説明

雨水浸入防止構造

【課題】漏洩物貯留部への雨水の流入を防止する、エンジン駆動型作業機の雨水浸入防止構造を提供することを課題とする。
【解決手段】エンジンと、エンジンに供給する燃料を貯留する燃料タンクと、エンジンによって駆動される作業機本体と、を収納し、排風口44aと、フック部材を配設する凹溝440dと、燃料タンクに燃料を注入する給油部440に形成される凹部と、がアッパフレーム44に形成される筐体10を有するエンジン駆動型作業機の雨水浸入防止構造であって、凹溝440dは、アッパフレーム44の一端から他端に横断して形成され、排風口44aと給油部440は、互いに凹溝440dを挟んだ位置に形成されることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジン駆動型作業機の雨水浸入防止構造に関し、漏洩物貯留部への雨水の流入を防止する雨水浸入防止構造に関する。
【背景技術】
【0002】
エンジン駆動型作業機のベースとして、搬送用架台に関する技術が、例えば特許文献1に開示されている。特許文献1に開示される搬送用架台には凹部が形成され、その凹部に大型の燃料タンクを設置している。さらに、底面部を水密構造とし、エンジン駆動型作業機の漏洩物を遮蔽して漏洩物貯留部を形成し、漏洩物の外部への漏出を防止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3300923号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、例えば特許文献1に開示される技術は、外部から、エンジン駆動型作業機の筐体の内部に浸入する雨水に対する対応が考慮されていない。
エンジン駆動型作業機は、エンジンファンによって外部の空気を吸気し、その空気をラジエータ等の熱交換器に送風して冷却空気としていることから、例えば天候が急変して降雨になっても、熱交換器における冷却が終了するまでエンジン駆動型作業機を停止できない。
そして、降雨の状況でエンジン駆動型作業機の運転を継続すると、筐体に形成される空気の排風口などの開口部、及び筐体の開閉部や板金の合わせ面に形成される隙間から雨水が浸入する場合がある。
【0005】
特許文献1に開示される技術では、クーラント、エンジン潤滑油、動作用潤滑油などエンジン駆動型作業機の漏洩物の総量を上回る容量の領域を漏洩物貯留部として確保している。しかしながら、前記のように雨水が、筐体に形成される開口部や隙間から、筐体の内部に浸入して漏洩物貯留部に流入すると、エンジン駆動型作業機からの漏洩物と混合して漏洩物の総量が漏洩物貯留部の容量を越え、漏洩物が漏洩物貯留部から溢れる。
そして、漏洩物貯留部から溢れた漏洩物がエンジン駆動型作業機から漏出し、外部環境に影響を与えることがある。
【0006】
そこで、本発明は、漏洩物貯留部への雨水の流入を防止する、エンジン駆動型作業機の雨水浸入防止構造を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するため、本発明は、エンジンと、前記エンジンに供給する燃料を貯留する燃料タンクと、前記エンジンによって駆動される作業機本体と、を収納し、排風口と、フック部材を配設する凹溝と、前記燃料タンクに燃料を注入する給油口が開口する凹部と、が天井部に形成される筐体を有するエンジン駆動型作業機の雨水浸入防止構造であって、前記凹溝は、前記天井部の一端から他端に横断して形成され、前記排風口と前記凹部は、互いに前記凹溝を挟んだ位置に形成されることを特徴とした。
【0008】
係るこの発明によると、筐体の天井部に形成される給油口の凹部に滞留する雨水を排風口に到達させることなく、フック部材を配設する凹溝を介して排水できる。
【0009】
また本発明は、前記凹部は、前記凹溝と連通していることを特徴とした。
【0010】
係るこの発明によると、給油口の凹部の水を積極的に凹溝に排水できる。
【0011】
また本発明は、前記凹溝は、前記凹部より深く形成されることを特徴とした。
【0012】
係るこの発明によると、凹部に滞留する雨水を効率よく凹溝に排水できる。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る雨水浸入防止構造によると、筐体の天井部に形成される排風口と、給油口が開口する凹部を、互いに天井部の一端から他端に横断する凹溝を挟んだ位置に形成した。この構成によると、凹部に滞留する雨水が凹部から溢れ出ても、溢れ出た雨水は凹溝に流れ込むため、排風口には到達しない。したがって、凹部から溢れ出た雨水が排風口から筐体の内部に浸入することがなく、筐体の内部に形成される漏洩物貯留部に、雨水が流入することがない。
さらに、フック部材を取り付けるために従来から形成される凹溝を利用でき、雨水浸入防止構造のために凹溝を新規に形成する必要がない。
【0014】
また、本発明に係る雨水浸入防止構造は、筐体の天井部に形成される、給油口が開口する凹部を、天井部の一端から他端に横断して形成される凹溝と連通した。さらに、凹溝は給油口が開口する凹部より深く形成した。この構成によって、給油口が開口する凹部に入った雨水は滞留せずに凹溝に流れ込み、筐体の内部に浸入することなく凹溝を介して排水される。
したがって、筐体の内部に形成される漏洩物貯留部に、雨水が流入することがない。
【0015】
以上のように本発明は、漏洩物貯留部への雨水の流入を防止する、エンジン駆動型作業機の雨水浸入防止構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本実施形態に係る環境対応型ベースを備えるエンジン駆動型作業機を示す図である。
【図2】(a)は、環境対応型ベースの斜視図、(b)は、図2の(a)におけるX1−X1断面図である。
【図3】図2の(a)におけるX2−X2断面図である。
【図4】エンジン駆動型作業機の筐体を示す図である。
【図5】環境対応型ベースの正面の側を示す図である。
【図6】環境対応型ベースの正面の側における水の流れを示す模式図である。
【図7】環境対応型ベースの背面の側を示す図である。
【図8】給油部を示す図である。
【図9】係止部を示す図である。
【図10】図9における、X4−X4断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、適宜図を参照して詳細に説明する。
【0018】
図1は、本実施形態に係る環境対応型ベースを備えるエンジン駆動型作業機の主要装置の配置を、筐体を省略して示す図である。図1に示すように、本実施形態にかかるエンジン駆動型作業機1は、エンジン1aと作業機本体1cとが環境対応型ベース2に固定される。そして、エンジン1aの回転を出力する出力軸1dと作業機本体1cとが接続されて、エンジン1aの回転によって作業機本体1cが駆動される構成となっている。
なお、作業機本体1cは、例えば発電機である。
【0019】
燃料タンク1bはエンジン1aに接続され、例えば軽油などの燃料をエンジン1aに供給する。その他、図示はしないが、エンジン1aや作業機本体1cの駆動を制御する制御装置、エンジン1aへの燃料供給を管理するための装置およびエンジン冷却装置(以下、まとめて補機類と称する)などが環境対応型ベース2に固定されて備わる。
なお、以下の説明において、エンジン駆動型作業機1は、エンジン1aが配置される側、すなわち、一方の側を正面Frとし、作業機本体1cが配置される側、すなわち、他方の側を背面Rrとする。
【0020】
図2は、環境対応型ベースを示す図であって、(a)は、環境対応型ベースの斜視図、(b)は、図2の(a)におけるX1−X1断面図である。
ここで、環境対応型ベース2においても、エンジン駆動型作業機1(図1参照)と同様にエンジン1a(図1参照)が配置される側を正面Fr、作業機本体1c(図1参照)が配置される側を背面Rrとする。また、正面Frの側からみて、左面Le及び右面Riを設定する。さらに、右面Riと左面Leとをまとめて、両側面と称する場合もある。そして、両側面の間の長さを幅、正面Frから背面Rrに向かった長さを奥行きと称する。
【0021】
図2の(a)に示すように、環境対応型ベース2は、上方が開口した箱型の部材であり、矩形の例えば板金からなる部材の両端を略垂直に曲げ起こして、正面部32および背面部33を形成し、正面部32と背面部33の間に底面部31(床板)を形成する。さらに、底面部31、正面部32、背面部33の左面Le側の端部および右面Ri側の端部に、側面部34、34を固定して上面が開口している箱状の形状を形成する。ここで、正面部32、背面部33および側面部34、34とで、枠部材を形成する。
【0022】
側面部34は、例えば断面が略コ字型の部材とする。そして、環境対応型ベース2の底面部31が、2つの側面部34の間にあって、側面部34は、コ字型の開口が外側を向くように、底面部31、正面部32、背面部33(図2の(a)参照)の端部に連続溶接などで固定して、開口部が水密構造を有する環境対応型ベース2を構成する。このように、開口部が水密構造を有することで、環境対応型ベース2の開口部内に漏洩物貯留部3aを形成することができる。そして、漏洩物貯留部3aに漏洩物を貯留することで、液体状の漏洩物が環境対応型ベース2の外部に漏出することを防止できる。
なお、側面部34の両端部を曲げ起こして浅い箱型を形成し、側面部34の強度を高める構成としてもよい。
【0023】
正面部32の上端部は、環境対応型ベース2の外側に向かって折り曲げられ、底面部31と略平行な上面部32aを形成する。同様に、背面部33の上端部も環境対応型ベース2の外側に向かって折り曲げられ、上面部33aを形成する。また、側面部34においては、コ字型の上端側で上面部34aを形成する。
そして、本実施形態において、正面部32の上面部32a、及び背面部33の上面部33aは、側面部34の上面部34aより上下方向に低く形成されている。
【0024】
また、環境対応型ベース2には、エンジン1a(図1参照)を固定するエンジン固定台座22と、作業機本体1c(図1参照)を固定する作業機本体固定台座23が備わる。
エンジン固定台座22は、2つの側面部34、34の間に、正面部32及び背面部33と略平行に、例えば断面がコ字型の棒材を横架し、コ字型の開口部を下に向けて固定して形成される。エンジン1aは、エンジン固定台座22に載置され、例えば、防振ゴムを介して図示しないボルトとナットで固定するなどの適当な手段で固定される。
【0025】
作業機本体固定台座23は、2つの側面部34、34の間に、エンジン固定台座22と平行になるように、例えば断面がコ字型の棒材を横架し、コ字型の開口部を下に向けて固定して形成される。作業機本体1c(図1参照)は、作業機本体固定台座23に載置され、例えば、防振ゴムを介して図示しないボルトとナットで固定するなどの適当な手段で固定される。
【0026】
エンジン固定台座22、及び作業機本体固定台座23を固定する方法は限定されるものではない。例えば、図2の(a)に示すように、側面部34から環境対応型ベース2の内側に向かって台座部34bを突出させ、台座部34bにエンジン固定台座22、及び作業機本体固定台座23をねじ止めや溶接などで固定してもよい。
または、エンジン固定台座22、及び作業機本体固定台座23を、溶接やねじ止めなどで、側面部34に直接固定する構成であってもよい。
【0027】
さらに、環境対応型ベース2には、ガイドベース37が備わる。ガイドベース37は、2つの側面部34、34の間に、エンジン固定台座22と略平行になるように横架されて、エンジン固定台座22より正面の側に備わる。
【0028】
図2の(b)に示すように、ガイドベース37の断面形状は、平面部37bの両端が略垂直に、反対の側に曲げられて起立部37a、37cを形成する。そして、ガイドベース37は、平面部37bが底面部31と略平行になり、平面部37bが側面部34の上面部34aと略同等の高さになるように、かつ、下方に曲げられた起立部37cが正面Frの側になるように備わる。
【0029】
すなわち、上方に曲げられた起立部37aは、側面部34の上面部34aより上方に突出して備わる。さらに、下方に曲げられた起立部37cの下端側が、正面部32の上面部32aより上方になるように、ガイドベース37は環境対応型ベース2に備わる。
【0030】
ガイドベース37の平面部37b、及び起立部37cの左右方向の両端部は、2つの側面部34、34に挟持され、例えば連続溶接によって固定される。このように、ガイドベース37の長手方向の両端部を側面部34に連続溶接することで、ガイドベース37と側面部34との間に水密構造が形成される。
【0031】
また、図2の(b)に示すように、環境対応型ベース2の正面部32の下方(底面部31の側)にはドレンコック35が備わる。
図3は、図2の(a)におけるX2−X2断面図である。ドレンコック35の構造は限定するものではないが、例えば図3に示すように、正面部32を貫通する円筒状の排出管35cに備わる弁体35bの回転によって、排出管35cを開閉する構造が考えられる。弁体35bは、排出管35cの外部に備わるコックレバー35aと一体に回転する構造とすれば、例えば手動でコックレバー35aを操作することで、排出管35cを開閉できる。そして、排出管35cを開くことで、漏洩物貯留部3aと外部とが開通し、漏洩物貯留部3aに貯留する漏洩物を、環境対応型ベース2の外部に排出できる。
【0032】
なお、ドレンコック35の下方には、受皿32bが備わる構造であってもよい。受皿32bは、例えば断面が略L字型の部材を、側面部34が一方の側壁を形成するように底面部31に固定し、その端部はドレンコック35の端部よりも正面部32から突出した構造とする。このような構造の受皿32bを有することによって、ドレンコック35から漏出する漏洩物がある場合でも、受皿32bによって受け止められ、環境対応型ベース2を設置する周囲の環境を汚染することが防止できる。
【0033】
また、図3に示すように、ドレンコック35は、排出管35cの内側の少なくとも最下部が、底面部31(図2の(a)参照)の上面と同等の位置もしくは、底面部31の上面より下側になるように固定してもよい。このように固定することで、底面部31とドレンコック35との境界に漏洩物が滞留することを防ぐことができ、漏洩物貯留部3aに貯留する漏洩物を完全に排出することができる。
【0034】
従来、エンジン1a(図1参照)や、作業機本体1c(図1参照)が固定されるベースと、漏洩物貯留部3aが形成される基台は別部材として形成され、基台にベースを載置するように固定して、エンジン駆動型作業機1(図1参照)を構成する場合がある。
本実施形態に係る環境対応型ベース2は、従来の基台とベースを一体に構成した場合と同等の機能を有している。
【0035】
図4は、エンジン駆動型作業機の筐体を示す図である。本実施形態に係るエンジン駆動型作業機1(図1参照)は、環境対応型ベース2に固定される、フロントフレーム40、リアフレーム41、左フレーム42、右フレーム43、及びアッパフレーム44で筐体10を構成する。
【0036】
図4に示すように、環境対応型ベース2の正面Frの側にはフロントフレーム40が配設され、背面Rrの側にはリアフレーム41が配設される。
そして、フロントフレーム40とリアフレーム41の左面Le、右面Riの側に、それぞれ左フレーム42、右フレーム43が配設される。
さらに、フロントフレーム40、リアフレーム41、左フレーム42、及び右フレーム43を上方から覆うように、アッパフレーム44が備わる。
【0037】
フロントフレーム40、リアフレーム41、左フレーム42、右フレーム43及びアッパフレーム44は、相互に連結されて筐体10を形成し、環境対応型ベース2に固定される。
【0038】
このとき、フロントフレーム40、リアフレーム41、左フレーム42、右フレーム43及びアッパフレーム44の連結部には隙間が形成され、雨水が筐体10の内部に浸入することがある。
【0039】
また、アッパフレーム44は、フロントフレーム40の上方に対応する位置に排風口44aが開口し、中空の角筒状に形成されるフロントフレーム40の上方に開口部を形成する。
排風口44aは上方に向けて開口していることから、雨水は排風口44aからフロントフレーム40の中空部に浸入し、フロントフレーム40の中空部を介して筐体10の内部に浸入する。
【0040】
このように、筐体10に形成される排風口44aなどの開口部や、前記連結部に形成される隙間から浸入する雨水を筐体10の外部に排出するため、環境対応型ベース2の正面Frの側と背面Rrの側には、排水ガイド401が備わる。
排水ガイド401は、環境対応型ベース2の漏洩物貯留部3a(図2の(a)参照)に、雨水が浸入するのを防止する機能を有する。
【0041】
なお、アッパフレーム44には、図示しないフック部材を配設する凹溝440d、凹溝440dの上面に掛け渡されるつなぎ部材440e、及び給油部440が形成されるが、詳細は後記する。
【0042】
図5は、環境対応型ベースの正面の側を示す図である。
図5に示すように、排水ガイド401は平面形状が略矩形の浅い箱型の部材であって、底部401dは平面形状が略矩形に形成される。
底部401dの左右方向の幅は、環境対応型ベース2の2つの側面部34、34(図2の(a)参照)の間隔に等しく形成され、幅方向の端部の一方が起立して側壁401aが形成される。
【0043】
底部401dは、側壁401aから所定の長さだけ離れた位置から、側壁401aと同じ方向に、微小角度に曲げ起こされ、傾斜部401d2を形成する。なお、側壁401aと傾斜部401d2の起点との間を、平坦部401d1と称する。
さらに、側壁401aの平坦部401d1側の端部には、少なくとも1つの排水口401fが形成される。
【0044】
底部401dの、傾斜部401d2の両端は起立して、側壁401c、401cを形成する。さらに、側壁401aと対向する、底部401dの端部は起立して側壁401bを形成する。
このように排水ガイド401を形成し、側壁401aと側壁401c、401cとの間に切欠部401e、401eを設ける。
【0045】
図5に示すように、排水ガイド401は側壁401aが正面Frの側に配置され、平坦部401d1が正面部32の上面部32a(図2の(a)参照)に載置するように備わり、ねじ部材などで平坦部401d1は上面部32aに固定される(図示せず)。
または、平坦部401d1は、溶接などで上面部32aに固定されてもよい。
【0046】
排水ガイド401の底部401dの幅は、側面部34、34の間隔に等しく形成されることから、側壁401c、401cは、側面部34、34に接し、ボルトBと図示しないナットなどの締結部材で側面部34、34に固定される。
または、側壁401c、401cは、溶接などで側面部34、34に固定されてもよい。
【0047】
また、排水ガイド401の側壁401bは、ガイドベース37の起立部37cに、背面Rrの側から重なり、側壁401bは、ボルトBと図示しないナットなどの締結部材で起立部37cに固定される。
または、側壁401bは、溶接などで起立部37cに固定されてもよい。
【0048】
さらに、環境対応型ベース2の正面Frの側には、前記したようにフロントフレーム40が配設される。
図5に示すように、フロントフレーム40は、上下が貫通した中空の角筒状の部材であって、幅W1は、環境対応型ベース2の幅(側面部34、34の上面部34a、34aの端部間の長さ)と略等しく、奥行きD1は、側面部34の前端部から、ガイドベース37の起立部37aまでの長さと略等しく形成される。
【0049】
そして、フロントフレーム40は、2つの側面部34、34の上面部34a、34aとガイドベース37の平面部37bが形成する平面に載置され、環境対応型ベース2に固定される。
すなわち、ガイドベース37、及び排水ガイド401はフロントフレーム40の下方に配設される。さらに、図4に示すように、アッパフレーム44には、フロントフレーム40の上方に対応する位置に排風口44aが開口し、フロントフレーム40の上方に開口部を形成することから、排水部材であるガイドベース37、及び排水ガイド401は、開口部の下方に配設されることになる。
【0050】
フロントフレーム40の固定方法は限定されるものではないが、例えば奥行き方向の下端部を内側に折り曲げて固定部40aを形成して、固定部40aが側面部34の上面部34aに載置するように構成し、固定部40aと上面部34aとを図示しないボルトなどの締結部材で固定すればよい。
【0051】
フロントフレーム40は、環境対応型ベース2に固定されるエンジン1aや作業機本体1c(図1参照)を冷却するエンジンファンFを備え、中空部が排風路を形成している。
そのため、フロントフレーム40の上端部は完全に遮蔽することができず、図4に示すように、フロントフレーム40の上方には、アッパフレーム44に排風口44aが開口している。このことによって、例えば雨水がアッパフレーム44の排風口44aからフロントフレーム40の中空部に浸入し、フロントフレーム40の中空部を介して筐体10(図4参照)の内部に浸入する場合がある。
【0052】
図6は、環境対応型ベースの正面の側における水の流れを示す模式図である。図6を参照して、エンジン駆動型作業機1(図1参照)の正面Frの側で、フロントフレーム40の中空部を介して筐体10(図4参照)の内部に浸入する雨水などの水Waの流れを説明する。
【0053】
前記したように、フロントフレーム40は上下方向に中空の部材であり、雨水などの水Waは、アッパフレーム44の排風口44a(図4参照)から、フロントフレーム40の中空部を介して筐体10(図4参照)の内部に浸入する。
図6に示すように、ガイドベース37及び排水ガイド401は、フロントフレーム40の下方に配設されることから、フロントフレーム40の中空部から筐体の内部に浸入した雨水などの水Waは、ガイドベース37の平面部37b、または排水ガイド401の底部401d(平坦部401d1、傾斜部401d2)に受止められる。
すなわち、ガイドベース37の平面部37b、排水ガイド401の底部401d(平坦部401d1、傾斜部401d2)は、受水部となる。
【0054】
前記したように、ガイドベース37の端部は、側面部34と連続溶接などで水密構造を形成することから、平面部37bが受止めた水Waは、ガイドベース37と側面部34との間に浸入しない。
そして、ガイドベース37の平面部37bから、排水ガイド401に流れ込む水Wa、及び傾斜部401d2が受止める水Waは、傾斜部401d2を流れ、平坦部401d1に到達する。傾斜部401d2の両端には、側壁401c、401cが形成されることから、傾斜部401d2を流れる水Waは、傾斜部401d2の両端と側面部34との間に浸入しない。
【0055】
そして、平坦部401d1に到達した水Waは、側壁401aに形成される排水口401fから排水となって、正面Frの側に排出される。
【0056】
このように、ガイドベース37の平面部37b、排水ガイド401の傾斜部401d2、平坦部401d1が受止めた、雨水などの水Waは、排水口401fから環境対応型ベース2の外部に排水となって排出され、漏洩物貯留部3aに流入しない。
【0057】
なお、正面部32(図5参照)より背面Rrの側に切欠部401e(図5参照)が形成されると、水が正面部32より背面Rr、すなわち漏洩物貯留部3aに流入することから、切欠部401eは、正面部32より背面Rrの側に形成されないことが好ましい。
【0058】
このような構造によって、環境対応型ベース2(図4参照)の正面Frにおいて、筐体の内部に浸入した雨水などの水Waが漏洩物貯留部3aに流入することを防止できる。
【0059】
前記したようにガイドベース37の平面部37bより正面Frの側に浸入する水Waは、ガイドベース37の平面部37b、排水ガイド401の平坦部401d1、傾斜部401d2に受止められ、環境対応型ベース2の漏洩物貯留部3aに流入することなく排出されることから、フロントフレーム40の上端から浸入する雨水などの水Waは、漏洩物貯留部3aに流入することなく排出される。したがって、ガイドベース37、及び排水ガイド401は、排水部材となる。
【0060】
また、図4に示すように、環境対応型ベース2の背面Rrの側にはリアフレーム41が固定される。
リアフレーム41は、例えば略コ字型の部材からなり、コ字型の開口側が正面Frの側になるように起立して固定され、その高さはフロントフレーム40と同等の高さに形成される。
【0061】
そして、図4に示すように、本実施形態に係る環境対応型ベース2の背面Rrの側には、排水ガイド401が固定される。
【0062】
環境対応型ベース2の背面Rrの側における排水ガイド401の構造は、側壁401b(図5参照)がガイドベース37の起立部37c(図5参照)と固定されない以外は、正面Frの側と略同等の構造であり、詳細な説明は省略する。
【0063】
図7は、環境対応型ベースの背面の側を示す図である。
図7に示すように、リアフレーム41の幅W1は、環境対応型ベース2の幅と略等しく形成される。そして、コ字型の側面を下端の側で内側に折り曲げ、固定部41aを形成する。
リアフレーム41は、固定部41aが側面部34の上面部34aに載置されるように配置され、固定部41aと上面部34aを、例えばボルトBと図示しないナットで締結して固定される。
【0064】
また、図7に示すように、環境対応型ベース2の背面Rrの側に備わる排水ガイド401は、側壁401aの上端部を、底部401dの側に折り曲げて上面部401a1を形成してもよい。そして、リアフレーム41のコ字型の開口の底部41bの下端部を、内側に折り曲げて固定部41b1を形成し、固定部41b1を上面部401a1に載置するとともに、固定部41b1と上面部401a1を、例えばボルトBと図示しないナットで締結して固定してもよい。
このように、固定部41b1と上面部401a1を固定することで、リアフレーム41は環境対応型ベース2に確実に固定できる。
【0065】
図7に示すようにリアフレーム41を環境対応型ベース2に固定すると、リアフレーム41はその全体が排水ガイド401の上方に備わることになる。
すなわち、排水部材である排水ガイド401は、リアフレーム41と、筐体10(図4参照)を構成する他の部材(例えば、アッパフレーム44(図4参照)、左フレーム42(図4参照)、右フレーム43(図4参照))との連結部に形成される図示しない隙間の下方に配設される。そして、筐体10の連結部に形成される隙間から浸入する雨水などの水Waは、その全てが排水ガイド401に受止められ、排水口401fから排水として、背面Rrの側に排出される。この構造により、筐体10の連結部に形成される隙間から筐体10の内部に浸入する雨水などの水Waが、漏洩物貯留部3aに流入することを防止できる。
【0066】
図4に示す左フレーム42は、例えば板状の部材で、フロントフレーム40、及びリアフレーム41が固定されたエンジン駆動型作業機1の左面Leの側面を形成するように備わる。
左フレーム42は、例えば、正面Frの側の端部をフロントフレーム40に、図示しないボルトとナットなどの締結部材で固定され、背面Rrの側の端部をリアフレーム41に、図示しないボルトとナットなどの締結部材で固定される。
【0067】
さらに、図4に示すように、エンジン駆動型作業機1の上部には、アッパフレーム44が備わる。
アッパフレーム44は、フロントフレーム40、リアフレーム41、右フレーム42を上方から覆うように、環境対応型ベース2と対向して備わり、エンジン駆動型作業機1(図1参照)の筐体10の天井部を形成する。
【0068】
図4に示すように、アッパフレーム44は、例えば断面形状がコ字型の部材からなり、長さがエンジン駆動型作業機1の正面Frの側から背面Rrの側に向かう長さと略同等に形成され、幅W1は、フロントフレーム40、及びリアフレーム41の幅W1と略同等に形成される。
【0069】
アッパフレーム44は、コ字型の開口に、フロントフレーム40、及びリアフレーム41が嵌合するように、コ字型の開口を下方に向けて備わり、例えばボルトBと図示しないナットなどの締結部材で、フロントフレーム40、及びリアフレーム41に固定される。
【0070】
アッパフレーム44の正面Frの側で、フロントフレーム40の上方に対応する位置には排風口44aが開口し、フロントフレーム40に備わるエンジンファンF(図5参照)によってフロントフレーム40の中空部を通風する空気を排気する。
【0071】
また、アッパフレーム44には、例えば右面Riの側から左面Leの側に向かって横断するように、凹溝440dが形成される。
凹溝440dの上面には、例えば鋼材からなるつなぎ部材440eが掛け渡されて補強されている。
そして、凹溝440dには図示しないフック部材が配設され、エンジン駆動型作業機1を運搬する時に例えばロープを掛けるフックとして機能する。
【0072】
さらに、アッパフレーム44の長手方向の略中央には、燃料タンク1b(図1参照)に燃料を注入する給油口440bが開口する給油部440が形成される。
図8は、給油部を示す図である。
図8に示すように、給油部440は、アッパフレーム44が略矩形にへこんで形成される凹部440aに、給油口部材440cが固定されて形成される。
凹部440aには、アッパフレーム44を貫通する給油口440bが形成され、給油口部材440cは、給油口440bを上方から覆うように凹部440aに固定される。
【0073】
給油口部材440cは浅い箱型の部材で、その底部の面積は、アッパフレーム44の凹部440aに開口する給油口440bの開口面積より大きい。さらに、給油口部材440cの底部には、給油開口部440c1が開口する。
そして、給油口部材440cは、給油開口部440c1と凹部440aの給油口440bが連通するように凹部440aに固定される。
給油口部材440cを凹部440aに固定する方法は、例えば給油口部材440cの周囲を連続溶接して、給油口部材440cとアッパフレーム44の間に水密構造を形成する。
そして、例えば、給油開口部440c1は、燃料タンク1b(図1参照)の給油口と図示しない管路を介して連通する。
さらに、例えば給油口部材440cの深さは、凹部440aの深さと略等しく形成すればよい。すなわち、給油口部材440cの浅い箱型を形成する側壁の高さは、後記する隔壁440fと略等しい高さとする。
【0074】
本実施形態に係る給油部440の凹部440aは、凹溝440dに隣接して形成され、凹溝440dと凹部440aは隔壁440fで仕切られる。また、凹部440aは凹溝440dより浅く形成され、隔壁440fには、少なくとも1つの排水口440gが、凹部440aと凹溝440dを連通するように形成される。
なお、隔壁440fを形成せずに、凹部440aと凹溝440dが連通するように構成してもよい。
【0075】
さらに、図4に示すように、本実施形態において、アッパフレーム44に開口する排風口44aと給油部440の凹部440aは、互いに凹溝440dを挟んだ位置に形成される。
【0076】
図8に示すように、アッパフレーム44に形成される給油部440は、凹部440aに給油口部材440cが固定されて形成されることから、例えば雨水などの水Waが凹部440aに滞留することがある。そして、滞留する水Waの量が増えると水Waは流れ、排水口440gを経由して凹溝440dに流れ込む。本実施形態においては、凹溝440dを凹部440aより深く形成したことで、凹部440aの水Waは抵抗なく凹溝440dに流れ込むことができる。
なお、排水口440gを、凹部440aの底部に接するように形成することで、凹部440aからの排水の効率を向上できる。
【0077】
そして、凹溝440dはアッパフレーム44の右面Riの側から左面Leの側に横断して形成されることから、凹溝440dに流れ込んだ水Waは、アッパフレーム44の右面Riの側、もしくは左面Leの側に向かって流れる。
そして、アッパフレーム44の端部まで凹溝440dを流れた水Waは、アッパフレーム44の端部から落下する。
【0078】
給油部440の凹部440aに雨水などの水Waが滞留し、その水量が凹部440aの容量を超えると、水Waは凹部440aから溢れ出る。そして、凹部440aから溢れ出た水Waは、凹部440aを中心に広がるように流れる。
したがって、凹部440aから溢れた水Waが排風口44a(図4参照)に到達して排風口44aに流れ込み、フロントフレーム40(図4参照)の中空部を介して筐体10(図4参照)の内部に浸入する場合がある。
【0079】
そこで、本実施形態においては、図4に示すようにアッパフレーム44に開口する排風口44aと給油部440を、互いに凹溝440dを挟んだ位置に形成した。
この構成により、給油部440の凹部440a(図8参照)から溢れ出て排風口44aの側に向かう水Waは、凹溝440dに流れ込み、排風口44aに到達しない。したがって、凹部440aから溢れ出た水Waが排風口44aからフロントフレーム40の中空部を介して筐体10の内部に浸入することがない。
【0080】
なお、凹部440a(図8参照)に滞留する雨水などの水Waは、給油口部材440c(図8参照)の内側に流入する場合もある。しかしながら、給油開口部440c1の周囲に凸部を形成することによって、このように給油口部材440cの内側に流入する水Waが給油開口部440c1から筐体10(図4参照)の内部へ浸入することを阻止できる。
【0081】
さらに、図8に示すように、給油部440の凹部440aと凹溝440dを連通し、凹部440aの水Waを積極的に凹溝440dに流し込む構成とした。
この構成によって、凹部440aに流入する雨水などの水Waは、凹溝440dに流れ込み、凹部440aに滞留する水量が少なくなる。そして、凹部440aから溢れ出る水Waの量を減らすことができる。
【0082】
前記したように、凹部440aから溢れ出た水Waは、凹部440aを中心に広がるようにアッパフレーム44の上面を流れる。そして、アッパフレーム44の端部に到達した位置で落下する。
すなわち、アッパフレーム44から水Waが落下する位置を特定できない。
【0083】
そこで、凹部440aの水Waを凹溝440dに積極的に流して、アッパフレーム44の凹溝440dが形成される位置から水Waが落下するように構成する。
このような構成により、アッパフレーム44から水Waが落下する位置を特定できる。
したがって、例えば凹溝440dの下方に連結部が形成されないように筐体10を構成する、凹溝440dの下方にある筐体10の連結部のみコーキングを施して水密構造にする、などの方法で、水Waが筐体10(図4参照)の連結部に形成される隙間から筐体10の内部に浸入することを抑制できる。
【0084】
なお、アッパフレーム44の端部から落下する水Waを受け止める受水部材を、アッパフレーム44に形成してもよい。
図8に二点鎖線で示すように、アッパフレーム44のコ字型を形成する側壁の、凹溝440dより下方に、たとえば断面形状が略半円型の部材を上側が開口するように、正面Frの側の端部から、背面Rrの側の端部まで、アッパフレーム44の長手方向に沿って取り付け、樋状の受水部材44bを形成する。
受水部材44bは、例えば、断面が略半円型の樹脂からなる部材を、両面テープ等でアッパフレーム44の長手方向に沿って固定して形成される。
【0085】
このように、樋状の受水部材44bを形成することで、凹溝440dをアッパフレーム44の端部まで流れた水Waは、受水部材44bに落下して受水される。
そして、受水部材44bに落下した水Waは、受水部材44bによって、アッパフレーム44の正面Frの側の端部、または背面Rrの側の端部まで流れて落下する。
【0086】
したがって、図8に示すように受水部材44bを取り付けることにより、エンジン駆動型作業機1(図1参照)の内部に水Waが浸入しない正面Frの側の端部、または背面Rrの側の端部まで水Waを移動することができ、筐体10(図4参照)の内部への水Waの浸入を抑制できる。
【0087】
なお、図8は、右面Riの側を図示したが、左面Leの側にも同様に受水部材44bを取り付ければよい。
【0088】
また、例えば図8に示すように、給油部440を開閉する開閉蓋441を備えてもよい。開閉蓋441は、例えば板状の部材を、図示しないヒンジ部材で上下方向に回転するようにアッパフレーム44に取り付け、凹部440aを覆うように給油部440を閉じる構成とすればよい。
【0089】
このように、給油開口部440c1を給油口部材440cに開口することで、燃料タンク1b(図1参照)に燃料を注入する時に、給油開口部440c1の周囲から漏れ出る燃料を給油口部材440cに滞留させることができ、エンジン駆動型作業機1の周囲に燃料
が漏出することを防止できる。
そして、アッパフレーム44に凹部440aを形成して、給油口部材440cを固定することで、給油口部材440cがアッパフレーム44の天井部に突出することなく、開閉蓋441を備えることができる。
【0090】
そして、開閉蓋441を備えることで、例えば雨水などの水Waが凹部440aに滞留することを抑制できる。
【0091】
再度、図4に戻って、エンジン駆動型作業機1の右面Riの側には、右フレーム43が備わる。右フレーム43は、例えば板状の部材で、開閉可能にエンジン駆動型作業機1に備わり、開閉扉を構成する。
【0092】
右フレーム43は、例えば正面Frの側の一辺に平行な回転軸を中心に回転し、開閉するようにエンジン駆動型作業機1に備わる。
そして、環境対応型ベース2には、右面Riの側の側面部34の上面部34aに、右フレーム43の回転を係止する係止部38が備わる。
【0093】
図4に示すように、右フレーム43の正面Frの側の1辺は、フロントフレーム40を形成する側壁に、上下方向の軸が回転軸となるヒンジ部材43aを介して開閉自在に支持される。
右フレーム43は、浅い箱型の部材からなり、その平面部43dの幅W2は、フロントフレーム40とリアフレーム41の間に形成される開口部の幅と略等しく、高さH2は、アッパフレーム44のコ字型を形成する側壁の下端と、側面部34の上面部34aの距離に略等しい。
【0094】
すなわち、右フレーム43は、フロントフレーム40(図4参照)、リアフレーム41(図4参照)、アッパフレーム44(図4参照)、及び側面部34(図4参照)で囲まれて形成される開口部に嵌まり込むように形成され、枠部を形成する側面部34の上方で開閉する。
【0095】
さらに、右フレーム43の平面部43dには吸気口43bが開口している。そして、例えばスポンジシートやウレタンシートからなる吸音材43cが、箱状の略全域にわたって敷き詰められるように備わって構成される。
【0096】
図9は、係止部を示す図である。図9に示すように、係止部38は、側面部34の上面部34aの長手方向に沿って備わる長尺の部材で、右面Riの側の側面部34の上面部34aに備わり、右フレーム43が筐体を閉じた閉位置で右フレーム43の回転を係止する。
【0097】
図10は、図9における、X4−X4断面図である。
図10に示すように、係止部38は断面が略U字型であり、上側が開口するように、側面部34の上面部34aに固定される。
係止部38を上面部34aに固定する方法は、限定するものではないが、例えば連続溶接で固定することにより、側面部34と係止部38の間に水密構造を形成できる。
【0098】
このように、断面が略U字型の係止部38を側面部34の上面部34aに固定すると、上面部34aには、起立する係止面38aが形成され、右フレーム43は、係止面38aと当接して回転が係止される。
なお、係止面38aに、例えばゴムからなるシール材38bを貼り付けると、右フレーム43と係止部38との間の密封性を向上できる。
【0099】
例えば雨水などの水Waが、右フレーム43の吸気口43b(図4参照)などから浸入すると、図10に示すように、その水Waの一部は、係止部38の係止面38aを越える場合がある。
【0100】
本実施形態においては、係止部38を略U字型の部材で形成したことから、係止面38aを水Waが越えても、その水WaはU字型の開口部内に滞留し、側面部34の内側に形成される漏洩物貯留部3aに流入しない。
なお、係止部38の断面形状は略U字型に限定されず、略半円形、略J字型などであってもよい。
【0101】
また、図9に示すように、本実施形態に係る係止部38の正面Frの側の端部は、ガイドベース37の起立部37aと略同一の位置まで延伸し、背面Rrの側の端部は、排水ガイド401の傾斜部401d2の上方まで延伸するように構成する。
【0102】
このように、係止部38の背面Rrの側の端部が、排水ガイド401の傾斜部401d2の上方まで延伸していることで、係止部38のU字型の開口部内に滞留する水Waは、背面Rrの側の端部まで流れても、水Waは、排水ガイド401の傾斜部401d2に受止められる。したがって、水Waは、漏洩物貯留部3aに流入することなく、排水ガイド401の排水口401fから排水として、背面Rrの側に排出される。
【0103】
また、係止部38の正面Frの側の端部が、ガイドベース37の起立部37aと略同等の位置まで延伸していることで、係止部38のU字型の開口部内に滞留する水Waは、正面Frの側の端部まで流れても、水Waは、ガイドベース37の平面部37bに受止められる。したがって、水Waは、漏洩物貯留部3aに流入することなく、排水ガイド401の排水口401fから排水として排出される。
【0104】
以上のように、本実施形態に係るエンジン駆動型作業機1(図1参照)は、環境対応型ベース2(図4参照)の正面Frの側にガイドベース37(図4参照)と排水ガイド401(図4参照)を備えた。
ガイドベース37は、受水部である平面部37b(図2の(a)参照)を有し、平面部37bで受止めた水Waを排水ガイド401の傾斜部401d2(図5参照)に流すことができる。
また、排水ガイド401は、受水部である傾斜部401d2と平坦部401d1(図5参照)、及び排水口401f(図5参照)を有し、傾斜部401d2で受止めた水Wa、及びガイドベース37の平面部37bから傾斜部401d2に流れ込んだ水Waを平坦部401d1に流すことができる。
そして、平坦部401d1に流れ込んだ水Waを排水口401fから、排水として正面Frの側に排出できる。
この構成によって、例えばフロントフレーム40(図4参照)の中空部から筐体の内部に浸入する雨水などの水Waを、漏洩物貯留部3a(図4参照)に流入させることなく排水として排出できる。
したがって、漏洩物貯留部3aの漏洩物の貯留量を増やすことがなく、漏洩物の漏出を防止できるという優れた効果を奏する。
【0105】
また、環境対応型ベース2(図4参照)の背面Rrの側に排水ガイド401(図4参照)を備えた。
この構成によって、リアフレーム41(図4参照)と、例えば左フレーム42(図4参照)など他の部材との隙間から筐体の内部に浸入する雨水などの水Waを、漏洩物貯留部3a(図4参照)に流入させることなく、背面Rrの側に排出できる。
したがって、漏洩物貯留部3aの漏洩物の貯留量を増やすことがなく、漏洩物の漏出を防止できるという優れた効果を奏する。
【0106】
また、アッパフレーム44(図4参照)に形成される給油部440の周囲の凹部440a(図8参照)と凹溝440d(図8参照)の間には、排水口440g(図8参照)を形成した。
この構成によって、凹部440aに滞留する雨水などの水Waを、凹溝440dを介して排水として排出できる。
したがって、アッパフレーム44の凹部440aに滞留する雨水など水Waが、筐体の内部に浸入することを抑制でき、漏洩物貯留部3a(図4参照)に流入させることなく排出できる。したがって、漏洩物貯留部3aの漏洩物の貯留量を増やすことがなく、漏洩物の漏出を防止できるという優れた効果を奏する。
【0107】
さらに、開閉扉を形成する右フレーム43(図4参照)の係止部38(図4参照)を、断面形状が略U字型の部材で形成するとともに、その正面Frの側の端部を、ガイドベース37の上方まで延伸し、背面Rrの側の端部を排水ガイド401の上方まで延伸した。
この構成により、右フレーム43を介して浸入する雨水などの水Waを、U字型の開口に滞留できる。さらに、水Waが係止部38を流れても、排水ガイド401を介して、漏洩物貯留部3a(図4参照)に流入させることなく排出できる。
したがって、漏洩物貯留部3aの漏洩物の貯留量を増やすことがなく、漏洩物の漏出を防止できるという優れた効果を奏する。
【0108】
このように、本実施形態に係るエンジン駆動型作業機は、雨水など外部から浸入する水が漏洩物貯留部に浸入することを防止して、漏洩物貯留部に貯留される漏洩物の増加を抑制し、漏洩物が漏出することを防止できるという優れた効果を奏する。
【符号の説明】
【0109】
1 エンジン駆動型作業機
1a エンジン
1b 燃料タンク
1c 作業機本体
2 環境対応型ベース(ベース)
3a 漏洩物貯留部
10 筐体
31 底面部(床板)
32 正面部(枠部材)
33 背面部(枠部材)
34 側面部(枠部材)
37 ガイドベース(排水部材)
37b 平面部(受水部)
38 係止部
40 フロントフレーム
41 リアフレーム
42 左フレーム
43 右フレーム(開閉扉)
44 アッパフレーム(天井部)
44a 排風口
401 排水ガイド(排水部材)
401d 底部(受水部)
401d1 平坦部(受水部)
401d2 傾斜部(受水部)
401f 排水口
440 給油部
440a 凹部
440b 給油口
440d 凹溝
440e つなぎ部材
Fr 正面
Rr 背面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンと、
前記エンジンに供給する燃料を貯留する燃料タンクと、
前記エンジンによって駆動される作業機本体と、を収納し、
排風口と、
フック部材を配設する凹溝と、
前記燃料タンクに燃料を注入する給油口が開口する凹部と、が天井部に形成される筐体を有するエンジン駆動型作業機の雨水浸入防止構造であって、
前記凹溝は、前記天井部の一端から他端に横断して形成され、
前記排風口と前記凹部は、互いに前記凹溝を挟んだ位置に形成されることを特徴とする雨水浸入防止構造。
【請求項2】
前記凹部は、前記凹溝と連通していることを特徴とする請求項1に記載の雨水浸入防止構造。
【請求項3】
前記凹溝は、前記凹部より深く形成されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の雨水浸入防止構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−132474(P2012−132474A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−92219(P2012−92219)
【出願日】平成24年4月13日(2012.4.13)
【分割の表示】特願2008−99537(P2008−99537)の分割
【原出願日】平成20年4月7日(2008.4.7)
【出願人】(000109819)デンヨー株式会社 (88)