説明

離型剤組成物

【課題】 環境負荷の少ない非ハロゲン系有機溶媒を用い、速乾性で、優れた離型性能を有しながら、離型成分の析出による離型性、作業性の低下を起こしにくい離型剤組成物を提供する。
【解決手段】 a)イオン性界面活性剤、好適には、硫酸エステル塩、スルホン酸塩、又は4級アンモニウム塩等のイオン性界面活性剤、b)水、及びc)水溶性であり、且つ揮発性の非ハロゲン系有機溶媒、好適には、エタノール、プロパノール、又はアセトン等の非ハロゲン系有機溶媒を含んでなる離型剤組成物において、さらに、d)グリコール類やグリセリン類等の水溶性多価アルコールを配合する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は離型剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
石膏や金属製の型材を用いて各種成型材料を成型するに際して、型材と成型材料との型離れを良くするために離型剤が使用される。特に、歯科用途においては、コンポジットレジン製のインレー、クラウン等の作製時において、石膏模型や金属製の支台歯上にコンポジットレジンを築盛して硬化する場合、金属又はセラミクス製のインレー、クラウン等の作製時において、石膏模型上に歯科用ワックスを築盛する場合、さらには義歯床の裏装を行なうに際してレジン歯への裏装材の付着を防止する場合などで、これら両者の界面に離型剤の被膜を形成させることが行われている。
【0003】
こうした離型剤としては、アルギン酸塩水溶液、シリコーン樹脂、弾性ポリマーの水性エマルジョン等が用いられている。このうち、アルギン酸塩水溶液からなる離型剤は、薄い被膜を形成させ易く辺縁部の寸法安定性を良好とすることができるため、多用されている。
【0004】
ところが、アルギン酸塩水溶液からなる離型剤は、塗布後の乾燥に長時間を要し、作業効率が悪いという欠点を有している。
【0005】
この問題を解決するため、速乾性の離型剤として特許文献1では、ショ糖脂肪酸エステル、及びケイ素化合物を用いた離型剤が開示されている。上記離型剤は溶解性が低いことから、通常、塩化メチレン等のハロゲン系有機溶媒が溶媒として用いられており、短時間で乾燥させることが可能である。
【0006】
しかしながら、近年、ハロゲン系有機溶媒については、その揮発蒸気の環境負荷や有害性も懸念されており、より厳しい管理が要求されるようになってきている。従って、速乾性の非ハロゲン系有機溶媒を用いた離型剤が望まれている。とりわけ、歯科用分野においては、成型された成型品は、口腔内で使用されることが多いため、上記ハロゲン系有機溶媒の残留等は許されず、その要求は強い。
【0007】
ところが、これら非ハロゲン系有機溶媒に対して、ショ糖脂肪酸エステルやケイ素化合物は極めて溶解性が低く、前記要求を満足した離型剤を得ることはできなかった。
【0008】
この問題に対して、特許文献2ではイオン性界面活性剤、水、及び水溶性であり且つ揮発性の非ハロゲン系有機溶媒からなる離型剤組成物が提案されており、ハロゲン系有機溶媒を使用することなく、高い離型性、速乾性が達成されることが示されている。
【0009】
しかし、このような離型剤組成物を用いた場合、成分中のイオン性界面活性剤が組成物内に結晶状に析出したり、容器の口の部分に粉が析出することで不衛生となったり、さらに、石膏等の型材の表面に塗布した際に析出物を生じるという、新たな問題が発生することがわかった。これは、水が上記非ハロゲン系有機溶媒とともに揮散することによってイオン性界面活性剤の溶解性が低下することが原因だと思われる。一旦イオン性界面活性剤が析出すると再溶解することは難しく、溶液中の離型成分の減少や不均一化によって離型性が低下したり、結晶成分の飛散による健康への悪影響が懸念さたりする問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開平2−311580号公報
【特許文献2】特開2003−147328号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
こうした背景から、環境負荷の少ない非ハロゲン系有機溶媒を用い、速乾性で、優れた離型性能を有しながら、離型成分の析出による離型性、作業性の低下を起こしにくい離型剤組成物を提案することが大きな課題であった。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するため本発明者らが鋭意検討を行った結果、被膜を形成する成分としてイオン性界面活性剤を用い、溶媒として水溶性で、且つ揮発性の非ハロゲン系有機溶媒と水との混合物を用い、更に多価アルコールを配合することで、離型性や速乾性を損なうことなく前記課題を解決することを見出し、本発明に至った。
【0013】
すなわち本発明は、a)イオン性界面活性剤、b)水、c)水溶性であり、且つ揮発性の非ハロゲン系有機溶媒、及びd)水溶性多価アルコールを含んでなる離型剤組成物である。
【発明の効果】
【0014】
離型剤組成物に水溶性多価アルコールを含有することで水の揮発が抑制され、溶液内でのイオン性界面活性剤の析出が抑制されるため、溶液安定性が向上する。また、本離型剤組成物を石膏等の型に塗布した際に、離型成分であるイオン性界面活性剤が結晶化、析出しにくく、且つ適度に乾燥するため、不均一化による離型性の低下を抑制することができる。また、本離型剤組成物はハロゲン系有機溶媒を含有していないため環境負荷の観点からも優れている。更に本離型剤組成物は速乾燥型であり、石膏模型その他の型材に対して、高い離型性を有する。特に、歯科用レジン、歯科用ワックス等の歯科用成型材料と石膏模型との離型性に優れており、歯科分野において作業効率が向上する。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明は被膜形成成分として、イオン性界面活性剤が用いられる。上記イオン性界面活性剤は、公知のアニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、又は両性界面活性剤の中で、水溶性であり、且つ揮発性の非ハロゲン系有機溶媒(以下、単に非ハロゲン系有機溶媒とも略する)と水との混合溶媒に可溶な化合物であれば特に限定されずに使用される。常温で、液体のものも固体のものも、同様に使用できる。
【0016】
水と非ハロゲン系との混合溶媒に容易に溶解できるため、親水性の高い基を有する界面活性剤を用いることが好ましい。HLB値が6以上、より好適には8以上のものが好ましい。
【0017】
具体的に例示すれば、アニオン性界面活性剤として、デシル硫酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム、ドデシル硫酸カリウム、テトラデシル硫酸ナトリウム、オクタデシル硫酸ナトリウム、POE(1)ドデシルエーテル硫酸ナトリウム、POE(5)ドデシルエーテル硫酸ナトリウム、POE(10)ドデシルエーテル硫酸ナトリウム、POE(2)ヘキサデシル硫酸ナトリウム、POE(1)オクタデシル硫酸ナトリウム等の硫酸エステル塩、p−n−デシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、p−n−ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、p−n−テトラデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、p−(n−デシルオキシカルボニル)ベンゼンスルホン酸ナトリウム、テトラプロピルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシルスルホン酸ナトリウム等のスルホン酸塩、ドデシルリン酸カリウム、オクタデシルリン酸ナトリウム等のリン酸塩、ミリスチン酸カリウム、パルミチン酸カリウム、パーフルオロアルキルカルボン酸カリウム等のカルボン酸塩等が挙げられ、カチオン性界面活性剤として、デシルトリメチルアンモニウムブロミド、ドデシルトリメチルアンモニウムブロミド、ドデシルトリエチルアンモニウムブロミド、テトラデシルトリメチルアンモニウムクロリド、デシルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、ジオクチルジメチルアンモニウムクロリド等の4級アンモニウム塩、デシルアミン塩酸塩、ドデシルアミン塩酸塩、ドデシルエチレンジアミン酢酸塩、テトラデシルエチレンジアミンプロピオン酸塩等のアミン塩が挙げられ、両性界面活性剤として、N−デシルベタイン、デシルベタイン等が挙げられる。
【0018】
上記イオン性界面活性剤の中でも、親水性の高い基を有する硫酸エステル塩、スルホン酸塩、4級アンモニウム塩が好ましく、更に好ましくは硫酸エステル塩が好ましい。
【0019】
これらイオン性界面活性剤は単独で用いることが出来るが、2種以上を組み合わせて使用することもできる。
【0020】
本発明において、イオン性界面活性剤の配合量は特に限定されないが、好ましくは離型剤組成物100質量%中において、5〜30質量%、更に好ましくは10〜25質量%である。5質量%より少ないと、離型性が低下し、30質量%より多いと、イオン性界面活性剤の溶解が困難となる傾向がある。
【0021】
本発明においてイオン性界面活性剤は、水溶性であり、且つ揮発性の非ハロゲン系有機溶媒と水との混合液により溶解される。
【0022】
本発明において、水溶性の有機溶媒とは、20℃での水の溶解度が10体積%以上、好ましくは50体積%以上の有機溶媒をいう。また、揮発性の有機溶媒とは、沸点が100℃以下、好ましくは85℃以下で、20℃の蒸気圧が20mmHg以上、好ましくは30mmHg以上の有機溶媒をいう。
【0023】
水溶性であり、且つ揮発性の非ハロゲン系有機溶媒を具体的に例示すると、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、ter−ブチルアルコール、テトラヒドロフラン、アセトン、メチルエチルケトン、アセトニトリル等が挙げられる。
【0024】
上記非ハロゲン系有機溶媒の中でも、生体に対する為害作用の点からエタノール、プロパノール、又はアセトンを用いるのが好ましい。
【0025】
これら非ハロゲン系有機溶媒は単独で用いることが出来るが、2種以上を組み合わせて使用することもできる。
【0026】
本発明において、上記非ハロゲン系有機溶媒の配合量は特に限定されないが、好ましくは離型剤組成物100質量%中において、40〜90質量%、更に好ましくは45〜80質量%である。40質量%より少ないと離型剤組成物の塗布後の乾燥時間が長くなり、90質量%より多いと離型性が低下する傾向がある。
【0027】
本発明に使用する水は水道水、脱イオン水、蒸留水等を特に制限なく使用する事ができる。
【0028】
上記水の配合量は特に限定されないが、好ましくは離型剤組成物100質量%中において、5〜50質量%、更に好ましくは10〜40質量%である。5質量%より少ないとイオン性界面活性剤の溶解が困難になり、50質量%より多いと離型剤組成物の塗布後の乾燥時間が長くなるほか、発泡する傾向がある。
【0029】
本発明において用いられる水溶性多価アルコールは、一分子に水酸基を2個以上有する水溶性のアルコール類である。本発明における水溶性とは、20℃での水の溶解度が10体積%以上、好ましくは50体積%以上であることをいう。一般的に多価アルコールは沸点が150℃以上、より好適には180℃以上の非揮発性であり、水を適度に系中に残すことができるようになり、イオン性界面活性剤の析出を効果的に抑制することが達成できる。また、本発明で使用する多価アルコールは水溶性であるため、水を含む離型剤組成物と均一に混合することができる。本発明で用いる水溶性多価アルコールは、それ自体が固化することを防止するため、常温常圧下で液体であることが良い。
【0030】
本発明に用いる水溶性多価アルコールの具体例としては、1,3−ブチレングリコール、1,4−ブチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキシレングリコール等のグリコール類、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリビニルアルコール等の水溶性高分子類(好適には水溶性及び粘度の観点から、重量平均分子量1500以下、より好適には500以下のもの)、グリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン、テトラグリセリン等のグリセリン類、マルトース、ショ糖、フラクトース、キシリトール、ソルビトール、マルトトリオース、エリスリトール等の糖類等が挙げられる。
【0031】
本発明に用いる水溶性多価アルコールとしては、水溶性が高く析出性の抑制効果が高いことや速乾性の観点から、グリコール類やグリセリン類が好ましく、ブチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリンが特に好ましい。更に、低温保管時のイオン性界面活性剤の結晶析出が少ないことからグリセリンが特に好ましい。
【0032】
これら多価アルコールは単独で用いることが出来るが、2種以上を組み合わせて使用することもできる。
【0033】
本発明において、上記水溶性多価アルコールの配合量は特に限定されないが、好ましくは離型剤組成物100質量%中において、1〜30質量%、更に好ましくは5〜15質量%である。1質量%より少ないと析出抑制の効果が十分現れず、30質量%より多いと離型剤組成物の塗布後の乾燥時間が長くなる場合や、離型効果が低くなる恐れがある。
【0034】
本発明の離型剤組成物には、前記a)イオン性界面活性剤、b)水、c)水溶性であり、且つ揮発性の非ハロゲン系有機溶媒、及びd)水溶性多価アルコール以外にも、必要に応じ、本発明の効果を損なわない範囲で以下に示す様々な任意成分を配合することも可能である。この様な任意成分としては、色素、非水溶性有機溶媒、フィラー、重合禁止剤等が挙げられる。
【0035】
本発明の離型剤組成物は、型材と各種の成型材料の型離れを良くするために両者の界面に塗布する材料として制限なく使用される。型材としては、石膏、金属、樹脂等が挙げられ、石膏がより好ましい。
【0036】
特に、歯科用途において、インレーやクラウン等の補綴材の製造時において、石膏や金属製の型材に種々の成型材料を、築盛、填入、注入等して成型し脱型する際に使用するのが好ましい。例えば、石膏模型に歯科用レジンを築盛硬化する場合や、歯科用ワックスを築盛する場合において、これらの歯科用の成型材料と石膏模型との離型促進用に用いるのが好ましい。
【0037】
ここで、歯科用レジンは、アクリル系重合性単量体等の硬化成分と無機フィラーを主成分とする、コンポジットレジンや即時重合レジン等の硬化性組成物が制限なく使用できる。
【0038】
その他、歯科分野において、義歯床の裏装処理を行なう場合においてレジン系裏装材をレジン歯、レジン床等の義歯床に築盛するに際して、余剰の裏装材の義歯床への付着を防止する場合にも、本発明の離型剤組成物は好適に使用できる。
【0039】
離型剤組成物の使用方法は、型材上に、筆等を用いて1、2回程塗布し、水及び非ハロゲン系有機溶媒が揮発乾燥した後に成型材料を築盛、填入、注入することにより行われるのが一般的である。水及び非ハロゲン系有機溶媒の揮発乾燥は、そのまま放置して風乾しても良いし、エアーブローして行っても良い。
【0040】
また、本発明の離型剤組成物を、レジンジャケット冠を作製する際の石膏模型用に用いる場合には、該成型品は、石膏模型の全周を歯科用レジンで覆って築盛するため、離型時にジャケット冠内部に応力がかかりやすくなるため、ゴム弾性を有するポリマーの水溶性縣濁液と併用して用いることが好ましい。具体的にはジャケット冠の内面に相当する部分には若干の被膜厚さと弾性を有するポリマーの水溶性縣濁液を用い、マージン部分の石膏面には被膜が薄く寸法安定性の良好な本発明の離型剤組成物を用いる。
【0041】
ここで、弾性を有するポリマーの水溶性縣濁液は、通常、天然ゴム、ウレタンゴム、アクリル樹脂等が使用される。
【0042】
上記併用法により、石膏模型からジャケット冠の取り外しが容易で、辺縁部の寸法変化も小さくすることができる。
【実施例】
【0043】
以下、本発明を具体的に説明する為に、実施例、比較例を挙げて説明するが、本発明はこれらにより何ら制限されるものではない。
(1)使用材料及び略号
a)界面活性剤
SDS:ドデシル硫酸ナトリウム(アニオン性界面活性剤 HLB値40)
DTAB:ドデシルトリメチルアンモニウムブロミド(カチオン性界面活性剤 HLB値9.3)
b)水: 蒸留水(沸点100℃、蒸気圧18mmHg/20℃)
c)溶媒
エタノール(沸点78℃、蒸気圧44mmHg/20℃)
2−プロパノール(IPA:沸点82℃、蒸気圧32mmHg/20℃)
アセトン(沸点56℃、蒸気圧190mmHg/20℃)
d)水溶性多価アルコール
グリセリン(沸点290℃)
1,3−ブタンジオール(沸点208℃)
ポリプロピレングリコール(重量平均分子量750)
(2)乾燥時間試験
歯科用超硬石膏(商品名「ロック1」;トクヤマ社製)の硬化体平面に離型剤組成物を、子筆を用いて塗布した後に自然乾燥した。この時に塗布面のベトつきが無くなるまでの時間を乾燥時間とした。
(3)歯科用レジンの離型性試験
乾燥時間試験で用いた石膏硬化体における離型剤組成物の塗布面に、内径8mmの貫通孔の穿たれた厚さ1.5mmのパラフィンワックスを、両面テープを用いて該貫通孔の周縁を帖着部として張り付けた。次いで、パラフィンワックスの上面開口部から貫通孔中にインレー用コンポジットレジン(パルフィークインレー;トクヤマ社製)を充填した後、可視光線照射器(パワーライト;トクヤマ社製)を30秒間照射することによって該レジンを硬化させた。
【0044】
得られたレジン硬化体からパラフィンワックスを切り外した後、該レジン硬化体を石膏硬化体から除去する時に、力を入れること無く簡単に除去ができたものを◎、若干の力が必要だが除去ができたものを○、除去ができなかったものを×として評価した。
(4)析出性
ガラス製スクリュー管瓶の雄ネジ部分に離型剤組成物を3回にわたって筆で塗布し、十分に乾燥させた。対応する雌ネジを有するプラスチック製のキャップを閉め、室温で一週間放置した。キャップを開放して雄ネジ部分を目視で確認し、塗布物が透明な液状もしくはゲル状のものを○、塗布物が半透明状に一体化して固化しているものを△、塗布物が粉状、もしくは結晶状に析出しており飛散するものを×とした。
実施例1
エタノール45質量部、水30質量部、グリセリン5質量部の混合液にSDS20質量部を加え、攪拌により均一に溶解し、離型剤組成物を製造した。
【0045】
上記離型剤組成物に乾燥した固形物の析出は見られなかった。乾燥時間は60秒であり、歯科用レジンの離型性は良好であった。
実施例2〜9
実施例1と同様な方法で表1に示した組成の離型剤組成物を製造した。
析出性、乾燥時間試験及び歯科用レジンの離型性試験の結果を表1に示した。何れの離型剤組成物も乾燥した固形物の析出は観察されず、速乾性であり、良好な離型効果を示した。
比較例1〜3
実施例1と同様な方法で表1に示した組成の離型剤組成物を製造した。析出性、乾燥時間試験及び離型性試験の結果を表1に示した。いずれの比較例も、ネジ周辺に結晶状の析出物が存在していた。
【0046】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)イオン性界面活性剤、b)水、c)水溶性であり、且つ揮発性の非ハロゲン系有機溶媒、及びd)水溶性多価アルコールを含んでなる離型剤組成物。
【請求項2】
離型剤組成物100質量%中において、a)イオン性界面活性剤の配合量が5〜30質量%であり、b)水の配合量が5〜50質量%であり、c)水溶性であり、且つ揮発性の非ハロゲン系有機溶媒の配合量が40〜90質量%であり、及びd)水溶性多価アルコールの配合量が1〜30質量%である請求項1記載の離型剤組成物。
【請求項3】
石膏製の型材用である、請求項1又は請求項2記載の離型剤組成物。
【請求項4】
a)イオン性界面活性剤が、硫酸エステル塩、スルホン酸塩、及び4級アンモニウム塩
から選ばれる少なくとも1種である請求項1〜3の何れか一項に記載の離型剤組成物。
【請求項5】
c)水溶性であり、且つ揮発性の非ハロゲン系有機溶媒が、エタノール、プロパノール、及びアセトンから選ばれる少なくとも1種である請求項1〜4の何れか一項に記載の離型剤組成物。
【請求項6】
d)水溶性多価アルコールが、グリコール類、及びグリセリン類から選ばれる少なくとも1種である請求項1〜5の何れか一項に記載の離型剤組成物。
【請求項7】
石膏製の型材と、歯科用レジンまたは歯科用ワックスとの離型用である請求項1〜6の何れか一項に記載の離型剤組成物。

【公開番号】特開2012−107089(P2012−107089A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−255520(P2010−255520)
【出願日】平成22年11月16日(2010.11.16)
【出願人】(391003576)株式会社トクヤマデンタル (222)
【Fターム(参考)】