説明

難燃性熱可塑性樹脂組成物

本発明に係る難燃樹脂組成物は、(A)(a1)ゴム状重合体5〜65重量部、
芳香族ビニル系単量体35〜95重量部、前記芳香族ビニル系単量体と共重合可能な単量体1〜20重量部、ならびに加工性及び耐熱性を付与する単量体0〜15重量部をグラフト重合させて得られたグラフト共重合体樹脂20〜100重量%;ならびに(a2)芳香
族ビニル系単量体60〜90重量部、前記芳香族ビニル系単量体と共重合可能な単量体10〜40重量部、ならびに加工性及び耐熱性を付与する単量体0〜30重量部を共重合させて得られた共重合体樹脂0〜80重量%からなるゴム変性ポリスチレン樹脂100重量部;(B)オキサホスホラン系化合物0.1〜15重量部;ならびに(C)芳香族リン酸エステル化合物0〜20重量部を含んでいる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、難燃性熱可塑性樹脂組成物に関するものである。より具体的には、本発明は、ゴム変性ポリスチレン樹脂からなるベース樹脂に、オキサホスホラン系化合物を難燃剤として用いた難燃性ゴム変性スチレン系樹脂組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般にゴム変性スチレン系樹脂は、加工性及び機械的物性が優れているため電気電子製品や事務機器などの多様な用途にたくさん使われている。しかし、スチレン系樹脂は非常に燃焼しやすいため、熱を発散する製品にゴム変性スチレン系樹脂を用いる場合に、短所が見出される。従って、ゴム変性スチレン系樹脂の難燃性を向上させるための方法が開発されてきた。
【0003】
ゴム変性スチレン系樹脂組成物に難燃性を付与するための従来の技術としては、ゴム変性スチレン系樹脂組成物に難燃剤としてハロゲン系化合物を混合する方法がある。この方法において通常用いられるハロゲン系化合物としては、ポリブロモジフェニルエーテル、テトラブロモビスフェノールA、臭素置換されたエポキシ化合物などがある。また、アンチモン系化合物は、難燃性を上昇させるため、ハロゲン系化合物と共によく用いられている。
【0004】
しかし、ハロゲン系化合物は、加工中に揮発してハロゲン化水素ガスを発生させて金型を腐食させることがあり、燃焼時に発生する有毒なガスが致命的な影響を与えるという短所がある。その中でもハロゲン系難燃剤として主として用いられるポリ臭化ジフェニルエーテルは、燃焼時にダイオキシンやジフランのような非常に有毒なガスを発生させることがある。そのため、ハロゲン系化合物を用いない難燃剤の開発に関心が集まっている。
【0005】
米国特許第3,639,506号明細書では、スチレン系樹脂とポリフェニレンエーテル系樹脂とのブレンドに、トリフェニルホスフェートのようなモノ芳香族リン酸エステルを適用した樹脂組成物が開示されている。しかし、トリフェニルホスフェートは、揮発性が高いため、樹脂の耐熱度を低下させ、樹脂の成形過程中に液状異物を発生させてジューシングクラック(juicing crack)の原因になっている。
【0006】
前記揮発性の問題を解決するため、特開平7−43769号公報では、トリフェニルホスフェートのフェニル基に、炭素数が12〜25の置換基を導入してゴム強化スチレン系樹脂(HIPS)に適用する場合に耐燃焼滴下型難燃性が達成される樹脂組成物が開示されている。また、特開平5−1079号公報では、トリフェニルホスフェートの耐熱度低下を防ぎ、これの揮発性を改善しようと芳香族フェニル基を連結基として有する二リン酸エステル構造が開示されている。しかし、ゴム変性スチレン系樹脂に、炭素数が12〜25の置換基が導入されたトリフェニルホスフェートを用いたり、または二リン酸エステルを難燃剤として用いる前記公報に記載の技術の場合に、揮発性による問題点が改善されても、耐燃焼滴下型難燃性を達成するために難燃剤の添加量が多くなり、これにより耐熱度が低下するという問題点がある。
【0007】
従って本発明者らは、前記の問題点を解決するため、ゴム変性スチレン系樹脂にオキサホスホラン系化合物を適用して、耐熱度の低下がなく、揮発性の問題がなく、耐燃焼滴下型難燃性を達成することができる本発明の樹脂組成物を開発することに至った。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、ゴム変性スチレン系樹脂にオキサホスホラン系化合物及び/または芳香族リン酸エステル化合物を用いて難燃性が優れる熱可塑性樹脂組成物を提供することにある。
【0009】
本発明の他の目的は、難燃性が優れながらも衝撃強度及び耐熱度のような物性が優れた難燃性熱可塑性樹脂組成物を提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、ハロゲン系化合物を用いないことにより環境親和的で人体に無害な難燃性熱可塑性樹脂組成物を提供することにある。
【0010】
本発明の上記及びその他の目的は、下記で説明される本発明によって全て達成できる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る難燃性熱可塑性樹脂組成物は、(A)(a1)ゴム状重合体5〜65重量
部、芳香族ビニル系単量体35〜95重量部、前記芳香族ビニル系単量体と共重合可能な単量体1〜20重量部、及び加工性及び耐熱性を付与する単量体0〜15重量部をグラフト重合させて得られたグラフト共重合体樹脂20〜100重量%;ならびに(a2)芳香
族ビニル系単量体60〜90重量部、前記芳香族ビニル系単量体と共重合可能な単量体10〜40重量部、及び加工性及び耐熱性を付与する単量体0〜30重量部を共重合させて得られた共重合体樹脂0〜80重量%からなるゴム変性スチレン系樹脂100重量部に対して、(B)オキサホスホラン系化合物0.1〜15重量部、ならびに(C)芳香族リン酸エステル化合物0〜20重量部を含むことを特徴とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
(A)ゴム変性スチレン系樹脂
本発明に係る樹脂組成物に用いるゴム変性スチレン系樹脂は、ビニル芳香族系重合体からなるマトリックス(連続相)中にゴム状重合体(ゴム相重合体、rubber polymer、rubber phase polymer)が粒子形態で分散して存在する重合体であり、その製造方法はゴム状重合体に芳香族ビニル系単量体、及び必要に応じて選択的に前記芳香族ビニル系単量体とグラフト共重合可能な単量体を添加して重合するというものである。このようなゴム変性スチレン系樹脂は、乳化重合法、懸濁重合法、塊状重合法のような周知の重合方法により製造でき、通常、このグラフト共重合体樹脂と共重合体樹脂とを混合押出することにより生産される。塊状重合法の場合は、グラフト共重合体樹脂と共重合体樹脂とを別々に製造せず、1つの反応工程のみでゴム変性スチレン系樹脂を製造する。いずれの重合方法によって製造する場合でも、最終のゴム変性スチレン系樹脂成分中のゴム含量は、ベース樹脂全体に対して5〜30重量%であるのが好ましい。
【0013】
本発明に用いられるゴム変性スチレン系樹脂は、グラフト共重合体樹脂を単独で、またはグラフト共重合体樹脂及び共重合体樹脂を共に用いて製造することができ、それぞれの相溶性を考慮して配合することが好ましい。
【0014】
(a1)グラフト共重合体樹脂
本発明で用いられるグラフト共重合体樹脂は、ゴム状重合体、芳香族ビニル系単量体、この芳香族ビニル系単量体と共重合可能な単量体、及び加工性及び耐熱性を付与する単量体をグラフト共重合させて得る。
【0015】
本発明のグラフト共重合体樹脂に用いられるゴム状重合体の例としては、ポリブタジエン、ポリ(スチレン−ブタジエン)、ポリ(アクリロニトリル−ブタジエン)などのジエン系ゴム;前記ジエン系ゴムに水素添加した飽和ゴム;イソプレンゴム;ポリブチルアクリル酸などのアクリル系ゴム;及びエチレン−プロピレン−ジエン単量体の三元共重合体
(EPDM)などを挙げることができる。この中では、ジエン系ゴムとブタジエン系ゴムが好ましく、ブタジエン系ゴムがより好ましい。ゴム状重合体の含量は5〜65重量部が好ましい。
【0016】
前記のグラフト共重合可能な単量体の混合物に用いられる芳香族ビニル系単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレンなどがあり、この中ではスチレンが最も好ましい。芳香族ビニル系単量体は35〜95重量部を用いるのが好ましい。
【0017】
本発明で用いられるグラフト共重合体樹脂には、前記芳香族ビニル系単量体にグラフト共重合可能な単量体を1種以上導入することができる。導入可能な単量体としては、アクリロニトリルのようなシアン化ビニル系化合物、メタクリロニトリルのような不飽和ニトリル系化合物が好ましい。前記単量体は1〜20重量部を用いるのが好ましい。
【0018】
また、前記グラフト共重合を行う際には加工性及び耐熱性を付与するために単量体を添加する。このような単量体の例としては、アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、N−置換マレイドなどがある。この単量体の含量は0〜15重量部である。
【0019】
本発明のグラフト共重合体樹脂を製造する際には、衝撃強度及び外観を考慮すると、ゴム粒子の平均大きさが0.1〜4μmの範囲にあることが好ましい。
(a2)共重合体樹脂
本発明に用いられる共重合体樹脂は、前記グラフト共重合体樹脂(a2)の成分の中で
ゴム以外の単量体の割合および相溶性に応じて製造され、芳香族ビニル系単量体、この芳香族ビニル系単量体と共重合可能な単量体、及び加工性及び耐熱性を付与する単量体を共重合させて得られる。
【0020】
共重合される前記芳香族ビニル系単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレンなどがあり、この中ではスチレンが最も好ましい。芳香族ビニル系単量体60〜90重量部を用いて共重合体樹脂が得られる。
【0021】
本発明で用いられる共重合体樹脂には、前記芳香族ビニル系単量体と共重合可能な単量体が1種以上導入される。このような単量体の例としては、アクリロニトリルのようなシアン化ビニル系化合物、またはメタクリロニトリルのような不飽和ニトリル系化合物が好ましい。前記共重合体樹脂に用いられる芳香族ビニル系単量体と共重合可能な単量体の含量は、10〜40重量部であることが好ましい。
【0022】
前記共重合体樹脂には加工性及び耐熱性のような特性を付与するための単量体が用いられるが、この単量体の例としては、アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、N−置換マレイドなどの単量体がある。加工性及び耐熱性を付与するために共重合の際に添加される単量体の量は0〜30重量部であることが好ましい。
【0023】
本発明に用いられるゴム変性スチレン系樹脂(A)の例としては、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体樹脂(ABS樹脂)、アクリロニトリル−エチレンプロピレンゴム−スチレン共重合体樹脂(AES樹脂)、アクリロニトリル−アクリルゴム−スチレン共重合体樹脂(AAS樹脂)などがある。
【0024】
本発明に用いられるゴム変性スチレン系樹脂(A)においては、前記グラフト共重合体樹脂(a1)20〜100重量%と共重合体樹脂(a2)0〜80重量%とが混合されており、ゴム変性スチレン系樹脂(A)の含量100重量部を基準として他の成分が混合される。
【0025】
(B)オキサホスホラン系化合物
本発明で用いられるオキサホスホラン系化合物は、下記化学式(I)のオキサホスホラン系構造を有する化合物である:
【0026】
【化1】

【0027】
(前記式において、R1は水素、C1−C4のアルキル基、またはC6−C10のアリール基であり、R2及びR3は互いに独立に水素またはC1−C4のアルキル基であり、nは1〜3である。)。
【0028】
前記化学式(I)の構造を有する代表的な化合物として、2−メチル−2,5−ジオキソ−1−オキサ−2−ホスホランと2−フェニル−2,5−ジオキソ−1−オキサ−2−ホスホランがある。本発明に用いられるオキサホスホラン系化合物(B)は、単独で、あるいは他の化合物と混合した混合物として使用可能であり、その量はベース樹脂100重量部当り0.1〜15重量部の範囲であり、好ましくは1〜10重量部の範囲内である。
【0029】
(C)芳香族リン酸エステル化合物
本発明で用いられる芳香族リン酸エステル化合物は下記化学式(II)の構造を有する化合物である:
【0030】
【化2】

【0031】
(前記式において、R3、R4、R5は互いに独立に水素またはC1−C4のアルキル基であ
り、XはC6−C20のアリール基またはアルキル置換のC6−C20のアリール基であり、このアルキル置換のC6−C20のアリール基はレソルシノール、ヒドロキノール、ビスフェ
ノール−Aなどのジアルコールからの誘導体であり、nは0〜4である。)。
【0032】
前記化学式(II)の構造を有する化合物の例としては、nが0の場合にはトリフェニルホスフェート、トリ(2,6−ジメチル)ホスフェートなどがあり、nが1の場合にはレソルシノールビス(ジフェニル)ホスフェート、レソルシノールビス(2,6−ジメチルフェニル)ホスフェート、レソルシノールビス(2,4−ジt−ブチルフェニル)ホスフ
ェート、ヒドロキノールビス(2,6−ジメチルフェニル)ホスフェート、ヒドロキノールビス(2,4−ジt−ブチルフェニル)ホスフェートなどがある。これら芳香族リン酸エステル化合物は単独で用いることができ、またこれら化合物の混合物として用いることも可能である。
【0033】
また、芳香族リン酸エステル化合物はベース樹脂100重量部当り0〜20重量部の範囲内で用ることができ、0.1〜15重量部の範囲内で好ましく用いることができ、0.1〜6重量部の範囲内でより好ましく用いることができる。
【0034】
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、それぞれの用途に応じて、熱安定剤、酸化防止剤、光安定剤、有機または無機顔料、染料及び/または無機充填剤のような添加剤を含んでいてもよい。これらの添加剤は本発明で用いられるベース樹脂(A)100重量部に対して0〜30重量部の量で用いるのが好ましいが、特に制限されることはない。
【0035】
本発明は、下記の実施例により、より具体化されるが、下記の実施例は本発明の具体的な例示目的のためであり、本発明の保護範囲を限定したり制限しようとするものではない。
【0036】
[実施例]
難燃性熱可塑性樹脂組成物を製造するために実施例1−3及び比較例1−2で用いられた成分は以下のとおりある:
(A)ゴム変性スチレン系樹脂
(a1)グラフト共重合体樹脂
ブタジエンゴムラテックスの固形分50重量部、スチレン36重量部、グラフト共重合可能な単量体であるアクリロニトリル14重量部、及び脱イオン水150重量部の混合物に、この混合物の総固形分に対してオレイン酸カリウム1.0重量部、クメンヒドロペルオキシド0.4重量部、メルカプタン系連鎖移動剤0.2重量部、ブドウ糖0.4重量部、硫酸鉄水和物0.01重量部、及びピロリン酸ナトリウム0.3重量部を添加して、5時間75℃に維持して反応を完了し、グラフト共重合体(g−ABS)ラテックスを製造した。この結果の樹脂組成物固形分に対して硫酸0.4重量部を付加し凝固させて、グラフト共重合体樹脂(g−ABS)を粉末状態で得た。
【0037】
(a2)共重合体樹脂
スチレン75重量部、アクリロニトリル25重量部、及び脱イオン水120重量部の混合物に、必要な添加剤であるアゾビスイソブチロニトリル0.2重量部、トリカルシウムホスフェート0.4重量部、及びメルカプタン系連鎖移動剤0.2重量部を添加して、室温から80℃まで90分間昇温させた後、この温度で180分に維持してスチレン/アクリロニトリル共重合体樹脂(SAN)を製造した。これを水洗、脱水及び乾燥して粉末状態のスチレン/アクリロニトリル共重合体樹脂(SAN)を製造した。
【0038】
(B)オキサホスホラン系化合物
融点が102〜104℃である2−メチル−2,5−ジオキソ−1−オキサ−2−ホスホランを用いた。
【0039】
(C)芳香族リン酸エステル化合物
日本大八化学(株)の商品名PX200であるレソルシノールビス(2,6−ジメチルフェニル)ホスフェートを用いた。
【0040】
[実施例1〜3]
前記成分(A)〜(C)を下記表1に示す量で混ぜて、通常の二軸押出機で180〜2
50℃の温度範囲で押出してペレットを製造した。製造されたペレットを80℃で3時間乾燥した後、6 Oz射出機で成形温度180〜280℃、金型温度40〜80℃の条件
で射出して難燃試験片及び物性試験片を製造した。
【0041】
製造された試験片について、難燃規格UL94VBに準じて1/12″、1/8″の厚さで難燃性を測定し、アイゾッド衝撃強度を1/8″の厚さでASTM D256Aに準じ
て測定し、耐熱度をASTM D1525に準じて5kgf荷重で測定した。
【0042】
[比較例1〜2]
比較例1は、前記オキサホスホラン系化合物を用いないことを除いて実施例1と同様な方法で行った。比較例2は、前記オキサホスホラン系化合物の代わりに、芳香族リン酸エステルを難燃剤として用いたことを除いて実施例1と同様な方法で行った。試験結果を表1に示す。
【0043】
【表1】

【0044】
表1から分かるように、難燃剤としてオキサホスホラン系化合物を用いる樹脂組成物は、比較例1−2に比べ、衝撃強度及び耐熱度が低下することなく、優れた難燃性を示した。
【0045】
本発明の単純な変形ないし変更は、この分野の通常の知識を有する者が容易に行うことができ、このような変形や変更はすべて本発明の範囲に含まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)(a1)ゴム状重合体5〜65重量部、芳香族ビニル系単量体35〜95重量部、
前記芳香族ビニル系単量体と共重合可能な単量体1〜20重量部、及び加工性及び耐熱性を付与する単量体0〜15重量部をグラフト重合させて得られたグラフト共重合体樹脂20〜100重量%;ならびに
(a2)芳香族ビニル系単量体60〜90重量部、前記芳香族ビニル系単量体と共
重合可能な単量体10〜40重量部、及び加工性及び耐熱性を付与する単量体0〜30重量部を共重合させて得られた共重合体樹脂0〜80重量%;
からなるゴム変性スチレン系樹脂100重量部;
(B)下記化学式(I)の構造を有するオキサホスホラン系化合物0.1〜15重量部:
【化1】

(前記式において、R1は水素、C1−C4のアルキル基、またはC6−C10のアリール基であり、R2及びR3は互いに独立に水素またはC1−C4のアルキル基であり、nは1〜3である。);ならびに
(C)下記化学式(II)の構造を有する芳香族リン酸エステル化合物0〜20重量部;
を含むことを特徴とする難燃性熱可塑性樹脂組成物:
【化2】

(前記化学式(II)において、R3、R4、R5は互いに独立に水素またはC1−C4のアル
キル基であり、XはC6−C20のアリール基またはアルキル置換のC6−C20のアリール基であり、このアルキル置換のC6−C20のアリール基はレソルシノール、ヒドロキノール
、ビスフェノール−Aなどのジアルコールからの誘導体であり、nは0〜4である。)。
【請求項2】
前記グラフト共重合体樹脂(a1)に用いられるゴム状重合体は、ジエン系ゴム、前記
ジエン系ゴムに水素を添加した飽和ゴム、イソプレンゴム、アクリル系ゴム、及びエチレン−プロピレン−ジエン単量体の三元共重合体(EPDM)よりなる群から一つ以上選択され;前記芳香族ビニル系単量体は、スチレン、α−メチルスチレン、及びp−メチルスチレンよりなる群から一つ以上選択され;前記芳香族ビニル系単量体と共重合可能な単量体はシアン化ビニル系化合物及び不飽和ニトリル系化合物よりなる群から一つ以上選択され;前記加工性及び耐熱性を付与する単量体は、アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、及びN−置換マレイドよりなる群から一つ以上選択されることを特徴とする、請求
項1に記載の難燃性熱可塑性樹脂組成物。
【請求項3】
前記オキサホスホラン系化合物(B)は、2−メチル−2,5−ジオキソ−1−オキサ−2−ホスホラン及び2−フェニル−2,5−ジオキソ−1−オキサ−2−ホスホランよりなる群から一つ以上選択されることを特徴とする、請求項1に記載の難燃性熱可塑性樹脂組成物。
【請求項4】
前記芳香族リン酸エステル化合物(C)は、トリフェニルホスフェート、トリ(2,6−ジメチル)ホスフェート、レソルシノールビス(ジフェニル)ホスフェート、レソルシノールビス(2,6−ジメチルフェニル)ホスフェート、レソルシノールビス(2,4−ジt−ブチルフェニル)ホスフェート、ハイドロキノールビス(2,6−ジメチルフェニル)ホスフェート、及びハイドロキノールビス(2,4−ジt−ブチルフェニル)ホスフェートよりなる群から一つ以上選択されることを特徴とする、請求項1に記載の難燃性熱可塑性樹脂組成物。
【請求項5】
前記芳香族リン酸エステル化合物(C)は、0.1〜15重量部であることを特徴とする、請求項1に記載の難燃性熱可塑性樹脂組成物。


【公表番号】特表2007−501307(P2007−501307A)
【公表日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−522500(P2006−522500)
【出願日】平成16年4月27日(2004.4.27)
【国際出願番号】PCT/KR2004/000969
【国際公開番号】WO2005/012417
【国際公開日】平成17年2月10日(2005.2.10)
【出願人】(500005066)チェイル インダストリーズ インコーポレイテッド (263)
【Fターム(参考)】