説明

難燃性ポリエステル共重合体組成物および難燃性ポリエステル繊維

【課題】接炎時の耐ドリップ性が改善されると共に自己消火性も兼ね備え、かつ良好な物性や耐熱性を有する難燃性ポリエステル繊維などを与えることのできる難燃性ポリエステル共重合体組成物および難燃性ポリエステル繊維の提供。
【解決手段】特定のホスファフェナンスレン系リン化合物がポリエステル共重合体組成物中のリン原子の含有量として0.3〜1.5重量%および特定の有機スルホン酸塩がポリエステル共重合体を構成する全酸成分(前記有機スルホン酸塩を除く)に対して0.05〜0.5モル%となる量共重合されており、かつ層状化合物がポリエステル共重合体組成物に対して0.1〜5重量%となる量含有されている難燃性ポリエステル共重合体組成物およびそれを用いた繊維。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は難燃性ポリエステル共重合体組成物および難燃性ポリエステル繊維に関するものである。さらに詳細には耐溶融滴下性(耐ドリップ性)と自己消火性に優れた難燃性ポリエステル共重合体組成物および難燃性ポリエステル繊維に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、各種有機高分子材料に対して難燃性の付与が要求され、種々の技術が開発されている。ポリエステルは多くの優れた特性を有するがゆえに繊維、フィルム、樹脂として広く用いられているが、燃焼性が「可燃性」に分類され、空気中で燃焼する。このため従来からポリエステルの難燃性を高める方法が種々開発されている。例えばポリエチレンテレフタレートを主とするポリエステル繊維ついて説明すると、その難燃性を高める方法として(1)後加工法、(2)ブレンド法、(3)共重合法の3つの方法が知られている。
【0003】
(1)の後加工法は糸や織編物で処理する方法であり、ハロゲン系難燃剤を浴中法またはパディング法により繊維に吸尽もしくは付着させる方法(特許文献1参照)や、地球環境保全に対する意識の高まりから、より環境負荷の少ない難燃加工技術としてリン系難燃剤を浴中法またはパディング法により繊維に吸尽もしくは付着させる方法(特許文献2参照)が提案されている。(2)のブレンド法は難燃剤をポリエステルの製造段階もしくは紡糸段階でポリマーに練り込む方法であるが、技術的に種々の困難性があり、実用化された例は少ない。(3)の共重合法としては、リンを含む共重合性のモノマー(難燃剤)をポリエステルの製造段階で反応系に添加してポリエステルにランダムに共重合する方法が実用化されており、このようなモノマーとしてはカルボキシホスフィン酸系化合物(特許文献3参照)やホスファフェナンスレン系化合物(特許文献4参照)が提案されている。
【0004】
一方、カチオン染料可染性の難燃性ポリエステル繊維として、上記ホスファフェナンスレン系化合物とスルホン酸金属塩基を有するイソフタル酸とを共重合したポリエステル繊維が提案されている(特許文献5〜8参照)。
【0005】
しかしながら、上記した方法はいずれもリン化合物の特徴である自己消火性とリン化合物による溶融粘度低下に基づく溶融ドリップ促進効果により繊維が溶融滴下して火源から除かれる作用効果によるドリップ促進型の難燃性付与方法であり、溶融を阻害する混紡繊維製品への適用が難しいことや、皮膚に付着すると火傷の危険性があり、しかもドリップによる二次延焼火災の危険性があるという問題があった。
【0006】
さらに、上記のカチオン染料可染性の難燃性ポリエステル繊維においては、スルホン酸金属塩基を有するイソフタル酸を相当量使用することに起因して、溶融紡糸時の工程通過性が不良化し、また得られる繊維の強度などの繊維物性や耐熱性などが劣ったものになるという問題点があった。
【0007】
また、ポリエーテルおよび/またはシラン化合物で処理された層状化合物と熱可塑性ポリエステル樹脂とを含有するポリエステル組成物もしくは該層状化合物とリン系難燃剤が共重合されてなる熱可塑性ポリエステル樹脂とを含有するポリエステル組成物より形成されてなる、耐ドリップ性が改善された難燃性ポリエステル系繊維が提案されている(特許文献9参照)。しかしながら、この提案この提案によっても燃焼時の耐ドリップ性および難燃性の改善効果がいずれも不充分である。
このような背景から、接炎時の耐ドリップ性が改善されると共に自己消火性も兼ね備え、かつ良好な物性を有する難燃性ポリエステル繊維が望まれていた。
【0008】
【特許文献1】特開昭62−57985号公報
【特許文献2】特開2001−11775号公報
【特許文献3】特公昭53−13479号公報
【特許文献4】特公昭55−41610号公報
【特許文献5】特開昭56−106921号公報
【特許文献6】特開2004−107516号公報
【特許文献7】特開2005−162817号公報
【特許文献8】特開2005−320533号公報
【特許文献9】WO2002/086209号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記背景に鑑みなされたもので、その目的は、接炎時の耐ドリップ性が改善されると共に自己消火性も兼ね備え、かつ良好な物性や耐熱性を有する難燃性ポリエステル繊維などを与えることのできる難燃性ポリエステル共重合体組成物および難燃性ポリエステル繊維を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者は、上記目的を達成すべく、上記したホスファフェナンスレン系化合物を共重合したポリエステルに着目して種々検討した結果、該ホスファフェナンスレン系化合物の特定量を共重合すると共にスルホン酸塩基を有するイソフタル酸の少量を共重合した、実質的にカチオン染料に非染性ポリエステル共重合体に対して特定量の層状化合物を含有させてなるポリエステル共重合体組成物によって、驚くべきことに、耐ドリップ性および難燃性が相乗効果的に著しく改善され、かつ良好な物性や耐熱性をも有する難燃性ポリエステル共重合体組成物が得られ、本発明の目的が達成できること見出した。本発明はこれらの知見に基づきさらに検討を繰り返した結果完成したものである。
【0011】
すなわち、本発明は、以下の難燃性ポリエステル共重合体組成物および該難燃性ポリエステル共重合体組成物からなる繊維に係るものである。
【0012】
1.下記一般式(1)
【化1】

(式中、Rは1価のエステル形成性官能基であり、R、Rは同一又は異なる基であって、それぞれ1価の炭素原子数1〜10の炭化水素基およびRより選ばれ、Aは2価もしくは3価の有機残基を示す。n1は1または2であり、n2、n3はそれぞれ0〜4の整数を表わす。)で表わされる有機リン化合物がポリエステル共重合体組成物中のリン原子の含有量として0.3〜1.5重量%および下記一般式(2)
【化2】

(式中、Zは3価の芳香族炭化水素基または脂肪族炭化水素基、Xはエステル形成性官能基、XはXと同一もしくは異なるエステル形成性官能基あるいは水素原子、Mはアルカリ金属、アルカリ土類金属または第4級ホスホニウム、mは1または2を示す。)で表わされる有機スルホン酸塩がポリエステル共重合体を構成する全酸成分(前記有機スルホン酸塩を除く)に対して0.05〜0.5モル%となる量共重合されており、かつ層状化合物がポリエステル共重合体組成物に対して0.1〜5重量%となる量含有されている難燃性ポリエステル共重合体組成物。
2.上記1に記載の層状化合物の平均粒径が5〜100nmの範囲にある上記1記載の難燃性ポリエステル共重合体組成物。
3.上記1に記載の層状化合物が層状ケイ酸塩である上記1記載の難燃性ポリエステル共重合体組成物。
4.窒素雰囲気下において室温から10℃/分の昇温速度で加熱したときの600℃到達時点における加熱残分量が15重量%以上、かつ空気雰囲気下において室温から10℃/分の昇温速度で加熱したときの減量開始温度が405℃以上である、上記1〜3のいずれかに記載の難燃性ポリエステル共重合体組成物。
5.上記1〜4記載のいずれかに記載の難燃性ポリエステル共重合体組成物を溶融紡糸してなる、LOI値が27以上である難燃性ポリエステル繊維。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、燃焼時にドリップを抑制する難燃性の高いポリエステル共重合体組成物を得ることができ、繊維、フィルム、樹脂などの成形体になした時に耐ドリップ型の優れた難燃性を有し、かつ良好な物性と耐熱性をもつ成形体を得ることができる。本発明のポリエステル共重合体組成物を溶融紡糸して製造したポリエステル繊維は、従来のドリップ型難燃性ポリエステル繊維とは異なり耐ドリップ型の難燃性を呈するため、着炎部分のドリップが抑制される。このため、着炎物や溶融物による火傷や延焼の危険性を防ぐことができるので、カーテン、インテリア、椅子張りなどのホーム・リビングテキスタイル用途、衣料用途、産業用途などで好適に用いることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明でいうポリエステルとは、テレフタル酸を主たる二官能性カルボン酸成分とし、エチレングリコール、ブチレングリコール、トリメテレングリコールなどを主たるグリコール成分とするポリアルキレンテレフタレート系ポリエステルを主たる対象とする。
【0015】
かかるポリエステルは任意の方法によって合成される。代表的なポリエステルであるポリエチレンテレフタレート(PET)の場合、通常、テレフタル酸とエチレングリコールとを直接エステル化反応させるか、テレフタル酸ジメチルの如きテレフタル酸の低級アルキルエステルとエチレングリコールとをエステル交換反応させるか又はテレフタル酸とエチレンオキサイドとを反応させるかしてテレフタル酸のグリコールエステルおよび/又はその低重合体を生成させる第一段階の反応と、第一段階の反応生成物を減圧下加熱して所望の重合度になるまで重縮合反応させる第二段階の反応によって製造される。
【0016】
本発明の難燃性ポリエステル共重合体においては、上記ポリエステルに、第1の必須共重合成分として下記一般式(1)で表わされるホスファフェナンスレン系の有機リン化合物が共重合されていることが必要である。
【0017】
【化3】

【0018】
式(1)中において、Rは1価のエステル形成性官能基であり、R、Rは同一又は異なる基であって、それぞれ1価の炭素原子数1〜10の炭化水素基およびRより選ばれ、Aは2価もしくは3価の有機残基を示す。n1は1または2であり、n2、n3はそれぞれ0〜4の整数を表わす。
【0019】
かかる有機リン化合物の好ましい具体例としては、下記式(a)〜(c)で表わされる化合物およびそれらのジ(β―ヒドロキシエチル)エステルなどがあげられる。
【0020】
【化4】

【0021】
上記の第1必須共重合成分である有機リン化合物の共重合量はポリエステル共重合体組成物中のリン原子の含有量として0.3〜1.5重量%の範囲となる量である必要がある。好ましいリン原子の含有量は0.5〜1.0重量%の範囲、より好ましくは0.6〜0.9重量%の範囲である。この有機リン化合物の共重合量があまりに少ないと得られるポリエステル共重合体組成物の自己消火性が不充分なものになる。一方、有機リン化合物の共重合量が多すぎると耐ドリップ性が不足するようになるので、本発明の目的を達成し難い。
【0022】
本発明の難燃性ポリエステル共重合体組成物には上記有機リン化合物の他に下記一般式(2)で表わされる有機スルホン酸塩が第2の必須共重合成分として共重合されている。
【0023】
【化5】

【0024】
上記一般式(2)において、Zは芳香族炭化水素基または脂肪族炭化水素基、Xはエステル形成性官能基、XはXと同一もしくは異なるエステル形成性官能基あるいは水素原子、Mはアルカリ金属、アルカリ土類金属または第4級ホスホニウム、mは1または2を示す。
【0025】
すなわち、上記一般式(2)のZは、芳香族炭化水素基または脂肪族炭化水素基であり、好ましくは炭素数6〜15の芳香族炭化水素基または炭素数10以下の脂肪族炭化水素基である。特に好ましいZは、炭素数6〜12の芳香族炭化水素基、とりわけベンゼン環である。また、Mはアルカリ金属、アルカリ土類金属または第4級ホスホニウムであり、mは1または2である。なかでもMがアルカリ金属(例えばリチウム、ナトリウムまたはカリウム)または第4級ホスホニウムであり、かつmが1であるものが好ましい。
【0026】
は上述のようにエステル形成性官能基を示し、XはXと同一もしくは異なるエステル形成性官能基を示すかあるいは水素原子を示すが、エステル形成性官能基であるのが好ましい。かかるエステル形成性官能基としてはポリエステル共重合体の主鎖または末端に反応して結合する基であればよく具体的には下記の基を挙げることができる。
【0027】
【化6】

(上記式中、R’は低級アルキル基またはフェニル基を示し、aおよびdは1〜10の整数を示し、bは2〜6の整数を示す。)
【0028】
上記一般式(2)で表わされる有機スルホン酸塩の好ましい具体例としては、3,5−ジカルボメトキシベンゼンスルホン酸ナトリウム、3,5−ジカルボメトキシベンゼンスルホン酸カリウム、3,5−ジカルボメトキシベンゼンスルホン酸リチウム、3,5−ジカルボキシベンゼンスルホン酸ナトリウム、3,5−ジカルボキシベンゼンスルホン酸カリウム、3,5−ジカルボキシベンゼンスルホン酸リチウム、3,5−ジ(β−ヒドロキシエトキシカルボニル)ベンゼンスルホン酸ナトリウム、3,5−ジ(β−ヒドロキシエトキシカルボニル)ベンゼンスルホン酸カリウム、3,5−ジ(β−ヒドロキシエトキシカルボニル)ベンゼンスルホン酸リチウム、2,6−ジカルボメトキシナフタレン−4−スルホン酸ナトウリム、2,6−ジカルボメトキシナフタレン−4−スルホン酸カリウム、2,6−ジカルボメトキシナフタレン−4−スルホン酸リチウム、2,6−ジカルボキシナフタレン−4−スルホン酸ナトリウム、2,6−ジカルボメトキシスフタレン−1−スルホン酸ナトリウム、2,6−ジカルボメトキシナフタレン−3−スルホン酸ナトリウム、2,6−ジカルボメトキシナフタレン−4,8−ジスルホン酸ナトリウム、2,6−ジカルボキシナフタレン−4,8−ジスルホン酸ナトリウム、2,5−ビス(ヒドロエトキシ)ベンゼンスルホン酸ナトリウム、m−Naスルホ安息香酸メチル、m−Naスルホ安息香酸、α−ナトリウムスルホコハク酸、3,5−ジカルボキシベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム、3,5−ジカルボキシベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム、3,5−ジカルボキシベンゼンスルホン酸エチルトリブチルホスホニウム、3,5−ジカルボキシベンゼンスルホン酸ベンジルトリブチルホスホニウム、3,5−ジカルボキシベンゼンスルホン酸フエニルトリブチルホスホニウム、3,5−ジカルボキシベンゼンスルホン酸テトラフエニルホスホニウム、3,5−ジカルボキシベンゼンスルホン酸ブチルトリフエニルホスホニウム、3,5−ジカルボキシベンゼンスルホン酸ベンジルトリフエニルホスホニウム、3,5−ジカルボメトキシベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム、3,5−ジカルボメトキシベンゼンスルホン酸エチルトリブチルホスホニウム、3,5−ジカルボメトキシベンゼンスルホン酸ベンジルトリブチルホスホニウム、3,5−ジカルボメトキシベンゼンスルホン酸フエニルトリブチルホスホニウム、3,5−ジカルボメトキシベンゼンスルホン酸テトラフエニルホスホニウム、3,5−ジカルボメトキシベンゼンスルホン酸エチルトリフエニルホスホニウム、3,5−ジカルボメトキシベンゼンスルホン酸ブチルトリフエニルホスホニウム、3,5−ジカルボメトキシベンゼンスルホン酸ベンジルトリフエニルホスホニウム、3−カルボキシベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム、3−カルボキシベンゼンスルホン酸テトラフエニルホスホニウム、3−カルボメトキシベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム、3−カルボメトキシベンゼンスルホン酸テトラフエニルホスホニウム塩、3,5−ジ(β−ヒドロキシエトキシカルボニル)ベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム、3,5−ジ(β−ヒドロキシエトキシカルボニル)ベンゼンスルホン酸テトラフエニルホスホニウム、3−(β−ヒドロキシエトキシカルボニル)ベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム、3−(β−ヒドロキシエトキシカルボニル)ベンゼンスルホン酸テトラフエニルホスホニウム、4−ヒドロキシエトキシベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム、2,6−ジカルボキシナフタレン−4−スルホン酸テトラブチルホスホニウム、m−テトラブチルホスホニウムスルホ安息香酸メチル、m−テトラブチルホスホニウムスルホ安息香酸、α−テトラブチルホスホニウムスルホコハク酸等をあげることができる。上記有機スルホン酸塩は1種のみを単独で用いても、2種以上併用してもよい。
【0029】
かかる有機スルホン酸塩をポリエステル共重合体に共重合させる割合は、ポリエステル共重合体を構成する全酸成分(ただし有機スルホン酸塩を除く)に対して0.05モル%以上0.5モル%未満の範囲であり、0.1〜0.4モル%の範囲が好ましい。共重合割合が0.05モル%より少ないと得られるポリエステル共重合体の耐ドリップ性が不足するようになり、0.5モル%を超えるとポリエステル共重合体の自己消火性が不充分なものになるばかりでなく、最終的に得られる繊維などの成形体において、強度などの物性や耐熱性が低下するようになる。
【0030】
このように上記の有機リン化合物と有機スルホン酸塩とをそれぞれ特定量共重合したときに限り、耐ドリップ性と自己消火性を兼ね備えた共重合体となるという格別の効果が発現するのであり、このことは本発明者らにとっても予想外のことであった。
【0031】
本発明のポリエステル共重合体は、有機スルホン酸塩の共重合量が少ないために実質的にカチオン染料に非染性である。本発明においてカチオン染料に非染性とは、後述する実施例に記載する染色方法で染色したとき、該染色後の染色評価が評点3以下となるものをいう。
【0032】
上記の有機リン化合物および有機スルホン酸塩をポリエステル中に共重合するには、前述したポリエステルの合成が完了する以前の任意の段階で、好ましくは上記第二段階の反応の初期、具体的には反応生成物の固有粘度が0.3dl/gに到達する以前の任意の段階で添加すればよい。
【0033】
本発明の難燃性ポリエステル共重合体組成物には層状化合物が含有されている必要がある。層状化合物とは、二次元的に強く結合した原子が板状の層を作り、この層が積み重なって、結晶になった化合物であり、層と層の結びつきが弱いために、層間にイオンや分子を取り込み易く、また層間の剥離が可能であるという特徴を持っている。本発明における具体的な層状化合物とは、ケイ酸塩、リン酸ジルコニウムなどのリン酸塩チタン酸カリウムなどのチタン酸塩、タングステン酸ナトリウムなどのタングステン酸塩、ウラン酸ナトリウムなどのウラン酸塩、バナジウム酸カリウムなどのバナジウム酸塩、モリブデン酸マグネシウムなどのモリブデン酸塩、ニオブ酸カリウムなどのニオブ酸塩、黒鉛からなる群より選択される1種以上の化合物があげられる。なかでも、入手の容易性、取り扱い性の点から層状ケイ酸塩が好ましい。
【0034】
上記の層状ケイ酸塩としては、主として酸化ケイ素の四面体シートと主として金属水酸化物の八面体シートから形成され、たとえば、スメクタイト族粘土および膨潤性雲母などがあげられる。
【0035】
上記スメクタイト族粘土は下記一般式(3)で表わされる、天然または合成されたものである。
【化7】

【0036】
上記一般式(3)中、XはK、Na、1/2Caおよび1/2Mgからなる群より選ばれる1種以上であり、YはMg、Fe、Mn、Ni、Zn、Li、AlおよびCrからなる群より選ばれる1種以上であり、ZはSiおよびAlからなる群より選ばれる1種以上(但し、ZがAlだけの場合を除く)である。なお、HOは層間イオンと結合している水分子を表わすが、nは層間イオンおよび相対湿度に応じて著しく変動する。
【0037】
かかるスメクタイト族粘土の具体例としては、たとえば、モンモリロナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、鉄サポナイト、ヘクトライト、ソーコナイト、スチブンサイト、ベントナイトなど、またはこれらの置換体、誘導体あるいはこれらの混合物があげられる。なかでも、層状化合物の層間の剥離性、難燃性ポリエステル共重合体組成物中における微分散性の点でモンモリロナイト、ヘクトライト、ベントナイトが好ましい。
【0038】
また、膨潤性雲母は下記一般式(4)で表わされる、天然または合成されたものである。
【化8】

【0039】
上記一般式(4)中、XはLi、Na、K、Rb、Ca、BaおよびSrからなる群より選ばれる1種以上であり、YはMg、Fe、Mn、Ni、LiおよびAlからなる群より選ばれる1種以上であり、ZはSi、Ge、Fe、BおよびAlからなる群より選ばれる1種以上(但し、ZがGe、Fe、BおよびAlだけの場合を除く)である。これらは、水、水と任意の割合で相溶する極性溶媒または水と前記極性溶媒の混合溶媒中で膨潤する性質を有する。たとえば、リチウム型テニオライト、ナトリウム型テニオライト、リチウム型四ケイ素雲母、ナトリウム型四ケイ素雲母など、またはこれらの置換体、誘導体あるいはこれらの混合物があげられる。なかでも、層状化合物の層間の剥離性、ポリエステル共重合体組成物中における微分散性の点でリチウム型四ケイ素雲母、ナトリウム型四ケイ素雲母が好ましい。
【0040】
上記の膨潤性雲母の中には、バーミキュライト類と似通った構造を有するものもあり、このようなバーミキュライト類相当品なども使用し得る。前記バーミキュライト類相当品には3八面体型と2八面体型がある。ここで、3八面体型とは、金属イオンを6つのOHまたはO2−が囲んだ八面体が稜を共有して2次元的に広がった八面体シートのうち、2価の金属イオンを含む八面体の金属イオン位置すべてが満席になっているものをいい、2八面体型とは3価の金属イオンを含む八面体のように八面体の金属イオン位置の3分の1が空席になっているものをいう。
【0041】
上記の層状ケイ酸塩の結晶構造は、板状の結晶構造を有しており、板状結晶の面内の直交する二軸をa軸、b軸といい、板状結晶面に垂直に交差する軸をc軸という。本発明においてはc軸方向に規則正しく積み重なった純粋度が高いものが好ましいが、結晶周期が乱れ、複数種の結晶構造が交じり合った、いわゆる混合層鉱物も使用され得る。
【0042】
上記の層状ケイ酸塩は1種のみを単独で用いても、2種以上併用してもよい。なかでも、モンモリロナイト、ベントナイト、ヘクトライトまたは層間にナトリウムイオンを有する膨潤性雲母を好ましいものとして挙げることができる。
【0043】
上記の層状化合物は前述したポリエステル共重合体の重合段階から繊維、フィルム、樹脂などの成形体に溶融成形されるまでの任意の過程で添加すればよく、重合添加法、溶融混練法、マスターバッチ法等による製造方法が任意に適用される。
【0044】
重合添加法を適用する場合は、たとえば、層状化合物と分散媒とを予め公知の湿式攪拌機を用いて攪拌混合して分散液となし、前述したポリエステルの合成が完了する以前の任意の段階で、好ましくは第2段階の反応の初期以前の任意の段階で添加すればよい。この際、分散媒としてはエチレングリコールなどの極性溶媒が好ましく採用される。また該湿式攪拌機としては、攪拌翼が高速回転して攪拌する高速攪拌機、高剪断断速度がかかっているローターとステーター間の間隙で試料を湿式粉砕する湿式ミル類、硬質媒体を利用した機械的湿式粉砕機類、ジェットノズルなどで試料を高速度で衝突させる湿式衝突粉砕機類、超音波を用いる湿式超音波粉砕機などが好ましく採用される。
【0045】
また、溶融混合法を適用する場合は、前記ポリエステル共重合体および層状化合物とを種々の一般的な混練機を用いて溶融混練する方法が好ましく採用される。混練機の例としては、一軸押し出し機、二軸押し出し機、ロール、バンバリーミキサー、ニーダーなどがあげられ、とくに剪断効率の高い混練機が好ましい。
【0046】
本発明において、上記の層状化合物の含有量はポリエステル共重合体組成物に対して0.1〜5重量%の範囲であり、好ましくは0.3〜3重量%の範囲、さらに好ましくは0.5〜2重量%の範囲である。層状化合物の含有量が0.1重量%より少ないと得られるポリエステル共重合体組成物の耐ドリップ性と自己消火性が不足するようになり、5重量%を超えると最終的に得られる繊維などの成形体の物性や成形性が低下するようになる。
【0047】
かかる層状化合物はポリエステル共重合体組成物中において、後述の透過型電子顕微鏡観察で1000個の層状化合物の面積円相当径を求めた、それらの平均値である平均粒径が5〜100nm、さらに7〜60nm、特に10〜30nmの範囲にあることが好ましい。この平均粒径が上記範囲にあることで、より耐ドリップ性および自己消火性を向上でき、さらに最終的に得られる繊維などの成形体の物性や成形性を向上させることができる。
【0048】
本発明の難燃性ポリエステル共重合体組成物には必要に応じて任意の添加剤、たとえば着色防止剤、耐熱剤、艶消剤、着色剤、粒子等が含まれていてもよい。
このようにして製造される難燃性ポリエステル共重合体組成物は、TGA熱重量測定装置を用いた分析において、窒素雰囲気下で室温から10℃/分の昇温速度で加熱したときの600℃到達時点における加熱残分量が15重量%以上、特に20〜25重量%であって、かつ空気雰囲気下で室温から10℃/分の昇温速度で加熱したときの減量開始温度が405℃以上、特に410〜415℃であることが、耐ドリップ型の難燃性を得る上で好ましい。このような好ましい特性を有する共重合体は、各共重合成分の共重合比や層状化合物の含有量を適宜調整することにより得ることが出来る。
【0049】
本発明の難燃性ポリエステル共重合体組成物を成形するには、格別の方法を採用する必要はなく、通常のポリエステルの溶融成形法が任意に採用される。たとえば、繊維になす場合、紡出する繊維は中空部を有しない中実繊維であっても、中空部を有する中空繊維であってもよい。また紡出する繊維の横断面における外形や中空部の形状は、円形であっても異形であってもよい。製糸方法としては、500〜2500m/分の速度で溶融紡糸し、延伸・熱処理する方法、1500〜5000m/分の速度で溶融紡糸し、延伸・仮撚加工を同時に又は引続いて行う方法、5000m/分以上の高速で溶融紡糸し、用途によっては延伸工程を省略する方法等の製糸条件を任意に採用すればよい。
【0050】
このようにして難燃性ポリエステル共重合体組成物から溶融紡糸法によって製造された難燃性ポリエステル繊維は、LOI値(限界酸素指数)が27以上、特に28〜31の範囲内であることが好ましい。繊維のLOI値(限界酸素指数)が27未満では他繊維と混用する用途分野などにおいて難燃性が不足する場合があるので好ましくない。
【0051】
本発明の難燃性ポリエステル共重合体組成物は、フィルムやシート等の成形物にすることもでき、その際任意の成形条件を採用することができる。例えば製膜後一方向のみに張力をかけて異方性を持たせる方法、同時に又は任意の順序で二方向に延伸する方法、二段以上の多段延伸する方法等任意の条件が採用される。
【0052】
かくして本発明によれば、燃焼時にドリップを抑制する難燃性の高いポリエステル共重合体を得ることができ、繊維、フィルム、樹脂などの成形体になしたときに耐ドリップ型の優れた難燃性の成形体を得ることができる。そして、本発明のポリエステル共重合体を溶融紡糸して製造したポリエステル繊維は、従来のドリップ型難燃性ポリエステル繊維とは異なり、耐ドリップ型の難燃性を呈するため、着炎部分のドリップが抑制される。このため、着炎物や溶融物による火傷や延焼の危険性を防ぐことができるので、カーテン、インテリア、椅子張りなどのホーム・リビングテキスタイル用途、衣料用途、産業用途などで好適に用いることができる。
【実施例】
【0053】
以下、実施例および比較例をあげて本発明を具体的に説明する。ただし、本発明はこれらによって何ら限定されるものではない。なお、実施例、比較例中の部および%は、特に断らない限り、それぞれ重量部および重量%を示す。また、各測定値は以下の方法で測定される値である。
【0054】
(1)600℃到達時点における加熱残分量:
TGA熱重量測定装置(メトラートレド社製熱重量測定装置TGA851e)を用いた分析において、乾燥ポリマー試料を窒素雰囲気下で室温から10℃/分の昇温速度で加熱したときの600℃到達時点における加熱残分量を室温における測定開始時の試料重量に対する値で表示した。
【0055】
(2)減量開始温度:
TGA熱重量測定装置(メトラートレド社製熱重量測定装置TGA851e)を用い、乾燥ポリマー試料を空気雰囲気下で室温から10℃/分の昇温速度で加熱したときの熱重量曲線を測定し、JIS K 7120に従って減量開始温度を求めた。
【0056】
(3)層状化合物の平均粒径:
チップ状態の樹脂組成物は、そのチップ状に成形する際の樹脂組成物の押出方向に直交する方向に、それぞれ存在する層状化合物の平均粒径より大きく、その平均粒径の数倍程度の厚さ以内、すなわち数十nmないし数百nmの厚みにウルトラミクロトームでスライスする。なお、樹脂組成物が繊維の場合は繊維軸方向に直交する方向、また樹脂組成物がフィルムや中空成形体などの場合は、製膜もしくは成形するときの押出方向に直交する方向にウルトラミクロトームでスライスする。そのスライスした超薄切片を透過型電子顕微鏡で数千倍〜10万倍程度に拡大して、層状化合物1000個について個々の面積円相当径を求め、それらの平均値を層状化合物の平均粒径とした。
【0057】
(4)糸強度:
オリエンテック社製テンシロンRTC−1210A型を用いた引張試験を行い、その強伸度曲線から求めた(糸長20cm、引張速度20cm/分)。
【0058】
(5)繊維布帛のLOI値(限界酸素指数):
JIS L 1091(1999年発行) E法 E−3号(ガラス繊維ミシン縫い)に従って測定した。
【0059】
(6)筒編地試料の燃焼試験:
JISL−1091D法(45°コイル法)により筒編地試料の接炎回数(試料4個の
平均接炎回数)を評価した(平均接炎回数が多いほど難燃性が高い)。同時に、JISL−1091D法(45°コイル法)に準じて、10cm幅×1g巻きの筒編地試料がすべて燃え尽きるまでのドリップ回数(試料4個の平均ドリップ回数)を評価した(平均ドリップ回数が少ないほど耐ドリップ性が高い)。
【0060】
[実施例1]
テレフタル酸ジメチル100部、3,5−ジカルボメトキシベンゼンスルホン酸ナトリウム0.16部(テレフタル酸ジメチルに対して0.1モル%)、エチレングリコール60部、酢酸マンガン4水塩0.06部(テレフタル酸ジメチルに対して0.03モル%)、整色剤として酢酸コバルト4水塩0.004部(テレフタル酸ジメチルに対して0.003モル%)およびエーテル副生防止剤として酢酸ナトリウム3水塩0.02部(テレフタル酸ジメチルに対して0.03モル%)をエステル交換缶に仕込み、窒素ガス雰囲気下4時間かけて140℃から220℃まで昇温して生成するメタノールを系外に留去しながらエステル交換反応を行った。エステル交換反応終了後、安定剤としてリン酸トリメチル0.026部(テレフタル酸ジメチルに対して0.036モル%)を加えた。次いで10分後に三酸化アンチモン0.04部(テレフタル酸ジメチルに対して0.027モル%)を添加し、さらにその10分後に、予めビーズ式湿式微粒分散粉砕機を用いて攪拌速度1700rpm下3時間循環処理して調製したスメクタイトSWN(コープケミカル製)の2%エチレングリコール分散液50部(ポリエステル共重合体組成物中のスメクタイトSWNとして0.92%)を添加した。同時に過剰のエチレングリコールを追出しながら240℃まで昇温した後重合缶に移した。
【0061】
重合缶に上記式(a)で示される有機リン化合物のジ(β―ヒドロキシエチル)エステルの63%エチレングリコール溶液15.4部(ポリエステル共重合体組成物中のリン原子として0.64%)を添加した後、1時間かけて760Torrから1Torrまで減圧し、同時に1時間30分かけて240℃から280℃まで昇温した。1Torr以下の減圧下、重合温度280℃で更に2時間重合を行った。得られたポリマーを常法に従ってチップ化した。このチップをTGA熱重量測定および燃焼試験に供した。結果を表2に示す。
【0062】
また、このチップを常法に従って乾燥後、孔径0.3mmの円形紡糸孔を24個穿設した紡糸口金を使用して285℃で溶融紡糸した。次いで得られた未延伸糸を、最終的に得られる延伸糸の伸度が30%になるような延伸倍率にて84℃の加熱ローラーと180℃のプレートヒーターを使って延伸熱処理して84デシテックス/24フィラメントで強度は4.3cN/dtexの延伸糸を得た。得られた延伸糸を用いて常法に従って筒編地を製編し、精練、プリセットを施した後LOI値を測定した。結果は表1に示した通りであった。繊維中のスメクタイトSWNの分散状態を透過型電子顕微鏡で観察した結果、スメクタイトSWNは層厚10〜40nm、層長さ30〜120nmの板状で分散していた。
【0063】
[実施例2〜7および比較例1〜4]
実施例1において使用した3,5−ジカルボメトキシベンゼンスルホン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム3水塩およびスメクタイトSWNの使用量を表1記載の量とする以外は実施例1と同様に行った。結果を表1に示す。
【0064】
[実施例8]
実施例1において使用したスメクタイトSWNに代えてスメクタイトSAN(コープケミカル製)を使用する以外は実施例1と同様に行った。結果を表1に示した。
【0065】
[実施例9]
実施例1において使用したスメクタイトSWNに代えて膨潤性雲母ME/e(コープケミカル製)を使用する以外は実施例1と同様に行った。結果を表1に示した。
【0066】
[実施例10]
実施例1において使用した3,5−ジカルボメトキシベンゼンスルホン酸ナトリウムに代えてm−Naスルホ安息香酸を使用すると共にその添加時期をエステル交換反応終了後とする以外は実施例1と同様に行った。結果は表1に示す通りであった。
【0067】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明によれば、燃焼時にドリップを抑制する難燃性の高いポリエステル共重合体組成物を得ることができ、繊維、フィルム、樹脂などの成形体になした時に耐ドリップ型の優れた難燃性の成形体を得ることができる。本発明のポリエステル共重合体組成物を溶融紡糸して製造したポリエステル繊維は、従来のドリップ型難燃性ポリエステル繊維とは異なり耐ドリップ型の難燃性を呈するため、着炎部分のドリップが抑制される。このため、着炎物や溶融物による火傷や延焼の危険性を防ぐことができるので、カーテン、インテリア、椅子張りなどのホーム・リビングテキスタイル用途、衣料用途、産業用途などで好適に用いることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリエステル共重合体と層状化合物とからなるポリエステル共重合体組成物であって、
ポリエステル共重合体は、下記一般式(1)で表わされる有機リン化合物が、組成物の重量を基準として、リン原子量で0.3〜1.5重量%および下記一般式(2)で表わされる有機スルホン酸塩が、ポリエステル共重合体の全酸成分(ただし、前記有機スルホン酸塩を除く)を基準として、0.05〜0.5モル%の範囲で共重合されていること、そして
層状化合物は、組成物の重量を基準として、0.1〜5重量%となる量含有されていること
を特徴とする難燃性ポリエステル共重合体組成物。
【化1】

(式中、Rは1価のエステル形成性官能基であり、R、Rは同一又は異なる基であって、それぞれ1価の炭素原子数1〜10の炭化水素基およびRより選ばれ、Aは2価もしくは3価の有機残基を示す。n1は1または2であり、n2、n3はそれぞれ0〜4の整数を表わす。)
【化2】

(式中、Zは3価の芳香族炭化水素基または脂肪族炭化水素基、Xはエステル形成性官能基、XはXと同一もしくは異なるエステル形成性官能基あるいは水素原子、Mはアルカリ金属、アルカリ土類金属または第4級ホスホニウム、mは1または2を示す。)
【請求項2】
層状化合物はその平均粒径が5〜100nmの範囲にある請求項1記載の難燃性ポリエステル共重合体組成物。
【請求項3】
層状化合物が層状ケイ酸塩である請求項1記載の難燃性ポリエステル共重合体組成物。
【請求項4】
窒素雰囲気下において室温から10℃/分の昇温速度で加熱したときの600℃到達時点における加熱残分量が15重量%以上、かつ空気雰囲気下において室温から10℃/分の昇温速度で加熱したときの減量開始温度が405℃以上である、請求項1〜3いずれか1項記載の難燃性ポリエステル共重合体組成物。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の難燃性ポリエステル共重合体組成物を溶融紡糸してなる、LOI値が27以上である難燃性ポリエステル繊維。

【公開番号】特開2008−308644(P2008−308644A)
【公開日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−160191(P2007−160191)
【出願日】平成19年6月18日(2007.6.18)
【出願人】(302011711)帝人ファイバー株式会社 (1,101)
【Fターム(参考)】