説明

難燃性ポリアミド樹脂組成物

【課題】 環境性、経済性、成形性に配慮され、難燃性、グローワイヤー特性、トラッキング特性、低ソリ性に優れ、吸水時の剛性の低下が少なく、極めて高度に均衡した品質を有する難燃性ポリアミド樹脂組成物を提供する。
【解決手段】 少なくとも(A)粘度数70〜130ml/gのポリアミド樹脂100重量部、(B)トリアジン系難燃剤0.5〜20重量部及び(C)ケイ酸カルシウム系充填剤10〜120重量部を配合してなる組成物であって、該(C)ケイ酸カルシウム系充填剤が、(i)強熱減量1.7重量%以下、硫黄含量1000ppm以下であり、(ii)組成物中に分散した状態でアスペクト比が1.5〜8の範囲にあることを特徴とする難燃性ポリアミド樹脂組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は難燃性ポリアミド樹脂組成物に関する。詳しくは、難燃性、グローワイヤー特性、トラッキング特性、低ソリ性に優れ、吸水時の剛性の低下が少なく、高度に均衡した品質を有すると共に環境負荷が小さく、経済的で、電気・電子分野のコネクター、ブレーカー電磁開閉器などの部品の材料に好適な難燃性ポリアミド樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ポリアミド樹脂は、機械的強度、耐熱性などに優れることから、自動車部品、機械部品、電気・電子部品などの分野で使用されている。特に、電気・電子部品用途においては、近年、欧州IEC規格に代表されるグローワイヤー特性や耐トラッキング特性に対する要求が高い。また、時代の趨勢として、難燃剤として非ハロゲンタイプの希望がなされている。
【0003】
上記電気・電子部品の例である電磁開閉器は制御システムの重要な構成部品として、PLCやインバータなど電子応用装置の使用回路やコンデンサ負荷開閉など幅広い分野で使用されている。さらに、例として、安全ブレーカー、アンペアブレーカー及び、漏電遮断器:ELB(Earth Leakage circuit Breaker)、配線用遮断機:MCB(Miniature Circuit Breaker)、MCCB(Molded Case Circuit Breaker)、NFB(No−Fuse
Breaker)、電動機保護用遮断機(モーターブレーカー)、スリムブレーカー(ワンタッチブレーカー、ワンタッチ遮断ブレーカー)などの各種ブレーカーは、指定以上の電流が流れた時、または揺れや発熱などの異常を感知した時、通電を遮断するものである。電気配線に組み込まれる電気・電子部品であり、電気配線の安全保証の上で不可欠のものである。そして、これらの電気・電子部品には接点を支持するための樹脂成形品が使用されており、この成形品は、接点で発生する熱及び接点の繰返し運動による負荷に耐える必要があることから上記のような機械的強度、耐熱性、難燃性、寸法安定性等に関して高度の物性が要求される部品の一つである。
【0004】
上記の物性を満たす成形品として、耐熱性を有するいわゆる熱可塑性エンジニアリングプラスチックが多く用いられており、また、物性向上のための添加剤として、ハロゲン系難燃剤、充填剤、繊維強化等の手段を併用して物性バランスを向上することが検討され、使用されてきた。例えば上記の電磁開閉器やブレーカーにおいても、接点支持部材等には樹脂成形品として、ポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂、ポリフェノール樹脂、ポリエポキシ樹脂、ポリフェニルサルファイド(PPS)、液晶ポリマー等が、従来より使用されているが、樹脂単独では耐熱性、難燃性、絶縁特性に限度があり、コストを含め要求性能を満たすためには、難燃剤、強化剤等の種々の添加物を配合する必要があった。
【0005】
強化剤を配合したポリアミド樹脂に難燃性を付与する方法としては、従来、ハロゲン化芳香族化合物系難燃剤に助剤としてアンチモン化合物をコンパウンドする方法が一般的である。しかしながら、ハロゲン系難燃剤を用いると耐トラッキング特性が低下し、絶縁特性を維持できない可能性がある。また、ハロゲン系難燃剤は燃焼時に腐食性のハロゲン化水素及び煙を発生し、有害な物質を排除する疑いがもたれ、これら環境問題からハロゲン系難燃剤の配合されたプラスチックス製品の使用を規制する動きがある。
【0006】
ハロゲン系化合物に代わる難燃剤としては、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムなどの水和金属化合物を添加することが広く知られているが、充分な難燃性を得るためには、これら水和金属化合物を多量に添加する必要があり、そのためポリアミド本来の特性が失われるという欠点を有していた。一方、赤燐、有機リン系化合物等のリン系難燃剤も知られているが、難燃剤がブリードアウトし、製品の接点を腐食させる問題があった。
【0007】
特許文献1は非ハロゲン・非リンタイプの難燃剤としてシアヌル酸メラミンをポリアミド樹脂に配合した組成物を提案している。しかし特許文献1は、シアヌル酸メラミンを配合した非強化のポリアミド樹脂組成物が、UL94試験における難燃規格V−0に適合する高度の難燃性を有することを示すのみで、かかる組成物の電気的性質については記載していない。また、充填剤その他の樹脂添加剤を配合可能との記載はあるものの、具体的に充填剤を配合した組成物は記載されておらず、充填剤による難燃性、耐トラッキング性等の電気的特性に与える影響は不明である。
【0008】
ポリアミド樹脂にシアヌル酸メラミンと強化充填剤を配合することも種々提案されている。特許文献2には、メラミンシアヌレートまたはその誘導体と無機充填材を配合してなる難燃性ポリアミド組成物が示されている。当該発明はUL94試験における難燃規格V−2を満足するために、L/Dが4〜1/4の無機充填材の配合が好ましいと述べられ、具体的に、相対粘度(96%硫酸で、25℃測定)3.1の中粘度のポリアミド6にシアヌル酸メラミン10重量%、L/D=1.2〜2のタルク、カオリン、ワラストナイトなどの無機充填材を30重量%配合した組成物が難燃性規格V−2を満足する実施例が示されているが、グローワイヤー特性や耐トラッキング特性についての記述は全くなく、充填剤の表面処理について全く記載されていない。実施例記述の組成では、近年要求されるグローワイヤー特性を満足できない。
【0009】
特許文献3には、メラミンおよび/またはメラミンシアヌレートと未サイジングのガラス繊維10〜40重量%を含有してなる強化ポリアミド成形材料が提案され、ガラス繊維のサイジング有無のグローワイヤー特性への影響が開示されている。しかし、本発明者等の検討に拠れば、未サイジングである粉砕ガラス繊維、つまり表面処理されていない粉砕ガラス繊維を使用すると、吸水時での剛性低下が著しい。また、短い粉砕ガラス繊維との記述があるが、ガラス繊維の長さがグローワイヤー特性、耐トラッキング特性に及ぼす影響については明確な記述はない。また、使用されるポリアミドの相対粘度については、実施例にて相対粘度3.0のポリアミド66および相対粘度2.9のポリアミド6を使用したとの記述があるのみで、相対粘度のグローワイヤー特性への影響については記述がない。
【0010】
特許文献4には、ポリアミド、メラミンシアヌレート、算術平均繊維長70〜200μmのシラン化合物で処理された繊維状充填剤または針状無機充填剤1〜50重量%からなる防炎加工熱可塑性成形材料が開示されている。粘度数145ml/gのポリアミド6および粘度数151のポリアミド66にメラミンシアヌレート15〜20重量%、粉砕ガラス繊維(繊維長135〜144μm)または平均粒度3.5μmでL/D(アスペクト比)=9のウォラストナイトを20重量%配合した実施例が示され、燃焼性、グローワイヤー特性ならびに機械的性質の結果が示されている。本発明者らの検討では、実施例記載の組成では、充填剤の繊維長が長く(または、アスペクト比が大きく)、かつポリマー粘度が高いために、近年要求されるグローワイヤー特性や耐トラッキング特性を満足できない。さらに、当該発明の充填剤アスペクト比とポリマー粘度では、充填剤の配合量が多い系では、近年要求されるグローワイヤー特性や耐トラッキング特性を満足できない。また、アスペクト比が、比較的に大きい充填剤を使用しているので、低ソリ性は期待できない。
【0011】
特許文献5には、(A)ポリアミド樹脂 100重量部、(B)メラミンシアヌレート 1〜20重量部および(C)ホウ酸金属塩からなるウィスカー 5〜120重量部からなる機械的強度及び耐トラッキング性に優れた難燃性ポリアミド樹脂組成物が開示されている。実施例、比較例において、相対粘度2.4のポリアミド66にメラミンシアヌレートとホウ酸ウイスカー(平均長10〜30μm)、またはチタン酸カリウムウイスカー(平均長10〜20μm)、ケイ酸カルシウムウイスカー(平均長1〜5μm)、ガラス繊維(平均長300μm)を配合した組成物が示されている。
しかし、これらの文献には、ケイ酸カルシウム系の充填剤を用いた場合.充填剤中の不純物が与える影響について、全く記載されていない。
【0012】
【特許文献1】特開昭53−31759号公報
【特許文献2】特開昭54−16565号公報
【特許文献3】特公平7−56008号公報
【特許文献4】特表平11−513059号公報
【特許文献5】特開平11−1613号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、環境性、経済性、成形性に配慮され、難燃性、グローワイヤー特性、トラッキング特性、低ソリ性に優れ、吸水時の剛性の低下が少なく、極めて高度に均衡した品質を有する難燃性ポリアミド樹脂組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明者等は上記課題を解決するため、殊に、比較的低分子量のポリアミドを用いて、シアヌル酸メラミンの配合量、ケイ酸カルシウム系充填剤の形状や不純物含量による、グローワイヤー特性、CTI特性への影響を鋭意検討した結果、ケイ酸カルシウム系充填剤の純度、アスペクト比、配合量の微妙な関係を見出し本発明に到達した。すなわち、本発明の要旨は、少なくとも(A)粘度数70〜130ml/gのポリアミド樹脂100重量部、(B)トリアジン系難燃剤0.5〜20重量部及び(C)ケイ酸カルシウム系充填剤10〜120重量部を配合してなる組成物であって、該(C)ケイ酸カルシウム系充填剤が、(i)強熱減量1.7重量%以下、硫黄含量1000ppm以下であり、(ii)組成物中に分散した状態でアスペクト比が1.5〜8の範囲にあることを特徴とする難燃性ポリアミド樹脂組成物及びそれから得られる成形品に存する。
【発明の効果】
【0015】
本発明のポリアミド樹脂組成物は、難燃性、グローワイヤー特性、耐トラッキング特性に優れた電気絶縁材料であり、吸水による剛性の低下が抑制され、機械的強度、低ソリ性に優れ、成型不良の発生も少なく、特に電気電子部品用材料として有用である。また、本発明組成物は、ハロゲン系難燃剤を含有しないので環境負荷が少なく、高価な充填剤も使用しないので経済的でもある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明を詳細に説明する。本発明に使用される(A)ポリアミド樹脂としては、3員環以上のラクタム或いはω−アミノ酸の重縮合、又は、二塩基酸とジアミン等の重縮合によって得られるポリアミドを用いることができる。具体的には、ε−カプロラクタム、アミノカプロン酸、エナントラクタム、7−アミノヘプタン酸、11−アミノウンデカン酸、9−アミノノナン酸、α−ピロリドン、α−ピペリドン等の重合体、ヘキサメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、メタキシリレンジアミン等のジアミンと、テレフタル酸、イソフタル酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカン二塩基酸、グルタール酸等のジカルボン酸と重縮合せしめて得られる重合体又はこれらの共重合体があげられ、より具体的には、ナイロン4、6、7、8、11、12、6・6、6・9、6・10、6・11、6・12、6T、6/6・6、6/12、6/6T、6T/6I、MXD6等が例示される。これらは単独でも或いは複数種を併用しても良い。本発明において特に好ましいポリアミド樹脂としては、難燃性、機械的強度、成形性の点から、ポリアミド6或いはポリアミド66を主成分とする、ポリアミド6、共重合ポリアミド6/66または66/6及び/又はポリアミド66が挙げられる。更に好ましくは、ポリアミド6が主成分であることが、成形性を維持し得るので好ましい。本発明におけるポリアミド樹脂の末端は、分子量調節も兼ねてカルボン酸又はアミン化合物で封止されていてもよい。
【0017】
本発明に使用するポリアミド樹脂はある範囲内の重合度、すなわち特定の範囲の粘度数を有する。(A)ポリアミド樹脂の粘度数は、96%硫酸中濃度1%、温度23℃で測定した値で70〜130ml/gであり、好ましくは72〜120ml/gである。粘度数が70ml/gより低いと溶融粘度が小さいため、機械的強度が低下する。また粘度数が130ml/gより高いとグローワイヤー特性(GWFI)において接棒後の燃焼時間が長くなり、すなわち不合格となる可能性があり、各種用途向けの要求特性の満足が困難になり好ましくない。
【0018】
本発明に使用される(B)トリアジン系難燃剤としては、下記一般式(1)または(2)で表される化合物、メラミン類およびシアヌル酸メラミン等が挙げられる。
【0019】
【化1】

【0020】
(式中、R〜Rは、それぞれ、水素原子またはアルキル基を示す。)。
前記一般式(1)で表される化合物の具体例としては、シアヌル酸、トリメチルシアヌレート、トリエチルシアヌレート、トリ(n−プロピル)シアヌレート、メチルシアヌレート、ジエチルシアヌレート等が挙げられる。前記一般式(2)で表される化合物の具体例としては、イソシアヌル酸、トリメチルイソシアヌレート、トリエチルイソシアヌレート、トリ(n−プロピル)イソシアヌレート、ジエチルイソシアヌレート、メチルイソシアヌレート等が挙げられる。
【0021】
メラミン類としては、メラミン、メラミン誘導体、メラミンと類似の構造を有する化合物およびメラミンの縮合物等が挙げられる。メラミン類の具体例としては、例えば、メラミン、アンメリド、アンメリン、ホルモグアナミン、グアニルメラミン、シアノメラミン、アリールグアナミン、メラム、メレム、メロン等が挙げられる。
シアヌル酸メラミンとしては、シアヌル酸とメラミンとの等モル反応物が挙げられる。また、シアヌル酸メラミン中のアミノ基または水酸基のいくつかが、他の置換基で置換されていてもよい。シアヌル酸メラミンは、例えば、シアヌル酸の水溶液とメラミンの水溶液とを混合し、90〜100℃で攪拌下反応させ、生成した沈殿を濾過することによって得ることができ、白色の固体であり、微粉末状に粉砕して使用するのが好ましい。勿論、市販品をそのまま、又はこれを粉砕して使用することもできる。
【0022】
本発明に使用される(B)トリアジン系難燃剤としては、好ましくは、シアヌル酸、イソシアヌル酸、メラミン、シアヌル酸メラミン、シアヌル酸メレム等が挙げられ、分解物が成形物の表面に浮き出してくるブルーミング等の不都合がないことから、より好ましくは、シアヌル酸メラミンに代表されるシアヌル酸類とメラミン類との等モル反応物が挙げられる。但し、シアヌル酸メラミンは260℃以上になると分解が始まるので、成形不良の発生を抑え、難燃性を確保するためには、260℃以上での成形温度を避ける必要がある。本発明のように、無機充填剤を配合し、流動性が低下傾向の場合においては、成形温度を260℃よりできるだけ低くさせ、難燃性を確保できるポリアミド6が主成分のポリアミド樹脂を使用することが好ましい。
【0023】
トリアジン系難燃剤の配合量は、ポリアミド樹脂100重量部に対し0.5〜20重量部である。トリアジン系難燃剤の量が0.5重量部未満であると難燃効果が期待されない。20重量部より多いと、成形時に分解しやすく金型汚染が問題となる。トリアジン系難燃剤の配合量は、難燃性とグローワイヤー特性、耐トラッキング特性、機械的特性のバランスの点より、好ましくは1〜15重量部であり、更に好ましくは1.5〜10重量部である。
【0024】
本発明に使用される(C)ケイ酸カルシウム系充填剤は、樹脂の充填剤として知られるケイ酸カルシウムであって、不純物量が特定値以下或いはアスペクト比が特定範囲にあるものであれば何れも使用可能であるが、代表的なものはワラストナイトとして知られた、白色針状結晶の鉱物である。ワラストナイトはケイ酸カルシウムが主成分である針状結晶をもつ天然白色鉱物から、これを粉砕・分級することにより得ることができるが、本発明においては合成したワラストナイトも勿論使用することができる。これらのワラストナイトは実質的に化学式CaO・SiO2で表され、SiO2約50重量%、CaO約47重量%、その他不純物としてFe23、Al23、CaCO3などを含有しており、その比重は約2.9であることが知られている。
また、ハンター白色度が60以上で、ポリアミドへの耐候性を悪化させない意味で、高純水へ10%スラリーとした際のスラリーのpH値が6〜8のものがより好ましい。本発明者等は、ワラストナイト、特に天然鉱物中に存在するいくつかの不純物が難燃性等に影響を与えることを見出し、これらの不純物含量を抑制することにより、難燃性が向上させることに成功した。
【0025】
本発明に使用されるケイ酸カルシウムは、以下に示す方法で測定された強熱減量が1.7重量%以下のものである。本発明者らは、強熱減量が1.7重量%以下であるケイ酸カルシウムが、電気絶縁特性、難燃特性に優れることを見出した。強熱減量は1.6重量%以下がより好ましく、1.5重量%以下がさらに好ましい。
本発明におけるケイ酸カルシウムの強熱減量とは、ケイ酸カルシウムを、水分を除去するために110℃で6時間、加熱処理した後、デシケータ中(乾燥剤入り)で室温まで放冷し、TGA(Thermogravimetric Analysis:熱重量解析)測定機により、10℃/minで1300℃まで連続的に昇温し、1300℃に到達した時点での重量減少値を算出し、強熱減量とする。なお、この強熱処理による減量はケイ酸カルシウム中に不純物として微量含有されるCaCO3に由来するCO2と考えられる。
【0026】
さらに、本発明に使用されるケイ酸カルシウムは、硫黄含有量が1000ppm以下のものである。本発明者らは、硫黄含有量が1000ppm以下であるケイ酸カルシウムが、電気絶縁特性、難燃特性に優れることを見出した。かかる硫黄含有量は700ppm以下がより好ましく、500ppm以下がさらに好ましい。
なお、本発明においてケイ酸カルシウムの硫黄含有量とは、水分を除去するために110℃で6時間加熱処理した後、デシケーター中(乾燥剤入り)で室温まで放冷したケイ酸カルシウムを燃焼・硫黄酸化物分析計(Oxides of sulfur analyzer)により分析し、燃焼ガス中に含まれる二酸化硫黄量から、硫黄含有量を算出しケイ酸カルシウム中の硫黄含有量とする。
【0027】
また、ケイ酸カルシウムは組成物内に分散された状態で、アスペクト比が1.5〜8のものである。ケイ酸カルシウムのアスペクト比(繊維長および繊維径)の測定方法は次のとおりである。繊維長の測定は、組成物ペレットを電気炉で500℃、30分間加熱して完全に灰化して得られたケイ酸カルシウムを、3%中性洗剤水溶液に適量加え、攪拌し、このようにして得られたケイ酸カルシウムの分散液を、ピペットでガラス板に採取し、実体顕微鏡を用いて写真撮影を行った。その写真画像に対して、デジタイザーを用いて1000個の個別ケイ酸カルシウム繊維ごとの最大寸法と最小寸法を測定した。最大寸法の合計量を個数で割ったものが平均繊維長(L)である。最小寸法は、繊維に垂直方向の径であり、その合計量を個数で割ることにより平均径(D)を測定した。アスペクト比はL/Dにて示され、L/D=1.5〜8が、更には2〜7が好ましい。
【0028】
ペレット中に分散しているケイ酸カルシウムのアスペクト比が1.5以下であると強度改善効果が小さく、8より大きいと燃焼性、グローワイヤー特性および耐トラッキング特性の低下が起こる。
【0029】
(C)ケイ酸カルシウム系充填剤の配合量は、(A)ポリアミド樹脂100重量部に対して、10〜120重量部であり、好ましくは15〜115重量部、更に好ましくは20〜110重量部である。ケイ酸カルシウムの量が10重量部より少ないと、機械的特性が発揮されない。120重量部より多いと、グローワイヤー特性(GWFI)において接棒後の燃焼時間が長くなり、不合格となる。
【0030】
(C)ケイ酸カルシウム、例えばワラストナイトは、予め粉砕して使用される。粉砕機としては、各種のものが使用でき、例えば、高速回転ミル、ボールミル、媒体攪拌ミル、およびジェットミルなどを挙げることができる。中でもジェットミルが好ましい。さらにかかるジェットミルの方式としては、気流吸い込み式、衝突体衝突式、対向ジェット衝突式、および複合型などを挙げることができ、中でも対向ジェット衝突式の粉砕機が好ましい。
さらに粉砕されたワラストナイトを分級することにより、繊維長の長い成分を取り除き、繊維長分布が制御されたワラストナイト繊維を使用することが好ましい。かかる分級の方法には、網型の篩を通す方法の他、インパクト型慣性力分級機(バリアブルインパクターなど)、エアンダ効果利用型慣性力分級機(エルボージェットなど)、スパイラル気流型の遠心場分級機(多段サイクロンなど)、ヘリカル気流型の遠心場分級機のうち自由鍋型で案内羽根付きのもの(ミクロプレックス、ディスバージョンセパレーターなど)、ヘリカル気流型の遠心場分級機のうち強制鍋型で回転羽根型のもの(ミクロンセパレーター、スーパーセパレーターなど)などを挙げることができ、またこれらの複合型などの使用も好ましいものである(なお、括弧内の名称は商品名または俗称である)。これらのうちより微細な粒子分級を可能にするものとして、遠心場分級機が好ましい。
【0031】
(C)ケイ酸カルシウム系充填剤は、表面処理されることが好ましい。すなわちケイ酸カルシウム系充填剤をイソシアネート系化合物、有機シラン系化合物、有機チタネート系化合物、有機ボラン系化合物、エポキシ化合物などのカップリング剤で予備処理して使用することは、絶乾時または吸水時に、より優れた機械的強度を得る意味において好ましい。特に本発明のように充填剤のアスペクト比が小さい場合は、カップリング剤が配合されないと機械的強度、特に弾性率の改善効果が小さい。しかし、耐トラッキング試験において、充填剤表面の低分子量の有機成分を含んでいる表面処理剤などが導電経路を形成しやすく、耐トラッキング特性を低下させる傾向にある。したがって、機械的強度、ソリ(成形表面の平滑性)などとのバランスの上で充填剤へのカップリング剤(表面処理剤)選定をする必要がある。
【0032】
特に好ましい表面処理剤は、シラン系カップリング剤(有機シラン系化合物)であり、その具体例としては、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランなどのエポキシ基含有アルコキシシラン化合物;γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシランなどのメルカプト基含有アルコキシシラン化合物;γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリメトキシシシラン、γ−(2−ウレイドエチル)アミノプロピルトリメトキシシランなどのウレイド基含有アルコキシシラン化合物;γ−イソシアナトプロピルトリエトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルトリメトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルメチルジエトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルエチルジメトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルエチルジエトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルトリクロロシランなどのイソシアナト基含有アルコキシシラン化合物;γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシランなどのアミノ基含有アルコキシシラン化合物;γ−ヒドロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−ヒドロキシプロピルトリエトキシシランなどの水酸基含有アルコキシシラン化合物;γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン・塩酸塩等の炭素炭素不飽和基含有アルコキシシラン化合物などが挙げられる。特に、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシランが好ましく用いられるが、これらに限定されるものではない。
【0033】
表面処理剤の使用方法としては、常法に従って、予めケイ酸カルシウム充填剤を表面処理し、ついでポリアミド樹脂と溶融混練する方法が好ましく用いられるが、無処理のケイ酸カルシウム充填剤と(A)ポリアミド樹脂、(B)トリアジン系難燃剤等を溶融混練する際に、シラン系カップリング剤等の表面処理剤を同時に添加するいわゆるインテグラルブレンド法を用いても良いが、これらに限定されるものではない。
【0034】
本発明組成物中のシラン系カップリング剤の量は、(A)ポリアミド樹脂100重量部に対し、0.01〜2重量部である。2重量部以上使用した場合、耐トラキング特性、難燃性の低下が著しくなる。また、0.01重量部以下の場合には、機械的強度、特に弾性率の改善効果が小さい。
【0035】
本発明組成物の製造法は特に限定されるものではなく、(A)〜(C)の成分及び、必要に応じて配合されるその他成分の所定量を、配合し、溶融・混練すればよい。(A)ポリアミド樹脂に(B)トリアジン系難燃剤および(C)ケイ酸カルシウム系充填剤、(D)シラン系カップリング剤を配合する方法としては、最終成形品を成形する直前までの任意の段階で周知の種々の手段によって行うことができる。最も簡便な方法は、ポリアミド樹脂とトリアジン系難燃剤および充填剤、シラン系カップリング剤(または、シラン系カップリング剤で、予め表面処理された充填剤)を単にドライブレンドする方法であり、得られるドライブレンド物を溶融混合押出にてペレットとする。溶融混合押出に際しては、ポリアミド樹脂とトリアジン系難燃剤、充填剤、シラン系カップリング剤を押出機のメインホッパー口から供給するのが、安定した混合ができ好ましい。または、充填剤とシラン系カップリング剤のみをサイドフィード口から供給しても良い。さらに別の方法としては、所定量より多いトリアジン系難燃剤または充填剤をポリアミド樹脂にて練り込んだマスターペレットを予め調整し、これを希釈用ポリアミド樹脂とドライブレンドすることによっても、本発明におけるポリアミド樹脂組成物を得ることができるが、これらに限定されるものではない。
【0036】
本発明の樹脂組成物は、上記(A)〜(C)或いは(A)〜(D)成分の他に、必要に応じ、本発明の効果を損なわない範囲で他の成分を配合することができる。配合されれる成分としては、例えば、顔料、染料、核剤、離型剤、安定剤、帯電防止剤その他の周知の添加剤が挙げられる。特に、カルボン酸アマイド系ワックスやエチレンビスステアリルアミドのビスアミド化合物などのアミド系離型剤を、難燃剤の分散を兼ねて、ポリアミド樹脂100重量部に対し例えば0.001〜0.5重量部、さらに好ましくは0.005〜0.3重量部配合することは、難燃性、グローワイヤー特性、耐トラッキング特性を低下させることなくの射出成形時の生産性を高めるので好ましい。
【0037】
カルボン酸アマイド系ワックスは、高級脂肪族モノカルボン酸と多塩基酸の混合物とジアミンとの脱水反応によって得られる。原料の高級脂肪族モノカルボン酸としては、炭素数16以上の飽和脂肪族モノカルボン酸及びヒドロキシカルボン酸が好ましく、例えば、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、モンタン酸、12−ヒドロキシステアリン酸などが挙げられる。
原料の多塩基酸としては、二塩基酸以上のカルボン酸で、例えば、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、ピメリン酸、アゼライン酸等の脂肪族ジカルボン酸及び、フタル酸、テレフタル酸等の芳香族ジカルボン酸及び、シクロヘキサンジカルボン酸、シクロヘキシルコハク酸等の脂環式ジカルボン酸等が挙げられる。前記ジアミンとしては、例えば、エチレンジアミン、1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタン、ヘキサメチレンジアミン、メタキシリレンジアミン、トリレンジアミン、パラキシリレンジアミン、フェニレンジアミン、イソホロンジアミン等が挙げられる。
【0038】
カルボン酸アマイド系ワックスを製造する際、使用する高級脂肪族モノカルボン酸に対する多塩基酸の混合割合を変えることにより任意の軟化点のものが得られる。本発明組成物に使用するカルボン酸アマイド系ワックスは、高級脂肪族モノカルボン酸2モルに対して、多塩基酸の混合割合が0.18モルから1.0モルの範囲が好適である。またジアミンの使用量は高級脂肪族モノカルボン酸2モルに対して1.5モルから2.0モルの範囲が好適であり、使用する多塩基酸の量に従って変化する。
【0039】
ビスアミド化合物は、N,N’−メチレンビスステアリン酸アミド及びN,N’−エチレンビスステアリン酸アミドのようなジアミンと脂肪酸の化合物、あるいはN,N’−ジオクタデシルテレフタル酸アミドなどのジオクタデシル二塩基酸アミドを挙げることができる。
アマイド系ワックス又はビスアミド化合物の配合量は、(A)ポリアミド樹脂100重量部に対し、0.01〜0.5重量部である。
【0040】
本発明のポリアミド樹脂組成物は、熱可塑性樹脂の公知の成形法により各種用途部品を製造することが出来る。好ましくは、前記ドライブレンド物やペレット等のポリアミド樹脂組成物を射出成形機等の各種成形機に供給して、金型に流し込み、冷却、取り出しをする射出成形法であるがこの方法に限定されるものではない。
本発明の成形体としては特に限定されるものではないが、例えばブレーカー筐体、カバー、セパレーター、ハンドル等が挙げられる。
【実施例】
【0041】
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に制限されるものではない。なお、以下の例において使用した各成分、および得られた組成物の評価試験方法は次の通りである。また、ワラストナイトの特性は表−1に取り纏め表示した。
<原料成分>
【0042】
A−1)ポリアミド6:粘度数=87ml/g、三菱エンジニアリングプラスチックス社 製「ノバミッド 1005J」。
A−2)ポリアミド6:粘度数=99ml/g、三菱エンジニアリングプラスチックス社 製「ノバミッド 1007J」。
A−3)ポリアミド6:粘度数=150ml/g、三菱エンジニアリングプラスチックス 社製「ノバミッド 1015J」。
A−4)ポリアミド66:粘度数=118ml/g、東レ社製「アミラン E−3000 」。
B)シアヌル酸メラミン:大垣化成社製「MX44」。
【0043】
C−1)ワラストナイトA:NYCO社製「NYAD400−10012」
C−2)ワラストナイトB:NYCO社製「NYAD325」。
C−3)ワラストナイトC:NYCO社製「NYGLOS M3」。
C−4)ワラストナイトD:NYCO社製「NYGLOS 8−10013」。
C−5)ワラストナイトE:NYCO社製「NYGLOS 8」。
C−6)ワラストナイトF:NYCO社製「NYGLOS 4−10013」。
C−7)ワラストナイトG:NYCO社製「NYGLOS 4」
【0044】
【表1】

【0045】
D)シラン系カップリング剤:γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、日本ユニカー製 「A1100」
E−1)カルボン酸アマイド系ワックス離型剤:共栄社化学製「WH255」。
E−2)ポリエチレンワックス系離型剤「三井化学社製ハイワックス110P」。
<物性試験法及び評価方法>
【0046】
*粘度数:JIS K6933−99に従って96%濃硫酸溶媒に1%溶解し、23℃に
て測定した。
*難燃性:5×1/2×1/32(インチ)の大きさの試験片を用い、試験法UL−94
規格に準じて実施した。
*グローワイヤー特性(GWFI):厚さ1.6mmの試験片を用い、試験法IEC60
695−2−12に準拠して測定し、960℃にて基準を満足すれば合格とした。
*耐トラッキング特性(CTI):厚さ3.0mmの試験片を用い、試験法IEC601
12に準拠して測定した。なお、印加電圧は50V単位で実施した。
【0047】
*機械的剛性
(絶乾時の剛性):ISO527に準拠して成形した絶乾状態の引張試験片を、ISO5
27に準拠して引張弾性率測定した。
(吸水時の剛性):ISO527の引張試験片を23℃で水中に2週間浸漬し、95%湿
度下に1週間調湿し、ISO527に準拠して引張弾性率を測定した。
*吸水率:浸漬調湿前後の引張試験片の重量差より求めた。
*ソリ:100φ×1.6mmtの円板を成形し、目視にてソリ量を観察し、以下の基準
で評価した。
○;ソリ量小 △;ソリ量中 ×;ソリ量大
【0048】
[実施例1〜9および比較例1〜11]
表−1又は表−2に示す配合割合(単位は重量部)で、ポリアミド樹脂と各種添加剤をブレンド後、日本製鋼所製TEX30HCT型2軸押出機を用いて、シリンダー温度240〜270℃、スクリュー回転数200rpmの条件下で溶融混練してポリアミド樹脂組成物のペレットを得た。得られたペレットを乾燥後、日本製鋼所製J75ED成形機にて、シリンダー温度を240〜270℃設定、金型温度を80℃設定で射出成形し、上記試験用の各々の試験片を作製した。燃焼性、GWFI、CTIおよび機械的剛性の評価を上記の方法に従って行った。評価結果を表−1または表−2に示した。
【0049】
【表2】

【0050】
【表3】

【0051】
実施例1〜8に示したように、特定の粘度数範囲のポリアミド、特定のアスペクト比と不純物含量のワラストナイトを予め表面処理するか又はシランカップリング剤と共に配合した組成物は、充填剤含量が全組成物中で約50重量%と大量に配合され、且つトリアジン系難燃剤を約3重量%と低配合量であっても、難燃性、グローワイヤー特性(GWFI)、耐トラッキング特性(CTI)に優れ、且つ吸水時の剛性低下が抑制され、品質バランスに極めて優れる。
実施例9は、無処理のワラストナイトを用い且つシランカップリング剤も配合していないため、吸水時の剛性低下が大きいが、難燃性、グローワイヤー特性(GWFI)、耐トラッキング特性(CTI)は優れている。
【0052】
一方、比較例1〜7に示したように、ワラストナイトの強熱減量が大きく硫黄分が多い場合、或いはアスペクト比が大きい場合の組成物は充填剤含量が全組成物中の約50重量%、難燃剤の量が約3重量%では、グローワイヤー特性(GWFI)が不合格となり、耐トラッキング特性(CTI)も400〜450Vである。このようなワラストナイトであっても配合量が少ない比較例6〜8の組成物では、グローワイヤー特性は合格となるものの、耐トラッキング性は実施例組成物に及ばない。また粘度数が大きいポリアミド樹脂を用いた比較例9、ワラストナイトを大量に用いた比較例10の場合もグローワイヤ−特性は不合格となる。比較例11は離型剤種の違いの影響を確認したものであるが、実施例8の処方でアマイド系ワックスの代わりに、ポリエチレンワックスを用いることにより、燃焼性、グローワイヤー特性(GWFI)、耐トラッキング特性(CTI)が影響を受けている。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明組成物は、難燃性、グローワイヤー特性、トラッキング特性に優れたポリアミド樹脂組成物であり、電気配線に組み込まれる安全ブレーカーや漏電遮断機用途等の電気・電子部品に適している。吸湿時の剛性低下が少なく、低ソリであるため、特に機械的負荷の高い機構部品においても使用可能となる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも(A)粘度数70〜130ml/gのポリアミド樹脂100重量部、(B)トリアジン系難燃剤0.5〜20重量部及び(C)ケイ酸カルシウム系充填剤10〜120重量部を配合してなる組成物であって、該(C)ケイ酸カルシウム系充填剤が、(i)強熱減量1.7重量%以下、硫黄含量1000ppm以下であり、(ii)組成物中に分散した状態でアスペクト比が1.5〜8の範囲にあることを特徴とする難燃性ポリアミド樹脂組成物。
【請求項2】
更に(D)シラン系カップリング剤を、0.01〜2重量部を配合することを特徴とする請求項1に記載の難燃性ポリアミド樹脂組成物。
【請求項3】
(A)ポリアミド樹脂が、ポリアミド6樹脂又ポリアミド66樹脂を主構成単位としたポリアミド樹脂であることを特徴とする請求項1又は2に記載の難燃性ポリアミド樹脂組成物。
【請求項4】
更に(E)アマイド系ワックス又はビスアミドから選ばれるアミド系離型剤を、(A)ポリアミド樹脂100重量部に対し、0.01〜0.5重量部配合することを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の難燃性ポリアミド樹脂組成物。
【請求項5】
請求項1〜4の何れかに記載のポリアミド樹脂組成物を成形してなる電気・電子機器部品。


【公開番号】特開2006−306913(P2006−306913A)
【公開日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−127737(P2005−127737)
【出願日】平成17年4月26日(2005.4.26)
【出願人】(594137579)三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社 (609)
【Fターム(参考)】