説明

電力中継回転継手

【課題】相対的に回転する2つの部材間で、不安定な接点による通電異常を発生させずに導通を維持することができ、更に、ケーブルを省スペースに収容することによって他の部材との干渉を防ぐことができる電力中継回転継手を提供する。
【解決手段】電力中継スイベルジョイント1は、固定部10と、固定部10に対して相対的に回転運動する回転部11と、固定部10と回転部11との間で電気を伝達する第1のケーブル32a及び第2のケーブル32bとを備える。第1のケーブル32a及び第2のケーブル32bは、回転運動の中心をとりまく渦巻き状に配設されている。軸部30が順回転及び逆回転すると、第1のケーブル32a及び第2のケーブル32bは、軸部30にきつく巻きつく方向、及び、軸部30への巻きつきが緩くなる方向に変位する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力中継回転継手、特に、産業用ロボットの先端に搭載されたツールと本体との間で電力を中継する構造をもつ電力中継回転継手に関する。
【背景技術】
【0002】
電力を中継する構造をもつ電力中継回転継手を備えた産業用ロボットは、マニピュレータ先端に取り付けられたツールを所定範囲で自在に回転させることができる。マニピュレータの先端に取り付けられた溶接ガンなどのツールを動作させるためには、回転する電力中継回転継手を跨いで駆動電力及び制御信号を当該ツールに供給する必要がある。
【0003】
特許文献1には、関節の外部を通る案内部材内に配線ケーブルを通すことによりアーム間の配線を実現しようとする多関節ロボットが開示されている。
【0004】
特許文献2には、導電性の固定部と、アームの回転動作時にアームの回転と共に回転する導電性の回転部との間で摺動接触による電気的接続を行うスリップリング構造を有し、電線を使用せずに電気的接続を実現しようとする多関節型の産業用ロボットが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭63−288692号公報
【特許文献2】特開2003−117877号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1のように関節の外部にケーブルを通すと、マニピュレータ動作時にマニピュレータとケーブルが干渉することによりマニピュレータの動作が制限されるとともに、ケーブルの断線が生じやすくなる。更に、ケーブルが多くなるほど絡まりが生じやすくなる。更に、関節の外部にケーブルを通す収容スペースが必要となる。
【0007】
特許文献2のように、導電性の固定部と回転部を摺動接触により電気的に接続する場合、粉塵や火花が散るような過酷な環境では接点に異物が混入して通電異常が発生しやすい。更に、導電性の固定部と回転部を摺動接触させると通電が不安定になる恐れがある。
【0008】
本発明は、相対的に回転する2つの部材間で、不安定な接点による通電異常を発生させずに導通を維持することができ、更に、ケーブルを省スペースに収容することによって他の部材との干渉を防ぐことができる電力中継回転継手を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の電力中継回転継手は、第1の相対回転部と、第1の相対回転部に対して相対的に回転運動する第2の相対回転部と、第1の相対回転部と第2の相対回転部との間で電気を伝達するケーブルとを備え、ケーブルは、回転運動の中心をとりまく渦巻き状に配設された渦巻き部を有する。
【0010】
第1の電力中継回転継手によれば、相対的に回転する2つの相対回転部間で、不安定な接点による通電異常を発生させずに導通を維持することができる。更に、第1の電力中継回転継手によれば、ケーブルを省スペースに収容できるためケーブルと他の部材との干渉を防ぐことができる。第1の相対回転部及び第2の相対回転部の組み合わせとして、マニピュレータ本体側に搭載される固定部とツール側に搭載される回転部との組み合わせが例示される。
【0011】
本発明の第2の電力中継回転継手は、第1の電力中継回転継手においてケーブルが略円形の断面をもっている。
【0012】
第2の電力中継回転継手によれば、ケーブルが略円形の断面をもっていることで、いずれの方向の力が加えられても変形しにくく、渦巻き状態に巻かれた内外のケーブル間の摩擦が少ないため、回転部の回転に合わせてケーブルの渦巻き部の巻き径の拡大、縮小を滑らかに行うことができる。
【0013】
本発明の第3の電力中継回転継手は、第1又は第2の電力中継回転継手において複数のケーブルを備える。更に、各ケーブルの渦巻き部は、第1の端部と、当該第1の端部よりも中心に近い第2の端部とを有する。複数のケーブルは、第1のケーブルと第2のケーブルとを有する。第1のケーブルの第1の端部から第2の端部までの巻き方向は、第2のケーブルの第1の端部から第2の端部までの巻き方向と異なる。
【0014】
第3の電力中継回転継手によれば、巻き方向が異なる少なくとも2本のケーブルを備えているため、順回転時と逆回転時における回転トルクの偏りを減らすことができる。なお、渦巻き部の端部は、必ずしもケーブルの端部でなくてもよく、ケーブルの途中をさすものであってもよい。
【0015】
本発明の第4の電力中継回転継手は、第3の電力中継回転継手において各ケーブルを層状に隔離する1以上の隔壁を更に備える。
【0016】
第4の電力中継回転継手によれば、複数のケーブルを層状に隔離することにより渦巻き状態に巻かれた各ケーブルを回転部の回転に合わせて滑らかに変位させることができるとともに、省スペースに複数のケーブルを収容することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の電力中継回転継手によれば、相対的に回転する2つの部材間で、不安定な接点による通電異常を発生させずに導通を維持することができ、更に、ケーブルを省スペースに収容することによって他の部材との干渉を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1は本実施形態の電力中継スイベルジョイントの斜視図である。
【図2】図2は図1の電力中継スイベルジョイントの正面図である。
【図3】図3(a)は図2の電力中継スイベルジョイントのA−A断面図であり、図3(b)は図2の電力中継スイベルジョイントのB−B断面図である。
【図4】図4(a)は順回転した図2の電力中継スイベルジョイントのA−A断面図であり、図4(b)は順回転した図2の電力中継スイベルジョイントのB−B断面図であり、図4(c)は、逆回転した図2の電力中継スイベルジョイントのA−A断面図であり、図4(d)は逆回転した図2の電力中継スイベルジョイントのB−B断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1は、本実施形態の電力中継スイベルジョイント1の斜視図である。図2は、電力中継スイベルジョイント1の正面図である。本実施形態の電力中継スイベルジョイント1は、図1に示す固定部10及び回転部11により構成されている。なお、図1及び図2では説明の便宜上、電力中継スイベルジョイント1の構成を簡潔に描いている。本発明の電力中継回転継手は、図1及び図2に示す本実施形態の電力中継スイベルジョイント1に限られるものではない。以下、上下方向、左右方向及び前後方向は、相対的な位置関係を説明するために便宜上用いるものである。
【0020】
固定部10は、図1に示すように金属材料で一体形成された台座部20、足部21及び壁部22を有し、更に、図2に示す金属材料で形成された駆動軸23を有している。図1に示すように台座部20は、上下方向に沿った中心軸をもつ略円柱形状の外形を有する。台座部20の上方にはドーナツ型円盤状の上面24が形成されている。足部21は、台座部20の下方に一体形成されており他の部材に着脱可能な構造をもつ。図2に示すように台座部20及び足部21は、中心軸に沿った円柱形状の貫通孔25をもつ。駆動軸23は、貫通孔25内に当該貫通孔25と同軸となるよう、正逆回転可能に保持されている。図1に示すように壁部22は、台座部20の上面24において外周縁部の約半分を構成する半円弧状の位置から、上方に所定の高さまで立設されている。
【0021】
回転部11は、図2に示すような軸部30、7枚の隔壁31、第1〜第6のケーブル32a〜32f、6つの外側端子33及び図1に示すような6つの内側端子34により構成されている。
【0022】
図1に示すように軸部30は、金属材料により略円筒形状に形成されている。軸部30は、上下方向に沿った中心軸をもち、図2に示すように下端部において固定部10の駆動軸23の上端に接続されている。軸部30及び駆動軸23は、着脱可能に構成されている。軸部30を駆動軸23に接続したとき、軸部30の中心軸は駆動軸23の中心軸の延長上に位置する。
【0023】
図1に示すように各隔壁31は、樹脂で形成されており、台座部20の上面24より若干小さいドーナツ型円盤形状をもつ。各隔壁31は、円形の中央の孔35と、中央の孔35から外側に向けてわずかに切り欠くように形成された2つの切り欠き36をもつ。2つの切り欠き36は、隔壁31の内周における180°離れた位置に対向配置されている。各隔壁31は、軸部30の中心軸に直交する平面内において軸部30を取り巻くように配設され、中央の孔35付近において軸部30に固定されている。7枚の隔壁31は、軸部30の中心軸の方向に沿って、所定の一定間隔を開けて配設されている。各隔壁31の間隔は、軸部30への固定位置により規定されるものであってもよく、スペーサを挿入することによって維持されていてもよい。
【0024】
図2に示すように、第1〜第6のケーブル32a〜32fは、下側から順に1本ずつ隔壁31の間に配設されている。第1〜第6のケーブル32a〜32fは、絶縁材料で被覆された1本又は複数本の導線により構成されている。第1〜第6のケーブル32a〜32fの断面は全て略円形である。第1〜第6のケーブル32a〜32fの直径は、隔壁31の間隔より若干小さいが、隔壁31の間隔の半分より大きいことが好ましい。これは、上下2枚の隔壁31で作られた空間にケーブルを配設するにおいて、ケーブルが二重三重に重ね合わさらず単層状態で渦巻き状態を維持できる点で重要である。なお、第1〜第6のケーブル32a〜32fの断面は、円形に限られるものではないが、いずれの方向から圧力を受けても容易に変形しない形状をもつことが好ましい。
【0025】
図3(a)は、図2の電力中継スイベルジョイント1のA−A断面図である。第1のケーブル32aの一端は、L字形状の外側端子33の後端に取り付けられている。外側端子33は、壁部22の左端縁部40に固定され、前端を隔壁31から左側に突出させるように配設されている。
【0026】
第1のケーブル32aの他端は、L字形状の内側端子34の後端に取り付けられている。第1のケーブル32aに接続された内側端子34は、初期状態の軸部30の右側に位置している。内側端子34の後端側の枝は、隔壁31間に配設されている。内側端子34の他方の枝は、複数の隔壁31の切り欠き36を上下方向に貫くように軸部30に固定されている。内側端子34の前端は、図1に示すように最上部の隔壁31の右側の切り欠き36から上方に露出している。
【0027】
図3(a)に示すように第1のケーブル32aは、外側端子33から内側端子34まで、時計回りに軸部30の周囲に巻き回されている。初期状態において、第1のケーブル32aは、接触しない程度に間隔を開けて渦巻き状に配設されている。
【0028】
図2に示す第3のケーブル32c及び第5のケーブル32eは、第1のケーブル32aと同様に配設されている。第3のケーブル32c及び第5のケーブル32eの各外側の一端には、第1のケーブル32aと同様に外側端子33が接続され、各内側の一端には内側端子34が接続されている。上方に位置する内側端子34ほど、上下方向の長さが短くなるように構成されている。図1に示すように、軸部30右側の3つの内側端子34は、互いに干渉しないように回転方向に並べて配設されている。
【0029】
図3(b)は、図2の電力中継スイベルジョイント1のB−B断面図である。第2のケーブル32bの一端は、L字形状の外側端子33の後端に取り付けられている。外側端子33は、壁部22の右端縁部41に固定され、前端を隔壁31から右側に突出させるように配設されている。
【0030】
第2のケーブル32bの他端は、L字形状の内側端子34の後端に取り付けられている。第2のケーブル32bに接続された内側端子34は、初期状態の軸部30の左側に位置している。内側端子34の後端側の枝は、隔壁31間に配設されている。内側端子34の他方の枝は、複数の隔壁31の切り欠き36を上下方向に貫くように軸部30に固定されている。内側端子34の前端は、図1に示すように最上部の隔壁31の左側の切り欠き36から上方に露出している。
【0031】
図3(b)に示すように第2のケーブル32bは、外側端子33から内側端子34まで、反時計回りに軸部30の周囲に巻き回されている。初期状態において、第2のケーブル32bは、接触しない程度に間隔を開けて渦巻き状に配設されている。
【0032】
図2に示す第4のケーブル32d及び第6のケーブル32fは、第2のケーブル32bと同様に配設されている。第4のケーブル32d及び第6のケーブル32fの各外側の一端には、第1のケーブル32aと同様に外側端子33が接続され、各内側の一端には内側端子34が接続されている。上方に位置する内側端子34ほど、上下方向の長さが短くなるように構成されている。図1に示すように、軸部30左側の3つの内側端子34は、互いに干渉しないように回転方向に並べて配設されている。
【0033】
外側端子33及び内側端子34には他のケーブル、端子その他の電子部品を接続することができる。外側端子33及び内側端子34は、本実施形態の形状に限られるものではない。外側端子33は、壁部22以外の部材に固定されるものであってもよい。内側端子34は、軸部30とともに回転可能に構成されていれば軸部30以外の部材に固定されるものであってもよい。第1〜第6のケーブル32a〜32fは外側端子33及び内側端子34を使用しないものであってもよく、ケーブル自身が電力中継スイベルジョイント1から離れた位置まで延設されたものであってもよい。
【0034】
図1に示す固定部10の足部21は、図示しない産業用ロボットのマニピュレータ本体に装着される。左右両側に固定された6つの外側端子33とマニピュレータ本体の端子の間には、駆動電力及び制御信号を伝達するケーブルが接続される。回転部11の軸部30には溶接ガンなどのツールが接続される。軸部30の左右両側に固定された6つの内側端子34とツールの端子の間には、駆動電力及び制御信号を伝達するケーブルが接続される。マニピュレータ本体が図2に示す固定部10の駆動軸23を回転駆動すると、駆動軸に接続された軸部30及びツールが回転する。
【0035】
図1に示すように、回転部11を固定部10に接続した状態において、回転部11の後方は壁部22によって覆われ、前方は開放されている。軸部30が回転すると、隔壁31の外周は固定部10の壁部22に沿って摺動する。以下、上方から見て軸部30が時計周りに回転する動作を順回転と称し、上方から見て軸部30が反時計周りに回転する動作を逆回転と称する。本実施形態の軸部30は、順回転方向及び逆回転方向に180°回転するが、回転角度はこれより大きくても小さくてもよい。
【0036】
図4(a)は、図2の電力中継スイベルジョイント1の軸部30が180°順回転したときのA−A断面図である。図4(b)は、図2の電力中継スイベルジョイント1の軸部30が180°順回転したときのB−B断面図である。順回転時には回転角度が大きくなるにつれて、図4(a)に示すように第1のケーブル32aは徐々に軸部30への巻きつきがきつくなるように内側に変位し、図4(b)に示すように第2のケーブル32bは徐々に軸部30への巻きつきが緩まるように外側に変位する。図2に示す第3のケーブル32c及び第5のケーブル32eは、第1のケーブル32aと同様に変位し、第4のケーブル32d及び第6のケーブル32fは、第2のケーブル32bと同様に変位する。
【0037】
図4(c)は、図2の電力中継スイベルジョイント1の軸部30が180°逆回転したときのA−A断面図である。図4(d)は、図2の電力中継スイベルジョイント1の軸部30が180°逆回転したときのB−B断面図である。逆回転時には回転角度が大きくなるにつれて、図4(c)に示すように第1のケーブル32aは徐々に軸部30への巻きつきが緩まるように外側に変位し、図4(d)に示すように第2のケーブル32bは徐々に軸部30への巻きつきがきつくなるように内側に変位する。第3のケーブル32c及び第5のケーブル32eは、第1のケーブル32aと同様に変位し、第4のケーブル32d及び第6のケーブル32fは、第2のケーブル32bと同様に変位する。
【0038】
本実施形態の第1〜第6のケーブル32a〜32fは略円形の断面をもつため、フラットケーブルなどの他の形状に比較して自立して形状を保ちやすく、変形しにくいため、軸部30が回転を繰り返しても、各ケーブルが二重三重に重ね合わさらず単層状態で渦巻き状態を維持できることから、軸部30は滑らかな回転を長期間維持することができる。また、第1〜第6のケーブル32a〜32fは略円形の断面をもつため、フラットケーブルなどの他の形状に比較してケーブル間の摩擦が少ないため、軸部30の回転に合わせてケーブルの渦巻き部の巻き径の拡大、縮小がスムーズに行われることで、軸部30の回転動作を滑らかに実現することができる。また、第1〜第6のケーブル32a〜32fは略円形の断面をもつため、ケーブルと隔壁31との間の摩擦が少ないことで、より一層ケーブルの渦巻き部の巻き径の変位がスムーズとなり、軸部30の回転動作を滑らかに行うことができる。
【0039】
また、隔壁31の間隔を第1〜第6のケーブル32a〜32fの各直径程度にしておくことで、上下2枚の隔壁31で作られた空間に各ケーブルを配設した際、各ケーブルが空間内で上下方向に二重三重に重なるトラブルを回避することができる。
【0040】
なお、第1〜第6のケーブル32a〜32f及び隔壁31の耐用年数の向上及び摩擦低減のため、第1〜第6のケーブル32a〜32f及び隔壁31の少なくとも一方にグリス、ワックスなどの潤滑材を塗布しても良い。
【0041】
上方から見たとき、第1のケーブル32a、第3のケーブル32c及び第5のケーブル32eの巻き方向が、第2のケーブル32b、第4のケーブル32d及び第6のケーブル32fの巻き方向と逆方向であるため、回転部11の順回転時の負荷を逆回転時の負荷と同じにすることができる。順回転時と逆回転時の力学的な負荷の偏りを軽減するため、全てのケーブルのうちの少なくとも1本のケーブルの巻き方向が、他のケーブルの巻き方向と異なっていることが好ましい。順回転時と逆回転時の力学的な負荷を均等にするため、上方から見たとき巻き方向が時計回りとなるケーブルの数と、巻き方向が反時計回りとなるケーブルの数が同じであることが好ましい。
【0042】
回転部11は固定部10に取り付けられた状態で前方に開放されているため、回転部11を取り外さずに前方から第1〜第6のケーブル32a〜32fを交換することができる。なお、回転部11の内部にゴミなど不純物の進入を防ぐために回転部11の前方を覆うように固定部10に着脱可能なカバーを取り付けることが好ましい。第1〜第6のケーブル32a〜32fは略円形の断面をもつため、フラットケーブルなどの他の形状に比較して変形しにくくケーブルの交換が容易である。
【0043】
なお、回転部11は、隔壁31の間隔を変えられるように構成されたものであってもよい。隔壁31の間隔が変えられることによって、汎用性が高まる。回転部11は、上下方向に第1〜第6のケーブル32a〜32fを積層しているため、異なる形状及び長さのケーブルを同時に使用することができる。隔壁31は、板状でなくてもよく、メッシュ状であってもよく、中心から放射線状に広がるような線形状であってもよく、第1〜第6のケーブル32a〜32fを仕切ることができる他の形状であってもよい。
【0044】
本実施形態の電力中継スイベルジョイント1は、スリップリングとブラシを組み合わせた接点など、不安定な接点部分をもたないため、通電異常を防いで高効率に駆動電力及び制御信号を伝達することができる。本実施形態の第1〜第6のケーブル32a〜32fは電力中継スイベルジョイント1に内蔵されているため、省スペースであり、マニピュレータの動作に干渉せず、断線が生じにくい。本実施形態の第1〜第6のケーブル32a〜32fは渦巻き状に配設されているため、長さ方向に弾性力を持たなくても回転動作による両端部の変位を吸収することができる。本実施形態の第1〜第6のケーブル32a〜32fは渦巻き状に配設されているため、急激な屈曲部分がなく、ケーブルにかかる力学的負荷が小さく、ケーブルの断線が生じにくい。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明は、駆動電力及び制御信号その他の電力を伝送する各種電力中継回転継手に適用できる。
【符号の説明】
【0046】
1 電力中継スイベルジョイント
10 固定部
11 回転部
20 台座部
21 足部
22 壁部
23 駆動軸
24 上面
25 貫通孔
30 軸部
31 隔壁
32a〜32f 第1〜第6のケーブル
33 外側端子
34 内側端子
35 中央の孔
36 切り欠き
40 左端縁部
41 右端縁部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の相対回転部と、
前記第1の相対回転部に対して相対的に回転運動する第2の相対回転部と、
前記第1の相対回転部と前記第2の相対回転部との間で電気を伝達するケーブルとを備え、
前記ケーブルは、前記回転運動の中心をとりまく渦巻き状に配設された渦巻き部を有する、
電力中継回転継手。
【請求項2】
前記ケーブルは、略円形の断面をもつ
請求項1の電力中継回転継手。
【請求項3】
複数の前記ケーブルを備え、
各前記ケーブルの前記渦巻き部は、第1の端部と、当該第1の端部よりも前記中心に近い第2の端部とを有し、
複数の前記ケーブルは、第1のケーブルと第2のケーブルとを有し、
前記第1のケーブルの前記第1の端部から前記第2の端部までの巻き方向は、前記第2のケーブルの前記第1の端部から前記第2の端部までの巻き方向と異なる、
請求項1又は請求項2の電力中継回転継手。
【請求項4】
各前記ケーブルを層状に隔離する1以上の隔壁を更に備える、
請求項3の電力中継回転継手。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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