説明

難燃性ポリマー複合体、繊維、カーペット、および各々の製造方法

この開示の態様は難燃性複合体、難燃性ナイロン繊維、難燃性ナイロン繊維カーペット、各々の製造方法などを包含する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願のクロス−リファレンス
この出願は2008年8月15日に出願された暫定出願第61/089240号からの優先権を主張する。
【0002】
開示の分野
この開示は難燃性ポリマー複合体、ポリマー複合体の製造方法、並びに繊維および織物におけるポリマー複合体の応用に関する。
【背景技術】
【0003】
背景
一般的に、カーペットは防火条件に合致しなければならない。この条件は公共建物並びに公共輸送手段、例えば鉄道、巡航船舶、フェリー、大型バス、および航空機、の両者におけるカーペット床カバーに適用される。特に、航空機内のカーペットは米国における連邦航空規則基準FAR 25.853b(垂直火炎試験)または世界の他の国々における同様な規則に合致しなければならない。さらに、カーペットは欧州およびアジア太平洋における煙および有毒気体規則にも合致しなければならない。
【0004】
羊毛カーペットはその難燃性質のために航空機カーペットとして使用されている。しかしながら、羊毛カーペットは劣悪な摩耗特性を生じそして頻繁に交換しなければならないためそれは望ましくない。さらに、羊毛カーペットは充分に許容可能な摩耗性を与えるためには重くなければならず、そのことがより軽いカーペットと比べてより高い航空機燃料消費をもたらす。
【発明の概要】
【0005】
米国および/または世界の他の国々における規則に合致し且つ現在の羊毛カーペットより軽いカーペットを提供するという要望が当業界において存在する。
【発明を実施するための形態】
【0006】
詳細な記述
この開示をより詳細に記述する前に、この開示は記述されている特定の態様に限定されるものではなくそしてそれはもちろん変動しうることを理解すべきである。この開示の範囲は添付された特許請求の範囲によってのみ限定されるため、ここで使用される用語は特定の態様を記述する目的だけのためでありそして限定しようとするものではないことも理解すべきである。
【0007】
値のある範囲が示されている場合には、その概念がそうでないと明白に示されていない限り下限の単位の10分の1までのその範囲の上限および下限の間にある各々の間にある値並びにいずれかの他の言及されたもしくは間にある値が開示内に包括されることを理解すべきである。これらのより小さい範囲の上限および下限は独立してこのより小さい範囲内に包含できそしてこれらも言及された範囲内の具体的に除外される限度に応じてこの開示内に包括される。言及された範囲が限度の一方もしくは両方を包含する場合には、これらの包含される限度のいずれかもしくは両方を除外する範囲もこの開示に包含される。
【0008】
断らない限り、ここで使用される全ての技術的および科学的用語はこの開示が属する技術の専門家により普遍的に理解されているものと同じ意味を有する。ここに記述されているものと同様なもしくは同等ないずれかの方法および物質もこの開示の実施または試験に
おいて使用できるが、好ましい方法および物質を次に記述する。
【0009】
この明細書で引用される全ての文献および特許は、あたかも各々の個別の文献および特許が引用することにより本発明の内容となるように指示されているように、引用することにより本発明の内容となりそして引用することにより本発明の内容となって文献の引用に関連する方法および/または物質を開示および記述する。いずれの文献の引用も出願日の前のその開示に関しておりそしてこの開示がそのような文献を先行開示によってそれ以前のものにする権利を与えない許可であるとはみなすべきでない。さらに、示されている文献の日付は実際の発行日付とは異なることがありえて、独立して確認する必要がありうる。
【0010】
この開示を読んで当業者に明らかになろうが、ここで記述されそして説明される個別の態様の各々はこの開示の範囲または精神から逸脱せずに他の数種の態様のいずれかの特徴から容易に分離することもまたはそれと組み合わせることもできる個別の構成部分および特徴を有する。いずれかの詳述された方法は詳述された事象の順序でまたは理論的に可能ないずれかの他の順序で行うことができる。
【0011】
この開示の態様は、断らない限り、当業者の範囲内にある繊維、織物、カーペットなどを使用するであろう。
【0012】
以下の実施例は当業者に対してここに開示されそして特許請求された方法をどのようにして行いそして指針を使用するかの完全な開示および記述を与えるために示されている。数値(例えば、量、温度など)に関する正確性を確保するために努力を行ったが、ある程度の誤差を考慮すべきである。断らない限り、部数は重量部であり、温度は℃であり、そして圧力は大気圧もしくはその近くである。標準温度および圧力は25℃および1気圧として定義される。
【0013】
この開示の態様を詳細に記述する前に、断らない限り、この開示は特定の物質、試薬、反応物質、製造方法などを、そのようなものが変動しうるため、限定しないことを理解すべきである。ここで使用されている用語は特定の態様を記述する目的だけのものでありそして限定しようとするものでないことも理解すべきである。この開示においては段階を理論的に可能である異なる順序で行えることも可能である。
【0014】
明細書および添付された特許請求の範囲内で使用される際には、単数形「a」、「an」、および「the」は概念が明らかに他のものを記述しない限り複数の指示する対象を包含することに注目すべきである。それ故、例えば、「化合物」の言及は複数の化合物を包含する。明細書中およびそれに続く特許請求の範囲においては、別の意図が明白でない限り以下の意味を有する言及は用語の番号に関しても適用されるであろう。
【0015】
定義
ここで使用される際には、用語「繊維」は布帛および糸並びに織物の製作において使用できるフィラメント状物質をさす。1本もしくはそれ以上の繊維を使用して布帛または糸を製造することができる。糸は当該技術で既知の方法に従い完全に延伸するかまたは織ることができる。ある態様では、表面繊維は房付き(tufted)または織りカーペット用のバルキングされた連続フィラメント(BCF)または短繊維を包含しうる。
【0016】
ここで使用される際には、用語「繊維基質」は繊維または糸を含む織物、カーペット、衣服、家具カバー、カーテン、家具、ベッド、自動車シートカバーなどを包含するが、それらに限定されない。特に、繊維基質は航空機繊維基質、例えば航空機織物、航空機カーペット、航空機シートカバーなどを包含しうる。この開示の態様は不織布またはニードル
フェルトである繊維基質を包含しうることに注目すべきである。
【0017】
ここで使用される際には、用語「カーペット」は表面繊維および裏材を包含する構造体をさすことができる。一次裏材は一次裏材の中で房状にされた糸を有することができる。一次裏材の下側は糸の返し縫を覆うために物質の1つもしくはそれ以上の層(例えば、コーティング層、第二裏材など)を包含しうる。一般に、房付きカーペットはパイル糸、一次裏材、ロックコート、および二次裏材を包含する。一般に、織りカーペットはパイル糸、縦糸、および上部にパイル糸が織られている横糸骨格、並びに裏材を包含する。カーペットの態様は織物、不織物、およびニードルフェルトを包含しうる。ニードルフェルトは不織シートとして接着した繊維を有する裏材を包含しうる。不織カバーは異なっているかまたは同様な物質の裏材および表面を有することができる。
【0018】
ここで使用される際には、用語「一次裏材」および/または「二次裏材層」は織物または不織物をさすことができる。織物は天然物質または合成物質でありうる。織物は木綿、レーヨン、麻、羊毛、ポリオレフィン類(例えば、ポリプロピレンおよびポリエチレン)、ポリエステル、コーティングされたガラス繊維、熱分解されたポリプロピレン、および/またはポリアミドを包含しうるが、それらに限定されない。不織物質は例えばポリプロピレン、レーヨン、ポリエチレン、ポリエステル、ポリアミド、およびそれらの組み合わせ、それらの配合物などを包含しうるが、それらに限定されない。
【0019】
ここで使用される際には、用語「裏材」は一次裏材、二次裏材、コーティング層、それらの組み合わせなどをさす。
【0020】
用語「ロックコート」は繊維内で固定するためにカーペットの裏側に置かれたコーティングをさす。ロックコートは垂直燃焼試験に合格するのに充分な速さで垂直燃焼しているカーペットピースの自己消火を可能にする物質および添加剤で改質されうる。ある態様では、エチレンビニルアセテート(EVA)はカーペット産業のその他において一般的であるSBRラテックスより少なく発煙する傾向があるため、それが航空機カーペット用に使用される。これらの改質は、化学剤を例えばアルミナ三水和物(ATH)、赤色燐、または他の難燃剤の如きロックコートの中に混合することを包含しうる。これらは発火後の最長期間内での自己消火を要求する後燃焼時間の合格を可能にするが、ナイロン66表面繊維では燃焼並びにくすぶりに関する煙および毒性試験の両方に合格することは難しい。
【0021】
用語「難燃性」は発火源が除かれた後に安全限度を超える火炎の伝搬点に至る燃焼が可能でないとして定義される。
【0022】
用語「難燃性カーペット」はここでは発火後に注意深く調節された条件下でカーペットが自己消火することを意味するために使用される。
【0023】
難燃性カーペットの1つの試験方法は連邦航空協会から入手可能なFAR 25.853 Appendix F,Part 1,12 Secondsに記述されている「FAA垂直燃焼試験」と称される。床カバーに関しては、FAAは平均燃焼長さが8インチを越えてはならずそして火炎源の除去後の平均炎上時間は15秒間を越えてはならないことを要求している。さらに、試験試料からのしずくは落下後平均5秒間より長く炎上し続けてはならない。
【0024】
議論
この開示の態様は難燃性複合体、難燃性繊維、難燃性繊維カーペット、各々の製造方法などを包含する。さらに、この開示の態様は難燃性複合体および/または難燃性繊維から製造される繊維基質を包含する。この開示の態様は難燃性複合体繊維および難燃性繊維カ
ーペットを製造するために使用できる難燃性複合体を包含する。
【0025】
この開示の態様は繊維生成ポリマーを用いて製造することができる。繊維生成ポリマーはポリアミド類、ポリエステル類、ポリ乳酸(PLA)、ポリプロピレン(PP)、アクリル類などを包含するが、それらに限定されない。簡単にするために、この開示のある種の態様はポリアミド(例えば、ナイロン)に関して具体的に論じられているが、この開示の態様はポリアミドに限定されない。それ故、この開示のある種の態様に関しては、ポリアミドの用語は他の繊維生成ポリマー、例えば、ポリエステル、で置換されうる。
【0026】
この開示の態様は難燃性複合体、難燃性ナイロン繊維、難燃性ナイロン繊維カーペット、各々の製造方法などを包含する。この開示の態様は難燃性複合体ナイロン繊維および難燃性ナイロン繊維カーペットを製造するために使用できる難燃性複合体を包含する。
【0027】
この開示の態様は難燃性であるため垂直火炎試験の条件に合致しうると同時に煙および有毒気体発生の条件にも合致しうるバルキングされた連続繊維またはステープル繊維を包含するが、それらに限定されない。
【0028】
この開示の態様は、この開示の態様が少なくとも羊毛カーペットより良好な摩耗耐性を有するという理由のために、有利である。さらに、羊毛カーペットと比べて、この開示の態様はより長い寿命を有する。さらに、羊毛カーペットと比べたこの開示の態様のより軽い重量を使用することができ、それは燃料費用を減少させうる。
【0029】
上記のように、この開示の態様は1種もしくはそれ以上のポリアミドポリマー、有機粘土、および無機臭素化合物を含む難燃性複合体を包含する。1種もしくはそれ以上のポリアミドポリマー、有機粘土、および無機臭素化合物に関するさらなる詳細事項は以下に記述される。ある態様では、難燃性複合体はホウ酸亜鉛(例えば、Zn(BO)も包含しうる。ある態様では、難燃性複合体はナイロン6を包含しうる。他の成分を難燃性複合体の態様において使用することができ、そしてこれらは1種もしくはそれ以上の以下のもの:染料、永久的もしくは半永久的な親水性処理剤または仕上げ剤、接着促進剤、帯電防止剤、酸化防止剤、抗微生物剤、脱光沢剤(例えば、二酸化チタン)、光安定剤、重合触媒、艶消し剤、有機燐酸エステル類、光安定剤、熱安定剤、汚染遮断剤、強化もしくは非強化充填剤、顔料、強じん性付与剤(toughener)、異なる糸断面剤(different yarn cross−sections)、およびそれらの組み合わせ、を包含する。
【0030】
他の態様では、難燃性複合体は1種もしくはそれ以上のポリアミドポリマー類(または1種もしくはそれ以上のポリアミドポリマー類を製造するための成分)、有機粘土、および無機臭素化合物より本質的になる。ある態様では、難燃性複合体はホウ酸亜鉛(例えば、Zn(BO)も包含しうる。ある態様では、難燃性複合体はナイロン6を包含しうる。ある態様では、難燃性複合体はホウ酸亜鉛(例えば、Zn(BO)およびナイロン6を包含しうる。難燃性複合体の難燃特性または煙特性に実質的に影響を与えないもしくは与えない成分を難燃性複合体の中で使用することができる。例えば、染料、永久的もしくは半永久的な親水性処理剤または仕上げ剤、接着促進剤、帯電防止剤、酸化防止剤、抗微生物剤、脱光沢剤(例えば、二酸化チタン)、光安定剤、重合触媒、艶消し剤、有機燐酸エステル類、光安定剤、熱安定剤、汚染遮断剤、強化もしくは非強化充填剤、顔料、強じん性付与剤、異なる糸断面剤、およびそれらの組み合わせをこの態様の難燃性複合体の中で使用することができる。
【0031】
他の態様では、この開示は1種もしくはそれ以上のポリアミドポリマー類、有機粘土、および無機臭素化合物を包含する難燃性ナイロン繊維を包含する。ある態様では、難燃性
ナイロン繊維は難燃性複合体から製造することができる。ある態様では、難燃性ナイロン繊維はホウ酸亜鉛(例えば、Zn(BO)を包含しうる。ある態様では、難燃性複合体はナイロン6を包含しうる。1種もしくはそれ以上のポリアミドポリマー類、有機粘土、および無機臭素化合物に関するさらなる詳細は以下に記載される。
【0032】
他の態様では、難燃性ナイロン繊維は1種もしくはそれ以上のポリアミドポリマー類(または1種もしくはそれ以上のポリアミドポリマー類を製造するための成分)、有機粘土、および無機臭素化合物より本質的になる。ある態様では、難燃性ナイロン繊維はホウ酸亜鉛(例えば、Zn(BO)を包含しうる。ある態様では、難燃性複合体はナイロン6を包含しうる。ある態様では、難燃性複合体はホウ酸亜鉛(例えば、Zn(BO)およびナイロン6を包含しうる。難燃性ナイロン繊維の難燃特性または煙特性に実質的に影響を与えないもしくは与えない例えば上記の如き成分を難燃性複合体の中で使用することができる。
【0033】
他の態様では、この開示は1種もしくはそれ以上のポリアミドポリマー類、有機粘土、および無機臭素化合物を包含する難燃性ナイロン繊維カーペットを包含する。ある態様では、難燃性ナイロン繊維カーペットはホウ酸亜鉛(例えば、Zn(BO)を包含しうる。ある態様では、難燃性複合体はナイロン6を包含しうる。特に、難燃性ナイロン繊維カーペットの態様はこの開示の難燃性ナイロン繊維を包含する。ある態様では、難燃性ナイロン繊維は難燃性複合体から製造することができる。1種もしくはそれ以上のポリアミドポリマー類、有機粘土、および無機臭素化合物に関するさらなる詳細は以下に記載される。
【0034】
他の態様では、難燃性ナイロン繊維カーペットは1種もしくはそれ以上のポリアミドポリマー類(または1種もしくはそれ以上のポリアミドポリマー類を製造するための成分)、有機粘土、および無機臭素化合物より本質的になる。ある態様では、難燃性ナイロン繊維カーペットはホウ酸亜鉛(例えば、Zn(BO)を包含しうる。ある態様では、難燃性複合体はホウ酸亜鉛(例えば、Zn(BO)およびナイロン6も包含しうる。ある態様では、難燃性複合体はナイロン6を包含しうる。特に、難燃性ナイロン繊維カーペットの態様はこの開示の難燃性ナイロン繊維を包含する。ある態様では、難燃性ナイロン繊維は難燃性複合体から製造することができる。難燃性ナイロン繊維の難燃特性または煙特性に実質的に影響を与えないもしくは与えない例えば上記の如き成分を難燃性ナイロン繊維カーペットの中で使用することができる。
【0035】
上記の態様の各々において、ポリアミドはナイロン6/6を包含しうる。上記の態様の各々において、ポリアミドはナイロン6/6およびナイロン6を包含しうる。
【0036】
ナイロン6の包含がこの開示の態様の難燃および/または煙特性を強化しうることに注目すべきである。典型的には、ナイロン6が燃焼する時にはそれが高度に発火性である単量体に分解し(Encyclopedia of Polymer Science and Engineering,chapter on“FLAMMABILITY”を参照のこと)そのためにナイロン6は耐燃用途には向かないため、ナイロン6はベースまたは主成分ポリマーとして使用されない。ナイロン6は典型的には航空機カーペット製造に使用されない。ナイロン66は反応の熱分解速度をわずかに遅延させうる複雑な熱分解反応経路を有する。FAAのRichard LyonsはN6がナイロン66より高い熱容量で燃焼することを示すチャートを発表した。従って、航空機カーペット用の好ましい表面繊維ベースポリマーはナイロン66である。
【0037】
この開示の態様に対するある量のナイロン6の添加がこの開示の難燃および煙特性を改良することは、驚くべき結果である。ナイロン6は典型的にはより高い可燃特性を有する
生成物を生成するため、そのような結果は予期されていなかった。
【0038】
ある態様では、ナイロン6を1種もしくはそれ以上の添加剤用の担体としておよび/またはそのままで使用することができる。ある態様では、ナイロン6は難燃性複合体の合計重量を基準として約0.1重量%〜20重量%でありうる。他の態様では、ナイロン6は難燃性複合体の合計重量を基準として約5重量%〜15重量%でありうる。他の態様では、ナイロン6は難燃性複合体の合計重量を基準として約10重量%〜15重量%でありうる。他の態様では、ナイロン6は難燃性複合体の合計重量を基準として約13重量%でありうる。
【0039】
ある態様では、繊維生成ポリマーはポリエステルでありうる。ポリエステルの用語はポリエチレンテレフタレート(PET)およびポリトリメチレンテレフタレート(PTT)を包含するが、それらに限定されない。ポリエステルを包含するこの開示の態様はナノ粘土を包含することができ、それは繊維またはカーペットが火炎に露呈される時に炭層の硬化を助けるはずである。ポリエステルを包含するこの開示の態様は無機臭素化合物(または無機臭素化合物を置換しうる1種の他の化合物)を包含することができ、ここでは無機臭素化合物は気相フリーラジカル消火剤として作用するはずである(すなわち、それは熱分解反応を停止する)。ポリエステルを包含するこの開示の態様はホウ酸亜鉛(またはホウ酸亜鉛を置換しうる化合物)を包含することができ、ここではホウ酸亜鉛は放水をもたらして火炎を弱めるようでありそしてここでは亜鉛はしずくを減少させおよび/または炭を硬くするようである。ポリエステルを包含するこの開示の態様はナイロン6を包含することができ、それは煤を減少させそして煙霞を低下させうる。ポリエステルを包含するこの開示の態様はナノ粘土および無機臭素化合物を包含しうる。ポリエステルを包含するこの開示の態様はナノ粘土および無機臭素化合物並びに1種もしくはそれ以上のホウ酸亜鉛およびナイロン6を包含することができる。
【0040】
ポリアミド類
この開示の態様で使用されるポリアミド類は、互いに少なくとも2つの炭素原子により分離されているポリマー連鎖の一体部分としての繰り返しカーボンアミド基により特徴づけられる線状もしくは分枝鎖状合成ポリカーボンアミド類でありうる。ポリアミド類はジアミン類および二塩基性酸類の反応により得ることができ、そして一般式:
−NHCORCOHR
[式中、Rは炭素数が少なくとも2の、好ましくは約2〜約11の、アルキレン基、または炭素数が少なくとも6の、好ましくは約6〜約17の、アリーレンであり、RはRおよびアリール基から選択される]
により表わされる繰り返し単位を有する。上記のポリアミド類は当該技術で既知でありそして、例えば、ナイロン4/6、ナイロン6/6、ナイロン6/9、ナイロン6/10、ナイロン6/12、ナイロン11、およびナイロン12を包含する。
【0041】
この開示の他のポリアミド類はアミノ酸類およびそれらの誘導体、例えば、ラクタム類、の重合により製造されるものを包含しうる。これらの有用なポリアミド類の例示はナイロン4、ナイロン6、ナイロン7、ナイロン9、ナイロン10などである。
【0042】
この開示のポリアミド類はコポリアミド類を包含することができ、それらは3種もしくはそれ以上の異なるアミド単位を包含するポリアミド類をさす。コポリアミド類およびそれらの製造の詳細は引用することにより本発明の内容となる米国特許第5,422,420号明細書に記述されている。
【0043】
コポリアミド類は既知の方法から得られうる。例えば、コポリアミド類はヘキサメチレンジアミンとイソフタル酸、テレフタル酸、5−スルホイソフタル酸、およびアジピン酸
の少なくとも1種を含んでなる二塩基性酸類の混合物との縮合反応から製造することができる。
【0044】
コポリアミドの他の説明例は2−メチルペンタメチレンジアミン(以下では時には「MPMD」と称される)およびアジピン酸から製造される2−メチルペンタメチレンジアミンアミド単位である。それはMPMDと他の二酸類、例えばイソフタル酸、テレフタル酸、5−スルホイソフタル酸、およびそれらの態様する塩類との反応から製造することもできる。
【0045】
脂肪族、芳香族、および脂環式二酸類およびジアミン類並びにラクタム類を包含するいずれかのアミド生成添加剤を使用して他のアミド単位を生成することもでき、それらはMPMDのアミド単位と一緒になってこの開示のコポリアミド類に導入される。コポリアミド類の意図する最終用途によって、ナイロン6/6またはナイロン6ポリマー中に加えられるMPMDアミド単位および他のアミド単位の両者のモル%は約10モル%より少ないものから約30モル%のアミド単位に調節することができる。
【0046】
ある態様では、ポリアミドはホモポリマー、共重合体、三元共重合体、それらの配合物、またはポリマーの混合物でありうる。ポリアミド繊維の態様はポリヘキサメチレンアジパミド(ナイロン6,6)、ポリカプロアミド(ナイロン6)、ポリエナンタミド(ナイロン7)、ポリ(10−アミノデカン酸)(ナイロン10)、ポリドデカノラクタム(ナイロン12)、ポリテトラメチレンアジパミド(ナイロン4,6)、ポリヘキサメチレンセバカミドホモポリマー(ナイロン6,10)、n−ドデカンジオン酸およびヘキサメチレンジアミンホモポリマーのポリアミド(ナイロン6,12)、並びにドデカメチレンジアミンおよびn−ドデカンジオン酸のポリアミド(ナイロン12,12)を包含するが、それらに限定されない。さらに、ポリアミドは共重合体ポリアミド(例えば、2種もしくはそれ以上の異なる単量体から誘導されるポリアミドポリマー)でありうる。ある態様では、ポリアミドはナイロン6/6を包含しうる。ある態様では、ポリアミドはナイロン6/6およびナイロン6を包含しうる。
【0047】
ある態様では、ポリアミドは難燃性複合体の合計重量を基準として約80重量%〜99.5重量%でありうる。他の態様では、ポリアミドは難燃性複合体の合計重量を基準として約90重量%〜99重量%でありうる。他の態様では、ポリアミドは難燃性複合体の合計重量を基準として約3〜7重量%でありうる。
【0048】
ある態様では、繊維生成ポリマーは難燃性複合体の合計重量を基準として約80重量%〜99.5重量%でありうる。他の態様では、繊維生成ポリマーは難燃性複合体の合計重量を基準として約90重量%〜99重量%でありうる。他の態様では、繊維生成ポリマーは難燃性複合体の合計重量を基準として約3重量%〜7重量%でありうる。
【0049】
有機粘土
有機粘土の態様は鉱物粘土、例えばスメクタイト−タイプ粘土、を包含しうる。ある態様では、スメクタイト粘土はアリエッタイト、ベイデライト、ベントナイト、ヘクトライト、モンモリロナイト、ノントロナイト、サポナイト、セピオライト、ステベサイト、サウコナイト、スウィンフォルダイト、ボルコンスコイト、ヤクホントバイト、ジンクシライト、およびそれらの組み合わせよりなる群から選択される天然または合成粘土鉱物である。ある態様では、スメクタイト粘土はヘクトライト、モンモリロナイト、ベントナイト、ベイデライト、サポナイト、ステベサイト、セピオライト、およびそれらの混合物よりなる群から選択される天然または合成粘土鉱物である。1つの態様では鉱物粘土はモンモリロナイトである。
【0050】
ある態様では、有機粘土(スメクタイト粘土)を破砕し、粉砕し、水中にスラリー化し、そしてスクリーニングして小砂および他の不純物を除去することができる。ある態様では、スメクタイト粘土はスメクタイト粘土のナトリウム形態に転化することができる。スメクタイト粘土のナトリウム形態はカチオン交換反応により製造することができ、または粘土を可溶性ナトリウム化合物との水性反応により転化させることができる。次に、希釈(例えば、約1〜6%固体分)水性スラリーをマントン−ガウリン(Manton−Gaulin)ミルの中で高剪断にかけ、そこではスラリーが狭い間隙の中を高速で通過し、そして高圧差が保たれている。処理しようとするスラリーはマントン−ガウリンミルの中を1回もしくはそれ以上通すことができる。
【0051】
高剪断段階後に、粘土成分スラリーを互いに混合することができる。或いは、2種もしくはそれ以上の粘土成分を単一スラリーの中に混入することができ、その後に後者が高剪断段階にかけられる。
【0052】
有機粘土は通常は、ナノ粘土をポリマー中に良く分散させることを可能にする挿入剤を用いる挿入後に粉末状で、供給される。例えば、ロックウッド・スペシャルティーズ・インコーポレーテッド(Rockwood Specialties,Inc.)の子会社であるサザーン・クレイ・プロダクツ(Southern Clay Products)がCloisite 25Aを製造しており、それは2MHTL8と称するアルキル第四級アンモニウム化合物が挿入されたモンモリロナイトである。
【0053】
ナノ粘土粉末を次に約1〜40重量%の有機粘土および約60〜90重量%の担体を含有する濃縮ペレットの中に混和することができる。ある態様では、担体はナイロン、例えばナイロン6および/またはナイロン6/6、を包含しうる。担体が少量の混和剤、例えば分散化剤および流動性改変剤、を含有しうることも注目すべきである。
【0054】
ナイロン6を有機粘土用の担体として包含する難燃性複合体の態様では、ナイロン6は難燃性複合体の約0.01〜30重量%でありうる。他の態様では、ナイロン6は難燃性複合体の約5〜20重量%でありうる。他の態様では、ナイロン6は難燃性複合体の約12〜14重量%でありうる。
【0055】
ある態様では、有機粘土は難燃性複合体の合計重量を基準として約0.1重量%〜4重量%でありうる。他の態様では、有機粘土は難燃性複合体の合計重量を基準として約1重量%〜3重量%でありうる。他の態様では、有機粘土は難燃性複合体の合計重量を基準として約1.6重量%〜2.0重量%でありうる。
【0056】
無機臭素化合物
上記のように、この開示の態様は無機臭素化合物を包含する。無機臭素化合物はKBr、NaBr、およびLiBrを包含しうるが、それらに限定されない。ある態様では、無機臭素化合物はKBrでありうる。ある態様ではKBr中のカリウムはナトリウムおよびルビジウムを包含するがそれらに限定されない他のアルカリ金属により置換されうる。KBr中の臭素は他のハロゲン類、例えば塩素(KCl)およびヨウ素(KI)、により置換されうる。
【0057】
ある態様では、他の塩を無機臭素化合物の代わりに使用することができる。他の塩類はKCl、KI、KSO、KHCO、CFBr、NaHCO、KAlF、KF.2HO、KBF、NaAlF、NaSiF、NaCl、NaI、LiI、LiCl、RbBr、CaCl、NaF、NaI、KCrO、NaSO、Na.5HO、NaAcAc、Na.2HO、KCO、KCO、K、KFe(CN).3HO、KOH、KNO、Na
CrO、NaNO、NaOH、NaC.3HO、NaCO、Na、Na[Fe(CN)NO].2HO、NaFe(CN).10HO、Na.10HO、RbCl、およびRbIを包含しうるが、それらに限定されない。
【0058】
ある態様では、無機臭素化合物(または上記のような置換塩)は難燃性複合体の合計重量を基準として約0.5重量%〜6重量%でありうる。他の態様では、無機臭素化合物は難燃性複合体の合計重量を基準として約1重量%〜3重量%でありうる。他の態様では、無機臭素化合物は難燃性複合体の合計重量を基準として約1.8重量%〜2.2重量%でありうる。他の態様では、無機臭素化合物は難燃性複合体の合計重量を基準として約2重量%でありうる。
【0059】
ある態様では、KBrは難燃性複合体の合計重量を基準として約0.5重量%〜6重量%でありうる。他の態様では、KBrは難燃性複合体の合計重量を基準として約1重量%〜3重量%でありうる。他の態様では、KBrは難燃性複合体の合計重量を基準として約1.8重量%〜2.2重量%でありうる。他の態様では、KBrは難燃性複合体の合計重量を基準として約2重量%でありうる。
【0060】
ホウ酸亜鉛
上記のように、この開示の態様はホウ酸亜鉛(例えば、Zn(BO)を包含しうる。ホウ酸亜鉛は難燃性複合体中でホウ酸亜鉛と同様な役割(例えば、水放出、炭担持など)を演ずる他の化合物により組成物中で置換されうることに注目すべきである。ある態様では、他の化合物はステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム、オクタモリブデン酸アンモニウム、錫酸亜鉛、ヒドロ錫酸亜鉛、ホウ酸バリウム、フルオロホウ酸アンモニウム、メタホウ酸バリウム、およびアルミニウム三水和物を包含しうるが、それらに限定されない。
【0061】
ホウ酸亜鉛は通常は、約5〜30重量%のホウ酸亜鉛および約95〜70重量%の担体を含有する濃縮ペレットとして供給される。ある態様では、担体はポリアミド(例えば、ナイロン6もしくはナイロン6/6またはそれらの混合物)であることができそして少量の混和剤、例えば分散化剤および流動性改変剤、も包含しうる。
【0062】
ホウ酸亜鉛または他の化合物は難燃性複合体の合計重量を基準として約0.5重量%〜6重量%でありうる。1つの態様では、ホウ酸亜鉛は難燃性複合体の合計重量を基準として約1重量%〜3重量%でありうる。他の態様では、ホウ酸亜鉛は難燃性複合体の合計重量を基準として約1.8重量%〜2.2重量%でありうる。
【0063】
製造方法
難燃性複合体の態様は溶融加工技術を用いて製造することができる。典型的には、溶融加工は難燃性複合体の構成成分を約200℃〜320℃の温度において密に混合することを含んでなる。押し出し機内での溶融加工が好ましい。添加剤、例えば有機粘土、KBr、および/またはホウ酸亜鉛、並びにベースポリアミドチップの濃縮ペレットを次にスクリュー押し出し機の供給区域の中に計量添加する。典型的には、添加剤およびベースポリアミドの濃縮物を重量計または容量計供給機を通して押し出し機の中に供給するが、1種もしくはそれ以上の濃縮物を注入により押し出し機または押し出し機の下流のいずれかにおける別個の比較的小さい押し出し機を用いて加えることもできる。当業者はそれらの用途に応じた最良の担体および濃度並びに最良の添加方法を決めることができる。
【0064】
上記のように、この開示の態様は難燃性複合体から当業者に既知のスクリュー溶融および紡糸方法を用いて製造される難燃性ナイロン繊維を提供する。
【0065】
この開示の態様は長い摩耗寿命によるそれらの外観だけでなく有意な難燃性質を保有する難燃性カーペットの提供を包含する。
【0066】
難燃性ナイロンカーペットの態様は当該技術において既知のいずれかの技術を用いて製造することができる。カーペットはカットパイルまたはループパイルを有する房付きカーペット、織りカーペット、ニードルフェルト、不織および編みカーペットを包含する。ここに記載された房付きカーペットの製造方法はカーペット製造における新規な難燃性ポリアミド繊維の用途を説明するためだけである。
【0067】
房付きカーペットの商業的生産のための基本的製造方法は織りスクリムまたは一次カーペット裏材を用いて開始されそしてそれを房付け機械または織り機に供給する。カーペット表面糸を一次カーペット裏材の中に縫い込みそして埋めて、カーペット前駆体またはベースを製造する。カーペットの上側にある起立しているループを切ってカットパイルカーペットを製造することができる。表面糸を一次裏材に固定するために、房付きカーペットは典型的には接着ロックコートで裏打ちされる。所望するなら、二次裏材を一次裏材の下面に結合させることができる。
【0068】
房付きパイルカーペット用の一次裏材は典型的には1種もしくはそれ以上の天然もしくは合成性の繊維または糸、例えばジュート、羊毛、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリアミド類、ポリエステル類、エチレン−プロピレン共重合体、ナイロンおよびレーヨン、から製造される織布または不織布である。房付きパイルカーペット用の二次裏材は典型的には1種もしくはそれ以上の天然もしくは合成性の繊維または糸から製造される織布または不織布である。
【0069】
接着剤が典型的には接着剤ロックコートの中で使用される。ある態様では、エチレンビニルアセテート(EVA)を使用してカーペットに関する燃焼予防条件に合致させることができる。
【0070】
試験方法
FAA垂直燃焼試験−FAR 25.853 Appendix F,Part 1,12 Seconds
最少3つのカーペット試料を試験しそして結果を平均化した。各試料を垂直に支持した。試料を規格内径3/8インチのブンゼンバーナーに露呈した。火炎の中心における目盛り付き熱電対高温計により測定された最低火炎温度は843℃であった。試料の下端はバーナーの上端から3/4インチ上であった。火炎を試料の下端の中心線に適用した。火炎を12秒間にわたり適用しそして次に除いた。炎上時間、燃焼長さ、およびしずくの炎上時間を記録した。
【0071】
発煙/霞性能−ASTM F 814(JAR 25.853 App F,Part V),BSS 7238,ABD 0031
航空機搭乗者室内の非金属部分に関して最も広く使用されている試験方法はNBS煙箱タイプ方法である。カーペットの小試料を放射パネルおよび火炎列に露呈し、そして非−炎上および炎上方式で発生した煙を光度計システムを用いて測定する。例えばエアバス(Airbus)およびボーイング(Boeing)の如き航空機製造業者はこのNBS煙箱タイプ方法のわずかに改変した変法を使用する。試験条件の例はボーイング(BMS 8−237)により指定された4分間におけるDs max<200およびエアバス・インダストリーズ(Airbus Industries)(ABD 0031)により指定された4分間におけるD max<250である。
【0072】
有毒気体性能−PREN 2824,2825,2826,BSS 7239,ABD 0031
煙の評価のために使用される基本的装置はNBS煙密度室である。気体試料を試験室から抽出しそして熱量計気体検出(Draeger)管により分析する。仕様はある範囲の特定気体に関する最大許容可能気体濃度に基づく。試験方法はエアバス・インダストリーズ仕様AITM 3.0005およびボーイング基準BSS 7239に記載されており、それらの仕様はABD 0031および適当なボーイング材料仕様BMS 8−237に示されている。
【0073】
カーペットを炎上および非−炎上方式の両者で試験する。両者の方式に関する条件は同様である。典型的な最低条件は以下の通りである(4分後)(ppm):
HF<100(エアバス)<200(ボーイング)CO<3500
HC1<150(エアバス)<500(ボーイング)NO/NO<100
HCN<150および検出されたいずれかの他の有毒気体を報告する
SO/HS<100
【実施例】
【0074】
実施例1(比較試料A)
ナイロン6/6ポリマーチップを紡糸口金を通して押し出しそして4つの80フィラメントに分割した。溶融したフィラメントを次に煙突の中で急速冷却し、そこでは20℃の冷却用空気をフィラメントの後ろに300立方フィート/分(0.236立方m/秒)で吹き付けた。フィラメントを1000ヤード/分(914m/分)の表面速度で回転する供給ロールにより急冷区域を通して引張りそして次に延伸および収縮のために潤滑剤でコーティングした。コーティングされた糸を次に一対の加熱された(175℃)延伸ロールを用いて2650ヤード/分(2423m/分)(2.65X延伸比)で延伸した。糸を次に、Coonの米国特許第3,525,134号明細書に記述されたものと同様なバルキングジェット(204℃の熱い空気)の中に前進させて80フィラメントを有する1400デニールに形成した。これらをその後の加工のためにパッケージの上に巻き取った。4つの端部を束ねそして合計デニール5600用に2エンズS−ツイストおよび2エンズZ−ツイストで撚糸した。糸を次にガラス繊維ワープを用いてカーペット状に織った。エチレンビニルアセテート(EVA)の裏材が使用された。EVA裏材はアルミナ三水和物(ATH)および赤色燐(RP)を含有していた。カーペットを次に垂直火炎、煙、および毒性試験にかけた。
【0075】
実施例2(試料B)
この実施例および以下の実施例で使用された有機粘土はCloisite(登録商標)
25Aであった。Cloisite(登録商標) 25 Aはサザーン・クレイ・プロダクツ・インコーポレーテッド(Southern Clay Products,Inc.)により製造された。Cloisite(登録商標) 25Aをナイロン6/6および混和剤の混合物の中に20重量%の濃度で混和して濃縮物を形成した。濃縮物を次にペレットAに形成した。ペレットAをナイロン6/6ポリマーチップと共に複数の供給機を通して押し出し機の中に供給した。難燃性ポリマー複合体中のCloisite(登録商標) 25Aの濃度は表1に挙げられている。糸およびカーペットの製造は実施例1に記述されているものと同じであった。カーペットを次に垂直火炎、煙、および毒性試験にかけた。
【0076】
実施例3(試料C)
KBrをナイロン6/6および混和剤の混合物の中に混和して濃縮物を形成した。濃縮物を次にペレットBに形成した。ペレットAおよびCをナイロン6/6ポリマーチップと共に複数の供給機を通して押し出し機の中に供給した。難燃性ポリマー複合体中のKBr
の濃度は表1に挙げられている。糸およびカーペットの製造は実施例1に記述されているものと同じであった。カーペットを次に垂直火炎、煙、および毒性試験にかけた。
【0077】
実施例4(試料D)
ペレットAおよびBを実施例2に記述されているものと同じ工程を用いて製造した。ペレットAおよびBをナイロン6/6ポリマーチップと共に複数の供給機を通して押し出し機の中に供給した。難燃性ポリマー複合体中のCloisite(登録商標) 25AおよびKBrの濃度は表1に挙げられている。糸およびカーペットの製造は実施例1に記述されているものと同じであった。カーペットを次に垂直火炎、煙、および毒性試験にかけた。
【0078】
実施例4(試料E)
ナイロン6を担体として使用したこと以外は実施例4に記述されているものと同じ工程を用いて試料Eを製造した。ナイロン6の合計充填量は繊維の重量を基準として13.5重量%であった。難燃性ポリマー複合体中のCloisite(登録商標) 25A、KBr、およびナイロン6の濃度は表1に挙げられている。糸およびカーペットの製造は実施例1に記述されているものと同じであった。カーペットを次に垂直火炎、煙、および毒性試験にかけた。
【0079】
【表1】

【0080】
比、濃度、量、および他の数値データはここでは範囲形式で表示しうることに注目すべきである。そのような範囲形式は簡便性および省略性のために使用されており、そしてそれ故、範囲の限界として明白に説明されている数値を包含するだけでなく各々の数値および下位範囲が明白に説明されているように全ての個別の数値または下位範囲も包含するような柔軟な方法で解釈すべきであることを理解すべきである。説明すると、「約0.1%〜約5%」は約0.1重量%〜約5重量%の明白に説明されている濃度を包含するだけでなく個別の濃度(例えば、1%、2%、3%、および4%)並びに下位範囲(例えば、0.5%、1.1%、2.2%、3.3%、および4.4%)も指定された範囲内に包含すると解釈すべきである。用語「約」は変動する数値の±1%、±2%、±3%、±4%、±5%、±6%、±7%、±8%、±9%、もしくは±10%、またはそれ以上を包含しうる。さらに、句「約x〜y」は「約x」〜「約y」を包含する。用語「より本質的になる」は難燃性複合体、難燃性ナイロン繊維、難燃性ナイロン繊維カーペットの中で使用される具体的に挙げられた成分並びに補助成分(例えば、酸化防止剤、触媒、帯電防止繊維、および他の添加剤)を包含する調合物を包含するが、調合物中で具体的に挙げられてい
ない他の成分は包含しないことが定義される。
【0081】
多くの変更および修正を上記の態様に対して行うことができる。全てのそのような変更および修正はここではこの開示の範囲内に包含されることが意図されそして以下の特許請求の範囲により保護される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリアミド、
有機粘土組成物、および
無機臭素化合物
を含んでなる、難燃性複合体。
【請求項2】
ポリアミド、
有機粘土組成物、および
無機臭素化合物
を含んでなる、難燃性ナイロン繊維。
【請求項3】
ポリアミド、
有機粘土組成物、および
無機臭素化合物
を含んでなる、難燃性ナイロン繊維カーペット。
【請求項4】
ポリアミド、
有機粘土組成物、および
無機臭素化合物
より本質的になる、難燃性複合体。
【請求項5】
ポリアミド、
有機粘土組成物、および
無機臭素化合物
より本質的になる、難燃性ナイロン繊維。
【請求項6】
ポリアミド、
有機粘土組成物、および
無機臭素化合物
より本質的になる、難燃性ナイロン繊維カーペット。
【請求項7】
ナイロン6/6およびナイロン6よりなる群から選択されるポリアミド、
有機粘土組成物、並びに
無機臭素化合物
より本質的になる、難燃性複合体。
【請求項8】
ナイロン6/6およびナイロン6よりなる群から選択されるポリアミド、
有機粘土組成物、並びに
無機臭素化合物
より本質的になる、難燃性ナイロン繊維。
【請求項9】
ナイロン6/6およびナイロン6よりなる群から選択されるポリアミド、
有機粘土組成物、並びに
無機臭素化合物
より本質的になる、難燃性ナイロン繊維カーペット。
【請求項10】
有機粘土組成物が鉱物粘土である、請求項1−9の複合体、繊維、またはカーペット。
【請求項11】
鉱物粘土がヘクトライト、モンモリロナイト、ベントナイト、ベイデライト、サポナイ
ト、ステベンサイト、およびそれらの混合物よりなる群から選択される、請求項10の複合体、繊維、またはカーペット。
【請求項12】
鉱物粘土がモンモリロナイトである、請求項10の複合体、繊維、またはカーペット。
【請求項13】
ポリアミドがナイロン4/6、ナイロン6、ナイロン6/6、ナイロン6/9、ナイロン6/10、ナイロン6/12、ナイロン11、およびナイロン12よりなる群から選択される1種もしくはそれ以上のナイロンである、請求項1−6の複合体、繊維、またはカーペット。
【請求項14】
ポリアミドがナイロン6/6である、請求項13の複合体、繊維、またはカーペット。
【請求項15】
ポリアミドが第一ナイロンおよび第二ナイロンを含み、ここで第一ナイロンがナイロン6/6でありそして第二ナイロンがナイロン6である、請求項13の複合体、繊維、またはカーペット。
【請求項16】
無機臭素化合物がKBr、NaBr、RbBr、およびLiBrよりなる群から選択される、請求項1−9の複合体、繊維、またはカーペット。
【請求項17】
無機臭素化合物がKBrである、請求項1−9の複合体、繊維、またはカーペット。
【請求項18】
有機粘土組成物が難燃性複合体の約0.01〜2.5重量%であり、そして無機臭素化合物が難燃性複合体の約0.01〜2.5重量%である、請求項1、4、または7の複合体。
【請求項19】
有機粘土組成物が複合体の約1.6〜2重量%であり、そして無機臭素化合物が難燃性複合体の約1.8〜2.2重量%である、請求項1、4、または7の複合体。
【請求項20】
有機粘土組成物が複合体の約1.6〜2重量%であり、そして無機臭素化合物が難燃性複合体の約1.8〜2.2重量%である、請求項1、4、または7の複合体。
【請求項21】
有機粘土組成物が複合体の約1.8重量%であり、そして無機臭素化合物が難燃剤の約2重量%である、請求項1、4、または7の複合体。
【請求項22】
ナイロン6をさらに含んでなり、ナイロン6が難燃性複合体の約0.01〜30重量%である、請求項1、4、または7の複合体。
【請求項23】
ナイロン6をさらに含んでなり、ナイロン6が難燃性複合体の約5〜20重量%である、請求項1、4、または7の複合体。
【請求項24】
ナイロン6をさらに含んでなり、ナイロン6が難燃性複合体の約13重量%である、請求項1、4、または7の複合体。
【請求項25】
繊維が請求項18−24の難燃性複合体の1種から製造される、請求項2、5、または8の繊維。
【請求項26】
ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム、オクタモリブデン酸アンモニウム、錫酸亜鉛、ヒドロ錫酸亜鉛、ホウ酸バリウム、フルオロホウ酸アンモニウム、メタホウ酸バリウム、およびアルミニウム三水和物よりなる群から選択される添加剤をさらに含んでなる、請求項1−9の複合体、繊維、またはカーペット。
【請求項27】
添加剤をさらに含んでなり、添加剤がZnBである、請求項1−9の複合体、繊維、またはカーペット。
【請求項28】
無機臭素化合物がKCl、KI、KSO、KHCO、CFBr、NaHCO、KAlF、KF.2HO、KBF、NaAlF、NaSiF、NaCl、NaI、LiI、LiCl、RbBr、CaCl、NaF、NaI、KCrO、NaSO、Na.5HO、NaAcAc、Na.2HO、KCO、KCO、K、KFe(CN).3HO、KOH、KNO、NaCrO、NaNO、NaOH、NaC.3HO、NaCO、Na、Na[Fe(CN)NO].2HO、NaFe(CN).10HO、Na.10HO、RbCl、およびRbIから選択される化合物により置換される、請求項1−9の難燃性複合体、難燃性ナイロン繊維、または難燃性ナイロン繊維カーペット。
【請求項29】
ナイロン6/6およびナイロン6よりなる群から選択されるポリアミド、
有機粘土組成物、
無機臭素化合物、並びに
ZnB添加剤
より本質的になる、難燃性複合体。
【請求項30】
ナイロン6/6およびナイロン6よりなる群から選択されるポリアミド、
有機粘土組成物、
無機臭素化合物、並びに
ZnB添加剤
より本質的になる、難燃性複合体。
【請求項31】
ナイロン6/6およびナイロン6よりなる群から選択されるポリアミド、
有機粘土組成物、
無機臭素化合物、並びに
ZnB添加剤
より本質的になる、難燃性ナイロン繊維。
【請求項32】
ホウ酸亜鉛がステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム、オクタモリブデン酸アンモニウム、錫酸亜鉛、ヒドロ錫酸亜鉛、ホウ酸バリウム、フルオロホウ酸アンモニウム、メタホウ酸バリウム、およびアルミニウム三水和物よりなる群から選択される化合物により置換される、請求項29−31の難燃性複合体、難燃性ナイロン繊維、または難燃性ナイロン繊維カーペット。
【請求項33】
ポリアミド、
ナイロン6、
有機粘土組成物、および
無機臭素化合物
を含んでなる、難燃性複合体。
【請求項34】
ポリアミド、
ナイロン6、
有機粘土組成物、および
無機臭素化合物
を含んでなる、難燃性ナイロン繊維。
【請求項35】
ポリアミド、
ナイロン6、
有機粘土組成物、および
無機臭素化合物
を含んでなる、難燃性ナイロン繊維カーペット。
【請求項36】
ポリアミド、
ナイロン6、
有機粘土組成物、および
無機臭素化合物
より本質的になる、難燃性複合体。
【請求項37】
ポリアミド、
ナイロン6、
有機粘土組成物、および
無機臭素化合物
より本質的になる、難燃性ナイロン繊維。
【請求項38】
ポリアミド、
ナイロン6、
有機粘土組成物、および
無機臭素化合物
より本質的になる、難燃性ナイロン繊維カーペット。
【請求項39】
ナイロン6が難燃性複合体の約5〜15重量%である、請求項33および36の難燃性複合体、難燃性ナイロン繊維、または難燃性ナイロン繊維カーペット。
【請求項40】
ナイロン6が難燃性複合体の約13重量%である、請求項33および36の難燃性複合体、難燃性ナイロン繊維、または難燃性ナイロン繊維カーペット。
【請求項41】
ポリエステル、
有機粘土組成物、および
無機臭素化合物
を含んでなる、難燃性複合体。
【請求項42】
ポリエステル、
有機粘土組成物、および
無機臭素化合物
を含んでなる、難燃性繊維。
【請求項43】
ポリエステル、
有機粘土組成物、および
無機臭素化合物
を含んでなる、難燃性繊維カーペット。
【請求項44】
ポリマー生成繊維、
有機粘土組成物、および
無機臭素化合物
を含んでなる、難燃性複合体。
【請求項45】
ポリマー生成繊維、
有機粘土組成物、および
無機臭素化合物
を含んでなる、難燃性繊維。
【請求項46】
ポリマー生成繊維、
有機粘土組成物、および
無機臭素化合物
を含んでなる、難燃性繊維カーペット。
【請求項47】
ポリマー生成繊維、
有機粘土組成物、および
無機臭素化合物
より本質的になる、難燃性複合体。
【請求項48】
ポリマー生成繊維、
有機粘土組成物、および
無機臭素化合物
より本質的になる、難燃性繊維。
【請求項49】
ポリマー生成繊維、
有機粘土組成物、および
無機臭素化合物
より本質的になる、難燃性繊維カーペット。
【請求項50】
有機粘土組成物が鉱物粘土である、請求項44−49の複合体、繊維、またはカーペット。
【請求項51】
鉱物粘土がヘクトライト、モンモリロナイト、ベントナイト、ベイデライト、サポナイト、ステベンサイト、およびそれらの混合物よりなる群から選択される、請求項50の複合体、繊維、またはカーペット。
【請求項52】
鉱物粘土がモンモリロナイトである、請求項50の複合体、繊維、またはカーペット。
【請求項53】
無機臭素化合物がKBr、NaBr、RbBr、およびLiBrよりなる群から選択される、請求項44−49の複合体、繊維、またはカーペット。
【請求項54】
無機臭素化合物がKBrである、請求項44−49の複合体、繊維、またはカーペット。
【請求項55】
ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム、オクタモリブデン酸アンモニウム、錫酸亜鉛、ヒドロ錫酸亜鉛、ホウ酸バリウム、フルオロホウ酸アンモニウム、メタホウ酸バリウム、およびアルミニウム三水和物よりなる群から選択される添加剤をさらに含んでなる、請求項44−49の複合体、繊維、またはカーペット。
【請求項56】
添加剤をさらに含んでなり、添加剤がZnBである、請求項44−49の複合体、繊維、またはカーペット。
【請求項57】
無機臭素化合物がKCl、KI、KSO、KHCO、CFBr、NaHCO
、KAlF、KF.2HO、KBF、NaAlF、NaSiF、NaCl、NaI、LiI、LiCl、RbBr、CaCl、NaF、NaI、KCrO、NaSO、Na.5HO、NaAcAc、Na.2HO、KCO、KCO、K、KFe(CN).3HO、KOH、KNO、NaCrO、NaNO、NaOH、NaC.3HO、NaCO、Na、Na[Fe(CN)NO].2HO、NaFe(CN).10HO、Na.10HO、RbCl、およびRbIから選択される化合物により置換される、請求項44−49の難燃性複合体、難燃性ナイロン繊維、または難燃性ナイロン繊維カーペット。

【公表番号】特表2012−500305(P2012−500305A)
【公表日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−523158(P2011−523158)
【出願日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【国際出願番号】PCT/US2009/053658
【国際公開番号】WO2010/019746
【国際公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【出願人】(309028329)インビスタ テクノロジーズ エス エイ アール エル (80)
【Fターム(参考)】