説明

電力制御システム、電力制御方法、およびプログラム

【課題】電気設備で消費される全電力を上限値内に抑制した上で、個別領域に配置された電気設備で発生し得る不都合の低減を可能とする。
【解決手段】電力制御システム10によれば、消費可能電力(電気設備の全てで消費できる電力の上限値)を、稼動に必要な電力(要求電力)を消費する個別領域の電気設備と、共用領域の電気設備とで分配した場合に、要求電力の確保ができない個別領域の電気設備があるときには、共用領域に配置された電気設備に供給される電力を削減し、その削減分を、要求電力の確保ができない個別領域の電気設備へ供給する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力制御システム、電力制御方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
建物内の電気設備(共通設備)で消費される電力を削減する技術として、特許文献1に記載の共通設備管理方法がある。
【0003】
この特許文献1に記載の共通設備管理方法は、テナントとして利用される個別領域(使用者が占有権を有する個別領域)が施錠状態にあるか否かを示す情報を、電気設備の制御を行う制御計算機で収集する。そして、収集した情報が施錠状態を示している場合、制御計算機は、施錠状態を示した個別領域に配置された電気設備を停止させる。これにより、施錠状態にある個別領域の電気設備で消費される電力を削減して、建物内の電気設備で消費される電力を削減する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭60−147804号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の共通設備管理方法では、施錠状態にある個別領域の電気設備で消費される電力は削減するものの、施錠状態にない個別領域の電気設備については、何らの制御も行わない。よって、例えば、電気事業法第27条に基づく電力使用制限令が発令される等、建物内で消費される全電力に制限が設けられた場合に、上述の共通設備管理方法を用いて制限内に電力を抑えるには、施錠状態にない個別領域の電気設備で消費される電力を、一律に削減するしかない。
【0006】
しかし、個別領域を利用するテナントには、例えば、医療設備が配置される病院や冷凍庫が配置されるスーパー等があるため、このような個別領域に配置された電気設備で消費される電力を削減すると、医療行為が行えない、或いは、食品の冷凍ができないといった、不都合を発生させるという問題点があった。
【0007】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、電気設備で消費される全電力を上限値内に抑制した上で、個別領域に配置された電気設備で発生し得る不都合の低減を可能とする電力制御システム、電力制御方法、およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、この発明に係る電力制御システムは、使用者が独占的に使用できる個別領域に配置された電気設備と、個別領域とは異なる領域であり、使用者以外の者も共同で利用できる共用領域に配置された電気設備と、で消費される電力を制御するものである。電力設定部は、電気設備で消費される全電力の上限値を設定する。要求電力記憶部は、個別領域に配置された電気設備の稼動に必要な電力を、個別領域の電気設備毎に要求電力として記憶する。不足特定部は、電力設定部により設定された全電力の上限値を、要求電力記憶部に記憶された各要求電力に対応する電気設備と共用領域に配置された電気設備とで分配した場合に、要求電力の確保ができない個別領域の電気設備を特定する。削減供給部は、不足特定部により要求電力の確保ができない個別領域の電気設備が特定された場合に、共用領域に配置された電気設備に供給される電力を削減し、その削減分を、要求電力の確保ができない個別領域の電気設備へ供給する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、電気設備で消費される全電力の上限値を、各要求電力に対応する電気設備と共用領域に配置された電気設備で分配した場合に、要求電力の確保ができない個別領域の電気設備があるときには、共用領域に配置された電気設備に供給される電力を削減し、その削減分を、要求電力の確保ができない個別領域の電気設備へ供給する。これにより、電気設備で消費される全電力を上限値内に抑制するために、電気設備で消費される電力を一律に削減するシステムと比較して、要求電力が確保できない個別領域の電気設備が発生することを低減することができる。よって、電気設備で消費される全電力を上限値内に抑制した上で、個別領域に配置された電気設備で発生し得る不都合の低減を可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施形態に係る電力制御システムのブロック図である。
【図2】建物のレイアウトを示す図である。
【図3】メイン端末の入力部の機能を示す図である。
【図4】メイン端末の表示部に表示される設定画面を示す図である。
【図5】サブ端末の入力部の機能を示す図である。
【図6】サブ端末の表示部に表示される設定画面を示す図である。
【図7】メイン端末の入力部の操作により実行される設定処理のフローチャートである。
【図8】サブ端末の入力部の操作により実行される設定処理のフローチャートである。
【図9】第1の実施形態に係る電力融通処理を示すフローチャートである。
【図10】第2の実施形態に係る電力融通処理を示すフローチャートである。
【図11】第2の実施形態に係る振り分け処理を示すフローチャートである。
【図12】第3の実施形態に係る電力融通処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態に係る電力制御システム10を、図面を参照して説明する。
【0012】
電力制御システム10は、図1に示すように、電力制御装置20と、電気設備55〜55(図2参照)を運転する運転ユニット50〜50と、計測ユニット60〜60と、メイン端末70と、サブ端末80〜80と、を備えている。
【0013】
電力制御システム10は、例えば、図2に示される建物100内の電気設備で消費される(使用可能な)全電力の上限値を、稼動に必要な電力(要求電力)を消費する個別領域R1〜R4の電気設備55〜55と、共用領域C1〜C3の電気設備55〜55とで分配した場合に、要求電力の確保ができない個別領域の電気設備があるときには、共用領域に配置された電気設備で消費される電力を削減し、その削減分を、要求電力の確保ができない個別領域の電気設備へ供給するシステムである。この電力制御システム10による上述の一連の制御、具体的には、共用領域C1〜C3の電気設備55〜55で消費(使用)される電力を、要求電力が確保できない個別領域R1〜R4の電気設備55〜55へ融通する制御を、以後、「電力融通」と称する。
【0014】
なお、個別領域とは、使用者が独占的に使用できる領域を意味しており、共通領域とは、個別領域とは異なる領域であり、使用者以外の者も共同で利用できる領域を意味している。
【0015】
図2に示されるように、建物100は、例えば3階建ての商用ビルであり、1階および2階には、例えば、病院やスーパーとして利用される個別領域R4,R3と、共用領域C3,C2と、がレイアウトされている。また、3階には、例えば、オフィスとして利用される2つの個別領域R1,R2と、共有領域C1と、がレイアウトされている。
【0016】
建物100の個別領域R1〜R4には、電気設備55〜55がそれぞれ設置され、共有領域C1〜C3には、電気設備55〜55がそれぞれ設置されている。電気設備55〜55のそれぞれは、例えば空調設備或いは照明設備などに代表される種々の設備を含む。本実施形態では、説明の便宜上、個別領域R1〜R4および共有領域C1〜C3に設置された種々の設備を領域毎に一纏めにして、電気設備55〜55として表示する。
【0017】
図1に戻る。電力制御システム10の電力制御装置20は、制御部21と、主記憶部31と、補助記憶部41と、インタフェース部49と、バスラインBLと、を備え、電力システム10の制御を行う。
【0018】
制御部21は、CPU(Central Processing Unit)22と、図示しないROM(Read only Memory)とを備え、バスラインBLを介して受け取った各種情報を利用して各部31,41,49の制御を行う。
【0019】
CPU22は、ROMに格納されたプログラム(例えば、後述する図7〜12のフローチャートで示す処理)を実行する。
【0020】
また、制御部21は、CPU22がROMに格納したプログラムを実行することにより、電力設定部23と、供給可能電力算出部24と、不足特定部25と、削減供給部26と、使用電力決定部27と、現消費電力保存部28と、の機能を実現する。
【0021】
電力設定部23は、建物100内の電気設備55〜55で消費される(使用可能な)全電力の上限値を算出し、電力記憶部44に設定(記憶)する。この全電力の上限値は、通常、契約電力、或いは、電気事業法第27条に基づく電力使用制限令が発令された場合に経済産業省から通知される使用最大電力となる。しかし、電力会社から供給される電力の不足が予想され、電力削減協力の緊急要請が政府から行われた等の緊急時には、全電力の上限値は、契約電力(使用最大電力)から一定電力が差し引かれた値となる。これは、緊急時には、電力設定部23は、メイン端末70を用いて入力された緊急削減率分の電力を、契約電力(使用最大電力)から差し引いて、これを、全電力の上限値として設定するためである。なお、電力設定部23が設定した消費される(使用可能な)全電力の上限値を、以後、消費可能電力と称する。
【0022】
供給可能電力算出部24は、個別領域R1〜R4、共用領域C1〜C3の各々の電気設備55〜55のそれぞれに対して、供給可能な最大電力(供給可能電力)を算出する。なお、電力融通が実行されていない場合には、供給可能電力算出部24は、個別領域R1〜R4の電気設備55〜55については、個別領域毎の契約電力を供給可能電力として算出し、共用領域C1〜C3の電気設備55〜55については、共用領域毎に予め決定された電力を供給可能電力として算出する。
【0023】
一方、電力融通が実行された場合には、供給可能電力算出部24は、上述とは異なる算出法にて供給可能電力を算出する。具体的には、供給可能電力算出部24は、電力融通開始時(初期値算出前)の場合と、電力融通実行中(初期値算出後)の場合とで、上述とは異なる算出法にて供給可能電力を算出する。
【0024】
電力融通開始時(初期値算出前)の場合、供給可能電力算出部24は、供給可能電力(初期値)を次のようにして算出する。即ち、供給可能電力算出部24は、まず、電力設定部23で設定された消費可能電力(全電力の上限値)から、共用領域C1〜C3の電気設備55〜55で予め決定されている電力を差し引く。次に、供給可能電力算出部24は、差し引いた後の電力を、個別領域R1〜R4の電気設備55〜55で均等に分配していく。その後、供給可能電力算出部24は、要求電力となった個別領域については分配を終了し、要求電力を確保できていない個別領域については、上限値となるまで、分配を続ける。このようにして、供給可能電力算出部24は、個別領域R1〜R4の電気設備55〜55、共用領域C1〜C3の電気設備55〜55のそれぞれについて、電力融通開始時の供給可能電力(初期値)を算出する。この初期値の算出の時点で、要求電力を確保できない個別領域が、電力を融通される対象となる。
【0025】
また、電力融通実行中(初期値算出後)には、供給可能電力算出部24は、供給可能電力を次のようにして算出する。即ち、初期値算出後の電力融通実行により、共用領域C1〜C3の電気設備55〜55の供給可能電力が削減され、その削減分が、要求電力を確保できない個別領域の電気設備の供給可能電力に加えられると、供給可能電力算出部24は、個別領域R1〜R4、共用領域C1〜C3の各々の電気設備55〜55について、供給可能電力を算出する。このようにして、供給可能電力算出部24は、電力融通実行が行われる度に、個別領域R1〜R4の電気設備55〜55、共用領域C1〜C3の電気設備55〜55のそれぞれについて、供給可能電力を繰り返し算出する。
【0026】
不足特定部25は、電力融通を行う必要のある個別領域を特定する。具体的には、不足特定部25は、供給可能電力算出部24により算出された供給可能電力と個別領域の電気設備の稼動に必要な電力(要求電力)とを、個別領域の電気設備毎に比較し、供給可能電力が要求電力未満である個別領域の電気設備を特定する。
【0027】
削減供給部26は、電力融通実行中(初期値算出後)、共用領域C1〜C3の電気設備55〜55の供給可能電力が削減可能であるか(下限値を超えているか)を判定する。そして、削減供給部26は、削減可能であると判定すると、電気設備55〜55の供給可能電力を削減し、その削減分を、不足特定部25により特定された個別領域の電気設備の供給可能電力に加える。この削減供給部26の制御によって、共用領域の電気設備の供給可能電力は減少する一方、電力融通を受けた個別領域の電気設備の供給可能電力は増加する。
【0028】
使用電力決定部27は、電力融通が完了した場合に、供給可能電力算出部24で算出された供給可能電力を、個別領域R1〜R4、共用領域C1〜C3のそれぞれの電気設備55〜55が使用(消費)できる電力に決定する。個別領域R1〜R4、共用領域C1〜C3の電気設備55〜55では、使用電力決定部27が決定した電力を上限値として、電力を使用(消費)することができる。
【0029】
削減供給部26の制御によって、共用領域の電気設備の供給可能電力が減少され、使用電力決定部27によって、減少された供給可能電力が使用(消費)できる電力に決定されると、共用領域の電気設備は、次のようにして、消費する電力を上限値に留める。即ち、共用領域の電気設備が例えば、飲料やアイスクリーム等の自動販売機であれば、冷蔵・冷凍の温度を上昇させたり、照明を暗くする等して、消費する電力を上限値に留める。また、共用領域の電気設備が照明設備であれば、点灯させる電灯を減らす(点灯させる電灯を間引く)等して、消費する電力を上限に留める。また、共用設備の電気設備がエアコンであれば、冷房時の設定温度を高めたり(暖房時であれば設定温度を低めたり)、運転を停止する等して、消費する電力を上限に留める。
【0030】
現消費電力保存部28は、計測ユニット60〜60から出力される電力値、具体的には、個別領域R1〜R4の電気設備55〜55および共用領域C1〜C3の電気設備55〜55で使用(消費)されている現時点の電力を、個別領域R1〜R4、共用領域C1〜C3毎に、過去消費電力記憶部46に記憶させる。
【0031】
主記憶部31は、RAM(Random Access Memory)等を有し、制御部21の作業領域として用いられる。主記憶部31は、第1不足フラグ32と、第2不足フラグ33と、第3不足フラグ34と、緊急フラグ35と、を備えている。
【0032】
第1不足フラグ32は、建物1階に存在する個別領域の電気設備、即ち、個別領域R4の電気設備55が、要求電力が確保できない電気設備であると、不足特定部25により判定された場合にオンされる。一方、第1不足フラグ32は、電気設備55は要求電力が確保されていると不足特定部25により判定された場合、オフとなる。
【0033】
第2不足フラグ33は、建物2階に存在する個別領域の電気設備、即ち、個別領域R3の電気設備55が、要求電力が確保できない電気設備であると、不足特定部25により判定された場合にオンされる。一方、第2不足フラグ33は、電気設備55は要電力が確保されていると不足特定部25により判定された場合、オフとなる。
【0034】
第3不足フラグ34は、建物3階に存在する個別領域の電気設備の何れかが、即ち、個別領域R1またはR2の電気設備55,55の何れかが、要求電力が確保できない個別領域の電気設備であると、不足特定部25により判定された場合にオンされる。一方、第3不足フラグ34は、電気設備55および電気設備55は要求電力が確保されていると不足特定部25により判定された場合、オフとなる。
【0035】
緊急フラグ35は、電力制御システム10で実行される電力融通の形態が、通常である場合にオフされ、電力削減協力の緊急要請が政府から行われた場合等の緊急である場合にオンされる。電力融通の形態が通常であるとは、電力設定部23により設定された消費可能電力が、契約電力または使用最大電力である場合を示し、電力融通の形態が緊急であるとは、電力設定部23により設定された消費可能電力が、契約電力(使用最大電力)から緊急削減率分の電力を引いた値である場合を示している。なお、電力融通の形態が通常であるか、緊急であるかは、電力融通の実行時に、使用者により、メイン端末70の入力部70bを用いて設定される。
【0036】
補助記憶装置41は、ハードディスク装置やフラッシュメモリ等の不揮発性メモリを有し、制御部21で実行される処理(例えば、後述する図7〜12のフローチャートで示す処理)に使用する各種データを記憶する。補助記憶装置41は、契約電力記憶部42と、緊急削減率記憶部43と、電力記憶部44と、共用最少電力記憶部45と、過去消費電力記憶部46と、を備えている。
【0037】
契約電力記憶部42は、電力会社との契約電力や経済産業省から通知された使用最大電力を記憶する。なお、契約電力記憶部42が記憶する契約電力や使用最大電力は、使用者が、メイン端末70の入力部70bを用いて入力する。
【0038】
緊急削減率記憶部43は、電力削減協力の緊急要請が政府から行われた場合等の緊急時に(緊急フラグ35がオンの時に)、契約電力記憶部42に記憶された契約電力から削減を行う百分率(緊急削減率)を記憶する。緊急削減率記憶部43に記憶される緊急削減率は、使用者が、メイン端末70の入力部70bを用いて入力する。
【0039】
電力記憶部44は、電力設定部23により設定された、建物100内の電気設備55〜55で消費される電力(全電力の上限値)を記憶する。
【0040】
共用最少電力記憶部45は、共用領域C1〜C3の電気設備55〜55のそれぞれにおける最少の供給可能電力を記憶する。共用最少電力記憶部45に最少の供給可能電力を記憶させることで、電力制御システム10は、電力融通が行われた場合、共用領域C1〜C3の電気設備55〜55に対する供給可能電力がゼロとなり、電気設備55〜55で全く電気が使えなくなることを防止することができる。なお、共用最少電力記憶部45が記憶する最少の供給電力は、使用者が、メイン端末70の入力部70bを用いて入力する。
【0041】
過去消費電力記憶部46は、計測ユニット60〜60から出力される電力値、具体的には、個別領域R1〜R4の電気設備55〜55および共用領域C1〜C3の電気設備55〜55で使用(消費)されている現時点の電力を、現消費電力保存部28の命令により、各領域R1〜R4,C1〜C3毎に記憶する。詳細には、過去消費電力記憶部46は、計測ユニット60〜60から1時間毎に計測された消費電力を、現消費電力保存部28の命令により、電気設備55〜55毎に、少なくとも過去1年分記憶する。
【0042】
通常要求電力記憶部47は、電力制御システム10で実行される電力融通の形態が通常である場合における(緊急フラグ35がオフの場合における)、個別領域R1〜R4の電気設備55〜55の稼動に必要な電力である要求電力を、電気設備毎に記憶する。通常要求電力記憶部47に記憶される電気設備55〜55の各要求電力は、サブ端末80〜80を用いて使用者による設定入力が行われた場合、CPU22により算出される。
【0043】
緊急要求電力記憶部48は、電力制御システム10で実行される電力融通の形態が緊急である場合における(緊急フラグ35がオンの場合おける)、個別領域R1〜R4の電気設備55〜55の各要求電力を記憶する。緊急要求電力記憶部48に記憶される電気設備55〜55の各要求電力は、サブ端末80〜80を用いて使用者による設定入力が行われた場合、CPU22により算出される。
【0044】
インタフェース部49は、USBインタフェースや、LAN(Local Area Network)インタフェース等を含んで構成されている。運転ユニット50〜50と、計測ユニット60〜60と、メイン端末70と、サブ端末80〜80と、は、このインタフェース部49を介して、バスラインBLに接続される。
【0045】
バスラインBLは、制御部21と、主記憶装置31と、補助記憶装置41と、インタフェース部49と、を相互に接続する。
【0046】
運転ユニット50〜50のそれぞれは、電気設備55〜55のそれぞれに対応して設置されている。運転ユニット50〜50のそれぞれは、CPU22の指示の下、電気設備55〜55を独立して運転する。
【0047】
なお、運転ユニット50〜50のそれぞれは、電力融通の実行時には、使用電力決定部27が決定した電力を上限値として、CPU22の指示の下、電気設備55〜55を独立して運転する。一方、運転ユニット50〜50のそれぞれは、電力融通が実行されていない時には、契約電力、或いは、予め定められた電力を上限値として、電気設備55〜55を独立して運転する。
【0048】
計測ユニット60〜60のそれぞれは、電気設備55〜55のそれぞれに対応して設けられている。計測ユニット60〜60のそれぞれは、電気設備55〜55で消費される電力(瞬時値)や所定期間中の電力量を検出し出力する。なお、計測ユニット60〜60それぞれは、各ワークエリアR1〜R4、及び各共用エリアC1〜C3にそれぞれ設けられたコンセントを介して消費される電力を計測することとしてもよい。
【0049】
メイン端末70は、建物100の管理人室(不図示)に設置されている。メイン端末70は、表示部70aと、入力部70bと、を備えている。
【0050】
表示部70aは、CRT(Cathode Ray Tube)またはLCD(Liquid Crystal Display)などを含んで構成されている。
【0051】
入力部70bは、キーボードやマウス等のポインティングデバイスなどの入力機器を含んで構成されている。電力制御システム10への指示は、この入力部70bを介して入力され、インタフェース部49およびバスラインBLを経由して制御部21に通知される。
【0052】
入力部70bは、図3に示すように、キーボードやマウス等を用いた使用者による操作によって、設定実行部71と、電力融通実行部72と、の機能を実現する。
【0053】
設定実行部71は、図4に示す設定画面IM1を表示部70aに表示させる要求をCPU22へ行う共に、設定画面IM1上で、契約電力(使用最大電力)、共用最少電力、電力融通形態および緊急削減率の使用者からの受け付けを行う。
【0054】
設定画面IM1の契約電力(使用最大電力)の入力部分(四角囲み部分)は、契約電力記憶部42に記憶させる契約電力(使用最大電力)の値の入力を受け付ける。
【0055】
設定画面IM1の共用最少電力の入力部分(四角囲み部分)は、共用最少電力記憶部45に記憶させる最少の電力(電力融通の際、共用領域C1〜C3の電気設備55〜55のそれぞれで使用(消費)できる最少の電力)の入力を受け付ける。
【0056】
設定画面IM1の電力融通形態の入力部分(チェックボックス部分)は、電力融通の形態が、通常であるのか、電力削減協力の緊急要請が政府から行われた場合等の緊急であるのかの入力を受け付ける。電力融通の形態が緊急であると受け付けられると、CPU22は、設定画面IM1の緊急削減率の入力部分を入力可能に設定する。一方、電力融通の形態が通常であると受け付けられると、CPU22は、設定画面IM1の緊急削減率の入力部分を入力不可に設定する。
【0057】
設定画面IM1の緊急削減率の入力部分(プルダウン部分)は、電力融通の形態が緊急であると受け付けられた場合に、契約電力記憶部42に記憶された契約電力(使用最大電力)からの削減率となる緊急削減率の入力を受け付ける。緊急削減率の入力が受け付けられると、CPU22は、受け付けられた削減率を、緊急削減率記憶部43に記憶する。
【0058】
図3に戻る。電力融通実行部72は、電力制御システム10に電力融通を実行させる指示の受付画面を表示部70aに表示して、その指示を、画面を介して使用者から受け付ける。電力融通実行部72は、電力融通の実行指示を使用者から受け付けると、CPU22へ、受け付けがあった旨を通知する。すると、CPU22は、電力制御システム10による電力融通を実行開始する。
【0059】
図1に戻る。サブ端末80〜80は、建物100の個別領域R1〜R4にそれぞれ設置されている。各サブ端末80〜80は、表示部80aと、入力部80bとを有している。
【0060】
表示部80aは、CRT(Cathode Ray Tube)またはLCD(Liquid Crystal Display)などを含んで構成されている。
【0061】
入力部80bは、キーボードやマウス等のポインティングデバイスなどの入力機器を含んで構成されている。電力制御システム10への指示は、この入力部80bを介して入力され、インタフェース部49およびバスラインBLを経由して制御部21に通知される。
【0062】
入力部80bは、図5に示すように、キーボードやマウス等の操作により、通常設定部81と、緊急設定部82と、の機能を実現する。なお、キーボードやマウス等の操作により、通常における電力融通時の設定が使用者により指示された場合には、CPU22は、通常設定部81を動作させる。一方、緊急における電力融通時の設定が使用者により指示された場合には、CPU22は、緊急設定部82を動作させる。
【0063】
通常設定部81は、図6(a)に示す通常設定画面IM2を表示部80aに表示させる要求をCPU22へ行う共に、通常設定画面IM2上で、使用最大電力の表示を行い、更には、削減時間帯および削減率の使用者からの受け付けを行う。なお、図6(a)(b)では、個別領域R4に設置されたサブ端末80の表示部80aに表示された設定画面を図示している。
【0064】
通常設定画面IM2の使用最大電力の表示部分(四角囲み部分)は、昨年の同時期・同時間帯の使用最大電力が表示される。
【0065】
通常設定画面IM2の削減時間帯の入力部分(プルダウン部分)は、通常設定画面IM2の通常削減率の入力部分に入力された通常削減率を維持する時間帯の入力を受け付ける。
【0066】
なお、この削減時間帯が入力されると、CPU22は、過去消費電力記憶部46に記憶された個別領域R4の、昨年の同時期・同時間帯の使用最大電力を読み出し、それを、通常設定画面IM2の使用最大電力の表示部分に表示する。
【0067】
ここで、個別領域への入居から1年未満であり、昨年の同時期・同時間帯の使用最大電力が過去消費電力記憶部46に記憶されていない場合には、CPU22は、入居から1年が経過している同程度のフロア面積の使用最大電力を過去消費電力記憶部46から読み出し、これを、通常設定画面IM2の使用最大電力の表示部分に表示する。
【0068】
通常設定画面IM2の通常削減率の入力部分は、電力融通の形態が通常である場合の電力削減率(通常削減率)の入力を受け付ける。この通常削減率は、通常設定画面IM2の使用最大電力部分に表示された電力を基準とした、即ち、過去消費電力記憶部46に記憶された個別領域R4の、昨年の同時期・同時間帯の使用最大電力を基準とした削減率となる。
【0069】
通常設定画面IM2で、削減時間帯および通常削減率の入力受け付けが完了すると、CPU22は、昨年の同時期・同時間帯の使用最大電力、通常削減率を用いて、電力の算出を行う。そして、CPU22は、算出した電力を、個別領域R4の電気設備55の要求電力として、削減時間帯と対応付けて、通常要求電力記憶部47に記憶する。
【0070】
具体的には、CPU22は、100から通常削減率を減算し、その値を、昨年の同時期・同時間帯の使用最大電力と積算する。次に、CPU22は、積算した値と削減時間帯とを対応付け、個別領域R4の電気設備55における要求電力とする。
【0071】
たとえば、図6(a)に示すように、個別領域R4の、昨年の同時期・同時間帯の使用最大電力が2400Whであり、削減時間帯が12:00〜14:00と入力され、通常削減率が15%と入力されると、まず、CPU22は、2400×(100−15)を行い、2040Whを算出する。次に、CPU22は、2040Whと削減時間帯12:00〜14:00とを対応付ける。そして、CPU22は、個別領域R4の電気設備55の要求電力は、12:00〜14:00の間は、2040Whであると、通常要求電力記憶部47に記憶する。
【0072】
なお、通常設定画面IM2の削減時間帯部分には、複数の時間帯の入力が可能であるので、個別領域R4のサブ端末80を用いて、削減時間帯を、上述の時間帯に加えて、例えば、14:00〜16:00、および16:00〜17:00と入力することもできる。この場合には、前述の2つの時間帯毎に、通常削減率を入力することができる。通常削減率が更に入力されると、CPU22は、14:00〜16:00の間の要求電力および16:00〜17:00の間の要求電力を、12:00〜14:00の間の要求電力に加えて、通常要求電力記憶部47に記憶する。この構成により、CPU22は、時間帯毎に異なった要求電力を、個別領域の電気設備毎に、通常要求電力記憶部47に記憶させることができる。
【0073】
緊急設定部82は、図6(b)に示す緊急設定画面IM3を表示部80aに表示させる要求をCPU22へ行う共に、緊急設定画面IM3上で、現消費電力の表示を行い、更には、削減時間帯および緊急削減率の使用者からの受け付けを行う。
【0074】
緊急設定画面IM3の現消費電力の表示部分(四角囲み部分)は、現在消費している(使用している)電力が表示される。
【0075】
緊急設定画面IM3の削減時間帯の入力部分(プルダウン部分)は、通常設定画面IM2の場合と同様、緊急削減率の入力部分に入力された緊急削減率を維持する時間帯の入力を受け付ける。
【0076】
なお、この削減時間帯が入力されると、CPU22は、通常設定画面IM2の場合と異なり、過去消費電力記憶部46に記憶された個別領域R4の、現時点の消費電力を読み出し、それを、緊急設定画面IM3の現消費電力の表示部分に表示する。なお、現時点の消費電力を表示するのは、電力会社からの電力供給不足が予想され、電力削減協力の緊急要請が政府から行われた場合等の緊急時には、現時点での消費電力を基準として電力削減を行わなければならないためである。
【0077】
緊急設定画面IM3の緊急削減率の入力部分(ブルダウン部分)は、電力融通の形態が緊急である場合の電力削減率(緊急削減率)の入力を受け付ける。この緊急削減率は、緊急設定画面IM3の現消費電力の表示部分に表示された電力を基準とした、即ち、前述の通り、現時点での消費電力を基準とした削減率となる。
【0078】
緊急設定画面IM3で、削減時間帯および削減率部分への入力受け付けが完了すると、CPU22は、現時点での消費電力および緊急削減率を用いて、要求電力の算出を行う。そして、CPU22は、算出した電力を、個別領域R4の電気設備55の要求電力として、削減時間帯と対応付けて、緊急要求電力記憶部48に記憶する。
【0079】
なお、CPU22は、緊急要求電力記憶部48に、通常要求電力記憶部47と同様、時間帯毎に異なった要求電力を、個別領域の電気設備毎に記憶させる。よって、緊急要求電力記憶部48に記憶される要求電力の詳細については、説明を省略する。
【0080】
次に、メイン端末70の入力部70bで使用者による操作が行われ、設定実行部71の動作がメイン端末70の使用者により指示された場合に制御部21(CPU22)で実行される設定処理について、図7のフローチャートを参照して説明する。
【0081】
まず、制御部21(CPU22)は、設定画面IM1(図4参照)を表示部70aに表示し(ステップS1)、契約電力(使用最大電力)の設定を受け付ける(ステップS2)。制御部21(CPU22)は、契約電力(使用最大電力)の受け付けが完了していないと判定すると(ステップS3:No)、ステップS2へ戻る。一方、制御部21(CPU22)は、契約電力(使用最大電力)の受け付けが完了したと判定すると(ステップS3:Yes)、ステップS4へ移行する。
【0082】
ステップS4では、制御部21(CPU22)は、共用最少電力の設定を受け付ける(ステップS4)。CPU22は、共用最少電力の受け付けが完了していないと判定すると(ステップS5:No)、ステップS4へ戻る。一方、制御部21(CPU22)は、共用最少電力の受け付けが完了したと判定すると(ステップS5:Yes)、ステップS6へ移行する。
【0083】
ステップS6では、制御部21(CPU22)は、電力制御システム10で実行される電力融通の形態の設定を受け付ける(ステップS6)。制御部21(CPU22)は、電力融通の形態の受け付けが完了していないと判定すると(ステップS7:No)、ステップS6へ戻る。一方、制御部21(CPU22)は、電力融通の形態の受け付けが完了したと判定すると(ステップS7:Yes)、ステップS8へ移行する。
【0084】
ステップS8では、制御部21(CPU22)は、ステップS6で受け付けられた電力融通の形態が通常であるか否かを判定する(ステップS8)。制御部21(CPU22)は、受け付けられた電力融通の形態が通常ではない、即ち、緊急であると判定すると(ステップS8:No)、緊急削減率の設定を受け付ける(ステップS9)。
【0085】
その後、制御部21(CPU22)は、緊急削減率の受け付けが完了していないと判定すると(ステップS10:No)、ステップS9へ戻る。一方、制御部21(CPU22)は、緊急削減率の受け付けが完了したと判定すると(ステップS10:Yes)、この設定処理を終了する。
【0086】
なお、ステップS8で、制御部21(CPU22)は、受け付けられた電力融通の形態が通常であると判定した場合にも(ステップS8:Yes)、この設定処理を終了する。
【0087】
次に、サブ端末80〜80の入力部80bで操作が行われ、電力融通における設定がサブ端末80〜80の使用者により指示された場合に制御部21(CPU22)で実行される設定処理について、図8のフローチャートを参照して説明する。
【0088】
まず、制御部21(CPU22)は、入力部80bを用いた使用者の操作が、通常における電力融通の設定であったか、緊急における電力融通の設定であったかを判定する(ステップS21)。制御部21(CPU22)は、使用者の操作が通常における電力融通の設定であったと判定すると(ステップS21:Yes)、設定画面IM2(図6(a)参照)を表示部80aに表示し(ステップS22)、ステップS24へ移行する。
【0089】
一方、制御部21(CPU22)は、使用者の操作が緊急における電力融通の設定であったと判定すると(ステップS21:No)、設定画面IM3(図6(b)参照)を表示部80aに表示し(ステップS23)、ステップS24へ移行する。
【0090】
ステップS24では、制御部21(CPU22)は、削減時間帯の設定を受け付ける(ステップS24)。そして、CPU22は、削減時間帯の受け付けが完了していないと判定すると(ステップS25:No)、ステップS24へ戻る。一方、制御部21(CPU22)は、削減時間帯の受け付けが完了したと判定すると(ステップS25:Yes)、ステップS26へ移行する。
【0091】
その後、CPU22は、削減率の設定を受け付ける(ステップS26)。制御部21(CPU22)は、削減率の受け付けが完了していないと判定すると(ステップS27:No)、ステップS26へ戻る。一方、制御部21(CPU22)は、削減率の受け付けが完了したと判定すると(ステップS27:Yes)、この設定処理を終了する。
【0092】
次に、メイン端末70の入力部70bで使用者による操作が行われ、電力融通実行部72の動作がメイン端末70の使用者により指示された場合に制御部21で実行される電力融通処理について、図9のフローチャートを参照して説明する。
【0093】
制御部21(CPU22)は、電力融通の実行形態の受け付け画面を表示部70aに表示し、電力融通の実行形態の受付を行う(ステップS41)。制御部21(CPU22)は、電力融通の形態受け付けが完了していないと判定した場合には(ステップS42:No)、ステップS41へ戻る。
【0094】
一方、制御部21(CPU22)は、電力融通の形態受け付けが完了したと判定した場合には(ステップS42:Yes)、ステップS41で受け付けた電力融通の実行形態が通常であれば、緊急フラグ35をオフに設定し、ステップS41で受け付けた電力融通の実行形態が緊急であれば、緊急フラグ35をオンに設定して(ステップS42:Yes)、ステップS43へ移行する。
【0095】
ステップS43では、制御部21(CPU22)は、初期設定を行う(ステップS43)。具体的には、制御部21(CPU22)は、以後のステップで使用する変数Nに1を代入し、第1不足フラグ32〜第3不足フラグ34を全てオフにする。更に、制御部21(電力設定部23)は、緊急フラグ35の状態に応じて、消費可能電力を設定する(ステップS43)
【0096】
その後、制御部21(供給可能電力算出部24)は、個別領域R1〜R4および共用領域C1〜C3の電気設備55〜55の供給可能電力(初期値)を算出する(ステップS44)。
【0097】
具体的には、制御部21(供給可能電力算出部24)は、まず、電力設定部23で設定された消費可能電力から、共用領域C1〜C3の電気設備55〜55で予め決定されている電力を差し引く。次に、供給可能電力算出部24は、差し引いた後の電力を、個別領域R1〜R4の電気設備55〜55で均等に分配していく。その後、供給可能電力算出部24は、要求電力となった個別領域の電気設備については分配を終了し、要求電力を確保できていない個別領域の電気設備については、消費可能電力(全電力の上限値)となるまで、分配を続ける。このようにして、供給可能電力算出部24は、個別領域R1〜R4の電気設備55〜55、共用領域C1〜C3の電気設備55〜55のそれぞれについて、電力融通開始時の供給可能電力(初期値)を算出する(ステップS44)。
【0098】
その後、制御部21(不足特定部25)は、第N(Nは、1〜3のいずれか)階に、要求電力を確保できない個別領域の電気設備があるか否かを判定する(ステップS45)。
【0099】
具体的には、制御部21(不足特定部25)は、供給可能電力算出部24により算出された供給可能電力と個別領域の電気設備の稼動に必要な要求電力とを、個別領域毎に比較し、要求電力を確保できない個別領域(供給可能電力が要求電力未満である個別領域)の電気設備があるか否かを判定する(ステップS45)。なお、ステップS45では、制御部21(不足特定部25)は、緊急フラグ35がオフであれば、通常要求電力記憶部47に記憶された要求電力を使用し、緊急フラグ35がオンであれば、緊急要求電力記憶部48に記憶された要求電力を使用する。
【0100】
制御部21(不足特定部25)が要求電力を確保できない個別領域の電気設備があると判定すると(ステップS45:Yes)、制御部21(削減供給部26)は、第N(Nは、1〜3のいずれか)階にある共用領域の電気設備の供給可能電力は削減可能であるか、即ち、第N階にある共用領域の電気設備の供給可能電力は、共用最少電力記憶部45に記憶された最少の電力を超えているか、を判定する(ステップS46)。
【0101】
制御部21(削減供給部26)は、第N階にある共用領域の電気設備の供給可能電力は、共用最少電力記憶部45に記憶された最少の電力を超えていると判定すると(ステップS46:Yes)、第N階にある共用領域の電気設備の供給可能電力を所定量(例えば、200W)削減し、その削減分を、要求電力を確保できない第N階にある個別領域の電気設備の供給可能電力に加える(ステップS47)。
【0102】
このステップS47により、制御部21(削減供給部26)は、第N(Nは、1〜3のいずれか)階にある共用領域の電気設備の供給可能電力を減少させて、要求電力の確保ができない第N階にある個別領域の供給可能電力を増加させる。
【0103】
制御部21(削減供給部26)がステップS47の実行を完了すると、制御部21(不足特定部25)は、再び、ステップS45およびステップS46を実行する。
【0104】
制御部21(不足特定部25)は、ステップS45で、第N(Nは、1〜3のいずれか)階に、要求電力の確保ができない個別領域の電気設備がないと判定すると(ステップS45:No)、ステップS49へ移行する。なお、再度のステップS45では、制御部21(不足特定部25)は、現時点での個別領域R1〜R4における電気設備55〜55の供給可能電力と要求電力とを、電気設備毎に比較し、供給可能電力が要求電力未満である個別領域の電気設備があるか否かを判定する(ステップS45)。
【0105】
また、制御部21(不足特定部25)は、ステップS45でYesと判定し、ステップS46で、第N(Nは、1〜3のいずれか)階にある共用領域の電気設備の供給可能電力が、共用最少電力記憶部45に記憶された最少の電力と等しいと判定すると(ステップS46:No)、第N階に、要求電力の確保ができない個別領域の電気設備があることを示すために、対応する第N不足フラグ(第1〜第3不足フラグ32〜34のいずれか)をオンにする(ステップS48)。その後、制御部21(不足特定部25)は、ステップS49へ移行する。
【0106】
ステップS49では、制御部21(不足特定部25)は、要求電力の確保ができない個別領域の電気設備の有無を全ての階で確認したか、即ち、変数Nが3となっているか、を判定する(ステップS49)。制御部21(不足特定部25)は、全ての階で確認していないと判定すると(ステップS49:No)、変数Nを1加算して(ステップS50)、ステップS45へ戻る。一方、制御部21(不足特定部25)は、全ての階で確認したと判定すると(ステップS49:Yes)、ステップS51へ移行する。
【0107】
ステップS51では、制御部21(削減供給部26)は、第1〜第3不足フラグ32〜34のうち、一つでもオンのフラグがあるか否か、即ち、要求電力の確保ができない個別領域の電気設備が少なくとも一つあるか否かを判定する(ステップS51)。
【0108】
制御部21(削減供給部26)は、第1〜第3不足フラグ32〜34のうち、少なくとも一つはオンであると判定すると(ステップS51:Yes)、要求電力の確保ができない個別領域の電気設備が少なくとも一つはあると判定し、このうちの特定の個別領域で供給可能電力が著しく不足することを防止するため、ステップS52を実行する。
【0109】
ステップS52では、制御部21(削減供給部26)は、各個別領域の電気設備に対する現在の供給可能電力を基準とし、その各基準から同一の削減率となるよう、全ての個別領域R1〜R4における電気設備55〜55の間で、供給可能電力を削減・増加する調整を行う(ステップS52)。その後、制御部21(削減供給部26)は、ステップS53へ移行する。
【0110】
なお、ステップS51で、制御部21(削減供給部26)は、第1〜第3不足フラグ32〜34の全てがオフであると判定すると(ステップS52:No)、全ての個別領域R1〜R4の電気設備55〜55に対する供給可能電力が要求電力を満たしていると判定し、ステップS53へ移行する。
【0111】
ステップS53では、制御部21(使用電力決定部27)は、個別領域R1〜R4、共用領域C1〜C3の電気設備55〜55に対する現時点の供給可能電力を、電気設備55〜55のそれぞれが使用(消費)できる電力に決定する(ステップS53)。これにより、電気設備55〜55では、使用電力決定部27が決定した電力を上限値として、電力を使用(消費)することができる。
【0112】
このように、要求電力の確保ができない個別領域の電気設備がある場合には、ステップS53までの動作により、共用領域の電気設備で使用(消費)される電力を削減し、その削減分を、要求電力の確保ができない個別領域の電気設備へ供給することができる。
【0113】
削減供給部26の制御によって、共用領域の電気設備の供給可能電力が削減され、使用電力決定部27によって、削減された供給可能電力が使用(消費)できる電力に決定されると、共用領域の電気設備は、次のようにして、消費する電力を上限値に留める。即ち、共用領域の電気設備が例えば、飲料やアイスクリーム等の自動販売機であれば、冷蔵・冷凍の温度を上昇させたり、照明を暗くする等して、消費する電力を上限値に留める。また、共用領域の電気設備が照明設備であれば、点灯させる電灯を減らす(点灯させる電灯を間引く)等して、消費する電力を上限に留める。また、共用設備の電気設備がエアコンであれば、冷房時の設定温度を高めたり(暖房時であれば設定温度を低めたり)、運転を停止する等して、消費する電力を上限に留める。
【0114】
次に、制御部21(CPU22)は、メイン端末70の入力部70bの操作により設定処理(図7参照)が実行され、消費可能電力が変更されたか、或いは、サブ端末80〜80の入力部80bの操作により設定処理(図8参照)が実行され、要求電力記憶部47,48に記憶された要求電力が変更されたか、の判定を行う(ステップS54)。
【0115】
制御部21(CPU22)は、消費可能電力または要求電力が変更されたと判定すると(ステップS54:Yes)、ステップS43へ戻る。一方、消費可能電力および要求電力が変更されていないと判定すると(ステップS54:No)、ステップS55へ移行する。
【0116】
ステップS55では、制御部21(CPU22)は、電力融通処理の実行終了が、メイン端末70の入力部70bの操作により指示されたか否かを判定する(ステップS55)。制御部21(CPU22)は、電力融通処理の実行終了が指示されていないと判定すると(ステップS55:No)、ステップS53へ戻る。一方、制御部21(CPU22)は、電力融通処理の実行終了が指示されたと判定すると(ステップS55:Yes)、この電力融通処理を終了する。
【0117】
上述した通り、本発明の第1の実施形態に係る電力制御システム10によれば、消費可能電力(電気設備55〜55の全てで使用(消費)できる電力の上限値)を、稼動に必要な電力(要求電力)を消費する個別領域R1〜R4の電気設備55〜55と、共用領域C1〜C3の電気設備55〜55とで分配した場合に、要求電力の確保ができない個別領域の電気設備があるときには、共用領域に配置された電気設備で消費される電力を削減し、その削減分を、要求電力の確保ができない個別領域の電気設備へ供給する。これにより、電気設備で消費される全電力を上限値内に抑制するために、電気設備で消費される電力を一律に削減するシステムと比較して、要求電力が確保できない個別領域の電気設備が発生することを低減することができる。よって、建物100内の電気設備55〜55で消費される電力を上限値内に抑制した上で、個別領域の電気設備で発生し得る不都合(例えば、電気設備55〜55が動作しない事や電気設備55〜55の能力が低下する不都合)の低減を可能とする。
【0118】
(第2の実施形態)
上述の第1の実施形態では、要求電力の確保ができない個別領域の電気設備が存在する場合、その個別領域の電気設備と同階の共用領域の電気設備に対する供給可能電力を削減して、その削減分を、同階の要求電力の確保ができない個別領域の電気設備に対する供給可能電力に加え(ステップS45,S46,S47)、それでも要求電力の確保ができない個別領域が残っていれば(ステップS51:No)、全ての個別領域の電気設備に対する供給可能電力を再度調整した(ステップS52)。
【0119】
しかし、同階の共用領域の電気設備の供給可能電力削減のみでは、要求電力の確保ができない個別領域の電気設備が残る場合、他階の共有領域の電気設備に対する供給可能電力を削減して、その削減分を、未だ要求電力の確保ができない個別領域の電気設備に対する供給可能電力に加えれば、要求電力が確保できない個別領域の電気設備が発生することを、第1の実施形態の電力制御システム10と比較して、更に低減することができる。
【0120】
この場合、図9に示す第1の実施形態の電力融通処理を、図10に示す第2の実施形態の電力融通処理へ変更すればよい。なお、第2の実施形態の電力融通処理は、第1の実施形態の電力融通処理に、振り分け処理(ステップS60)を追加した処理である。
【0121】
その他の構成は、第1の実施形態の電力制御システム10と同一である。よって、第2の実施形態の電力制御システム10では、第1の実施形態の電力融通処理と異なる部分のみを、図10に示す電力融通処理のフローチャートを用いて説明する。
【0122】
ステップS51で、制御部21(削減供給部26)は、第1〜第3不足フラグ32〜34のうち、少なくとも一つはオンであると判定すると(ステップS51:Yes)、他階の共有領域の電気設備に対する供給可能電力を削減して、その削減分を、未だ要求電力の確保ができない個別領域の電気設備に対する供給可能電力に加えるため、振り分け処理(ステップS60)を実行する。
【0123】
振り分け処理(ステップS60)では、図11に示すように、制御部21(削減供給部26)は、削減可能な供給可能電力の電気設備がある共用領域を探すため、第1〜第3不足フラグ32〜34のうち、オフとなっている不足フラグがあるか否かを判定する(ステップS61)。制御部21(削減供給部26)は、第1〜第3不足フラグ32〜34のうち、不足フラグがオフとなっているものはないと判定すると(ステップS61:No)、削減可能な供給可能電力である共用領域の電気設備はないと判定し、この振り分け処理を終了する(ステップS53へ移行する)。
【0124】
一方、制御部21(削減供給部26)は、第1〜第3不足フラグ32〜34のうち、不足フラグがオフとなっているものがあると判定すると(ステップS61:Yes)、オフとなっている不足フラグに対応する階に存在する共用領域の電気設備に対する供給可能電力は削減可能か否かを判定する(ステップS62)。具体的な、判定方法は、ステップS46と同様である。
【0125】
制御部21(削減供給部26)は、オフとなっている不足フラグに対応する階に存在する共用領域の電気設備に対する供給可能電力が削減可能と判定すると(ステップS62:Yes)、その共用領域の供給可能電力を所定量(例えば、200W)削減し、削減分を、要求電力に対する不足分が最も大きい個別領域の電気設備の供給可能電力に加える(ステップS63)。
【0126】
なお、要求電力に対する不足分が最も大きい個別領域の電気設備とは、供給可能電力と要求電力との差が最も大きい個別領域の電気設備を意味している。
【0127】
その後、制御部21(不足特定部25)は、要求電力が確保できない個別領域の電気設備があるか否かを判定する(ステップS64)。具体的には、制御部21(不足特定部25)は、現時点での供給可能電力と要求電力とを、個別領域の電気設備毎に比較し、供給可能電力が要求電力未満である個別領域の電気設備があるか否かを判定する(ステップS64)。
【0128】
制御部21(不足特定部25)は、要求電力が確保できない個別領域の電気設備があると判定すると(ステップS64:Yes)、ステップS62へ戻る。一方、制御部21(不足特定部25)は、要求電力が確保できない個別領域の電気設備がないと判定すると(ステップS64:No)、この振り分け処理を終了する(ステップS53へ移行する)。
【0129】
なお、ステップS74では、制御部21(不足特定部25)は、緊急フラグ35がオフであれば、通常要求電力記憶部47に記憶された要求電力を使用し、緊急フラグ35がオンであれば、緊急要求電力記憶部48に記憶された要求電力を使用する。
【0130】
ステップS62で、制御部21(削減供給部26)は、オフとなっている不足フラグに対応する階に存在する共用領域の電気設備に対する供給可能電力が、共用最少電力記憶部45に記憶された最少の電力と等しく、供給可能電力は削減できないと判定すると(ステップS72:No)、ステップS52へ移行する。その後、制御部21(削減供給部26)は、この振り分け処理を終了する(ステップS53へ移行する)。
【0131】
上述した通り、本発明の第2の実施形態に係る電力制御システム10によれば、要求電力の確保ができない電気設備のある個別領域と同階に存在する共用領域の電気設備に対する供給可能電力削減のみでは、要求電力の確保ができない個別領域の電気設備がある場合、他階に存在する共有領域の電気設備に対する供給可能電力を削減して、その削減分を、未だ要求電力の確保ができない個別領域の電気設備に対する供給可能電力に加える。よって、電気設備で消費される全電力を上限値内に抑制するために、電気設備で消費される電力を一律に削減するシステムと比較して、要求電力が確保できない個別領域の電気設備が発生することを、更に低減することができる。従って、建物100内の電気設備55〜55で消費される電力を上限値内に抑制した上で、個別領域の電気設備で発生し得る不都合の更なる低減を可能とする。
【0132】
(第3の実施形態)
上述の第1の実施形態では、要求電力の確保ができない個別領域の電気設備が存在する場合、その個別領域と同階の共用領域の電気設備の供給可能電力を削減して、その削減分を、同階の要求電力の確保ができない個別領域の電気設備の供給可能電力に加えた(ステップS45,S46,S47)。
【0133】
これに代えて、要求電力の確保ができない個別領域の電気設備が存在する場合、それがどの階に存在するかに関わらず、全ての共用領域の電気設備に対する供給可能電力を一律に削減して、その削減分を、要求電力の確保ができない各個別領域の電気設備に対する供給可能電力に加える処理としてもよい。この処理によれば、全ての共有領域の電気設備に対する供給可能電力を利用して、要求電力の確保ができない個別領域の電気設備の発生を抑制することができる。従って、この処理によっても、建物100内の電気設備55〜55で消費される電力を上限値内に抑制した上で、個別領域の電気設備で発生し得る不都合を低減できる。
【0134】
この場合、図9に示す第1の実施形態の電力融通処理を、図12に示す第3の実施形態の電力融通処理へ変更すればよい。なお、第3の実施形態の電力融通処理は、第1の実施形態の電力融通処理に、次の変更を加えたものである。即ち、第3の実施形態の電力融通処理は、第1の実施形態の電力融通処理のステップS43を、ステップS81に変更し、ステップS45〜S51を、ステップS82〜S86に変更したものである。
【0135】
その他の構成は、第1の実施形態の電力制御システム10と同一である。よって、第3の実施形態の電力制御システム10では、第1の実施形態の電力融通処理と異なる部分のみを、図12に示す電力融通処理のフローチャートを用いて説明する。
【0136】
ステップS42で、制御部21(CPU22)は、電力融通の受け付けが完了したと判定すると(ステップS42:Yes)、初期設定として、第1不足フラグ32をオフに設定する(ステップS81)。
【0137】
なお、第3の実施形態では、第1不足フラグ32は、個別領域R1〜R4のいずれかに、要求電力の確保ができない個別領域の電気設備があるか否かを示すフラグとして使用する。要求電力の確保ができない個別領域の電気設備が一つでもあれば、第1不足フラグ32はオンとなる一方、要求電力の確保ができない個別領域の電気設備が一つもなければ、第1不足フラグ32はオフとなる。
【0138】
ステップS42でYesと判定されると、制御部21(不足特定部25)は、要求電力の確保ができない個別領域の電気設備があるか否かを判定する(ステップS82)。具体的には、制御部21(不足特定部25)は、供給可能電力算出部24により算出された供給可能電力と要求電力とを、個別領域の電気設備毎に比較し、供給可能電力が要求電力未満である個別領域の電気設備があるか否かを判定する(ステップS82)。なお、ステップS82では、制御部21(不足特定部25)は、緊急フラグ35がオフであれば、通常要求電力記憶部47に記憶された要求電力を使用し、緊急フラグ35がオンであれば、緊急要求電力記憶部48に記憶された要求電力を使用する。
【0139】
次に、制御部21(削減供給部26)は、供給可能電力を削減可能な共用領域の電気設備があるか否かを判定する(ステップS83)。制御部21(削減供給部26)は、供給可能電力を削減可能な共用領域の電気設備があると判定すると(ステップS83:Yes)、削減可能な共用領域の電気設備に対する供給可能電力を所定量(例えば、200W)、一律に削減し、その削減分を、要求電力の確保ができない各個別領域の電気設備に対する供給可能電力に、等分して加える(ステップS84)。
【0140】
その後、制御部21(不足特定部25)は、ステップS82へ移行し、現時点での供給可能電力と要求電力とを、個別領域の電気設備毎に比較し、供給可能電力が要求電力未満である個別領域の電気設備(要求電力の確保ができない個別領域の電気設備)があるか否かを判定する(ステップS82)。
【0141】
ステップS82で、制御部21(不足特定部25)は、要求電力の確保ができない個別領域の電気設備がないと判定すると(ステップS82:No)、ステップS85へ移行する。
【0142】
また、ステップS82でYesと判定し、ステップS83で、制御部21(削減供給部26)は、供給可能電力を削減可能な共用領域の電気設備がないと判定すると(ステップS83:No)、要求電力の確保ができない個別領域の電気設備があることを示すため、第1不足フラグ32をオンして(ステップS85)。ステップS86へ移行する。
【0143】
その後、制御部21(削減供給部26)は、第1不足フラグ32がオンであるか否かを判定する(ステップS86)。制御部21(削減供給部26)は、第1不足フラグ32がオンであると判定すると(ステップS86:Yes)、要求電力の確保ができない個別領域の電気設備が未だにあると判定し、ステップS52を実行する。その後、制御部21(削減供給部26)は、ステップS53へ移行する。
【0144】
一方、制御部21(削減供給部26)は、第1不足フラグ32がオフであると判定すると(ステップS86:No)、要求電力の確保ができない個別領域の電気設備はないと判定し、ステップS53へ移行する。
【0145】
上述した通り、本発明の第3の実施形態に係る電力制御システム10によれば、要求電力の確保ができない個別領域の電気設備が存在する場合、それがどの階に存在するかに関わらず、全ての共用領域の電気設備に対する供給可能電力を一律に削減して、その削減分を、要求電力の確保ができない各個別領域の電気設備に対する供給可能電力に、等分して加える。よって、電気設備で消費される全電力を上限値内に抑制するために、電気設備で消費される電力を一律に削減するシステムと比較して、要求電力の確保ができない個別領域の電気設備が発生することを低減することができる。従って、建物100内の電気設備55〜55で消費される電力を上限値内に抑制した上で、個別領域の電気設備で発生し得る不都合を低減できる。
【0146】
以上、本発明の実施形態を説明したが、この発明は上記の実施形態に限定されず、種々の変形および応用が可能である。
【0147】
例えば、上述した各実施形態では、それぞれ異なる電力融通処理を実行する電力制御システム10としたが、これに限られるものではなく、電力制御システム10は、各実施形態に係る電力融通処理を全て実行可能に構成してもよい。
【0148】
また、上述した各実施形態では、電気設備55〜55が配置される共用領域C1〜C3は、建物100内に存在したが、これに限られるものではない。即ち、共用領域C1〜C3は、建物100の外に存在する駐車場や建物100の屋上であってもよい。この場合、共用領域C1〜C3に設置される電気設備55〜55は、例えば、駐車場の街路灯や屋上の空調設備等となる。
【0149】
第2実施形態における電力制御システム10では、ステップS63(図11参照)において、共用領域の電力設備に対する供給可能電力を所定量削減し、削減分を、要求電力に対する不足分が最も大きい個別領域の電気設備に対する供給可能電力に加えたが、これに限られるものではない。即ち、ステップS63では、共用領域の電力設備の供給可能電力を所定量削減し、削減分を、要求電力が確保できない個別領域の電気設備に、等分して加えてもよい。
【0150】
なお、上記実施形態において、電力制御システム10を制御するプログラムは、フレキシブルディスク、CD−ROM(Compact Disc Read−Only Memory)、DVD(Digital Versatile Disc)、MO(Magneto−Optical Disc)等のコンピュータが読み取り可能な記録媒体に格納して配布し、そのプログラムを、コンピュータ等にインストールすることにより、図7〜図12に示す処理を実行するシステムを構成することとしてもよい。
【0151】
また、上述のプログラムをインターネット等の通信ネットワーク上の所定のサーバ装置が有するディスク装置等に格納しておき、例えば、搬送波に重畳させて、ダウンロード等するようにしてもよい。
【0152】
また、上述の図7〜図12に示す処理を、各OS(Operating System)が分担して実現する場合、又は、OSとアプリケーションとの協働により実現する場合等には、OS以外の部分のみを媒体に格納して配布してもよく、また、ダウンロード等してもよい。
【符号の説明】
【0153】
10 電力制御システム
20 電力制御装置
21 制御部
31 主記憶部
41 補助記憶部
49 インタフェース部
50〜50 運転ユニット
55〜55 電気設備
60〜60 計測ユニット
70 メイン端末
80〜80 サブ端末
BL バスライン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者が独占的に使用できる個別領域に配置された電気設備と、前記個別領域とは異なる領域であり、前記使用者以外の者も共同で利用できる共用領域に配置された電気設備と、で消費される電力を制御する電力制御システムであって、
前記電気設備で消費される全電力の上限値を設定する電力設定部と、
前記個別領域に配置された電気設備の稼動に必要な電力を、前記個別領域の電気設備毎に要求電力として記憶する要求電力記憶部と、
前記電力設定部により設定された全電力の上限値を、前記要求電力記憶部に記憶された各要求電力に対応する電気設備と前記共用領域に配置された電気設備とで分配した場合に、前記要求電力の確保ができない前記個別領域の電気設備を特定する不足特定部と、
前記不足特定部により前記要求電力の確保ができない前記個別領域の電気設備が特定された場合に、前記共用領域に配置された電気設備に供給される電力を削減し、その削減分を、前記要求電力の確保ができない前記個別領域の電気設備へ供給する削減供給部と、
を備えていることを特徴とする電力制御システム。
【請求項2】
前記共用領域に配置された電気設備で必要となる最少の電力を記憶する共用最少電力記憶部を備え、
前記削減供給部は、
前記共用最少電力記憶部に記憶された最少の電力を限度として、前記共用領域に配置された電気設備で消費される電力を削減し、その削減分を、前記要求電力の確保ができない前記個別領域の電気設備へ供給する、
ことを特徴とする請求項1記載の電力制御システム。
【請求項3】
前記電気設備が配置された前記個別領域および前記共用領域の組が、複数の階に存在する場合、
前記削減供給部は、
前記要求電力の確保ができない前記個別領域の電気設備が前記不足特定部により特定された場合、前記特定された前記個別領域の電気設備と同一階に存在する前記共用領域に配置された電気設備で消費される電力を削減し、その削減分を、前記同一階に存在する前記要求電力の確保ができない前記個別領域の電気設備へ供給する、
ことを特徴とする請求項2に記載の電力制御システム。
【請求項4】
前記不足特定部は、
前記要求電力の確保ができない前記個別領域の電気設備と同一階に存在する前記共用領域に配置された電気設備で消費される電力が、前記削減供給部による削減の結果、前記最少の電力となった場合に、何れかの階で、未だ、前記要求電力の確保ができない前記個別領域の電気設備が存在しているかを判定する特定判定部を備え、
前記削減供給部は、
前記特定判定部により、前記何れかの階で、未だ、前記要求電力の確保ができない前記個別領域の電気設備が存在していると判定された場合、前記同一階とは別の階の前記共用領域に配置された電気設備で消費される電力が、前記最少の電力を超えているかを判定する判定部と、
前記判定部により、前記別の階の前記共用領域に配置された電気設備で消費される電力が前記最少の電力を超えていると判定された場合には、前記別の階の前記共用領域に配置された電気設備で消費される電力を削減し、その削減分を、前記何れかの階に存在する前記要求電力の確保ができない前記個別領域の電気設備へ供給する他削減供給部と、
を備えていることを特徴とする請求項3に記載の電力制御システム。
【請求項5】
前記他削減供給部は、
前記別の階の前記共用領域に配置された電気設備で消費される電力を削減し、その削減分を、前記何れかの階に存在する前記要求電力の確保ができない前記個別領域の電気設備へ供給する場合、前記要求電力に対する不足分が最も大きい前記個別領域の電気設備へ、前記削減分を優先して供給する、
ことを特徴とする請求項4に記載の電力制御システム。
【請求項6】
前記電気設備が配置された前記共用領域が複数存在する場合、
前記削減供給部は、
前記複数の前記共用領域に配置された複数の電気設備で消費される電力を一律に削減し、その削減分を、前記要求電力の確保ができない前記個別領域の電気設備へ供給する、
ことを特徴とする請求項2に記載の電力制御システム。
【請求項7】
前記要求電力の確保ができない前記個別領域が複数存在する場合、
前記削減供給部は、
前記複数の前記共用領域に配置された複数の電気設備から一律に削減した電力を、前記要求電力の確保ができない前記複数の個別領域の電気設備へ、均等に供給する、
ことを特徴とする請求項6に記載の電力制御システム。
【請求項8】
使用者が独占的に使用できる個別領域に配置された電気設備と、前記個別領域とは異なる領域であり、前記使用者以外の者も共同で利用できる共用領域に配置された電気設備と、で消費される電力を制御する制御装置を用いた電力制御方法であって、
前記電気設備で消費される全電力の上限値を前記制御装置に設定する電力設定ステップと、
前記個別領域に配置された電気設備の稼動に必要な電力を、前記個別領域の電気設備毎に要求電力として前記制御装置に記憶する要求電力記憶ステップと、
前記電力設定ステップにより前記制御装置に設定された全電力の上限値を、前記要求電力記憶ステップで前記制御装置に記憶された各要求電力に対応する電気設備と前記共用領域に配置された電気設備とで分配した場合に、前記要求電力の確保ができない前記個別領域の電気設備を前記制御装置で特定する不足特定ステップと、
前記不足特定ステップにより前記要求電力の確保ができない前記個別領域の電気設備が前記制御装置で特定された場合に、前記共用領域に配置された電気設備に供給される電力を削減し、その削減分を、前記要求電力の確保ができない前記個別領域の電気設備へ、前記制御装置が供給する削減供給ステップと、
を含むことを特徴とする電力制御方法。
【請求項9】
使用者が独占的に使用できる個別領域に配置された電気設備と、前記個別領域とは異なる領域であり、前記使用者以外の者も共同で利用できる共用領域に配置された電気設備と、で消費される電力を制御するコンピュータに、
前記電気設備で消費される全電力の上限値を設定する電力設定機能と、
前記個別領域に配置された電気設備の稼動に必要な電力を、前記個別領域の電気設備毎に要求電力として記憶させる要求電力記憶機能と、
前記電力設定機能により設定された全電力の上限値を、前記要求電力記憶機能で記憶させた各要求電力に対応する電気設備と前記共用領域に配置された電気設備とで分配した場合に、前記要求電力の確保ができない前記個別領域の電気設備を特定する不足特定機能と、
前記不足特定機能により前記要求電力の確保ができない前記個別領域の電気設備が特定された場合に、前記共用領域に配置された電気設備に供給される電力を削減し、その削減分を、前記要求電力の確保ができない前記個別領域の電気設備へ供給する削減供給機能と、
を実現させるプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−78250(P2013−78250A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−218277(P2011−218277)
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】