説明

難分解性有機化合物の酸化分解装置

【課題】第1に、処理設備,能力,時間,コスト等に優れると共に、第2に、難分解性の有機化合物を、迅速かつ確実に酸化,分解することができる、難分解性有機化合物の酸化分解装置を提案する。
【解決手段】この酸化分解装置13は、供給槽14と浄化装置15とを有している。そして供給槽14は、難分解性の有機化合物1を含有した排水2が、供給されると共に貯留され、含有された有機化合物1の上下濃度変化に基づき、排水2が比重により上下に層別される。浄化装置15は、供給槽14から廃棄不能な程度の濃度に有機化合物1を含有した層の排水2が供給されると共に、光触媒21と紫外線照射手段22とを備えており、予め排水2中に、オゾンや過酸化水素が溶解されている。そして、紫外線の照射により生成されたOHラジカルにより、排水2に含有された有機化合物1を酸化,分解する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、難分解性有機化合物の酸化分解装置に関する。すなわち、排水中に含有された難分解性の有機化合物の酸化分解装置に、関するものである。
【背景技術】
【0002】
《従来技術1について》
図4は、この種従来例のシステム全体の構成説明図である。同図にも示したように、化学的処理工程設備から排出され、例えば溶剤として使用された難分解性の有機化合物1を含有した排水2は、通常そのまま生物処理等されていた。
例えば、モノクロロベンゼンCB,メチルイソブチルケトンMIBK,ベンジルアルコールBA,イソプロピルアルコールIPA,ジメチルホルムアミドDMF等の難分解性の有機化合物1を含有した大量の排水2は、従来一般的に、タンクローリ3等にて一般貯蔵所へと運搬され、もって生物処理等により浄化,廃棄されていた。
図4の例では、化学的処理工程設備から排出され、難分解性の有機化合物1を含有した排ガス4は、フィルタ5,送風機6を経由して、吸着槽7へと供給される。そして吸着槽7では、このような排ガス4を吸着した後、供給されるスチーム8やコンデンサ9にて排水2化され、もって排水2が、分離槽10を介し大型のタンク11に一旦貯留される。
そして、この難分解性の有機化合物1を含有した排水2は、タンク11からポンプ12を介しタンクローリ3に積込まれて、一般的に遠隔地に設けられている広い一般貯蔵所へと運搬され、もって、例えば活性汚泥法等にて生物処理されていた。
【0003】
《従来技術2について》
なお、このような図4の一般例によらず、難分解性の有機化合物1を含有した排水2を、化学的処理工程設備の現場で、つまり一般貯蔵所へと運搬することなく排出現場で、分解,廃棄せんとすることも試みられていた。
代表的にはオゾンOを使用して、排水2に含有された難分解性の有機化合物1を酸化,分解させ、もって炭酸ガスCOや水HO等に分解,浄化させ、その場で一般廃水せんとする試みも、研究,テストされていた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、このような従来技術については、次の問題が指摘されていた。
《第1の問題点について》
第1に、前記従来技術1については、処理設備,処理能力,処理時間,処理コスト等に、問題が指摘されていた。
すなわち、一般貯蔵所へと運搬して生物処理する図4の従来技術1については、まず、分離槽10,一旦貯留用の大型タンク11,運搬用のタンクローリ3,生物処理用の一般貯蔵所、等々の大型処理設備を要する、という問題が指摘されていた。更に、これらの処理設備については、浄化処理能力に自ずから限界があり、全体処理に長期日数を要し時間がかかり、処理コストもかさむ、等々の問題が指摘されていた。
【0005】
《第2の問題点について》
第2に、前記従来技術2については、難分解性の有機化合物1の酸化,分解が非常に遅く、分解反応が先へ進まず、不完全,不確実のままで止まり易い、という問題が指摘されていた。
すなわち、オゾンOによるメチルイソブチルケトンMIBK,イソプロピルアルコールIPA,ジメチルホルムアミドDMF等のオレフィン系化合物やパラフィン系化合物等、鎖状炭化水素の分解は、オゾニドozonide段階までに止まっていた。つまり、オゾニドを形成して結合を切り、アルデヒド類段階までは進むが、その先の分解反応へは、極めて時間を要し進みにくかった。
又、オゾンOによるモノクロロベンゼンCB,ベンジルアルコールBA等の芳香環を持った環状炭化水素,その他の環状炭化水素の分解は、グリオキサールglyoxal(CHO−CHO)段階までに止まっていた。つまり、進んでもせいぜいグリオキサールを含むアルデヒド類レベルまでであり、その先の分解反応へは、極めて時間を要し進みにくかった。
このように、排出現場で浄化して一般廃水せんとする試みは、難分解性の有機化合物1の酸化,分解が、工業的許容時間内では実現困難であり、実用化に至っていなかった。
【0006】
《本発明について》
本発明の難分解性有機化合物の酸化分解装置は、このような実情に鑑み、上記従来技術の課題を解決すべく、発明者の鋭意研究努力の結果なされたものである。
そして、排水をまず供給槽にて、難分解性の有機化合物の濃度変化に基づき層別してから、層別に対応した浄化装置にて、難分解性の有機化合物を酸化,分解すること、を特徴とする。この浄化装置は、光触媒と紫外線照射手段を備えると共に、適宜、予めオゾンや過酸化水素が導入される。
もって本発明は、第1に、処理設備,能力,時間,コスト等に優れると共に、第2に、難分解性の有機化合物を、迅速かつ確実に酸化,分解することができる、難分解性有機化合物の酸化分解装置を提案すること、を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
《各請求項について》
このような課題を解決する本発明の技術的手段は、次のとおりである。まず、請求項1については次のとおり。
請求項1の酸化分解装置は、排水中に含有された難分解性の有機化合物の酸化分解装置であって、供給槽と浄化装置とを有している。
そして該供給槽は、該排水が供給されると共に貯留され、含有された該有機化合物の上下濃度変化に基づき、該排水が比重により上下に層別される。該浄化装置は、該供給槽から、廃棄不能な程度の濃度に該有機化合物を含有した層の該排水が供給されると共に、光触媒と紫外線照射手段とを備えており、該有機化合物を酸化,分解すること、を特徴とする。
請求項2については次のとおり。請求項2の酸化分解装置は、請求項1において、該供給槽に供給される該排水は、該有機化合物を含有した排ガスが、水に混入されたものよりなる。又、該有機化合物は、パラフィン系化合物,オレフィン系化合物,その他の鎖状炭化水素や、芳香環を持った環状炭化水素,その他の環状炭化水素よりなること、を特徴とする。
【0008】
請求項3については次のとおり。請求項3の酸化分解装置は、請求項2において、該浄化装置は、該供給槽にて該有機化合物の濃度に基づき層別された該排水の層に対応して、個別に設けられている。
そして、有機化合物層の該排水用や、エマルジョン層の該排水用の該浄化装置は、予めオゾンや過酸化水素が該排水に溶解されると共に、該紫外線照射手段が240nm〜280nmの中波長紫外線を照射する。もって該浄化装置は、該光触媒および該オゾンや過酸化水素にて生成されたOHラジカルにより、該有機化合物を酸化,分解すること、を特徴とする。
請求項4については次のとおり。請求項4の酸化分解装置は、請求項3において、該排水は、該浄化装置の前に付設されたフィルタを介して、該浄化装置に供給される。又、該オゾンや過酸化水素は、該浄化装置の前に付設された圧入手段,噴霧手段,ベンチュリー手段,その他の導入手段を利用して、該排水に溶解されること、を特徴とする。
請求項5については次のとおり。請求項5の酸化分解装置は、請求項3において、水溶液層の該排水用の該浄化装置は、該紫外線照射手段が240nm〜280nmの中波長紫外線を照射するものと、該紫外線照射手段が310nm〜390nmの長波長紫外線を照射するものとが、併用されている。もって該浄化装置は、該光触媒にて生成されたOHラジカルにより、該有機化合物を酸化,分解すること、を特徴とする。
【0009】
請求項6については次のとおり。請求項6の酸化分解装置は、請求項5において、各該浄化装置から排出された該排水は、該有機化合物の濃度が高いものが該供給槽へと戻されると共に、濃度が低い残部が第2浄化装置へと供給される。
該第2浄化装置は、光触媒と紫外線照射手段とを備えている。そして、該紫外線照射手段が240nm〜280nmの中波長紫外線を照射するものや、該紫外線照射手段が310nm〜390nmの長波長紫外線を照射するものが使用されており、更に適宜必要に応じ、予めオゾンや過酸化水素が該排水に溶解される。もって生成されたOHラジカルにより、該有機化合物を酸化,分解する。
もって該第2浄化装置は、該有機化合物の濃度が廃棄可能な程度に達するまで、該排水が循環供給されること、を特徴とする。
【0010】
《作用について》
本発明の酸化分解装置は、このようになっているので、次のようになる。
(1)難分解性の有機化合物を含有した排ガスが混入された排水が、酸化分解装置に供給される。難分解性の有機化合物としては、例えば、パラフィン系化合物,オレフィン系化合物等の鎖状炭化水素や、芳香環を持った環状炭化水素、等が代表的である。
(2)そして排水は、まず、酸化分解装置の供給槽に貯留され、もって有機化合物の上下濃度変化に基づき、例えばa.浄水層,b.水溶液層,c.エマルジョン層,d.有機化合物層に、上下に層別される。
(3)それから排水は、例えばb.水溶液層,c.エマルジョン層,d.有機化合物層等、廃棄不能な程度に有機化合物を含有しているものが、供給槽から、フィルターを介し浄化装置に供給される。
(4)浄化装置は、光触媒と紫外線照射手段を備えており、層別された排水に対応して、個別に設けられている。例えば、c.エマルジョン層用やd.有機化合物層用の浄化装置は、予めオゾンや過酸化水素が溶解され、中波長紫外線を照射する。b.水溶液層用の浄化装置は、中波長紫外線を照射するものと、長波長紫外線を照射するものとが、併用されている。
(5)そして各浄化装置では、光触媒更にはオゾンや過酸化水素に紫外線が照射され、もって、生成されたOHラジカルの強力な酸化力,分解力により、特に、光触媒とオゾンや過酸化水素との併用の場合は、相乗作用により一段と強力な酸化力,分解力により、難分解性の有機化合物が、その炭素連鎖,有機結合を切断され、迅速かつ確実に酸化されて、炭酸ガスや水等に分解され、排水が浄化される。
(6)なお、このような酸化,分解をより確実化するため、各浄化装置から排出された排水は、有機化合物の濃度の高いものが供給槽へと戻され、濃度の低い残部が第2浄化装置に供給される。第2浄化装置は、上述した浄化装置に準じた構成,作用を備えており、有機化合物を酸化,分解する。そして排水は、循環供給されると共に、浄化されて一般廃水される。
【0011】
(7)さてそこで、この酸化分解装置は、第1に、難分解性の有機化合物を含有した排ガスそして排水が排出される化学的処理工程設備に対し、直接接続されており、その場で順次大量の排水を浄化する。そして、処理設備や処理内容が比較的簡単容易であり、順次浄化可能なので、全体の処理時間が短く、処理限界も存しない。
第2に、この酸化分解装置では、排水を難分解性の有機化合物の濃度に基づき層別すると共に、浄化装置が対応して個別に設けられている。
例えば、c.エマルジョン層やd.有機化合物層用等の高濃度用の浄化装置では、オゾンや過酸化水素が溶解され中波長紫外線が照射されるので、エネルギーが強く、光触媒とオゾンや過酸化水素との相乗作用も加わり、強力に酸化,分解が実施される。これに対し、例えばb.水溶液層用等の低濃度用の浄化装置では、長波長紫外線を照射するものも併用されており、比較的弱いエネルギーにより、無駄なく効率的にコスト面に優れつつ、酸化,分解が実施される。
このようにして、有機化合物が迅速かつ確実に酸化,分解される。
【発明の効果】
【0012】
《本発明の特徴》
本発明に係る難分解性有機化合物の酸化分解装置は、このように、排水をまず供給槽にて、難分解性の有機化合物の濃度変化に基づき層別してから、層別に対応した浄化装置にて、難分解性の有機化合物を酸化,分解すること、を特徴とする。この浄化装置は、光触媒と紫外線照射手段を備えると共に、適宜、予めオゾンや過酸化水素が導入される。
そこで本発明は、次の効果を発揮する。
【0013】
《第1の効果》
第1に、処理設備,処理能力,処理時間,処理コスト等に優れている。すなわち、本発明の酸化分解装置は、化学的処理工程設備に直接接続され、もって排水を排出現場で浄化処理して、一般廃水する。
そこで、前述した一般的なこの種従来技術のように、分離槽,一旦貯留用の大型タンク,運搬用のタンクローリ,生物処理用の一般貯蔵所、等々の処理設備を要しない。又、これらの処理設備を利用した場合のように、浄化処理能力(貯留能力,運搬能力,生物処理能力)に限界が存することもなく、順次浄化処理が可能であり、全体の処理時間も大幅に短縮される。
そこで、この種従来技術に比べると、構成が簡単であり処理設備コストが低減されると共に、現場で順次浄化処理するので処理コストもかからない等、コスト面に優れている。
【0014】
《第2の効果》
第2に、難分解性の有機化合物を、迅速かつ確実に酸化,分解して、排水を浄化することができる。
すなわち、本発明の酸化分解装置は、まず、排水を供給槽にて層別することにより、効果的・効率的に浄化装置を用いることができる。そして浄化装置では、光触媒更にはオゾンや過酸化水素に紫外線を照射して生成されたOHラジカルにより、難分解性の有機化合物が、前述したこの種従来例に比し極めて短時間で確実に酸化,分解され、排水が浄化処理,一般廃水される。
このように、この種従来例に存した課題がすべて解決される等、本発明の発揮する効果は、顕著にして大なるものがある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
《図面について》
以下、本発明の難分解性有機化合物の酸化分解装置を、図面に示した発明を実施するための最良の形態に基づいて、詳細に説明する。
そして図1は、システム全体の構成説明図である。図2は、その1例の前段部分の構成説明図であり、図3は、その1例の後段部分の構成説明図である。
【0016】
《排水2等について》
本発明の酸化分解装置13は、供給槽14と浄化装置15とを備えており、排水2中に含有された難分解性の有機化合物1を、酸化,分解する。
まず、図1を参照しつつ、処理対象である排水2等について、説明する。工業設備の化学的処理工程から排出される排水2は、難分解性の有機化合物1を含有していることが多い。
図示例では、接着工程,塗装工程,その他の化学的処理工程設備から排出される排ガス4中には、例えば溶剤として使用された難分解性の有機化合物1が、含有されている。そして、排出された排ガス4は、冷却水が循環されるクーラー付のフィルタ5や、送風機6を経由して、吸着槽7へと供給される。吸着槽7では、供給された排ガス4を吸着した後、スチーム8を吹き付けて脱着させ、もって排水2とする。必要に応じ更に、冷却水が循環するコンデンサ9を経由させることにより、確実に排水2化する。
そして、この難分解性の有機化合物1を含有した排水2が、酸化分解装置13の供給槽14へと、供給される。
【0017】
このように、酸化分解装置13に供給される排水2は、難分解性の有機化合物1を含有した排ガス4が、水に混入されたものよりなる。有機化合物1は、パラフィン系化合物,C=C結合を持ったオレフィン系化合物,その他の鎖状炭化水素や、芳香環つまりフェニル基C−を持った環状炭化水素,その他の環状炭化水素よりなる。
例えば排水2は、モノクロロベンゼンCB,メチルイソブチルケトンMIBK,ベンジルアルコールBA,イソプロピルアルコールIPA,ジメチルホルムアミドDMF等の難分解性の有機化合物1を、それぞれ1%前後〜0.03%程度ずつ含有してなる。
図示例において、排ガス4の量は0℃1気圧で例えば360Nm/minであり、含有された有機化合物1は例えば757ppmであり、排水2の量は例えば660L/hである。
因に、難分解性の有機化合物1としては、ダイオキシンやビスフェノールAのような環境ホルモンも、代表的である。
排水2等は、このようになっている。
【0018】
《供給槽14等について》
次に、図1,図2を参照して、本発明の酸化分解装置13の供給槽14等について、説明する。
排水2は、中和槽16やポンプ12を経由して、供給槽14に供給される。中和槽16は、例えば水酸化ナトリウムNaOHにより、含有されていた有害物質を、水HO等に分解する。
供給槽14は、排水2が供給されると共に貯留され、もって、含有されていた難分解性の有機化合物1の上下濃度変化に基づき、排水2が、比重により上下に層別される。すなわち、供給された排水2は、一定時間例えば24時間程度、供給槽14内に貯留されることにより、上位ほど有機化合物1の含有濃度が低く、下位ほど含有濃度が高く経時変化し、もって、比重により上下に領域化,層別,相別される。
【0019】
例えば、上から下へと順に、a.有機化合物1の含有濃度が極めて低下して(例えば40ppmつまり約40mg/L以下)、廃棄可能なレベルに達した状態の浄水層17と、b.有機化合物1が均一に水に溶解した状態の水溶液層18と、c.有機化合物1が水中に分散,混濁状態となって混じり合っているエマルジョン層19と、d.有機化合物1の含有濃度が極めて高い有機化合物層20とに、層別される。
勿論、これらの各層間の境界域は、それぞれの中間状態となっている。又、貯留時間,その他の条件によっては、図示例によらず、上下2層(2相)や3層(3相)に層別されたり、上下5層(5相)以上に層別されるケースもあるが、いずれにしても、供給槽14内の排水2は、このように2層以上に層別される。
又、各層間の境界域上(つまり各層の下位部分)に、排出ドレーンが付設されている。なお、前記aの浄水層17からの排水2は、そのまま一般廃水として廃棄してもよいが、後述する第2浄化装置のTOD計測器の直前に、供給するようにしてもよい。
供給槽14等は、このようになっている。
【0020】
《浄化装置15について》
次に、図1,図2を参照して、本発明の酸化分解装置13の浄化装置15について、説明する。
浄化装置15は、供給槽14において有機化合物1の濃度に基づき層別された排水2の各層に対応して、個別に設けられている。
そして各浄化装置15は、供給槽14から、廃棄不能な程度の濃度に有機化合物1を含有した層の排水2が供給されると共に、光触媒21と紫外線照射手段22とを備えており、含有された有機化合物1を酸化,分解する。
【0021】
このような浄化装置15について、更に詳述する。供給槽14からの排水2は、配管23にて各層分毎に順次、浄化装置15の前段階に介装,付設されたポンプ12やフィルタ24を介し、それぞれの浄化装置15に供給される。フィルタ24は、排水2中に含有された生成物質や微細ゴミ等を、浄化装置15の酸化,分解作用に支障が生じないように、予め除去する。
又、オゾンOや過酸化水素Hが、浄化装置15の前段階に付設された圧入手段,噴霧手段,ベンチュリー手段,その他の導入手段を利用して、予め排水2に溶解されることも多い。
すなわち、オゾン供給部25や過酸化水素供給部26の双方又は一方が、浄化装置15への配管23の途中に介装されることもあり、それぞれミキシングポンプで圧入したり、ノズルで噴霧したり、ベンチュリーで加速したりすることにより、オゾンOや過酸化水素Hが、排水2中に均一に溶解,導入される。オゾン供給部25としては、酸素Oを電気放電によりオゾンOに転化させるオゾナイザーや、185nm近傍にピーク値を有する紫外線短波長を発するオゾンランプが、代表的である。
【0022】
図2の例では、前記dの有機化合物層20からの排水2、および前記Cのエマルジョン層19からの排水2が供給される浄化装置15は、ぞれぞれ、予めオゾンOと過酸化水素Hが、排水2中に溶解されると共に、紫外線照射手段22が、240nm〜280nm(例えば254nm)の中波長紫外線を照射する。例えば前後2連に配設された浄化装置15では、共に中波長紫外線が照射される。
もって、これらの浄化装置15は、光触媒21およびオゾンOや過酸化水素Hと中波長紫外線にて生成されたOHラジカルにより、難分解性の有機化合物1を酸化,分解する。
これに対し、前記bの水溶液層18からの排水2が供給される浄化装置18は、紫外線照射手段22が、240nm〜280nm(例えば254nm)の中波長紫外線を照射するものと、紫外線照射手段22が、310nm〜390nm(例えば360nm)の長波長紫外線を照射するものとが、併用されている。例えば前後2連に配設された浄化装置15は、前段が中波長紫外線の照射用、後段が長波長紫外線の照射用となっている。
もって、これらの浄化装置15は、光触媒21にて生成されたOHラジカルにより、難分解性の有機化合物1を酸化,分解する。
【0023】
なお第1に、図2の例では、前記dの有機化合物層20からの排水2と、エマルジョン層19からの排水2について、それぞれ個別に浄化装置15が設けられていたが、これによらず、共通の浄化装置15を使用するようにしてもよい。更に、前記bの水溶液層18からの排水2についても、この浄化装置15を使用することも可能ではある。
第2に、図1の例では、2連の浄化装置15の前段では、中波長紫外線が照射され、後段では長波長紫外線が照射されるが、共に中波長紫外線が照射されるようにしてもよい。
第3に、各浄化装置15は、図示例では2連式よりなっているが、水溶液層18に対応したものを除き、1連式(1台)でもよく、更に3連式以上としてもよい。
第4に、光触媒21は、通常、チタニアつまり酸化チタンTiOの粒子を、例えば金属微子や吸着材と共に、排水2が供給される浄化装置15の円筒槽の内周壁面に、塗布や焼結により付着形成される。
第5に、紫外線照射手段22は、240nm〜280nmの中波長紫外線や、310nm〜390nmの長波長紫外線を照射するが、それぞれ、その数値を上廻ると、エネルギー不足によりOHラジカルの生成が困難化し、逆に、その数値を下廻ると、エネルギーが強過ぎて他物質にて吸収,減衰せしめられ、結果的にOHラジカルの生成が困難化する。
第6に、紫外線照射手段22は、浄化装置15の円筒槽の中心に同軸にて細柱状に垂下されている。そして、強いエネルギーの中波長紫外線の照射用としては、水銀灯等の専用ランプが使用される。弱いエネルギーで済む長波長紫外線の照射用としては、専用ランプも使用可能であるが、使用コスト面も含めたコストに優れたブラックライトが主に使用され、LEDの使用も可能となりつつある。
浄化装置15は、このようになっている。
【0024】
《OHラジカルの生成について》
次に、浄化装置15におけるOHラジカルの生成について、詳述する。まず、光触媒21によるOHラジカルの生成については、次のとおり。
すなわち、光触媒21に例えば中波長や長波長の紫外線の光エネルギー(光量子)hνを照射すると、→酸化チタンTiO表面の外殻電子域にある価電子帯の電子eが、励起され飛び出して伝導体に移り、電流になる。→その結果、価電子帯に、電子eが抜け出て欠損した正孔holeが生じる。→次の化1の式を参照。
【0025】
【化1】

【0026】
そして正孔holeは、電子欠損を埋めるべく、→接触する他物質、例えば接触する水HOから、電子eを引き抜こうとする性質、つまり強い酸化力を持つ。
一方、水HOは、光エネルギーの照射により電離して、→次の化2の式により、水酸イオンOHを生成する。
【0027】
【化2】

【0028】
そこで、前述により強い酸化力の正孔holeは、水HOの水酸イオンOHから電子eを引き抜く。→もって、電子eを奪われる水酸イオンOHは、次の化3の式により、→ヒドロキシラジカル(・OH)つまりOHラジカルを生成する。
【0029】
【化3】

【0030】
次に、オゾンO等によるOHラジカルの生成については、次のとおり(なお、過酸化水素HによるOHラジカルの生成も、これに準じる)。
すなわち、オゾンOに例えば中波長紫外線の光エネルギー(光量子)hνを照射すると、→励起一重項酸素原子O(D)つまり極めて反応性に富んだ酸素原子が、生成される。→次の化4の式を参照。
【0031】
【化4】

【0032】
そして、この一重項酸素原子O(D)は、接する水HOと反応して、→次の化5の式により、→ヒドロキシラジカル(・OH)つまりOHラジカルを生成する。
【0033】
【化5】

【0034】
《OHラジカルによる酸化,分解について》
そして、このように光触媒21や,オゾンOや,過酸化水素Hにて生成されたOHラジカルは、活性酸素種として、他に類を見ない極めて強力な酸化力,活性力,分解力を有しており、→近くの有機化合物1から強力に電子を奪って安定化しようとする。
すなわち、OHラジカルに接する排水2中の難分解性の有機化合物1は、このようなOHラジカルにて電子を奪われ、→その炭素連鎖(例えば単結合,2重結合,3重結合,芳香環結合等),有機結合,分子結合そのものを、切断,分解,分断され、→もって迅速かつ強力に酸化される。
例えば、オゾンOでは相対的に酸化,分解が容易なオレフィン系化合物の鎖状炭化水素についても、→オゾニド段階を介してのアルデヒド類までに止まっていたが、又、酸化,分解が困難視されていた芳香環を持った環状炭化水素等についても、オゾンOではグリオキサール段階に止まっていたが、→OHラジカルによれば、更に先へとスムーズに、迅速かつ強力に酸化,分解が進展する。
すなわち、電子を奪う酸化活性力に極めて優れたOHラジカルにより、→例えば芳香環は、直ちに開環,鎖状化され、アルデヒド化そしてカルボン酸化されて、→最終的に、炭酸ガスCOと水HOとその他の低分子化合物に、即分解される。
OHラジカルは、このように優れた酸化力,分解力を備えている。
【0035】
《第2浄化装置27等について》
次に、図3等を参照して、本発明の酸化分解装置13の第2浄化装置27等について、説明する。
図2の各浄化装置15から順次排出された排水2は、それぞれ、難分解性の有機化合物1の濃度が高いものが、供給槽14へと戻されると共に、濃度が低い残部が、第2浄化装置27へと供給される。
そして第2浄化装置27は、光触媒21と紫外線照射手段22とを備えており、紫外線照射手段22が240nm〜280nmの中波長紫外線を照射するものや、紫外線照射手段22が310nm〜390nmの長波長紫外線を照射するものが使用されており、更に適宜必要に応じ、予めオゾンOや過酸化水素Hが排水2に溶解され、もって、これらにより生成されたOHラジカルにより、有機化合物1を酸化,分解する。
そして、第2浄化装置27では、有機化合物1の濃度が廃棄可能な程度に達するまで、排水2が循環供給される。
【0036】
このような第2浄化装置27について、更に詳述する。各浄化装置15から順次排出され、有機化合物1がかなり酸化,分解された排水2は、それぞれ配管23により、判別手段28に供給される(図1を参照)。
判別手段28は、供給された排水2について、難分解性の有機化合物1の残留濃度を、計測,判別する(図1の例では、計測にTOD計測器30が使用されている)。
そして、残留濃度が高い排水2は、供給槽14へと戻され、残留濃度が低い排水2は、図3の例では第2浄化装置27の前段階に付設されたタンク29へと供給される。(なお図1の例では、残留濃度が例えば40ppm以下と低くなった排水2は、一般排水として廃棄される。)
タンク29は、供給された排水2を一旦貯留する。そして、下部に付設された排出ドレーンから、配管23にて第2浄化装置27へと供給する。(なお、タンク29内上位に、前記浄水層17に準じた層が形成される場合は、図示例によらず、TOD計測器30の直前に供給するか、又は一般廃水として廃棄してもよい。)
【0037】
第2浄化装置27の構成については、各種考えられる。図示例では、前段階の配管23に、オゾン供給部25,ポンプ12,フィルタ24,過酸化水素供給部26等が、直列的に介装,付設されている。
そして図示例では、第2浄化装置27としては、光触媒21と中波長紫外線を照射する紫外線照射手段22とを備えたものと、光触媒21と長波長紫外線を照射する紫外線照射手段22とを備えたものとが、2連に設けられている(これらの構成,機能については、浄化装置15において前述した所に準じる)。
しかし、第2浄化装置27等の構成については、その他各種考えられる。つまり、供給される排水2中の有機化合物1の残留濃度の程度等により、各種可能である。
例えば、過酸化水素供給部26を設けない例、オゾン供給部25を設けない例、第2浄化装置27の紫外線照射手段22が、中波長紫外線又は長波長紫外線のいずれかのみを照射する例、紫外線照射手段22が中波長紫外線を照射する第2浄化装置27を、2連以上設ける例、紫外線照射手段22が長波長紫外線を照射する第2浄化装置27を、2連以上設ける例、等々も考えられる。
【0038】
そして、第2浄化装置27から排出された排水2は、配管23に付設された全酸素消費量計測器つまりTOD(Total Oxygen Demand)計測器30等の計測部にて、有機化合物1の残留濃度が計測される。
そして判別手段31は、TOD計測器30の計測結果の例えば電気抵抗値に基づき、まだ残留濃度が高い排水2はタンク29へと戻し、残留濃度が低くなった排水2は一般廃水として廃棄される。判別手段31の判別基準値としては、有機化合物1の含有濃度40ppmが代表的である。
タンク29へと戻された排水2は、この判別基準をクリアするまで、第2浄化装置27等を循環される。
第2浄化装置27等は、このようになっている。
【0039】
《作用等》
本発明の酸化分解装置13は、以上説明したように構成されている。そこで、以下のようになる。
(1)化学的処理工程設備から排出されると共に、難分解性の有機化合物1を含有した排水2、例えば難分解性の有機化合物1を含有した排ガス4が水に混入された排水2は、酸化分解装置13に供給される。酸化分解装置13は、供給槽14と浄化装置15等を、備えている(図1を参照)。
この有機化合物1としては、パラフィン系化合物,オレフィン系化合物,その他の鎖状炭化水素や、芳香環を持った環状炭化水素,その他の環状炭化水素が、代表的である。
【0040】
(2)そして排水2は、まず、酸化分解装置13の供給槽14に供給されて、貯留される。そして、貯留された排水2は、含有された難分解性の有機化合物1の上下濃度変化に基づき、比重により上下に層別される(図1,図2を参照)。
すなわち、供給槽14内の排水2は、上から順に、例えばa.有機化合物1の濃度が低下し(例えば40ppm以下)廃棄可能な浄水層17と、b.有機化合物1が溶解した水溶液層18と、c.有機化合物1が混濁したエマルジョン層19と、d.有機化合物1の濃度が高い有機化合物層20とに、層別される。
【0041】
(3)それから排水2は、まだ廃棄不能な程度の濃度に難分解性の有機化合物1を含有している層のものが、酸化分解装置13の供給槽14から浄化装置15に供給される(図1,図2を参照)。
例えば、供給槽14内の上記a.浄水層17からの排水2が、→まず最初に、一般廃水として廃棄される。→それから次に、供給槽14内の例えば上記b,c,d水溶液層18,エマルジョン層19,有機化合物層20の排水2が、上層側から順次排出される。→そして、それぞれフィルタ24を経由すると共に、→更に必要に応じ、オゾン供給部25からのオゾンOや過酸化水素供給部26からの過酸化水素Hが、導入,溶解された後、→それぞれの浄化装置15に供給される。
【0042】
(4)浄化装置15は、光触媒21と紫外線照射手段22を、備えており(図1,図2を参照)、供給槽14において難分解性の有機化合物1の濃度に基づき層別された排水の層に対応して、個別に設けられている(図2を参照)。
すなわち、上記c.エマルジョン層19からの排水2用の浄化装置15や、d.有機化合物層20からの排水2用の浄化装置15は、上述により予めオゾンOや過酸化水素Hが、排水2に溶解されると共に、紫外線照射手段22が、240nm〜280nmの中波長紫外線を照射する。
これに対し、上記b.水溶液層18からの排水2用の浄化装置15は、紫外線照射手段22が、240nm〜280nmの中波長紫外線を照射するものと、紫外線照射手段22が、310nm〜390nmの長波長紫外線を照射するものとが、併用されている。
【0043】
(5)そして各浄化装置15では、→光触媒21更にはオゾンOや過酸化水素Hに対して、紫外線照射手段22から紫外線を照射することにより、OHラジカルが生成され、→OHラジカルにより、排水2中に含有されていた難分解性の有機化合物1が、酸化,分解され、→もって、排水2が浄化処理される(図1,図2を参照)。
すなわち、生成された活性酸素種であるOHラジカルの強力な酸化力,分解力により、→特に、光触媒21とオゾンOや過酸化水素Hとが併用される場合は、両者が相乗されて一段と強力に作用する酸化力,分解力により、→OHラジカルに接触する難分解性の有機化合物1が、その炭素連鎖,有機結合を切断されて、速い反応速度で強力に酸化され、→もって迅速かつ確実に、炭酸ガスCOや水HOその他の扱い易い単純な低分子化合物に、分解される。
【0044】
(6)なお、このような難分解性の有機化合物1の酸化,分解を、より確実に実施するため、酸化分解装置13は、図3に示した例では、更に第2浄化装置27を備えている。→すなわち、各浄化装置15から排出された排水2は、依然として有機化合物1の濃度の高いものが、供給槽14へと戻されると共に、濃度の低い残部が、第2浄化装置27に供給される。
→そして第2浄化装置27は、光触媒21と紫外線照射手段22を備えており、紫外線照射手段22が、240nm〜280nmの中波長紫外線を照射するものや、紫外線照射手段22が、310nm〜390nmの長波長紫外線を照射するものが使用されており、更に適宜必要に応じ、予めオゾンOや過酸化水素Hが排水2に溶解される。
→もって第2浄化装置27は、前述した所に準じ、生成されたOHラジカルにより、難分解性の有機化合物1を酸化,分解する。→排水2は、含有された有機化合物1の濃度が廃棄可能な程度に達するまで、第2浄化装置27について循環供給される。→そして、有機化合物1の濃度が低下し(例えば40ppm以下)、廃棄可能な程度に達した排水2が、一般廃水として廃棄される。
【0045】
(7)さてそこで、この難分解性の有機化合物1の酸化分解装置13によると、次の第1,第2のようになる。
第1に、この酸化分解装置13は、化学的処理工程設備に直接接続されている。すなわち、難分解性の有機化合物1を含有した排ガス4や排水2が排出される化学的処理工程設備に対し、その排出現場において直接接続されており、その場で順次、大量の排水2を浄化処理して、一般廃水する。
そして、この酸化分解装置13は、供給槽14,浄化装置15,第2浄化装置27等よりなり、処理設備の構成が比較的簡単であると共に、処理内容も比較的容易であり、しかも、直接的に順次浄化処理可能であり、全体処理が短時間で済み、処理限界が存することもない。つまり、一旦貯留用の大型のタンク11、運搬用のタンクローリ3、生物処理用の一般貯蔵所等を用いた場合(図4を参照)に比べ、処理設備や処理内容が簡単容易化し、全体処理に長時間を要することはなく、処理限界も存しない。
【0046】
第2に、この酸化分解装置13では、まず、排水2を供給槽14にて層別し、もって、難分解性の有機化合物1の濃度に基づき層別された排水2の層に対応して、浄化装置15が個別に設けられている。
そして、含有された有機化合物1の濃度が高い層の排水2用の浄化装置15、例えば、上記c.エマルジョン層19からの排水2用の浄化装置15や、上記d.有機化合物層20からの排水2用の浄化装置15は、予めオゾンOや過酸化水素Hが溶解されると共に、紫外線照射手段22が中波長紫外線を照射する。
もって、強いエネルギーの紫外線により、しかも光触媒21とオゾンOや過酸化水素Hの併用による相乗作用により、一段と強力な酸化,分解が実施される。光触媒21とオゾンOや過酸化水素Hとを組み合わせたことにより、効率良く多量のOHラジカルが、一度に生成される。そして、浄化装置15内の外周部の排水2中の有機化合物1は、主に光触媒21から生成されるOHラジカルにより、又、中央部の排水2中の有機化合物1は、(光触媒21からは遠いものの)主にオゾンOや過酸化水素Hから生成されるOHラジカルにより、それぞれ、くまなく酸化,分解される。
これに対し、含有された有機化合物1の濃度が低い層の排水2用の浄化装置15、例えば上記b.水溶液層18からの排水2用の浄化装置15は、予めオゾンOや過酸化水素Hが溶解されないと共に、紫外線照射手段22として長波長紫外線を照射するブラックライト等が併用されている。もって、比較的弱くて済むエネルギーの紫外線により、無駄なく,効率的に,コスト面に優れつつ、適切な酸化,分解が実施される。
このような組み合わせにより、この酸化分解装置13では、排水2に含有された難分解性の有機化合物1が、迅速かつ確実に酸化,分解される。
【0047】
《計測データについて》
表1は、図1に示した例の酸化分解装置13を用いて、排水2を浄化テストした計測データである。
すなわち、pH4.12で23.1℃、CODMn13,200mg/Lの排水2を供給し、もって、供給槽14で貯留することなく浄化装置15で浄化した結果を、経時的に計測,分析した。CODは化学的酸素要求量を示し、過マンガン酸カリウムを使用して計測した。pH値,COD値は、JISに準拠して計測した。
その結果、時間的経過と供にCOD値が低下し、もって、排水2中に含有された難分解性の有機化合物1の酸化,分解の進展が、確認された。
【0048】
【表1】

【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明に係る難分解性有機化合物の酸化分解装置について、発明を実施するための最良の形態の説明に供し、システム全体の構成説明図である。
【図2】同発明を実施するための最良の形態の説明に供し、その1例の前段部分の構成説明図である。
【図3】同発明を実施するための最良の形態の説明に供し、その1例の後段部分の構成説明図である。
【図4】この種従来例の説明に供し、システム全体の構成説明図である。
【符号の説明】
【0050】
1 有機化合物
2 排水
3 タンクローリ
4 排ガス
5 フィルタ
6 送風機
7 吸着槽
8 スチーム
9 コンデンサ
10 分離槽
11 タンク
12 ポンプ
13 酸化分解装置
14 供給槽
15 浄化装置
16 中和槽
17 浄水層
18 水溶液層
19 エマルジョン層
20 有機化合物層
21 光触媒
22 紫外線照射手段
23 配管
24 フィルタ
25 オゾン供給部
26 過酸化水素供給部
27 第2浄化装置
28 判別手段
29 タンク
30 TOD計測器
31 判別手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
排水中に含有された難分解性の有機化合物の酸化分解装置であって、供給槽と浄化装置とを有しており、
該供給槽は、該排水が供給されると共に貯留され、含有された該有機化合物の上下濃度変化に基づき、該排水が比重により上下に層別され、
該浄化装置は、該供給槽から、廃棄不能な程度の濃度に該有機化合物を含有した層の該排水が供給されると共に、光触媒と紫外線照射手段とを備えており、該有機化合物を酸化,分解すること、を特徴とする難分解性有機化合物の酸化分解装置。
【請求項2】
該供給槽に供給される該排水は、該有機化合物を含有した排ガスが水に混入されたものよりなり、又、該有機化合物は、パラフィン系化合物,オレフィン系化合物,その他の鎖状炭化水素や、芳香環を持った環状炭化水素,その他の環状炭化水素よりなること、を特徴とする請求項1に記載した難分解性有機化合物の酸化分解装置。
【請求項3】
該浄化装置は、該供給槽にて該有機化合物の濃度に基づき層別された該排水の層に対応して、個別に設けられており、
有機化合物層の該排水用や、エマルジョン層の該排水用の該浄化装置は、予めオゾンや過酸化水素が該排水に溶解されると共に、該紫外線照射手段が240nm〜280nmの中波長紫外線を照射し、
もって該浄化装置は、該光触媒および該オゾンや過酸化水素にて生成されたOHラジカルにより、該有機化合物を酸化,分解すること、を特徴とする請求項2に記載した難分解性有機化合物の酸化分解装置。
【請求項4】
該排水は、該浄化装置の前に付設されたフィルタを介して該浄化装置に供給され、又、該オゾンや過酸化水素は、該浄化装置の前に付設された圧入手段,噴霧手段,ベンチュリー手段,その他の導入手段を利用して、該排水に溶解されること、を特徴とする請求項3に記載した難分解性有機化合物の酸化分解装置。
【請求項5】
水溶液層の該排水用の該浄化装置は、該紫外線照射手段が240nm〜280nmの中波長紫外線を照射するものと、該紫外線照射手段が310nm〜390nmの長波長紫外線を照射するものとが、併用されており、
もって該浄化装置は、該光触媒にて生成されたOHラジカルにより、該有機化合物を酸化,分解すること、を特徴とする請求項3に記載した難分解性有機化合物の酸化分解装置。
【請求項6】
各該浄化装置から排出された該排水は、該有機化合物の濃度が高いものが該供給槽へと戻されると共に、濃度が低い残部が第2浄化装置へと供給され、
該第2浄化装置は、光触媒と紫外線照射手段とを備えており、該紫外線照射手段が240nm〜280nmの中波長紫外線を照射するものや、該紫外線照射手段が310nm〜390nmの長波長紫外線を照射するものが使用されており、更に適宜必要に応じ予めオゾンや過酸化水素が該排水に溶解され、もって、生成されたOHラジカルにより、該有機化合物を酸化,分解し、
該第2浄化装置は、該有機化合物の濃度が廃棄可能な程度に達するまで、該排水が循環供給されること、を特徴とする請求項5に記載した難分解性有機化合物の酸化分解装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2006−205098(P2006−205098A)
【公開日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−22495(P2005−22495)
【出願日】平成17年1月31日(2005.1.31)
【出願人】(505252698)株式会社アイエムイー総合研究所 (14)
【Fターム(参考)】