説明

離間配置バイブロハンマの連動装置及び杭又は壁体の打設方法

【課題】中程度の径の杭に4台又は6台のバイブロハンマを設置するための連動装置を提供する。
【解決手段】円筒杭の略直径の両端に離間して配置された第1及び第2バイブロハンマ21,22と、第1及び第2バイブロハンマ21,22とそれぞれ連結された第3及び第4バイブロハンマ23,24とからなる4台の二軸バイブロハンマの第1と第2バイブロハンマを連結する連動装置6が、一対の歯付きプーリ61A,61B及び第1歯付きベルト61Cを具備し一方の歯付きプーリ61Aが第1バイブロハンマ21と一体に回転する第1歯付きベルト部61と、一対の歯付きプーリ62A,62B及び第2歯付きベルト62Cを具備し一方の歯付きプーリ62Aが第2バイブロハンマ22と一体に回転する第2歯付きベルト部62と、第1と第2歯付きベルト部61,62の間で回転を伝達する連動ギア部65とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、離間して配置された複数のバイブロハンマを連動させるための連動装置及び杭又は壁体の打設方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、セル径が20mを超える鋼板セルなどの大口径の杭を打設する場合、杭の上端に複数(多数)台のバイブロハンマを環状に取付け、それらを連結して連動させることにより1つの打設装置を構成し、打設を行っている。例えば、特許文献1〜3に記載されている。
【0003】
隣り合うバイブロハンマを連結し回転力を伝達する連動具としては、ユニバーサルジョイントやタイヤカップリングが用いられる。2台連動においては、タイヤカップリングが有利である。
【0004】
バイブロハンマとして、駆動軸と1又は複数の従動軸とを有する多軸のバイブロハンマが知られており、例えば、二軸バイブロハンマ、四軸バイブロハンマがある。
【0005】
図8(a)は、公知の二軸バイブロハンマ2の主要部を示す斜視図である。二軸バイブロハンマ2は、水平面上にて互いに平行な駆動軸14と従動軸15(便宜上、幾何学上の軸のみを図示)の2つの軸を有する。駆動軸14にはプーリ16が装着され、図示しない回転駆動手段により回転力が伝達され、回転駆動される。駆動軸14及び従動軸15にはそれぞれ、軸と共に回転するように固定された固定偏心重錘11と軸に固定されない可動偏心重錘12とが装着されている。よって、二軸バイブロハンマ2は、2対の固定・可動偏心重錘を備えている。さらに、二軸バイブロハンマ2には、駆動軸14の回転力を全ての偏心重錘11、12に伝達して同期回転させるために、4つのギア13が設けられている。
【0006】
固定偏心重錘11と可動偏心重錘12は、互いに一定の位相差を保持して同期回転する。よって、1つの軸についての偏心モーメントは、固定偏心重錘11と可動偏心重錘12の各偏心モーメントを加算したものとなり、さらに、二軸バイブロハンマ2の総合偏心モーメントは、2つの軸の各々の偏心モーメントを加算したものとなる。固定偏心重錘11と可動偏心重錘12の互いの回転位相差を調節することにより、二軸バイブロハンマ2の総合偏心モーメントすなわち振幅をゼロから最大まで増減することができる。
【0007】
図8(b)は、二軸バイブロハンマを複数台連動させる場合の連結方法の一例を示した概略平面図である。複数の二軸バイブロハンマ2を一列に並置し、隣り合う二軸バイブロハンマ2の従動軸15同士をユニバーサルジョイント又はタイヤカップリング等の連動具5により連結している。このような連動具5は、所定の範囲内の連結角度を許容しつつ回転力を伝達することができる。
【0008】
図9(a)は、公知の四軸バイブロハンマ4の主要部を示す斜視図である。四軸バイブロハンマ4は、上段には水平面上にて互いに平行な駆動軸14と従動軸15を有し、下段に水平面上にて互いに平行な2つの従動軸15を有する。四軸バイブロハンマ4は、4対の固定・可動偏心重錘と、8つのギア13を備えている。
【0009】
図9(b)は、四軸バイブロハンマを複数台連動させる場合の連結方法の一例を示した概略平面図である。便宜上、上段と下段を分離して図示している。複数の四軸バイブロハンマ4を一列に並置し、隣り合う四軸バイブロハンマ4の上段の従動軸同士及び下段の1つの従動軸同士をユニバーサルジョイント又はタイヤカップリング等の連動具5により連結している。
【0010】
図10(a)は、直径Dが約20mの鋼板セル200に取り付けた従来の打設装置100を模式的に示した平面図であり、図10(b)は概略正面図(点線囲み内を省略)である。この打設装置100は、鋼板セル200の上縁に沿った形状である環状のベース部材110と、ベース部材110の下面に取り付けられ鋼板セル200の上縁を把持するための把持装置111と、ベース部材110の上面に配置固定された12個のバイブロハンマとを備えている。各バイブロハンマは、例えば図8の二軸バイブロハンマ2又は図9の四軸バイブロハンマ4である。隣り合うバイブロハンマは、図8又は図9に示したように連動具5により連結されている。多数のユニバーサルジョイントを用いてバイブロハンマを環状に連結させる場合、個々の連結における回転伝達の進み遅れや角度誤差の蓄積による悪影響を低減するために、始点位置と終点位置は連結しない。複数のバイブロハンマ2、4は、各バイブロハンマの駆動軸に装着されたプーリ16を介して適宜の駆動手段(図示しない)により、連動させられる。
【0011】
ここで「連動」とは、同調運転を意味し、互いに連結された複数のバイブロハンマの各々の振動位相が一致していることをいう。
【0012】
なお、特許文献4〜6には、固定・可動偏心重錘の位相差を、運転を停止することなく連続的に変更させる自動制御可能な振幅可変器を具備するバイブロハンマが記載されている。特許文献4では、二軸バイブロハンマが、特許文献5では、四軸バイブロハンマが、それぞれ記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特公昭58−36126号公報
【特許文献2】特開昭59−41523号公報
【特許文献3】特公昭61−22692号公報
【特許文献4】特許第3731169号公報
【特許文献5】特開平9−3891号公報
【特許文献6】特開2002−66458号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
図10に示したような直径20m程度の大口径の杭では、複数のバイブロハンマをベース部材110上に環状に配置し連結することが可能である。一方、直径が3m未満の小口径の杭では、1台又は2台のバイブロハンマを用いる。2台のバイブロハンマを連動させる場合、ベース部材110上に2台のバイブロハンマを並設し、タイヤカップリング又はユニバーサルジョイントで連結することが可能である。
【0015】
ところが、直径3m〜20m程度の中程度の口径をもつ杭を打設する場合、汎用的なバイブロハンマを2台用いるだけでは十分な打設性能(振幅と振動加速度)が得られないことがある。1つの解決手段としては、打設性能の大きい大型のバイブロハンマを2台連結して連動させることが考えられるが、汎用性のないそのような大型のバイブロハンマは、製造及び搬送のコストが非常に大きくなるため、現実的ではない。
【0016】
そこで、汎用的なバイブロハンマの数を3台以上に増やして打設性能を高めることが考えられる。直径3m〜20m程度の口径から導出される設置面積及び打設力のバランスを考慮すれば、4台又は6台のバイブロハンマを用いることが最も適切である。例えば、4台又は6台のバイブロハンマをベース部材上に環状に配置し、適宜の連動具により連結し、連動させればよいことになる。しかしながら、中程度の口径から導出される設置面積内に4台又は6台のバイブロハンマを環状に配置した場合、従来の連動具(ユニバーサルジョイントやタイヤカップリング)の許容角度範囲内で隣り合うバイブロハンマを連結することは不可能であり、よって4台又は6台のバイブロハンマを図10のように環状に連結することはできない。
【0017】
以上の現状に鑑み、本発明は、直径3m〜20m程度の中程度の口径をもつ杭の打設のために、離間して配置された複数のバイブロハンマを連動させるための連動装置及び杭又は壁体の打設方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記の目的を達成するために、本発明は、以下の構成を提供する。括弧内の数字は、後述する図面の符号であり、参考のために付する。
本発明による、離間配置されたバイブロハンマの連動装置の第1の態様は、円筒形状の杭の略直径の両端に互いに離間して配置された第1バイブロハンマ(21)及び第2バイブロハンマ(22)と、第1の連動具(51)を介して前記第1バイブロハンマ(21)と連結された第3バイブロハンマ(23)と、第2の連動具(52)を介して前記第2バイブロハンマ(22)と連結された第4バイブロハンマ(24)とからなる少なくとも4台の二軸バイブロハンマ(21,22,23,24)を連動させるべく、前記杭の略直径方向に沿って配置されかつ前記第1バイブロハンマ(21)と前記第2バイブロハンマ(22)とを互いに連結する連動装置(6)であって、(a)一対の歯付きプーリ(61A,61B)及びこれらの間に架け渡された第1歯付きベルト(61C)を具備しかつ一方の歯付きプーリ(61A)が前記第1バイブロハンマ(21)の1つの軸と一体に回転するように設けられた第1歯付きベルト部(61)と、(b)別の一対の歯付きプーリ(62A,62B)及びこれらの間に架け渡された第2歯付きベルト(62C)を具備しかつ一方の歯付きプーリ(62A)が前記第2バイブロハンマ(22)の1つの軸と一体に回転するように設けられた第2歯付きベルト部(62)と、(c)前記第1歯付きベルト部(61)の他方の歯付きプーリ(61B)と前記第2歯付きベルト部(62)の他方の歯付きプーリ(62B)との間で回転を伝達する複数のギア(65A,65B)を具備する連動ギア部(65)と、を備えていることを特徴とする。
【0019】
上記第1の態様の連動装置において、前記第1歯付きベルト部(61)の他方の歯付きプーリ(61B)は、そのプーリ軸(61E)の一方の側に第3の連動具(53)を介して第5バイブロハンマ(25)を連結可能でありかつ他方の側に第4の連動具(54)を介して第6バイブロハンマ(26)を連結可能であることが、好適である。
【0020】
本発明による、離間配置されたバイブロハンマの連動装置の第2の態様は、円筒形状の杭の略直径の両端に互いに離間して配置された第1バイブロハンマ(41)及び第2バイブロハンマ(42)と、第1の連動具(51)を介して前記第1バイブロハンマ(41)と連結された第3バイブロハンマ(43)と、第2の連動具(52)を介して前記第2バイブロハンマ(42)と連結された第4バイブロハンマ(44)とからなる少なくとも4台の多軸バイブロハンマ(41,42,43,44)を連動させるために、前記杭の略直径方向に沿って配置されかつ前記第1バイブロハンマ(41)と前記第2バイブロハンマ(42)とを互いに連結する連動装置(7)であって、(a)前記多軸バイブロハンマ(41,42,43,44)の各々が、上下方向に少なくとも2段の複数段構造を有しかつ各段に1又は複数の軸が設けられており、前記連動装置(7)は前記多軸バイブロハンマと同じ数の段からなる複数段構造を備えており、前記連動装置(7)の各段において、(b)一対の歯付きプーリ(71A,71B)及びこれらの間に架け渡された第1歯付きベルト(71C)を具備しかつ一方の歯付きプーリ(71A)が前記第1バイブロハンマ(41)の1つの軸と一体に回転するように設けられた第1歯付きベルト部(71)と、(c)別の一対の歯付きプーリ(72A,72B)及びこれらの間に架け渡された第2歯付きベルト(72C)を具備しかつ一方の歯付きプーリ(72A)が前記第2バイブロハンマ(42)の1つの軸と一体に回転するように設けられた第2歯付きベルト部(72)と、(d)前記第1歯付きベルト部(71)の他方の歯付きプーリ(71B)と前記第2歯付きベルト部(72)の他方の歯付きプーリ(72B)との間で回転を伝達する複数のギア(75A,75B)を具備する連動ギア部(75)と、を備えていることを特徴とする。
【0021】
上記第2の態様の連動装置において、前記連動装置の各段においてさらに、前記第1歯付きベルト部(61)の他方の歯付きプーリ(61B)が、そのプーリ軸(71E)の一方の側に第3の連動具(53)を介して第5バイブロハンマ(45)を連結可能でありかつ他方の側に第4の連動具(54)を介して第6バイブロハンマ(46)を連結可能であることが、好適である。
【0022】
本発明による、杭又は壁体の打設方法は、上記各態様の連動装置により連動させられる複数のバイブロハンマを用いて杭又は壁体を打設することを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
本発明による、離間配置されたバイブロハンマの連動装置は、杭の略直径の両端に離間して配置された第1と第2のバイブロハンマを連動させるために、略直径方向に沿って配置される。第1バイブロハンマの軸と連動する第1の歯付きベルト部と、第2バイブロハンマの軸と連動する第2の歯付きベルト部と、第1と第2の歯付きベルト部の間に配置されて回転を伝達する連動ギア部とを備えている。これにより、杭の略直径の両端に離間して配置された2つのバイブロハンマを連動させることが可能である。さらに、第1及び第2のバイブロハンマの各々は、隣り合う別の1台のバイブロハンマと通常の連動具を介して連結され連動するので、結果的に4台のバイブロハンマを連動させることができる。この結果、4台のバイブロハンマを、バランスよく配置し安定に連動させることができる。
【0024】
歯付きベルトを用いることにより、滑りを生じることなく効率的に回転力を伝達できる。同時に、ベルトであるので、杭における多様な直径、すなわち多様な離間距離にも柔軟に対応することが可能となる。さらに、歯付きベルトを用いることにより衝撃を緩和できる。
【0025】
さらに、第1歯付きベルト部の1つのプーリ軸の両側に、通常の連動具を介して1台ずつバイブロハンマを連結し連動させることが可能であるので、合計で6台のバイブロハンマを連動させることができる。4台のバイブロハンマに追加される2台のバイブロハンマは、連動装置の両側に対称的に配置されるので安定に連動させることができる。
【0026】
本発明の連動装置により、中程度の直径をもつ円筒形状の杭を、汎用的な4台又は6台のバイブロハンマを用いて打込み又は引抜きすることが可能となる。例えば、中程度の直径をもつ長尺の杭を施工する場合にも、コストを増大させることなく十分な打込み又は引抜き性能を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明による複数のバイブロハンマの連動装置の一実施例を用いて、4台の二軸バイブロハンマを連結した状態を概略的に示す平面図である。
【図2】(a)は、図1に示した連動装置の拡大平面図であり、(b)は、図1のA矢視概略図である。
【図3】図2に示した連動装置の一実施例を用いて、6台の二軸バイブロハンマを連結した状態を概略的に示す平面図である。
【図4A】本発明による複数のバイブロハンマの連動装置の別の実施例を用いて、4台の四軸バイブロハンマを連結した上段の状態を概略的に示す平面図である。
【図4B】本発明による複数のバイブロハンマの連動装置の別の実施例を用いて、4台の四軸バイブロハンマを連結した下段の状態を概略的に示す平面図である。
【図5A】図4A及び図4Bに示した連動装置の拡大平面図である。
【図5B】図4A及び図4BのB矢視概略図である。
【図6A】図5A及び図5Bに示した連動装置の別の実施例を用いて、6台の四軸バイブロハンマを連結した上段の状態を概略的に示す平面図である。
【図6B】図5A及び図5Bに示した連動装置の別の実施例を用いて、6台の四軸バイブロハンマを連結した下段の状態を概略的に示す平面図である。
【図7】(a)(b)はそれぞれ、本発明による複数のバイブロハンマの連動装置のさらに別の実施例の概略的な側面図である。
【図8】(a)は、公知の二軸バイブロハンマの主要部を示す斜視図であり、(b)は、二軸バイブロハンマを複数台連動させる場合の連結方法の一例を示した概略平面図である。
【図9】(a)は、公知の四軸バイブロハンマの主要部を示す斜視図であり、(b)は、四軸バイブロハンマを複数台連動させる場合の連結方法の一例を示した概略平面図である。
【図10】(a)は、鋼板セルに取り付けた従来の打設装置を模式的に示した平面図であり、図10(b)は概略正面図(点線囲み内を省略)である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、実施例を示す図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
(1)4台の二軸バイブロハンマにおける連動装置の実施例
図1は、本発明による複数のバイブロハンマの連動装置の一実施例を用いて、4台の二軸バイブロハンマを連結した状態を概略的に示す平面図である。連動装置は、符号6で示す。各二軸バイブロハンマは、符号21、22、23、24で示す。
【0029】
なお、本発明による連動装置6を用いて連結された4台の二軸バイブロハンマを備えた打設装置は、杭又は壁体を打設するために、上述した図10(b)と同じ構成で設置される(後述する、連動装置の別の実施例についても同様)。図1に示す打設装置は、鋼板セル200の上縁に沿った形状であるベース部材110(この場合は円板状)と、ベース部材110の下面に取り付けられ鋼板セル200の上縁を把持するための把持装置(図示せず)と、ベース部材110の上面に配置固定され連動装置6により連結された4台の二軸バイブロハンマ21〜24とを備えている。
【0030】
連動装置6により直接連結される二軸バイブロハンマは、杭200の略直径Dの両端に配置された第1バイブロハンマ21と第2バイブロハンマ22である。「略直径」とは、1つの厳密な直径上に限定されず、1つの直径に平行な直径近傍の直線(円弧)上も含む意味である。連動装置6は、杭200の略直径D方向に沿って配置されている。第3バイブロハンマ23は、連動具(タイヤカップリング又はユニバーサルジョイント)51を介して周方向において隣り合う第1のバイブロハンマ21と連結されている。同様に第4バイブロハンマ24は、連動具52を介して周方向において隣り合う第2バイブロハンマ22と連結されている。4台の二軸バイブロハンマ21〜24及び連動装置6は、全ての回転軸が互いに平行となるように配置されている。このような配置及び連結により、4台の二軸バイブロハンマ21〜24を連動させることができる。
【0031】
なお、連動具51、52により隣り合う2台のバイブロハンマを連結する場合、一方を右配置(図中、Rで示す)としたならば、他方は左配置(図中、Lで示す)として、一方の駆動軸14と他方の従動軸15を連結する。なお、右配置Rと左配置Lのバイブロハンマは、駆動プーリ16の取付位置が水平面内で互いに180°回転した構成となっているが機能的には同じものである。2台のバイブロハンマを連結する場合、タイヤカップリングが好適である。
【0032】
連動装置6の説明に先立って、図1を参照し、二軸バイブロハンマ21〜24について説明する。各二軸バイブロハンマ21〜24は、ケース19内に水平方向に離間した互いに平行な駆動軸14と従動軸15とがそれぞれ架設され、これらの軸はベアリングによりそれぞれ軸支されている。
【0033】
駆動軸14には、一対の固定偏心重錘11及び可動偏心重錘12が装着されている。固定偏心重錘11は、駆動軸14と一体的に回転するように駆動軸14に固着されている。可動偏心重錘12は、駆動軸14に対して回転自在であるようにベアリングを介して軸着されている。
【0034】
駆動軸14の一端は、ケース19の外部に突出し、外部突出部分には駆動プーリ16が取り付けられ、図示しないモータ等の回転駆動手段の回転力が駆動プーリ16を介して伝達され、回転駆動される。駆動軸14の振動数はモータ等により制御される。
【0035】
従動軸15には、別の一対の固定偏心重錘11及び可動偏心重錘12が、同様に装着されている。
【0036】
本実施例では、従動軸15の一端における外部突出部分に、振幅可変器17が取り付けられている。振幅可変器17は、固定偏心重錘11と可動偏心重錘12との回転位相差を変更し、一定の位相差に保持する機能を有する。振幅可変器17は、ケース19外部から例えば油圧制御されることにより、可動偏心重錘12を固定偏心重錘11に対して相対的に回動させ、又は、相対的に停止した状態に保持する。
【0037】
このような振幅可変器17の具体的構成は、例えば、特許文献4〜6に開示されており公知である。振幅可変器17は、固定偏心重錘11と可動偏心重錘12の回転中にも、これらの間の位相差を変更することが可能である。
【0038】
なお、本発明による連動装置は、振幅可変器を備えていないバイブロハンマに対しても適用可能である。
【0039】
2対の固定偏心重錘11及び可動偏心重錘12の全てを同期回転させるための4つのギア13が設けられている。駆動プーリ16を介して駆動軸14に伝達された回転力は、駆動軸14上のギア13から従動軸15上の可動偏心重錘12上のギア13へ伝達される。一方、駆動軸14に伝達された回転力はまた、振幅可変器17を介して駆動軸14上の可動偏心重錘12へ伝達され、駆動軸14上の可動偏心重錘12のギア13から従動軸15上のギア13へ伝達され、従動軸15上の固定偏心重錘11に伝達される。ギア13は、振幅可変器17による位相差変更を、全ての可動偏心重錘12に伝達する役割も果たす。
【0040】
第1バイブロハンマ21の駆動軸14の他端及び第2バイブロハンマ22の従動軸15の他端が、それぞれケースの外部に突出し、連動装置6と連結される。
【0041】
図2(a)は、図1に示した連動装置6の拡大平面図(図1に示したものを反時計回りに90度回転して示している)であり、図2(b)は、図1のA矢視概略図であり、連動装置6の主要部を示した側面図とも云える。図2(b)中には、各軸及び各ベルトの回転方向を黒矢印で示している。
【0042】
連動装置6の主要部は、第1歯付きベルト部61と、第2歯付きベルト部62と、これらの間の連動ギア部65とからなる。第1歯付きベルト部61は、図1の第1バイブロハンマ21の駆動軸14と連動する。第2歯付きベルト部62は、図1の第2バイブロハンマ22の従動軸15と連動する。歯付きベルトと歯付きプーリの組合せにより、滑りなく効率的に回転力を伝達できるとともに、歯付きプーリ間の距離を自在に設定できる。これにより、杭の多様な口径に対応可能となる。
【0043】
第1歯付きベルト部61は、一対の歯付きプーリ61A、61B及びこれらの間に架け渡された第1歯付きベルト61Cを具備する。連動装置6の一端に位置する一方の歯付きプーリ61Aのプーリ軸61Dが、図1の第1バイブロハンマ21の駆動軸14の延長部分に接続されている。従って、歯付きプーリ61Aは、第1バイブロハンマ21の駆動軸14と一体に回転する。
【0044】
第2歯付きベルト部62は、一対の歯付きプーリ62A、62B及びこれらの間に架け渡された第2歯付きベルト62Cを具備する。連動装置6の他端に位置する一方の歯付きプーリ62Aのプーリ軸62Dが、図1の第2バイブロハンマ22の従動軸15の延長部分に接続されている。従って、歯付きプーリ62Aは、第2バイブロハンマ22の従動軸15と一体に回転する。
【0045】
連動ギア部65は、第1歯付きベルト部61と、第2歯付きベルト部62の間に設けられ、互いに噛合する2つのギア65A及び65Bを具備する。これらのギア65A及び65Bは、適宜のケース66内に収容され、ケース壁に設けたベアリングにより軸支されている。一方のギア65Aは、第1歯付きベルト部61の他方の歯付きプーリ61Bのプーリ軸61Eと同軸であり一体に回転する。他方のギア65Bは、第2歯付きベルト部62の他方の歯付きプーリ62Bのプーリ軸62Eと同軸であり一体に回転する。連動ギア部65により、第1歯付きベルト部61と第2歯付きベルト部62の間で回転力が伝達される。
【0046】
ケース66の長手方向の一端から延在する支持部61Gの先端に取り付けられたテンションプーリ61Fは、第1歯付きベルト61Cが弛まないように押圧する。同様に、ケース66の長手方向の他端から延在する支持部62Gの先端に取り付けられたテンションプーリ62Fは、第2歯付きベルト62Cが弛まないように押圧する。
【0047】
(2)6台の二軸バイブロハンマにおける連動装置の実施例
図3は、図2に示した連動装置6を用いて、6台の二軸バイブロハンマを連結した状態を概略的に示す平面図である。第1歯付きベルト部61の他方の歯付きプーリ61Bのプーリ軸61Eの一方の側に、第3の連動具53を介して第5バイブロハンマ25の従動軸15を連結している。さらに、プーリ軸61Eの他方の側には、第4の連動具54を介して第6バイブロハンマ26の駆動軸14を連結している。
【0048】
これらの第5バイブロハンマ25及び第6バイブロハンマ26は、連動装置6の長手方向と直交するように杭200の略直径の両端に配置されている。このように、二対の互いに連結されたバイブロハンマ21と22及び25と26が、杭200における直交する2つの略直径の各端部に配置されるので、バランスがよく安定した連動が実現できる。6台の二軸バイブロハンマ21〜26及び連動装置6は、全ての回転軸が互いに平行となるように配置されている。このような配置及び連結により、6台の二軸バイブロハンマ21〜26を連動させることができる。
【0049】
(3)4台の四軸バイブロハンマにおける連動装置の実施例
図4A及び図4Bは、本発明による複数のバイブロハンマの連動装置の別の実施例を用いて、4台の四軸バイブロハンマを連結した状態を概略的に示す平面図である。連動装置は、符号7で示す。各四軸バイブロハンマは、符号41、42、43、44で示す。図9で述べた通り、四軸バイブロハンマは、駆動軸と従動軸を具備する上段と、2つの従動軸を具備する下段とから構成されている。図示の便宜上、図4Aに上段の構成を、図4Bに下段の構成をそれぞれ示すが、四軸バイブロハンマの上段と下段はギアを介して連動する。
【0050】
連動装置7により直接連結される四軸バイブロハンマは、2点破線で示す杭200の略直径Dの両端に配置された第1バイブロハンマ41と第2バイブロハンマ42である。連動装置7は、杭200の略直径D方向に沿って配置されている。第3バイブロハンマ43は、上段及び下段の各々における連動具(タイヤカップリング又はユニバーサルジョイント)51、53を介して周方向において隣り合う第1のバイブロハンマ41と連結されている。同様に第4バイブロハンマ44は、上段及び下段の各々における連動具52、54を介して周方向において隣り合う第2バイブロハンマ42と連結されている。4台の四軸バイブロハンマ41〜44及び連動装置7は、全ての回転軸が互いに平行となるように配置されている。このような配置及び連結により、4台の四軸バイブロハンマ41〜44を連動させることができる。
【0051】
図4A及び図4Bに示すように、四軸バイブロハンマ41、42の上段及び下段がそれぞれ連動装置7の上段及び下段により連結されている。連動装置7は、四軸バイブロハンマと同じ上下2段構造を備えている。
【0052】
連動装置7の説明に先立って、図4A及び図4Bを参照し、四軸バイブロハンマ41〜44について説明する。各四軸バイブロハンマ41〜44は、ケース19内の上段に水平方向に離間した互いに平行な駆動軸14と従動軸15とがそれぞれ架設され、ベアリングによりそれぞれ軸支されている。下段については、水平方向に離間した互いに平行な2つの従動軸15が架設され、ベアリングによりそれぞれ軸支されている。
【0053】
上段においては、駆動軸14に一対の固定偏心重錘11及び可動偏心重錘12が装着されている。固定偏心重錘11は、駆動軸14と一体的に回転するように駆動軸14に固着されている。可動偏心重錘12は、駆動軸14に対して回転自在であるようにベアリングを介して軸着されている。駆動軸14の一端は、ケース19の外部に突出し、外部突出部分には駆動プーリ16が取り付けられ、図示しないモータ等の回転駆動手段の回転力が駆動プーリ16を介して伝達され、回転駆動される。駆動軸14の振動数はモータ等により制御される。従動軸15には、別の一対の固定偏心重錘11及び可動偏心重錘12が、同様に装着されている。本実施例では、従動軸15の一端における外部突出部分に、振幅可変器17が取り付けられている。
【0054】
また上段においては、第1バイブロハンマ41の駆動軸14の他端及び第2バイブロハンマ42の従動軸15の他端が、それぞれケースの外部に突出し、連動装置7と連結される。
【0055】
下段においては、各従動軸15に一対の固定偏心重錘11及び可動偏心重錘12が装着されている。一方の従動軸15の一端は、ケース19の外部に突出し、外部突出部分には振幅可変器17が取り付けられている。
【0056】
また下段においては、第1バイブロハンマ41の一方の従動軸15の他端及び第2バイブロハンマ42の他方の従動軸15の他端が、それぞれケースの外部に突出し、連動装置7と連結される。
【0057】
4対の固定偏心重錘11及び可動偏心重錘12の全てを同期回転させるために、上段4つ下段4つの合計8つのギア13が設けられている。ギア13は、振幅可変器17による位相差変更を、全ての可動偏心重錘12に伝達する役割も果たす。
【0058】
図5Aは、図4A及び図4Bに示した連動装置7の拡大平面図(図4A及び図4Bに示したものを反時計回りに90度回転して示している)であり、図5Bは、図4A及び図4BのB矢視概略図である。なお、連動装置7は上段と下段の2段構造を有するが、図5Aの拡大平面図では、下段は上段と重なって不可視となるため、上段のみが現れている。
【0059】
図5Aに示すように、連動装置7の上段の主要部は、第1歯付きベルト部71と、第2歯付きベルト部72と、これらの間の連動ギア部75とからなる。第1歯付きベルト部71は、図4Aの第1バイブロハンマ41の上段の駆動軸14と連動する。第2歯付きベルト部72は、図4Aの第2バイブロハンマ42の上段の従動軸15と連動する。歯付きベルトと歯付きプーリの組合せにより、滑りなく効率的に回転力を伝達できるとともに、歯付きプーリ間の距離を自在に設定できる。
【0060】
図5Aに現れている上段の第1歯付きベルト部71は、一対の歯付きプーリ71A、71B及びこれらの間に架け渡された第1歯付きベルト71Cを具備する。連動装置7の一端に位置する一方の歯付きプーリ71Aのプーリ軸71Dが、図4Aの第1バイブロハンマ41の上段の駆動軸14の延長部分に接続されている。従って、歯付きプーリ71Aは、第1バイブロハンマ41の上段の駆動軸14と一体に回転する。
【0061】
図5Aに現れている上段の第2歯付きベルト部72は、一対の歯付きプーリ72A、72B及びこれらの間に架け渡された第2歯付きベルト72Cを具備する。連動装置7の他端に位置する一方の歯付きプーリ72Aのプーリ軸72Dが、図4Aの第2バイブロハンマ42の上段の1つの従動軸15の延長部分に接続されている。従って、歯付きプーリ72Aは、第2バイブロハンマ42の上段の1つの従動軸15と一体に回転する。
【0062】
上段の連動ギア部75は、第1歯付きベルト部71と、第2歯付きベルト部72の間に設けられ、互いに噛合する2つのギア75A及び75Bを具備する。これらのギア75A及び75Bは、適宜のケース79内に収容され、ケース壁に設けたベアリングにより軸支されている。一方のギア75Aは、第1歯付きベルト部71の他方の歯付きプーリ71Bのプーリ軸71Eと同軸であり一体に回転する。他方のギア75Bは、第2歯付きベルト部72の他方の歯付きプーリ72Bのプーリ軸72Eと同軸であり一体に回転する。連動ギア部75により、第1歯付きベルト部71と第2歯付きベルト部72の間で回転力が伝達される。
【0063】
ケース79の長手方向の一端から延在する支持部71Gの先端に取り付けられたテンションプーリ71Fは、第1歯付きベルト71Cが弛まないように押圧する。同様に、ケース79の長手方向の他端から延在する支持部72Gの先端に取り付けられたテンションプーリ72Fは、第2歯付きベルト72Cが弛まないように押圧する。
【0064】
図5BのB矢視概略図は、連動装置7の主要部を示した側面図とも云える。上段については、図5Aで説明した通りである。下段についても上段と同様の構成を有している。図5B中には、各軸及び各ベルトの回転方向を黒矢印で示している。
【0065】
連動装置7の下段の主要部は、第3歯付きベルト部73と、第4歯付きベルト部74と、これらの間の連動ギア部76とからなる。第3歯付きベルト部73は、図4Bの第1バイブロハンマ41の下段の1つの従動15と連動する。第4歯付きベルト部74は、図4Bの第2バイブロハンマ42の下段の1つの従動軸15と連動する。
【0066】
図5Bにおける下段の第3歯付きベルト部73は、一対の歯付きプーリ73A、73B及びこれらの間に架け渡された第3歯付きベルト73Cを具備する。連動装置7の一端に位置する一方の歯付きプーリ73Aのプーリ軸73Dが、図4Bの第1バイブロハンマ41の下段の1つの従動軸15の延長部分に接続されている。従って、歯付きプーリ73Aは、第1バイブロハンマ41の下段の1つの従動軸15と一体に回転する。
【0067】
図5Bにおける下段の第4歯付きベルト部74は、一対の歯付きプーリ74A、74B及びこれらの間に架け渡された第4歯付きベルト74Cを具備する。連動装置7の他端に位置する一方の歯付きプーリ74Aのプーリ軸74Dが、図4Bの第2バイブロハンマ42の下段の1つの従動軸15の延長部分に接続されている。従って、歯付きプーリ74Aは、第2バイブロハンマ42の下段の1つの従動軸15と一体に回転する。
【0068】
下段の連動ギア部76は、第3歯付きベルト部73と、第4歯付きベルト部74の間に設けられ、互いに噛合する2つのギア76A及び76Bを具備する。これらのギア76A及び76Bは、図5Aに示したケース79内に収容され、ケース壁に設けたベアリングにより軸支されている。一方のギア76Aは、第3歯付きベルト部73の他方の歯付きプーリ73Bのプーリ軸73Eと同軸であり一体に回転する。他方のギア76Bは、第4歯付きベルト部74の他方の歯付きプーリ74Bのプーリ軸74Eと同軸であり一体に回転する。連動ギア部76により、第3歯付きベルト部73と第4歯付きベルト部74の間で回転力が伝達される。
【0069】
上段の連動ギア部75のギア75A、75Bの各々と、直下に位置する下段の連動ギア部76のギア76A、76Bの各々とは、噛合していない。これは、本実施例のバイブロハンマが各段に振幅可変器17を備えているため、連動装置7における上段と下段のギアを噛合させないことが好ましいためである。
【0070】
なお、振幅可変器を備えていないバイブロハンマに対して連動装置7を適用する場合は、上段の連動ギア部75のギアと、下段の連動ギア部76のギアとを噛合させてもよい。
【0071】
(4)6台の四軸バイブロハンマにおける連動装置の実施例
図6A及び図6Bは、図5A及び図5Bに示した連動装置7を用いて、6台の四軸バイブロハンマを連結した状態を概略的に示す平面図である。図6Aに示す上段では、第1歯付きベルト部71の他方の歯付きプーリ71Bのプーリ軸71Eの一方の側に、第5の連動具55を介して第5バイブロハンマ45の上段の従動軸15を連結している。さらに、プーリ軸71Eの他方の側には、第6の連動具56を介して第6バイブロハンマ46の駆動軸14を連結している。また、図6Bに示す下段では、第3歯付きベルト部73の他方の歯付きプーリ73Bのプーリ軸73Eの一方の側に、第7の連動具57を介して第5バイブロハンマ45の下段の1つの従動軸15を連結している。さらに、プーリ軸73Eの他方の側には、第8の連動具58を介して第6バイブロハンマ46の下段の1つの従動軸15を連結ている。
【0072】
これらの第5バイブロハンマ45及び第6バイブロハンマ46は、連動装置7の長手方向と直交するように杭200の略直径の両端に配置されている。このように、二対の互いに連結されたバイブロハンマ41と42及び45と46が、杭200における直交する2つの直径の各端部に配置されるので、バランスがよく安定した連動が実現できる。6台の二軸バイブロハンマ41〜46及び連動装置7は、全ての回転軸が互いに平行となるように配置されている。このような配置及び連結により、6台の四軸バイブロハンマ41〜46を連動させることができる。
【0073】
(5)多軸バイブロハンマの連動装置の実施例
図示しないが、四軸以上の、又は、3段以上の構成をもつ多軸バイブロハンマについても、上述の四軸バイブロハンマの実施例と同様の形態で、本発明の連動装置により連結することが可能である。このような多軸バイブロハンマは、複数段構造を備え、1つの駆動軸と複数の従動軸を有する。その場合、杭の略直径の両端に配置された2台の多軸バイブロハンマを連結する連動装置は、多軸バイブロハンマと同じ数の段からなる複数段構造を備え、連動装置の各段が2台の多軸バイブロハンマの各段同士を連結する。
【0074】
一般的に、各段に振幅可変器を備えた複数段構造を有するバイブロハンマに対して本発明の連動装置を適用する場合は、連動装置における上下に隣り合う段のギアを噛合させない。一方、振幅可変器を備えない複数段構造を有するバイブロハンマに対して本発明の連動装置を適用する場合は、連動装置の上下に隣り合う段のギアを噛合させてもよい。
【0075】
(6)その他の連動装置の実施例
図7は、本発明の連動装置のさらに別の実施例を概略的に示す、図2(b)及び図5Bと同様に連動装置の主要部を示した側面図である。図7(a)は、例えば二軸バイブロハンマのような1段構成のバイブロハンマを連結する連動装置8であり、図7(b)は、例えば四軸バイブロハンマのような2段構成のバイブロハンマを連結する連動装置9である。図中、各軸の回転方向を黒矢印で示している。
【0076】
図7の連動装置8、9では、上述の実施例におけるプーリとベルトに替えて、ギアのみにより回転力を伝達している。
【0077】
図7(a)の連動装置8では、第1ギア部81が3つの直列に配置されたギア81A、81B、81Cを具備し、ギア81Aの軸81Dが、一方の二軸バイブロハンマの軸と同軸上に位置して接続される。第2ギア部82もまた3つの直列に配置されたギア82A、82B、82Cを具備し、ギア82Aの軸82Dが、他方の二軸バイブロハンマの軸と同軸上に位置して接続される。第1ギア部81のギア81Cと第2ギア部82のギア82Cは噛合し、回転力を伝達する。
【0078】
図7(b)の連動装置9では、上段の第1ギア部91が3つの直列に配置されたギア91A、91B、91Cを具備し、ギア91Aの軸91Dが、一方の四軸バイブロハンマの上段の軸と同軸上に位置して接続される。上段の第2ギア部92もまた3つの直列に配置されたギア92A、92B、92Cを具備し、ギア92Aの軸92Dが、他方の四軸バイブロハンマの上段の軸と同軸上に位置して接続される。第1ギア部91と第2ギア部92の間に設けられ2つのギア95A及び95Bを具備する上段の連動ギア部95が、これらの間で回転力を伝達する。同様に、下段にも第3ギア部93、第4ギア部94及び連動ギア部96が設けられる。図示の例(バイブロハンマが振幅可変器を備える場合)では、連動ギア部95と96の各ギアは、上下方向において噛合しないが、別の例(バイブロハンマが振幅可変器を備えない場合)では噛合させてもよい。
【0079】
図7の実施例において、直列に配置されるギアの数は、両端に位置する各ギアの回転方向が、連結する各バイブロハンマの軸の回転方向と一致するように設定される。また、ギアの数及び直径は、連結する2台のバイブロハンマ間の距離に応じて設定される。なお、ギアのみを用いる場合、上述の実施例のプーリとベルトを用いる場合に比べて2台のバイブロハンマ間の距離の変更に対する許容度は小さくなる。
【0080】
(7)杭又は壁体の打設方法
本発明の連動装置を用いて連動させられる4台又は6台のバイブロハンマにより、中程度の直径をもつ円筒形状の杭又は壁体を打設することができる。同様に、引き抜きも可能である。各バイブロハンマとして、汎用的な大きさ及び性能のものを適用できる。
【符号の説明】
【0081】
2、21、22、23、24、25、26:二軸バイブロハンマ
4、41、42、43、44、45、46:四軸バイブロハンマ
5、51、52、53、54、55、56、57、58:連動具
6、7、8、9:連動装置
61A、62A、71A、72A、73A、74A:歯付きプーリ
61B、62B、71B、72B、73B、74B:歯付きプーリ
61C、71C、73C:第1歯付きベルト
62C、72C、74C:第2歯付きベルト
61D、62D、71D、72D、73D、74D:プーリ軸
61E、62E、71E、72E、73E、74E:プーリ軸
65A、65B、75A、75B、76A、76B:連動ギア
61F、62F、71F、72F、73F、74F:テンションプーリ
61G、62G、71G、72G:支持部
66、79 連動装置ケース
11:固定偏心重錘
12:可動偏心重錘
13:ギア
14:駆動軸
15:従動軸
16:駆動プーリ
17:振幅可変器
19:ケース
100:打設装置
110:ベース部材
111:把持装置
200:杭

【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒形状の杭の略直径の両端に互いに離間して配置された第1バイブロハンマ(21)及び第2バイブロハンマ(22)と、第1の連動具(51)を介して前記第1バイブロハンマ(21)と連結された第3バイブロハンマ(23)と、第2の連動具(52)を介して前記第2バイブロハンマ(22)と連結された第4バイブロハンマ(24)とからなる少なくとも4台の二軸バイブロハンマ(21,22,23,24)を連動させるべく、前記杭の略直径方向に沿って配置されかつ前記第1バイブロハンマ(21)と前記第2バイブロハンマ(22)とを互いに連結する連動装置(6)であって、
(a)一対の歯付きプーリ(61A,61B)及びこれらの間に架け渡された第1歯付きベルト(61C)を具備しかつ一方の歯付きプーリ(61A)が前記第1バイブロハンマ(21)の1つの軸と一体に回転するように設けられた第1歯付きベルト部(61)と、
(b)別の一対の歯付きプーリ(62A,62B)及びこれらの間に架け渡された第2歯付きベルト(62C)を具備しかつ一方の歯付きプーリ(62A)が前記第2バイブロハンマ(22)の1つの軸と一体に回転するように設けられた第2歯付きベルト部(62)と、
(c)前記第1歯付きベルト部(61)の他方の歯付きプーリ(61B)と前記第2歯付きベルト部(62)の他方の歯付きプーリ(62B)との間で回転を伝達する複数のギア(65A,65B)を具備する連動ギア部(65)と、を備えていることを特徴とする
離間配置されたバイブロハンマの連動装置。
【請求項2】
前記第1歯付きベルト部(61)の他方の歯付きプーリ(61B)は、そのプーリ軸(61E)の一方の側に第3の連動具(53)を介して第5バイブロハンマ(25)を連結可能でありかつ他方の側に第4の連動具(54)を介して第6バイブロハンマ(26)を連結可能である、
請求項1に記載の離間されたバイブロハンマの連動装置。
【請求項3】
円筒形状の杭の略直径の両端に互いに離間して配置された第1バイブロハンマ(41)及び第2バイブロハンマ(42)と、第1の連動具(51)を介して前記第1バイブロハンマ(41)と連結された第3バイブロハンマ(43)と、第2の連動具(52)を介して前記第2バイブロハンマ(42)と連結された第4バイブロハンマ(44)とからなる少なくとも4台の多軸バイブロハンマ(41,42,43,44)を連動させるために、前記杭の略直径方向に沿って配置されかつ前記第1バイブロハンマ(41)と前記第2バイブロハンマ(42)とを互いに連結する連動装置(7)であって、
(a)前記多軸バイブロハンマ(41,42,43,44)の各々が、上下方向に少なくとも2段の複数段構造を有しかつ各段に1又は複数の軸が設けられており、前記連動装置(7)は前記多軸バイブロハンマと同じ数の段からなる複数段構造を備えており、
前記連動装置(7)の各段において、
(b)一対の歯付きプーリ(71A,71B)及びこれらの間に架け渡された第1歯付きベルト(71C)を具備しかつ一方の歯付きプーリ(71A)が前記第1バイブロハンマ(41)の1つの軸と一体に回転するように設けられた第1歯付きベルト部(71)と、
(c)別の一対の歯付きプーリ(72A,72B)及びこれらの間に架け渡された第2歯付きベルト(72C)を具備しかつ一方の歯付きプーリ(72A)が前記第2バイブロハンマ(42)の1つの軸と一体に回転するように設けられた第2歯付きベルト部(72)と、
(d)前記第1歯付きベルト部(71)の他方の歯付きプーリ(71B)と前記第2歯付きベルト部(72)の他方の歯付きプーリ(72B)との間で回転を伝達する複数のギア(75A,75B)を具備する連動ギア部(75)と、を備えていることを特徴とする
離間配置されたバイブロハンマの連動装置。
【請求項4】
前記連動装置の各段においてさらに、
前記第1歯付きベルト部(61)の他方の歯付きプーリ(61B)が、そのプーリ軸(71E)の一方の側に第3の連動具(53)を介して第5バイブロハンマ(45)を連結可能でありかつ他方の側に第4の連動具(54)を介して第6バイブロハンマ(46)を連結可能である、
請求項3に記載の離間配置されたバイブロハンマの連動装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の、離間配置されたバイブロハンマの連動装置により連動させられる複数のバイブロハンマを用いて杭又は壁体を打設することを特徴とする杭又は壁体の打設方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−237174(P2012−237174A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−108310(P2011−108310)
【出願日】平成23年5月13日(2011.5.13)
【出願人】(391002122)調和工業株式会社 (43)
【Fターム(参考)】