説明

難燃積層繊維構造体

【課題】本発明の目的は、難燃性および耐熱性に優れ、引張強度ならびにせん断強度が高く、使用時の形態安定性に優れるため、クッション材や断熱材に好適に用いることができる難燃積層繊維構造体を提供することにある。
【解決手段】織布の少なくとも片面に繊維ウェブが積層されてなる積層繊維構造体であって、下記要件a)〜d)を満足することを特徴とする難燃積層繊維構造体。
a)繊維ウェブが、耐炎化繊維のステープルファイバー、メタ型芳香族ポリアミドステープルファイバー、及び、パラ型芳香族ポリアミドステープルファイバーを含む
b)積層繊維構造体の目付が100〜700g/mである
c)織布の目付が40〜150g/mである
d)織布と繊維ウェブを構成する繊維同士が少なくとも一部で交絡している

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、難燃性が要求されるクッション材、断熱材として利用することができる難燃積層繊維構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、安全性の向上ならびに確保のため、難燃性および耐熱性に優れた不織布がクッション材あるいは断熱材として、各種輸送移動機に使用されている。該不織布には軽量化の観点より、難燃性および耐熱性に優れた有機繊維が使用されており、代表的な繊維としてメタ型芳香族ポリアミド(メタフェニレンイソフタルアミド)、パラ型芳香族ポリアミド(パラフェニレンテレフタラミド)、耐炎化繊維などが使用されている。例えば、耐炎化短繊維不織布と長繊維不織布とをニードルパンチにて一体化させたニードルパンチ不織布が提案されている(特許文献1)。
【0003】
しかしながら、メタ型芳香族ポリアミド繊維単独からなる不織布は、難燃性および耐熱性に優れ、前記特性を有する不織布の中では比較的安価であるものの、引張強力が低い問題があった。一方で、パラ型芳香族ポリアミド繊維単独からなる不織布は、引張強度に優れるもののせん断強度が低く、不織布表面と水平方向からの応力に弱く、残じんが発生し易いなど、難燃性に劣る問題があった。また酸化アクリル繊維は耐熱性および難燃性に優れるものの、引張強度およびせん断強度が非常に低い問題があった。そのため、使用時の不織布形態の安定性に優れ、且つ耐熱性および難燃性に優れた不織布はこれまでなく、実用性に優れた耐熱性および難燃性を有する不織布が望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−5901号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、難燃性および耐熱性に優れ、引張強度ならびにせん断強度が高く、使用時の形態安定性に優れ、クッション材や断熱材に好適に用いることができる難燃積層繊維構造体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は上記目的を達成するために鋭意検討した結果、かかる目的は、
織布の少なくとも片面に繊維ウェブが積層されてなる積層繊維構造体であって、下記要件a)〜d)を満足することを特徴とする難燃積層繊維構造体、
a)繊維ウェブが、耐炎化繊維のステープルファイバー、メタ型芳香族ポリアミドステープルファイバー、及び、パラ型芳香族ポリアミドステープルファイバーを含む
b)積層繊維構造体の目付が100〜700g/mである
c)織布の目付が40〜150g/mである
d)織布と繊維ウェブを構成する繊維同士が少なくとも一部で交絡している
により達成できることを見出した。
【0007】
また好ましくは、耐炎化繊維が、ポリアクリルニトリル繊維をプレオキシダイズドした酸化アクリル繊維である難燃積層繊維構造体であり、パラ型芳香族ポリアミドが、ポリパラフェニレンテレフタルアミドポリアミドまたはコポリパラフェニレン・3,4’−オキシジフェニレン・テレフタルアミドである難燃積層繊維構造体であり、織布が、有機繊維、天然繊維、金属繊維のいずれか1つあるいはこれらの2以上の組合せからなる難燃積層繊維構造体であり、ニードルパンチ処理及び/又はスパンレース処理により、織布と繊維ウェブを構成する繊維同士が交絡している難燃積層繊維構造体であり、織布に対する繊維ウェブの重量比が2〜10である難燃積層繊維構造体であり、繊維ウェブの全重量に対する耐炎化繊維のステープルファイバーの重量が10〜30重量%である難燃積層繊維構造体である。
【発明の効果】
【0008】
本発明の難燃積層繊維構造体は、耐炎化繊維のステープルファイバーおよびメタ型芳香族ポリアミドステープルファイバーおよびパラ型芳香族ポリアミドステープルファイバーを含むことで、高い難燃性および耐熱性を有し、使用時の形態安定性に優れる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】せん断強度測定サンプルの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
本発明の難燃積層繊維構造体は、織布の少なくとも片面に繊維ウェブが積層されてなる積層繊維構造体であって、前記繊維ウェブが、耐炎化繊維のステープルファイバー、メタ型芳香族ポリアミドステープルファイバー、パラ型芳香族ポリアミドステープルファイバーを含み、積層繊維構造体の目付が100〜700g/m、織布の目付が40〜150g/mであり、織布と繊維ウェブを構成する繊維同士が少なくとも一部で交絡していることを特徴とする。
【0011】
本発明に使用される耐炎化繊維とは、芳香族ポリアミド繊維以外の難燃耐炎性繊維を指し、耐炎化ステープルファイバーとしては、ポリアクリルニトリル繊維をプレオキシダイズドした酸化アクリルステープルファイバー(東邦テナックス(株)製「パイロメックス」、旭化成(株)製「ラスタン」)が好ましく例示される。
【0012】
また、本発明においてパラ型芳香族ポリアミドステープルファイバーとは、ポリアミドを構成する繰り返し単位の80mol%以上(好ましくは90molル%以上)が、下記式(1)で表される芳香族ホモポリアミド、または、芳香族コポリアミドからなるステープルファイバーである。ここでAr1、Ar2は芳香族基を表し、なかでも下記式(2)から選ばれた同一の、または、相異なる芳香族基からなるものが好ましい。但し、芳香族基の水素原子は、ハロゲン原子、低級アルキル基、フェニル基などで置換されていてもよい。
【0013】
【化1】

【化2】

【0014】
このようなパラ型芳香族ポリアミドの製造方法や繊維特性については、例えば、英国特許第1501948号公報、米国特許第3733964号公報、第3767756号公報、第3869429号公報、日本国特許の特開昭49−100322号公報、特開昭47−10863号公報、特開昭58−144152号公報、特開平4−65513号公報などに記載されている。
【0015】
このようなパラ型芳香族ポリアミドステープルファイバーの具体例としては、ポリパラフェニレンテレフタルアミドポリアミドステープルファイバー(帝人アラミドB.V.社製「トワロン」、デュポン(株)製「ケブラー」)、コポリパラフェニレン・3,4’−オキシジフェニレン・テレフタルアミドステープルファイバー(帝人テクノプロダクツ(株)製「テクノーラ」)などが例示される。
【0016】
メタ型芳香族ポリアミドステープルファイバーは延鎖結合の50モル%以上が非共軸で非平行の芳香族ポリアミドであり、例えば、ジカルボン酸としてテレフタル酸、イソフタル酸等の1種又は2種以上と、ジアミンとしてメタフェニレンジアミン、4,4−ジアミノフェニルエーテル、4,4−ジアミノジフェニルメタン、キシリレンジアミン等の1種又は2種以上を使用したホモポリマー又は共重合ポリマーからなる短繊維を挙げることができ、その代表的な例としては、ポリメタフェニレンイソフタルアミド、ポリメタキシレンテレフタルアミド、或いは、イソフタル酸クロライド、テレフタル酸クロライド及びメタフェニレンジアミン等を共重合せしめたコポリアミドからなる短繊維がある。これらの中で、くり返し単位の80モル%以上、好ましくは、90モル%以上がメタフェニレンイソフタルアミドである芳香族ポリアミド短繊維の延鎖結合の50モル%以上が非共軸で非平行の芳香族ポリアミドであって、例えば、ジカルボン酸として、テレフタル酸、イソフタル酸等の一種又は二種以上と、ジアミンとしてメタフェニレンジアミン、4,4−ジアミノフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、キシリレンジアミン等の一種又は二種以上を使用したホモポリマー又は共重合ポリマーステープルファイバーを挙げることができ、その代表的な例としてはポリメタフェニレンイソフタルアミド、ポリメタキシレンテレフタルアミド、あるいはイソフタル酸クロライド、テレフタル酸クロライド、メタフェニレンジアミン等を共重合せしめた共重合ポリマーからなるステープルファイバー等であり、これらの中で特に繰り返し単位の80モル%以上、さらに好ましくは、90モル%以上がメタフェニレンイソフタルアミドである芳香族ポリアミドであり、具体的には、ポリメタフェニレンイソフタルアミドステープルファイバー(例えば、デュポン(株)製「ノーメックス」、帝人テクノプロダクツ(株)製「テイジンコーネックス」)等が例示される。
【0017】
本発明の積層繊維構造体の目付は、クッション性ならびに重量を両立する観点より、100g/m以上、700g/m以下が好ましく、200g/m以上、600g/m以下がより好ましい。
【0018】
本発明においては、繊維ウェブを構成する耐炎化繊維のステープルファイバーおよびメタ型芳香族ポリアミドステープルファイバーおよびパラ型芳香族ポリアミドステープルファイバーの単繊維繊度は特に限定されないが、積層繊維構造体の引張強度およびせん断強度の観点より、0.6dtex以上、5.6dtex以下が好ましく、より好ましくは1.7以上、3dtex以下が好ましい。また繊維長は特に限定されないが、カード工程通過性の観点より、25mm以上、80mm以下が好ましく、より好ましくは38mm以上、76mm以下が好ましい。
【0019】
さらに、本発明において、耐炎化繊維のステープルファイバーは、積層繊維構造体の難燃性の観点より、繊維ウェブ全重量の10〜30重量%が好ましく、より好ましくは15〜25重量%である。10重量%未満の場合、難燃性が低くなり、30重量%を超える場合は、積層繊維構造体の引張強度およびせん断強度が低下する。
【0020】
メタ型芳香族ポリアミドステープルファイバーは、積層繊維構造体のせん断強度の観点より、繊維ウェブ全重量の10重量%以上が好ましく、20重量%以上がより好ましい。10重量%未満の場合、積層繊維構造体のせん断強度が低く、長期的な形態安定性が悪くなる。
【0021】
パラ型芳香族ポリアミドステープルファイバーは、積層繊維構造体の引張強度の観点より、繊維ウェブ全重量の20重量%以上が好ましく、30重量%以上がより好ましい。20重量%未満の場合、積層繊維構造体の引張強度が低く、取扱性に劣る。
【0022】
繊維ウェブの製造方法は特に限定されないが、ステープルファイバーをフラットカードまたはローラカード等のカード機により開繊し、シート状にする方法、ステープルファイバーを高速流体で開繊しながらベルト上にランダムに積層する方法が例示できる。
【0023】
本発明において、繊維ウェブは少なくとも織布の片面に積層していることが好ましく、より好ましくは両面に積層することにより、積層繊維構造体の寸法安定性がより向上する。
【0024】
また、積層繊維構造体の寸法安定性が良くするために、ニードルパンチ処理及び/又はスパンレース処理により繊維ウェッブの繊維同士、織布と繊維ウェッブの繊維同士を交絡させることが好ましい。ニードルパンチ処理は公知のニードルパンチ機を用いて打ち込み密度、ニードルのバーブ、深度は交絡の程度を見ながら決める。スパンレース処理は公知の高圧水流絡合機により繊維同士を交絡させる。圧や密度は交絡の程度で決めることができる。
【0025】
本発明で使用する織布は、有機繊維、天然繊維、金属繊維のいずれか1つあるいはその組合せからなる紡績糸およびまたはマルチフィラメントでもよい。好ましくは融点が200℃以上あるいは融点を有せず熱分解開始温度が200℃以上の繊維からなる紡績糸およびまたはマルチフィラメントが良い。融点あるいは熱分解開始温度が200℃未満の場合、織布の溶融およびまたは分解により、溶融物およびまたは分解物が不織布表面へ移動し、例えばプレス材として使用した場合、プレスされる相手材に付着する可能性がある。織布を構成する繊維は特に限定されないが、例えばポリエチレンテレフタレート繊維、レーヨン繊維、アセテート繊維、ビニロン繊維、ナイロン6繊維、ナイロン66繊維、芳香族ポリアミド繊維、全芳香族ポリエステル繊維等が例示される。これらの繊維素材は単独、もしくは2種以上の繊維を混合して使用することも可能である。
【0026】
織布の構造は特に限定されないが、例えば平織、綾織、朱子織を好ましく例示できる。また、織布の目付は40〜150g/mが好ましい。40g/m未満では積層繊維構造体の寸法安定性が劣り、150g/mを超えると例えばニードルパンチ処理を行う場合にニードル針が破損しやすくなる。
【0027】
前記織布に対する前記繊維ウェブ全重量に対して重量比(繊維ウェブ重量/織布重量)が2〜10であることが好ましい。前記重量比が2未満あるいは10を超える場合、理由は明らかになっていないが、繊維同士の交絡が悪いためか、積層繊維構造体のせん断強度が低くなり、積層繊維構造体の寸法安定性に劣る。
【0028】
本発明によれば、耐炎化繊維のステープルファイバーおよびメタ型芳香族ポリアミドステープルファイバーおよびパラ型芳香族ポリアミドステープルファイバーが積層繊維構造体に含まれ、ニードルパンチ処理およびまたはスパンレース処理により繊維同士が交絡せしめられることで、積層繊維構造体の難燃性に優れ、引張強度およびせん断強度が高くなり、形態安定性に優れた難燃積層繊維構造体を得ることができる。
【実施例】
【0029】
以下、実施例に基づいて本発明をさらに詳細に説明する。しかし、以下の例によって、本発明が限定されることはない。なお、実施例中の各特性値は下記の方法で測定した。
(1)繊維ウェブならびに積層繊維構造体目付:JIS L1913に準じて測定した。
(2)織布目付:JIS L1096に準じて測定した。
(3)積層繊維構造体のLOI:JIS L1913に準じて測定した。
(4)積層繊維構造体の引張強度:JIS L1913に準じて測定した。
(5)積層繊維構造体のせん断強度:
2cm角の正方形に打抜かれた積層繊維構造体の両面に、熱硬化性接着剤(住友スリーエム(株)製Y−582A)を貼り付け、図1に示すように、幅2cm、長さ5cm、厚み1mmのステンレス板2枚と貼り合せ、0.3kg/cmの圧力を付与した上で180℃、15分間の熱処理を行うことで固定した。その後、インストロン社製定速引張装置にて20mm/minの速度でステンレス板を引張り、積層繊維構造体のタテおよびヨコ方向の最大せん断強度をそれぞれ3点算出し、その平均値を求めた。
【0030】
[実施例1]
(有)竹内製作所製のカーディング、クロスラッピング装置を使用し、単繊維繊度が2.2dtex、繊維長が51mmの酸化アクリルステープルファイバー(東邦テナックス株式会社製パイロメックス)20重量%、単繊維繊度が2.2dtex、繊維長が51mmのメタ型芳香族ポリアミドステープルファイバー(帝人テクノプロダクツ株式会社製コーネックス)40重量%、単繊維繊度が1.7dtex、繊維長が50mmのパラ型芳香族ポリアミドステープルファイバー(帝人アラミドB.V.社製トワロン)40重量%の混綿された繊維ウェブを2枚作成し、目付66g/mのコーネックス織布(帝人テクノプロダクツ株式会社製、品番CO2016)中間に配した積層体を得た。
次いで、(有)竹内製作所製のニードルパンチ装置を使用し、オルガン製ニードルパンチ用針(FTD−68 36CSM)を用い、積層体の両面を、それぞれ針深度10mm、100本/cmの打込密度でニードリングした後、同様の装置、ニードル針を使用し、針深度8mm、400本/cmの打込密度でニードリングし、積層繊維構造体を製造した。結果を表1に示す。
【0031】
[実施例2]
混綿比率を変えてウェブを製造する変更する以外は、請求項1と同様にして積層繊維構造体を製造した。結果を表1に示す。
【0032】
[実施例3]
目付110g/mのコーネックス織布(帝人テクノプロダクツ株式会社製、品番CO1700)に変更する以外は、請求項1と同様にして積層繊維構造体を製造した。結果を表1に示す。
【0033】
[比較例1]
繊維ウェブを単繊維繊度が2.2dtex、繊維長が51mmの酸化アクリルステープルファイバー(東邦テナックス株式会社製パイロメックス)100重量%に変更する以外は、請求項1と同様にして積層繊維構造体を製造した。結果を表1に示す。
【0034】
[比較例2]
繊維ウェブを単繊維繊度が2.2dtex、繊維長が51mmのメタ型芳香族ポリアミドステープルファイバー(帝人テクノプロダクツ株式会社製コーネックス)100重量%に変更する以外は、請求項1と同様にして積層繊維構造体を製造した。結果を表1に示す。
【0035】
[比較例3]
繊維ウェブを単繊維繊度が1.7dtex、繊維長が50mmのパラ型芳香族ポリアミドステープルファイバー(帝人アラミドB.V.社製トワロン)100重量%に変更する以外は、請求項1と同様にして積層繊維構造体を製造した。結果を表1に示す。
【0036】
[比較例4]
繊維ウェブを単繊維繊度が2.2dtex、繊維長が51mmの酸化アクリルステープルファイバー(東邦テナックス株式会社製パイロメックス)50重量%、単繊維繊度が2.2dtex、繊維長が51mmのメタ型芳香族ポリアミドステープルファイバー(帝人テクノプロダクツ株式会社製コーネックス)50重量%の混綿ウェブに変更する以外は、請求項1と同様にして積層繊維構造体を製造した。結果を表1に示す。
【0037】
[比較例5]
繊維ウェブを単繊維繊度が2.2dtex、繊維長が51mmの酸化アクリルステープルファイバー(東邦テナックス株式会社製パイロメックス)50重量%、単繊維繊度が1.7dtex、繊維長が50mmのパラ型芳香族ポリアミドステープルファイバー(帝人アラミドB.V.社製トワロン)50重量%の混綿ウェブに変更する以外は、請求項1と同様にして積層繊維構造体を製造した。結果を表1に示す。
【0038】
[比較例6]
繊維ウェブを単繊維繊度が2.2dtex、繊維長が51mmのメタ型芳香族ポリアミドステープルファイバー(帝人テクノプロダクツ株式会社製コーネックス)50重量%、単繊維繊度が1.7dtex、繊維長が50mmのパラ型芳香族ポリアミドステープルファイバー(帝人アラミドB.V.社製トワロン)50重量%の混綿ウェブに変更する以外は、請求項1と同様にして積層繊維構造体を製造した。結果を表1に示す。
【0039】
[比較例7]
繊維ウェブ目付を高くする以外は、請求項1と同様にして積層繊維構造体を製造した。結果を表1に示す。
【0040】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明の積層繊維構造体は、難燃性が要求されるクッション材、断熱材として利用することができる。
【符号の説明】
【0042】
a ステンレス板
b 不織布

【特許請求の範囲】
【請求項1】
織布の少なくとも片面に繊維ウェブが積層されてなる積層繊維構造体であって、下記要件a)〜d)を満足することを特徴とする難燃積層繊維構造体。
a)繊維ウェブが、耐炎化繊維のステープルファイバー、メタ型芳香族ポリアミドステープルファイバー、及び、パラ型芳香族ポリアミドステープルファイバーを含む
b)積層繊維構造体の目付が100〜700g/mである
c)織布の目付が40〜150g/mである
d)織布と繊維ウェブを構成する繊維同士が少なくとも一部で交絡している
【請求項2】
耐炎化繊維が、ポリアクリルニトリル繊維をプレオキシダイズドした酸化アクリル繊維である請求項1記載の難燃積層繊維構造体。
【請求項3】
パラ型芳香族ポリアミドが、ポリパラフェニレンテレフタルアミドポリアミドまたはコポリパラフェニレン・3,4’−オキシジフェニレン・テレフタルアミドである請求項1〜2いずれかに記載の難燃積層繊維構造体。
【請求項4】
織布が、有機繊維、天然繊維、金属繊維のいずれか1つあるいはこれらの2以上の組合せからなることを特徴とする請求項1〜3いずれかに記載の難燃積層繊維構造体。
【請求項5】
ニードルパンチ処理及び/又はスパンレース処理により、織布と繊維ウッブを構成する繊維同士が交絡している請求項1〜4いずれかに記載の難燃積層繊維構造体。
【請求項6】
織布に対する繊維ウェブの重量比が2〜10である請求項1〜5いずれかに記載の難燃積層繊維構造体。
【請求項7】
繊維ウェブの全重量に対する耐炎化繊維のステープルファイバーの重量が10〜30重量%である請求項1〜6いずれかに記載の難燃積層繊維構造体。

【図1】
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【公開番号】特開2012−62608(P2012−62608A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−209289(P2010−209289)
【出願日】平成22年9月17日(2010.9.17)
【出願人】(303013268)帝人テクノプロダクツ株式会社 (504)
【Fターム(参考)】