説明

難着雪カバー

【課題】落雪効果の高い難着雪カバーを提供する。
【解決手段】ケーブル100の径よりも内径の大きい本体11と、本体11の上部に形成された雪切板12と、本体11の下部に形成された板状の重り13とを備え、本体11、雪切板12および重り13に撥水加工を施す。これにより、重り13の重さにより雪切板12が地面に対して垂直となるので、雪切板12により難着雪カバー1上に積もる雪が分断されて、落雪しやすくなる。また、雪切板12と板状の重り13とで風を受け、ケーブル100を揺らすので、難着雪カバー1を取り付けていないケーブル100上に積もった雪の落下を促すことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケーブルに取り付けて使用する難着雪カバーに関する。
【背景技術】
【0002】
降雪時に通信線や送電線などのケーブルに雪が付着すると、付着した雪の重さにより断線してしまうという問題がある。そこで、雪がケーブルに着雪することを防ぐ難着雪リングや(例えば特許文献1参照)、ケーブルの表面に撥水処理を施す技術が提案されている。
【特許文献1】特開2004−229334号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、図4の断面図に示すように、難着雪リングやケーブル100の表面に撥水処理を施した場合であっても、雪200同士がケーブルの周囲でくっつき合い落雪しにくいという問題がある。
【0004】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、その課題とするところは、取り付けが容易であって、落雪効果の高い難着雪カバーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る難着雪カバーは、ケーブルに取り付ける難着雪カバーであって、ケーブルの径よりも大きな内径を有し、外周面が撥水加工された筒形状のカバー本体と、カバー本体の上部に配置され、撥水加工された雪切部と、雪切部に対向したカバー本体の下部に配置された重りと、を有することを特徴とする。
【0006】
本発明にあっては、ケーブルを収納する筒形状のカバー本体の上部に配置され、撥水加工された雪切部と、雪切部に対向したカバー本体の下部に配置された重りとを備えることにより、重りにより雪切部が地面に対して立った状態となるので、カバー本体に積もる雪が分断されて落雪しやすい難着雪カバーを提供することが可能となる。
【0007】
上記難着雪カバーにおいて、重りは板状であることを特徴とする。
【0008】
本発明にあっては、板状の重りを備えることにより、重りが風を受けて難着雪カバーを揺らし、難着雪カバーを取り付けていないケーブルに積もった雪の落雪を促すことを可能とする。
【0009】
上記難着雪カバーにおいて、カバー本体は、ケーブルの径より大きく開口可能な開口部を有することを特徴とする。
【0010】
本発明にあっては、カバー本体に開口部を有することにより、容易に難着雪カバーをケーブルに取り付けることが可能となる。
【0011】
上記難着雪カバーにおいて、ケーブルに配置するストッパを有することが、難着雪カバーの可動範囲を制御するうえで望ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、取り付けが容易であって、落雪効果の高い難着雪カバーを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。本発明は、以下に記載されたもののみに限定するものではない。
【0014】
図1は、本実施の形態における難着雪カバーの構成を示す斜視図である。同図に示すように、本難着雪カバー1は、円筒形状の本体11と、本体11の外周面の上部に雪切板12と、雪切板12に対向して本体11の外周面の下部に板状の重り13とを備えた構造である。
【0015】
本体11の長手方向の長さは、数cmから20cm程度である。本体11の内径は数mmから1cm程度であり、難着雪カバー1を取り付けるケーブル100の直径より数mm程度大きい。雪切板12の長さは本体11の長さと等しく、雪切板12の高さは、数cm程度である。重り13の長さも本体11の長さと等しい。重り13の高さは、雪切板12の約2倍程度である。
【0016】
難着雪カバー1の材質として、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリプロピレン樹脂などを用いる。難着雪カバー1の外面は、撥水材料を塗装し、撥水加工されている。撥水材料としては、接触角が140度以上の超撥水材料を用いることが望ましい。
【0017】
図2は、ケーブル100に難着雪カバー1を取り付けた様子を示す外観図である。同図に示すように、難着雪カバー1を取り付けたとき、ケーブル100は本体11の内側に収容される。本体11の内径がケーブル100の直径よりも大きいことから、難着雪カバー1は、ケーブル100に沿って左右に可動であるとともに、ケーブル100を軸として回転可能である。難着雪カバー1は、重り13が雪切板12よりも大きいことから、無風時には、雪切板12を上、重り13を下にして静止する。この状態で降雪があるとき、本体11の上部に降り積もる雪は、雪切板12により、本体11の上部において雪同士がくっつき合うことなくアンバランスとなり、自重で落下する。
【0018】
難着雪カバー1を取り付けていないケーブル100部分に着雪するが、難着雪カバー1を取り付けた箇所においてケーブル100上の着雪部分が分断されるため、ケーブル100上の雪も落下しやすくなる。また、雪切板12、板状の重り13が受ける風圧により、ケーブル100が揺れたり、あるいは、難着雪カバー1が揺れて左右に動くことで、ケーブル100上の雪の落下が促進される。
【0019】
難着雪カバー1は、2m程度から10m程度の間隔でケーブル100に取り付けることが望ましい。また、図2に示すように、ケーブル100に移動防止ストッパ20を取り付けることで、難着雪カバー1の左右の可動範囲を制限することができる。
【0020】
図3は、本実施の形態における別の難着雪カバーの構成を示す斜視図である。同図に示す難着雪カバー3は、図1に示したものと同様に、多角形の断面を有する筒形状の本体31と、雪切部32と、重りとなる板33A,33Bとを備えた構造である。
【0021】
板33A,33Bは本体31の下部に長手方向に形成した開口部に接続されており、板33A,33Bのそれぞれを指で持ち、開口部をケーブルの径よりも大きく広げることにより、容易にケーブル100に難着雪カバー3を取り付けることが可能となる。難着雪カバー3をケーブル100に取り付けた後、板33A,33Bのそれぞれに対応して形成された穴34を結束バンドや針金などで結び、板33A,33Bを張り合わせる。このように、本体31にケーブル100の径より大きく開口可能な開口部を備えることにより、容易に難着雪カバー3をケーブル100に取り付けることが可能となる。取り外しも容易であることは言うまでもない。したがって、降雪の状況、季節などに応じて容易に取り付け、取り外しを行うことができる。
【0022】
図3に示すように、難着雪カバー3の本体31は多角形の筒形状であっても良いし、断面が楕円の筒形状であってもよい。また、雪切部32は地面に対して垂直となるような板状であることが望ましいが、例えば2枚の板の一辺を張り合わせ、50度以上の傾斜角を有する三角形状であってもよい。
【0023】
したがって、本実施の形態によれば、ケーブル100の径よりも内径の大きい本体11と、本体11の上部に形成された雪切板12と、本体11の下部に形成された板状の重り13とを備え、本体11、雪切板12および重り13に撥水加工を施すことにより、重り13の重さにより雪切板12が地面に対して垂直となるので、雪切板12により難着雪カバー1上に積もる雪が分断されて、落雪しやすくなる。また、雪切板12と板状の重り13とで風を受け、ケーブル100を揺らすので、難着雪カバー1を取り付けていないケーブル100上に積もった雪の落下を促すことができる。
【0024】
本実施の形態によれば、本体31の下部にケーブル100の径より大きく開口可能な開口部を備えることにより、容易に難着雪カバー3をケーブル100に取り付けることが可能となる。これにより、通信を遮断することなく難着雪カバー3をケーブル100に取り付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】一実施の形態における難着雪カバーの構成を示す斜視図である。
【図2】上記難着雪カバーをケーブルに取り付けた様子を示す外観図である。
【図3】一実施の形態における別の難着雪カバーの構成を示す斜視図である。
【図4】ケーブルに着雪した様子を示す断面図である。
【符号の説明】
【0026】
1…難着雪カバー
11…本体
12…雪切板
3…難着雪カバー
31…本体
32…雪切部
33A,33B…板
34…穴
20…移動防止ストッパ
100…ケーブル
200…雪

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーブルに取り付ける難着雪カバーであって、
前記ケーブルの径よりも大きな内径を有し、外周面が撥水加工された筒形状のカバー本体と、
前記カバー本体の上部に配置され、撥水加工された雪切部と、
前記雪切部に対向した前記カバー本体の下部に配置された重りと、
を有することを特徴とする難着雪カバー。
【請求項2】
前記重りは板状であることを特徴とする請求項1記載の難着雪カバー。
【請求項3】
前記カバー本体は、前記ケーブルの径より大きく開口可能な開口部を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の難着雪カバー。
【請求項4】
前記ケーブルに配置するストッパを有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の難着雪カバー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−165233(P2009−165233A)
【公開日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−341001(P2007−341001)
【出願日】平成19年12月28日(2007.12.28)
【出願人】(399040405)東日本電信電話株式会社 (286)
【出願人】(000102739)エヌ・ティ・ティ・アドバンステクノロジ株式会社 (265)
【Fターム(参考)】