説明

雨水貯留施設

【課題】貯水槽の面積の大小にかかわらず、貯水槽全体に亘って砂を含む雨水をマンホール側に向かって均等に誘導することができる導水溝を有する雨水貯留施設を提供する。
【解決手段】地面を掘削することによって形成した貯水槽1の底部に、平面L字状の屈折導水溝部6Aとこの屈折導水溝部6Aに向かって下方に緩傾斜した雨水誘導傾斜面を有する複数個の矩形状の屈折誘導用雨水誘導ユニット部材10と、直状導水溝部6Bとこの直状導水溝部6Bに向かって下方に緩傾斜した雨水誘導傾斜面を有する複数個の矩形状の直状誘導用雨水誘導ユニット部材20とを組み合わせて貯水槽1の底面に沿って螺旋状に、或いは、前後左右に屈折しながら迂回した一本の導水溝6を形成してなる雨水誘導部2を構成し、この雨水誘導部2上に雨水貯留ユニット部材を積み重ねることによって雨水貯留部を形成している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、公園や駐車場、或いは、道路等の地面下に設けられる雨水貯留施設に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、公園や駐車場等の路面下には、大雨による河川や下水道の氾濫を抑制する一方、溜めた雨水を必要に応じて活用可能にするための雨水貯留施設が設けられている。このような雨水貯留施設としては、例えば、特許文献1に記載されているように、地面を掘り下げることによって底面が雨水の誘導傾斜面に形成されている貯水槽を設け、この貯水槽内に雨水を貯留する内部空間を有する充填体を縦横に敷設すると共に複数段に積み重ねることによって雨水貯留部を形成し、この雨水貯留部をシート材や舗装材等の積層被覆材によって被覆し、さらに、上記誘導傾斜面の下傾端側にマンホールの底部に連通する排砂溝を設けてなり、大雨の際には雨水をこの雨水貯留部内に導入して貯留する一方、この貯留部内の雨水を排出する際には、雨水と共に貯留部内に流入した土砂や泥土等(以下、砂とする)を槽底面の上記誘導傾斜面上を流下させて排砂溝を通じてマンホールに導入し、マンホールを通じて雨水を外部に排出すると共に砂をマンホールの底部に沈降、堆積させ、バキューム装置等によってマンホールから排除するように構成した雨水貯留施設が知られている。
【0003】
また、特許文献2には、地面を掘り下げることによって底面中央部にU字側溝を設けてなる貯水槽を形成し、この貯水槽の底面上に、雨水を上記U字側溝に向かって誘導する傾斜板部を有する多数の第1充填部材を多列、多段に積み重ねると共に最上段の第1充填部材上に仕切板を介して雨水を貯留する第2充填部材を他列、多段に積み重ね、この第2充填部材を被覆材によって被覆する一方、上記U字側溝の端部をマンホールの底部に連通させてなり、第2充填部材内の雨水を第1充填部材の傾斜板部によって砂等と共にU字側溝に誘導すると共に、U字側溝に堆積した砂等の堆積物をマンホール内を通じてバキューム装置や噴射ノズルを有する洗浄水噴射管によって排除するように構成した雨水貯留施設が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−342520号公報
【特許文献2】特開2004−52243号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前者の雨水貯留施設によれば、雨水を貯留する多数の充填体からなる雨水貯留部内の雨水を、この雨水に含まれている砂と共にマンホールの底部内に導入する手段として、貯水槽の底面をマンホールに向かって下方に傾斜させてなる誘導傾斜面によって形成しているため、貯水槽の底面をこのような傾斜面に形成するには、著しい手間と労力を要するばかりでなく、縦横に配列している最下段の全ての充填体の厚みを上記傾斜面が低くなるに従って、この低くなる分だけ傾斜面方向に徐々に厚くなるように形成してその上面を水平面とし、この上面に一定厚みを有する上段の充填体を縦横に配列できるようにしなければならず、構造が複雑化してコスト高になると共に施工費も高くつくといった問題点がある。
【0006】
一方、後者の雨水貯留施設によれば、貯水槽の底面を平坦な水平面に形成して一定厚みを有する同大、同形の第1充填部材(以下、単に充填部材とする)を縦横に並設することができるが、雨水に含まれている砂を堆積させる手段を、貯水槽の底面中央部に設けたU字側溝によって形成しているため、このようなU字側溝を溝底に掘削してその表面を溝底面と共に防水構造とするには、上記前者の雨水貯留施設と同様に著しい手間と労力を要するものであり、その上、U字側溝は予め貯水槽の底部に設けられているので、充填部材を施工する際には、その傾斜板部の傾斜方向がU字側溝側に向いているかどうかを確認しながら施工しなければならず、且つ、充填部材を縦横に連結する際に、その傾斜板部の下傾端から雨水や砂等がU字側溝に導出できる構造としなければならないため、構造が複雑化して上記同様に施工に手間を要するといった問題点がある。
【0007】
さらに、小規模な雨水貯留施設の場合には、貯水槽の底面中央部に一条のU字側溝を設けると共にこのU字側溝の両側方に沿って充填部材を一列状に配設しておくことによって、雨水に含まれている砂などをこれらの充填部材の傾斜板部上からU字側溝内に円滑に導入することができるが、面積の広い大規模な雨水貯留施設の場合には、一条のU字側溝ではその両側方に複数列となるように充填部材を並設しなければならないために、外側に配列している充填部材の傾斜板部上を伝ってU字側溝まで砂を導入する距離が長くなり、砂が充填部材の傾斜板部上に残留、堆積する虞れが生じると共に、隣接する充填部材間の連結部に砂が詰まる事態も発生することになる。
【0008】
このため、U字側溝を数条、一定間隔毎に並列状態に設けて各U字側溝の両側方に充填部を並設しなければならず、さらに、各U字側溝に対応してマンホールを構築しなければならず、雨水貯留施設全体の構造が複雑化すると共に築造費も高くなるといった問題点があった。
【0009】
本発明は上記のような問題点に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、構造が簡単で能率よく且つ正確に構築することができると共に、面積の広い貯水槽であっても単一の導水溝によって貯水槽の全体に亘り、略均等に雨水を誘導することができ、且つ、この導水溝の形成パターンを貯水槽の広さ等に応じた形態に形成することができる雨水誘導部を有する雨水貯留施設を提供するにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明の雨水貯留施設は、請求項1に記載したように、地面を掘削することにより形成した貯水槽の底部に複数個の雨水誘導ユニット部材を縦横に並設、設置して雨水誘導部を形成すると共に、この雨水誘導部上に雨水を貯留する内部空間を有する雨水貯留ユニット部材を積層することによって雨水貯留部を形成し、この雨水貯留部の上面を被覆材によって被覆してあり、雨水を上記雨水誘導部を通じてマンホールに導出するように構成している雨水貯留施設において、上記雨水誘導部は平面L字状に屈折した導水溝部とこの導水溝部に向かって雨水を誘導する傾斜面とを設けている屈折誘導用雨水誘導ユニット部材と、直線状の導水溝部とこの導水溝部に向かって雨水を誘導する傾斜面とを設けている直状誘導用雨水誘導ユニット部材とからなり、これらの屈折誘導用雨水誘導ユニット部材と直状誘導用雨水誘導ユニット部材とをその導水溝部同士を連通するように組み合わせてマンホールに連通する一連の導水溝を形成していることを特徴とする。
【0011】
このように構成した雨水貯留施設において、請求項2に係る発明は、上記屈折誘導用雨水誘導ユニット部材は、四方周縁に下方に向かって一定高さの底面周壁部を突設している矩形板に、この矩形板の直角に隣接する辺の中央部間に亘って連通したL字状の屈折導水溝部を形成していると共に矩形板の上面を四方周縁からこの屈折導水溝部に向かって下方に緩傾斜した雨水誘導傾斜面に形成してなることを特徴とする。
【0012】
さらに、請求項3に係る発明は、上記直状誘導用雨水誘導ユニット部材は、屈折誘導用雨水誘導ユニット部材の矩形板と同大、同形で、且つ、四方周縁に下方に向かって屈折誘導用雨水誘導ユニット部材の底面周壁部と同一高さの底面周壁部を突設している矩形板に、この矩形板の長さ方向又は幅方向の中央部に屈折誘導用雨水誘導ユニット部材に設けている屈折導水溝部と同一断面形状の直状導水溝部を形成していると共に矩形板の上面をこの直状導水溝部に向かって下方に緩傾斜した雨水誘導傾斜面に形成してなることを特徴とする。
【0013】
また、請求項4に係る発明は、上記屈折誘導用雨水誘導ユニット部材の矩形板の四方周辺部と屈折導水溝部に沿った板部とに一定間隔毎に下端が矩形板から下方に向かって開口している一定高さの中空の支持支柱を突設していると共に、隣接する支持支柱の対向する下端部間に上端面を雨水誘導傾斜面に向かって雨水を誘導する傾斜端面に形成した仕切壁部を設けていることを特徴とし、請求項5に係る発明は、上記直状誘導用雨水誘導ユニット部材の矩形板の四方周辺部と直状導水溝部に沿った板部とに、屈折誘導用雨水誘導ユニット部材に設けている支持支柱と同じ位置にこの支持支柱と同大、同形の支持支柱を突設していると共に、直状導水溝部の長さ方向に対して直交する方向において対向する支持支柱の下端部間に上端面を雨水誘導傾斜面に向かって雨水を誘導する傾斜端面に形成した仕切壁部を設けていることを特徴とする。
【0014】
請求項6に係る発明は、雨水貯留施設における雨水貯留部を形成するための雨水貯留ユニット部材であって、この雨水貯留ユニット部材は、上記雨水誘導ユニット部材の底面板と同大、同形の底板部に下端が底板部から下方に向かって全面的に開口している一定高さの断面等脚台形状の中空突起部を底板部の幅方向又は長さ方向に一定間隔毎に突設していると共に、これらの中空突起部の上端に中空突起部の長さ方向に一体間隔毎に該中空突起部内に連通する数個の通孔を穿設した平面長方形状の突出頂部を形成してなり、下段の雨水貯留ユニット部材と上段の雨水貯留ユニット部材とを互いに直角に向きを変えて下段の雨水貯留ユニット部材の各中空突起部の突出頂部を上段の雨水貯留ユニット部材の各対応する中空突起部の下端開口部に嵌合させることにより積み重ねて雨水貯留部を形成するように構成していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
請求項1に記載の発明によれば、貯水槽の底部に設けられた雨水誘導部は、平面L字状に屈折した導水溝部とこの導水溝部に向かって雨水を誘導する傾斜面とを設けている屈折誘導用雨水誘導ユニット部材と、直線状の導水溝部とこの導水溝部に向かって雨水を誘導する傾斜面とを設けている直状誘導用雨水誘導ユニット部材とからなり、これらの屈折誘導用雨水誘導ユニット部材と直状誘導用雨水誘導ユニット部材とをその導水溝部同士を連通するように組み合わせてマンホールに連通する一連の導水溝を形成するように構成しているので、施工に際して、貯水槽の底面をマンホールに向かって傾斜させたり、その底面にU字側溝などを設けることなく、屈折誘導用雨水誘導ユニット部材と直状誘導用雨水誘導ユニット部材とを組み合わせながら貯水槽の底面に敷設することによって雨水をマンホールに誘導する導水溝と、この導水溝に向かって雨水を誘導する傾斜面とを有する雨水誘導部を簡単に形成することができ、構造の簡素化と共に施工が容易で工事費の低廉化を図ることができる。
【0016】
さらに、屈折誘導用雨水誘導ユニット部材同士をその屈折導水溝部を連通させた状態に接続するパターンと、直状誘導用雨水誘導ユニット部材同士をその直状導水溝部を連通させた状態に接続するパターンと、屈折誘導用雨水誘導ユニット部材の屈折導水溝部と直状誘導用雨水誘導ユニット部材の直状導水溝部とを連通させた状態に接続するパターンとを組み合わせることによって、貯水槽の底部上の全体に亘って平面U字状や逆U字状に迂回しながら連続した単一の導水溝や、螺旋状に迂回しながら連続した単一の導水溝を形成することができると共に、貯水槽の広さの大小にかかわらず、貯水槽の底部上の全面に亘って導水溝部が均等に配置された迂回導水溝を形成することができるものであり、その上、屈折誘導用雨水誘導ユニット部材や直状誘導用雨水誘導ユニット部材には導水溝部と共にこの導水溝部に向かって雨水を誘導する傾斜面を設けているので、雨水に含まれている砂等を導水溝部に導く傾斜面の距離が短くてすみ、これらの雨水誘導ユニット部材上に砂等を残留、堆積させることなく、雨水と共に導水溝部内に円滑且つ確実に流入させることができる。
【0017】
また、上記屈折誘導用雨水誘導ユニット部材と直状誘導用雨水誘導ユニット部材とをその導水溝部同士を連通するように組み合わせて平面U字状、逆U字状、或いは螺旋状に迂回する単一、即ち、一本の導水溝を形成しているので、貯水槽が広くてもこの導水溝を通じて排出される雨水を受け入れるマンホースは1箇所に設けておけばよく、しかも、マンホールに連通する導水溝の開口端の位置を上記導水溝形成パターンを変えることによって所望位置に配設することができる。
【0018】
請求項2に係る発明によれば、上記屈折誘導用雨水誘導ユニット部材は、四方周縁に下方に向かって一定高さの底面周壁部を突設している矩形板に、この矩形板の直角に隣接する辺の中央部間に亘って連通したL字状の屈折導水溝部を形成していると共に矩形板の上面を四方周縁からこの屈折導水溝部に向かって下方に緩傾斜した雨水誘導傾斜面に形成してなるものであるから、この屈折誘導用雨水誘導ユニット部材を組み合わせることによって折り返し状に連続した導水溝や階段状に連続した導水溝等を簡単且つ正確に形成することができると共に、導水溝部と共にこの導水溝部に向かう雨水誘導傾斜面を一体に設けているので、どのようなパターンの導水溝を形成しても、雨水誘導傾斜面を伝ってこの導水溝に砂を含む雨水を円滑に流入させることができる。
【0019】
請求項3に係る発明によれば、上記直状誘導用雨水誘導ユニット部材は、上記屈折誘導用雨水誘導ユニット部材の矩形板と同大、同形の矩形板に、この矩形板の長さ方向又は幅方向の中央部に屈折誘導用雨水誘導ユニット部材に設けている屈折導水溝部と同一断面形状の直状導水溝部を形成しているので、この屈折誘導用雨水誘導ユニット部材を組み合わせることによって所望長さの真っ直ぐな導水溝を形成することができるばかりでなく、上記屈折誘導用雨水誘導ユニット部材と組み合わせることによって前後左右に屈折しながら迂回する種々のパターンの導水溝を形成することができ、その上、直状誘導用雨水誘導ユニット部材の矩形板には、上記屈折誘導用雨水誘導ユニット部材と同様に、導水溝部と共にこの直状導水溝部に向かって下方に緩傾斜した雨水誘導傾斜面を一体に形成しているので、どのようなパターンの導水溝を形成しても、雨水誘導傾斜面を伝ってこの導水溝に砂を含む雨水を円滑に流入させることができる。
【0020】
また、屈折誘導用雨水誘導ユニット部材と直状誘導用雨水誘導ユニット部材との四方周縁に下方に向かって一定高さの底面周壁部を突設しているので、これらの底面周壁部によって屈折誘導用雨水誘導ユニット部材及び直状誘導用雨水誘導ユニット部材を貯水槽の底面上に安定した状態で正確に設置することができると共にこの雨水誘導ユニット部材上に積み重ねられる雨水貯留ユニット部材からの載荷重を強固に受止することができる。
【0021】
請求項4及び請求項5に係る発明によれば、上記屈折誘導用雨水誘導ユニット部材と直状誘導用雨水誘導ユニット部材との矩形板の四方周辺部と、屈折導水溝部及び、直状導水溝部に沿った板部とに一定間隔毎に下端が矩形板から下方に向かって開口している一定高さの中空の支持支柱を突設しているので、これらの支持支柱上に誘導ユニット部材と同大、同形の多数の通水孔を有する矩形状仕切板を支持させることにより、縦横に配設した屈折誘導用雨水誘導ユニット部材及び直状誘導用雨水誘導ユニット部材上にこの仕切板を介して雨水貯留ユニット部材を容易に且つ安定した状態に積み重ねることができるものであり、さらに、これらの誘導ユニット部材における隣接する支持支柱の対向する下端部間に、上端面を雨水誘導傾斜面に向かって雨水を誘導する傾斜端面に形成した仕切壁部を設けているので、この仕切壁部によって矩形板の上面に形成されている傾斜面を導水溝部に向かう複数の雨水誘導傾斜面に分割してこの分割した雨水誘導傾斜面により雨水を正確に導水溝に向かって誘導することができる。
【0022】
また、請求項6に係る発明によれば、雨水貯留ユニット部材は、雨水誘導ユニット部材の矩形板と同大、同形の底板部に下端が底板部から下方に全面的に開口している一定高さの断面等脚台形状の中空突起部を一定間隔毎に突設していると共に、これらの中空突起部の上端に中空突起部の長さ方向に一体間隔毎に該中空突起部内に連通する数個の通孔を穿設した平面長方形状の突出頂部を形成してなり、下段の雨水貯留ユニット部材と上段の雨水貯留ユニット部材とを互いに直角に向きを変えて下段の雨水貯留ユニット部材の各中空突起部の突出頂部を上段の雨水貯留ユニット部材の各対応する中空突起部の下端開口部に嵌合させることにより積み重ねるように構成しているので、上下に隣接する雨水貯留ユニット部材同士の重なり部分が極めて少なくて雨水の貯留空隙率の大きい雨水貯留ユニット部材を提供することができると共に、雨水誘導ユニット部材を安定した積み重ね状態にすることができる。
【0023】
なお、本発明においては、雨水貯留ユニット部材は上記構成に限らず、一定高さの筒状部材を縦横に設けてなる雨水誘導ユニット部材や枡目形状に形成してなる雨水誘導ユニット部材等を採用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】雨水貯留施設の簡略縦断側面図。
【図2】雨水誘導部上に雨水貯留部を積み重ねている状態の拡大正面図。
【図3】屈折誘導用雨水誘導ユニット部材の斜視図。
【図4】その正面図。
【図5】図3におけるA−A線縦断正面図。
【図6】図3におけるB−B線縦断正面図。
【図7】直状誘導用雨水誘導ユニット部材の斜視図。
【図8】その正面図。
【図9】図7におけるA'−A'線縦断正面図。
【図10】図7におけるB'−B'線縦断正面図。
【図11】屈折誘導用雨水誘導ユニット部材と直状誘導用雨水誘導ユニット部材との組み合わせパターンの一例を示す平面図。
【図12】雨水誘導部の一実施例を示す平面図。
【図13】雨水誘導部の別な実施例を示す平面図。
【図14】変形例を示す平面図。
【図15】雨水誘導ユニット部材上に仕切板を取り付けた状態の斜視図。
【図16】雨水貯留ユニット部材の斜視図。
【図17】積み重ねている状態の縦断正面図。
【図18】屈折誘導用雨水誘導ユニット部材の変形例を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0025】
次に、本発明の具体的な実施の形態を図面について説明すると、図1、図2において、雨水貯留施設は、公園等の地面を掘り下げることによって形成した貯水槽1の底面に、後述するように、平面矩形状で一定高さ(厚み)を有する屈折誘導用雨水誘導ユニット部材10と直状誘導用雨水誘導ユニット部材20との二種類の雨水誘導ユニット部材を複数個、組み合わせて隣接する雨水誘導ユニット部材の対向する端面を接合させながら縦横に並設、設置することにより雨水誘導部2を形成している。
【0026】
さらに、この雨水誘導部2上に雨水を貯留する内部空間を有する平面矩形状で一定高さの雨水貯留ユニット部材30を縦横に敷き並べることによって一段目(最下段)の雨水貯留ユニット部材列を形成し、この雨水貯留ユニット部材列上に同じく同大、同形の雨水貯留ユニット部材30を縦横に敷き並べることによって二段目の雨水貯留ユニット部材列を形成し、この雨水貯留ユニット部材列を複数段、積み重ねることによって雨水貯留部3を形成してあり、この雨水貯留部3を、上面を舗装路面に形成している被覆材4によって被覆していると共に上記雨水貯留部3の一端側に底部が上記雨水誘導部2の下端よりも下方に位置するマンホール5を設けて、このマンホール5の底部に雨水誘導部2に設けている後述する導水溝6の開口端を連通させた構造としている。なお、雨水誘導ユニット部材10、20及び雨水貯留ユニット部材30は合成樹脂からなる成形品である。
【0027】
また、上記雨水貯留ユニット部材30は、雨水誘導ユニット部材10、20上に直接、積み重ねてもよいが、図2、図15に示すように、各雨水誘導ユニット部材10、20に上下方向に貫通した多数の通水孔7aを有する仕切板7を取付けてこの仕切板7上に雨水貯留ユニット部材30を設置している。
【0028】
上記貯水槽1は、地面を一定深さ所定面積に亘って掘削してなる凹窪部の掘削底面から四方の掘削壁面全面に亘って遮水シート8を被覆していると共に必要に応じて掘削底面にコンクリート基礎9を造成してあり、底面全面は水平面に形成されている。
【0029】
この貯水槽1の底面上に形成した上記雨水誘導部2は、複数個の屈折誘導用雨水誘導ユニット部材10と直状誘導用雨水誘導ユニット部材20とを組み合わせてなり、屈折誘導用雨水誘導ユニット部材10は、図3〜図6に示すように、四方の辺の長さが同一寸法に形成されている矩形板11において、直角に隣接する辺の中央部間に亘る板部分を下方にくぼませることによって一定幅を有するL字状の屈折導水溝部6Aを形成している。詳しくは、矩形板11の一つの辺の中央部とこの辺に隣接する一つの辺の中央部とからそれぞれ矩形板11の中心部に向かって一定幅と深さを有する溝部6A1 、6A2 とを形成すると共にこれらの溝部6A1 、6A2 を矩形板11の中心部で直角に接続させて両端が矩形板11の直角に隣接する辺から外部に開口しているL字状の屈折導水溝部6Aを形成している。
【0030】
さらに、矩形板11の上面を上記L字状の屈折導水溝部6Aの溝部6A1 、6A2 にそれぞれ平行に対向する辺からそれぞれの溝部6A1 、6A2 に向かって下方に緩やかに傾斜した雨水誘導傾斜面12に形成している。具体的には屈折導水溝部6Aの溝部6A1 、6A2 の溝幅方向の両側端からこれらの両側端にそれぞれ平行に対向する辺に向かって矩形板11を上方に向かって僅かに屈折させることにより上記雨水誘導傾斜面12を形成している。また、矩形板11の四方周縁に下方に向かって一定高さの底面周壁部13を突設していると共に矩形板11の外底面(下面)にこれらの底面周壁部13に平行に補強リブ14を突設してあり、これらの底面周壁部13の下端面と補強リブ14の下端面とを同一水平面上に位置するようにして屈折誘導用雨水誘導ユニット部材10のこれらの底面周壁部13と補強リブ14を接地させて屈折誘導用雨水誘導ユニット部材10を貯水槽1の底面に設置した際に、屈折導水溝部6Aが水平状に配設されるように構成している。
【0031】
また、上記矩形板11の四隅部とこの四隅部間の辺、及び、屈折導水溝部6Aに沿った板部とに下端が矩形板の下面から下方に向かって開口している一定高さの中空の截頭角錐形状の支持支柱15を突設している。具体的には、矩形板11の四隅部と矩形板11の各辺を三等分する位置とに支持支柱15を突設していると共に、各辺を三等分する位置に突設した支持支柱15に対して矩形板11の中心部の四方に屈折導水溝部6Aに沿って支持支柱15を突設してあり、前後左右に隣接する各支持支柱15、15間の間隔を全て等しくしている。さらに、全ての支持支柱15の上端面中央部に仕切板係止用突部15a を突設していると共にこの仕切板係止用突部15a に支柱内に連通する小径孔15b を穿設している。なお、全ての支持支柱15は上記底面周壁部13の下端面からの高さが等しくなるように形成されている。
【0032】
また、屈折導水溝部6Aにおける互いに直角に連通した溝部6A1 、6A2 の開口端を挟むようにして矩形板11の辺と隅部とに突設している各組の支持支柱15、15の下端部対向面間に、上端面を雨水誘導傾斜面12に向かって雨水を誘導する傾斜端面16a に形成した仕切壁部16を設けていると共に、上記直角に連通した溝部6A1 、6A2 の長さ方向の中央部に向かう内外支持支柱15、15の下端部対向面間にも上端面を雨水誘導傾斜面12向かって雨水を誘導する傾斜端面16a'に形成した仕切壁部16' を設けている。
【0033】
一方、直状誘導用雨水誘導ユニット部材20は、屈折誘導用雨水誘導ユニット部材10の矩形板11と同大、同形に形成されている矩形板21を有し、図7〜図11に示すように、この矩形板21の互いに平行に対向する辺の中央部間に全長(全幅)に亘って上記屈折導水溝部6Aと同一幅で同一深さ、即ち、断面形状が同一の直状導水溝部6Bを矩形板21の板部を下方にくぼませることによって形成していると共に、この直状導水溝部6Bを挟むようにして設けている矩形板21の両側部を直状導水溝部6Bからこの直状導水溝部6Bに平行に対応する辺に向かって上方に僅かに屈折させることにより、矩形板21の両側部上面をこれらの辺から直状導水溝部6Bに向かって下方に緩傾斜した雨水誘導傾斜面22に形成している。
【0034】
さらに、矩形板21の四方周縁に下方に向かって上記屈折誘導用雨水誘導ユニット部材10の底面周壁部13と同一高さの底面周壁部23を突設していると共に矩形板21の外底面(下面)にこれらの底面周壁部23に平行に補強リブ24を下方に向かって突設してあり、これらの底面周壁部23の下端面と補強リブ24の下端面とを同一水平面上に位置するようにして直状誘導用雨水誘導ユニット部材20のこれらの底面周壁部23と補強リブ24を接地させて直状誘導用雨水誘導ユニット部材10を貯水槽1の底面に設置した際に、直状導水溝部6Bが上記屈折導水溝部6Aと同一高さでもって水平状に配設されるように構成している。
【0035】
また、上記屈折誘導用雨水誘導ユニット部材10に突設している複数個の支持支柱15と同一位置におけるこの直状誘導用雨水誘導ユニット部材20の上記矩形板21の四隅部とこの四隅部間の辺、及び、直状導水溝部6Bに沿った板部とに、下端が矩形板の下面から下方に向かって開口している上記支持支柱15と同じ高さで且つ同一形状の中空の截頭角錐形状の支持支柱25を突設している。具体的には、矩形板21の四隅部と矩形板21の各辺を三等分する位置とに支持支柱25を突設していると共に、直状導水溝部6Bの両側端に沿ったこの直状導水溝部6Bの長さを三等分する位置に支持支柱25を突設してあり、前後左右に隣接する各支持支柱25、25間の間隔を全て等しくしている。さらに、全ての支持支柱25の上端面中央部に仕切板係止用突部25a を突設していると共にこの仕切板係止用突部25a に支柱内に連通する小径孔15b を穿設している。なお、全ての支持支柱25は上記底面周壁部23の下端面からの高さが等しくなるように形成されている。
【0036】
また、矩形板21の傾斜方向に対向する内外の各組の支持支柱25、25の下端部対向面間に、上端面を雨水誘導傾斜面22に向かって雨水を誘導する傾斜端面26a に形成した仕切壁部26を設けてあり、これらの仕切壁部26によって雨水誘導傾斜面22を三等分している。
【0037】
上記のように構成している屈折誘導用雨水誘導ユニット部材10と直状誘導用雨水誘導ユニット部材20とを縦横(前後左右)に組み合わせて並設、設置することにより、上記貯水槽1の底面上に一端がマンホール5の底部に連通する雨水誘導部2を形成するものであるが、これらの屈折誘導用雨水誘導ユニット部材10と直状誘導用雨水誘導ユニット部材20との組み合わせパターンとしては、屈折誘導用雨水誘導ユニット部材10、10同士を対向する屈折導水溝部6A、6Aが連通するように接続する組み合わせパターンと、直状誘導用雨水誘導ユニット部材20、20同士をその直状導水溝部6B、6Bが一直線上に連通するように接続する組み合わせパターン、及び、図11に示すように、屈折誘導用雨水誘導ユニット部材10と直状誘導用雨水誘導ユニット部材20とを屈折導水溝部6Aと直状導水溝部6Bとが連通するように接続する組み合わせパターンとがある。
【0038】
そして、これらの3つの組み合わせパターンを採用して地盤に掘削した上記貯水槽1の内底面上に複数個の屈折誘導用雨水誘導ユニット部材10と直状誘導用雨水誘導ユニット部材20とを縦横(前後左右)に並列、設置することにより、一端がマンホール5に連通した一本の導水溝6を平面一筆書き状に設けてなる雨水誘導部2を形成する。例えば、マンホース5側を前側とした場合、図12に示すように、貯水槽1の一側壁面に沿って複数個の直状誘導用雨水誘導ユニット部材20、20、20・・・を互いにその直状導水溝部6Bが一直線上に連通するように前後方向に接続、設置し、最前部の直状誘導用雨水誘導ユニット部材20の直状導水溝部6Bをマンホース5の底部に連通させると共に、最後部の直状誘導用雨水誘導ユニット部材20に屈折誘導用雨水誘導ユニット部材10を、その屈折導水溝部6Aにおける一方の溝部6A1 を前方側に向けて直状誘導用雨水誘導ユニット部材20の直状導水溝部6Bに連通させた状態に接続する。
【0039】
さらに、貯水槽1の後端部他側面側に屈折誘導用雨水誘導ユニット部材10を、その屈折導水溝部6Aの一方の溝部6A1 を貯水槽1の後端部一側面側に配した上記屈折誘導用雨水誘導ユニット部材10の屈折導水溝部6Aにおける他方の溝部6A2 に一直線状に対向させた状態に設置し、これらの屈折誘導用雨水誘導ユニット部材10、10間に直状誘導用雨水誘導ユニット部材20を介在させてこの直状誘導用雨水誘導ユニット部材20の左右方向に向けた直状導水溝部6Bをこれらの屈折誘導用雨水誘導ユニット部材10、10の上記対向する溝部6A1 、6A2 にそれぞれ連通するように接続、設置する。
【0040】
同様に、貯水槽1における前端部他側面側に屈折誘導用雨水誘導ユニット部材10を、その屈折導水溝部6Aの一方の溝部6A1 を貯水槽1の後端部他側面側に配した上記屈折誘導用雨水誘導ユニット部材10の屈折導水溝部6Aにおける他方の溝部6A2 に一直線状に対向させた状態に設置し、これらの屈折誘導用雨水誘導ユニット部材10、10間に複数個の直状誘導用雨水誘導ユニット部材20を互いにその直状導水溝部6Bを前後方向に連通させた状態にして縦列状態に介在させ、この直状導水溝部6Bの前後開口端を上記対向する屈折誘導用雨水誘導ユニット部材10、10の溝部6A1 、6A2 にそれぞれ連通させた状態となるように設置する。
【0041】
さらに、貯水槽1の前端部他側面側に設置された上記屈折誘導用雨水誘導ユニット部材10の屈折導水溝部6Aにおける他方の溝部6A2 に一方の溝部6A1 を連通させて貯水槽1の前端中央部に屈折誘導用雨水誘導ユニット部材10を設置すると共に、貯水槽1の両側部に縦列状に配した上記直状誘導用雨水誘導ユニット部材20、20間に同じく互いに直状導水溝部6Bを前後方向に連通させた状態で縦列させた複数個の直状誘導用雨水誘導ユニット部材20、20を介在させた状態で設置し、この屈折誘導用雨水誘導ユニット部材10列の最前部の屈折誘導用雨水誘導ユニット部材10の直状導水溝部6Bの前端を上記貯水槽1の前端中央部に設置した屈折誘導用雨水誘導ユニット部材10の後方に向かって開口した他方の溝部6A2 に連通させることにより、これらの一連の屈折導水溝部6Aと直状導水溝部6Bとがマンホール5側から貯水槽1の底面に沿って螺旋状に迂回した導水溝6を形成することができる。
【0042】
なお、この雨水誘導部2においては、貯水槽1の両側に縦列状に設置した屈折誘導用雨水誘導ユニット部材10と直状誘導用雨水誘導ユニット部材20との列間に、屈折誘導用雨水誘導ユニット部材10と直状誘導用雨水誘導ユニット部材20とを一列状に配設しているが、2列以上、配設してもよく、その場合には、さらに螺旋状に迂回する導水溝6の屈折部の数、即ち、螺旋巻きの巻き状態が多くなる導水溝6を形成することができる。
【0043】
また、貯水槽1の底面上に螺旋状に迂回する導水溝6に限らず、ジグザグ状に或いは図13に示すように、前後左右に迂回した導水溝6を形成することができる。即ち、図13に示す雨水誘導部2は、貯水槽1の前端一側隅部にマンホール5を設け、このマンホール5から貯水槽1の一側壁面に沿って後方に向かって複数個の直状誘導用雨水誘導ユニット部材20を互いにその直状導水溝部6B、6Bを前後方向に連通させた状態で接続、設置すると共にマンホール5に接続した直状誘導用雨水誘導ユニット部材20以外の直状誘導用雨水誘導ユニット部材20列の他側面に次の直状誘導用雨水誘導ユニット部材20列の一側面を接合した状態で配設し、これらの両直状誘導用雨水誘導ユニット部材20列の後端直状誘導用雨水誘導ユニット部材20、20の後端間を、貯水槽1の後端壁面に沿って左右に接続、設置している一対の屈折誘導用雨水誘導ユニット部材10、10により接続し、両直状誘導用雨水誘導ユニット部材20、20の直状導水溝部6B、6Bの後端開口部を屈折誘導用雨水誘導ユニット部材10、10における互いにコ字状に連通させた屈折導水溝部6A、6Aによって連通させる。
【0044】
同様に、上記中央部寄りの直状誘導用雨水誘導ユニット部材20列の他側面に次の直状誘導用雨水誘導ユニット部材20列の一側面を接合させると共にこの直状誘導用雨水誘導ユニット部材20列の他側面に貯水槽1の他側壁面に沿って配設した直状誘導用雨水誘導ユニット部材20列の一側面を接合させた状態となるように直状誘導用雨水誘導ユニット部材20を貯水槽1の底面上に設置すると共に中央部で隣接する直状誘導用雨水誘導ユニット部材20列の最前部の直状誘導用雨水誘導ユニット部材20、20の前端間を上記同様にして屈折導水溝部6A、6Aをコ字状に組み合わせている左右一対の屈折誘導用雨水誘導ユニット部材10、10によって接続し、その直状導水溝部6B、6Bの開口前端を屈折導水溝部6A、6Aに連通させ、さらに、貯水槽1の他側壁面に沿って配設した上記直状誘導用雨水誘導ユニット部材20列とこの直状誘導用雨水誘導ユニット部材20列に並列している上記直状誘導用雨水誘導ユニット部材20列との後端間を、上記同様にして屈折導水溝部6A、6Aをコ字状に組み合わせている左右一対の屈折誘導用雨水誘導ユニット部材10、10によって接続し、その直状導水溝部6B、6Bの開口前端を屈折導水溝部6A、6Aに連通させている。
【0045】
さらに、貯水槽1の他側壁面に沿って配設した上記直状誘導用雨水誘導ユニット部材20列の最前端側の直状誘導用雨水誘導ユニット部材20に、屈折誘導用雨水誘導ユニット部材10を接続してその屈折導水溝部6Aの一方の溝部6A1 を直状誘導用雨水誘導ユニット部材20の直状導水溝部6Bに連通させると共にマンホール方向に開口している屈折導水溝部6Aの他方の溝部6A2 に互いに左右方向に接続した複数個の直状誘導用雨水誘導ユニット部材20の互いに左右方向に向けた状態で連通している直状導水溝部6B列の他側開口端を連通させ、この直状導水溝部6B列の一側開口端を上記マンホール5の底部に連通させることにより、これらの一連の屈折導水溝部6Aと直状導水溝部6Bとで前後左右方向に屈折しながら両端がマンホール5に連通した1本の導水溝6を有する雨水誘導部2を形成することができる。
【0046】
上記のように雨水誘導部2を形成している全ての屈折誘導用雨水誘導ユニット部材10と直状誘導用雨水誘導ユニット部材20との上面には、図15に示すように、これらの誘導ユニット部材10、20と平面同一形状、同一大きさで、上下方向に多数の通水孔7aを設けている一定厚みを有する仕切板7を取り付けてあり、この仕切板7上に雨水貯留ユニット部材30を積み重ねることによって雨水貯留部3を形成している。仕切板7は、その下面に上記誘導ユニット部材20、30に突設している支持支柱15の仕切板係止用突部15a に被嵌、係合する係止孔7bを設けてあり、対応する仕切板係止用突部15a にこの係止孔7bを係止させることによって誘導ユニット部材10、20上に仕切板7を重ね合わせた状態で取り付けている。
【0047】
雨水貯留部3を構成する雨水貯留ユニット部材30としては図16、図17に示すように、上記誘導ユニット部材10、20の矩形板11、21と同大、同形の底板部31に、下端が底板部31を貫通して下方に全面的に開口している一定高さの断面等脚台形状の中空突起部32を前後方向又は左右方向に一定間隔毎に略全長(全幅)に亘って突設していると共にこれらの中空突起部32の上端面に中空突起部32内に連通する数個の通孔33を突設している突出頂部34を中空突起部32の長さ方向にこの中空突起部32と同一間隔毎に形成してなるもので、上記突出頂部34は、長さ方向を中空突起部32の長さ方向に向けている平面長方形状に形成してあり、且つ、中空突起部32の狭い間隔を存した対向した両側傾斜壁の下端間の開口幅を、突出頂部34を長さ方向に跨いでこの突出頂部34を被嵌可能な幅寸法に形成している。
【0048】
このように構成した雨水貯留ユニット部材30を図1、図2に示すように、上記雨水誘導部2を形成している全ての雨水誘導ユニット部材10、20上に上記仕切板6を介して載置して雨水誘導ユニット部材10、20と同様に縦横に配した雨水貯留ユニット部材列を形成すると共にこの雨水貯留ユニット部材列を一段目として数段の雨水貯留ユニット部材列を積み重ねることにより、雨水貯留部3を構成している。この際、図17に示すように、下段の雨水貯留ユニット部材30とこの雨水貯留ユニット部材列上に設置されている上段の雨水貯留ユニット部材30とは、互いに平面方向に直角向きを変えて下段側の雨水貯留ユニット部材30の中空突起部32に上段側の雨水貯留ユニット部材30の中空突起部32を交差させ、且つ、この上段側の中空突起部32の開口下端面を下段側の雨水貯留ユニット部材30の中空突起部32に突設している突出頂部34に被嵌した状態にして下段の雨水貯留ユニット部材30の中空突起部32の上面に上段の雨水貯留ユニット部材30の中空突起部32の開口下端面を受止させている。
【0049】
さらに、この雨水貯留部3における最上段の雨水貯留ユニット部材列の上面全面を仕切板7'を介して被覆材4によって被覆している。被覆材4としては、雨水誘導部3の上面を遮水シート41で被覆すると共に、この遮水シート41上に礫層或いは土砂層42を介してアスファルト舗装層43を設けることによって形成しておいてもよく、或いは、上記遮水シート41に代えて透水シートを使用し、この透水シート上に土砂層等を介して透水性舗装層を設け、降雨時に雨水を上記雨水貯留部3内に浸透させるように構成しておいてもよい。
【0050】
また、雨水誘導部2における上記導水溝6の開口端を底部内に連通させている上記マンホール5の上端部に、道路等の路肩に設けている側溝等からの雨水をマンホール5内に供給する導水管50を連通させていると共に、マンホール5の底部における上記導水溝6よりも下方部にオリフィス等を介して一定量の雨水を外部に排出する導出管51を連通させている。
【0051】
このように構成したので、降雨時にマンホール5内に流入した雨水は、マンホール5の底部内に充満し、このマンホール5から導出管51を通じて定量ずつ、外部に排出される雨量によりも多量の雨水がマンホール5内に流入すると、マンホール5の底部に臨んでいる上記導水溝6内に流入して該導水溝6の全長に亘って、即ち、この導水溝6を形成している一連の屈折導水溝部6Aと直状導水溝部6B内に水位が上昇するに従って充満したのち、さらに水位の上昇によりこれらの屈折導水溝部6Aと直状導水溝部6Bを有する屈折誘導用雨水誘導ユニット部材10の雨水誘導傾斜面12、22上の空間部に充満し、仕切板7の通水孔7aを通じて雨水が雨水貯留部3における最下段(一段目)の雨水貯留ユニット部材30列内に充満する。
【0052】
こうして、水位の上昇に従って雨水貯留部3における一段目の雨水貯留ユニット部材列内から2段目以降の雨水貯留ユニット部材列内に雨水が順次充満し、この状態で雨水が一時、貯留される。
【0053】
次いで、マンホール5内に流入する雨量が上記導出管51から排出される定量の雨水よりも少量となるか、降雨が停止すると、この導出管51から定量宛、雨水が排出されるに従って、雨水貯留部3内の雨水が雨水誘導部2の導水溝6を通じてマンホール5側に排出され、この排出に伴って雨水貯留部3内の雨水の水位が降下する。この際、雨水誘導部2内においては、雨水が雨水誘導部2を構成している屈折誘導用雨水誘導ユニット部材10と直状誘導用雨水誘導ユニット部材20との雨水誘導傾斜面12、22上を伝ってそれぞれ屈折導水溝部6Aと直状導水溝部6Bとに誘導され、一連に連通したこれらの導水溝部6A、6Bからなる導水溝6を通じてマンホール5に流動、排出される。
【0054】
また、雨水に含まれている砂も、上記屈折誘導用雨水誘導ユニット部材10と直状誘導用雨水誘導ユニット部材20との雨水誘導傾斜面12、22上を伝ってそれぞれ屈折導水溝部6Aと直状導水溝部6Bとに誘導され、導水溝6からマンホール5内に流出してマンホール5の内底部上に沈降、堆積すると共に、一部の砂は導水溝6の溝底上に堆積する。そて、マンホール5の底部に堆積した砂は地上側からバキューム装置によって排除する一方、導水溝6に堆積する砂は、雨水が全て排除されたのち、マンホール5内からこの導水溝6内に、マンホール5側に向かって高圧水を噴射する高圧噴射ノズルを挿入することにより高圧水と共にマンホール5側に排除すると共に導水溝6を洗浄する。
【0055】
なお、上記屈折誘導用雨水誘導ユニット部材10においては、屈折導水溝部6Aにおける互いに直角に連通した溝部6A1 、6A2 の開口端が設けられている互いに直角に隣接した辺に仕切壁部16を設け、部6A1 、6A2 の開口端が存在しない互いに直角に隣接する辺には仕切壁部16を設けていないが、図18に示すように、これらの辺にも仕切壁部16を設けおいてもよい。
【0056】
また、上記図12に示す雨水誘導部2の形態においては、複数個の屈折誘導用雨水誘導ユニット部材10と直状誘導用雨水誘導ユニット部材20とにマンホール5側から雨水誘導部2の中央部に向かって螺旋状の導水溝6を形成すると共に、この導水溝6の終端部を一個の直状誘導用雨水誘導ユニット部材20によって形成しているが、この終端部の直状誘導用雨水誘導ユニット部材20に代えて、図14に示すように、直状誘導用雨水誘導ユニット部材20と平面同一形状で同一大きさのマンホール5'を設けて螺旋状に設けている導水溝6の両端をこれらのマンホール5、5'に連通させてなる雨水誘導部2を構成してもよい。
【0057】
また、雨水貯留部3を構成する雨水貯留ユニット部材30としては、上記構造に限定されることなく、従来から知られている一定高さの筒状部材を縦横に設けてなる雨水貯留ユニット部材や枡目形状に形成している雨水貯留ユニット部材等を採用してもよく、また、段状に積み重ねることなく、一段のみによって雨水貯留部3を構成しておいてもよい。
【符号の説明】
【0058】
1 貯水槽
2 雨水誘導部
3 雨水貯留部
4 被覆材
5 マンホール
6 導水溝
6A 屈折導水溝部
6B 直状導水溝部
7 仕切板
10 屈折誘導用雨水誘導ユニット部材
20 直状誘導用雨水誘導ユニット部材
11、21 矩形板
12、22 雨水誘導傾斜面
25 支持支柱
30 雨水貯留ユニット部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地面を掘削することにより形成した貯水槽の底部に複数個の雨水誘導ユニット部材を縦横に並設、設置して雨水誘導部を形成すると共に、この雨水誘導部上に雨水を貯留する内部空間を有する雨水貯留ユニット部材を積層することによって雨水貯留部を形成し、この雨水貯留部の上面を被覆材によって被覆してあり、雨水を上記雨水誘導部を通じてマンホールに導出するように構成している雨水貯留施設において、上記雨水誘導部は平面L字状に屈折した導水溝部とこの導水溝部に向かって雨水を誘導する傾斜面とを設けている屈折誘導用雨水誘導ユニット部材と、直線状の導水溝部とこの導水溝部に向かって雨水を誘導する傾斜面とを設けている直状誘導用雨水誘導ユニット部材とからなり、これらの屈折誘導用雨水誘導ユニット部材と直状誘導用雨水誘導ユニット部材とをその導水溝部同士を連通するように組み合わせてマンホールに連通する一連の導水溝を形成していることを特徴とする雨水貯留施設。
【請求項2】
屈折誘導用雨水誘導ユニット部材は、四方周縁に下方に向かって一定高さの底面周壁部を突設している矩形板に、この矩形板の直角に隣接する辺の中央部間に亘って連通したL字状の屈折導水溝部を形成していると共に矩形板の上面を四方周縁からこの屈折導水溝部に向かって下方に緩傾斜した雨水誘導傾斜面に形成してなることを特徴とする請求項1に記載の雨水貯留施設。
【請求項3】
直状誘導用雨水誘導ユニット部材は、屈折誘導用雨水誘導ユニット部材の矩形板と同大、同形で、且つ、四方周縁に下方に向かって屈折誘導用雨水誘導ユニット部材の底面周壁部と同一高さの底面周壁部を突設している矩形板に、この矩形板の長さ方向又は幅方向の中央部に屈折誘導用雨水誘導ユニット部材に設けている屈折導水溝部と同一断面形状の直状導水溝部を形成していると共に矩形板の上面をこの直状導水溝部に向かって下方に緩傾斜した雨水誘導傾斜面に形成してなることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の雨水貯留施設。
【請求項4】
屈折誘導用雨水誘導ユニット部材の矩形板の四方周辺部と屈折導水溝部に沿った板部とに一定間隔毎に下端が矩形板から下方に向かって開口している一定高さの中空の支持支柱を突設していると共に、隣接する支持支柱の対向する下端部間に上端面を雨水誘導傾斜面に向かって雨水を誘導する傾斜端面に形成した仕切壁部を設けていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の雨水貯留施設。
【請求項5】
直状誘導用雨水誘導ユニット部材の矩形板の四方周辺部と直状導水溝部に沿った板部とに、屈折誘導用雨水誘導ユニット部材に設けている支持支柱と同じ位置にこの支持支柱と同大、同形の支持支柱を突設していると共に、直状導水溝部の長さ方向に対して直交する方向において対向する支持支柱の下端部間に上端面を雨水誘導傾斜面に向かって雨水を誘導する傾斜端面に形成した仕切壁部を設けていることを特徴とする請求項1、請求項3又は請求項4に記載の雨水貯留施設。
【請求項6】
雨水貯留ユニット部材は、雨水誘導ユニット部材の矩形板と同大、同形の底板部に下端が底板部から下方に向かって全面的に開口している一定高さの断面等脚台形状の中空突起部を底板部の幅方向又は長さ方向に一定間隔毎に突設していると共に、これらの中空突起部の上端に中空突起部の長さ方向に一体間隔毎に該中空突起部内に連通する数個の通孔を穿設した平面長方形状の突出頂部を形成してなり、下段の雨水貯留ユニット部材と上段の雨水貯留ユニット部材とを互いに直角に向きを変えて下段の雨水貯留ユニット部材の各中空突起部の突出頂部を上段の雨水貯留ユニット部材の各対応する中空突起部の下端開口部に嵌合させることにより積み重ねて雨水貯留部を形成するように構成していることを特徴とする請求項1、請求項2又は請求項3に記載の雨水貯留施設。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2011−196064(P2011−196064A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−62771(P2010−62771)
【出願日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【出願人】(390033112)積水テクノ成型株式会社 (48)
【Fターム(参考)】