説明

電力供給制御装置、画像処理装置、電力供給制御プログラム

【課題】計時により不使用と判断される被動作部への電力供給を制限する時期を、使用者と被動作部との相対位置に応じて調整する。
【解決手段】立ち下げトリガの契機は、基本的にはタイマによる予め定めた電力非供給状態遷移時間tに基づいて実行される。ところが、スリープモードへ遷移すると、次の立ち上げに時間を要する。このため、利便性を優先するならタイマ設定時間を比較的長くとり、省エネ性を優先するならタイマ設定時間を比較的短くしなければならず、二律背反の現状では、平均的なタイマ時間の設定となっている。そこで、スタンバイモードからスリープモードへ遷移する契機(立ち下がりトリガ)としてタイマを主体とすると共に、第1の人感センサ28と、第2の人感センサ30による移動体検出に基づいて前記タイマの電力非供給状態遷移時間tを調整するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力供給制御装置、画像処理装置、電力供給制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、省電力モードから通常モードに復帰する際の操作性向上を目的として、通常モードから省電力モードに移行する所定の移行時間を、画像形成装置の使用態様に対応させて変更することが記載されている。
【0003】
特許文献2には、音声ガイダンスモードにおいて、人体が検知されるとタイマーの値をクリアし不用意に省エネ移行しないようすることが記載されている。
【0004】
また、人感センサを用いた人の機器への接近探知の技術として、人感照度センサ受光量検知と振動センサを併用すること(特許文献3参照)、通りすがりの人の誤検知防止対策(特許文献4参照)、焦電型赤外線センサの検出精度を向上する技術(特許文献5参照)等が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−255776号公報
【特許文献2】特開2005−084631号公報
【特許文献3】特開2004−175099号公報
【特許文献4】特開平09−166943号公報
【特許文献5】特開平06−242226号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、計時により不使用と判断される被動作部への電力供給を制限する時期を、使用者と被動作部との相対位置に応じて調整することができる電力供給制御装置、画像処理装置、電力供給制御プログラムを得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明は、商用電力電源部から電力の供給を受けて動作する被動作部を対象として、消費電力が異なる複数の電力供給状態、及び前記商用電力電源部から電力の供給を受けない或いは予め定めた電力以下であり電力供給を行うか否かの判別制御に必要な電力の供給を受ける電力非供給状態の間で状態を遷移させる電力供給状態遷移制御手段と、前記被動作部に対して使用する意志のある使用者を含み、予め設定された領域内で、移動体を検出すると共に、それぞれ検出条件が異なる複数の移動体検出手段と、前記電力供給状態の被動作部の不使用状態を計時する計時手段と、前記計時手段による計時が、予め定めた電力非供給状態遷移時間に達しても前記被動作部の不使用状態が継続されている場合に、前記電力供給状態遷移制御手段に対して前記電力非供給状態へ遷移させるように指示する遷移指示手段と、前記遷移指示手段による指示時期に、前記複数の移動体検出手段により前記移動体を検出している場合に、前記指示時期を延期する指示時期延期手段と、を有している。
【0008】
請求項2に記載の発明は、前記請求項1に記載の発明において、前記電力供給状態に遷移した契機には、被動作部に対する外部信号入力による第1の契機と、前記移動体検出手段による移動体検知による第2の契機とがあり、前記第1の契機による遷移の場合よりも前記第2の契機による遷移の場合の方が、前記電力非供給状態に遷移するまでの計時時間である電力非供給状態遷移時間を長く設定する。
【0009】
請求項3に記載の発明は、前記請求項1又は請求項2に記載の発明において、前記電力供給状態において、前記移動体検出手段により前記移動体が前記被動作体に対面していることを検出する回数が多ければ多いほど、次の電力非供給状態への遷移までの計時時間である前記電力非供給状態遷移時間を短縮する。
【0010】
請求項4に記載の発明は、前記請求項1〜請求項3の何れか1項記載の発明において、前記移動体検出手段として、少なくとも前記移動体の検出可能領域、検出可能距離の一方が異なる複数種類のセンサと、前記被動作部に関わる操作の有無を判別する操作判別機能と、の中から1つ、或いは2以上の組み合わせが選択される。
【0011】
請求項5に記載の発明は、前記請求項4に記載の発明において、前記複数種類のセンサとして、前記移動体が被動作体に接近している状態を判別する焦電型センサ、前記使用者が被動作体に対面している状態を判別する反射型センサが含まれる。
【0012】
請求項6に記載の発明は、前記請求項5に記載の発明において、前記電力供給状態遷移制御手段により前記電力供給状態に遷移されている場合、前記焦電センサから入力される信号系統を無効とし、当該信号に基づく制御のための電力を遮断する。
【0013】
請求項7に記載の発明は、前記請求項1〜請求項6の何れか1項記載の発明において、前記電力非供給状態が前記移動体検出手段に関わる制御系にのみ電力を供給するスリープモードを備え、かつ、前記電力供給状態が前記スリープモードから被動作部を立ち上げるための準備段階であるウォームアップモード、前記被動作部に対して定常時よりも下げて電力を供給しておくスタンバイモード、被動作部に対して前記定常時の電力を供給するランニングモードを備えており、前記遷移指示手段による指示が、スタンバイモードからスリープモードへ移行するときの立ち下げ指示である。
【0014】
請求項8に記載の発明は、前記請求項7に記載の発明において、前記スリープモードには、前記使用者か否かが特定できない移動体の検出時に、前記被動作部を動作させるために命令情報を入力する入力手段に電力を供給するアウェイクモードが設定されている。
【0015】
請求項9に記載の発明は、前記請求項1〜請求項8の何れか1項記載の発明において、前記予め定めた電力非供給状態遷移時間が経過した直後に前記遷移指示手段で遷移を指示するとき、或いは前記指示時期延期手段で前記指示時期を延期した後に前記遷移指示手段で遷移を指示するとき、少なくとも前記入力手段の入力操作を促す報知を行い、当該報知が予め定めた報知実行時間を経過しても前記入力手段の入力操作がない場合に、前記遷移指示手段へ遷移を指示する。
【0016】
請求項10に記載の発明は、前記請求項1〜請求項9の何れか1項記載の発明において、前記請求項1〜請求項9の何れか1項記載の電力供給制御装置を備え、前記処理装置が、原稿画像から画像を読み取る画像読取部、画像情報に基づいて記録用紙に画像を形成する画像形成部、予め相互に定められた通信手順の下で画像を送信先へ送信するファクシミリ通信制御部の少なくとも1つを含んでおり、前記画像読取部、前記画像形成部、前記ファクシミリ通信制御部が、使用者から指示される、画像読取機能、画像形成機能、画像複写機能、ファクシミリ受信機能、ファクシミリ送信機能の各画像処理機能に対して、相互に連携しあって当該画像処理機能を実行する画像処理装置である。
【0017】
請求項11に記載の発明は、前記請求項1〜請求項9の何れか1項記載の発明において、コンピュータを、前記請求項1〜請求項9の何れか1項記載の電力供給制御装置として実行させる電力供給制御プログラムである。
【発明の効果】
【0018】
請求項1、請求項10、請求項11記載に記載の発明によれば、計時により不使用と判断される被動作部への電力供給を制限する時期を、使用者と被動作部との相対位置に応じて調整することができる。
【0019】
請求項2記載の発明によれば、電力復帰契機によって電力非供給状態までの時間を調整することができる。
【0020】
請求項3記載の発明によれば、電力供給状態での被動作部の使用頻度によって、次のスリープモードまでの時間を調整することができる。
【0021】
請求項4記載の発明によれば、複数のセンサで相互に検出可能距離を異ならせることができ、かつ、被動作部の操作状態を使用者の有無の判別手段とすることができる。
【0022】
請求項5に記載の発明によれば、センサとして焦電型センサと反射型センサとを適用することで、相互に検出可能範囲を異ならせることができる。
【0023】
請求項6に記載の発明によれば、本構成を有しない場合に比べて、焦電型センサの不使用時の電力を軽減することができる。
【0024】
請求項7に記載の発明によれば、画像処理装置の動作状態間の遷移を適正なタイミングで行うことができる。
【0025】
請求項8に記載の発明によれば、スリープモードにアウェイクモードを設定することで、移動体の接近で、まず例えば、UIやICリーダ等を優先して電力を供給することができる。
【0026】
請求項9に記載の発明によれば、電力非供給状態への遷移に猶予を持たせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本実施の形態に係る画像処理装置を含む通信回線網接続図である。
【図2】本実施の形態に係る画像処理装置の概略図である。
【図3】本実施の形態に係る画像処理装置の制御系の構成を示すブロック図である。
【図4】本実施の形態に係るメインコントローラと電源装置の制御系を機能別に示した概略図である。
【図5】画像処理装置における、各モード状態と、当該モード状態の移行の契機となる事象を示したタイミングチャートである。
【図6】本実施の形態にかかる実施例であり、画像処理装置及びその周辺示す平面図である。
【図7】スリープモードからウォームアップモードを経てスタンバイモードへ遷移したときに実行される、要因電力復帰要因に基づくスリープモード遷移用のタイマ設定制御ルーチンを示すフローチャートである。
【図8】電力復帰中使用頻度に基づく、スリープモード遷移用のタイマ補正制御ルーチンを示すフローチャートである。
【図9】スリープモード遷移時監視制御ルーチンを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図1に示される如く、本実施の形態に係る画像処理装置10は、インターネット等のネットワーク通信回線網20に接続されている。図1では、2台の画像処理装置10が接続されているが、この数は限定されるものではなく、1台でもよいし、3台以上であってもよい。
【0029】
また、このネットワーク通信回線網20には、情報端末機器としての複数のPC(パーソナルコンピュータ)21が接続されている。図1では、2台のPC21が接続されているが、この数は限定されるものではなく、1台でもよいし、3台以上であってもよい。また、情報端末機器としては、PC21に限定されるものではなく、さらには有線接続である必要もない。すなわち、無線によって情報を送受信する通信回線網であってもよい。
【0030】
図1に示される如く、画像処理装置10では、PC21から当該画像処理装置10に対して、遠隔で、例えばデータを転送して画像形成(プリント)指示操作を行なう場合、或いは使用者(ユーザー)が画像処理装置10の前に立ち、各種操作によって、例えば、複写(コピー)、スキャン(画像読取)、ファクシミリ送受信等の処理を指示する場合がある。
【0031】
図2には、本実施の形態に係る画像処理装置10が示されている。画像処理装置10は、記録用紙に画像を形成する画像形成部240と、原稿画像を読み取る画像読取部238と、ファクシミリ通信制御回路236を備えている。画像処理装置10は、メインコントローラ200を備えており、画像形成部240、画像読取部238、ファクシミリ通信制御回路236を制御して、画像読取部238で読み取った原稿画像の画像データを一次的に記憶したり、読み取った画像データを画像形成部12又はファクシミリ通信制御回路236へ送出したりする。
【0032】
メインコントローラ200にはインターネット等のネットワーク通信回線網20が接続され、ファクシミリ通信制御回路236には電話回線網22が接続されている。メインコントローラ200は、例えば、ネットワーク通信回線網20を介してホストコンピュータと接続され、画像データを受信したり、ファクシミリ通信制御回路236を介して電話回線網22を用いてファクシミリ受信及びファクシミリ送信を実行する役目を有している。
【0033】
画像読取部238は、原稿を位置決めする原稿台と、原稿台に置かれた原稿の画像を走査して光を照射する走査駆動系と、走査駆動系の走査により反射又は透過する光を受光して電気信号に変換するCCD等の光電変換素子と、が設けられている。
【0034】
画像形成部240は、感光体を備え、感光体の周囲には、感光体を一様に帯電する帯電装置と、画像データに基づいて光ビームを走査する走査露光部と、前記走査露光部によって走査露光されることで形成された静電潜像を現像する画像現像部と、顕像化された感光体上の画像を記録用紙へ転写する転写部と、転写後の感光体の表面をクリーニングするクリーニング部と、が設けられている。また、記録用紙の搬送経路上には、転写後の記録用紙上の画像を定着する定着部を備えている。
【0035】
画像処理装置10には、入力電源線244の先端にコンセント245が取り付けられており、壁面Wまで配線された商用電源242の配線プレート243に、当該コンセント245を差し込むことで、画像処理装置10は、商用電源242から、電力の供給を受けるようになっている。
【0036】
(制御系ハード構成)
図3は、画像処理装置10の制御系のハード構成の概略図である。
【0037】
ネットワーク回線網20は、メインコントローラ200に接続されている。メインコントローラ200には、それぞれ、データバスやコントロールバス等のバス33A〜33Dを介して、ファクシミリ通信制御回路236、画像読取部238、画像形成部240、UIタッチパネル216が接続されている。すなわち、このメインコントローラ200が主体となって、画像処理装置10の各処理部が制御されるようになっている。
【0038】
また、画像処理装置10は、電源装置202を備えており、メインコントローラ200とはバス33Eで接続されている。電源装置202は、商用電源242から電力の供給を受けている。電源装置202では、メインコントローラ200、ファクシミリ通信制御回路236、画像読取部238、画像形成部240、UIタッチパネル216のそれぞれに対して独立して電力を供給する電力供給線35A〜35Dが設けられている。このため、メインコントローラ200では、各処理部(デバイス)に対して個別に電力供給(電力供給モード)、或いは電力供給遮断(スリープモード)し、所謂部分節電制御を可能としている。
【0039】
また、メインコントローラ200には、2個の第1の人感センサ28、第2の人感センサ30が接続されており、画像処理装置10の周囲の人の有無を監視している。この第1の人感センサ28、第2の人感センサ30については後述する。
【0040】
(部分節電構成を主体とした機能ブロック図)
図4は、前記メインコントローラ200によって制御される処理部(「デバイス」、「モジュール」等と称する場合もある)、並びにメインコントローラ200、並びに各デバイスへ電源を供給するための電源装置202の電源ラインを主体とした概略構成図である。本実施の形態では、画像処理装置10が処理部単位で電力供給又は非供給が可能でとなっている(部分節電)。
【0041】
[メインコントローラ200]
図4に示される如く、メインコントローラ200は、CPU204、RAM206、ROM208、I/O(入出力部)210、及びこれらを接続するデータバスやコントロールバス等のバス212を有している。I/O210には、UI制御回路214を介してUIタッチパネル216が接続されている。また、I/O210には、ハードディスク(HDD)218が接続されている。ROM208やハードディスク218等に記録されているプログラムに基づいて、CPU204が動作することによって、メインコントローラ200の機能を実現する。なお、該プログラムを格納した記録媒体(CD−ROM、DVD−ROM等)から該プログラムをインストールし、これに基づいてCPU204が動作することにより画像処理機能を実現してもよい。
【0042】
I/O210には、タイマ回路220、通信回線I/F222が接続されている。さらに、I/O210には、ファクシミリ通信制御回路(モデム)236、画像読取部238、画像形成部240の各デバイスに接続されている。
【0043】
なお、前記タイマ回路220は、前記ファクシミリ通信制御回路236、画像読取部238、画像形成部240を節電状態(電源非供給状態)とするための契機として、初期設定時間の計時を行うものである。
【0044】
メインコントローラ200及び各デバイス(ファクシミリ通信制御回路236、画像読取部238、画像形成部240)は、電源装置202から電源が供給される(図4の点線参照)。なお、図4では、電源線を1本の線(点線)で示しているが、実際には2本〜3本の配線である。
【0045】
[電源装置202]
図4に示される如く、商用電源242から引き込まれた入力電源線244は、メインスイッチ246に接続されている。メインスイッチ246がオンされることで、第1の電源部248及び第2の電源部250へ電力供給が可能となる。
【0046】
第1の電源部248は、制御用電源生成部248Aを備え、メインコントローラ200の電源供給制御回路252に接続されている。電源供給制御回路252は、メインコントローラ200に電源供給すると共に、I/O210に接続され、メインコントローラ200の制御プログラムに従って、前記各デバイス(ファクシミリ通信制御回路236、画像読取部238、画像形成部240)への電源供給線を導通/非導通させるためのスイッチング制御を行う。
【0047】
一方、第2の電源部250へ接続される電源線254には、第1のサブ電源スイッチ256(以下、「SW−1」という場合がある。)が介在されている。このSW−1は、前記電源供給制御回路252で、オン・オフが制御されるようになっている。
【0048】
また、第2の電源部250は、24V電源部250H(LVPS2)と5V電源部250L(LVPS1)を備えている。24V電源部250H(LVPS2)は主としてモーター等で使用される電源である。
【0049】
第2の電源部250の24V電源部250H及び5V電源部250L(LVPS1)は、選択的に、画像読取部258、画像形成部260、ファクシミリ通信制御回路部264、UIタッチパネル216に接続されている。
【0050】
画像読取部258は、24V電源部250H(LVPS2)を入力源として、第2のサブ電源スイッチ268(以下、「SW−2」という場合がある。)を介して、画像読取部238に接続されている。
【0051】
画像形成部260は、24V電源部250H(LVPS2)と5V電源部250L(LVPS1)を入力源として、第3のサブ電源スイッチ270(以下、「SW−3」という場合がある。)を介して、画像形成部240に接続されている。
【0052】
ファクシミリ通信制御回路部264は、24V電源部250H(LVPS2)と5V電源部250L(LVPS1)を入力源として、第5のサブ電源スイッチ274(以下、「SW−5」という場合がある。)を介して、ファクシミリ通信制御回路236及び画像形成部240に接続されている。
【0053】
UIタッチパネル電源供給部266は、5V電源部250L(LVPS1)と24V電源部250H(LVPS2)を入力源として、第6のサブ電源スイッチ276(以下、「SW−6」という場合がある。)を介して、UIタッチパネル216に接続されている。
【0054】
前記第2のサブ電源スイッチ268、第3のサブ電源スイッチ270、第5のサブ電源スイッチ274、第6のサブ電源スイッチ276は、それぞれ前記第1のサブ電源スイッチ256と同様に、メインコントローラ200の電源供給制御回路252からの電源供給選択信号に基づいて、オン・オフ制御される。図示していないが、24V電源部250Hと5V電源部250Lが供給されるスイッチや配線は、2系統で構成されている。また電源スイッチ268〜276は電源装置202でなく、電源供給先の各デバイス内に配置されても良い。
【0055】
上記構成では、機能別に各デバイス(ファクシミリ通信制御回路236、画像読取部238、画像形成部240)を選択した電源を供給し、指示された機能に不要なデバイスへの電源を供給しないため、必要最小限の電力で済む。
【0056】
(監視制御)
ここで、本実施の形態のメインコントローラ200は、必要最小限の電力消費となるように、部分的にその機能を停止させる場合がある。或いは、メインコントローラ200の大部分を含め、電力の供給を停止させる場合がある。これらを総称して「スリープモード(節電モード)」という場合がある。
【0057】
スリープモードは、例えば、画像処理が終了した時点でタイマを起動させることで移行可能である。すなわち、前記タイマが起動してから所定時間をカウントすることで電力供給を停止させている。なお、所定時間が経過するまでに、何らかの操作(ハードキーの操作等)があれば、当然、スリープモードへのタイマカウントは中止され、次の画像処理終了時からタイマが起動される。
【0058】
一方、上記スリープモード中において、常に電力を供給を受ける素子として、節電中監視制御部24がI/O210に接続されている。この節電中監視制御部24は、例えば、ASICと称される、自身で動作プログラムが格納され、当該動作プログラムで処理されるCPU,RAM,ROM等を備えたICチップ等で構成することができる。
【0059】
ところで、前記節電中の監視において、例えば、通信回線検出部からプリント要求などが来たり、FAX回線検出部からFAX受信要求が来ることで、節電中であったデバイスに対して、節電中監視制御部24では、第1のサブ電源スイッチ256、第2のサブ電源スイッチ268、第3のサブ電源スイッチ270、第5のサブ電源スイッチ274、第6のサブ電源スイッチ276を制御することで、電力を供給を行なうことが前提である。
【0060】
また、メインコントローラ200のI/O210には、節電解除ボタン26が接続されており、節電中に使用者がこの節電解除ボタン26を操作することで、節電が解除可能となっている。
【0061】
ここで、スリープモードで監視するためには、節電中監視制御部24以外に、節電解除ボタン26や各検出部には節電中に必要最小限の電力を供給しておくことが好ましい。すなわち、電力非供給状態であるスリープモードであっても、予め定めた電力以下(例えば、0.5W以下)であり電力供給を行うか否かの判別制御に必要な電力の供給を受ける場合がある。
【0062】
なお、スリープモードの特定の期間(図5に示すアウェイクモード(awk)において、UIタッチパネル216等の入力系を主体とした必要最小限の電力供給を含む。
【0063】
ところで、スリープモード時に使用者が画像処理装置10の前に立ち、その後に節電解除ボタン26を操作して、電力供給を再開した場合、画像処理装置10が立ち上がるまでに時間を要する場合があった。
【0064】
そこで、本実施の形態では、前記節電中監視制御部24に、第1の人感センサ28、第2の人感センサ30を設置すると共に、スリープモードでは、使用者が節電解除ボタンを押す前に人感センサで検知して早期に電力供給を再開して、使用者が早く使えるようにした。なお、節電解除ボタン26と第1の人感センサ28、第2の人感センサ30とを併用しているが、第1の人感センサ28、第2の人感センサ30のみで全ての監視を行うことも可能である。
【0065】
第1の人感センサ28、第2の人感センサ30は、検出部28A、30Aと回路基板部28B、30Bとを備えており、回路基板部28B,30Bは、検出部28A、30Aで検出した信号の感度を調整したり、出力信号を生成する。
【0066】
なお、第1の人感センサ28は、「人感」としているが、これは、本実施の形態に則した固有名詞であり、少なくとも人が感知(検出)できればよく、言い換えれば、人以外の移動体の感知(検出)も含むものである。従って、以下において、人感センサの検出対象を「人」に言及する場合があるが、将来的には、人に代わって実行するロボット等も感知対象範囲である。なお、逆に、人と特定して感知できる特殊センサが存在する場合は、当該特殊センサを適用可能である。
【0067】
第1の人感センサ28の仕様は、画像処理装置10の周囲において、人の動きを検出するものである。この場合、焦電素子の焦電効果を用いた赤外線センサ等が代表的である(焦電型センサ)。本実施の形態では、第1の人感センサ28として焦電型センサを適用している。
【0068】
この第1の人感センサ28に適用された焦電素子の焦電効果を用いたセンサの最大の特徴は、検出領域が広いことである。また、人の動きを感知するため、検出領域内であって、人が静止していると、人の存在を検出しない。例えば、人の移動時にハイレベル信号が出力されている場合、検出範囲内の人が静止すると、当該信号がローレベル信号になるものである。
【0069】
一方、第2の人感センサ30の仕様は、人の有無(存在・不存在)を検出するものが適用されている。この第2の人感センサ30に適用されるセンサは、投光部と受光部とを備えた反射型センサ等が代表的である(反射型センサ)。なお、投光部と受光部とが分離された形態であってもよい。
【0070】
この第2の人感センサ30に適用された反射型センサ等の最大の特徴は、受光部に入る光を遮断する/しないによって人の有無を確実に検出することである。また、投光部から投光される光量等により、受光部へ入射する光量に制限があるため、比較的近距離が検出領域である。
【0071】
なお、第1の第1の人感センサ28、第2の人感センサ30として、以下に示す機能をそれぞれ達成することが可能であれば、第1の人感センサ28、第2の人感センサ30として、焦電型センサや反射型センサに限定されるものではない。
【0072】
上記構成の第1の人感センサ28、第2の人感センサ30の適用形態は、画像処理装置10の状態(モード)によって設定する必要がある。
【0073】
図5は、画像処理装置10における、各モード状態と、当該モード状態の移行の契機となる事象を示したタイミングチャートである。
【0074】
画像処理装置10は、処理がなされていないと動作状態は、スリープモードとなり、本実施の形態では、節電中監視制御部24にのみ電力が供給されている。
【0075】
ここで、立ち上げ契機(立ち上げトリガの検出、或いは操作部の操作入力(キー入力))があると、動作状態はウォームアップモードへ遷移する。
【0076】
なお、立ち上げトリガとは、操作者による節電解除操作、第1の人感センサ28、第2の人感センサ30による検出結果に基づく信号や情報等がある。
【0077】
ウォームアップモードは画像処理装置10を迅速に処理可能状態にもっていくため、各モードの内最大の電力消費量となるが、例えば、定着部におけるヒータとしてIHヒータを利用することによって、ハロゲンランプを用いたヒータよりもウォームアップモード時間は、比較的短い時間とされている。
【0078】
ウォームアップモードによる暖機運転が終了すると、画像処理装置10はスタンバイモードに遷移するようになっている。
【0079】
スタンバイモードは、文字通り「事に備えて準備が完了している」モードであり、画像処理装置10においては、画像処理の動作が即実行できる状態となっている。
【0080】
このため、キー入力としてジョブ実行操作があると、画像処理装置10の動作状態は、ランニングモードに遷移し、指示されたジョブに基づく画像処理が実行されるようになっている。
【0081】
画像処理が終了すると(連続した複数のジョブが待機している場合は、その連続したジョブの全てが終了したとき)、画像処理装置10の動作状態はスタンバイモードへ遷移する。このスタンバイモード中にジョブ実行指示があれば、再度ランニングモードへ遷移し、立ち下げトリガの検出がある、或いは予め定めた時間が経過したとき、スリープモードへ遷移するようになっている。
【0082】
なお、立ち下げトリガとは、第1の人感センサ28、第2の人感センサ30による検出結果に基づく信号や情報等がある。
【0083】
なお、画像処理装置10における実際の動作におけるモード状態の遷移が、全てこのタイミングチャートのとおり時系列で進行するものではない。例えば、ウォームアップモード後のスタンバイモードで処理が中止され、スリープモードへ移行する場合もある。
【0084】
上記説明した各動作状態において、第1の人感センサ28、第2の人感センサ30は、以下に示す動作形態の契機を基本機能としている。
(動作形態1) スリープモード中に移動体(使用者)の検出によるスタンバイモードへの遷移制御
このスリープモード中において、第1の人感センサ28と第2の人感センサ30に対して、常に、それぞれに電力を供給しておいてもよいが、まず、画像処理装置10の周囲を監視する第1の人感センサ28にのみ電力を供給し、この第1の人感センサ28により移動体(使用者)を検知した時点で、第2の人感センサ30へ電力を供給するようにしてもよい。
(動作形態2) ランニングモード中に処理部の部分節電制御
連続するジョブの有無、内容によって部分節電を実行することを前提として、第1の人感センサ28、第2の人感センサ30により、使用者が一時的に画像処理装置10を離れた場合に、節電対象を増加することが可能である。
(動作形態3) スタンバイモード中に移動体(使用者)の未検出によるスリープモードへの遷移制御
スタンバイモードからスリープモードへの遷移は、タイマによる遷移制御と併用することが好ましい。
【0085】
例えば、タイマを主体として、使用者がある程度遠ざかったら(第2の人感センサ30で未検知状態となったら)、タイマの時間を短縮し、さらに、使用者が完全に不在(第1の人感センサ28での未検出となったら)、タイマに残り時間があっても強制的にスリープモードへ遷移させるといった制御が可能である。
【0086】
次に、本実施の形態の作用を説明する。
【0087】
上記の如く画像処理装置10は、スリープモード、ウォームアップモード、ランニングモードの間を相互に遷移しており、各モード毎に電力供給量が異なっている。
【0088】
本実施の形態の画像処理装置10では、予め定められた条件(主としてタイマのタイムアップ)が揃うと、スリープモードへ移行する。このスリープモードでは、ファクシミリ通信制御回路236、画像読取部238、画像形成部240の各デバイスのみならず、節電中監視制御部24を除くメインコントローラ200、並びにUIタッチパネル216に対しても電力供給を遮断する。この場合、メインコントローラ200に接続されている節電解除ボタン26の機能も停止されることが好ましい。このため、周囲から画像処理装置10を見ると、完全にメイン電源スイッチが切られている状態と同等の状態となる。すなわち、スリープモードが確実に実行されていることが、周囲から確認可能な状態となる(「見える化」の実現)。
【0089】
ここで、本実施の形態では、第1の人感センサ28、第2の人感センサ30を適用し、当該第1の人感センサ28、第2の人感センサ30による情報を画像処理装置10の動作状態(各モード)を遷移するトリガとして用い、画像処理装置10の全体として、消費電力を軽減するための制御を実行している。
【0090】
以下では、前述した立ち上がりトリガ、並びに、立ち下がりトリガとして第1の人感センサ28、第2の人感センサ30に用いた制御のために第1の人感センサ28、第2の人感センサ30を用いた制御について説明する。
【0091】
(立ち上げトリガ「スリープモードからウォームアップモードへの遷移制御」)
第1の人感センサ28は、画像処理装置10の周囲において、第2の人感センサ30の検出領域よりも広い領域を検出領域(以下、「第1の領域F」という)としている。例えば、第1の人感センサ28の検出領域は、画像処理装置10が設置されている場所の環境にもよるが、目安として2〜3m程度である(図6の第1の領域F(far)参照)。
【0092】
一方、第2の人感センサ30は、前記第1の人感センサ28の検出領域(第1の領域F)よりも狭い領域を検出領域(以下、「第2の領域N」という)としている。例えば、第2の人感センサ30の検出領域は、画像処理装置10のUIタッチパネル216やハードキーの操作が可能な範囲であり、目安として0〜0.5m程度である(図6の第2の領域N(near)参照)。
【0093】
第1の人感センサ28の仕様は、人の動きを検出するものであり、焦電素子の焦電効果を用いた赤外線センサ等が代表的である。
【0094】
この第1の人感センサ28の最大の特徴は、検出領域が広いことである(前記2〜3m、又はそれ以上が可能)。また、人の動きを感知するため、検出領域内であって、人が静止していると、人の存在を検出しない。例えば、人の移動時にハイレベル信号が出力されている場合、検出範囲内の人が静止すると、当該信号がローレベル信号になるものである。
【0095】
本実施の形態における「静止」とは、スチルカメラ等で撮影した静止画のように完全静止も当然含まれるが、例えば、人が画像処理装置10の前に操作を目的として立ち止まることを含むものとする。従って、予め定めた範囲の微動(呼吸に伴う動き等)や、手足、首等を動かすといった場合を静止の範疇とする。
【0096】
なお、当該「静止」を定義して第1の人感センサ28の感度を調整するのではなく、感度は、比較的おおまか、かつ標準的に調整し、当該第1の人感センサ28の検出状態に依存するようにしてもよい。すなわち、第1の人感センサ28が二値信号の内の1つ(例えば、ハイレベル信号)を出力しているときは人が動いていることを示し、第2の第1の人感センサ28の検出領域内に人が存在し、かつ二値信号の内の他の1つ(例えば、ローレベル信号)が出力された場合を静止とすればよい。
【0097】
第2の人感センサ30の仕様は、人の有無(存在・不存在)を検出するものであり、投光部と受光部とを備えた反射型センサ等が代表的である。なお、投光部と受光部とが分離された形態であってもよい。
【0098】
この第2の人感センサ30の最大の特徴は、受光部に入る光を遮断する/しないによって人の有無を確実に検出することである。また、投光部から投光される光量等により、受光部へ入射する光量に制限があるため、比較的近距離が検出領域である(前記0〜0.5m前後)。
【0099】
ここで、本実施の形態の画像処理装置10に搭載される、前記第1の人感センサ28及び第2の人感センサ30は、前述したように前記節電中監視制御部24に接続され、その検出信号が節電中監視制御部24へ入力されるようになっている。
【0100】
節電中監視制御部24では、第1の人感センサ28及び第2の人感センサ30からの信号に基づいて、以下の3形態を見極めるようになっている。
(第1の形態)
人が画像処理装置10に対して、使用目的で操作可能位置まで近づいてきている。
【0101】
この第1の形態は、まず、第1の領域に人が侵入してきたことを第1の人感センサ28により検出し、その後、この第1の人感センサ28による検出の継続中に、第2の領域に人が侵入してきたことを第2の人感センサ30により検出した後、第2の領域内での第1の検出手段による人の未検出(静止)という流れが確立することで見極めが可能となる(図6のA線矢視の動向(Aパターン)参照)。
(第2の形態)
人が処理装置を使用目的ではないが、操作可能位置まで近づいてきている。
【0102】
この第2の形態は、まず、第1の領域に人が侵入してきたことを第1の人感センサ28により検出し、その後、この第1の人感センサ28による検出の継続中に、第2の領域に人が侵入してきたことを第2の人感センサ30により検出し、第2の領域内での第1の検出手段による人の検出(移動)が継続されたまま、第2の領域から出て(第2の人感センサ30による未検出)、さらに、第1の領域から出る(第1の人感センサ28による未検出)という流れが確立することで見極めが可能となる(図6のB線矢視の動向(Bパターン)参照)。
(第3の形態)
人が処理装置の操作可能位置まで近づかないが、第1の形態、第2の形態に移行する可能性のある距離まできている。
【0103】
この第3の形態は、まず、第1の領域に人が侵入してきたことを第1の人感センサ28により検出し、その後、第2の人感センサ30による人検出がない状態で、第1の領域から出る(第1の人感センサ28による未検出)という流れが確立することで見極めが可能となる(図6のC線矢視の動向(Cパターン)参照)。
【0104】
節電中監視制御部24では、前記第1の人感センサ28及び第2の人感センサ30の検出信号に基づく、上記3種類の形態の確定に基づいて、まず、メインコントローラ200におけるUIタッチパネル216や節電解除ボタン26を含むコピー実行等を指示するハードキー等の入力系への電力供給を実行する。この状態は、依然としてスリープモードと定義してもよいし、節電中監視制御部24のみの電力供給よりも電力供給量が増加するので、アウェイクモード「awk」(目覚めモード)として定義してもよい(図5の遷移図における、スリープモード範囲の括弧[ ]内参照)。
【0105】
その後、UIタッチパネル216又はハードキー等による操作指示によって、当該操作指示された機能に必要なデバイスに対して電力供給を実行する。
【0106】
なお、節電解除ボタン26の操作同様、全てのデバイスが一斉に電力供給されるようにしてもよい。
【0107】
ここで、本実施の形態では、上記スリープモード中の画像処理装置10に対して、電力供給を再開させる契機(立ち上げトリガ)として、第1の人感センサ28、第2の人感センサ30により、画像処理装置10の周囲を監視して、当該画像処理装置10に接近してくる人が操作を目的としているか否かを見極めて、電力供給を再開するか否かを判定するようにした。
【0108】
図6は、画像処理装置10及びその周辺示す平面図であり、壁面Wに沿って配置された画像処理装置10の遠方に第1の領域F、近傍に第2の領域Nが設定されている。
【0109】
ここで、図6には、このような画像処理装置10の設置状態で、大きく分類して、人の動きとして、パターンA〜パターンCが示されている。
【0110】
パターンAは、人が画像処理装置10の操作可能位置まで近づき、使用目的で操作のため静止した後、離れていく移動軌跡であり、移動軌跡としては、領域外(第1段階)→領域F(第2段階)→領域N(第3段階。さらに静止することで、第4段階と判定され、節電解除となる。)→領域F(第5段階)→領域外(第6段階)の順になる。
【0111】
パターンBは、人が画像処理装置10の操作可能位置まで近づき通過していく移動軌跡であり、移動軌跡としては、領域外(第1段階)→領域F(第2段階)→領域N(第3段階(移動継続))→領域F(第4段階)→領域外(第5段階)の順になる。
【0112】
パターンCは、人が画像処理装置10の操作可能位置までは近づかないで近傍を通過していく移動軌跡であり、移動軌跡としては、領域外(第1段階)→領域F(第2段階)→領域外(第3段階)の順になる。
【0113】
なお、上記「段階」とは、人が近づき、遠ざかるときの状態を時系列に示したものである。
【0114】
(立ち下げトリガ「スタンバイモードからスリープモードへの遷移制御」)
上記図6の移動体の移動形態において、以下では、図5に示すスタンバイモードからスリープモードへ遷移する、すなわち、電力供給状態から電力供給を止める状態へ遷移するときの契機(立ち下がりトリガ)について説明する。
【0115】
この立ち下げトリガの契機は、基本的にはタイマによる予め定めた電力非供給状態遷移時間tに基づいて実行される。
【0116】
すなわち、図5に示すランニングモードからスタンバイモードへ移行した時点からタイマが起動し、前記電力非供給状態遷移時間tの期間、UIタッチパネル216等の操作入力や、外部信号入力がなかった場合に、スリープモードへ移行するようになっている。
【0117】
ところが、スリープモードへ遷移すると、次の立ち上げに時間を要する。このため、利便性を優先するならタイマ設定時間を比較的長くとり、省エネ性を優先するならタイマ設定時間を比較的短くしなければならず、二律背反の現状では、平均的なタイマ時間の設定となっている。
【0118】
そこで、本実施の形態では、スタンバイモードからスリープモードへ遷移する契機(立ち下がりトリガ)としてタイマを主体とすると共に、第1の人感センサ28と、第2の人感センサ30による移動体検出に基づいて前記タイマの電力非供給状態遷移時間tを調整するようにした。
【0119】
図7は、スリープモードからウォームアップモードを経てスタンバイモードへ遷移したときに実行される、要因電力復帰要因に基づくスリープモード遷移用のタイマ設定制御ルーチンを示すフローチャートである。
【0120】
まず、ステップ100では電力復帰要因があったか否かが判断され、否定判定された場合は、このルーチンは終了する。
【0121】
また、ステップ100で肯定判定されると、ステップ102へ移行して復帰要因の特定を行い、ステップ104へ移行する。ステップ104では、復帰要因を判定する。
【0122】
ステップ104で第1の人感センサ28、第2の人感センサ30で使用者を検出したことによる復帰(以下、「使用者検出復帰」という)であると判定された場合は、ステップ106へ移行して、スリープモードまでの時間を計時するタイマ調整時間Δtにt1(t1>t2)をセットし、ステップ112へ移行する。
【0123】
ステップ104でファックス受信やプリント指示等の外部信号が入力されたことによる復帰(以下、「外部信号入力復帰」という)であると判定された場合は、ステップ108へ移行して、スリープモードまでの時間を計時するタイマ調整時間Δtにt2(t1>t2)をセットし、ステップ112へ移行する。
【0124】
ステップ104で復帰要因が、上記使用者検出復帰、外部信号入力復帰の何れでもない、初期電源オン時等(「その他」)の場合は、ステップ110へ移行して、スリープモードまでの時間を計時する前回のタイマ調整時間Δt維持して、ステップ112へ移行する。
【0125】
ステップ112では、予め設定されているタイマ基準時間A(Aは固定値)に、前記タイマ調整時間Δtを加算して、初期のタイマ設定時間tを設定して(t=A+Δt)、このルーチンは終了する。
【0126】
次に、図8は電力復帰中使用頻度に基づく、スリープモード遷移用のタイマ補正制御ルーチンを示すフローチャートである。
【0127】
まず、ステップ114では、使用者検知回数Nをクリア(N=0)し、次いでステップ116へ移行して、第2の人感センサ30により使用者を検出したか否かが判断される。なお、この第2の人感センサ28は、図6の領域Nに示すように、装置に対面していることを検知するセンサであり、使用者の検出精度としては、この第2の人感センサ28を利用することが好ましいが、第1の人感センサ28であってもよい。また、第1の人感センサ28、第2の人感センサ30を併用してもよい。
【0128】
ステップ116で否定判定されると、ステップ118へ移行して、タイマ設定時間、すなわち、電力非供給状態遷移時間tが経過したか否かが判断され、否定判定されるとステップ116へ戻り、上記工程を繰り返す。
【0129】
前記ステップ118で肯定判定されると、ステップ128へ移行して立ち下げトリガを出力して、スタンバイモードからスリープモードへの遷移を実行する。
【0130】
また、ステップ116で肯定判定されると、ステップ120へ移行して使用者検知回数Nをインクリメント(N←N+1)し、次いでステップ122へ移行して、図7で設定したタイマ調整時間Δtを読み出し、ステップ124へ移行してΔtを前記使用者検知回数Nによって補正する(Δt←Δt/N)。
【0131】
次のステップ126では、図7のステップ112によるタイマ設定時間を再演算し(t←A+Δt)、ステップ116へ戻る。
【0132】
具体的には、検知回数が増えれば増えるほど、タイマ調整時間Δtが小さくなっていくことになり、言い換えれば、ステップ118で肯定判定される時間が短縮され、スリープモードへの遷移までの時間が短くなっていく。
【0133】
(立ち下げトリガ猶予制御)
前述したように、一旦スリープモードへ遷移すると、次の立ち上げに時間を要するため、タイマによる遷移時間が経過したときに使用者が入力操作しようとする状況を想定して、猶予期間を設けた。
【0134】
図9は、スリープモード遷移時監視制御ルーチンを示すフローチャートである。なお、このフローチャートは、図8のステップ118の肯定判定時に割り込む構成としてもよい。
【0135】
ステップ130では、タイマによるスリープモード遷移時期になったか否かが判断され、否定判定された場合はこのルーチンは終了する。
【0136】
ステップ130で肯定判定されると、ステップ132へ移行しUIタッチパネル216へメッセージ(例えば、「まもなく、スリープモードへ遷移します。キー操作をして下さい」等、使用者が装置側近にいると想定し、UIタッチパネル216の操作等を促すメッセージ)を表示し、ステップ134へ移行する。
【0137】
ステップ134では、キー入力操作があったか否かが判断され、否定判定された場合は、ステップ136へ移行して、予め定めた時間(所定時間)が経過したかが判断される。このステップ136で否定判定された場合は、ステップ134へ戻り、ステップ134、136を繰り返す。なお、ステップ134の所定時間は、猶予期間であるので、ユーザー側で適宜設定可能とすればよい。
【0138】
ステップ136で肯定判定されると、ステップ138へ移行して表示を終了し、次いでステップ140へ移行して、立ち下げトリガを出力して、スタンバイモードからスリープモードへの遷移を実行する。なお、図9のルーチンが、図8のステップ118以降に割り込まれる場合は、ステップ140は不要である。
【0139】
一方、ステップ134で肯定判定されると、ステップ142へ移行して表示を終了し、次いでステップ144へ移行してスリープモード遷移を延期し(タイマリセット)、このルーチンは終了する。
【符号の説明】
【0140】
W 壁面
10 画像処理装置
20 ネットワーク通信回線網
21 PC
22 電話回線網
24 監視制御部
26 節電解除ボタン
28 第1の人感センサ
30 第2の人感センサ
200 メインコントローラ
204 CPU
206 RAM
208 ROM
210 I/O(入出力部)
212 バス
214 UI制御回路
216 UIタッチパネル
218 ハードディスク
220 タイマ回路
222 通信回線I/F
236 ファクシミリ通信制御回路
238 画像読取部
240 画像形成部
242 商用電源
243 配線プレート
244 入力電源線
245 コンセント
246 メインスイッチ
248 第1の電源部
250 第2の電源部
248A 制御用電源生成部
252 電源供給制御回路(電力供給制御手段)
254 電源線
256 第1のサブ電源スイッチ(「SW−1」)
250H 24V電源部(LVPS2)
250L 5V電源部(LVPS1)
258 画像読取部電源供給部
260 画像形成部電源供給部
264 ファクシミリ通信制御回路電源供給部
266 UIタッチパネル電源供給部
268 第2のサブ電源スイッチ(「SW−2」)
270 第3のサブ電源スイッチ(「SW−3」)
274 第5のサブ電源スイッチ(「SW−5」)
276 第6のサブ電源スイッチ(「SW−6」)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
商用電力電源部から電力の供給を受けて動作する被動作部を対象として、消費電力が異なる複数の電力供給状態、及び前記商用電力電源部から電力の供給を受けない或いは予め定めた電力以下であり電力供給を行うか否かの判別制御に必要な電力の供給を受ける電力非供給状態の間で状態を遷移させる電力供給状態遷移制御手段と、
前記被動作部に対して使用する意志のある使用者を含み、予め設定された領域内で、移動体を検出すると共に、それぞれ検出条件が異なる複数の移動体検出手段と、
前記電力供給状態の被動作部の不使用状態を計時する計時手段と、
前記計時手段による計時が、予め定めた電力非供給状態遷移時間に達しても前記被動作部の不使用状態が継続されている場合に、前記電力供給状態遷移制御手段に対して前記電力非供給状態へ遷移させるように指示する遷移指示手段と、
前記遷移指示手段による指示時期に、前記複数の移動体検出手段により前記移動体を検出している場合に、前記指示時期を延期する指示時期延期手段と、
を有する電力供給制御装置。
【請求項2】
前記電力供給状態に遷移した契機には、被動作部に対する外部信号入力による第1の契機と、前記移動体検出手段による移動体検知による第2の契機とがあり、
前記第1の契機による遷移の場合よりも前記第2の契機による遷移の場合の方が、前記電力非供給状態に遷移するまでの計時時間である電力非供給状態遷移時間を長く設定する請求項1記載の電力供給制御装置。
【請求項3】
前記電力供給状態において、前記移動体検出手段により前記移動体が前記被動作体に対面していることを検出する回数が多ければ多いほど、次の電力非供給状態への遷移までの計時時間である前記電力非供給状態遷移時間を短縮する請求項1又は請求項2記載の電力供給制御装置。
【請求項4】
前記移動体検出手段として、少なくとも前記移動体の検出可能領域、検出可能距離の一方が異なる複数種類のセンサと、前記被動作部に関わる操作の有無を判別する操作判別機能と、の中から1つ、或いは2以上の組み合わせが選択される請求項1〜請求項3の何れか1項記載の電力供給制御装置。
【請求項5】
前記複数種類のセンサとして、前記移動体が被動作体に接近している状態を判別する焦電型センサ、前記使用者が被動作体に対面している状態を判別する反射型センサが含まれる請求項4記載の電力供給制御装置。
【請求項6】
前記電力供給状態遷移制御手段により前記電力供給状態に遷移されている場合、前記焦電センサから入力される信号系統を無効とし、当該信号に基づく制御のための電力を遮断する請求項5記載の電力供給制御装置。
【請求項7】
前記電力非供給状態が前記移動体検出手段に関わる制御系にのみ電力を供給するスリープモードを備え、かつ、前記電力供給状態が前記スリープモードから被動作部を立ち上げるための準備段階であるウォームアップモード、前記被動作部に対して定常時よりも下げて電力を供給しておくスタンバイモード、被動作部に対して前記定常時の電力を供給するランニングモードを備えており、
前記遷移指示手段による指示が、スタンバイモードからスリープモードへ移行するときの立ち下げ指示である請求項1〜請求項6の何れか1項記載の電力供給制御装置。
【請求項8】
前記スリープモードには、前記使用者か否かが特定できない移動体の検出時に、前記被動作部を動作させるために命令情報を入力する入力手段に電力を供給するアウェイクモードが設定されている請求項7記載の電力供給制御装置。
【請求項9】
前記予め定めた電力非供給状態遷移時間が経過した直後に前記遷移指示手段で遷移を指示するとき、或いは前記指示時期延期手段で前記指示時期を延期した後に前記遷移指示手段で遷移を指示するとき、少なくとも前記入力手段の入力操作を促す報知を行い、当該報知が予め定めた報知実行時間を経過しても前記入力手段の入力操作がない場合に、前記遷移指示手段へ遷移を指示する請求項1〜請求項8の何れか1項記載の電力供給制御装置。
【請求項10】
前記請求項1〜請求項9の何れか1項記載の電力供給制御装置を備え、前記処理装置が、原稿画像から画像を読み取る画像読取部、画像情報に基づいて記録用紙に画像を形成する画像形成部、予め相互に定められた通信手順の下で画像を送信先へ送信するファクシミリ通信制御部の少なくとも1つを含んでおり、前記画像読取部、前記画像形成部、前記ファクシミリ通信制御部が、使用者から指示される、画像読取機能、画像形成機能、画像複写機能、ファクシミリ受信機能、ファクシミリ送信機能の各画像処理機能に対して、相互に連携しあって当該画像処理機能を実行する画像処理装置。
【請求項11】
コンピュータを、前記請求項1〜請求項9の何れか1項記載の電力供給制御装置として実行させる電力供給制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−186720(P2012−186720A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−49380(P2011−49380)
【出願日】平成23年3月7日(2011.3.7)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】