければならず、必然的に金型に多数の孔を窄孔することになってしまう。仮に、キャビティに窄孔した場合は、不完全ダイキャスト製品の製造や金型の寿命短縮につながってしまう。したがって、複雑形状のダイキャスト製品には応用できない。さらに、この方式は、スプル孔、ランナ溝、ゲート孔が必須の主にマグネシウム合金の射出成形法への離型剤塗布に関するものであり、特殊な鋳造法への離型剤塗布提案となっている。また、金型の高熱部、例えばキャビティにつらなるゲート部は金型全体でも最高温部であるが、ここを早期冷却することは、ワークの品質向上やサイクルタイムの短縮に大きく貢献する。
【0019】
本発明は、キャビティの形状が複雑であったり、キャビティが狭小部を有している場合であっても、離型剤をキャビティに良好に塗布することが可能な離型剤塗布装置およびこれを用いた離型剤塗布方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0020】
請求項1に係る発明は、固定型(例えば実施形態における固定型25)と可動型(例えば実施形態における可動型26)とを有し型閉じ状態でキャビティ(例えば実施形態におけるキャビティ32)を形成する金型(例えば実施形態における金型33)と、前記可動型の移動を案内するガイドポスト(例えば実施形態におけるガイドポスト18)とを有する金型装置(例えば実施形態における金型装置34)に設けられる離型剤塗布装置(例えば実施形態における離型剤塗布装置61)であって、型開き状態にある前記金型のキャビティ形成部(例えば実施形態におけるキャビティ形成部30,31)に指向する離型剤塗布ノズル(例えば実施形態における離型剤塗布ノズル45,75,90,95)と、該離型剤塗布ノズルに離型剤を供給する離型剤供給流路(例えば実施形態における離型剤供給流路46,76,91,96)とが前記金型装置内に設けられていることを特徴とする。
【0021】
請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明において、前記ガイドポスト内に、前記離型剤塗布ノズルと前記離型剤供給流路とが設けられていることを特徴とする。
【0022】
請求項3に係る発明は、請求項1または2に係る発明において、前記金型には、前記型閉じ状態で前記キャビティを形成する中子(例えば実施形態における可動中子65)と、前記型閉じ状態で前記中子に覆われる中子被覆部(例えば実施形態における中子被覆部73)とが設けられており、前記金型内の前記中子被覆部の位置に前記離型剤塗布ノズルが設けられるとともに、前記金型内に前記離型剤供給流路が設けられていることを特徴とする。
【0023】
請求項4に係る発明は、請求項1乃至3のいずれか一項に係る発明において、前記固定型および前記可動型には、前記型閉じ状態にあるとき前記キャビティから離れた位置で互いに嵌合する凸部(例えば実施形態における凸部85)および凹部(例えば実施形態における凹部86)が設けられており、前記金型内の、これら凸部および凹部のうちの少なくともいずれか一方の位置に前記離型剤塗布ノズルが設けられるとともに、前記金型内に前記離型剤供給流路が設けられていることを特徴とする。
【0024】
請求項5に係る発明は、請求項1乃至4のいずれか一項記載の離型剤塗布装置を用いた離型剤塗布方法であって、前記可動型を移動して型開きする工程と、前記可動型および前記固定型のうち成形品が残存しない非保持型側に前記離型剤供給流路を介して前記離型剤塗布ノズルから離型剤を噴出する工程と、前記成形品を該成形品が残存する保持型から取り外して搬送する工程と、前記金型装置外に設けられている他の離型剤塗布装置を型開きされた前記固定型と前記可動型との間に挿入して、該他の離型剤塗布装置から、前記成形品が取り外された前記保持型側に離型剤を噴出する工程とを有することを特徴とする。
【0025】
請求項6に係る発明は、請求項5に係る発明において、前記離型剤塗布装置と、前記他の離型剤塗布装置とで離型剤の濃度が異なることを特徴とする。
【0026】
請求項7に係る発明は、請求項5または6に係る発明において、前記成形品を該成形品が残存する保持型から取り外して搬送する工程が完了する前に、前記他の離型剤塗布装置を型開きされた前記固定型と前記可動型との間に挿入することを特徴とする。
【0027】
請求項8に係る発明は、請求項5乃至7のいずれか一項に係る発明において、型開きされた前記固定型と前記可動型との間への前記他の離型剤塗布装置の挿入が完了する前に、前記他の離型剤塗布装置から離型剤を塗布し始めることを特徴とする。
【発明の効果】
【0028】
請求項1に係る発明によれば、離型剤塗布ノズルが、金型装置内に設けられているため、金型装置外に設けられている場合とは異なる方向から、型開き状態にある金型のキャビティ形成部に離型剤を噴射することができる。したがって、キャビティの形状が複雑であったり、キャビティが狭小部を有している場合であっても、離型剤をキャビティに良好に塗布することが可能となる。さらに、金型の高温部をピンポイントですばやく冷却可能となり、成形不良の減少、サイクルタイムの短縮、金型寿命の延長等の効果も期待できる(金型の高温部は例えばゲート部)。また、離型剤塗布ノズルおよび離型剤供給流路が金型装置内に設けられているため、これらが可動型の移動に干渉することはなく、故障を生じ難い。
【0029】
請求項2に係る発明によれば、離型剤塗布ノズルおよび離型剤供給流路がガイドポスト内に設けられるため、金型装置に元々必要なガイドポストに多少の追加加工を施せば良く、離型剤塗布ノズルおよび離型剤供給流路を金型装置内に安価で容易に設けることができる。しかも、離型剤塗布ノズルおよび離型剤供給流路の構造も単純化できるため、故障し難くなり、メンテナンス性にも優れる。
【0030】
請求項3に係る発明によれば、金型の型閉じ状態で中子に覆われる中子被覆部の位置に離型剤塗布ノズルが設けられるとともに、金型内に離型剤供給流路が設けられているため、金型に多少の追加加工を施せば良く、離型剤塗布ノズルおよび離型剤供給流路を金型装置内に安価で容易に設けることができる。しかも、離型剤塗布ノズルおよび離型剤供給流路の構造も単純化できるため、故障し難くなり、メンテナンス性にも優れる。加えて、金型内の型閉じ状態でキャビティを形成しない位置を有効利用して離型剤塗布ノズルおよび離型剤供給流路を設けることができる。
【0031】
請求項4に係る発明によれば、金型には、型閉じ状態にあるときキャビティから離れた位置で互いに嵌合する凸部および凹部のうち少なくともいずれか一方の位置に、離型剤塗布ノズルおよび離型剤供給流路が設けられているため、金型に多少の追加加工を施せば良く、離型剤塗布ノズルおよび離型剤供給流路を金型装置内に安価で容易に設けることができる。しかも、離型剤塗布ノズルおよび離型剤供給流路の構造も単純化できるため、故障し難くなり、メンテナンス性にも優れる。加えて、金型内の型閉じ状態でキャビティを形成しない位置を有効利用して離型剤塗布ノズルおよび離型剤供給流路を設けることができる。
【0032】
請求項5に係る発明によれば、可動型および固定型のうち成形品が残存しない非保持型側に離型剤供給流路を介して離型剤塗布ノズルから離型剤を噴出する工程と、成形品をこれが残存する保持型から取り外して搬送する工程とを並行して行うことができ、金型装置外に設けられている他の離型剤塗布装置を型開きされた固定型と可動型との間に挿入して、該他の離型剤塗布装置から、成形品が取り外された保持型側に離型剤を噴出することができる。したがって、成形品を保持型から取り外して搬送する工程と、非保持型に離型剤を噴出する工程とをオーバーラップさせて並行処理することができ、サイクルタイムを短縮することが可能となる。
【0033】
請求項6に係る発明によれば、前記離型剤塗布装置と、金型装置外に設けられている他の離型剤塗布装置とで離型剤の濃度が異なるため、離型剤塗布部位に応じてより適正な濃度の離型剤を塗布することができる。
【0034】
請求項7に係る発明によれば、成形品をこれが残存する保持型から取り外して搬送する工程が完了する前に、他の離型剤塗布装置を型開きされた固定型と可動型との間に挿入するため、これらの工程をオーバーラップさせて並行処理することができ、サイクルタイムを短縮することが可能となる。
【0035】
請求項8に係る発明によれば、他の離型剤塗布装置において、型開きされた固定型と可動型との間への挿入が完了する前に離型剤を塗布し始めるため、他の離型剤塗布装置の挿入と塗布とを並行して行うことになり、サイクルタイムを短縮することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の一実施形態に係る成形装置を示す側面図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る成形装置を示す要部の側面図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る成形装置の離型剤塗布ノズルを示すもので、(a)は側断面図、(b)は平面図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る成形装置を示す要部の側面図である。
【図5】図4のA矢視図である。
【図6】本発明の一実施形態に係る成形装置を示す要部の側断面図である。
【図7】本発明の一実施形態に係る成形装置を示す要部の側面図である。
【図8】(a)は図7のB矢視図、(b)は図7のC矢視図である。
【図9】本発明の一実施形態に係る成形装置を示す要部の側面図である。
【図10】本発明の一実施形態に係る成形方法等を示すタイミングチャートである。
【図11】本発明の一実施形態に係る成形装置の離型剤塗布ノズル部分の変形例を示す側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
本発明の一実施形態を図面を参照して以下に説明する。
【0038】
図1は、成形装置11を示すものである。この成形装置11は、具体的にはアルミニウム合金の成形品を成形するダイキャスト装置であり、ベースフレーム12と、ベースフレーム12上の一端側に固定状態で載置されたリンクハウジング13と、ベースフレーム12上の他端側に固定状態で載置された固定盤14と、これらリンクハウジング13および固定盤14の間に設けられた可動盤15とを有している。
【0039】
リンクハウジング13および固定盤14には、これらの上下左右の四隅をそれぞれ結ぶように四本のタイバー20が水平に延設されており、可動盤15は、上下左右の四隅にこれらタイバー20を挿通させている。よって、可動盤15は、これらタイバー20に沿ってスライドする。可動盤15とリンクハウジング13とはトグル機構21で連結されており、トグル機構21の型締シリンダ22の作動により可動盤15がリンクハウジング13に対して近接および離間し、その結果、可動盤15が固定盤14に対して離間および近接する。
【0040】
固定盤14の可動盤15側には、四本のタイバー20の内側位置に、固定型25が固定されており、可動盤15の固定盤14側には、四本のタイバー20の内側位置に、可動型26が固定されている。トグル機構21の型締シリンダ22の作動により可動盤15が固定盤14側に移動すると固定型25と可動型26とが合わせ面同士を当接させる。
【0041】
固定型25と可動型26とは、このように合わせ面同士を当接させた型閉じ状態で、固定型25のキャビティ形成部30と可動型26のキャビティ形成部31とで成形品の形状のキャビティ32を形成することになる。また、トグル機構21の型締シリンダ22の作動により可動盤15が固定盤14とは反対側に移動すると可動型26と固定型25とが合わせ面同士を離間させる型開き状態となり、この型開き状態で、キャビティ32で成形された成形品の取り出しが可能となる。このとき、成形品は可動型26に保持されて固定型25から離れることになり、よって、可動型26が成形品が残存する保持型となり、固定型25が成形品が残存しない非保持型となる。
【0042】
可動型26と固定型25とが、型閉じ状態でキャビティ32を形成する金型33を構成することになり、この金型33と、可動型26と固定型25と四本のタイバー20とが金型装置34を構成する。なお、タイバー20は可動盤15を摺動させることになり、その結果、可動型26をタイバー20に沿って移動するように案内する。
【0043】
固定盤14の可動盤15とは反対側には、キャビティ32内に溶湯を射出する射出機構40が設けられている。また、可動盤15の固定盤14とは反対側にはキャビティ32に成形された成形品を可動型26から押し出す押出機構41が設けられている。なお、成形品は、自動車のオートマチックトランスミッション用の複数の油圧流路を切り替えるバルブユニットのハウジング等であり、複雑な流路が形成された形状をなしている。
【0044】
金型33の可動型26には、図2に示すように、可動型26の移動方向に沿って固定型25側に突出するガイドポスト18が、キャビティ形成部30とは離間した位置に形成されており、これに位置を合わせて、固定型25に、固定型25の移動方向に沿って可動型26とは反対側に凹むガイド穴19がキャビティ形成部30とは離間した位置に形成されている。可動型26および固定型25に形成されたこれらのガイドポスト18およびガイド穴19は、型閉じ途中から型閉じ状態になるまでキャビティから離れた位置で互いに摺動可能に嵌合する。言い換えれば、ガイドポスト18は可動型26の固定型25に対する移動を案内する。なお、ガイドポスト18およびガイド穴19のいずれか一方が可動型26に、他方が固定型25に設けられていれば良く、これらは金型の33の可動型26の型分割面の不都合とならない位置に設けられることになる。
【0045】
ガイドポスト18内には、図2に示すように、金型33が型開き状態にあるとき、固定型25のキャビティ形成部30および可動型26のキャビティ形成部31のうちの設定された少なくとも一方(図示例ではキャビティ形成部31)に指向する離型剤塗布ノズル45と、この離型剤塗布ノズル45に離型剤を供給する離型剤供給流路46とが形成されている。
【0046】
離型剤塗布ノズル45は、ガイドポスト18の離型剤塗布ノズル45を除くガイドポスト本体51から着脱可能となっている。図3に示すように、離型剤塗布ノズル45は、ガイドポスト本体51の取付凹部52に嵌合させられた状態で、複数のボルト53の締結によってガイドポスト本体51に固定されることになり、この状態で、離型剤塗布ノズル45が離型剤供給流路46に連通する。また、ボルト53が緩められることで、離型剤塗布ノズル45は、ガイドポスト本体51から取り外し可能となる。その結果、離型剤塗布ノズル45は離型剤供給流路46から取り外し可能となっている。
【0047】
図2に示すように、離型剤供給流路46は、離型剤を圧送する離型剤供給源55およびエアを圧送するエア供給源56にケーブルベア等を介して接続されており、電磁バルブ57によって、離型剤供給源55に連通し且つエア供給源56に連通しない状態と、エア供給源56に連通し且つ離型剤供給源55に連通しない状態と、離型剤供給源55およびエア供給源56のいずれにも連通しない状態とに切り替えられる。よって、離型剤供給流路46は、離型剤塗布ノズル45にエアを供給するエア供給流路を兼用している。
【0048】
離型剤供給源55、離型剤塗布ノズル45および離型剤供給流路46が、離型剤塗布装置61を構成しており、離型剤塗布装置61は、そのうちの離型剤塗布ノズル45および離型剤供給流路46が、金型装置34のガイドポスト18内に設けられている。
【0049】
金型33には、図4、図5および図6に示すように、可動型26に、可動型26の移動方向とは異なる方向、具体的には可動型26の移動方向と直交する方向に移動する可動中子65が設けられている。この可動中子65は、エアシリンダ等のシリンダ装置66で駆動されて前進および後退する。可動中子65は、図6に示す型閉じ状態では前進しており、この状態でシリンダ装置66とは反対側のキャビティ形成部67が固定型25および可動型26とともにキャビティ32を形成する。可動中子65のキャビティ形成部67には、シリンダ装置66とは反対側に突出する穴部形成突起68が形成されており、穴部形成突起68は、成形品に可動型26の移動方向とは異なる方向の穴部を形成する。成形品の取り外し時にこの可動中子65が後退して穴部形成突起68を穴部から抜かないと成形品を取り外すことができない。つまり、この穴部はそのままでは型抜きができないアンダーカット部分となる。可動中子65には、キャビティ形成部67とは反対側に段部70が形成されており、固定型25には、この段部70の背面71に当接して可動中子65の後退を規制する押さえ面72が形成されている。
【0050】
この押さえ面72は、金型33が型閉じ状態にあるとき、キャビティ32から離れた位置で可動中子65に覆われる固定型25の中子被覆部73の表面となっている。中子被覆部73は可動中子65を押さえるという機能を有する金型機能部位となっている。固定型25内には、この中子被覆部73の位置に、金型33が型開き状態にあるとき、固定型25のキャビティ形成部30および可動型26のキャビティ形成部31のうちの設定された少なくともいずれか一方(図示例ではキャビティ形成部30)に指向する離型剤塗布ノズル75が形成されており、固定型25内には、さらに、この離型剤塗布ノズル75に離型剤を供給する離型剤供給流路76が形成されている。
【0051】
この離型剤塗布ノズル75も、図示は略すが、固定型25の離型剤塗布ノズル75を除く固定型本体に対し着脱可能となっている。離型剤供給流路76も、離型剤供給源55およびエア供給源56にケーブルベア等を介して接続されており、電磁バルブ79によって、離型剤供給源55に連通し且つエア供給源56に連通しない状態と、エア供給源56に連通し且つ離型剤供給源55に連通しない状態と、離型剤供給源55およびエア供給源56のいずれにも連通しない状態とに切り替えられる。よって、離型剤供給流路76も、離型剤塗布ノズル75にエアを供給するエア供給流路を兼用している。
【0052】
離型剤供給源55、離型剤塗布ノズル75および離型剤供給流路76も、離型剤塗布装置61を構成しており、離型剤塗布装置61は、離型剤塗布ノズル75および離型剤供給流路76が、金型装置34の固定型25内に設けられている。具体的に、固定型25内の中子被覆部73の位置に離型剤塗布ノズル75が設けられるとともに、固定型25内に離型剤供給流路76が設けられている。
【0053】
図2に示すように、金型33には、固定型25に、可動型26の移動方向に沿って可動型26側に突出する凸部85が、キャビティ形成部30とは離間した位置に形成されており、これに位置を合わせて、可動型26に、可動型26の移動方向に沿って固定型25とは反対側に凹む凹部86がキャビティ形成部30とは離間した位置に形成されている。固定型25および可動型26に形成されたこれらの凸部85および凹部86は、型閉じ状態にあるときキャビティから離れた位置で互いに嵌合する。なお、隆起形状の凸部85および陥没形状の凹部86のいずれか一方が固定型25に、他方が可動型26に設けられていれば良く、金型の33の可動型26の型分割面の不都合とならない位置に設けられることになる。
【0054】
固定型25内には、凸部85の位置に、金型33が型開き状態にあるとき、固定型25のキャビティ形成部30および可動型26のキャビティ形成部31のうちの設定された少なくともいずれか一方(図示例ではキャビティ形成部30)に指向する離型剤塗布ノズル90が形成されており、また、固定型25内には、この離型剤塗布ノズル90に離型剤を供給する離型剤供給流路91が形成されている。
【0055】
この離型剤塗布ノズル90も、図示は略すが、固定型25の離型剤塗布ノズル90を除く固定型本体に対し着脱可能となっている。離型剤供給流路91も、ケーブルベア等を介して離型剤供給源55およびエア供給源56に接続されており、電磁バルブ92によって、離型剤供給源55に連通し且つエア供給源56に連通しない状態と、エア供給源56に連通し且つ離型剤供給源55に連通しない状態と、離型剤供給源55およびエア供給源56のいずれにも連通しない状態とに切り替えられる。よって、離型剤供給流路91も、離型剤塗布ノズル90にエアを供給するエア供給流路を兼用している。
【0056】
離型剤供給源55、離型剤塗布ノズル90および離型剤供給流路91も、上記した離型剤塗布装置61を構成しており、離型剤塗布装置61は、離型剤塗布ノズル90および離型剤供給流路91が、金型装置34の固定型25内に設けられている。具体的に、固定型25内の凸部85の位置に離型剤塗布ノズル90が設けられるとともに、固定型25内に離型剤供給流路91が設けられている。
【0057】
可動型26内には、凹部86の位置に、金型33が型開き状態にあるとき、固定型25のキャビティ形成部30および可動型26のキャビティ形成部31のうちの設定された少なくともいずれか一方(図示例ではキャビティ形成部31)に指向する離型剤塗布ノズル95が形成されており、また、可動型26内には、この離型剤塗布ノズル95に離型剤を供給する離型剤供給流路96が形成されている。
【0058】
この離型剤塗布ノズル95も、図示は略すが、可動型26の離型剤塗布ノズル95を除く可動型本体に対し着脱可能となっている。離型剤供給流路96も、ケーブルベア等を介して離型剤供給源55およびエア供給源56に接続されており、電磁バルブ99によって、離型剤供給源55に連通し且つエア供給源56に連通しない状態と、エア供給源56に連通し且つ離型剤供給源55に連通しない状態と、離型剤供給源55およびエア供給源56のいずれにも連通しない状態とに切り替えられる。よって、離型剤供給流路96も、離型剤塗布ノズル95にエアを供給するエア供給流路を兼用している。
【0059】
離型剤供給源55、離型剤塗布ノズル95および離型剤供給流路96も、上記した離型剤塗布装置61を構成しており、離型剤塗布装置61は、離型剤塗布ノズル95および離型剤供給流路96が、金型装置34の可動型26内に設けられている。具体的に、可動型26内の凹部86の位置に離型剤塗布ノズル95が設けられるとともに、可動型26内に離型剤供給流路96が設けられている。
【0060】
図7および図8に示すように、搬送機構100が、型開きした状態で離間する固定型25と可動型26との間に上方から進入可能に設けられている。この搬送機構100は、押出機構41で押し出されることで可動型26から取り外された成形品Sを受け取って上方に搬送する。
【0061】
また、図9に示すように、別途の離型剤塗布装置102(他の離型剤塗布装置)が、型開きした状態で離間する固定型25と可動型26との間に側方から進入可能に設けられている。離型剤塗布装置102も、固定型25のキャビティ形成部30および可動型26のキャビティ形成部31に離型剤を塗布する。この離型剤塗布装置102には、離型剤を噴出可能な多数の離型剤塗布ノズル103と、エアを噴出可能な多数のエアノズル104とが個別に設けられている。
【0062】
なお、離型剤塗布装置61と、他の離型剤塗布装置102とで、離型剤の濃度が異なっていても良い。具体的には、他の離型剤塗布装置102で塗布する離型剤を、水30に対し離型剤原液1の濃度とし、金型装置34内にある離型剤塗布装置61で塗布する離型剤を、水70に対し離型剤原液1とする。つまり、金型装置34内にある離型剤塗布装置61は、ピンポイントに確実に狙い打てるので濃度を下げることが可能であり、経済的にできる。また、比較的単純な構造の成型品でトラブルの可能性が低い場合は、他の離型剤塗布装置102の方を用いて、水50に対し離型剤原液1の濃度とし、狭小部が複雑であれば金型装置34内にある離型剤塗布補助装置61の離型剤を水30に対し離型剤原液1の濃度としたりする。これにより、カセット形式の離型剤塗布装置102側の離型剤費用を抑えることができる。
【0063】
なお、金型装置34内に設けられる離型剤塗布装置61と、別途の離型剤塗布装置102とを設けたが、別途の離型剤塗布装置102を設けずに、金型装置34内に設けられる離型剤塗布装置61のみで離型剤を塗布することも可能である。逆に、離型剤塗布装置61に、離型剤塗布装置102や、ロボット式の離型剤塗布装置、リンクアーム式の離型剤塗布装置を適宜組み合わせて併用することも可能である。加えて、金型33の離型剤を塗布する位置や、他の機構との干渉等の設置条件等によっては、ガイドポスト18の離型剤塗布ノズル45および離型剤供給流路46と、押さえ面72の離型剤塗布ノズル75および離型剤供給流路76と、凸部85の離型剤塗布ノズル90および離型剤供給流路91と、凹部86の離型剤塗布ノズル95および離型剤供給流路96との中から、選択的に設けるものを選定しても良い。
【0064】
次に、離型剤塗布装置61を含む成形装置11、搬送機構100および離型剤塗布装置102からなる成形システムの離型剤塗布方法を含むいくつかの作動例を図10に示すタイムチャートに沿って説明する。
【0065】
「第1作動例」
図10(a)に示すタイムチャートの第1作動例は、別途の離型剤塗布装置102が設けられており、これを使用する場合の作動例である。
【0066】
型閉じされた金型33のキャビティ32内に溶湯を注入する工程が行われた後、システム制御部は、トグル機構21により可動型26を固定型25から離間する方向に移動させて金型33を型開きする工程を開始させる(t0時点)。この型開き工程の終了(t2時点)の前に、システム制御部は、離型剤塗布装置61の電磁バルブ57,79,92,99のうちの設定された少なくともいずれか一つを切り替え、離型剤塗布ノズル45,75,90,95のうちの固定型25に指向するものから固定型25への離型剤の塗布を開始させる(t1時点)。つまり、可動型26および固定型25のうち成形品Sが残存しない固定型25側に、離型剤供給流路46,76,91,96のうちの設定された少なくともいずれか一つを介して離型剤塗布ノズル45,75,90,95のうちの固定型25に指向するものから、離型剤を塗布する工程を開始させる。システム制御部は、型開きが終了すると同時に、可動型26と固定型25との間への搬送機構100の下降を開始させる(t2時点)。つまり、成形品Sを成形品Sが残存する可動型26から取り外して搬送する工程を開始させる。
【0067】
この搬送機構100の下降が終了すると、システム制御部は、押出機構41により成形品Sの押し出しを含む成形品Sの取り出しを開始させるとともに、電磁バルブ57,79,92,99のうちの設定された少なくともいずれか一つを切り替え、離型剤塗布ノズル45,75,90,95のうちの固定型25に指向するものからエアを固定型25へ噴出させる(t3時点)。所定時間エアを固定型25へ噴出させると、システム制御部は、電磁バルブ57,79,92,99のうちの設定された少なくともいずれか一つを切り替えることにより、離型剤塗布ノズル45,75,90,95のうちの固定型25に指向するものへのエア供給を停止させる(t4時点)。
【0068】
上記のようにして押出機構41により押し出された成形品Sを搬送機構100により受け取ることで成形品Sの取り出しが終了すると、システム制御部は、搬送機構100の上昇を開始させる(t5時点)。搬送機構100の上昇中、搬送機構100の上昇の終了(t7時点)の前に、システム制御部は、可動型26と固定型25との間への、離型剤塗布装置102の横からの挿入を開始させる(t6時点)。つまり、成形品Sをこれが残存する可動型26から取り外して搬送する工程が完了する前に、他の離型剤塗布装置102を型開きされた固定型25と可動型26との間に挿入する。そして、離型剤塗布装置102の挿入が終了すると、システム制御部は、離型剤塗布装置102から離型剤の可動型26への塗布を開始させる(t8時点)。
【0069】
離型剤塗布装置102から所定時間離型剤を可動型26へ噴出させると、システム制御部は、離型剤塗布装置102から離型剤の可動型26への塗布を終了させ、離型剤塗布装置102からエアを可動型26へ噴出させる(t9時点)。所定時間エアを可動型26へ噴出させると、システム制御部は、離型剤塗布装置102からエアの可動型26への噴出を停止させると同時に、離型剤塗布装置102の横への退避を開始させる(t10時点)。そして、離型剤塗布装置102の退避が終了すると、システム制御部は、トグル機構21により可動型26を固定型25に近接させる金型33の型閉じを開始させる(t11時点)。金型33の型閉じが終了する(t12時点)と、システム制御部は、次の成形を行うべく射出装置40からキャビティ32に溶湯を注入させる。
【0070】
「第2作動例」
図10(b)に示すタイムチャートの第2作動例も、別途の離型剤塗布装置102が設けられており、これを使用する場合の作動例である。
【0071】
型閉じされた金型33のキャビティ32内に溶湯を注入する工程が行われた後、システム制御部は、トグル機構21により可動型26を固定型25から離間する方向に移動させて金型33を型開きする工程を開始させる(t0時点)。この型開き工程の終了(t2時点)の前に、システム制御部は、離型剤塗布装置61の電磁バルブ57,79,92,99のうちの設定された少なくともいずれか一つを切り替え、離型剤塗布ノズル45,75,90,95のうちの固定型25に指向するものから固定型25への離型剤の塗布を開始させる(t1時点)。つまり、可動型26および固定型25のうち成形品Sが残存しない固定型25側に、離型剤供給流路46,76,91,96のうちの設定された少なくともいずれか一つを介して離型剤塗布ノズル45,75,90,95のうちの固定型25に指向するものから、離型剤を塗布する工程を開始させる。システム制御部は、型開きが終了すると同時に、可動型26と固定型25との間への搬送機構100の下降を開始させる(t2時点)。つまり、成形品Sを成形品Sが残存する可動型26から取り外して搬送する工程を開始させる。
【0072】
この搬送機構100の下降が終了すると、システム制御部は、押出機構41により成形品Sの押し出しを含む成形品Sの取り出しを開始させるとともに、電磁バルブ57,79,92,99のうちの設定された少なくともいずれか一つを切り替え、離型剤塗布ノズル45,75,90,95のうちの固定型25に指向するものからエアを固定型25へ噴出させる(t3時点)。所定時間エアを固定型25へ噴出させると、システム制御部は、電磁バルブ57,79,92,99のうちの設定された少なくともいずれか一つを切り替えることにより、離型剤塗布ノズル45,75,90,95のうちの固定型25に指向するものへのエア供給を停止させる(t4時点)。
【0073】
上記のようにして押出機構41により押し出された成形品Sを搬送機構100により受け取ることで成形品Sの取り出しが終了すると、システム制御部は、搬送機構100の上昇を開始させる(t5時点)。搬送機構100の上昇中、搬送機構100の上昇の終了(t7時点)の前に、システム制御部は、可動型26と固定型25との間への、離型剤塗布装置102の横からの挿入を開始させる(t6時点)。つまり、成形品Sをこれが残存する可動型26から取り外して搬送する工程が完了する前に、他の離型剤塗布装置102を型開きされた固定型25と可動型26との間に挿入する。そして、離型剤塗布装置102の挿入が完了する前に、システム制御部は、離型剤塗布装置102から離型剤の可動型26への塗布を開始させる(t21時点)。つまり、型開きされた固定型25と可動型26との間への他の離型剤塗布装置102の挿入が完了する前に、他の離型剤塗布装置102から離型剤を塗布し始める。
【0074】
他の離型剤塗布装置102から所定時間離型剤を可動型26へ噴出させると、システム制御部は、離型剤塗布装置102の挿入が完了する(t23時点)前に、離型剤塗布装置102から離型剤の可動型26への塗布を終了させると同時に、離型剤塗布装置102からエアの可動型26への噴出を開始させる(t22時点)。所定時間エアを可動型26へ噴出させると、システム制御部は、離型剤塗布装置102からエアの可動型26へ噴出を停止させると同時に、離型剤塗布装置102の横への退避を開始させる(t24時点)。そして、離型剤塗布装置102の退避が終了すると、システム制御部は、トグル機構21により可動型26を固定型25に近接させる金型33の型閉じを開始させる(t25時点)。金型33の型閉じが終了する(t26時点)と、次の成形を行うべく射出装置40からキャビティ32に溶湯を注入させる。
【0075】
「第3作動例」
図10(c)に示すタイムチャートの第3作動例は、別途の離型剤塗布装置102が設けられていない場合、および設けられていても使用しない場合の作動例である。
【0076】
型閉じされた金型33のキャビティ32内に溶湯を注入する工程が行われた後、システム制御部は、トグル機構21により可動型26を固定型25から離間する方向に移動させて金型33を型開きする工程を開始させる(t0時点)。この型開き工程の終了(t2時点)の前に、システム制御部は、離型剤塗布装置61の電磁バルブ57,79,92,99のうちの設定された少なくともいずれか一つを切り替え、離型剤塗布ノズル45,75,90,95のうちの固定型25に指向するものから固定型25への離型剤の塗布を開始させる(t1時点)。つまり、可動型26および固定型25のうち成形品Sが残存しない固定型25側に、離型剤供給流路46,76,91,96のうちの設定された少なくともいずれか一つを介して離型剤塗布ノズル45,75,90,95のうちの固定型25に指向するものから、離型剤を塗布する工程を開始させる。システム制御部は、型開きが終了すると同時に、可動型26と固定型25との間への搬送機構100の下降を開始させる(t2時点)。つまり、成形品Sを成形品Sが残存する可動型26から取り外して搬送する工程を開始させる。
【0077】
この搬送機構100の下降が終了すると、システム制御部は、押出機構41により成形品Sの押し出しを含む成形品Sの取り出しを開始させるとともに、電磁バルブ57,79,92,99のうちの設定された少なくともいずれか一つを切り替え、離型剤塗布ノズル45,75,90,95のうちの固定型25に指向するものからエアを固定型25へ噴出させる(t3時点)。所定時間エアを固定型25へ噴出させると、システム制御部は、電磁バルブ57,79,92,99のうちの設定された少なくともいずれか一つを切り替えることにより、離型剤塗布ノズル45,75,90,95のうちの固定型25に指向するものへのエア供給を停止させる(t4時点)。
【0078】
上記のようにして押出機構41により押し出された成形品Sを搬送機構100により受け取ることで成形品Sの取り出しが終了すると、システム制御部は、搬送機構100の上昇を開始させると同時に、離型剤塗布装置61の電磁バルブ57,79,92,99のうちの設定された少なくともいずれか一つを切り替え、離型剤塗布ノズル45,75,90,95のうちの可動型26に指向するものから可動型26への離型剤の塗布を開始させる(t5時点)。つまり、成形品Sが取り外された可動型26側に離型剤供給流路46,76,91,96のうちの設定された少なくとも一つを介して離型剤塗布ノズル45,75,90,95のうちの可動型26に指向するものから離型剤を噴出する工程を開始させる。搬送機構100の上昇が終了する(t31時点)後のタイミングで、システム制御部は、離型剤塗布装置61の電磁バルブ57,79,92,99のうちの設定された少なくともいずれか一つを切り替え、離型剤塗布ノズル45,75,90,95のうちの可動型26に指向するものからのエアの可動型26への噴出を開始させる(t32時点)。つまり、離型剤噴出後に離型剤供給流路46,76,91,96のうちの設定された少なくとも一つを介して離型剤塗布ノズル45,75,90,95のうちの可動型26に指向するものにエアを供給する工程を開始させる。
【0079】
所定時間エアを可動型26へ噴出させると、システム制御部は、離型剤塗布装置61の電磁バルブ57,79,92,99のうちの設定された少なくともいずれか一つを切り替え、離型剤塗布装置61からエアの可動型26への噴出を終了させる。それと同時に、システム制御部は、トグル機構21により可動型26を固定型25に近接させる金型33の型閉じを開始させる(t33時点)。金型33の型閉じが終了する(t34時点)と、次の成形を行うべく射出装置40からキャビティ32に溶湯を注入させる。
【0080】
図10(d)は、比較のために示す離型剤塗布装置61を持たない従来の装置のタイムチャートであり、以下、これについて説明する。
【0081】
型閉じされた金型33のキャビティ32内に溶湯を注入する工程が行われた後、システム制御部は、トグル機構21により可動型26を固定型25から離間する方向に移動させて金型33を型開きする工程を開始させる(t0時点)。そして、この型開き工程が終了すると同時に、可動型26と固定型25との間への搬送機構100の下降を開始させる(t41時点)。
【0082】
この搬送機構100の下降が終了すると、システム制御部は、押出機構41により成形品Sの押し出しを含む成形品Sの取り出しを開始させる(t42時点)。押出機構41により押し出された成形品Sを搬送機構100により受け取ることで成形品Sの取り出しが終了すると、システム制御部は、搬送機構100の上昇を開始させる(t43時点)。搬送機構100の上昇が終了すると、可動型26と固定型25との間への、離型剤塗布装置102の横からの挿入を開始させる(t44時点)。離型剤塗布装置102の横からの挿入が完了すると、離型剤塗布装置102から離型剤の可動型26への塗布を開始させる(t45時点)。
【0083】
所定時間離型剤を可動型26へ噴出させると、システム制御部は、離型剤塗布装置102から離型剤の可動型26への塗布を停止させ、離型剤塗布装置102からエアの可動型26への噴出を開始させる(t46時点)。所定時間エアを可動型26へ噴出させると、離型剤塗布装置102からエアの可動型26へ噴出を停止させ、離型剤塗布装置102の横への退避を開始させる(t47時点)。そして、離型剤塗布装置102の退避が終了すると、システム制御部は、トグル機構21により可動型26を固定型25に近接させる金型33の型閉じを開始させる(t48時点)。金型33の型閉じが終了する(t49時点)と、次の成形を行うべく射出装置40からキャビティ32に溶湯を注入させる。
【0084】
なお、図11に示すように、ガイドポスト18に設けられた離型剤塗布ノズル45を以下のように変更することも可能である。
【0085】
離型剤塗布ノズル45を一つの離型剤供給流路46に対して複数設けても良い。
【0086】
また、離型剤塗布ノズル45の離型剤の噴出方向を可変としても良い。具体的には、一方の離型剤塗布ノズル45をガイドポスト18に沿う基端分割体110と、この基端分割体110に繋がる中間分割体111と、この中間分割体111に繋がる噴出側の先端分割体112とに分ける。そして、基端分割体110に対し中間分割体111を、基端分割体111を中心に回転可能に連結する。また、中間分割体111に対し先端分割体112を基端分割体110と直交する方向に沿う軸回りに回転可能に連結するとともに六角ボルト113で角度を固定可能とする。また、他方の離型剤塗布ノズル45を離型剤供給流路46への接続側の基端分割体120と、噴出側の先端分割体121とに分けるとともに、これらをシリコンチューブやナイロンチューブ等の可撓性耐熱チューブあるいは蛇腹の耐熱チューブ等のチューブ122で結ぶ。そして、分割体121を分割体112に固定する。これにより、噴出側の先端分割体112,121が一体に角度を変更する。なお、先端分割体112,121同士は内部の流路を合流させており、離型剤供給流路46から供給された離型剤およびエアを先端分割体112,121の両方から噴出させる。
【0087】
以上に述べた本実施形態によれば、離型剤塗布ノズル45,75,90,95が、金型装置34内に設けられているため、金型装置34外に設けられている場合とは異なる方向から、型開き状態にある金型33のキャビティ形成部30,31に離型剤を噴射することができる。したがって、キャビティ32の形状が複雑であったり、キャビティ32が狭小部を有している場合であっても、離型剤をキャビティ32に良好に塗布することが可能となる。よって、合理的に離型剤を塗布することができ、優れた成形品の離型性を実現可能となって、成形品の品質向上および成形コストの低減を図ることができる。つまり、離型剤の塗布を効率化し、離型剤の必要な部位に確実に塗布する一方、離型剤塗布時間を短縮し、品質・コスト面で競争力のある成型品を得ることができる。また、離型剤塗布ノズル45,75,90,95および離型剤供給流路46,76,91,96が金型装置34内に設けられているため、これらが可動型26の移動に干渉することはなく、故障を生じ難い。また、離型剤塗布装置61に、離型剤塗布装置102や、ロボット式の離型剤塗布装置、リンクアーム式の離型剤塗布装置を適宜組み合わせて併用することにより、現有設備になるべく手をかけず、合理的に離型剤を塗布することができ、少額追加投資で優れた成形品の離型性を実現可能となる。
【0088】
離型剤塗布ノズル45および離型剤供給流路46がガイドポスト18内に設けられるため、金型装置34に元々必要なガイドポスト18に多少の追加加工を施せば良く、離型剤塗布ノズル45および離型剤供給流路46を金型装置34内に安価で容易に設けることができる。しかも、離型剤塗布ノズル45および離型剤供給流路46の構造も単純化できるため、故障し難くなり、メンテナンス性にも優れる。また、離型剤塗布ノズル45および離型剤供給流路46をガイドポスト18内に仕込むことで、特定部位に確実に離型剤を塗布できる。
【0089】
金型33の型閉じ状態で可動中子65に覆われる中子被覆部73の位置に離型剤塗布ノズル75が設けられるとともに、金型33内に離型剤供給流路76が設けられているため、ガイドポスト18への離型剤塗布ノズル45の設置と同様、金型33に多少の追加加工を施せば良く、離型剤塗布ノズル75および離型剤供給流路76を、邪魔にならない金型装置34内に安価で容易に設けることができる。しかも、離型剤塗布ノズル75および離型剤供給流路76の構造も単純化できるため、故障し難くなり、メンテナンス性にも優れる。加えて、金型33内の型閉じ状態でキャビティ32を形成しない位置を有効利用して離型剤塗布ノズル75および離型剤供給流路76を設けることができる。つまり、単純な成型品の金型の型分割面は平面となっているが、成型品が複雑形状となった場合、例えばアンダーカットとなった場合は、そのままでは、型抜きができないため崩壊中子や可動中子が用いられる。可動中子の場合は、可動中子の押さえ面が型分割面に対して直角等交差して形成されたりする。このような可動中子65の押さえ面72等の金型機能部位に離型剤塗布ノズル75を設置し、これに連なる離型剤供給経路76を金型33内に設ければ、離型剤の塗布が可能となる。
【0090】
金型33には、型閉じ状態にあるときキャビティ32から離れた位置で互いに嵌合する凸部85および凹部86に、離型剤塗布ノズル90,95および離型剤供給流路91,96が設けられているため、金型33に多少の追加加工を施せば良く、離型剤塗布ノズル90,95および離型剤供給流路91,96を金型装置34内に安価で容易に設けることができる。しかも、離型剤塗布ノズル90,95および離型剤供給流路91,96の構造も単純化できるため、故障し難くなり、メンテナンス性にも優れる。加えて、金型33内の型閉じ状態でキャビティ32を形成しない位置を有効利用して離型剤塗布ノズル90,95および離型剤供給流路91,96を設けることができる。例えば、もともと存在するガイドポスト18や押さえ面72等の金型機能部位に加えてさらに離型剤を塗布したい場合や、ガイドポスト18や金型機能部位が利用できない場合に有効となる。
【0091】
ガイドポスト18の離型剤塗布ノズル45、押さえ面72等の機能部位の離型剤塗布ノズル75、凸部85の離型剤塗布ノズル90および凹部86の離型剤塗布ノズル95を用いることで、離型剤を塗布する部位が多数ある場合に、離型剤を良好に塗布できることになる。
【0092】
可動型26および固定型25のうち成形品が残存しない非保持型である固定型25側に、離型剤供給流路46,76,91,96のうちの設定された少なくとも一つを介して離型剤塗布ノズル45,75,90,95のうちの固定型25に指向するものから離型剤を噴出する工程と、成形品をこれが残存する保持型である可動型26から取り外して搬送する工程とを並行して行うことができ、金型装置34外に設けられている他の離型剤塗布装置102を型開きされた固定型25と可動型26との間に挿入して、該他の離型剤塗布装置102から、成形品が取り外された可動型26側に離型剤を噴出することができる。したがって、成形品を保持型である可動型26から取り外して搬送する工程と、非保持型である固定型25に離型剤を噴出する工程とをオーバーラップさせて並行処理することができ、サイクルタイムを短縮することが可能となる。また、既存のカセット形式やロボットによる離型剤塗布装置は用いるものの、離型剤塗布装置61のみでは離型剤を塗布できなかったあるいは離型剤塗布ノズルの位置ずれにより離型剤が塗布されなくなってしまった等という事象が発生しなくなる。また、既存設備に導入する際は現有設備に軽微な追加にとどまるため、長期間製造ラインを停止する必要もなく、追加投資も少なくてすむ。
【0093】
離型剤塗布装置61と、金型装置34外に設けられている他の離型剤塗布装置102とで離型剤の濃度が異なるため、離型剤塗布位置61,102に応じてより適正な濃度の離型剤を塗布することができる。つまり、離型剤を利用するのは、もとより成型品が金型33の内面に固着し取り出せないなどのトラブルを避けるためであり、カセット形式による離型剤塗布装置102に、金型装置34内にある離型剤塗布装置61を併用するため、この2系統で離型剤の濃度を変更することは、トラブルを避けるための有効な手段となる。加えて、濃度が低くても良い方については濃度を下げることで、離型剤費用を抑えることができる。
【0094】
成形品をこれが残存する保持型である可動型26から取り外して金型33外に搬送する工程が完了する前に、他の離型剤塗布装置102を型開きされた固定型25と可動型26との間に挿入するため、これらの工程をオーバーラップさせて並行処理することができ、サイクルタイムを短縮することが可能となる。なお、この場合、同じ側から双方の作業を行なうことは困難で、上記例のように、成型品の取り出しを成形装置11の上側から行い、離型剤塗布装置102を横から出し入れすると双方の干渉の心配が無く好ましい。
【0095】
他の離型剤塗布装置102において、型開きされた固定型25と可動型26との間への挿入が完了する前に離型剤を塗布し始めるため、他の離型剤塗布装置102の挿入と塗布とを並行して行うことになり、サイクルタイムを短縮することが可能となる。
【0096】
なお、本実施形態は上記の明細内容及び図面に示した例に限定されず、自明の範囲で変更可能である。例えば、上記実施形態ではアルミニウムのダイキャスト製法について述べたが、例えば、樹脂成形にこの技術を適用することも勿論可能である。
【符号の説明】
【0097】
11 成形装置
18 ガイドポスト
25 固定型(非保持型)
26 可動型(保持型)
30 キャビティ形成部
31 キャビティ形成部
32 キャビティ
33 金型
34 金型装置
S 成形品
45,75,90,95 離型剤塗布ノズル
46,76,91,96 離型剤供給流路
61 離型剤塗布装置
65 可動中子
73 中子被覆部
85 凸部
86 凹部
101 搬送機構
102 離型剤塗布装置(他の離型剤塗布装置)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定型と可動型とを有し型閉じ状態でキャビティを形成する金型と、前記可動型の移動を案内するガイドポストとを有する金型装置に設けられる離型剤塗布装置であって、
型開き状態にある前記金型のキャビティ形成部に指向する離型剤塗布ノズルと、該離型剤塗布ノズルに離型剤を供給する離型剤供給流路とが前記金型装置内に設けられていることを特徴とする離型剤塗布装置。
【請求項2】
前記ガイドポスト内に、前記離型剤塗布ノズルと前記離型剤供給流路とが設けられていることを特徴とする請求項1記載の離型剤塗布装置。
【請求項3】
前記金型には、前記型閉じ状態で前記キャビティを形成する中子と、前記型閉じ状態で前記中子に覆われる中子被覆部とが設けられており、
前記金型内の前記中子被覆部の位置に前記離型剤塗布ノズルが設けられるとともに、
前記金型内に前記離型剤供給流路が設けられていることを特徴とする請求項1または2記載の離型剤塗布装置。
【請求項4】
前記固定型および前記可動型には、前記型閉じ状態にあるとき前記キャビティから離れた位置で互いに嵌合する凸部および凹部が設けられており、
前記金型内の、これら凸部および凹部のうちの少なくともいずれか一方の位置に前記離型剤塗布ノズルが設けられるとともに、
前記金型内に前記離型剤供給流路が設けられていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項記載の離型剤塗布装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか一項記載の離型剤塗布装置を用いた離型剤塗布方法であって、
前記可動型を移動して型開きする工程と、
前記可動型および前記固定型のうち成形品が残存しない非保持型側に前記離型剤供給流路を介して前記離型剤塗布ノズルから離型剤を噴出する工程と、
前記成形品を該成形品が残存する保持型から取り外して搬送する工程と、
前記金型装置外に設けられている他の離型剤塗布装置を型開きされた前記固定型と前記可動型との間に挿入して、該他の離型剤塗布装置から、前記成形品が取り外された前記保持型側に離型剤を噴出する工程とを有することを特徴とする離型剤塗布方法。
【請求項6】
前記離型剤塗布装置と、前記他の離型剤塗布装置とで離型剤の濃度が異なることを特徴とする請求項5記載の離型剤塗布方法。
【請求項7】
前記成形品を該成形品が残存する保持型から取り外して搬送する工程が完了する前に、前記他の離型剤塗布装置を型開きされた前記固定型と前記可動型との間に挿入することを特徴とする請求項5または6記載の離型剤塗布方法。
【請求項8】
型開きされた前記固定型と前記可動型との間への前記他の離型剤塗布装置の挿入が完了する前に、前記他の離型剤塗布装置から離型剤を塗布し始めることを特徴とする請求項5乃至7のいずれか一項記載の離型剤塗布方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−200776(P2012−200776A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−69330(P2011−69330)
【出願日】平成23年3月28日(2011.3.28)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】