説明

難燃性水性樹脂組成物

【課題】ホルムアルデヒドを放散するメチロール基含有モノマーや、反応性に劣る(メタ)アクリロニトリルなどの単量体を用いることなく、カーペット等に遮水性と強度を付与すると同時に難燃性を付与できる難燃性水性樹脂組成物を提供する。
【解決手段】単量体の合計を100重量部とした場合、カルボキシル基含有単量体1〜10重量部および水酸基含有単量体1〜10重量部を含む単量体を重合することによって得られる樹脂エマルジョン(a)の固形分100重量部に対して、エキポシ樹脂(b)を固形分として1〜40重量部、酸化亜鉛(d)を固形分として1〜20重量部、水酸化アルミニウムを10〜500重量部(c)含有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車内の床及びデッキ部のカーペットや、家具、事務所等の床部のカーペット等に裏打ち加工して、それらに遮水性と強度を付与すると同時に難燃性を付与するカーペット裏打ち用難燃性水性樹脂組成物に係り、平時ホルムアルデヒドを発生せず、火災時にハロゲン含有ガス等の有毒ガスが発生しないカーペット裏打ち用の難燃性水性樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の自動車数の増大や住宅の密集化に伴い、それらの火災に対する対策はきわめて重要である。特に各種の車両や家具の内装材についての難燃化の要望は大きく、難燃化技術が種々提案されている。自動車内装に使用されている繊維製品の難燃化については繊維製品の補強材として使用されるバッキング材に塩化ビニル系、塩化ビニリデン系等のハロゲン含有難燃性共重合体エマルジョンを用いたり、あるいは通常の合成ゴム系、アクリル系、アクリル・スチレン系、エチレン酢酸ビニル系などの共重合体エマルジョン及びこれらのブレンド物に難燃剤を配合し、それを繊維製品に塗布することにより難燃化する方法が提案されている。このような難燃剤としては、液状又は粉末状のリン酸エステル系、ハロゲン化リン酸エステル系、ハロゲン化合物系などの有機難燃剤、アンチモン系、アルミニウム系、ホウ素系などの無機難燃剤等がそれぞれ単独で、又は適宜併用されている。またそれら難燃性共重合体やその他の共重合体エマルジョンには難燃性を低下させない架橋性モノマーとしてN−メチロールアクリルアミド等のメチロール基含有モノマーが共重合されていたり(特許文献1)、難燃剤配合物にはメラミンーホルムアルデヒド樹脂の水溶液が架橋剤として配合されることが多かった。
【0003】
しかしながら、上記のハロゲン含有難燃性共重合体エマルジョンやハロゲン系難燃剤は、火災時あるいは熱リサイクル等の燃焼時にハロゲンガス等の有毒ガスを発生させて人体に重篤な害をもたらし、また大気汚染や焼却炉の劣化を招く等の欠点を有している。
また、例えば、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、メチロール化ジアセトンアクリルアミド等のメチロール基含有モノマーやメラミン−ホルムアルデヒド樹脂等の使用は、人体への有害性から室内環境基準が設けられたホルムアルデヒドの発生の原因となるので使用が規制される方向にある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特許文献1には(メタ)アクリロニトリルを10〜50重量%含有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル、メタアクリル酸アルキルエステル又はエチレン系カルボン酸を乳化重合して得られた水性エマルジョンを用いた難燃性水性組成物が開示されているが、(メタ)アクリロニトリルの割合が増加すると反応性が低下するため、生産性の点で問題であった。
【特許文献1】特開2006−143885号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、ホルムアルデヒドを放散するメチロール基含有モノマーや、反応性に劣る(メタ)アクリロニトリルなどの単量体を用いることなく、カーペット等に遮水性と強度を付与すると同時に難燃性を付与できる難燃性水性樹脂組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は単量体の合計を100重量部とした場合、カルボキシル基含有単量体1〜10重量部および水酸基含有単量体1〜10重量部を含む単量体を重合することによって得られる樹脂エマルジョン(a)の固形分100重量部に対して、エキポシ系樹脂(b)を固形分として1〜40重量部、酸化亜鉛(d)を固形分として1〜20重量部、水酸化アルミニウムを10〜500重量部(c)含有することを特徴とする難燃性水性樹脂組成物である。
【発明の効果】
【0007】
本発明の難燃性水性樹脂組成物は、ホルムアルデヒドを放散するメチロール基含有モノマーや、反応性に劣る(メタ)アクリロニトリルなどの単量体を用いることなく合成された樹脂エマルジョンを用いるため安全性が高く、生産性にも優れる。また、難燃性にも優れるため、自動車内の床及びデッキ部のカーペットや、家具、事務所等の床部のカーペット等に裏打ち加工して、それらに遮水性と強度を付与すると同時に難燃性を付与する難燃性水性樹脂組成物として適する。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明で用いる単量体の合計を100重量部とした場合、カルボキシル基含有単量体1〜10重量部および水酸基含有単量体1〜10重量部を含む単量体を重合することによって得られる樹脂エマルジョン(a)は、少なくともカルボキシル基含有単量体および水酸基含有単量体を含み、主としてその他の(メタ)アクリル酸アルキルエステル系単量体の1種または2種以上を界面活性剤および/または保護コロイドの存在下、水性媒体中で乳化重合したり、乳化重合以外の方法により重合した重合体を後乳化したりして得られる重合体水性エマルジョンの単独物、または複数の重合体エマルジョンのブレンド物をいい、製造の容易性、経済性等の理由から通常エチレン系単量体の乳化重合によって得られる重合体エマルジョンの単独物または複数の重合体エマルジョンのブレンド物であるのが好ましい。
【0009】
カルボキシル基含有単量体としては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、シトラコン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸等が挙げられる。水酸基含有単量体としては、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレートなどが挙げられるが、N−メチロールアクリルアミドのように水酸基がメチロール基となっているものはホルムアルデヒドを放散するため、本願発明には適さない。
単量体の合計を100重量部とした場合、カルボキシル基含有単量体が1〜10重量部および水酸基含有単量体が1〜10重量部である必要がある。これらの官能基含有単量体がそれぞれ1重量部未満の場合、十分な難燃性が得られない。10重量部を超える場合、貯蔵安定性が低下するため好ましくない。
【0010】
アクリル酸アルキルエステル系単量体としては、たとえば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、n−オクチルアクリレート、イソノニルアクリレート、ラウリルアクリレート、ステアリルアクリレート等が、メタクリル酸アルキルエステル単量体としては、たとえばメチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ステアリルメタクリレート等が挙げられる。
その他アクリル酸アルキルエステル、メタアクリル酸アルキルエステルは特に限定されるものではなく、難燃加工の対象となるカーペット生地等の各種の要求物性によって適宜選択することができる。例えば、自動車のフロアーやデッキ部等比較的硬い風合いを要求される分野では、樹脂エマルジョンのガラス転移点(Tg)が10℃以上となるように単量体組成を選択することが好ましい。
【0011】
本発明の樹脂エマルジョンは、通常、前記単量体を界面活性剤及び/または保護コロイドの存在下水性媒体中で乳化重合して得られる共重合体エマルジョンの単独物、またはこれらの共重合体エマルジョンのブレンド物である。
界面活性剤としては、通常の乳化重合に用いられるものであれば、特に、限定されるものではなく、従来知られている通常の界面活性剤が用いられる。具体的には、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシアルキレンアルキルフェノールエーテル類、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックポリマー等の非イオン性界面活性剤、例えばラウリル硫酸ナトリウム、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルキルスルホコハク酸エステル塩類及びその誘導体類、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアルキルアリルエーテル硫酸エステル類等の陰イオン性界面活性剤、例えば、アルキルアミン塩、4級アンモニウム塩、ポリオキシエチルアルキルアミン等の陽イオン性界面活性剤及び、例えばアルキルベタイン等の両性界面活性剤が挙げられる。また反応性乳化剤も使用することができる。
【0012】
界面活性剤は、アクリル酸アルキルエステル、メタアクリル酸アルキルエステル及びエチレン系カルボン酸の全量に対して、通常0.1〜10重量%用いられ、乳化重合の反応適正、得られる水性樹脂エマルジョンの各種安定性及び耐水性等の観点から約0.5〜7重量%用いるのが好ましい。
【0013】
本発明で利用しうる保護コロイドとしては、たとえば、ポリビニルアルコール類、セルロース誘導体等が挙げられ、これらは単独又は複数で使用できる。その使用量は適宜に選択でき、例えば、使用する単量体の全量に対して約0.5〜10重量%の使用量を例示することができる。本発明に用いるエチレン系共重合体水性エマルジョンの固形分は特に限定されないが、その生産性と製造の容易さより約30〜65重量%であるのが好ましい。
【0014】
重合開始剤としては過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム等の過硫酸塩、過酸化ベンゾイル等の有機過酸化物、2,2−アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物を挙げることができる。必要に応じて、これらを還元剤と組み合わせて、レドックス系開始剤として用いてもよい。
【0015】
本発明の難燃性水性樹脂組成物は前記樹脂エマルジョン(a)に対してエポキシ樹脂(b)を配合する。エポキシ樹脂としては、特に限定はなく、一般に末端基にグリシジル基を有するエポキシ樹脂が挙げられる。末端基にグリシジル基を有するエポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノール型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、レゾルシン型エポキシ樹脂、ハイドロキノン型エポキシ樹脂、ビスフェノールノボラック型エポキシ樹脂、メチルレゾルシン型エポキシ樹脂、レゾルシンノボラック型エポキシ樹脂等が挙げられ、通常、耐熱性に優れる点でビスフェノール型エポキシ樹脂が好ましい。
【0016】
エポキシ樹脂は、エチレン系共重合体水性エマルジョンに直接配合するか、エポキシ樹脂水溶液として配合するか、界面活性剤の存在下水性媒体中で乳化して得られるエマルジョンの単独物、又は複数のエマルジョンのブレンド物として配合することができる。
上記界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシアルキレンアルキルフェノールエーテル類、ソルビタン脂肪酸エステル類、ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル類、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル類、グリセリン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックポリマー等の非イオン性界面活性剤、例えば脂肪酸塩類、ラウリル硫酸ナトリウム、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルキルスルホコハク酸エステル塩類及びその誘導体、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアルキルアリルエーテル硫酸エステル類等の陰イオン性界面活性剤が挙げられ、これらは単独または複
数の混合物として使用できる。
【0017】
上記エポキシ樹脂の使用量は、前記樹脂エマルジョン(a)の固形分100重量部に対して、1〜40重量部配合することが好ましく、5〜30重量部配合する事がより好ましい。該使用量が1重量部未満では、JIS D 1201の自動車内装用有機資材の燃焼性試験において、燃焼速度が、100mm/分を超え易燃性となってしまう。また、40重量部を超えた場合には、本発明物質の貯蔵安定性が低下し、また、高価格になるため、経済性の上でも問題が生じるため好ましくない。
【0018】
本発明の難燃性水性樹脂組成物には、物性の向上を目的として酸化亜鉛(c)を配合する。前記樹脂エマルジョン(a)の固形分100重量部に対して酸化亜鉛を固形分で1〜20重量部配合することが好ましく、1〜15重量部配合することがより好ましい。この範囲外では十分な難燃性能が得られない。
【0019】
本発明の難燃性水性樹脂組成物には、さらに水酸化アルミニウム(d)を配合する。水酸化アルミニウムは平常はガラス等を曇化させず、火災時有害ガスを発生させない難燃剤として作用する。前記樹脂エマルジョン(a)の固形分100重量部に対して水酸化アルミニウムを10〜500重量部配合することが好ましく、50〜350重量部配合することがより好ましい。この範囲外では十分な難燃性能が得られない。
【0020】
本発明の難燃性水性樹脂組成物には前記必須配合成分の他、本発明の優れた効果を妨げない使用範囲において、さらに各種添加剤を配合できる。例えばアンチモン系化合物、ホウ素系化合物、アルミニウム系化合物、マグネシウム系化合物、ジルコニウム系化合物等の難燃剤、ブロックイソシアネートの水溶液又は水分散液等の架橋剤が挙げられる。
また、無機充填剤、分散剤、増粘剤、湿潤剤、発泡剤、整泡剤、消泡剤、顔料、染料、可塑剤、老化防止剤、紫外線吸収剤、防腐剤等が使用できる。
【0021】
以上のようにして得られた本発明の難燃性水性樹脂組成物の固形分、pH及び粘度は、いずれも特に限定されるものではないが、該組成物の沈降安定性等の観点より、一般に固形分は35〜70重量%、好ましくは40〜60重量%程度、pHは5〜10、好ましくは6〜10、粘度(20℃)は1000〜15000mPa・s、好ましくは1000〜10000mPa・sである。
【0022】
本発明の難燃性水性樹脂組成物をカーペット生地のバッキング層として用いることにより、難燃性に優れたカーペットを得ることができる。カーペット生地としては、火災時有害ガスの発生のないもの、防縮加工剤等繊維の処理剤としてホルムアルデヒドを生じることのない処理剤を使用したものであれば特に限定されるものではない。例えば、ポリエステル、ポリプロピレン、ナイロン、アクリル等の合成繊維、羊毛等の天然繊維又はそれらの混紡が挙げられる。また、自動車室内の床部のニードルパンチカーペットの成形性、遮水性を向上させるために、該組成物をバッキング層としたニードルパンチカーペットに、ポリエチレン等の熱可塑性樹脂による溶融押し出しラミネートバッキングが施されている場合でも、難燃性を有するものである。
【0023】
該組成物のバッキング層としての塗布量は、固形分で50〜500g/m、好ましくは50〜250g/mで、該組成物を塗布したカーペットは前述のJIS D 1201の自動車室内用有機資材の燃焼試験方法において燃焼区分として用いられている遅燃性を示す。塗布量が50g/m未満では、硬い風合い及び難燃性が不十分で250g/mを超えた場合は粉落ちが生じたり、また経済的にも問題が生じる。
【0024】
以下、本発明について実施例、参考例及び比較例を挙げてより詳細に説明するが、具体
例を示すものであって、特にこれらに限定するものではない。
【実施例】
【0025】
樹脂エマルジョンの調製
攪拌機、滴下ロート、窒素ガス導入管、温度計、還流冷却器を備えた反応器に、イオン交換水330重量部、ドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ0.2重量部を入れ、50℃で加熱溶解した。容器内を窒素置換した後、80℃に昇温し、その温度を維持しながら、メチルメタクリレート(MMA)225重量部、エチルアクリレート(EA)198重量部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(2HEMA)13.5重量部、アクリル酸(AA)13.5重量部の計450重量部の単量体混合物、イオン交換水140重量部にポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム9重量部を溶解した水溶液を撹拌混合して得た単量体乳化液599重量部、2.5%過硫酸カリウム水溶液50重量部を4時間かけて連続的に滴下し、乳化重合を行なった。さらに同温度で2時間保持し重合を完結させ、12.5%アンモニア水で中和することにより、固形分45%、pH7.5、粘度40mPa・s(25℃、30rpm)、Tg47℃である乳白色の樹脂エマルジョンAを得た。
【0026】
エポキシエマルジョンの調製
エポキシ樹脂であるエピコート828(ジャパンエポキシレジン社製、商品名)100重量部にポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレングリコール(第一工業製薬社製、商品名エパン485)5重量部、ドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ0.5重量部、水70重量部を加えよく攪拌混合し、安定なエポキシエマルジョンBを得た。
【0027】
酸化亜鉛分散液の調整
酸化亜鉛(JIS K−1410 2種)100重量部にトリポリリン酸ソーダ2重量部、カルボキシメチルセルロース (第一工業製薬社製、商品名AGガム)0.2重量部、水100重量部を加えよく攪拌混合し、安定な酸化亜鉛分散液Cを得た。
【0028】
実施例1
固形分を基準として、樹脂エマルジョンAを100重量部、エポキシエマルジョンBを14重量部、酸化亜鉛分散液Cを1重量部、水酸化アルミニウムを250重量部を混合することにより、実施例1の難燃性水性樹脂組成物を得た。
【0029】
実施例2〜11、比較例1〜10
実施例1において、樹脂エマルジョンAの調製で用いた単量体を表1、表2記載の組成に変更し、エポキシエマルジョンB、酸化亜鉛分散液C、水酸化アルミニウムの配合量を表1、表2記載のように変更した他は実施例1と同様に行い、実施例2〜11、比較例1〜10の各難燃性水性樹脂組成物を得た。
なお、樹脂エマルジョンAの調製で用いた単量体の他、アクリロニトリル(AN)、N−ブトキシメチルアクリルアミド(N−BMAM)、メタクリル酸(MAA)を用いた。
【0030】
燃焼試験
ポリエステル製のニードルパンチカーペット(目付270g/m)に各難燃性水性樹脂組成物を固形分として100g/m塗布し、160℃雰囲気下で7分間乾燥した。これを350mm×200mmに裁断し、20℃、65%RH雰囲気中で24時間放置したものを試料とした。
自動車内装分野向け難燃規格であるFMVSS−302に従い、作成した試料について水平法により燃焼試験を行なった。試験は4点行い、平均燃焼速度を表1に示した。
【0031】
貯蔵安定性試験
各難燃性水性樹脂組成物をガラス瓶に入れて40℃雰囲気下で1ヶ月間保存し、保存前の粘度と比較して以下のように評価した。
◎:初期粘度から30%未満の増粘
○:初期粘度から30%以上、60%未満の範囲で増粘
×:初期粘度から60%以上の増粘
【0032】
【表1】

【0033】
【表2】

【0034】
表1、2から明らかなように、実施例の各難燃性水性樹脂組成物は貯蔵安定性に優れており、これを用いて製造されたカーペットの難燃性も良好であった。一方、比較例の各難燃性水性樹脂組成物は貯蔵安定性が劣ったり、難燃性が十分ではなかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
単量体の合計を100重量部とした場合、カルボキシル基含有単量体1〜10重量部および水酸基含有単量体1〜10重量部を含む単量体を重合することによって得られる樹脂エマルジョン(a)の固形分100重量部に対して、エキポシ樹脂(b)を固形分として1〜40重量部、酸化亜鉛(d)を固形分として1〜20重量部、水酸化アルミニウムを10〜500重量部(c)含有することを特徴とする難燃性水性樹脂組成物。

【公開番号】特開2012−102273(P2012−102273A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−253410(P2010−253410)
【出願日】平成22年11月12日(2010.11.12)
【出願人】(000100698)アイカ工業株式会社 (566)
【出願人】(592230542)ガンツ化成株式会社 (38)
【Fターム(参考)】